JP2018135583A - Nb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法 - Google Patents

Nb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素含有率が溶解前より低く、且つNbが濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を得る。
【解決手段】本発明のNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法は、酸素を0.1質量%以上含有すると共に、Alを30〜70質量%、Nbを1〜15質量%、Mn、V、Cr、Mo、Taの何れか1種以上を合計で0〜15質量%含有するNb含有Ti−Al系合金溶解原料を、真空度が5×10−2〜1×10−3Pa、溶解時の投入熱量が1000〜2000kW/h/mの条件で、電子ビーム溶解法によって溶解し、溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金溶解原料に含まれる酸素含有率の目標値(質量%)に対して、所定の関係式から求められる値CおよびCNbがそれぞれ前述した目標値になるような5分以上の溶解時間T(分)を求め、求められた溶解時間T(分)に亘って溶解を保持するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素含有率が高いNb含有Ti−Al系合金溶解原料(以下、単に溶解原料と表記することがある)を、電子ビーム溶解法によって溶解することで、溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金中の酸素含有率が溶解前より低く、且つNbが溶解前より濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を得ることができるNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法に関するものである。
近年、軽量、高耐食性、高比強度といった特性を活かし、航空機や自動車などの輸送機用の金属素材としてTi−Al系合金の需要が高まりつつある。これらのTi−Al系合金には耐酸化性を向上させるために、高価な金属でもあるNbが合金元素として含有されていることが多い。
このようにTi−Al系合金スクラップ中にNbが含まれている場合は、Nbが高価な上に、多種多様な用途、需要が存在するため、従来からNbが含まれたTi−Al系合金スクラップからNbを回収、精製、濃縮して再利用したいというニーズが存在していた。
但し、Ti−Al系合金スクラップ中にはNbの品質に悪影響を与える酸素が多量に含まれているため、Ti−Al系合金スクラップ中のNbを再利用するためには、多量の酸素を除去する必要がある。
また、Ti−Al系合金自体も非常に活性であるため、製造工程で発生したTi−Al系合金スクラップにも酸素などの不純物が多量に含まれている。このようにTi−Al系合金スクラップ中に一度取り込まれた不純物を除去することは困難である。そのため、従来からTi−Al系合金スクラップを再利用することは困難であるとされていた。
上述したようにTi中に一旦固溶した酸素を除去することは容易ではなく、Ti中から酸素を除去する取り組み自体も少ない。しかし、少ない取り組みの中から一例を挙げれば、以下に示すような先行技術が存在する。
例えば、特許文献1には、Nbなどの高融点金属を合金成分として含むチタン合金の製造方法が開示されている。この特許文献1の方法は、Nbなどの高融点金属とTiとからなる母合金をあらかじめ調製し、次いで調整した母合金をチタン材に添加して溶製する方法となっている。
また、特許文献2には、チタンの脱酸方法に関する発明が開示されている。この特許文献2の方法は、酸素を含有するチタン原料を、アルミニウム或いは珪素を単独でもしくは組み合わせて添加した状態で電子ビーム溶解して、酸素をアルミニウム或いは珪素の酸化物として気相脱酸する方法となっている。
特開2007−56363号公報 特開平3−243732号公報
ところで、特許文献1のチタン合金の製造方法は、Tiと共にNbなどの高融点金属を溶解してチタン合金を製造する方法を記載するのみであり、Ti−Al系合金中でNbを濃縮する方法については記載も示唆もされていない。
