JP2018127802A - トンネル内の支保工の構造および支保工の設置方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トンネル内の支保工の設置作業の効率を向上させる。【解決手段】上下関係にある支保工部材10,20の接続部において、上側の支保工部材10の接続板11の上面に袋ナット13を接合しておく。上側の支保工部材10の内側面をコンクリート層C2で覆ってしまっても、下側の支保工部材20の接続板21の裏面側からボルト孔22,12を通じて袋ナット13にボルト26を螺合することで上下の支保工部材10,20同士を接続する。これにより、コンクリート層C2の斫り作業やコンクリート層2の被覆時の箱抜き作業を無くせるので、支保工Sの設置作業の効率を向上させることができる。【選択図】図9

Description

本発明は、トンネル内の支保工の構造および支保工の設置方法に関し、例えば、トンネル内において上下関係にある支保工構成部材同士の接続技術に関するものである。
トンネルの掘削工事においては、トンネルが崩れないようにトンネルの長手方向に沿って予め決められた間隔毎に鋼製の支え(支保工)を設置している。各支保工の設置作業においては、通常、上半支保工の下方に下半支保工を設けているが、地盤が弱い等の場合には、さらに下半支保工の下方のトンネル底面にインバート支保工を設けるようにしている。この上半支保工と下半支保工との接続や下半支保工とインバート支保工との接続には、通常のボルトおよびナットが使用されている。
ところで、支保工の設置作業においては、下側の支保工(下半支保工またはインバート支保工)を設置する前に、上側の支保工(上半支保工または下半支保工)の内面をコンクリートで覆っているが、下側の支保工を設置するときに上側の支保工の接続部がコンクリートで覆われていると上下の支保工同士を接続することができない。
そこで、通常は、下側の支保工の設置作業の前に上側の支保工の内面を覆うコンクリートにおいて下側の支保工との接続部にあたる部分を削り取る、いわゆる斫り作業を行うか、または、上側の支保工の内面をコンクリートで覆う前に上側の支保工の内面において下側の支保工との接続部にあたる部分に箱状の部材を被せておく、いわゆる箱抜き作業等を行っている。
なお、トンネル覆工用セグメントについては、例えば、特許文献1に記載があり、セグメントの接続部に袋ナットを埋設する構造が開示されている。
特開平8−13992号公報
しかし、上記した斫り作業や箱抜き作業は時間と労力を要する面倒な作業であり、支保工の設置作業の効率が低下するという問題がある。近年は、トンネル長が長くなりつつあり、トンネル長が長くなればそれだけ支保工の設置数も増えるので、如何にして支保工の設置作業の効率を向上させるかが重要な課題になっている。
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、その目的は、トンネル内の支保工の設置作業の効率を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のトンネル内の支保工の構造は、トンネルの内面に沿って天井から側面の途中まで延びる第1の支保工部材と、前記第1の支保工部材の下側端面に、前記第1の支保工部材の延在方向に対して交差した状態で設けられた第1の接続板と、前記第1の接続板に穿孔された第1のボルト孔と、前記第1の接続板上において前記第1のボルト孔にナット孔を合わせた状態で接合された第1の袋ナットと、前記第1の袋ナットを含めて前記第1の支保工部材の内面を覆う第1のコンクリートと、前記第1の支保工部材の下側端面からそれよりも下方に延びる第2の支保工部材と、前記第2の支保工部材の上側端面に、前記第2の支保工部材の延在方向に対して交差し、前記第1の接続板に接触した状態で設けられた第2の接続板と、前記第2の接続板において前記第1のボルト孔と対向する位置に穿孔された第2のボルト孔と、前記第1のボルト孔および前記第2のボルト孔を通じ、前記第1の接続板および前記第2の接続板を介して前記第1の袋ナットに螺合され、前記第1の支保工部材と前記第2の支保工部材とを接続する第1のボルトと、前記第1のボルトを含めて前記第2の支保工部材の内面を覆う第2のコンクリートと、を備えることを特徴とする。
