JP2018133432A - 切削装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工条件に合わない治具が治具ベースに搭載された際に治具が切削されないようにする。【解決手段】テーブル3と、アライメントパターンを撮像する手段120と、制御手段9と、切削手段6とを備え、テーブル3は、分割予定ラインに対応して形成された刃逃げ溝300eと、吸引孔300cとを有する2以上の治具30A、30Bと、ベース32と、を含み、2以上の治具30A、30Bは、各々異なるマークM1、M2を含み、かつ、溝300eの間隔が治具ごとに異なり、選択的にベース32に載置され、撮像手段120はマークM1又はM2を認識可能であり、制御手段9は、予め加工条件と加工条件に対応するマークとを記憶する判定条件記憶部90と、加工前に設定された加工条件を記憶する加工条件記憶部91と、マークの撮像画と判定条件記憶部90に記憶されたマークとを照合しベース32上の治具が加工前に設定された加工条件に適合するか判定する判定部92とを含む切削装置1。【選択図】図1
Description
本発明は、板状のパッケージ基板に切削加工を施す切削装置に関する。
パッケージ基板等の板状の被加工物は、例えば、その表面が格子状に配列された分割予定ラインで複数の領域に区画されており、この格子状に区画された各領域には各種デバイスがそれぞれ形成されている。この基板に対して切削加工を施すことができる切削装置(例えば、特許文献1参照)は、一般的に、パッケージ基板を吸引保持する保持テーブルと、保持テーブルに保持されたパッケージ基板を切削する切削ブレードを備えた切削手段とを有している。保持テーブルは、例えば、負圧によりパッケージ基板を吸引保持する保持治具と、保持治具が載置される治具ベースとを備えており、パッケージ基板は治具ベース上に搭載された保持治具上で吸引保持される。そして、保持テーブル上に保持されたパッケージ基板を分割予定ラインに沿って縦横に切削することで、複数の矩形のデバイスチップを作製することができる。
パッケージ基板の種類及び大きさ等の加工条件に合わせてそれぞれ専用に設計された保持治具には、例えば、切削ブレードをパッケージ基板の厚さ以上の切り込み位置まで切り込ませられるように、その表面には、基板の分割予定ラインに対応する複数の切削ブレード用逃げ溝が形成され、また、吸引源に連通し切断により作製されたチップを個々に吸引保持するための複数の吸引孔が形成されている。このように構成された保持治具を用いることで、分割後のデバイスチップを個々に吸引保持しながら切削を行うことができるため、切削加工中に各チップの位置がずれてしまうことを防止することができる。また、パッケージサイズが異なるパッケージ基板を切削する際には、保持治具の交換を行い、切削するパッケージ基板に対応した保持治具を治具ベースに搭載することで、一台の切削装置で異なるパッケージサイズのパッケージ基板に所望の切削加工を施すことが可能となる。
しかしながら、オペレータが加工条件に合わない保持治具を誤って選択し治具ベースに搭載して切削加工を実施してしまうことで、切削ブレードで保持治具を切削してしまう場合がある。
よって、パッケージ基板に切削加工を施す切削装置においては、オペレータが加工条件に合わない保持治具を誤って選択して治具ベースに搭載してしまった場合に、切削ブレードで保持治具を切削してしまうことが無いようにするという課題がある。
課題がある。
課題がある。
上記課題を解決するための本発明は、分割予定ラインによって区画された複数の領域にそれぞれデバイスが配設されるとともに樹脂で封止されたパッケージ基板を保持する保持テーブルと、該パッケージ基板の表面に形成されたアライメントパターンの位置を撮像する撮像手段と、加工前に設定された加工条件に従い各装置構成要素を制御する制御手段と、該パッケージ基板を加工する切削手段とを備えた切削装置であって、該保持テーブルは、該パッケージ基板を保持する保持面と、該保持面における該保持面に保持されるパッケージ基板の分割予定ラインに対応する位置に形成された複数の切削ブレード用逃げ溝と、該切削ブレード用逃げ溝で区画された各領域に形成された複数の吸引孔とを有する2つ以上の保持治具と、該吸引孔に負圧を伝達する負圧伝達部と該保持治具が載置される載置面とを有する治具ベースと、を含み、該2つ以上の保持治具は、それぞれが異なる認識マークを含み、かつ、該切削ブレード用逃げ溝の間隔が各保持治具ごとにそれぞれ異なり、選択的に該治具ベースの載置面に載置され、該撮像手段は該認識マークを認識可能であり、該制御手段は、予め加工条件と該加工条件に対応する該認識マークとを記憶する判定条件記憶部と、加工前に設定された加工条件を記憶する加工条件記憶部と、該撮像手段により撮像された該認識マークの撮像画像と該判定条件記憶部に記憶された該認識マークとを照合し治具ベースの載置面に載置された保持治具が該加工前に設定された加工条件に適合するか否かを判定する判定部と、を含む切削装置である。