また、特許文献2のチタンの脱酸方法には、電子ビーム溶解によるチタンの脱酸に関する方法は記載されているが、特許文献1と同様にTi−Al系合金中でNbを濃縮する方法については記載も示唆もされていない。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたもので、酸素含有率が高いNb含有Ti−Al系合金溶解原料を、電子ビーム溶解法によって溶解することで、酸素含有率が溶解前より低く、且つNbが濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を得ることができるNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明のNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法は、酸素を0.1質量%以上含有すると共に、Alを30〜70質量%、Nbを1〜15質量%、Mn、V、Cr、Mo、Taの何れか1種以上を合計で0〜15質量%含有するNb含有Ti−Al系合金溶解原料を、真空度が5×10−2〜1×10−3Pa、溶解時の投入熱量が1000〜2000kW/h/mの条件で、電子ビーム溶解法によって溶解し、溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金溶解原料に含まれる酸素含有率の前記目標値(質量%)、およびNb含有率の目標値(質量%)を予め決定し、式(1)から求められる値Cおよび下記式(2)から求められる値CNbがそれぞれ目標値になるような5分以上の溶解時間T(分)を求め、求められた溶解時間T(分)に亘って溶解を保持することを特徴とする。
[数1]
=0.021e0.0404T・・・式(1)
Nb=Y×(0.58ln(T)+0.44)・・・式(2)
但し、Cは溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金中の酸素含有率(質量%)、Tは溶解時間(分)、CNbは溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金中のNb含有率(質量%)、Yは溶解前のNb含有Ti−Al系合金溶解原料中のNb含有率(質量%)である。
また、本発明のNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法は、酸素を0.1質量%以上含有すると共に、Alを30〜50質量%、Nbを3〜10質量%、Mn,V,Cr,Mo,Taの何れか1種以上を合計で0〜15質量%含有するNb含有Ti−Al系合金溶解原料を、真空度が5×10−2〜1×10−3Pa、溶解時の投入熱量が1000〜2000kW/h/mの条件で、電子ビーム溶解法によって溶解し、7〜40分溶解保持することを特徴とする。
本発明のNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法によると、酸素含有率が高いNb含有Ti−Al系合金溶解原料を、電子ビーム溶解法によって溶解することで、酸素含有率が溶解前より低く、且つNbが濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を得ることができる。
例えば、真空度を5×10−2〜1×10−3Pa、溶解時の投入熱量を1000〜2000kW/h/mという条件の電子ビーム溶解法を7〜40分に亘って行って溶解を保持すれば、酸素含有率が0.1質量%未満と低く、且つNb含有率が溶解前の初期濃度(溶解前のNb含有Ti−Al系合金溶解原料中のNb含有率)の150%以上に濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を得ることができる。
電子ビーム溶解によるNb含有Ti−Al系合金中のNb濃度(含有率)の時間ごとの変化を示すグラフ図である。 電子ビーム溶解によるNb含有Ti−Al系合金の酸素濃度(含有率)の時間ごとの変化を示すグラフ図である。
本発明者らは、Nbが含まれた酸素含有率が高いTi−Al系合金スクラップなどのNb含有Ti−Al系合金溶解原料を用いて、酸素含有率が溶解原料よりも低く、且つNbが濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を得ることができるNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法を見出すため、鋭意検討を行った。
その結果、Nb含有Ti−Al系合金溶解原料を溶解する方法として電子ビーム溶解法を採用した上で、溶解時の密閉容器内の真空度、並びに溶解時の投入熱量を適正な範囲とし、更には溶解保持時間を適正な範囲の時間とすることで、酸素含有率が溶解前より低く、且つNbが濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を作製することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明を実施形態に基づいて、図を基に詳細に説明する。