また、請求項2に記載の本発明は、上記請求項1記載のトンネル内の支保工の構造において、前記第2の支保工部材の下側端面に、前記第2の支保工部材の延在方向に対して交差した状態で設けられた第3の接続板と、前記第3の接続板に穿孔された第3のボルト孔と、前記第3の接続板上において前記第3のボルト孔にナット孔を合わせた状態で接合された第2の袋ナットと、前記第2の袋ナットを含めて前記第2の支保工部材の内面を覆う前記第2のコンクリートと、前記トンネルの幅方向両側面の前記第2の支保工部材の脚部間にこれらを橋渡す状態で設けられた第3の支保工部材と、前記第3の支保工部材の上側端面に、前記第3の支保工部材の延在方向に対して交差し、前記第3の接続板に接触した状態で設けられた第4の接続板と、前記第4の接続板において前記第3のボルト孔と対応する位置に穿孔された第4のボルト孔と、前記第3のボルト孔および前記第4のボルト孔を通じ、前記第3の接続板および前記第4の接続板を介して前記第2の袋ナットに螺合され、前記第2の支保工部材と前記第3の支保工部材とを接続する第2のボルトと、前記第2のボルトを含めて前記第3の支保工部材の内面を覆う第3のコンクリートと、をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項3に記載の本発明のトンネル内の支保工の設置方法は、(a)トンネルの内面に沿って天井から地面まで延びる第1の支保工部材を設置する工程と、(b)前記第1の支保工部材の内面を含む前記トンネルの内面に第1のコンクリートを被覆する工程と、(c)前記(b)工程後、前記第1の支保工部材の脚部下側の地面を掘削して下側掘削領域を形成する工程と、(d)前記第1の支保工部材の脚部下側であって前記下側掘削領域の側面に前記第1の支保工部材の下側端面から前記下側掘削部の底面まで延びる第2の支保工部材を設置する工程と、(e)前記第1の支保工部材と前記第2の支保工部材とを接続する工程と、(f)前記(e)工程後、前記第2の支保工部材の内面を含む前記下側掘削領域の内面に第2のコンクリートを被覆する工程と、を有し、前記第1の支保工部材の下側端面には、前記第1の支保工部材の延在方向に対して交差する第1の接続板が設けられており、前記第1の接続板上には、前記第1の接続板に穿孔された第1のボルト孔にナット孔を合わせた状態で第1の袋ナットが接合されており、前記2の支保工部材の上側端面には、前記第2の支保工部材の延在方向に対して交差する第2の接続板が設けられており、前記第2の接続板において前記第1のボルト孔と対向する位置には第2のボルト孔が穿孔されており、前記(d)工程においては、前記第1の支保工部材の前記第1の接続板の前記第1のボルト孔に、前記第2の支保工部材の前記第2の接続板の前記第2のボルト孔を合わせ、前記第1の接続板に前記第2の接続板を接触させた状態で前記第2の支保工部材を設置する工程を有し、前記(e)工程においては、前記第2の接続板の下面側から前記第2のボルト孔および前記第1のボルト孔を通じて前記第1の袋ナットに第1のボルトを螺合することにより、前記第1の支保工部材と前記第2の支保工部材とを接続する工程を有することを特徴とする。
また、請求項4に記載の本発明は、上記請求項3記載のトンネル内の支保工の設置方法において、(g)前記(f)工程後、前記第2の支保工部材の脚部下側の地面を掘削してインバート用掘削領域を形成する工程と、(h)前記第2の支保工部材の脚部下側であって前記インバート用掘削領域に第3の支保工部材を設置する工程と、(i)前記第2の支保工部材と前記第3の支保工部材とを接続する工程と、(j)前記第3の支保工部材の内面を含む前記インバート用掘削領域の内面に第3のコンクリートを被覆する工程と、を有し、前記第2の支保工部材の下側端面には、前記第2の支保工部材の延在方向に対して交差する第3の接続板が設けられており、前記第3の接続板上には、前記第3の接続板に穿孔された第3のボルト孔にナット孔を合わせた状態で第2の袋ナットが接合されており、前記3の支保工部材の上側端面には、前記第3の支保工部材の延在方向に対して交差する第4の接続板が設けられており、前記第4の接続板において前記第3のボルト孔と対向する位置には第4のボルト孔が穿孔されており、前記(h)工程においては、前記第2の支保工部材の前記第3の接続板の前記第3のボルト孔に前記第4の接続板の前記第4のボルト孔を合わせ、前記第3の接続板に前記第4の接続板を接触させた状態で前記第3の支保工部材を設置する工程を有し、前記(i)工程においては、前記第4の接続板の下面側から前記第4のボルト孔および前記第3のボルト孔を通じて前記第2の袋ナットに第2のボルトを螺合することにより、前記第2の支保工部材と前記第3の支保工部材とを接続する工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、支保工の設置作業において、斫り作業や箱抜き作業を無くすことができるので、支保工の設置作業の効率を向上させることが可能になる。