前記認識マークは、文字、記号、図形、QRコード(登録商標)、又はバーコードのいずれかであると好ましい。
本発明に係る切削装置は、保持テーブルは、パッケージ基板を保持する保持面と、保持面における保持面に保持されるパッケージ基板の分割予定ラインに対応する位置に形成された複数の切削ブレード用逃げ溝と、切削ブレード用逃げ溝で区画された各領域に形成された複数の吸引孔とを有する2つ以上の保持治具と、吸引孔に負圧を伝達する負圧伝達部と保持治具が載置される載置面とを有する治具ベースと、を含み、2つ以上の保持治具は、それぞれが異なる認識マークを含み、かつ、切削ブレード用逃げ溝の間隔が各保持治具ごとにそれぞれ異なり、選択的に治具ベースの載置面に載置され、撮像手段は認識マークを認識可能であり、制御手段は、予め加工条件と該加工条件に対応する認識マークとを記憶する判定条件記憶部と、加工前に設定された加工条件を記憶する加工条件記憶部と、撮像手段により撮像された認識マークの撮像画像と判定条件記憶部に記憶された認識マークとを照合し治具ベースの載置面に載置された保持治具が加工前に設定された加工条件に適合するか否かを判定する判定部と、を含んでいるため、切削加工を開始する前に、治具ベースに搭載した保持治具が加工条件と適合するか否かを判定することが可能となるので、誤って保持治具を切削ブレードで切削してしまうことを防止することができる。また、撮像手段は、分割予定ラインのアライメントのために多くの切削装置に一般的に搭載されているので、切削装置の装置構成を大きく変更する必要もない。
図1に示す切削装置1は、図2に示す分割予定ラインSによって区画された複数の領域にそれぞれデバイスDが配設されるとともに樹脂で封止されたパッケージ基板Wに切削加工を施すことができる装置であり、パッケージ基板Wを保持する保持テーブル3と、パッケージ基板Wの表面Waに形成された図2に一部を拡大して示すアライメントパターンPの位置を撮像する撮像手段120と、パッケージ基板Wを加工する切削手段6と、加工前に設定された加工条件に従い切削手段6等の装置構成要素を制御する制御手段9とを少なくとも備えている。
図1,2に示すパッケージ基板Wは、例えば、所定の合金やシリコン等からなる外形が矩形状の基板であり、パッケージ基板Wの表面Wa上には、複数のデバイスDが形成されるデバイス領域Wa1が複数(図示の例においては、3つ)形成されている。各デバイス領域Wa1は、小片化され主に廃材となる余剰領域Wa2によってその周囲を囲まれている。デバイス領域Wa1は、表面Wa上で直交差する複数の分割予定ラインSでさらに複数の矩形領域に区画されている。各矩形領域には、それぞれIC、LSI等の回路が作り込まれたデバイスDが1つずつ配設されており、パッケージ基板Wが各分割予定ラインSに沿って切削され切り分けられることで、各矩形領域はデバイスDを備える個々のチップとなる。図2に示す例においては、1つのデバイス領域Wa1には、縦8個×横6個の計48個のデバイスDが形成されており、切削によって1つのデバイス領域Wa1から、デバイスDを備える計48個のチップを作製することができる。例えば、デバイス領域Wa1には、分割予定ラインS及びデバイスDを覆うようにしてエポキシ樹脂J等によるパッケージングがなされている。
各デバイスDには同一の回路パターンが形成されている。そして、各デバイスDの表面に形成されている回路パターンのうちの特徴的な形状を有する一つのパターンが、例えば図2において拡大して示すアライメントパターンPとしてあらかじめ選定され、このアライメントパターンPについての情報が図1に示すアライメント手段12に予め記憶されている。アライメントパターンPは、パッケージ基板Wの表面Wa上に形成された多数のデバイスDの一つ一つについて、同様の位置(本実施形態においては、デバイスDの+X方向側の上側コーナー部分)に形成されている。なお、図2の例のアライメントパターンPは、L字型に形成されているが、この形状には限定されない。
図1に示す保持テーブル3は、パッケージ基板Wを保持する保持面300aと、保持面300aにおける保持面300aに保持されるパッケージ基板Wの分割予定ラインSに対応する位置に形成された複数の切削ブレード用逃げ溝300eと、切削ブレード用逃げ溝300eで区画された各領域に形成された複数の吸引孔300c(図1においては不図示)とを有する2つの保持治具30A、30Bと、吸引孔300cに負圧を伝達する負圧伝達部324と保持治具30A又は保持治具30Bが載置される載置面320aとを有する治具ベース32と、を少なくとも備えている。なお、保持テーブル3が備える保持治具の個数は3つ以上であってもよい。
