JP6544638B2 - Ti含有マルエージング鋼の製造方法及びそのプリフォームの製造方法 - Google Patents

Ti含有マルエージング鋼の製造方法及びそのプリフォームの製造方法 Download PDF

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本発明は、Tiを含有するマルエージング鋼の製造方法及びTi含有マルエージング鋼のプリフォームの製造方法に関し、特に、析出するTiNの粒径を抑制することの可能なTi含有マルエージング鋼の製造方法及びそのプリフォームの製造方法に関する。
炭素量の少ないマルエージング鋼においては、Ni、Mo、Co、Tiなどの金属元素を添加し、マルテンサイト組織を与えた上で時効して2000MPa程度の非常に高い引張強度を得ている。このような高強度のマルエージング鋼は、航空・宇宙分野の構造材をはじめ、自動車の無段変速機用部品、高圧容器、工具材料及び金型などに広く利用されている。
一方、マルエージング鋼の製造過程において、粗大な非金属介在物は疲労破壊の起点となり得るため、このような介在物を低減し得る消耗電極を用いた真空再溶解法が多く採用されている。特に、Tiを含有するマルエージング鋼では、角張った形状のTiN結晶粒が形成、成長されやすく、より疲労強度の低下に敏感であり、真空再溶解法におけるTiNの微細化方法が検討されている。
例えば、特許文献1では、真空再溶解法によるTi含有マルエージング鋼の製造方法において、消耗電極にMgを5〜250ppm含有させることを開示している。一次溶解において、溶鋼中に凝集性の弱いMgOを多数分散形成させて、これらが生成核となって窒化物や炭窒化物が微細化されて析出する。このようにして得られた消耗電極の二次溶解では、MgOを核とする窒化物や炭窒化物の熱分解が促進され、結果として得られるマルエージング鋼中のTiNの微細化がなされるとしている。
また、非特許文献1でも、消耗電極にMgを含有させる真空再溶解法によるTi含有マルエージング鋼の製造方法を開示するが、ここでは、MgOを生成核とした窒化物がMgOとの間で複合体を形成し、消耗電極の二次溶解でMgOが蒸発するに伴って複合体の一部を構成するMgOが解離し、これによって窒化物をより細かく分解し溶融させやすくし、TiNの微細化ができる。
更に、特許文献2では、同様のマルエージング鋼の製造方法において、微量のZrを消耗電極に含有させることを開示している。詳細には、質量%で、C:≦0.015%、Ni:12.0〜20.0%、Mo:3.0〜6.0%、Co:5.0〜13.0%、Al:0.01〜0.3%、Ti:0.2〜2.0%、O:≦0.0020%、N:≦0.0020%を含んだ上で、Zr:0.001〜0.02%を含有する鋼の一次溶解において、溶鋼中のZrが微細なZr酸化物となって分散し、これを生成核としたTiNが微細化される。また、添加したZrはTiよりも優先してNと結びつくことで、TiNの生成を抑制する。結果として、二次溶解後のTiNの粒径を小さくできるのである。
特許第3682881号公報 特開2015−61932号公報
岸上一郎、他2名、「無段変速機(CVT)用金属ベルト用マルエージング鋼のTiN微細化」、日立金属技報、日立金属株式会社、2012年3月、Vol.28、P.46−49
ところで、自動車用の無段変速機のCVTベルトに使用されるベルト状のリング材では、CVTベルトの回転に伴って曲げ伸ばしが繰り返されるため、高い疲労強度が求められる。また、近年の自動車部品の小型化に伴って、より高い疲労強度が要求される傾向にある。そこで、このような部材に使用されるTi含有マルエージング鋼において、疲労強度に影響を与えるTiNの粒径をより小さくする製造方法が求められた。