本実施形態のNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法は、酸素を0.1質量%以上含有すると共に、Alを30〜70質量%、Nbを1〜15質量%、Mn,V,Cr,Mo,Taの何れか1種以上を合計で0〜15質量%含有するNb含有Ti−Al系合金溶解原料を、真空度が5×10−2〜1×10−3Pa、溶解時の投入熱量が1000〜2000kW/h/mの条件で、電子ビーム溶解法によって溶解し、溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金溶解原料に含まれる酸素含有率の目標値(質量%)、およびNb含有率の目標値(質量%)を予め決定し、更に溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金中の酸素含有率およびNb含有率が目標値となるような5分以上の溶解時間T(分)を求め、求められた溶解時間T(分)(適正な溶解時間)に亘って溶解を保持する方法となっている。
次に、本実施形態のNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法を構成する各要件について説明する。
(Nb含有Ti−Al系溶解原料の成分組成)
・酸素:0.1質量%以上
本実施形態のNb濃縮方法に用いられるNb含有Ti−Al系合金溶解原料は、Nbが含まれたTi−Al系合金スクラップなどの原料であり、低品位で酸素含有率が高いものとなっている。これらの原料は、表面が酸化するなどして、少なくても0.1質量%の酸素が含有されている。よって、本発明のNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法に用いるNb含有Ti−Al系合金溶解原料には、酸素含有率を0.1質量%以上のものが用いられる。
・Al:30〜70質量%
航空機用のエンジン部品などで使用されているTi−Al系合金としては、通称GE合金と呼称されるTi−33質量%Al−4.8質量%Nb−2.7質量%Cr合金が代表的である。このようなTi−Al系合金には、上述したものの他、Ti−33質量%Al−6質量%Nb−1.4質量%Ta合金のような合金を含めても良い。本発明では、このようなAlの含有量が高いNb含有Ti−Al系合金を製造した場合に生じるスクラップから、Nbが濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を回収するものとなっている。そのため、本発明のNb濃縮方法に用いられるNb含有Ti−Al系合金溶解原料中のAl含有率の下限を30質量%とした。
一方、Nb含有Ti−Al系合金溶解原料はチタン合金でもあり、Tiを多量に含んでいる。しかも、この原料にはNbも含有されているため、Alの含有率には上限がある。よって、Nb含有Ti−Al系合金溶解原料中のAl含有率の上限を70質量%としている。以上のことから、Nb含有Ti−Al系合金溶解原料中のAlの含有率は、30〜70質量%の範囲とした。
・Nb:1〜15質量%
Nbは、Ti−Al系合金の耐酸化性向上や各種機械特性制御のため、Ti−Al系合金に添加される。Nbの添加量が少なすぎると、これらの効果を奏することができなくなる。しかし、高融点金属であるNbを多量に添加すると、融点上昇により局所的な溶融部が形成され、製造するNb含有Ti−Al合金の均質性が低下してしまう。よって、Nbの含有率は、1〜15質量%の範囲とした。
・Mn,V,Cr,Mo,Taの何れか1種以上:合計で0〜15質量%
上述したNb含有Ti−Al系合金溶解原料には、Mn,V,Cr,Mo,Taの何れかを1種以上:合計で0〜15質量%含有させることができる。これら成分を含有させることで、Nb添加とは異なる合金としての特性、例えば延性などの特性を向上させることが可能となる。
また、残部はTiおよび不可避的不純物である。
(電子ビーム溶解)
次に、上述した電子ビーム溶解法について説明する。
電子ビーム溶解法は、密閉可能な容器内に収容されたTi−Al多元系合金溶解原料に対して、容器内に設けられた電子ビームガンから電子ビームを供給して、原料を溶解する方法となっている。一般的には、電子ビームガンで、電子を10kV程度の加速電圧で加速し、容器内に設けられた坩堝内の原料に向かって電子ビームを照射し、坩堝内の原料を溶解させる。この容器内は、真空ポンプなどを用いて低圧(真空)に排気されている。
上述した電子ビーム溶解法では、容器内の真空度、原料に供給される投入熱量(総熱量)、溶解時間(ビーム照射時間)などの条件を用いて、原料の溶解が行われている。
・真空度:5×10−2〜1×10−3Pa
本実施形態の溶解では、Ti−Al多元系合金溶解原料の溶解法としては低い真空度、具体的には溶解時の密閉容器内を5×10−2〜1×10−3Paの真空度としている。真空度を5×10−2Pa以下とした理由は、電子ビーム溶解を低真空(5×10−2Pa超)で行うことは装置上難しいからである。また、真空度を1×10−3Pa以上とした理由は、より高真空(1×10−3Pa未満)にすること自体は可能であるが、排気に長時間を要し、生産性の観点から好ましくないからである。
・投入熱量:1000〜2000kW/h/m
上述した3つの電子ビーム溶解法の条件のうち、溶解時の投入熱量は、1000〜2000kW/h/mの範囲とされている。溶解時の投入熱量が1000kW/h/mより低い場合は、Nb含有Ti−Al系合金溶解原料を溶解することができない。よって、溶解時の投入熱量の下限は1000kW/h/mとした。
