本発明は、搬送路に沿ってシートを搬送して画像記録を行う画像記録装置に関する。
装置筐体の内部に搬送経路が設けられており、搬送経路に沿って搬送されるシートに画像を記録する画像記録装置が知られている。装置筐体には、メンテナンスや搬送路における紙詰まりなどを解消するために、ユーザが搬送路にアクセス可能な開口が形成されており、当該開口がカバーにより開閉可能となっている。また、カバーの開放に連動して、搬送ローラ対のニップが解除される構成が公知である(特許文献1)。
搬送ローラ対のニップ位置は、シートを搬送する向きや搬送距離に影響するので、正確に位置決めされることが望ましい。しかし、前述されたように、カバーの開放に連動して搬送ローラ対のニップが解除される構成では、カバーを閉じたときの搬送ローラ対のニップ位置が不安定となり、シートを搬送する向きや搬送距離が不安定になるという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガイド部材の開放に連動して第1ローラと第2ローラとが離間され、かつガイド部材が閉じられたときに第2ローラが第1ローラに対して正確に位置決めできる手段を提供することにある。
(1) 本発明に係る画像記録装置は、搬送路及びフレームを有する筐体と、上記搬送路を搬送されるシートに画像を記録する記録部と、上記搬送路において上記記録部より上記搬送向きの上流側に配置された第1ローラと、上記第1ローラと対向して配置された第2ローラと、上記記録部より搬送向きの上流側に配置されており、上記搬送路の一部を規定する第1位置、及び上記搬送路を開放する第2位置に回動可能なガイド部材と、上記ガイド部材に連結されており、上記第2ローラを支持するローラホルダと、上記ローラホルダに設けられており、上記第2ローラを上記第1ローラ側へ付勢する付勢部材と、上記ローラホルダに設けられており、上記フレームと係合可能な係合部材と、を具備する。上記ローラホルダは、上記ガイド部材が上記第1位置にあるときに上記係合部材が上記フレームと係合することによって、上記第2ローラを上記付勢部材の付勢力によって上記第1ローラと当接させる第3位置に位置決めされる。
ガイド部材が第2位置であるときに、搬送路が開放されると共に、第2ローラが第1ローラから離間される。ガイド部材が第1位置であるときに、係合部材がフレームと係合してローラホルダが第3位置に位置決めされる。ローラホルダが第3位置であるときに、第2ローラは付勢部材に付勢されて第1ローラと当接する。
(2) 好ましくは、上記フレームは、上記記録部を支持する。
これにより、記録部に対して第1ローラと第2ローラとのニップ位置を正確に位置決めできる。
(3) 好ましくは、上記フレームは、上記記録部と当接する第1当接面と、当該第1当接面と反対側であって、上記係合部材と当接する第2当接面と、を有する。
(4) 好ましくは、上記第1ローラは、上記フレームに連結された連結フレームに支持されている。
これにより、第1ローラと第2ローラとの相対的な位置関係が一層正確となる。
(5) 好ましくは、上記ローラホルダは、上記ガイド部材に回動可能に連結されており、上記ガイド部材が上記第2位置にあるときに上記ガイド部材の回動軌跡に対して径方向の外側へ延出する第4位置に回動可能である。
ローラホルダが第4位置であるときに、ガイド部材が開放する搬送路へのアクセス経路が広くなる。
(6) 好ましくは、上記ガイド部材は、上記フレームに当接することによって上記第1位置に位置決めされる。
これにより、ガイド部材が第1位置に正確に位置決めされる。
(7) 好ましくは、上記フレームは、上記ガイド部材が上記第1位置において、上記係合部材と係合する開口を有する。
(8) 好ましくは、上記ローラホルダは、複数の上記第2ローラを上記第1ローラの軸方向に離間して支持する。
(9) 好ましくは、上記ローラホルダは、上記係合部材を上記フレームと係合する係合位置と、上記フレームと係合しない退避位置とに移動可能に支持しており、上記付勢部材は、上記ローラホルダと上記係合部材との間に介設されて上記係合部材を上記係合位置へ付勢するものである。
(10) 好ましくは、上記第2ローラの軸線は、上記ガイド部材が上記第1位置にあるときに、上記第1ローラの軸線より上記搬送向きの下流側に位置する。
これにより、ガイド部材を第1位置に位置決めさせ且つローラホルダを第3位置に位置決めさせる付勢力を発生させることができる。
本発明によれば、ガイド部材の開放に連動して第1ローラと第2ローラとが離間され、かつガイド部材が閉じられたときに第2ローラが第1ローラに対して正確に位置決めされる。
図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の斜視図である。
図2は、外側ガイド部材18が第1位置且つローラホルダ85が第3位置のときのプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
図3は、図2におけるローラホルダ85周辺の拡大図である。
図4は、図2よりも外側ガイド部材18が第2位置側にあるときのプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
図5は、図4よりも外側ガイド部材18が第2位置側にあるときのプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
図6は、外側ガイド部材18が第2位置且つローラホルダ85が第4位置のときのプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
図7は、プリンタ部11の後側の斜視図である。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10は、概ね直方体形状の外観の筐体14を備えている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
筐体14の上部にスキャナ部12が設けられている。スキャナ部12は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されているが、ここでは、スキャナ部12の内部構成の詳細な説明は省略される。
筐体14の下部にプリンタ部11(本発明の画像記録装置の一例)が設けられている。プリンタ部11は、インクジェット方式で記録用紙に画像を記録するプリント機能を有している。筐体14の内部に、ベースフレーム83、一対のサイドフレーム55、ガイドレール56、57、給送トレイ20、給送部16、搬送路65、記録部24、各ローラ対59、44、各ガイド部材18、19、31、ローラホルダ85、及び当接部材41などが配置されている。
[フレーム]
図7に示されるように、筐体14内には、少なくとも3種類のフレーム(ベースフレーム83、一対のサイドフレーム55、及びガイドレール56、57)が配置されている。
ベースフレーム83は、プリンタ部11の下部の骨格を形成する樹脂製のフレームである。一対のサイドフレーム55(本発明の連結フレームの一例)は、左右方向9に間隔を空けて配置されている。サイドフレーム55は、金属製のフレームである。サイドフレーム55は、搬送路65の右方及び左方に配置されている。サイドフレーム55は、ベースフレーム83に支持されている。サイドフレーム55は、ビスなどによってベースフレーム83に固定されている。
ガイドレール56、57は、前後方向8に間隔を空けて配置されている。ガイドレール56は本発明のフレームの一例である。ガイドレール56、57は、金属製のフレームである。ガイドレール56、57は、一対のサイドフレーム55に支持されている。ガイドレール56、57に形成された開口68に、サイドフレーム55に形成された突部69が挿入されている。これにより、サイドフレーム55は、ガイドレール56、57と連結されている。なお、サイドフレーム55とガイドレール56、57とは、上記以外の方法、例えばビスによる固定によって互いに連結されていてもよい。ガイドレール56、57については、後に更に詳細に説明される。
[給送トレイ20]
図1に示されるように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。給送トレイ20が、前後方向8に沿って、開口13を介してプリンタ部11に挿入及び脱抜可能である。給送トレイ20は、プリンタ部11に挿入された状態において、筐体14の下側(底部側)に配置されている。給送トレイ20は、上側が開放された箱形状の部材である。給送トレイ20の底板22(図2参照)には、記録用紙が重ねられた状態で支持される。