(a)は本発明の一実施の形態に係る支保工設置工程中におけるトンネルの長手方向に交差する要部断面図、(b)は図1(a)の破線で囲んだ領域A1の拡大断面図である。 (a)は図1に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、(b)は図2(a)の破線で囲んだ領域A1の拡大断面図である。 (a)は図2に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、(b)は図3(a)の破線で囲んだ領域A1の拡大断面図である。 (a)は図3(a)の破線で囲んだ領域A2をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、(b)は図4(a)のI−I線の断面図である。 (a)は図3に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、(b)は図5(a)の破線で囲んだ領域A1の拡大断面図である。 (a)は図5(a)の破線で囲んだ領域A2をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、(b)は図6(a)のI−I線の断面図である。 (a)は図5に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、(b)は図7(a)の破線で囲んだ領域A2の拡大断面図である。 (a)は図7に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、(b)は図8(a)の破線で囲んだ領域A2の拡大断面図である。 (a)は図8(a)の破線で囲んだ領域A2をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、(b)は図9(a)のI−I線の断面図である。 (a)は図8(a)の破線で囲んだ領域A3をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、(b)は図10(a)のII−II線の断面図である。 (a)は図8に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、(b)は図11(a)の破線で囲んだ領域A3の拡大断面図である。 (a)は図11に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、(b)は図12(a)の破線で囲んだ領域A3の拡大断面図である。 (a)は図12(a)の破線で囲んだ領域A3をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、(b)は図13(a)のII−II線の断面図である。 (a)は図12に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、(b)は図14(a)の破線で囲んだ領域A3の拡大断面図である。 図14に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図である。
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本実施の形態の支保工の設置方法の一例について図1〜図15を参照して説明する。なお、トンネルの断面図において、トンネルの幅方向(径方向)における中心線CLの右側は中心線CLの左側と対称になっており左側と同じ構成になっているので、図の簡略化のため図示を省略した。
まず、図1(a)は本実施の形態に係る支保工設置工程中におけるトンネルの長手方向に交差する要部断面図、図1(b)は図1(a)の破線で囲んだ領域A1の拡大断面図である。ここでは、発破法等により地山Gを掘削することで断面略半円形状の上側のトンネルT1を形成する。
続いて、図2(a)は図1に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、図2(b)は図2(a)の破線で囲んだ領域A1の拡大断面図である。ここでは、トンネルT1の強化等のためにトンネルT1の内側面にコンクリート等を吹き付けてコンクリート層C1を形成する。なお、このコンクリート層C1は形成しない場合もある。
