JP2018127662A - 蒸着装置及び蒸着源 - Google Patents

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Abstract

【課題】公転と自転のうちの少なくとも一方を行う基板を有する蒸着装置、及び蒸着源において、材料収率を効果的に高める技術を提供する。
【解決手段】蒸着源101は、蒸着装置で用いられ、蒸着材料を収容する。蒸着源101は、蒸着材料の蒸気が通るスリット状開口部300を有し、開口部300の周囲に囲い301を有する。スリット状開口部の長手の縁に繋がる一対の対向面を形成するフラップ401などの蒸気導入部を設けることもできる。
【選択図】図3

Description

本発明は、真空蒸着装置などの蒸着装置、そこで用いられる蒸着源等に関するものである。例えば、蒸着源の開口部の面に対して基板を傾けて自公転させる真空蒸着装置、その蒸着源等に関する。
真空蒸着装置は、一般的に、蒸着対象である基板を回転させる機構を有し、回転する基板の下方に回転軸からずらして蒸着源が配置されている。蒸着源は、蒸着材料を投入した容器を加熱し、蒸気化した蒸着材料を容器の開口部を通して真空環境へ流入させる機能を有する。この蒸着材料は、特にシンチレータ用の場合、非常に高価となる。このような蒸着材料を使用する蒸着膜の量産コストを下げるためには、蒸着材料の利用効率を高めることに加え、基板への着膜レートを高めることが重要になる。
利用効率を高めることに関して、蒸着源の開口部の上方に、開口部より非常に大きな開口を上端にもつ筒を設けて、基板に筒上端の開口を近づけることで、基板以外への蒸気拡散を低減する蒸着方法が特許文献1に開示されている。一方、均一な膜特性を得るためには、膜厚分布を均一にすることが重要となる。そこで、スリットの開口部に、長手方向の開口を拡げた煙突状の角筒を設けることで、スリットの長手・短手各方向への蒸気拡散を促す蒸着源が特許文献2で開示されている。
蒸着源の開口部に対して、その上方にある基板を傾けて自公転させる真空蒸着装置は、基板を傾けた角度が大きいほど、公転半径方向の幅が狭くなる。このような基板の通過範囲にて、基板への着膜レートと蒸着材料の利用効率を高め、かつ膜厚分布を均一にするためには、蒸着源を公転軸からずらして配置し、公転半径方向の蒸気拡散は、公転半径と直角な方向より狭くなるようにする。そして、更に、公転半径と直角となる方向の蒸気拡散を狭くすることが必要である。しかし、特許文献1は、上記の如き筒を蒸着源の開口部の上方に設置するため、筒上端の開口に倣って広がった蒸気になり、公転半径方向に狭い蒸気とすることは容易ではない。また、蒸着源の開口部を極めて小さくし、筒上端の開口における公転半径方向の寸法も小さくすれば、蒸気を同方向に狭くできるが、基板への着膜レートが低下してしまう。特許文献2も、スリットの長手・短手各方向に蒸気拡散を促すので、公転半径方向に狭い蒸気にすることは容易ではない。
また、従来、ポンプの排気で形成された真空環境において蒸着源の加熱機構により蒸着材料を蒸発させて、蒸着対象である基板を蒸着する真空蒸着装置で、基板の動作機構により、蒸着膜の機能向上が図られてきた。例えば、シンチレータの真空蒸着装置では、基板を蒸着源の開口面に対して傾けて自転もしくは自公転させながら、蒸着している。また、有機ELの真空蒸着装置では、基板を、蒸着源の開口面に平行に設置し更にその基板同一面上の方向に搬送しながら、蒸着している。しかし、いずれの装置も、非常に高価な蒸着材料を使用している一方で、その材料が基板を蒸着する割合となる材料収率は低いと言わざるを得ない。これは、基板内の膜厚分布を小さくすることを目的に、基板各位置に均一な量で蒸着するように蒸着材料の蒸気を拡げているからである。このように材料収率が低いことによって、蒸着膜と基板から成る製品の量産コストが高くなってしまっている。