給送トレイ20の前側には、排出トレイ21が支持されている。排出トレイ21は、給送トレイ20と一体に前後方向8に移動する。排出トレイ21の上面には、記録部24によって画像を記録された記録用紙が排出される。
[給送部16]
図2に示されるように、給送部16は、プリンタ部11に挿入された状態の給送トレイ20の上方であって記録部24の下方に設けられている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で軸支されている。給送アーム26は、基端部に設けられた支軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20または当該給送トレイ20に支持された記録用紙に対して、当接及び離間が可能である。
給送ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、モータ78(図7参照)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、底板22に支持された記録用紙のうち、給送ローラ25と当接している最も上側の記録用紙が、搬送路65に沿って給送される。
なお、給送ローラ25は、モータ78以外のモータによって駆動伝達されてもよい。駆動伝達機構27は、複数のギヤが噛合されている形態に限らず、例えば支軸28と給送ローラ25の軸とに架け渡されたベルトであってもよい。
[搬送路65]
図2に示されるように、給送トレイ20の後端部から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部分33及び延出部分34を有する。湾曲部分33は、給送トレイ20の後端部から上方且つ前方へ湾曲しつつ延びている。延出部分34は、湾曲部分33の上端と連続しており前後方向8に延びている。
湾曲部分33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18(本発明のガイド部材の一例)、ローラホルダ85、及び傾斜板23と、内側ガイド部材19とによって規定されている。延出部分34は、ローラホルダ85、記録部24、及び上側ガイド部材31と、内側ガイド部材19及びプラテン42とによって規定されている。換言すれば、ローラホルダ85は、湾曲部分33及び延出部分34の少なくとも一部を規定している。なお、ローラホルダ85は、湾曲部分33または延出部分34の一方のみの少なくとも一部を規定していてもよい。
給送トレイ20に支持された記録用紙は、給送ローラ25によって、給送トレイ20の傾斜板23へ給送される。傾斜板23によって、記録用紙の進行向きが変化されて記録用紙は湾曲部分33へ進入する。湾曲部分へ進入した記録用紙は、湾曲部分33を下方から上方へUターンするように搬送されて搬送ローラ対59に到達する。搬送ローラ対59に挟持された記録用紙は、延出部分34を記録部24へ向けて前後方向8に搬送される。記録部24の直下に到達した記録用紙は、記録部24により画像を記録される。画像記録が行われた記録用紙は、延出部分34を前後方向8に搬送されて排出トレイ21に排出される。以上より、記録用紙は、図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、延出部分34の上方に設けられている。記録部24の下方且つ記録部24と対向する位置には、プラテン42が設けられている。プラテン42は、その上面から上方へ立設され且つ前後方向8に延設されたリブ43を備えている。リブ43は、左右方向9に間隔を空けて複数配置されている。リブ43は、搬送路65の延出部分34を搬送される記録用紙を支持する。
記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。キャリッジ40は、ガイドレール56、57によって左右方向9へ往復移動可能に支持されている。キャリッジ40の後端部40Aは、ガイドレール56の上面99(本発明の第1当接面の一例)と当接している。キャリッジ40の前端部40Bは、ガイドレール57の上面100と当接している。
記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面32には、複数のノズル(不図示)が形成されている。キャリッジ40が左右方向9に移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズルからインク滴をプラテン42に向けて吐出する。これにより、延出部分34に沿って搬送される過程でプラテン42に支持されている記録用紙に画像が記録される。
[当接部材41]
図2及び図3に示されるように、搬送路65において記録部24よりも搬送向き15の上流側に、当接部材41が配置されている。当接部材41は、左右方向9において、間隔を空けて複数配置されている。各当接部材41は、隣り合うリブ43の間に配置されている。当接部材41の基端部45は、搬送ローラ対59の後方に位置しており、ローラホルダ85に支持されている。当接部材41は、基端部45から下方且つ前方に湾曲しつつ延びている。
当接部材41は、搬送向き15において、ノズル及び搬送ローラ対59の間まで延びている。当接部材41の先端部46は、リブ43の上端よりも下方に位置している。先端部46は、延出部分34を搬送される記録用紙の上面と当接する。記録用紙は、上方から先端部46に当接され且つ下方からリブ43に当接されることによって、左右方向9に連続する波形状にされる。
[搬送ローラ対59及び排出ローラ対44]
図2及び図3に示されるように、延出部分34における記録部24よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対59が配置されている。延出部分34における記録部24よりも搬送向き15の下流側には、排出ローラ対44が配置されている。
搬送ローラ対59は、延出部分34の下方に配置された搬送ローラ60(本発明の第1ローラの一例)と、延出部分34の上方に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61(本発明の第2ローラの一例)とを備えている。搬送ローラ60は、左右方向9を軸方向として回転する。ピンチローラ61は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各ピンチローラ61は、左右方向9を軸方向として回転する。各ピンチローラ61は、コイルばね73によって搬送ローラ60に押圧されている。
搬送ローラ60は、一対のサイドフレーム55(図7参照)によって回転可能に支持されている。ピンチローラ61は、ローラホルダ85に回転可能に支持されている。
排出ローラ対44は、延出部分34の下方に配置された排出ローラ62と、延出部分34の上方に排出ローラ62と対向して配置された拍車ローラ63とを備えている。排出ローラ62及び拍車ローラ63は、左右方向9を軸方向として回転する。拍車ローラ63は、弾性部材(不図示)によって排出ローラ62に押圧されている。排出ローラ62は、一対のサイドフレーム55(図7参照)によって回転可能に支持されている。拍車ローラ63は、上側ガイド部材31に回転可能に支持されている。
搬送ローラ60及び排出ローラ62は、モータ78(図7参照)から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対59に記録用紙が挟持されている状態で搬送ローラ60が回転すると、当該記録用紙は、搬送ローラ対59によってプラテン42上へ向けて搬送向き15に搬送される。また、排出ローラ対44に記録用紙が挟持されている状態で排出ローラ62が回転すると、当該記録用紙は、排出ローラ対44によって排出トレイ21上へ向けて搬送向き15に搬送される。なお、搬送ローラ60及び排出ローラ62は、モータ78以外のモータによって駆動伝達されてもよい。
[ガイドレール56、57]