図1,3に示す保持治具30Aは、図1,2に示すパッケージ基板Wに切削加工を施す際に用いられるものであり、その本体300は、汎用エンプラ又は合金等の材料からなる矩形状の平板であり、その上面である保持面300aで図2に示すパッケージ基板Wを吸引保持することができる。図3に示すように、本体300の保持面300aには、パッケージ基板Wの3つのデバイス領域Wa1にそれぞれ対応するように、3つの吸引領域300fがX軸方向に均等な距離離れて並んで形成されている。
切削ブレード用逃げ溝300eは、図1に示す切削ブレード60がパッケージ基板Wに切り込んだ際に保持治具30Aと切削ブレード60との接触を避けるために保持面300aに形成されており、パッケージ基板Wの分割予定ラインSに対応する位置、すなわち、パッケージ基板Wを保持治具30Aで保持した状態における分割予定ラインSの直下に位置するように保持面300aに形成されている。本実施形態においては、パッケージ基板Wの3つのデバイス領域Wa1に形成されているデバイスDの個数及び分割予定ラインSの本数に対応して、Y軸方向に延びる切削ブレード用逃げ溝300eは、7本×3領域で計21本保持面300aに形成されている。また、X軸方向に延びる切削ブレード用逃げ溝300eは、計9本保持面300aに形成されている。例えば、保持面300aには、パッケージ基板Wを保持治具30Aに載置する際の位置合わせ用の目印300kが形成されている。目印300kは、例えば、保持面300aのパッケージ基板Wに対応する領域に色を塗ることで形成される。この目印300kに合わせてパッケージ基板Wを保持面300aに載置することで、パッケージ基板Wの分割予定ラインSの直下に切削ブレード用逃げ溝300eが正確に位置するようになる。
切削ブレード用逃げ溝300eの上端は、保持面300aに開口しており、また、その両端は、例えば保持治具30Aの外周をそれぞれ通り抜けるように開口している。切削ブレード用逃げ溝300eの幅は、図1に示す切削ブレード60の刃厚よりも広くなっており、切削ブレード用逃げ溝300eの深さは、切削ブレード60をパッケージ基板Wを完全切断する切り込み高さ位置まで下降させた場合に、切削ブレード60の最下端が切削ブレード用逃げ溝300eの底に接触しない程度の深さを有する。したがって、回転させた状態の切削ブレード60をパッケージ基板Wを完全切断する切り込み高さ位置まで下降させ、この切削ブレード60に向かってパッケージ基板Wを保持する保持治具30Aを切削送りし、パッケージ基板Wを外周端から反対の外周端まで切削した場合であっても、保持治具30Aと切削ブレード60とが干渉することはない。
3つの吸引領域300fには、それぞれ切削ブレード用逃げ溝300eによって区画されることで複数の略正方形状のデバイスチップ吸引領域が形成されている。各デバイスチップ吸引領域は、それぞれパッケージ基板Wの各デバイスDに一対一で対応しており、1つの吸引領域300fに計48つ形成されている。各デバイスチップ吸引領域の中央部には、保持治具30Aの本体300を厚さ方向に貫通するように吸引孔300cがそれぞれ形成されている。
図1,4に示すように、治具ベース32の上面は、保持治具30Aが載置される2重環状の載置面320aとなっている。図4に示すように、治具ベース32の載置面320aに載置された状態の保持治具30Aの吸引孔300cに負圧を伝達する負圧伝達部324は、治具ベース32の載置面320aの中央部分に広がり各吸引孔300cの下端と連通する桶状の吸引空間324aと、吸引源35に連通しパッケージ基板Wを吸引させるための吸引力を吸引空間324aに伝達する流路324bとから構成される。流路324bは、治具ベース32の底面に厚さ方向に向かって貫通形成されている。
図3に示すように、保持治具30Aの保持面300a上には、保持治具30Aに固有の認識マークM1が形成されている。本実施形態においては、認識マークM1はアルファベット文字のAであり、保持面300aの四隅の一箇所に形成されているが、これに限定されるものではない。すなわち、認識マークM1は、保持面300a上に二箇所以上形成されていてもよいし、また、その種類が、本実施形態のように文字でなく、記号(例えば、二重丸)、図形、QRコード(登録商標)、又はバーコードのいずれかであればよい。なお、少なくとも認識マークM1の形成位置は、保持治具30Aにパッケージ基板Wを載置した際に、パッケージ基板Wによって保持面300aが覆われない保持面300aの外周領域であると好ましい。
図4に示すように、負圧伝達部324の吸引空間324aの外側には、四角環状の壁を隔てて、治具ベース32の載置面320aに保持治具30Aを載置した場合に保持治具30Aの本体300の裏面の外側領域に向かい合う四角環状の治具用負圧伝達部321が形成されている。治具用負圧伝達部321と負圧伝達部324とは互いに独立している。