こうした現状において、例えば、有機ELの真空蒸着装置にて、蒸着源の複数の開口を基板搬送方向と直角な方向に並べ、更にその複数の開口の間隔を、基板端部に近づくにつれ狭くし、且つ開口の径を小さくする装置が特許文献3に開示されている。同文献では、このような装置であれば、材料収率の低下を最小限に抑えつつ、基板の蒸着範囲での膜厚分布を小さくできると述べられている。
しかしながら、特許文献3のように、複数の開口を並べると、各開口から真空環境に流出した蒸気同士の干渉が避けられず、その干渉により蒸気が乱れ、基板以外を蒸着する蒸気の割合が少なからず増加してしまうことがある。また、シンチレータの真空蒸着装置のように、基板を蒸着源の開口面に対して傾けると、開口面へ正射影した基板は矩形となり、その面積が、傾いていない時と比較して小さくなるため、基板以外を蒸着する蒸気の割合が増加しやすい。
特開2008−285719号公報 特開2007−297695号公報 特許第5400653号
以上の様に、従来の技術では、基板への蒸着材料の利用効率ないし材料収率が高いとは言い難い。
上記課題に鑑み、本発明の一側面による蒸着源は、蒸着装置で用いられ、蒸着材料を収容する蒸着源であって、蒸着材料の蒸気が通るスリット状開口部を有し、前記蒸気が出る側の前記スリット状開口部の周囲に囲いを有する。
また上記課題に鑑み、前記蒸着源は、蒸気が入る側の前記スリット状開口部の長手の縁に繋がる一対の対向面を形成する蒸気導入部を備えることもできる。
本発明により、高い材料収率ないし蒸着材料の利用効率を得ることが可能になる。
本発明の一実施形態に係る蒸着装置の構成例を示す図。 本発明の一実施形態に係る蒸着源の構成例を示す断面図。 本発明の一実施形態における蒸着源の開口部と囲いを示す上面斜視図。 蒸気の放射係数を評価する真空蒸着装置の構成例を示す図。 本発明の一実施形態に係る蒸着源の開口部の構成を示す図。 本発明の一実施形態に係るフラップ(蒸気導入部)の取付け方の例を示す図。
本発明の蒸着源や蒸着装置では、蒸着源に収容された蒸着材料の蒸気が通るスリット状開口部が設けられ、蒸気が出る側において、スリット状開口部の周囲に囲いが設けられている。更に、蒸気が入る側において、スリット状開口部の長手の縁に繋がる一対の対向面を形成するフラップなどの蒸気導入部を備えることもできる。後述する実施形態や実施例では、開口部と囲いと蒸気導入部について、寸法、形状、取り付け角度、表面粗さ、寸法の相対関係、対称性などが種々に規定されているが、所望される蒸着材料の蒸気の形状に応じて、これらは適宜に変更することができるものである。
以下、図を用いて、本発明の蒸着装置及び蒸着源の実施形態ないし実施例を説明する。
(第1の実施形態)
本発明の係る、シンチレータなどの真空蒸着装置の一構成例を図1に示す。図1に示すように、真空用チャンバ100に対して、蒸着源101、基板ヒータ102、真空ポンプ104、蒸着対象である基板103を支持して自公転させる支持部材である冶具105、基板103を冷やすための冷却板106が設けられている。真空用チャンバ100内での到達圧力は、真空ポンプ104を用いて1×10−3Pa以下にすることが可能である。また、NやArなどの不活性ガスを真空用チャンバ100内に流入できると良い。マスフローコントローラで、不活性ガスの流量を制御し、真空用チャンバ100内の圧力を一定にできると、なお良い。
蒸着源101では、シンチレータなどの蒸着材料を入れる容器を加熱する。シンチレータの蒸着材料としては、ハロゲン化アルカリを主成分とするCsI:Tlが好適であるが、その他には、例えば、CsI:Na、NaI:Tl、LiI:Eu、KI:Tlなどが挙げられる。蒸着源101の構成例を図2に示す。同図にて、円筒状の容器であるルツボ200は、シンチレータなどの蒸着材料を投入するための丸筒状の容器であり、高さに対して径を小さくすると良い。そうすると、径方向に均一な蒸発面が得られ、蒸着中に真空環境へ流入する蒸気が、定常流れになる。ヒータ201でルツボ200を加熱する。このヒータ201は、ルツボの上部側面と下部側面を独立して加熱・制御できる、好適なヒータ方式となる。これにより、蒸着材料の着膜による詰まりが生じやすいルツボ200の上部や後述する開口部203に対する冗長化(温度低下の防止)を担保できる。このヒータ201の周囲に、ヒータ201からの熱放射を反射するリフレクタ202が何層かあると、ヒータ201の投入電力を抑えられ、かつルツボ200の温度分布を良好にできる。また、ルツボ200の温度の制御は、ルツボ200、ヒータ201、リフレクタ202などに制御点を設けて行う。制御点には、熱電対の先端を接触させる。ただし、例えば、ルツボ200とヒータ201の空間温度と、ルツボ200の温度と、の相関を正確に把握していれば、その空間を制御点として、熱電対の先端は非接触でも良い。