続いて、図3(a)は図2に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、図3(b)は図3(a)の破線で囲んだ領域A1の拡大断面図、図4(a)は図3(a)の破線で囲んだ領域A2をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、図4(b)は図4(a)のI−I線の断面図である。
ここでは、上側のトンネルT1内に上側の支保工部材(第1の支保工部材)10を設置する。上側の支保工部材10は、例えば、H鋼で構成されており、例えば、正面から見てアーチ状に形成されている。すなわち、上側の支保工部材10は、上側のトンネルT1の天井から両内側面に沿って延び、上側のトンネルT1の底面で終端している。
この上側の支保工部材10の脚部の下側端面には、図4に示すように、支保工部材10の延在方向に対して交差する接続板(第1の接続板)11が接合されている。この接続板11には、その厚さ方向の上下面間を貫通する2個のボルト孔(第1のボルト孔)12が穿孔されている。また、接続板11上には、ボルト孔12にナット孔13aを合わせた状態で2個の袋ナット(第1の袋ナット)13が左右対称に接合されている。なお、袋ナット13のナット孔13aの内側面には雌ねじ(図示せず)が形成されている。
次いで、図5(a)は図3に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、図5(b)は図5(a)の破線で囲んだ領域A1の拡大断面図、図6(a)は図5(a)の破線で囲んだ領域A2をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、図6(b)は図6(a)のI−I線の断面図である。
ここでは、上側の支保工部材10の表面を含むトンネルT1の内面にコンクリート等を吹き付けてコンクリート層(第1のコンクリート)C2を形成する。図6に示すように、上側の支保工部材10の表面は、袋ナット13の外周も含めてコンクリート層C2によって充分に覆われている。なお、図6(a)は正面図であるが、図面を見易くするためにコンクリート層C2にハッチングを付した。
続いて、図7(a)は図5に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、図7(b)は図7(a)の破線で囲んだ領域A2の拡大断面図である。ここでは、上側のトンネルT1の下の地盤を掘削してトンネルT1の下に下側掘削領域T2を形成する。
次いで、図8(a)は図7に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、図8(b)は図8(a)の破線で囲んだ領域A2の拡大断面図、図9(a)は図8(a)の破線で囲んだ領域A2をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、図9(b)は図9(a)のI−I線の断面図、図10(a)は図8(a)の破線で囲んだ領域A3をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、図10(b)は図10(a)のII−II線の断面図である。
ここでは、まず、図8に示すように、下側掘削領域T2の強化等のために下側掘削領域T2の内側面にコンクリート等を吹き付けてコンクリート層C3を形成する。なお、このコンクリート層C3は形成しない場合もある。
続いて、下側掘削領域T2内において上側の支保工部材10の両脚部下に下側の支保工部材(第2の支保工部材)20を設置する。下側の支保工部材20は、例えば、H鋼で構成されており、上側の支保工部材10の両脚部下から下側掘削領域T2の内側面に沿って延び、下側掘削領域T2の底面で終端している。
この下側の支保工部材20の上側端面には、図9に示すように、支保工部材20の延在方向に対して交差する接続板(第2の接続板)21が接合されている。この接続板21には、その厚さ方向の上下面間を貫通する2個のボルト孔(第2のボルト孔)22が穿孔されている。下側の支保工部材20は、その上部の2個の接続板21のボルト孔22を上側の支保工部材10の下部の2個の接続板11のボルト孔12に合わせ、下側の支保工部材20の上部の接続板21を上側の支保工部材10の下部の接続板11に接触させた状態で、上側の支保工部材10下に設置されている。
また、下側の支保工部材20の下側端面には、図10に示すように、支保工部材20の延在方向に対して交差する接続板(第3の接続板)23が接合されている。この接続板23には、その厚さ方向の上下面間を貫通する2個のボルト孔(第3のボルト孔)24が穿孔されている。また、接続板23上には、ボルト孔24にナット孔25aを合わせた状態で2個の袋ナット(第2の袋ナット)25が接合されている。なお、袋ナット25のナット孔25aの内側面には雌ねじ(図示せず)が形成されている。