図1,4に示すように、負圧伝達部324の流路324bの下端側には、フレキシブルチューブ又は金属配管等で構成される吸引路350の一端が接続されている。吸引路350のもう一端には、真空発生装置及びコンプレッサー等からなる吸引源35が接続されている。吸引路350上には、例えばソレノイドバルブ351が配設されており、ソレノイドバルブ351は、吸引路350、治具ベース32の負圧伝達部324及び保持治具30Aの吸引孔300cまでの経路が吸引源35に連通する状態と大気に開放された状態とを切り替える機能を有している。
例えば、吸引路350からは分岐路352が分岐して延びており、分岐路352の一端は、治具ベース32の治具用負圧伝達部321に連通している。分岐路352上には、例えばソレノイドバルブ353が配設されており、ソレノイドバルブ353は、分岐路352及び治具用負圧伝達部321までの経路が吸引源35に連通する状態と大気に開放された状態とを切り替える機能を有している。
治具ベース32は、図1に示すように、防水カバー39によって周囲から囲まれ、図示しない回転手段により回転可能に支持されている。防水カバー39には、X軸方向に伸縮する蛇腹カバー391が連結されている。防水カバー39及び蛇腹カバー391は、切削加工時に切削手段6の切削ブレード60とパッケージ基板Wとの接触部位及びその周囲に供給される切削水等を基台10の内部に入り込ませないようにカバーする役割を果たす。また、保持テーブル3は、防水カバー39及び蛇腹カバー391の下に配設された図示しない切削送り手段によりX軸方向に往復移動可能となっている。
治具ベース32の移動経路の上方にはパッケージ基板Wの切削すべき分割予定ラインSを検出するアライメント手段12が配設されている。アライメント手段12は、パッケージ基板Wの表面Waの各デバイスDに形成された図2に示すアライメントパターンPの位置を撮像する撮像手段120を備えており、撮像手段120により取得したアライメントパターンPを含む画像に基づきパターンマッチング等の画像処理を実行し、パッケージ基板Wの切削すべき分割予定ラインSを検出することができる。また、アライメント手段12の近傍には、保持テーブル3に保持されたパッケージ基板Wに対して切削加工を施す切削手段6が配設されている。切削手段6はアライメント手段12と一体となって構成されており、両者は連動してY軸方向及びZ軸方向へと移動する。
切削手段6は、例えば、パッケージ基板Wに回転しながら切り込む切削ブレード60と、先端に装着された切削ブレード60を回転可能に支持するスピンドル61と、切削ブレード60をカバーするブレードカバー62と、切削ブレード60に切削水を供給する切削水供給ノズル63と、を少なくとも備えている。
切削ブレード60は、例えば、ハブブレードであり、円盤状に形成され中央に装着孔を備えるアルミニウム製の基台と、基台の外周部に固定した切り刃とを備える。なお、切削ブレード60はハブブレードに限定されるものではなく、外形が環状のワッシャー型ブレードであってもよい。
スピンドル61は、その軸方向が保持テーブル3の移動方向(X軸方向)に対し水平方向に直交する方向(Y軸方向)であり、その前端には切削ブレード60が装着されている。そして、図示しないモータによりスピンドル61が回転駆動されることに伴って、切削ブレード60も高速回転する。
ブレードカバー62は、その略中央部に切削ブレード60を取り付けるための開口部を備えており、開口部に切削ブレード60を位置付け、切削ブレード60を上方から覆うことができる。
ブレードカバー62には、パッケージ基板Wに対して切削ブレード60が接触する加工点に切削水を供給する切削水供給ノズル63が上下動可能に取り付けられている。例えば、Y軸方向から見てL字型に形成された切削水供給ノズル63は、切削ブレード60をY軸方向両側から挟むように2本配設されており、切削ブレード60の側面に向く噴射口を備えており、図示しない切削水供給源に連通している。
切削装置1の基台10上の前方側(−Y方向側)には、オペレータが切削装置1に対して加工条件等を入力するための入力手段11が配設されている。
制御手段9は、CPU及びメモリ等の記憶素子で構成され装置全体の制御を行う。すなわち、制御手段9は、図示しない配線によって、保持テーブル3、及び切削手段6等に接続されており、制御手段9の下で、保持テーブル3の回転動作や切削手段6の切削動作の制御が行われる。