ルツボ200には、開口部203と囲い204を設けたフタ205を被せる。開口部203と囲い204については後述する。更に、フタ205の縁には、重りとなる冶具206を設置する。これは、ルツボ200内におけるシンチレ−タなどの蒸着材料の蒸気圧で、フタ205が外れないようにするためである。この冶具206は、熱伝導率と放射率が低く、ルツボ200の加熱温度より大きな耐熱温度を有するセラミックス等を材料として作製とすると良い。冶具206の熱伝導率を低くすることで、冶具206にて、ルツボ200に接した面からの熱伝導を小さくし、基板103側の面温度を低くすることができる。これに加えて、冶具206の放射率を低くすることで、ヒータ201を用いたルツボ200の加熱により、この冶具206が高温になったとしても、冶具206からの熱放射による基板103への熱流を少なくすることができる。この結果、冶具206により、基板103が高温にならないので、基板103の温度を基板ヒータ102の投入電力で制御しやすくなる。
蒸着源101は、その開口部203の中心から、基板103を自公転させる冶具105の公転軸105aまでの距離が、治具105の公転半径と略一致するように設置する。ただし、公転半径は、基板103の中心から公転軸105aへの垂直な距離とする。また、開口部203から基板103中心への公転軸105aに平行な距離は、開口部203と囲い204の構成やルツボ200の加熱温度で決まる蒸気の拡散分布ないし後述する放射係数に鑑み、所望の蒸着材料の利用効率、膜厚分布になるように決定する。
所望のタイミングで、融点に達したシンチレータなどの蒸着材料の蒸気を飛ばせるように、蒸着源101の上方には、蒸気を遮蔽できるシャッター207を設ける。また、図1に示す構成例では省略しているが、蒸着源101の周囲に着膜レートを測定する膜厚センサを設置し、着膜レートが一定になるように、膜厚コントローラーでルツボ200を加熱するヒータ201への投入電力を制御する。基板ヒータ102は、熱放射により基板103を加熱する。基板温度は、自公転する冶具105の説明の所で後述する方法にて測定し、その温度から、基板ヒータ102への投入電力を制御できるようにする。
シンチレータの蒸着材料とする場合であれば、蒸着する基板103には、所望のシンチレータ仕様となるように、アルミ基板やアモルファスカーボン基板、炭素繊維強化プラスチック基板、アモルファスシリコン基板などが用いられる。いずれの基板表面にも、ポリイミドがコーティングされている。これは、シンチレータと基板103との剥離を防ぐためである。また、ポリイミドのコーティングは、基板103を回転させながらポリイミド液を塗布するスピンコートで行っている。シンチレータの剥離を防ぐには、ポリイミドが好適であるが、シンチレータと基板103との剥離を防ぐことが可能であれば、その他の材料を用いても良い。
基板103を自公転させる冶具105は、基板103を、蒸着源101の開口面に対して傾けて、かつ公転軸105aから公転半径分離れた位置で取付けられるようにしている。傾けた基板の端が公転軸に達しないように、公転半径を大きくすると良い。これにより、自公転する基板を対面させて追加でき、同時蒸着することができる。本実施形態の真空蒸着装置にて取付けられる基板103は、例えば、四角形の薄板で、サイズは1辺が500mm以下で、厚さが0.7mm以下となる。シンチレータの蒸着材料とする場合、自公転速度は、共に4rpm以上で設定可能とする。これ未満の速度では、シンチレータの柱状結晶の各柱が螺旋状に形成してしまうためである。他の蒸着材料の場合も含めて言えば、基板103の自公転に関し、例えば、自転速度は最大58rpm、公転速度は最大20rpmまで設定することができる。
