JP6480815B2 - トンネル接合構造およびトンネル施工方法 - Google Patents
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また、トンネル同士を地中において合流させる場合に、一方のトンネル(先行トンネル)の側面に他方のトンネル(後行トンネル)を接続する場合や、一方のトンネルから他方のトンネル(分岐トンネル)を発進させる場合がある(例えば、特許文献2参照)。
さらに、トンネルを施工する際に、当該トンネルの延長線上にトンネル施工用の用地(例えば、設備機器を配置するための用地や立坑を構築するための用地等)を確保することができない場合には、トンネルの計画線の側方に構築した先進導坑を利用してトンネル(本坑)を構築する場合がある。この先進導坑は、連絡坑等に利用することができる。
また、接合部に作用する土圧や地下水圧等に耐えられるように、受け支保工110の断面寸法を設定すると、受け支保工110の重量がかさむため、受け支保工110の施工に手間がかかるとともに、施工費の低減化の妨げとなっていた。
なお、前記本坑の鋼製支保工は、前記本坑の鋼製支保工の外面に固定されたブラケットを介して前記受け支保工に固定されていてもよい。
なお、前記受け支保工は、前記先進導坑の外周囲を拡幅するとともに、拡幅により露出した地山に吹き付けコンクリートを吹き付けた後、前記吹付けコンクリートに固定した支持部材を利用して前記受け支保工を建て込めばよい。
また、受け支保工のアーチ状にすることによるアーチ効果により、従来の矩形状の受け支保工に比べて、軸力が卓越し、曲げモーメントが小さくなる。そのため、受け支保工の小断面化が可能となり、ひいては、施工の手間および費用の削減が可能となる。
本発明の実施形態では、図1に示すように、本坑2に横坑3が接続されたトンネル接合構造1について説明する。本坑2は、本坑2のトンネル軸CL1方向と交差する軸CL2方向に沿って掘進した先進導坑4を利用して構築する。一方、横坑3はこの先進導坑4を本坑2の構築後に残置させたものである。
また、本坑2と横坑3との境界部には、アーチ状の受け支保工5が設けられている。
横坑3の断面形状は、円形である。
なお、横坑3(覆工コンクリート31)の断面形状は限定されるものではなく、必ずしも円形である必要はない。
先進導坑4は、掘削により露出した地山を支持する馬蹄形状の支保工40(鋼製支保工41や吹付けコンクリート42)を備えている。なお、先進導坑4の掘削工法はNATM工法に限定されない。
先進導坑4の断面形状は、本坑2の断面形状よりも小さい。
本実施形態では受け支保工5として、H形鋼を使用するが、受け支保工5を構成する材料は限定されない。また、受け支保工5の断面寸法は限定されるものではなく、想定される応力や荷重等に応じて適宜設定すればよい。
図4(a)および(b)に示すように、本坑支保工21は、受け支保工5の上面に固定された補強プレート51を介して受け支保工5に接合する。受け支保工5の上面には、本坑支保工21の位置に対応して、一対の補強プレート51,51が間隔をあけて立設されている。補強プレート51は、側面視台形状の鋼板であって、受け支保工5のウェブと交差するように固定されている。
補強プレート51,51の本坑支保工21側の端面には、継平板52が両補強プレート51,51に跨って固定されている。継平板52は、本坑支保工21の端部に設けられた継手板21aと同形状の鋼板からなる。
なお、本坑支保工21と受け支保工5との固定方法は限定されるものではない。
本実施形態では、補強プレート51,51の取り付け箇所に対応して、受け支保工5のフランジとウェブに囲まれた空間に補強リブ55を固定し、受け支保工5を補強する。補強リブ55には、補強プレート51と同じ板厚の鋼板を使用する。なお、補強リブ55は、必要に応じて設ければよい。
基礎部材56は、コンクリート製の部材である。基礎部材56は、受け支保工5の脚部の位置に対応して地盤Gを掘削して凹部を形成し、この凹部にコンクリートを打設することにより形成されている。
受け支保工5は、基礎部材56に固定されたアンカーを介して、基礎部材56に固定されている。
なお、基礎部材56の形状は限定されるものではなく適宜設定すればよい。また、基礎部材56を構成する材料も限定されるものではなく、例えば、プレキャスト部材により構成してもよい。
進入坑掘進工程は、図5(a)に示すように、本坑2のトンネル軸CL1と交差する軸CL2に沿って本坑2のトンネル軸CL1に向けて先進導坑4を掘進する工程である。
先進導坑4は、本坑2の側方に形成された坑口(図示せず)から掘進を開始する。なお、先進導坑4の坑口の形成箇所は限定されるものではなく、例えば、本坑2に先行して構築された隣接(併設)トンネル(図示せず)に形成してもよいし、本坑2の側方に形成された立坑等に形成してもよい。