本発明は、上記したような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、TiNの粒径を小さくして高い疲労強度を達成し得るTi含有マルエージング鋼の製造方法及びTi含有マルエージング鋼のプリフォームの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、Ti含有マルエージング鋼の真空再溶解法による製造過程において、例えば、消耗電極に微量のZrを添加しても、得られるTi含有マルエージング鋼中のTiNの粒径にばらつきがあることを見いだした。そこで、TiNの粒径をより小さくする製造条件を検討し、一次溶解で得られる消耗電極に含まれるTiNの大きさをその後の該消耗電極を用いた二次溶解において溶融させ得る程度に小さくすること、二次溶解においてTiNを再析出させてもこれを大きく成長させないこと、そのためにN量を制御することを検討した。特に、溶鋼中のN量を減じることでTiNが晶出を開始する温度を低下させることができ、TiNの生成量を減じるだけでなく、TiNの晶出の開始から凝固までの時間を短くして成長を抑制できるのである。
そこで、本発明によるTi含有マルエージング鋼の製造方法は、消耗電極による真空再溶解法によって少なくともTiを含むマルエージング鋼を製造する方法であって、リークアップレートを調整した真空溶解炉の内部を真空引きしつつ析出核として溶鋼中に酸化物及び/又は窒化物を析出させ凝固時に前記析出核を包囲してTiNを析出させた一次鋼塊から前記消耗電極を形成し、前記真空溶解炉よりも高い真空度に維持してNを排出させた真空アーク溶解炉内において前記消耗電極に通電し二次鋼塊を得ることを特徴とする。
かかる発明によれば、一次溶解において、析出核として酸化物及び/又は窒化物を溶鋼中に析出させこれを析出核にTiNを分散析出させ、一次鋼塊中での粒径を小さくできる。また、二次溶解において、粒径の小さいTiNは溶融し易く、一次溶解よりもN量をより減じた環境下で二次溶解することで、TiNの生成量を減じ且つこれを成長させ得る時間を短くできる。その結果、マルエージング鋼中のTiNの粒径を小さくして高い疲労強度を達成し得るのである。
上記した発明において、Mg及び/又はZrを添加して前記酸化物及び/又は窒化物を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、溶鋼中に析出核としてMgOやZrOなどを分散して析出させ得て、結果としてマルエージング鋼中のTiNの粒径を小さくして高い疲労強度を達成し得る。
上記した発明において、前記真空溶解炉において前記溶鋼中にCを添加して酸素を真空炭素脱酸し生成するCOによってNを随伴排出させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、一次溶解において溶鋼中にC及び酸素を含ませることによって溶鋼中のN量を減じるように調整することができ、結果としてマルエージング鋼中のTiNの粒径を小さくして高い疲労強度を達成し得る。
上記した発明において、誘導攪拌しNの随伴排出を促進させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、一次溶解において溶鋼中のN量を減じるように調整することができ、結果としてマルエージング鋼中のTiNの粒径を小さくして高い疲労強度を達成し得る。
上記した発明において、前記真空溶解炉のるつぼは出鋼後に減圧雰囲気及び/又は窒素ガスを除く不活性ガス雰囲気で温度を降下させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、るつぼの付着物中のN量を減じて一次溶解における溶鋼中のN量の調整を確実にして、結果としてマルエージング鋼中のTiNの粒径を小さくして高い疲労強度を達成し得る。
また、本発明によるTi含有マルエージング鋼用プリフォームの製造方法は、少なくともTiを含むマルエージング鋼用プリフォームの製造方法であって、真空溶解炉において溶鋼中にCを添加して酸素を真空炭素脱酸し生成するCOによってNを随伴排出させてから凝固させることを特徴とする。
かかる発明によれば、例えば、真空再溶解法における消耗電極のようなプリフォームとして、溶鋼中にC及びOを与えることで溶鋼中のN量を減じ得て、これを用いて得られるTi含有マルエージング鋼中のTiNの粒径を小さくして高い疲労強度を与え得るのである。
上記した発明において、誘導攪拌しNの随伴排出を促進させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、溶鋼中のN量を減じるように調整することができる。