制御手段9は、予め2つ以上の加工条件(本実施形態においては、加工条件A及び加工条件B)と、予め2つ以上の加工条件ごとにそれぞれ紐付けられた認識マーク、すなわち、本実施形態においては、加工条件Aに対応する認識マークM1及び加工条件Bと対応する図1に示す保持治具30Bの認識マークM2とを記憶する判定条件記憶部90を含んでいる。また、制御手段9は、加工前に設定された加工条件を記憶する加工条件記憶部91と、撮像手段120により撮像された認識マークの撮像画像と判定条件記憶部90に記憶された認識マークM1、認識マークM2とを照合し治具ベース32の載置面320aに載置された保持治具30A又は保持治具30Bが加工前に設定された加工条件に適合するか否かを判定する判定部92と、を含んでいる。
図5に示すパッケージ基板W1は、図2に示したパッケージ基板Wと同等の大きさを備えており、各分割予定ラインS1に沿って切削され切り分けられることで、デバイスD1を備える個々のチップとなる。図示の例においては、パッケージ基板W1の表面W11に計3つのデバイス領域W12が形成されており、1つのデバイス領域W12にはX軸方向に10個×Y軸方向に10個の計100個のデバイスD1が形成されている。各デバイス領域W12は、それぞれ樹脂J1で被覆されており、分割予定ラインS1に沿って切削を行うことによって1つのデバイス領域W12から、デバイスD1を備える計100個のチップを作製することができる。
図1に示す保持テーブル3の治具ベース32は、保持治具30Aに代えて保持治具30Bを搭載することもできる。保持治具30Bは、図5に示すパッケージ基板W1に対して切削加工を施す際に用いられ、その基本的構造は、保持治具30Aと同様に構成されており、例えば、図5に示すパッケージ基板W1の分割予定ラインS1に対応するように、保持治具30Aの切削ブレード用逃げ溝300eの形成本数及び各切削ブレード用逃げ溝300e同士の間隔等を変更したものである。本実施形態における保持治具30Bは、パッケージ基板W1の3つのデバイス領域W12に形成されているデバイスD1の個数及び分割予定ラインS1の本数に対応して、Y軸方向に延びる切削ブレード用逃げ溝300eは、11本×3領域で計33本保持面300aに形成されている。また、X軸方向に延びる切削ブレード用逃げ溝300eは、計11本保持面300aに形成されている。
保持治具30Bの保持面300a上には、保持治具30Bに固有の認識マークM2が形成されている。本実施形態においては、認識マークM2はアルファベット文字のBであり、保持面300aの四隅の一箇所に形成されているが、これに限定されるものではない。すなわち、認識マークM2は、保持面300a上に二箇所以上形成されていてもよいし、また、その種類が、本実施形態のように文字でなく、記号(例えば、二重丸)、図形、QRコード(登録商標)、又はバーコードのいずれかであればよい。
例えば、図2に示すパッケージ基板Wを保持治具30Bで吸引保持した場合においては、パッケージ基板Wの分割予定ラインSの直下に保持治具30Bの切削ブレード用逃げ溝300eは正確に位置しない。そのため、回転させた状態の切削ブレード60をパッケージ基板Wを完全切断する切り込み高さ位置まで下降させ、この切削ブレード60に向かってパッケージ基板Wを保持する保持治具30Bを切削送りし、パッケージ基板Wを外周端から反対の外周端まで分割予定ラインSに沿って切削した場合には、保持治具30Bを切削ブレード60が切削してしまう。
また、例えば、図5に示すパッケージ基板W1を図3に示す保持治具30Aで吸引保持した場合においては、パッケージ基板W1の分割予定ラインS1の直下に保持治具30Aの切削ブレード用逃げ溝300eは正確に位置しない。そのため、回転させた状態の切削ブレード60をパッケージ基板W1を完全切断する切り込み高さ位置まで下降させ、この切削ブレード60に向かってパッケージ基板W1を保持する保持治具30Aを切削送りし、パッケージ基板W1を外周端から反対の外周端まで分割予定ラインS1に沿って切削した場合には、保持治具30Aを切削ブレード60が切削してしまう。
また、例えば、図5に示すパッケージ基板W1を図3に示す保持治具30Aで吸引保持した場合においては、パッケージ基板W1の分割予定ラインS1の直下に保持治具30Aの切削ブレード用逃げ溝300eは正確に位置しない。そのため、回転させた状態の切削ブレード60をパッケージ基板W1を完全切断する切り込み高さ位置まで下降させ、この切削ブレード60に向かってパッケージ基板W1を保持する保持治具30Aを切削送りし、パッケージ基板W1を外周端から反対の外周端まで分割予定ラインS1に沿って切削した場合には、保持治具30Aを切削ブレード60が切削してしまう。
判定条件記憶部90に認識マークM1と関連付けられて記憶されている加工条件Aは、例えば、図2に示したパッケージ基板Wの切削加工時に用いられる図3に示した保持治具30Aの切削ブレード用逃げ溝300eの間隔、形成位置、及び形成本数並びに保持治具30Aの全体の大きさ等に基づいて決められたものである。また、判定条件記憶部90に認識マークM2と紐付けられて記憶されている加工条件Bは、例えば、図5に示すパッケージ基板W1の切削加工時に用いられる図1に示す保持治具30Bの切削ブレード用逃げ溝300eの間隔、形成位置、及び形成本数並びに保持治具30Bの大きさ等に基づいて決められたものである。