一方、溶解時の投入熱量が2000kW/h/mより高くなると、溶湯の湯面の振動によりスプラッシュが発生し、歩留の低下を招くことに繋がることが予想されるため、溶解時の投入熱量の上限は2000kW/h/mとした。
・溶解時間(溶解保持時間)
上述した3つの電子ビーム溶解法の条件のうち、溶解時間は、「Nb含有Ti−Al系合金溶解原料中に含有される酸素を如何に低減するか」及び/又は「Nb含有Ti−Al系合金溶解原料中に含有されるNbを如何に濃縮するか」によって最適な値が変動するものとなっており、そのために以下に示す式(1)及び式(2)を用いて算出されるものとなっている。そして、このような関係に基づいて溶解時間を求め、求められた溶解時間に亘って溶解を行うことが、本発明のNb濃縮方法の特徴となっている。
具体的には、電子ビーム溶解を終えた後のNb含有Ti−Al系合金中の酸素含有率およびNb含有率は、下記式(1)および(2)に示すように、電子ビーム溶解開始後の溶解保持時間(溶解時間T)に依存する。本発明では、式(1)から求められる酸素含有率Cおよび式(2)から求められるNb含有率CNbが、それぞれ目標値になるようにして、5分以上溶解を保持する。
「数2」
=0.021e0.0404T・・・式(1)
Nb=Y×(0.58ln(T)+0.44)・・・式(2)
但し、Cは溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金中の酸素含有率(質量%)、Tは溶解保持時間(分)、CNbは溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金中のNb含有率(質量%)、Yは溶解前のNb含有Ti−Al系合金溶解原料中のNb含有率(質量%)である。
なお、式(1)から求められる酸素含有率C、式(2)から求められるNb含有率CNbの目標値とは、「Nb含有Ti−Al系合金溶解原料中の酸素をどの程度まで低減するか」あるいは「Nb含有Ti−Al系合金溶解原料中のNbをどの程度まで濃縮するか」によって決められる値であり、溶解後の酸素含有率およびNb含有率に関し、実施者が所望とする値を示すものである。具体的には、酸素含有率の目標値は溶解前の酸素含有率よりも低くなるような或る値のことを示しており、またNbの目標値はNbの初期濃度(溶解前のNb含有Ti−Al系合金溶解原料中のNb含有率)を超えるような或る値のことを示している。
以上の条件に従って、酸素を0.1質量%以上、Alを30〜70質量%、Nbを1〜15質量%、Mn,V,Cr,Mo,Taの何れか1種以上を合計で0〜15質量%含有するNb含有Ti−Al系合金溶解原料を、電子ビーム溶解法によって溶解すれば、酸素含有率が溶解前より低く、且つNbが濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を得ることができる。
また、Nb含有Ti−Al系合金溶解原料の成分組成のうち、AlおよびNbの含有量を更に限定した範囲とした場合は、電子ビーム溶解に関する条件のうち、真空度や投入熱量を変えずに、溶解保持時間を更に限定した範囲とすることで、酸素含有率が0.1質量%未満、Nb含有率が初期濃度(溶解前のNb含有Ti−Al系合金溶解原料中のNb含有率)の150%以上のNb含有Ti−Al系合金を確実に得ることができる。
具体的には、Nb含有Ti−Al系合金溶解原料中のAlの含有率を30〜50質量%の範囲、Nbの含有率を3〜10質量%の範囲とした場合は、溶解保持時間を7〜40分の範囲とすることができる。言い換えれば、Nb含有Ti−Al系合金溶解原料中に、Alが30〜50質量%、Nbが3〜10質量%含有される場合には、溶解時間T(分)として7〜40分という具体的な値を提示することができる。このような条件で溶解を行えば、酸素含有率が0.1質量%未満と低く、Nb含有率が初期濃度の150%以上に濃縮されたNb含有Ti−Al系合金を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
しかしながら、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例は、直径φ80mmの球状、質量150gで、成分組成が異なる4種のNb含有Ti−Al系合金溶解原料(全て酸素含有率は0.5質量%)を作製し、水冷銅るつぼ(密閉容器)内に投入して、電子ビーム溶解によって溶解したものである。溶解時の密閉容器内の真空度は1×10−2Pa、溶解時の電子ビーム出力は8kW/h(投入熱量が1600kW/h/mに相当)、溶解保持時間は5分、10分、20分とした。
また、実施例では、溶解に用いるNb含有Ti−Al系合金溶解原料、溶解保持時間をそれぞれ変えて、表1に示すような6つの実験例を用意し、それぞれの実験例で溶解した場合のNb含有Ti−Al系合金中の成分変動を調査した。