また、冶具には、図4に示すように、蒸着源の開口部300の面と平行に、正方形もしくは長方形の薄板の基板301を設置することもできる。この基板301は、上述の基板103と同じサイズまで設置することができる。図4において、302は公転軸であり、L、Lについては後述する。
基板103を自公転させる冶具105において、基板103を取付けるためのベース板は、基板103取付けによる変形を許容値に抑えるだけの剛性を保ちつつ、孔を空ける等して質量を小さくすると良い。なぜなら、その熱容量が小さくなるので、基板ヒータ102を用いて短い加熱時間で所望の基板温度にできるからである。この基板温度は、基板103に熱電対を接触させて測定できることが望ましい。もしくは、自転しているベース板の裏面に対して、熱電対の先端を数mmまで近付けて、その裏面と基板103との温度相関から、基板温度を測定しても良い。また、このような熱電対を具備することが困難であれば、次のようにする。即ち、基板103にサーモラベルを貼り、基板ヒータ102による基板加熱時におけるサーモラベルの目視確認から、所望の温度にするのに必要な基板ヒータ102の投入電力と加熱時間を把握するといった事前検討を行っておく。この検討結果から把握した基板ヒータ102への投入電力と基板103の加熱時間により、毎回の蒸着で所望の基板温度にすることができる。
冷却板106は、着膜により高温になった基板103からの熱放射を吸収することで、基板103を冷やすものである。真空用チャンバ100内にて、基板103の下端から上方の真空用チャンバ100の内壁を覆うように設置する。冷却板106は常に水冷させておき、蒸着時の基板103との温度差が大きくなるようにする。チラーを用いると、水温と流量の調整により、蒸着時の冷却板106の面温度も調整できて良い。更に、冷却板106の面は、放射率(吸収率)が大きく、シンチレータなどの蒸着材料に対して耐腐食性を有した材料を採用すると良い。
また、真空用チャンバ100の外壁面を水冷することで、その内壁の面温度と放射率を冷却板106と略同じにできるのであれば、冷却板106を取り除いても良い。これは、真空蒸着装置のコストダウンにもなるので良い。
本実施形態の真空蒸着装置にて行った、蒸気拡散の広さを表す蒸気の放射係数の評価について、フタに設けた開口部と囲いの構成の詳細を述べつつ、説明する。蒸気の放射係数は、その値が小さいほど、蒸気拡散は広範囲となる。図1に破線で示す、蒸気の放射係数を評価するための基板107は、基板103とは異なり、蒸着源101の開口面に平行に、かつ、蒸着源101の開口部中心の直上に基板107の中心があるように設置する。蒸着源101の開口部から基板107の中心への公転軸105aに平行な距離をL、基板107の面上にてその中心からの距離をL、蒸気の放射係数をnとし、次式で示す余弦則で、基板107への膜厚分布を近似する。そのときの公転半径方向と、その方向に直角となる方向と、における蒸気の放射係数nをそれぞれ評価する。
cosθ=(L/(L +L 0.5)
なお、θは長さLの辺と長さ(L +L 0.5の辺とのなす角である。nが大きければ大きいほど、蒸気拡散は狭くなる。
本実施形態では、図3に示すように、フタには開口部300(図2における開口部203)と囲い301(図2における囲い204)が設けられている。同図は、蒸着源の開口部を斜めに見たものである。開口部300には、直線状のスリットを採用する。スリットを通過した蒸気は、スリットの長手方向には拡散しにくく、短手方向には拡散しやすいことが知られている。これは、つまり、スリットを通過した蒸気の放射係数が、長手方向は大きく、短手方向は小さくなることを意味する。ここでは、スリットの長手方向が基板103の公転半径方向に一致するように蒸着源101を設置する。