以下に、オペレータが治具ベース32上に保持治具30Aを搭載し、図2に示すパッケージ基板Wを切削装置1に備えられた切削ブレード60により切削する場合の切削装置1の動作について説明する。まず、オペレータにより、加工前に設定される加工条件として、入力手段11からパッケージ基板Wの切削加工を行うための加工条件Aが入力され、入力されたデータによって、制御手段9が加工前に設定された加工条件Aに従い各装置構成要素を制御する状態に切削装置1がセッティングされる。制御手段9の加工条件記憶部91は、加工前に設定された加工条件Aを記憶する。
オペレータが、保持治具30Aを治具ベース32上に位置が合うように搭載して、治具ベース32に形成された治具用負圧伝達部321を分岐路352及びソレノイドバルブ351を介して吸引源35に連通させ、吸引源35を作動させて治具用負圧伝達部321に吸引力を伝達させることにより、保持治具30Aが治具ベース32に吸引保持された状態にセットされ、保持テーブル3がパッケージ基板Wを吸引保持できる状態になる。
パッケージ基板Wが、保持テーブル3上に搬送され、図4に示すように、裏面Wbが下側になるように保持テーブル3上に載置され、保持テーブル3の各切削ブレード用逃げ溝300eがパッケージ基板Wの各分割予定ラインSに対応するようにパッケージ基板Wが位置合わせされる。保持治具30Aの各吸引孔300cは、治具ベース32に形成された負圧伝達部324、吸引路350及びソレノイドバルブ351を介して吸引源35に接続されている。したがって、ソレノイドバルブ351を連通位置に切り替えることで、吸引力が各吸引孔300cに伝達されパッケージ基板Wは保持テーブル3上に吸引保持される。
例えば、パッケージ基板Wの長手方向がY軸方向となるように、パッケージ基板Wを保持する保持テーブル3が鉛直方向の軸心周りに回転する。次いで、パッケージ基板Wを保持する保持テーブル3が−X方向に送られるとともに、パッケージ基板Wが撮像手段120の直下に位置付けられた後、撮像手段120によりパッケージ基板Wの加工すべき領域が撮像される。撮像手段120により撮像された撮像画は、アライメント手段12に送られる。アライメント手段12は、送られてきた撮像画から、それぞれのデバイスDの表面に形成されたパターンと、記憶しているアライメントパターンPとのマッチングを行い、パッケージ基板WのアライメントパターンPを検出して、予め記憶されている情報、すなわち分割予定ラインSとアライメントパターンPとの一定の基準間隔から、X軸方向に延びる一本の分割予定ラインSの位置を検出する。
分割予定ラインSが検出されるのに伴って、切削手段6がY軸方向に駆動され、切削すべき分割予定ラインSと切削ブレード60とのY軸方向における位置合わせがなされる。切削ブレード60と検出した分割予定ラインSとのY軸方向の位置合わせが行われた後、切削手段6が−Z方向に切り込み送りされ、図4に示す切削ブレード60がパッケージ基板Wを完全切断し切削ブレード60の最下端が保持治具30Aの切削ブレード用逃げ溝300e内に至る切り込み高さ位置に切削ブレード60が位置付けられる。パッケージ基板Wを保持する保持テーブル3がさらに−X方向に送り出されるとともに、図示しないモータがスピンドル61を高速回転させ、スピンドル61に固定された切削ブレード60がスピンドル61の回転に伴って高速回転をしながらパッケージ基板Wに切り込み、分割予定ラインSを切削していく。また、切削ブレード60がパッケージ基板Wに切り込む際に、切削ブレード60とパッケージ基板Wとの加工点に対して、切削水供給ノズル63が切削水を噴射し供給する。
切削ブレード60が分割予定ラインSを切削し終えるX軸方向の所定の位置までパッケージ基板Wが−X方向に進行すると、−X方向へのパッケージ基板Wの切削送りを一度停止させ、切削ブレード60をパッケージ基板Wから離間させ、保持テーブル3を+X方向へ送り出して元の位置に戻す。そして、隣り合う分割予定ラインSの間隔ずつ切削ブレード60をY軸方向に割り出し送りしながら順次同様の切削を行うことにより、同方向の全ての分割予定ラインSを切削する。さらに、保持テーブル3を90度回転させてから同様の切削を行うと、全ての分割予定ラインSが縦横に全てフルカットされる。