図2に示されるガイドレール56、57は、前後方向8及び左右方向9に拡がる概ね板状の部材である。図2、図3、及び図7に示されるように、ガイドレール56は、後端部において上向きに屈曲した後屈曲部53を備えている。図2に示されるように、ガイドレール56、57は、ガイドレール56を後側且つガイドレール57を前側として配置されている。キャリッジ40は、ガイドレール56、57を跨ぐようにして配置されている。
ガイドレール57の上面には、公知のベルト機構(不図示)が配置されている。ベルト機構は、ガイドレール57の左右両端部に配置されたプーリと、当該プーリに架け渡されたベルトとを備えている。ベルトは、キャリッジ40とキャリッジ40に駆動力を付与するキャリッジ駆動用モータ(不図示)とに連結されている。キャリッジ駆動用モータが駆動すると、左右方向9への駆動力がベルト機構を介してキャリッジ40に伝達される。これにより、キャリッジ40は、左右方向9へ往復移動する。
[ガイド部材30]
図2に示されるように、記録部24よりも搬送向き15の上流側に、ガイド部材30が配置されている。ガイド部材30は、外側ガイド部材18とローラホルダ85とを備えている。外側ガイド部材18が、搬送向き15の上流側に設けられ且つ左右方向9に延びた軸90を中心として、矢印91の方向に回動可能に、ベースフレーム83(図7参照)によって支持されている。これにより、ガイド部材30は、搬送向き15の上流側を軸とし且つ搬送向き15の下流側を回動先端側として回動する。
外側ガイド部材18は、ガイド部材30の軸90側(湾曲部分33における搬送向き15の上流側)に設けられている。ローラホルダ85は、ガイド部材30の回動先端側(湾曲部分33における搬送向き15の下流側)に設けられている。
湾曲部分33の外側は、外側ガイド部材18とローラホルダ85と傾斜板23とによって規定されている。なお、湾曲部分33の外側は、外側ガイド部材18及びローラホルダ85のみによって規定されていてもよい。以上より、ガイド部材30は、湾曲部分33の外側の少なくとも一部を規定している。
[外側ガイド部材18]
図2に示されるように、外側ガイド部材18は、軸90を中心として、矢印91の方向に回動可能である。軸90は、筐体14の下側(底部側)の位置において、外側ガイド部材18の左右方向9の両端から外部へ向かって突出されている。軸90が筐体14の軸受け(不図示)に支持されることによって、外側ガイド部材18が筐体14に回動可能に支持されている。なお、図7において、外側ガイド部材18の回動先端側の図示は、省略されている。
外側ガイド部材18は、筐体14の後面の一部を構成する側壁92と、側壁92の前方に配置され且つ側壁92に支持されたガイド部93とを備えている。ガイド部93は、湾曲部分33側が湾曲した板形状の部材である。
外側ガイド部材18は、図2に示される第1位置と図6に示される第2位置との間で回動する。外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、ガイド部93は湾曲部分33の外側を規定する。一方、外側ガイド部材18は第2位置にあるときに湾曲部分33を開放する。複合機10のユーザは、外側ガイド部材18を第1位置から第2位置に回動させることにより、湾曲部分33に詰まった記録用紙を取り出すことができる。
外側ガイド部材18の回動先端部には、凸部70が形成されている。凸部70は、外側ガイド部材18の左端部及び右端部に形成されている。外側ガイド部材18が第1位置のとき、凸部70は前向きに突出している。このとき、凸部70は、ガイドレール56の後屈曲部53と当接している。これにより、外側ガイド部材18の前後方向8における位置が、第1位置に位置決めされる。
[ローラホルダ85]
図2及び図3に示されるように、ローラホルダ85は、ガイドレール56の下方に配置されている。ローラホルダ85は、左右方向9に長い部材である。ローラホルダ85は、その前側において、ピンチローラ61の各々を回転可能に支持している。
ローラホルダ85の後端部には、左右方向9に延びた軸94が設けられている。軸94が外側ガイド部材18に支持されることによって、ローラホルダ85が外側ガイド部材18と連結されている。ローラホルダ85は、筐体14に対して、外側ガイド部材18と一体に矢印91の方向に回動可能である。また、図6に示されるように、ローラホルダ85は、外側ガイド部材18に対して、軸94を中心として矢印95の方向に回動可能である。但し、ローラホルダ85の前端がガイドレール56の後端よりも前方に位置するとき(例えば外側ガイド部材18が第1位置にあるとき)、ローラホルダ85の回動は、ガイドレール56によって規制される。
ローラホルダ85は、図2に示される第3位置と図6に実線で示される第4位置との間で回動する。
図2及び図3に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、ローラホルダ85は第3位置にある。ローラホルダ85が第3位置にあるとき、ローラホルダ85の下面96の後側は湾曲部分33の外側を規定し、ローラホルダ85の下面96の前側は延出部分34の上側を規定する。ローラホルダ85が第3位置にあるとき、各ピンチローラ61は、搬送ローラ60と対向しており、上方から搬送ローラ60と当接している。
ピンチローラ61と搬送ローラ60とが当接している状態において、ピンチローラ61の軸線81(ピンチローラ61の中心を通る左右方向9に延びた線、図3参照)は、搬送ローラ60の軸線80(搬送ローラ60の中心を通る左右方向9に延びた線、図3参照)よりも前方に位置する。これにより、搬送ローラ対59によって挟持された記録用紙は、前方斜め下方に搬送され、プラテン42に押しつけられる。その結果、プラテン42に支持された記録用紙と記録ヘッド38との間隔を一定に維持可能である。
図6に示されるように、外側ガイド部材18が第2位置にあるとき、ローラホルダ85は、破線で示される位置(以下、第5位置とも記す。)と実線で示される第4位置との間で回動可能である。ローラホルダ85が第5位置のときの外側ガイド部材18に対する相対的な位置は、ローラホルダ85が第3位置のときの外側ガイド部材18に対する相対的な位置(図6に一点鎖線で示される位置)よりも若干前方である。なお、ローラホルダ85は、外側ガイド部材18に設けられたストッパ(不図示)によって、第5位置よりも前方への回動を規制されている。ローラホルダ85は、第3位置または第5位置から、矢印97の向きへ回動することにより、第2位置の外側ガイド部材18よりも後方に位置する。このときのローラホルダ85が第4位置である。図6に示されるように、第4位置のローラホルダ85は、外側ガイド部材18が矢印97の方向へ回動したときの回動軌跡88(軸90を中心とする円弧)に対して当該円弧の径方向の外側へ向かって延出している。
[コイルばね73及び係合部材74]
図2及び図3に示されるように、ローラホルダ85に、コイルばね73及び係合部材74が設けられている。コイルばね73及び係合部材74は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各コイルばね73は、ローラホルダ85に支持されており、各係合部材74は、コイルばね73に支持されている。これにより、コイルばね73は、ローラホルダ85と係合部材74との間に介設されている。
コイルばね73の下端部は、ローラホルダ85と当接し、コイルばね73の上端部は、係合部材74と当接している。係合部材74の下面が、コイルばね73の上端部と当接している。係合部材74の上面は、ガイドレール56の下面98と当接している。係合部材74の上面には、突起75が形成されている。一方、ガイドレール56における各係合部材74に対応する位置には、開口76が形成されている。開口76は、上下方向7に貫通された構成でなくてもよい。例えば、開口76は、下面98から上面99へ向けて凹む凹部でもよい。
係合部材74は、コイルばね73を介してローラホルダ85によって移動可能に支持されている。詳細には、係合部材74は、コイルばね73が伸長及び収縮することによって、図2に示される係合位置と、当該係合位置よりも下方に位置した図4に示される退避位置とに移動可能である。
外側ガイド部材18が第1位置且つローラホルダ85が第3位置のとき、突起75は、コイルばね73に上向きに付勢されることによって、開口76に挿入されて係合位置に移動する。これにより、係合部材74とガイドレール56とが係合される。このとき、各コイルばね73は、自然長よりも短く縮んだ状態である。これにより、コイルばね73は、各ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢する。その結果、各ピンチローラ61は、搬送ローラ60へ押圧される。後述するように、外側ガイド部材18が第1位置から第2位置へ向けて矢印97の向きに移動すると、突起75が開口76から抜ける。これにより、係合部材74は、退避位置に移動する。