上記のように上側の支保工部材10の両脚部下に下側の支保工部材20を設置した後、図9に示すように、下側の支保工部材20の接続板21の裏面側からボルト孔22,12を通じて上側の支保工部材10の接続板11上の個々の袋ナット13に個々のボルト(第1のボルト)26を螺合する。これにより、上側の支保工部材10と下側の支保工部材20とを接続する。なお、ボルト26の外周には雄ねじが形成されている。
ここで、通常は、上側の支保工部材10と下側の支保工部材20とをボルトおよびナットで接続しているが、その接続作業の前に上側の支保工部材10の表面がコンクリート層C2で覆われているので、上下の支保工部材10,20同士を接続することができない。
そこで、通常は、下側の支保工部材20を設置する前に上側の支保工部材10の表面を覆うコンクリート層C2において下側の支保工部材20との接続部にあたる部分を削り取る、いわゆる斫り作業を行うか、または、上側の支保工部材10の表面をコンクリート層C2で覆う前に上側の支保工部材10の表面において下側の支保工部材20との接続部に箱状の部材を被せておく、いわゆる箱抜き作業等を行っている。
しかし、上記した斫り作業や箱抜き作業は時間と労力を要する面倒な作業であり、支保工の設置作業の効率が低下する、という課題がある。その上、斫り作業の場合には、作業時に支保工部材10を損傷させたり、作業時の振動に因って地山Gの緩みを増長させたりする場合がある。一方、箱抜き作業の場合は、箱抜き箇所においてコンクリート層C2の充填不良が生じる場合がある。
これに対して本実施の形態においては、斫り作業も箱抜き作業も無くすことができるので、支保工の設置作業の効率を向上させることができる。このため、トンネル工事における工期を短縮することができるとともに、工費を低減することができる。しかも、斫り作業を行わないので、支保工部材10の損傷の問題や地山Gの緩みを増長させる問題も生じない。また、箱抜き作業を行わないので、コンクリート層2の充填不良の問題も生じない。したがって、トンネル工事の信頼性を向上させることができる。
続いて、図11(a)は図8に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、図11(b)は図11(a)の破線で囲んだ領域A3の拡大断面図である。ここでは、下側の支保工部材20の内側面を含む下側掘削領域T2の内側面にコンクリート等を吹き付けてコンクリート層(第2のコンクリート)C4を形成する。この場合も図6で示したのと同様に、下側の支保工部材20の表面は、袋ナット25の外周も含めてコンクリート層C4によって充分に覆われている。
このようなコンクリート吹き付け作業の後、地山Gの地盤が弱い場合を想定し、下側掘削領域T2の下の地盤を掘削して下側掘削領域T2の下にインバート設置用の掘削領域T3を形成する。
次いで、図12(a)は図11に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、図12(b)は図12(a)の破線で囲んだ領域A3の拡大断面図、図13(a)は図12(a)の破線で囲んだ領域A3をトンネル中央からトンネル内面に向かって見たときの要部正面図、図13(b)は図13(a)のII−II線の断面図である。
ここでは、まず、インバート設置用の掘削領域T3の内側面および底面にコンクリート等を吹き付けてコンクリート層C5を形成する。なお、このコンクリート層C5は形成しない場合もある。
続いて、インバート設置用の掘削領域T3内において下側の支保工部材20の両脚部下に、インバート用の支保工部材(第3の支保工部材)30を設置する。このインバート用の支保工部材30は、例えば、H鋼で構成されており、下側の支保工部材20の両脚部下からその両脚部同士を橋渡すように逆アーチ状に形成されている。
このインバート用の支保工部材30の上側端面には、図13に示すように、支保工部材30の延在方向に対して交差する接続板(第4の接続板)31が接合されている。この接続板31には、その厚さ方向の上下面間を貫通する2個のボルト孔(第4のボルト孔)32が穿孔されている。インバート用の支保工部材30は、その上部の接続板31の2個のボルト孔32を下側の支保工部材20の下部の接続板23の2個のボルト孔24に合わせ、インバート用の支保工部材30の上部の接続板31を下側の支保工部材20の下部の接続板21に接触させた状態で、下側の支保工部材20下に設置されている。