以下に、パッケージ基板Wに切削加工を施すに際して、オペレータが加工条件Aに合わない保持治具30Bを誤って選択し治具ベース32に搭載してしまった場合における、切削装置1の動作について説明する。まず、オペレータにより、加工前に設定される加工条件として、入力手段11からパッケージ基板Wの切削加工を行うための加工条件Aが入力され、入力されたデータによって、制御手段9が加工前に設定された加工条件Aに従い各装置構成要素を制御する状態に切削装置1がセッティングされる。制御手段9の加工条件記憶部91は、加工前に設定された加工条件Aを記憶する。
次いで、オペレータが誤って選択した保持治具30Bを治具ベース32上に位置が合うように搭載することで、保持治具30Bが治具ベース32に吸引保持された状態にセットされ、保持テーブル3がパッケージ基板Wを吸引保持できる状態になる。
パッケージ基板Wが、保持テーブル3上に搬送され、裏面Wbが下側になるように保持テーブル3上に載置され、吸引力が保持治具30Bの各吸引孔に伝達されることで、パッケージ基板Wは保持テーブル3上に吸引保持される。
例えば、パッケージ基板Wの長手方向がY軸方向となるように、パッケージ基板Wを保持する保持テーブル3が鉛直方向の軸心周りに回転する。次いで、パッケージ基板Wを保持する保持テーブル3が−X方向に送られるとともに、パッケージ基板Wが撮像手段120の直下に位置付けられた後、撮像手段120によりパッケージ基板Wの加工すべき領域が撮像され、アライメント手段12によりX軸方向に延びる一本の分割予定ラインSの位置が検出される。
また、撮像手段120によりパッケージ基板Wの表面Waが撮像され、認識マークM2を含む撮像画像が形成される。撮像手段120は、該撮像画像についてのデータを制御手段9の判定部92に対して転送する。なお、制御手段9において送られてきた撮像画像に対して、例えば、撮像画像中の認識マークM2の輪郭を強調するフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の処理画像を判定部92に対して送るものとしてもよい。
判定部92は、認識マークM2を含む撮像画像についての情報が送られてくると、制御プログラムに従って、予め判定条件記憶部90に記憶されている加工条件Aと加工条件Aに対応する認識マークM1とについての情報及び加工条件Bと加工条件Bに対応する認識マークM2とについての情報を読み出す。そして、判定部92は、送られてきた撮像画像から、撮像画像中の認識マークと、読み出した認識マークM1及び認識マークM2のいずれが一致するかをパターンマッチング等の照合をもって行い、撮像画像中の認識マークM2を検出する。
次いで、判定部92は、制御プログラムに従って、加工条件記憶部91に記憶されている加工前に設定された加工条件(本実施形態においては、加工条件A)についての情報を読み出す。そして、判定部92は、先に検出した認識マークM2に対応する加工条件は加工条件Bであるため、治具ベース32の載置面320aに載置された保持治具30Bが、加工前に設定された加工条件Aに適合する保持治具30Aではないと判定する。判定部92の判定結果に基づいて、制御手段9の制御の下で、保持テーブル3の切削手段6に対する−X方向への切削送りが停止される。また、判定部92は、判定結果をオペレータが判断できるようにスピーカー等から発報したり、モニターに表示したりする。
次いで、判定部92の判定結果により、保持治具の選択ミスを認識したオペレータにより、治具ベース32から保持治具30Bが取り外され、加工条件Aに適合する保持治具30Aが新たに治具ベース32に搭載される。
次いで、判定部92の判定結果により、保持治具の選択ミスを認識したオペレータにより、治具ベース32から保持治具30Bが取り外され、加工条件Aに適合する保持治具30Aが新たに治具ベース32に搭載される。
上記のように本発明に係る切削装置1は、保持テーブル3は、パッケージ基板Wを保持する保持面300aと、保持面300aにおける保持面300aに保持されるパッケージ基板Wの分割予定ラインSに対応する位置に形成された複数の切削ブレード用逃げ溝300eと、切削ブレード用逃げ溝300eで区画された各領域に形成された複数の吸引孔300cとを有する2つの保持治具30A、30Bと、吸引孔300cに負圧を伝達する負圧伝達部324と保持治具30A又は保持治具30Bが載置される載置面320aとを有する治具ベース32と、を含み、2つの保持治具30A、30Bは、それぞれが異なる認識マークM1、M2を含み、かつ、切削ブレード用逃げ溝3ooeの間隔が保持治具30A、30Bごとにそれぞれ異なり、選択的に治具ベース32の載置面320aに載置され、撮像手段120は認識マークM1、M2を認識可能であり、制御手段9は、予め加工条件A及び加工条件Aに対応する認識マークM1並びに加工条件B及び加工条件Bに対応する認識マークM2を記憶する判定条件記憶部90と、加工前に設定された加工条件を記憶する加工条件記憶部91と、撮像手段120により撮像された認識マークM1又は認識マークM2の撮像画像と判定条件記憶部90に記憶された認識マークM1、M2とを照合し治具ベース32の載置面320aに載置された保持治具が加工前に設定された加工条件に適合するか否かを判定する判定部92と、を含んでいるため、切削加工を開始する前に、治具ベース32に搭載した保持治具が加工条件と適合するか否かを判定することが可能となるので、誤って保持治具を切削手段6の切削ブレード60で切削してしまうことを防止することができる。また、撮像手段120は、分割予定ラインSのアライメントのために切削装置に一般的に搭載されているものであるため、切削装置1の装置構成を大きく変更する必要もない。