なお、本実施形態では、突起75を上向きに付勢する付勢部材と、ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢する付勢部材とは、共にコイルばね73であった。しかし、突起75を上向きに付勢する付勢部材と、ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢する付勢部材とは、異なる部材であってもよい。
[ガイド部材30の回動動作]
以下、ガイド部材30の回動動作が説明される。図2及び図3に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置のとき、ローラホルダ85は第3位置である。
外側ガイド部材18が第1位置のとき、凸部70がガイドレール56の後屈曲部53と当接している。
ローラホルダ85が第3位置のとき、係合部材74は、ガイドレール56の開口76に挿入されており、係合位置である。これにより、ローラホルダ85は第3位置に位置決めされる。なお、開口76に挿入された係合部材74は、図3に示されるように、開口76の前側面89と当接している。
ローラホルダ85が第3位置にあるときに、当接部材41の先端部46は、搬送ローラ対59による記録用紙の挟持位置よりも下方にある。ローラホルダ85が第3位置にあるときに、各ピンチローラ61は、コイルばね73の付勢力によって搬送ローラ60と当接している。
外側ガイド部材18が第1位置から第2位置へ向けて矢印91の方向に回動されると、ローラホルダ85は外側ガイド部材18と一体に後方へ向けて回動する。すると、係合部材74の突起75が開口76の後側面17と当接して押圧する。これにより、突起75は、後側面17から反作用の力を受ける。当該反作用の力によって、コイルばね73が縮む。これにより、係合部材74が下方へ移動する。その結果、図4に示されるように、突起75が開口76から抜け、係合部材74とガイドレール56との係合が解除される。
外側ガイド部材18が更に第2位置へ向けて回動されると、突起75は、コイルばね73の付勢力によってガイドレール56の下面98(本発明の第2当接面の一例)に当接した状態のまま、当該下面98に沿って後方へ移動する。このとき、係合部材74は、係合位置よりも下方の退避位置にある。突起75が下面98よりも後方へ移動すると、縮んでいたコイルばね73が自然長に戻る。
図4に示される状態において、ローラホルダ85の下面96は、内側ガイド部材19に支持された状態である。ローラホルダ85は、内側ガイド部材19の延出部分34側の面に沿って後方へ案内される。当接部材41及びピンチローラ61も、ローラホルダ85と一体に後方へ案内される。これにより、ピンチローラ61は搬送ローラ60から離間する。
後方へ案内されたローラホルダ85の下面96は、内側ガイド部材19の延出部分34側の面から離間して、内側ガイド部材19の湾曲部分33側の面に支持された状態となる。ここで、内側ガイド部材19の湾曲部分33側の面は、後方斜め下へ向けて湾曲している。よって、ローラホルダ85は、後方へ案内される程、自重によって下方へ向けて回動する。当該回動は、上述したストッパによって規制される。これにより、ローラホルダ85は、所定位置よりも後方へ移動すると、内側ガイド部材19から離間する(図5参照)。
外側ガイド部材18は、更に第2位置へ向けて回動されることによって第2位置へ到達する(図6参照)。このとき、ローラホルダ85は図6に破線で示される第5位置であり、ピンチローラ61は搬送ローラ60から離間した状態であり、当接部材41は搬送路65から離間した状態である。この状態において、ローラホルダ85は、図6に実線で示される第4位置へ向けて矢印97の向きへ回動可能である。
外側ガイド部材18が第2位置であり且つローラホルダ85が第4位置の状態(図6参照)から、外側ガイド部材18が第1位置へ回動される場合、最初に、ローラホルダ85が第4位置から第5位置へ向けて矢印97と逆向きに回動される。
次に、外側ガイド部材18が第1位置へ向けて矢印91の方向に回動されると、突起75がガイドレール56の後屈曲部53に当接して押圧する。これにより、突起75は、後屈曲部53から反作用の力を受ける。当該反作用の力によって、コイルばね73が縮む。これにより、係合部材74が下方に移動して、突起75がガイドレール56の下面98と当接する(図5参照)。その結果、係合部材74は、ガイドレール56と内側ガイド部材19の間から筐体14の内部へ進入する。このとき、係合部材74は、退避位置である。
ローラホルダ85の下面96は、上記の所定位置よりも前方へ移動すると、内側ガイド部材19と当接する。以後、ローラホルダ85は、内側ガイド部材19の搬送路65側の面に沿って案内される(図4参照)。
外側ガイド部材18が第1位置へ向けて更に矢印91の方向に回動されると、図2に示されるように、凸部70がガイドレール56の後屈曲部53と当接して、第1位置に到達する。このとき、突起75がガイドレール56の開口76に挿入されて、係合部材74が係合位置となり、ローラホルダ85が第3位置となる。ローラホルダ85が第3位置のとき、ピンチローラ61は搬送ローラ60と当接しており、当接部材41は、搬送向き15へ搬送される記録用紙に上方から当接可能である。
図3に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、ピンチローラ61の軸線81は、搬送ローラ60の軸線80より搬送向き15の下流側に位置している。
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、外側ガイド部材18が第2位置であるときに、搬送路65が開放されると共に、ピンチローラ61が搬送ローラ60から離間される。外側ガイド部材18が第1位置であるときに、係合部材74がガイドレール56と係合してローラホルダ85が第3位置に位置決めされる。ローラホルダ85が第3位置であるときに、ピンチローラ61はコイルばね73に付勢されて搬送ローラ60と当接する。以上より、本実施形態によれば、外側ガイド部材18の開放に連動して搬送ローラ60とピンチローラ61とが離間され、かつ外側ガイド部材18が閉じられたときにピンチローラ61が搬送ローラ60に対して正確に位置決めされる。
また、本実施形態によれば、ガイドレール56が記録部24を支持するため、記録部24に対して搬送ローラ60とピンチローラ61との記録用紙の挟持位置を正確に位置決めできる。
また、本実施形態によれば、搬送ローラ60がサイドフレーム55に支持されているため、搬送ローラ60とピンチローラ61との相対的な位置関係が一層正確となる。
また、本実施形態によれば、外側ガイド部材18が第2位置に回動可能であるため、ローラホルダ85が第4位置であるときに、外側ガイド部材18が開放する搬送路65へのアクセス経路が広くなる。
また、本実施形態によれば、外側ガイド部材18は第1位置のときにガイドレール56に当接するため、外側ガイド部材18が第1位置に正確に位置決めされる。
また、本実施形態によれば、ピンチローラ61の軸線81は、外側ガイド部材18が第1位置にあるときに、搬送ローラ60の軸線80より前方に位置するため、外側ガイド部材18を第1位置に位置決めさせ且つローラホルダ85を第3位置に位置決めさせる付勢力を発生させることができる。
[変形例]
上述の実施形態では、搬送ローラ対59において、搬送ローラ60が下側に設けられ、ピンチローラ61が上側に設けられていたが、搬送ローラ60が上側に設けられ、ピンチローラ61が下側に設けられていてもよい。この場合、係合部材74は、筐体14内に設けられたガイドレール56とは別のフレーム(不図示)と係合するように構成される。
上述の実施形態では、ローラホルダ85が、外側ガイド部材18と連結されていたが、ローラホルダ85は、外側ガイド部材18と連結されていなくてもよい。この場合、ローラホルダ85は、後側において筐体14内に設けられた他の部材(例えばガイドレール56)によって矢印95の方向に回動可能且つ着脱可能に支持されている。