前記蒸気が出る側に設けられた囲い301は、スリット同一平面上に、垂直に設置する。そして、囲いの寸法に関し、スリットの長手方向における囲い301の寸法は、スリットの開口部300の長手寸法と略一致させ、短手方向における寸法は、スリットの開口部300の短手寸法より大きくとる。スリットの長手方向で、囲い301とスリットの開口部300の寸法を略一致させたのは、長手方向の蒸気拡散を抑制し、短手方向の拡散を促すためである。一方で、スリットの短手方向で、囲い301の寸法をスリットの開口部300の寸法より大きくしたのは、短手方向に蒸気拡散を促すことで、囲い301上端における開口での蒸気圧力を低下させるためである。この圧力が低下すると、蒸気を構成する分子(いわゆる蒸気分子)の平均自由行程が長くなるので、囲い301によるコリメーションが効くようになる。これにより、囲い301の面に沿った、開口部300の面に垂直な方向の蒸気拡散になるため、蒸気の放射係数を大きくすることができる。特に、スリットの短手方向は、拡散を促してから、囲い301によって蒸気をコリメーションさせるため、長手方向の蒸気拡散を短手方向より狭くするという条件を満たしつつ、更に、囲いが無い場合より短手方向の蒸気拡散を狭くすることが可能となる。
このコリメーションは、平均自由行程の長い自由分子流で顕著に効くが、自由分子流と平均自由行程の短い連続流との中間の流れ形態である中間流でも、自由分子流寄りであれば、十分効くことが知られている。なお、蒸気拡散による流れの形態を定量的に判断する場合は、平均自由行程を代表長さで割った値で定義されるクヌーセン数を用いると良い。ここでの代表長さは、対象となる流れが通過する幅で、一般に定義される。本明細書では、A.Guthrieらと同様に、この値が、0.01未満であれば連続流、10より大きければ分子流であり、0.01より大きく0.1未満であれば中間流であると判定する(A.Guthrie,et al.,Vacuum Equipment and Techiques,McGraw−Hill(1949)参照)。また、スリットの長手方向における囲い301の寸法を、スリットの長手寸法より大きくすると、大きくした分だけ蒸気拡散が進み、その上で囲い301によるコリメーションの効果が生ずることになる。その結果、スリットの長手方向における蒸気の放射係数は、スリット単体で実現する放射係数より小さくなってしまうので、囲い301の寸法を決定する時には注意を要する。
囲い301上端での開口形状は四角形に限定されず、前述したスリットの開口部300との寸法関係を満たしていれば、楕円などでも良い。更に、スリットの開口部300と囲い301は、蒸着材料の融点以上に加熱する。これは開口部300と囲い301への着膜による、基板103への着膜レートと蒸着材料の利用効率との低下を防ぐためである。
本実施形態では、図3に示す開口部300のスリットの寸法を長手は50mm、短手は5mmとし、更に、囲い301は、図3に示す通り、上端での開口を四角形として、その寸法は、スリットの長手方向を50mm、短手方向を45mm、高さを20mmとする。この囲い301は、図2で示したルツボ200を加熱するヒータ201により、本実施形態で使用した蒸着材料のCsIの融点620℃以上に加熱できるようにする。
次に、本実施形態での囲い300の効果を蒸気の放射係数で評価する。その時の蒸着条件を以下で説明する。蒸気の放射係数を評価するために用いる図1の破線で示す基板107は、正方形で一辺が500mmで、厚さが0.5mmのフロートガラスとする。その基板107は、蒸着源101のスリットの開口面から、公転軸105aに平行な距離L1で500mm離し、更に、開口面と平行になるように設置する。この時、スリットの開口中心の直上に、必ず基板107の中心があるようにする。次に、蒸着源101のルツボにCsIを約2kg投入する。この投入分のCsIを、後述する圧力、温度の条件にて飛ばし切ると、蒸着源の開口部直上の基板107に、マイクロメータで測定できるほどの膜厚で着膜する。そして、真空ポンプ104にて、真空用チャンバ100内の圧力を1×10ー3Pa以下とする。