本発明による製造方法のフロー図である。 本発明の製造方法における対象合金の成分組成を示す図である。 Nの含有量とTiNの晶出温度の関係を示す図である。 実施例及び比較例の製造条件等を示す図である。
まず、本発明による1つの実施例であるTi含有マルエージング鋼の製造方法について、図1に沿って図2を参照しつつ詳細に説明する。
まず所定の成分組成を有する合金の一次溶解を行う(S1)。ここでは、図2の目標値範囲内にある成分組成のTi含有マルエージング鋼を対象とする。
本実施例による製造方法において得ようとするTi含有マルエージング鋼は、質量%で、C:≦0.015%、Ni:12.0〜20.0%、Mo:3.0〜6.0%、Co:5.0〜13.0%、Al:0.01〜0.3%、Ti:0.2〜2.0%、O:≦0.0020%、及び、N:≦0.0020%、を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなる。また、任意添加元素としてB:0.0010〜0.010%、Mg:≦0.003%、Ca:≦0.003%、のいずれか1つ以上を含み得る。なお、不可避的不純物として、Zr:0.001〜0.02%が含有される。Zrについては、後述するようにTiNの析出核としてZrOを一次溶解の溶鋼中に生成させるために添加しているが、Ti含有マルエージング鋼としては不可避に含有される不純物である。
一次溶解に用いる真空溶解炉は、例えば誘導加熱により溶解を行う真空誘導炉(VIF)である。真空溶解炉は、必要に応じて例えばグリスアップなどして、予めリークアップレート(圧力上昇率)を調整し、一次溶解中、特に後述する精錬中に大気から炉内にリークする酸素及び窒素の量を調整しておく。リークアップレートは、例えば、0.05torr/min以下(目標値)とする。なお、リークアップレートは、真空ラインから真空引きして真空度を平衡状態にした上で、真空ラインのバルブを閉じてから2〜5分経過するまでのリーク量(真空度変化量)を真空計にて測定し、1分あたりのリーク量に換算して得ることができる。
一次溶解(S1)において、所定の成分組成の合金の溶解(S1−1)を行う。溶解に用いる材料(原料)には、同鋼種の製造において端材として製品に使用されなかったいわゆるリターン材を用いることもできる。なお、Zr、Al、Tiなど、一部の組成成分の添加は後述する精錬中の追装によって行ってもよい。ここで、後述する真空炭素脱酸において十分な量のCOガスを排出できるよう、あえて酸素量を多くするようなリターン材を用いるとともに、これに併せて溶鋼中にCを添加させるべく、炭素も材料に用いることが好ましい。例えば、二次溶解及び時効処理後の製品の含有酸素量として20ppm以下とすべきところ、精錬前、すなわち、原料全体に含まれる酸素量としては、50〜500ppmとすることができ、好ましくは200〜300ppmである。後述する実施例においては、原料全体に含まれる酸素量を260ppmとした。
また、溶解に先立って、真空溶解炉内部の到達真空度を制御し、溶解中において炉内のNガスを排気して、溶鋼中のN量を低減させる。例えば、溶解前の到達真空度は0.05torr以下(目標値)とする。
さらに精錬を行う(S1−2)。精錬においては、特に、上記したように原料に多く含有される酸素を真空炭素脱酸(VCD)によって溶鋼中からCOガスとして排出させる。これにより溶鋼中の酸素及び炭素の量を調整するが、特に、COガスに随伴させてNガスを排出させ、溶鋼中のN量を低減させるのである。すなわち、より多くのCOガスを排出させることでN量をより低減できる。
また、真空炭素脱酸に伴い、攪拌を行って、溶鋼中のNの随伴排出を促進させることが好ましい。攪拌は、例えば三相電磁誘導攪拌による。詳細には、るつぼの周囲の下段、中段、上段のそれぞれに三相に分けてコイルを配置し、下段、中段、上段の順に磁界を形成させてこれを低周波で繰り返し、るつぼ内の溶鋼を外周に沿って下から上へ移動させるように攪拌させるのである。攪拌は長く行うことでN量をより低減でき、所定のN量以下となるまで継続させる。真空溶解炉の規模や溶鋼の量、真空度などにもよるが、例えば90分以上の攪拌が好ましい。