10・・・複合機
11・・・プリンタ部
14・・・筐体
18・・・外側ガイド部材(ガイド部材)
24・・・記録部
56・・・ガイドレール
60・・・搬送ローラ(第1ローラ)
61・・・ピンチローラ(第2ローラ)
65・・・搬送路
73・・・コイルばね(付勢部材)
74・・・係合部材
85・・・ローラホルダ
本発明は、搬送路に沿ってシートを搬送して画像記録を行う画像記録装置に関する。
装置筐体の内部に搬送経路が設けられており、搬送経路に沿って搬送されるシートに画像を記録する画像記録装置が知られている。装置筐体には、メンテナンスや搬送路における紙詰まりなどを解消するために、ユーザが搬送路にアクセス可能な開口が形成されており、当該開口がカバーにより開閉可能となっている。また、カバーの開放に連動して、搬送ローラ対のニップが解除される構成が公知である(特許文献1)。
搬送ローラ対のニップ位置は、シートを搬送する向きや搬送距離に影響するので、正確に位置決めされることが望ましい。しかし、前述されたように、カバーの開放に連動して搬送ローラ対のニップが解除される構成では、カバーを閉じたときの搬送ローラ対のニップ位置が不安定となり、シートを搬送する向きや搬送距離が不安定になるという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回動部材の開放に連動して第1ローラと第2ローラとが離間され、かつ回動部材が閉じられたときに第2ローラが第1ローラに対して正確に位置決めできる手段を提供することにある。
(1) 本発明に係る画像記録装置は、搬送路及びフレームを有する筐体と、上記搬送路を搬送されるシートに画像を記録する記録部と、上記搬送路に配置された第1ローラと、上記第1ローラと対向して配置された第2ローラと、上記第2ローラを支持するローラホルダと、上記筐体の外面の一部を構成しており、且つ、上記ローラホルダが回動可能に連結されており、上記ローラホルダを上記搬送路に位置させる第1位置、及び上記ローラホルダを上記搬送路から退避させ、上記第2ローラを上記第1ローラから離間させる第2位置に回動可能な回動部材と、上記ローラホルダに当接した状態で設けられたばねと、上記ローラホルダに設けられており、上記フレームと係合可能な係合部材と、を具備しており、上記記録部は、上記第1ローラ及び上記第2ローラによって挟持されており上記記録部と間隔を空けた位置にあるシートに対してインク滴を吐出することによりシートに画像を記録するものであり、上記ローラホルダは、上記回動部材が上記第1位置にあるときに上記係合部材が上記フレームと係合することによって、上記第2ローラと上記第1ローラとが当接する第3位置に上記ばねの付勢力によって位置決めされており、上記回動部材の上記第2位置から上記第1位置に向けての回動において、上記ローラホルダは、先端側が上記第3位置よりも上記回動部材に近い位置に回動した状態であり、上記係合部材は、上記フレームに当接しつつ上記筐体の内部の方へ進入する。
(2) 好ましくは、上記ローラホルダは、上記係合部材を上記フレームと係合する係合位置と、上記フレームと係合しない退避位置とに移動可能に支持しており、上記ばねは、上記ローラホルダと上記係合部材との間に介設されて上記係合部材を上記係合位置へ付勢するものである。
(3) 好ましくは、上記フレームは、上記記録部を支持する。
(4) 好ましくは、上記フレームは、上記記録部と当接する第1当接面と、当該第1当接面と反対側であって、上記係合部材と当接する第2当接面と、を有する。
(5) 好ましくは、上記第1ローラは、上記フレームに連結された連結フレームに支持されている。
(6) 好ましくは、上記ローラホルダは、上記回動部材が上記第2位置にあるときに上記回動部材の回動軌跡に対して径方向の外側へ延出する第4位置に回動可能である。
(7) 好ましくは、上記回動部材は、上記フレームに当接することによって上記第1位置に位置決めされている。
(8) 好ましくは、上記回動部材が上記第1位置において、上記係合部材と係合する開口を有する。
(9) 好ましくは、上記ローラホルダは、複数の上記第2ローラを上記第1ローラの軸方向に離間して支持するものである。
(10) 好ましくは、上記第2ローラの軸線は、上記回動部材が上記第1位置にあるときに、上記第1ローラの軸線より上記搬送向きの下流側に位置する。
本発明によれば、回動部材の開放に連動して第1ローラと第2ローラとが離間され、かつ回動部材が閉じられたときに第2ローラが第1ローラに対して正確に位置決めされる。
図1は、本発明の実施形態の一例である複合機10の斜視図である。
図2は、外側ガイド部材18が第1位置且つローラホルダ85が第3位置のときのプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
図3は、図2におけるローラホルダ85周辺の拡大図である。
図4は、図2よりも外側ガイド部材18が第2位置側にあるときのプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
図5は、図4よりも外側ガイド部材18が第2位置側にあるときのプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
図6は、外側ガイド部材18が第2位置且つローラホルダ85が第4位置のときのプリンタ部11の内部構造を示す縦断面図である。
図7は、プリンタ部11の後側の斜視図である。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10は、概ね直方体形状の外観の筐体14を備えている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
筐体14の上部にスキャナ部12が設けられている。スキャナ部12は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されているが、ここでは、スキャナ部12の内部構成の詳細な説明は省略される。
筐体14の下部にプリンタ部11(本発明の画像記録装置の一例)が設けられている。プリンタ部11は、インクジェット方式で記録用紙に画像を記録するプリント機能を有している。筐体14の内部に、ベースフレーム83、一対のサイドフレーム55、ガイドレール56、57、給送トレイ20、給送部16、搬送路65、記録部24、各ローラ対59、44、各ガイド部材18、19、31、ローラホルダ85、及び当接部材41などが配置されている。
[フレーム]
図7に示されるように、筐体14内には、少なくとも3種類のフレーム(ベースフレーム83、一対のサイドフレーム55、及びガイドレール56、57)が配置されている。
ベースフレーム83は、プリンタ部11の下部の骨格を形成する樹脂製のフレームである。一対のサイドフレーム55(本発明の連結フレームの一例)は、左右方向9に間隔を空けて配置されている。サイドフレーム55は、金属製のフレームである。サイドフレーム55は、搬送路65の右方及び左方に配置されている。サイドフレーム55は、ベースフレーム83に支持されている。サイドフレーム55は、ビスなどによってベースフレーム83に固定されている。
ガイドレール56、57は、前後方向8に間隔を空けて配置されている。ガイドレール56は本発明のフレームの一例である。ガイドレール56、57は、金属製のフレームである。ガイドレール56、57は、一対のサイドフレーム55に支持されている。ガイドレール56、57に形成された開口68に、サイドフレーム55に形成された突部69が挿入されている。これにより、サイドフレーム55は、ガイドレール56、57と連結されている。なお、サイドフレーム55とガイドレール56、57とは、上記以外の方法、例えばビスによる固定によって互いに連結されていてもよい。ガイドレール56、57については、後に更に詳細に説明される。
[給送トレイ20]
図1に示されるように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。給送トレイ20が、前後方向8に沿って、開口13を介してプリンタ部11に挿入及び脱抜可能である。給送トレイ20は、プリンタ部11に挿入された状態において、筐体14の下側(底部側)に配置されている。給送トレイ20は、上側が開放された箱形状の部材である。給送トレイ20の底板22(図2参照)には、記録用紙が重ねられた状態で支持される。