なお、本発明に係る切削装置1は上記実施形態に限定されるものではなく、添付図面に図示されている制御手段9、保持テーブル3等の構成についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
W:パッケージ基板 Wa:パッケージ基板の表面 Wa1:デバイス領域 Wa2:余剰領域 S:分割予定ライン D:デバイス J:樹脂 P:アライメントパターン
W1:パッケージ基板 W11:パッケージ基板の表面 W12:デバイス領域 S1:分割予定ライン D1:デバイス J1:樹脂
1:切削装置 10:基台 11:入力手段
12:アライメント手段 120:撮像手段
3:保持テーブル
30A:保持治具 300:本体 300a:保持面 300f:吸引領域 300c:吸引孔 300e:切削ブレード用逃げ溝 300k:目印
32:治具ベース 320a:載置面 321:治具用負圧伝達部
324:負圧伝達部 324a:吸引空間 324b:流路
35:吸引源 350:吸引路 351:ソレノイドバルブ
352:分岐路 353:ソレノイドバルブ
M1:認識マーク
39:防水カバー 391:蛇腹カバー
30B:保持治具 認識マークM2
6:切削手段 60:切削ブレード 61:スピンドル 62:ブレードカバー 63:切削水供給ノズル
9:制御手段 90:判定条件記憶部 91:加工条件記憶部 92:判定部
W1:パッケージ基板 W11:パッケージ基板の表面 W12:デバイス領域 S1:分割予定ライン D1:デバイス J1:樹脂
1:切削装置 10:基台 11:入力手段
12:アライメント手段 120:撮像手段
3:保持テーブル
30A:保持治具 300:本体 300a:保持面 300f:吸引領域 300c:吸引孔 300e:切削ブレード用逃げ溝 300k:目印
32:治具ベース 320a:載置面 321:治具用負圧伝達部
324:負圧伝達部 324a:吸引空間 324b:流路
35:吸引源 350:吸引路 351:ソレノイドバルブ
352:分岐路 353:ソレノイドバルブ
M1:認識マーク
39:防水カバー 391:蛇腹カバー
30B:保持治具 認識マークM2
6:切削手段 60:切削ブレード 61:スピンドル 62:ブレードカバー 63:切削水供給ノズル
9:制御手段 90:判定条件記憶部 91:加工条件記憶部 92:判定部
Claims (2)
- 分割予定ラインによって区画された複数の領域にそれぞれデバイスが配設されるとともに樹脂で封止されたパッケージ基板を保持する保持テーブルと、該パッケージ基板の表面に形成されたアライメントパターンの位置を撮像する撮像手段と、加工前に設定された加工条件に従い各装置構成要素を制御する制御手段と、該パッケージ基板を加工する切削手段とを備えた切削装置であって、
該保持テーブルは、
該パッケージ基板を保持する保持面と、該保持面における該保持面に保持されるパッケージ基板の分割予定ラインに対応する位置に形成された複数の切削ブレード用逃げ溝と、該切削ブレード用逃げ溝で区画された各領域に形成された複数の吸引孔とを有する2つ以上の保持治具と、
該吸引孔に負圧を伝達する負圧伝達部と該保持治具が載置される載置面とを有する治具ベースと、を含み、
該2つ以上の保持治具は、それぞれが異なる認識マークを含み、かつ、該切削ブレード用逃げ溝の間隔が各保持治具ごとにそれぞれ異なり、選択的に該治具ベースの載置面に載置され、
該撮像手段は該認識マークを認識可能であり、
該制御手段は、
予め加工条件と該加工条件に対応する該認識マークとを記憶する判定条件記憶部と、加工前に設定された加工条件を記憶する加工条件記憶部と、該撮像手段により撮像された該認識マークの撮像画像と該判定条件記憶部に記憶された該認識マークとを照合し治具ベースの載置面に載置された保持治具が該加工前に設定された加工条件に適合するか否かを判定する判定部と、を含む切削装置。 - 前記認識マークは、文字、記号、図形、QRコード、又はバーコードのいずれかである請求項1に記載の切削装置。
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