先進導坑4を構築する方法は限定されるものではないが、例えば、地山を掘削した後、掘削することにより露出した地山に、馬蹄形状の鋼製支保工41を建て込むとともに、吹付けコンクリート42を吹き付ければよい。
先進導坑4が本坑2の計画断面内に到達したら、図5(b)に示すように、先進導坑4のトンネル軸CL2が本坑2のトンネル軸CL1と平行になるように、先進導坑4を曲線状に掘進する。すなわち、本実施形態では、先進導坑4を本坑2の計画断面内において、90度曲げるように掘進する。なお、先進導坑4の回転半径や回転角は、先進導坑4の進入角度に応じて適宜設定すればよい。
先進導坑4の断面形状は、先進導坑4の断面形状が本坑2の計画断面と同一になるまで徐々に拡幅する。このとき、先進導坑4は、本坑2のトンネル軸CL1と平行に掘進する。
受け支保工程は、先進導坑4が本坑2の計画断面内に進入した後から、後述する本掘進工程(図6(b))によって、本坑2の切羽が横坑3との接合部に到達する前までの間に実施する。受け支保工5は、先進導坑4の曲線区間の手前(坑口側)の本坑2と横坑3との境界部(本坑2の側部)に建て込む。
続いて、受け支保工5を建て込む。本実施形態では、まず、吹き付けコンクリート42wに固定した支持部材(図示せず)に左右の直線部分(脚部)57,57を建て込み、次にアーチ部分58を吊り上げて、直線部分57,57の上端に固定する。
なお、受け支保工5の建て込み方法は前記の方法に限定されるものではなく、適宜行えばよい。例えば、直線部分57,57にアーチ部分58を予め組つけた受け支保工5を坑内に建て込んでもよい。
すなわち、先進導坑4の断面形状が本坑2の計画断面と同一になるまで拡幅したら、掘進方向を逆向き(先進導坑4側)に切り換えて本坑2の掘進(先進導坑4の拡幅)を行う。本坑2となる部分の地山を掘削したら、本坑支保工21の建て込みおよび吹付けコンクリート22の吹付けを行う。なお、掘進方向の切り換えのタイミングは限定されるものではなく、適宜行えばよい。例えば、先進導坑4の拡幅後、同じ方向(図6(a)において右方向)に所定延長(例えば、1スパン=10.5m)掘進してから、逆方向(図6(b)において左方向)への掘進を開始してもよい。
本坑2の切羽が受け支保工5の設置箇所を通過したら、一般部の断面形状に戻して本坑2を掘進する。
本坑2の掘進に伴い発生した掘削ズリは、先進導坑4を利用して搬出する。
覆工コンクリート23,31の打設は、本坑2の切羽から十分に離れた位置において行う。
横坑3の覆工コンクリート31は、先進導坑4内に型枠(図示せず)を設置し、当該型枠と支保工40wとの隙間にコンクリートを打設することにより形成する。本実施形態では、接合部(本坑2と横坑3の交差部)における覆工コンクリート23の施工に先だって、横坑3の覆工コンクリート31の施工を行う。なお、横坑3の覆工コンクリート31の施工は、本坑2の覆工コンクリート23の施工後に行ってもよい。
なお、接合部では、覆工コンクリート23,31の施工に伴い、覆工コンクリート23,31と支保工20,40wとの間に形成された隙間にコンクリート(充填コンクリート10,32)を充填する。本実施形態では、充填コンクリート10,32として、覆工コンクリート23,31と同じ材料(同じ配合)のものを使用するが、充填コンクリート10,32の配合は限定されない。
例えば、外径が3.30mの横坑3を形成する場合に、本実施形態のトンネル接合構造1を採用すれば、表1に示すように、掘削断面積は50m2となる。一方、従来の矩形状の受け支保工を採用した場合(図10参照)の掘削断面積は80m2となる。そのため、掘削土量を大幅に削減することが可能となり、施工の手間および費用を大幅に削減することができる。
第二の実施形態では、先行して構築された本坑2に、後施工により横坑3が接続されたトンネル接合構造1について説明する。
本坑2と横坑3との境界部には、アーチ状の受け支保工5が設けられている。
本実施形態の横坑3の断面形状は円形であるが、横坑3の断面形状は限定されない。
本実施形態では受け支保工5として、H形鋼を使用するが、受け支保工5を構成する材料は限定されない。また、受け支保工5の断面寸法は限定されるものではなく、想定される応力や荷重等に応じて適宜設定すればよい。
ブラケット6は、図9(a)および(b)に示すように、鋼製支保工21の端部外面に溶接されているとともに、受け支保工5の外面(上面)に溶接されている。なお、ブラケット6の固定方法は限定されるものではなく、例えば、ボルト接合してもよい。