給送トレイ20の前側には、排出トレイ21が支持されている。排出トレイ21は、給送トレイ20と一体に前後方向8に移動する。排出トレイ21の上面には、記録部24によって画像を記録された記録用紙が排出される。
[給送部16]
図2に示されるように、給送部16は、プリンタ部11に挿入された状態の給送トレイ20の上方であって記録部24の下方に設けられている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で軸支されている。給送アーム26は、基端部に設けられた支軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20または当該給送トレイ20に支持された記録用紙に対して、当接及び離間が可能である。
給送ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、モータ78(図7参照)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、底板22に支持された記録用紙のうち、給送ローラ25と当接している最も上側の記録用紙が、搬送路65に沿って給送される。
なお、給送ローラ25は、モータ78以外のモータによって駆動伝達されてもよい。駆動伝達機構27は、複数のギヤが噛合されている形態に限らず、例えば支軸28と給送ローラ25の軸とに架け渡されたベルトであってもよい。
[搬送路65]
図2に示されるように、給送トレイ20の後端部から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部分33及び延出部分34を有する。湾曲部分33は、給送トレイ20の後端部から上方且つ前方へ湾曲しつつ延びている。延出部分34は、湾曲部分33の上端と連続しており前後方向8に延びている。
湾曲部分33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18(本発明のガイド部材の一例)、ローラホルダ85、及び傾斜板23と、内側ガイド部材19とによって規定されている。延出部分34は、ローラホルダ85、記録部24、及び上側ガイド部材31と、内側ガイド部材19及びプラテン42とによって規定されている。換言すれば、ローラホルダ85は、湾曲部分33及び延出部分34の少なくとも一部を規定している。なお、ローラホルダ85は、湾曲部分33または延出部分34の一方のみの少なくとも一部を規定していてもよい。
給送トレイ20に支持された記録用紙は、給送ローラ25によって、給送トレイ20の傾斜板23へ給送される。傾斜板23によって、記録用紙の進行向きが変化されて記録用紙は湾曲部分33へ進入する。湾曲部分へ進入した記録用紙は、湾曲部分33を下方から上方へUターンするように搬送されて搬送ローラ対59に到達する。搬送ローラ対59に挟持された記録用紙は、延出部分34を記録部24へ向けて前後方向8に搬送される。記録部24の直下に到達した記録用紙は、記録部24により画像を記録される。画像記録が行われた記録用紙は、延出部分34を前後方向8に搬送されて排出トレイ21に排出される。以上より、記録用紙は、図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、延出部分34の上方に設けられている。記録部24の下方且つ記録部24と対向する位置には、プラテン42が設けられている。プラテン42は、その上面から上方へ立設され且つ前後方向8に延設されたリブ43を備えている。リブ43は、左右方向9に間隔を空けて複数配置されている。リブ43は、搬送路65の延出部分34を搬送される記録用紙を支持する。
記録部24は、キャリッジ40と記録ヘッド38とを備えている。キャリッジ40は、ガイドレール56、57によって左右方向9へ往復移動可能に支持されている。キャリッジ40の後端部40Aは、ガイドレール56の上面99(本発明の第1当接面の一例)と当接している。キャリッジ40の前端部40Bは、ガイドレール57の上面100と当接している。
記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面32には、複数のノズル(不図示)が形成されている。キャリッジ40が左右方向9に移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズルからインク滴をプラテン42に向けて吐出する。これにより、延出部分34に沿って搬送される過程でプラテン42に支持されている記録用紙に画像が記録される。
[当接部材41]
図2及び図3に示されるように、搬送路65において記録部24よりも搬送向き15の上流側に、当接部材41が配置されている。当接部材41は、左右方向9において、間隔を空けて複数配置されている。各当接部材41は、隣り合うリブ43の間に配置されている。当接部材41の基端部45は、搬送ローラ対59の後方に位置しており、ローラホルダ85に支持されている。当接部材41は、基端部45から下方且つ前方に湾曲しつつ延びている。
当接部材41は、搬送向き15において、ノズル及び搬送ローラ対59の間まで延びている。当接部材41の先端部46は、リブ43の上端よりも下方に位置している。先端部46は、延出部分34を搬送される記録用紙の上面と当接する。記録用紙は、上方から先端部46に当接され且つ下方からリブ43に当接されることによって、左右方向9に連続する波形状にされる。
[搬送ローラ対59及び排出ローラ対44]
図2及び図3に示されるように、延出部分34における記録部24よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対59が配置されている。延出部分34における記録部24よりも搬送向き15の下流側には、排出ローラ対44が配置されている。
搬送ローラ対59は、延出部分34の下方に配置された搬送ローラ60(本発明の第1ローラの一例)と、延出部分34の上方に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61(本発明の第2ローラの一例)とを備えている。搬送ローラ60は、左右方向9を軸方向として回転する。ピンチローラ61は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各ピンチローラ61は、左右方向9を軸方向として回転する。各ピンチローラ61は、コイルばね73によって搬送ローラ60に押圧されている。
搬送ローラ60は、一対のサイドフレーム55(図7参照)によって回転可能に支持されている。ピンチローラ61は、ローラホルダ85に回転可能に支持されている。
排出ローラ対44は、延出部分34の下方に配置された排出ローラ62と、延出部分34の上方に排出ローラ62と対向して配置された拍車ローラ63とを備えている。排出ローラ62及び拍車ローラ63は、左右方向9を軸方向として回転する。拍車ローラ63は、弾性部材(不図示)によって排出ローラ62に押圧されている。排出ローラ62は、一対のサイドフレーム55(図7参照)によって回転可能に支持されている。拍車ローラ63は、上側ガイド部材31に回転可能に支持されている。
搬送ローラ60及び排出ローラ62は、モータ78(図7参照)から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対59に記録用紙が挟持されている状態で搬送ローラ60が回転すると、当該記録用紙は、搬送ローラ対59によってプラテン42上へ向けて搬送向き15に搬送される。また、排出ローラ対44に記録用紙が挟持されている状態で排出ローラ62が回転すると、当該記録用紙は、排出ローラ対44によって排出トレイ21上へ向けて搬送向き15に搬送される。なお、搬送ローラ60及び排出ローラ62は、モータ78以外のモータによって駆動伝達されてもよい。
[ガイドレール56、57]
図2に示されるガイドレール56、57は、前後方向8及び左右方向9に拡がる概ね板状の部材である。図2、図3、及び図7に示されるように、ガイドレール56は、後端部において上向きに屈曲した後屈曲部53を備えている。図2に示されるように、ガイドレール56、57は、ガイドレール56を後側且つガイドレール57を前側として配置されている。キャリッジ40は、ガイドレール56、57を跨ぐようにして配置されている。