また、精錬においては、上記したようにZr、Al、Tiなどを追装するが、N量を増加させないことが好ましく、例えば、TiについてはN量の低いスポンジTiを用いることが好ましい。また、後述する鋳造においてTiNを析出させる析出核となる酸化物及び/又は窒化物を生成させるための元素を必要に応じて添加する。ここでは、Zrであるが、例えばリターン材に予め含有されていて添加を必要としない場合もある。Zrの含有により、溶鋼中にZrOを析出核として析出させることができる。また、例えば、Mgの添加によってMgOを析出核として析出させてもよい。なお、ZrOやMgOであれば、凝集性は低く溶鋼中に細かく分散する。なお、精錬においては、溶鋼中のN量を低減させるが、具体的には8ppm以下が好ましく、より好ましくは5ppm以下とする。
次いで、鋳造を行う(S1−3)。精錬された溶鋼は、鋳型に鋳込まれて凝固する。かかる凝固に際し、溶鋼中においてTiNは所定の温度から析出(晶出)を開始し、上記した析出核を包囲するように析出して、完全に凝固することによってその成長速度を急激に低下させる。上記したように、例えばZrOは細かく分散するので、これを析出核とするTiNも分散し、その粒子径を小さくする。特に、図3を参照すると、溶鋼中のN量の少ない場合にTiNの析出(晶出)を開始する温度は低く、そのため上記したように精錬においてN量を少なくしておくことで、TiNの析出の開始から凝固までの時間を短くできる。その結果、TiNを成長させ得る時間を短くして、成長を抑制できるのである。TiNの粒子径は、後述する二次溶解の溶鋼中において溶融し得る程度に小さいことが好ましい。
鋳造によって得た一次鋼塊はガウジングや機械加工などにより切断や皮剥き等を行って電極として必要とされる形状に形成されて消耗電極とされる。なお、消耗電極に溶接を行った場合は、後述する二次溶解においてN量を低減させるため、溶接線上の余材を十分に除去しておくことが好ましい。このようにしてTi含有マルエージング鋼用のプリフォームとして消耗電極を得ることができる。
なお、一次溶解に用いたるつぼは、出鋼した後、大気に開放される前に、減圧雰囲気及び/又は窒素ガスを除く不活性ガス雰囲気に保持され、温度を低下させることが好ましい。例えば、出鋼後に炉内にArガスをパージして50torr程度の減圧雰囲気とした上で1時間以上保持して温度を低下させた後にタンクオープンし、るつぼを大気に曝すのである。るつぼを高温のまま大気に曝すと、内側に付着した金属中のN量が多くなるため、これを抑制して、次回の溶解において付着物からのNのピックアップを減じるのである。
次に、得られた消耗電極の二次溶解を行う(S2)。二次溶解では、真空アーク溶解炉(VAR)を用いて消耗電極を再溶解させて鋼塊を得る。真空アーク溶解炉は、一次溶解で用いた真空溶解炉より高い真空度を得られて、リークアップレートも低い溶解炉である。例えば、リークアップレートは、12×10−3torr/min以下(目標値)とし、溶解前の到達真空度は3.75×10−3torr以下(目標値)とする。これにより、溶鋼中のN量をより低減させる。なお、N量をさらに低減させるよう、鋳型の表面の付着物を除去し、さらに真空系に付着した蒸発物も除去するよう清掃を行っておくことが好ましい。なお、リークアップレートは、真空ラインから真空引きして真空度を平衡状態にした上で、真空ラインのバルブを閉じてから1〜2分経過するまでのリーク量(真空度変化量)を真空計にて測定し、1分あたりのリーク量に換算して得ることができる。
消耗電極中のTiNの析出物は、上記したようにその粒子径を小さくしており、二次溶解の溶鋼中に溶融し得る。また、溶鋼の凝固に際し、一次溶解と同様にTiNは所定の温度から析出(晶出)を開始する。この際、上記したZrOや完全には溶融せず残存したTiNを析出核として析出し成長する。特に、上記したように(図3参照)、溶鋼中のN量の少ない場合にTiNの析出を開始する温度は低く、TiNを成長させ得る時間を短くできて、成長を抑制できる。これらによって、TiNの粒径を小さくできる。典型的には、TiNの粒径を7μm以下に制御することができる。