本実施形態では、三角形状の鋼板からなる2枚のブラケット6,6を鋼製支保工21の外面に並設しているが、ブラケット6の構成は限定されるものではない。すなわち、ブラケット6を構成する鋼板の枚数や形状は限定されるものではないし、また、ブラケット6は鋼板により構成されている必要もない。
本坑掘進工程は、本坑2を掘進する工程である。
本坑2の横坑3との接合部に対応する鋼製支保工21の外面には、予めブラケット6を固定しておく。なお、ブラケット6は、受け支保工建て込み工程において鋼製支保工21に固定してもよい。
また、本坑2は、横坑3との接合部において、断面を拡幅させてもよい。
横坑3は、本坑2の側方に形成された坑口(図示せず)から掘進を開始する。なお、横坑3の坑口の形成箇所は限定されるものではない。
横坑3を構築する方法は限定されるものではないが、例えば、地山を掘削した後、掘削することにより露出した地山に、馬蹄形状の鋼製支保工41を建て込むとともに、吹付けコンクリート42を吹き付ければよい。
横坑3の切羽が本坑2の側面に近づいたら、横坑3の掘削断面積を拡大しつつ掘進する。すなわち、本坑2と横坑3との境界部の手前から本坑2に向けて、横坑3の外周囲を徐々に大きくする。
横坑3の切羽が、本坑2の側面に到達したら、本坑2と横坑3との境界部(本坑2の側部)に受け支保工5を建て込む。
受け支保工建て込み工程では、本坑2の鋼製支保工21に固定されたブラケット6に受け支保工5を固定する。
なお、受け支保工5の建て込み方法は限定されるものではない。
本実施形態では、本坑2と横坑3との接合部における本坑2の鋼製支保工21および吹付けコンクリート22(支保工20)を、受け支保工5の内空に沿って切断・撤去する。こうすることで、本坑2の側壁に開口部が形成されて、本坑2と横坑3とが接合される。
なお、覆工工程の詳細は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
例えば、本発明のトンネル接合構造およびトンネル施工方法により構築されるトンネルの使用目的は限定されるものではない。例えば、道路トンネルや鉄道トンネルの施工に使用すればよい。
トンネルの掘削方式は限定されるものではなく、地山状況に応じて、機械掘削方式または発破掘削方式等を適宜選択すればよい。
本坑掘進工程における本坑2の施工は、2方向(図1において右方向と左方向)に同時に掘進してもよい。
覆工コンクリート23,31の施工は、本坑2の掘進が完了してから行ってもよいし、切羽から十分に離れた位置において本坑2の掘進と同時に行ってもよい。
本坑2および先進導坑4の施工は、必要に応じて補助工法を併用してもよい。
2 本坑
20 支保工
21 本坑支保工(鋼製支保工)
22 吹付けコンクリート
3 横坑
4 先進導坑
40 支保工
41 鋼製支保工
42 吹付けコンクリート
5 受け支保工
6 ブラケット
CL1 本坑のトンネル軸
CL2 先進導坑のトンネル軸
Claims (4)
- 本坑と、前記本坑と交差する方向から当該本坑に接続する横坑とのトンネル接合構造であって、
前記横坑の前記本坑と境界部には、アーチ状の受け支保工が設けられていて、
前記横坑の接続部における前記本坑の鋼製支保工は、前記横坑側の端部が前記受け支保工に固定されていることを特徴とする、トンネル接合構造。 - 前記本坑の鋼製支保工の外面にブラケットが固定されており、
前記本坑の鋼製支保工は、前記ブラケットを介して前記受け支保工に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のトンネル接合構造。 - 本坑のトンネル軸と交差する方向から前記本坑の計画断面よりも小さい断面の先進導坑を掘進する工程と、
前記先進導坑のトンネル軸が前記本坑のトンネル軸と平行になるように前記先進導坑を曲線状に掘進する工程と、
前記先進導坑の断面形状が前記計画断面と同一になるように前記先進導坑を拡幅させつつ、前記本坑のトンネル軸と平行に前記先進導坑を掘進する工程と、
前記先進導坑の曲線区間の手前であって前記本坑の側部に対応する位置において前記先進導坑の周囲にアーチ状の受け支保工を建て込む工程と、
拡幅された前記先進導坑の端部から前記先進導坑の曲線区間を含む領域を通過するように本坑を掘進する工程と、を備えるトンネル施工方法であって、
前記受け支保工が添設された区間における前記本坑の鋼製支保工を前記受け支保工に固定することを特徴とする、トンネル施工方法。 - 本坑を掘進する工程と、
前記本坑のトンネル軸と交差する方向から、前記本坑に向けて横坑を掘進する工程と、
前記本坑と前記横坑との接合部にアーチ状の受け支保工を建て込む工程と、
前記本坑の鋼製支保工の前記横坑の断面内に位置する部分を撤去する工程と、を備えることを特徴とする、トンネル施工方法。
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