ガイドレール57の上面には、公知のベルト機構(不図示)が配置されている。ベルト機構は、ガイドレール57の左右両端部に配置されたプーリと、当該プーリに架け渡されたベルトとを備えている。ベルトは、キャリッジ40とキャリッジ40に駆動力を付与するキャリッジ駆動用モータ(不図示)とに連結されている。キャリッジ駆動用モータが駆動すると、左右方向9への駆動力がベルト機構を介してキャリッジ40に伝達される。これにより、キャリッジ40は、左右方向9へ往復移動する。
[ガイド部材30]
図2に示されるように、記録部24よりも搬送向き15の上流側に、ガイド部材30が配置されている。ガイド部材30は、外側ガイド部材18とローラホルダ85とを備えている。外側ガイド部材18が、搬送向き15の上流側に設けられ且つ左右方向9に延びた軸90を中心として、矢印91の方向に回動可能に、ベースフレーム83(図7参照)によって支持されている。これにより、ガイド部材30は、搬送向き15の上流側を軸とし且つ搬送向き15の下流側を回動先端側として回動する。
外側ガイド部材18は、ガイド部材30の軸90側(湾曲部分33における搬送向き15の上流側)に設けられている。ローラホルダ85は、ガイド部材30の回動先端側(湾曲部分33における搬送向き15の下流側)に設けられている。
湾曲部分33の外側は、外側ガイド部材18とローラホルダ85と傾斜板23とによって規定されている。なお、湾曲部分33の外側は、外側ガイド部材18及びローラホルダ85のみによって規定されていてもよい。以上より、ガイド部材30は、湾曲部分33の外側の少なくとも一部を規定している。
[外側ガイド部材18]
図2に示されるように、外側ガイド部材18は、軸90を中心として、矢印91の方向に回動可能である。軸90は、筐体14の下側(底部側)の位置において、外側ガイド部材18の左右方向9の両端から外部へ向かって突出されている。軸90が筐体14の軸受け(不図示)に支持されることによって、外側ガイド部材18が筐体14に回動可能に支持されている。なお、図7において、外側ガイド部材18の回動先端側の図示は、省略されている。
外側ガイド部材18は、筐体14の後面の一部を構成する側壁92と、側壁92の前方に配置され且つ側壁92に支持されたガイド部93とを備えている。ガイド部93は、湾曲部分33側が湾曲した板形状の部材である。
外側ガイド部材18は、図2に示される第1位置と図6に示される第2位置との間で回動する。外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、ガイド部93は湾曲部分33の外側を規定する。一方、外側ガイド部材18は第2位置にあるときに湾曲部分33を開放する。複合機10のユーザは、外側ガイド部材18を第1位置から第2位置に回動させることにより、湾曲部分33に詰まった記録用紙を取り出すことができる。
外側ガイド部材18の回動先端部には、凸部70が形成されている。凸部70は、外側ガイド部材18の左端部及び右端部に形成されている。外側ガイド部材18が第1位置のとき、凸部70は前向きに突出している。このとき、凸部70は、ガイドレール56の後屈曲部53と当接している。これにより、外側ガイド部材18の前後方向8における位置が、第1位置に位置決めされる。
[ローラホルダ85]
図2及び図3に示されるように、ローラホルダ85は、ガイドレール56の下方に配置されている。ローラホルダ85は、左右方向9に長い部材である。ローラホルダ85は、その前側において、ピンチローラ61の各々を回転可能に支持している。
ローラホルダ85の後端部には、左右方向9に延びた軸94が設けられている。軸94が外側ガイド部材18に支持されることによって、ローラホルダ85が外側ガイド部材18と連結されている。ローラホルダ85は、筐体14に対して、外側ガイド部材18と一体に矢印91の方向に回動可能である。また、図6に示されるように、ローラホルダ85は、外側ガイド部材18に対して、軸94を中心として矢印95の方向に回動可能である。但し、ローラホルダ85の前端がガイドレール56の後端よりも前方に位置するとき(例えば外側ガイド部材18が第1位置にあるとき)、ローラホルダ85の回動は、ガイドレール56によって規制される。
ローラホルダ85は、図2に示される第3位置と図6に実線で示される第4位置との間で回動する。
図2及び図3に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、ローラホルダ85は第3位置にある。ローラホルダ85が第3位置にあるとき、ローラホルダ85の下面96の後側は湾曲部分33の外側を規定し、ローラホルダ85の下面96の前側は延出部分34の上側を規定する。ローラホルダ85が第3位置にあるとき、各ピンチローラ61は、搬送ローラ60と対向しており、上方から搬送ローラ60と当接している。
ピンチローラ61と搬送ローラ60とが当接している状態において、ピンチローラ61の軸線81(ピンチローラ61の中心を通る左右方向9に延びた線、図3参照)は、搬送ローラ60の軸線80(搬送ローラ60の中心を通る左右方向9に延びた線、図3参照)よりも前方に位置する。これにより、搬送ローラ対59によって挟持された記録用紙は、前方斜め下方に搬送され、プラテン42に押しつけられる。その結果、プラテン42に支持された記録用紙と記録ヘッド38との間隔を一定に維持可能である。
図6に示されるように、外側ガイド部材18が第2位置にあるとき、ローラホルダ85は、破線で示される位置(以下、第5位置とも記す。)と実線で示される第4位置との間で回動可能である。ローラホルダ85が第5位置のときの外側ガイド部材18に対する相対的な位置は、ローラホルダ85が第3位置のときの外側ガイド部材18に対する相対的な位置(図6に一点鎖線で示される位置)よりも若干前方である。なお、ローラホルダ85は、外側ガイド部材18に設けられたストッパ(不図示)によって、第5位置よりも前方への回動を規制されている。ローラホルダ85は、第3位置または第5位置から、矢印97の向きへ回動することにより、第2位置の外側ガイド部材18よりも後方に位置する。このときのローラホルダ85が第4位置である。図6に示されるように、第4位置のローラホルダ85は、外側ガイド部材18が矢印97の方向へ回動したときの回動軌跡88(軸90を中心とする円弧)に対して当該円弧の径方向の外側へ向かって延出している。
[コイルばね73及び係合部材74]
図2及び図3に示されるように、ローラホルダ85に、コイルばね73及び係合部材74が設けられている。コイルばね73及び係合部材74は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各コイルばね73は、ローラホルダ85に支持されており、各係合部材74は、コイルばね73に支持されている。これにより、コイルばね73は、ローラホルダ85と係合部材74との間に介設されている。
コイルばね73の下端部は、ローラホルダ85と当接し、コイルばね73の上端部は、係合部材74と当接している。係合部材74の下面が、コイルばね73の上端部と当接している。係合部材74の上面は、ガイドレール56の下面98と当接している。係合部材74の上面には、突起75が形成されている。一方、ガイドレール56における各係合部材74に対応する位置には、開口76が形成されている。開口76は、上下方向7に貫通された構成でなくてもよい。例えば、開口76は、下面98から上面99へ向けて凹む凹部でもよい。
係合部材74は、コイルばね73を介してローラホルダ85によって移動可能に支持されている。詳細には、係合部材74は、コイルばね73が伸長及び収縮することによって、図2に示される係合位置と、当該係合位置よりも下方に位置した図4に示される退避位置とに移動可能である。
外側ガイド部材18が第1位置且つローラホルダ85が第3位置のとき、突起75は、コイルばね73に上向きに付勢されることによって、開口76に挿入されて係合位置に移動する。これにより、係合部材74とガイドレール56とが係合される。このとき、各コイルばね73は、自然長よりも短く縮んだ状態である。これにより、コイルばね73は、各ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢する。その結果、各ピンチローラ61は、搬送ローラ60へ押圧される。後述するように、外側ガイド部材18が第1位置から第2位置へ向けて矢印97の向きに移動すると、突起75が開口76から抜ける。これにより、係合部材74は、退避位置に移動する。