以上のようにして得た鋼塊について、適宜、熱間加工や機械加工などの加工(S3)を行い、固溶化熱処理及び時効処理などの熱処理(S4)を行うことでTi含有マルエージング鋼を製造できる。例えば、二次溶解後の鋼塊を鍛造し、熱間圧延を行い、焼鈍した後にさらに冷間圧延を行ってから、900℃での固溶化熱処理、480℃×3hrの時効処理を行って製品とするのである。なお、その他については公知の方法と同様である。
次に、上記した製造方法によって製造したTi含有マルエージング鋼において、TiNの粒径の測定を行ったのでその結果について説明する。
図2を再び参照すると、上記した製造方法によって、各実施例及び比較例に示す成分組成(一次溶解の精錬後のレードル値)の合金によってTi含有マルエージング鋼の製造を行った。製造に用いた真空溶解炉(一次溶解)及び真空アーク溶解炉(二次溶解)のそれぞれのリークアップレート(LUR)を各実施例及び比較例の製造前に測定し、図4に示した。また、各実施例及び比較例のそれぞれの炉の溶解前の真空到達度も測定して記録し、同様に図4に示した。なお、図2を再度併せて参照すると、実施例2及び3は一次溶解において同一チャージである。つまり、図4に示すように、一次溶解の成分組成のレードル値、LUR、到達真空度は同一であり、二次溶解のLUR、到達真空度が異なっている。実施例4及び5においても同様である。
図4に示すように、各実施例及び比較例の一次溶解において、LUR及び真空到達度は上記した目標値を満たしている。また、実施例1〜7は二次溶解において、LUR及び真空到達度の目標値を満たし、結果としてTiNの粒径を目標値である7.0μm以下とできた。しかし、比較例1及び2においては、二次溶解のLURが目標値より高く、その結果、TiNの粒径が目標値である7.0μmを越えてしまった。二次溶解において、N量を十分低減できず、TiNの成長を抑制できなかったと考えられる。
すなわち、上記したように、酸素量及び窒素量を調整するようリークアップレート及び到達真空度を制御して一次溶解を行うことで、TiNの析出核となる酸化物及び/又は窒化物を析出させて、これを包囲するようTiNを析出させ得て、二次溶解において溶融し得る程度の小さいTiNを生成できる。また、より低いリークアップレート及びより高い真空度に制御して二次溶解を行うことで、溶鋼中のN量を低減できて、TiNの粒径を小さくできる。特に、一次溶解、二次溶解のいずれにおいても、N量を低減することで、TiNの析出を開始する温度を低下させ得て、TiNの成長を抑制してTiNの粒径をより小さくできる。
ここまで本発明による代表的実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例を見出すことができるであろう。

Claims (4)

  1. 消耗電極による真空再溶解法によって少なくともTiを含むマルエージング鋼を製造する方法であって、
    リークアップレートを調整した真空溶解炉の内部を真空引きしつつ溶鋼中にCを添加して酸素を真空炭素脱酸し、生成するCOによるN の随伴排出を誘導攪拌によって促進し、N を排出し析出核として前記溶鋼中に酸化物及び/又は窒化物を析出させ凝固時に前記析出核を包囲してTiNを析出させた一次鋼塊から前記消耗電極を形成し、前記真空溶解炉よりも高い真空度に維持してNを排出させた真空アーク溶解炉内において前記消耗電極に通電し二次鋼塊を得ることを特徴とするTi含有マルエージング鋼の製造方法。
  2. Mg及び/又はZrを添加して前記酸化物及び/又は窒化物を与えることを特徴とする請求項1記載のTi含有マルエージング鋼の製造方法
  3. 前記真空溶解炉のるつぼは出鋼後に減圧雰囲気及び/又は窒素ガスを除く不活性ガス雰囲気で温度を降下させることを特徴とする請求項1又は2に記載のTi含有マルエージング鋼の製造方法。
  4. 少なくともTiを含むマルエージング鋼用プリフォームの製造方法であって、
    真空溶解炉において溶鋼中にCを添加して酸素を真空炭素脱酸し生成するCOによ 随伴排出を誘導攪拌によって促進し、N を排出し凝固させることを特徴とするTi含有マルエージング鋼用プリフォームの製造方法
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