上記のように下側の支保工部材20の両脚部下にインバート用の支保工部材30を設置した後、図13に示すように、インバート用の支保工部材30の接続板31の裏面側からボルト孔32,24を通じて下側の支保工部材20の接続板21上の個々の袋ナット25に個々のボルト(第2のボルト)33を螺合する。これにより、下側の支保工部材20とインバート用の支保工部材30とを接続する。
この場合も、上記した斫り作業および箱抜き作業を無くすことができるので、支保工の設置作業の効率を向上させることができる。このため、トンネル工事における工期を短縮することができるとともに、工費を低減することができる。しかも、斫り作業を行わないので、支保工部材20の損傷の問題や地山Gの緩みを増長させる問題も生じない。また、箱抜き作業を行わないので、コンクリート層C4の充填不良の問題も生じない。
続いて、図14(a)は図12に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図、図14(b)は図14(a)の破線で囲んだ領域A3の拡大断面図、図15は図14に続く支保工設置工程中のトンネルの要部断面図である。
ここでは、まず、図14に示すように、インバート用の支保工部材30の内側面を含むインバート設置用の掘削領域T3の内側面および底面にコンクリート等を吹き付けてコンクリート層(第3のコンクリート)C6を形成する。このようにしてトンネルT内に、支保工部材10,20,30を備える支保工Sを設置する。
続いて、図15に示すように、インバート設置用の掘削領域T3内にコンクリート等からなる下地部材40を打設した後、半円筒形の金属型枠等を用いてトンネルTの内面にコンクリート壁C7を形成する。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
例えば、前記実施の形態においてはインバート用の支保工部材を設けた場合について説明したが、地盤が強い場合等においてはインバート用の支保工部材を設けない場合もある。
本発明はトンネル内の支保工の構成部材同士の接続技術に適用して有効である。
10 上側の支保工部材
11 接続板
12 ボルト孔
13 袋ナット
13a ナット孔
20 下側の支保工部材
21 接続板
22 ボルト孔
23 接続板
24 ボルト孔
25 袋ナット
25a ナット孔
26 ボルト
30 支保工部材
31 接続板
32 ボルト孔
33 ボルト
40 下地部材
G 地山
T トンネル
T1 上側のトンネル
T2 下側掘削領域
T3 掘削領域
C1〜C6 コンクリート層
C7 コンクリート壁
S 支保工

Claims (4)

  1. トンネルの内面に沿って天井から側面の途中まで延びる第1の支保工部材と、
    前記第1の支保工部材の下側端面に、前記第1の支保工部材の延在方向に対して交差した状態で設けられた第1の接続板と、
    前記第1の接続板に穿孔された第1のボルト孔と、
    前記第1の接続板上において前記第1のボルト孔にナット孔を合わせた状態で接合された第1の袋ナットと、
    前記第1の袋ナットを含めて前記第1の支保工部材の内面を覆う第1のコンクリートと、
    前記第1の支保工部材の下側端面からそれよりも下方に延びる第2の支保工部材と、
    前記第2の支保工部材の上側端面に、前記第2の支保工部材の延在方向に対して交差し、前記第1の接続板に接触した状態で設けられた第2の接続板と、
    前記第2の接続板において前記第1のボルト孔と対向する位置に穿孔された第2のボルト孔と、
    前記第1のボルト孔および前記第2のボルト孔を通じ、前記第1の接続板および前記第2の接続板を介して前記第1の袋ナットに螺合され、前記第1の支保工部材と前記第2の支保工部材とを接続する第1のボルトと、
    前記第1のボルトを含めて前記第2の支保工部材の内面を覆う第2のコンクリートと、
    を備えることを特徴とするトンネル内の支保工の構造。
  2. 前記第2の支保工部材の下側端面に、前記第2の支保工部材の延在方向に対して交差した状態で設けられた第3の接続板と、
    前記第3の接続板に穿孔された第3のボルト孔と、
    前記第3の接続板上において前記第3のボルト孔にナット孔を合わせた状態で接合された第2の袋ナットと、
    前記第2の袋ナットを含めて前記第2の支保工部材の内面を覆う前記第2のコンクリートと、