なお、本実施形態では、突起75を上向きに付勢する付勢部材と、ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢する付勢部材とは、共にコイルばね73であった。しかし、突起75を上向きに付勢する付勢部材と、ピンチローラ61を搬送ローラ60側へ付勢する付勢部材とは、異なる部材であってもよい。
[ガイド部材30の回動動作]
以下、ガイド部材30の回動動作が説明される。図2及び図3に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置のとき、ローラホルダ85は第3位置である。
外側ガイド部材18が第1位置のとき、凸部70がガイドレール56の後屈曲部53と当接している。
ローラホルダ85が第3位置のとき、係合部材74は、ガイドレール56の開口76に挿入されており、係合位置である。これにより、ローラホルダ85は第3位置に位置決めされる。なお、開口76に挿入された係合部材74は、図3に示されるように、開口76の前側面89と当接している。
ローラホルダ85が第3位置にあるときに、当接部材41の先端部46は、搬送ローラ対59による記録用紙の挟持位置よりも下方にある。ローラホルダ85が第3位置にあるときに、各ピンチローラ61は、コイルばね73の付勢力によって搬送ローラ60と当接している。
外側ガイド部材18が第1位置から第2位置へ向けて矢印91の方向に回動されると、ローラホルダ85は外側ガイド部材18と一体に後方へ向けて回動する。すると、係合部材74の突起75が開口76の後側面17と当接して押圧する。これにより、突起75は、後側面17から反作用の力を受ける。当該反作用の力によって、コイルばね73が縮む。これにより、係合部材74が下方へ移動する。その結果、図4に示されるように、突起75が開口76から抜け、係合部材74とガイドレール56との係合が解除される。
外側ガイド部材18が更に第2位置へ向けて回動されると、突起75は、コイルばね73の付勢力によってガイドレール56の下面98(本発明の第2当接面の一例)に当接した状態のまま、当該下面98に沿って後方へ移動する。このとき、係合部材74は、係合位置よりも下方の退避位置にある。突起75が下面98よりも後方へ移動すると、縮んでいたコイルばね73が自然長に戻る。
図4に示される状態において、ローラホルダ85の下面96は、内側ガイド部材19に支持された状態である。ローラホルダ85は、内側ガイド部材19の延出部分34側の面に沿って後方へ案内される。当接部材41及びピンチローラ61も、ローラホルダ85と一体に後方へ案内される。これにより、ピンチローラ61は搬送ローラ60から離間する。
後方へ案内されたローラホルダ85の下面96は、内側ガイド部材19の延出部分34側の面から離間して、内側ガイド部材19の湾曲部分33側の面に支持された状態となる。ここで、内側ガイド部材19の湾曲部分33側の面は、後方斜め下へ向けて湾曲している。よって、ローラホルダ85は、後方へ案内される程、自重によって下方へ向けて回動する。当該回動は、上述したストッパによって規制される。これにより、ローラホルダ85は、所定位置よりも後方へ移動すると、内側ガイド部材19から離間する(図5参照)。
外側ガイド部材18は、更に第2位置へ向けて回動されることによって第2位置へ到達する(図6参照)。このとき、ローラホルダ85は図6に破線で示される第5位置であり、ピンチローラ61は搬送ローラ60から離間した状態であり、当接部材41は搬送路65から離間した状態である。この状態において、ローラホルダ85は、図6に実線で示される第4位置へ向けて矢印97の向きへ回動可能である。
外側ガイド部材18が第2位置であり且つローラホルダ85が第4位置の状態(図6参照)から、外側ガイド部材18が第1位置へ回動される場合、最初に、ローラホルダ85が第4位置から第5位置へ向けて矢印97と逆向きに回動される。
次に、外側ガイド部材18が第1位置へ向けて矢印91の方向に回動されると、突起75がガイドレール56の後屈曲部53に当接して押圧する。これにより、突起75は、後屈曲部53から反作用の力を受ける。当該反作用の力によって、コイルばね73が縮む。これにより、係合部材74が下方に移動して、突起75がガイドレール56の下面98と当接する(図5参照)。その結果、係合部材74は、ガイドレール56と内側ガイド部材19の間から筐体14の内部へ進入する。このとき、係合部材74は、退避位置である。
ローラホルダ85の下面96は、上記の所定位置よりも前方へ移動すると、内側ガイド部材19と当接する。以後、ローラホルダ85は、内側ガイド部材19の搬送路65側の面に沿って案内される(図4参照)。
外側ガイド部材18が第1位置へ向けて更に矢印91の方向に回動されると、図2に示されるように、凸部70がガイドレール56の後屈曲部53と当接して、第1位置に到達する。このとき、突起75がガイドレール56の開口76に挿入されて、係合部材74が係合位置となり、ローラホルダ85が第3位置となる。ローラホルダ85が第3位置のとき、ピンチローラ61は搬送ローラ60と当接しており、当接部材41は、搬送向き15へ搬送される記録用紙に上方から当接可能である。
図3に示されるように、外側ガイド部材18が第1位置にあるとき、ピンチローラ61の軸線81は、搬送ローラ60の軸線80より搬送向き15の下流側に位置している。
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、外側ガイド部材18が第2位置であるときに、搬送路65が開放されると共に、ピンチローラ61が搬送ローラ60から離間される。外側ガイド部材18が第1位置であるときに、係合部材74がガイドレール56と係合してローラホルダ85が第3位置に位置決めされる。ローラホルダ85が第3位置であるときに、ピンチローラ61はコイルばね73に付勢されて搬送ローラ60と当接する。以上より、本実施形態によれば、外側ガイド部材18の開放に連動して搬送ローラ60とピンチローラ61とが離間され、かつ外側ガイド部材18が閉じられたときにピンチローラ61が搬送ローラ60に対して正確に位置決めされる。
また、本実施形態によれば、ガイドレール56が記録部24を支持するため、記録部24に対して搬送ローラ60とピンチローラ61との記録用紙の挟持位置を正確に位置決めできる。
また、本実施形態によれば、搬送ローラ60がサイドフレーム55に支持されているため、搬送ローラ60とピンチローラ61との相対的な位置関係が一層正確となる。
また、本実施形態によれば、外側ガイド部材18が第2位置に回動可能であるため、ローラホルダ85が第4位置であるときに、外側ガイド部材18が開放する搬送路65へのアクセス経路が広くなる。
また、本実施形態によれば、外側ガイド部材18は第1位置のときにガイドレール56に当接するため、外側ガイド部材18が第1位置に正確に位置決めされる。
また、本実施形態によれば、ピンチローラ61の軸線81は、外側ガイド部材18が第1位置にあるときに、搬送ローラ60の軸線80より前方に位置するため、外側ガイド部材18を第1位置に位置決めさせ且つローラホルダ85を第3位置に位置決めさせる付勢力を発生させることができる。
[変形例]
上述の実施形態では、搬送ローラ対59において、搬送ローラ60が下側に設けられ、ピンチローラ61が上側に設けられていたが、搬送ローラ60が上側に設けられ、ピンチローラ61が下側に設けられていてもよい。この場合、係合部材74は、筐体14内に設けられたガイドレール56とは別のフレーム(不図示)と係合するように構成される。
上述の実施形態では、ローラホルダ85が、外側ガイド部材18と連結されていたが、ローラホルダ85は、外側ガイド部材18と連結されていなくてもよい。この場合、ローラホルダ85は、後側において筐体14内に設けられた他の部材(例えばガイドレール56)によって矢印95の方向に回動可能且つ着脱可能に支持されている。
10・・・複合機
11・・・プリンタ部
14・・・筐体
18・・・外側ガイド部材(ガイド部材)
24・・・記録部
56・・・ガイドレール
60・・・搬送ローラ(第1ローラ)
61・・・ピンチローラ(第2ローラ)
65・・・搬送路
73・・・コイルばね(付勢部材)
74・・・係合部材
85・・・ローラホルダ