具体的には、表1に示す「No.1」の実験例は、Ti−40質量%Al−5質量%Nb−2.5質量%Cr合金を溶解原料として用い、溶解時間5分に亘って溶解を保持したものである。
「No.2」の実験例は、Ti−40質量%Al−5質量%Nb合金を溶解原料として用い、溶解時間10分に亘って溶解を保持したものである。
「No.3」の実験例は、Ti−40質量%Al−5質量%Nb−2.5質量%Cr合金を溶解原料として用い、溶解時間20分に亘って溶解を保持したものである。
「No.4」の実験例は、Ti−60質量%Al−5質量%Nb−2.5質量%Cr合金を溶解原料として用い、溶解時間5分に亘って溶解を保持したものである。
「No.5」の実験例は、Ti−60質量%Al−5質量%Nb合金を溶解原料として用い、溶解時間10分に亘って溶解を保持したものである。
「No.6」の実験例は、Ti−60質量%Al−5質量%Nb−2.5質量%Cr合金を溶解原料として用い、溶解時間20分に亘って溶解を保持したものである。
なお、溶解前後のNb含有Ti−Al系合金に含まれるAl、Nb、O(酸素)の濃度(含有率)のうち、Al及びNbの濃度については、ICP発光分光分析法により求めた。また、酸素の濃度については、不活性ガス融解赤外線吸収法により求めた。求めた濃度(含有率)の結果を表1、図1および図2に示す。
Figure 2018135583
表1および図1によると、No.1〜No.6は、いずれも溶解前に5wt%であったものが溶解後には5wt%を超える値にまで濃縮されており、全ての実験例でNb濃度(含有率)が増加していることがわかる。
また、図1から明らかなように、溶解保持時間が5分のNo.1やNo.4に比べて、溶解保持時間が10分と20分のNo.2、3、5、6では、溶解後のNb濃度(含有率)が全て初期濃度の150%以上にまで濃縮している。
つまり、Nbの濃縮は溶解保持時間に伴い進行するものと判断される。このように考える根拠は、Alが合金成分の中で最も蒸気圧が高く、Alのように蒸気圧が高い成分の変動挙動は指数関数/対数的な変化を示すことが一般的に知られていることに依る。つまり、図1の結果から明らかなようにAlと同様な変化挙動を示すNbも、Alの揮発に伴い時間と共に濃縮が進行しているもの考えることができる。
また、表1および図2によると、No.1〜No.6は酸素濃度(含有率)が0.5質量%から全て0.1質量%未満に低下している。
これら酸素濃度は溶解前のNb含有Ti−Al系合金溶解原料の酸素濃度と比べると一旦低下するものの、溶解保持時間がさらに進むと溶解前よりも増加する傾向にある。これは酸素の除去速度に比べ、TiやAlの揮発速度が大きいため、酸素の除去が追いつかず、Nb含有Ti−Al系合金溶解原料の酸素濃度が相対的に増加してしまうものと考えられる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。

Claims (2)

  1. 酸素を0.1質量%以上含有すると共に、Alを30〜70質量%、Nbを1〜15質量%、Mn、V、Cr、Mo、Taの何れか1種以上を合計で0〜15質量%含有するNb含有Ti−Al系合金溶解原料を、真空度が5×10−2〜1×10−3Pa、溶解時の投入熱量が1000〜2000kW/h/mの条件で、電子ビーム溶解法によって溶解し、溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金溶解原料に含まれる酸素含有率の目標値(質量%)、およびNb含有率の目標値(質量%)を予め決定し、式(1)から求められる値Cおよび下記式(2)から求められる値CNbがそれぞれ前記目標値になるような5分以上の溶解時間T(分)を求め、求められた溶解時間T(分)に亘って溶解を保持することを特徴とするNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法。
    [数1]
    =0.021e0.0404T・・・式(1)
    Nb=Y×(0.58ln(T)+0.44)・・・式(2)
    但し、Cは溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金中の酸素含有率(質量%)、Tは溶解時間(分)、CNbは溶解保持後のNb含有Ti−Al系合金中のNb含有率(質量%)、Yは溶解前のNb含有Ti−Al系合金溶解原料中のNb含有率(質量%)である。
  2. 酸素を0.1質量%以上含有すると共に、Alを30〜50質量%、Nbを3〜10質量%、Mn,V,Cr,Mo,Taの何れか1種以上を合計で0〜15質量%含有するNb含有Ti−Al系合金溶解原料を、真空度が5×10−2〜1×10−3Pa、溶解時の投入熱量が1000〜2000kW/h/mの条件で、電子ビーム溶解法によって溶解し、7〜40分溶解保持することを特徴とするNb含有Ti−Al系合金のNb濃縮方法。
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