    前記トンネルの幅方向両側面の前記第2の支保工部材の脚部間にこれらを橋渡す状態で設けられた第3の支保工部材と、
    前記第3の支保工部材の上側端面に、前記第3の支保工部材の延在方向に対して交差し、前記第3の接続板に接触した状態で設けられた第4の接続板と、
    前記第4の接続板において前記第3のボルト孔と対応する位置に穿孔された第4のボルト孔と、
    前記第3のボルト孔および前記第4のボルト孔を通じ、前記第3の接続板および前記第4の接続板を介して前記第2の袋ナットに螺合され、前記第2の支保工部材と前記第3の支保工部材とを接続する第2のボルトと、
    前記第2のボルトを含めて前記第3の支保工部材の内面を覆う第3のコンクリートと、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のトンネル内の支保工の構造。
  3. (a)トンネルの内面に沿って天井から地面まで延びる第1の支保工部材を設置する工程と、
    (b)前記第1の支保工部材の内面を含む前記トンネルの内面に第1のコンクリートを被覆する工程と、
    (c)前記(b)工程後、前記第1の支保工部材の脚部下側の地面を掘削して下側掘削領域を形成する工程と、
    (d)前記第1の支保工部材の脚部下側であって前記下側掘削領域の側面に前記第1の支保工部材の下側端面から前記下側掘削部の底面まで延びる第2の支保工部材を設置する工程と、
    (e)前記第1の支保工部材と前記第2の支保工部材とを接続する工程と、
    (f)前記(e)工程後、前記第2の支保工部材の内面を含む前記下側掘削領域の内面に第2のコンクリートを被覆する工程と、
    を有し、
    前記第1の支保工部材の下側端面には、前記第1の支保工部材の延在方向に対して交差する第1の接続板が設けられており、前記第1の接続板上には、前記第1の接続板に穿孔された第1のボルト孔にナット孔を合わせた状態で第1の袋ナットが接合されており、
    前記2の支保工部材の上側端面には、前記第2の支保工部材の延在方向に対して交差する第2の接続板が設けられており、前記第2の接続板において前記第1のボルト孔と対向する位置には第2のボルト孔が穿孔されており、
    前記(d)工程においては、前記第1の支保工部材の前記第1の接続板の前記第1のボルト孔に、前記第2の支保工部材の前記第2の接続板の前記第2のボルト孔を合わせ、前記第1の接続板に前記第2の接続板を接触させた状態で前記第2の支保工部材を設置する工程を有し、
    前記(e)工程においては、前記第2の接続板の下面側から前記第2のボルト孔および前記第1のボルト孔を通じて前記第1の袋ナットに第1のボルトを螺合することにより、前記第1の支保工部材と前記第2の支保工部材とを接続する工程を有することを特徴とするトンネル内の支保工の設置方法。
  4. (g)前記(f)工程後、前記第2の支保工部材の脚部下側の地面を掘削してインバート用掘削領域を形成する工程と、
    (h)前記第2の支保工部材の脚部下側であって前記インバート用掘削領域に第3の支保工部材を設置する工程と、
    (i)前記第2の支保工部材と前記第3の支保工部材とを接続する工程と、
    (j)前記第3の支保工部材の内面を含む前記インバート用掘削領域の内面に第3のコンクリートを被覆する工程と、
    を有し、
    前記第2の支保工部材の下側端面には、前記第2の支保工部材の延在方向に対して交差する第3の接続板が設けられており、前記第3の接続板上には、前記第3の接続板に穿孔された第3のボルト孔にナット孔を合わせた状態で第2の袋ナットが接合されており、
    前記3の支保工部材の上側端面には、前記第3の支保工部材の延在方向に対して交差する第4の接続板が設けられており、前記第4の接続板において前記第3のボルト孔と対向する位置には第4のボルト孔が穿孔されており、
    前記(h)工程においては、前記第2の支保工部材の前記第3の接続板の前記第3のボルト孔に前記第4の接続板の前記第4のボルト孔を合わせ、前記第3の接続板に前記第4の接続板を接触させた状態で前記第3の支保工部材を設置する工程を有し、
    前記(i)工程においては、前記第4の接続板の下面側から前記第4のボルト孔および前記第3のボルト孔を通じて前記第2の袋ナットに第2のボルトを螺合することにより、前記第2の支保工部材と前記第3の支保工部材とを接続する工程を有することを特徴とする請求項3記載のトンネル内の支保工の設置方法。
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