その圧力環境下で、かつ基板107は静止させた状態で、ルツボの加熱を始めて、ルツボの温度が700℃に到達するまで加熱する。なお、蒸気の放射係数を評価するための蒸着条件では、基板107を常に静止させ、自公転しないようにする。また、700℃に到達するまではシャッター207を閉じて基板107への蒸気を遮蔽し、700℃に到達した時点でシャッター207を開ける。その時の着膜レートを、蒸着源101の開口部から十分離して設置した水晶振動子の膜厚センサにて測定し、膜厚コントローラーで、700℃到達時の着膜レートで一定になるように、ルツボを加熱するヒータ201への投入電力を制御する。
蒸着終了後、冷却板106で基板107を十分に冷やした後、大気解放し、真空用チャンバ100から基板107を取出す。着膜した基板107において、公転半径方向(スリットの長手方向)と、その方向に直角となる方向(スリットの短手方向)のそれぞれで、距離に対する膜厚をマイクロメータで測定する。そして、各方向において、スリットの開口部中心からの距離に対する膜厚分布を余弦則で近似し、上述した蒸気の放射係数を評価する。
このような蒸着条件で、囲い301の有無による蒸気の放射係数を比較した結果を下記の表1に示す。囲い301が無い時は、公転半径方向に9、公転半径方向に直角となる方向に4である。一方、囲い301がある時は、公転半径方向に11、公転半径方向に直角となる方向に8となっている。つまり、囲いによって、公転半径方向の蒸気拡散を公転半径方向と直角となる方向より狭くするという条件を満たしつつ、更に、公転半径方向と直角な方向の蒸気拡散を狭くすることが実現できていることが分かる。
Figure 2018127662
本実施形態によれば、基板を傾けて自公転させる真空蒸着装置にて、基板への着膜レートと蒸着材料の利用効率を高め、更に膜厚分布を均一にすることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。蒸着装置は、第1の実施形態において図1と図2で説明したものと実質的に同等である。第1の実施形態とは開口の構成が異なるので、これを重点に説明する。
[開口の構成]
第2の実施形態に係る開口203の構成について、図5を用いて説明する。図5において、400はスリット状開口(スリット)、401はフラップ、402は囲いである。それぞれを以下に詳述していく。スリット400は、矩形状の開口である。このスリット400を通過する蒸気の流れ形態は、中間流もしくは連続流となることが望ましい。そのような流れ形態であれば、スリット400を通過した蒸気は、スリット400面の長手方向には流れにくく、短手方向には流れやすくなる。つまり、蒸気は、スリット400面における長手方向と短手方向との流束の間に差が生ずるため、指向性を有するようになる。流れ形態の判定は、クヌーセン数を用いて行えば良い。クヌーセン数とは、上述した様に、蒸気(正確には蒸気を構成する粒子であり、これを単に蒸気粒子とも称する)の平均自由行程(蒸気粒子が衝突するまでに飛行する距離)を装置の代表長さで割った値である。
平均自由行程は、蒸着時のルツボ200内が蒸着材料の蒸気圧で飽和していると仮定すれば、その蒸気圧の値を用いて算出することができる。圧力からの平均自由行程の算出方法は、希薄気体関連の解説書(例えば、日本機械学会編、原子・分子の流れ、共立出版(1996))に記載されている。一方、代表長さは、開口の構成で、クヌーセン数が大きくなりやすいスリット400の短手寸法で与えれば良い。短手寸法で与えた代表長さで、連続流もしくは中間流と判定されるようであれば、スリット400を通過する蒸気全体も、そのような流れ形態であると判定して良い。このような判定方法を元に、スリット400の寸法は、蒸着材料の蒸気圧から算出する平均自由行程を考慮して、連続流もしくは中間流となるように決定すれば良い。
スリット400の厚みは、上述した平均自由行程未満とすることが望ましい。前記蒸気が入る側に設けられ、前段に対向面を形成する蒸気導入部であるフラップ401は、ルツボ200内側のスリット400の長手の縁に沿って、スリット同一面に対して傾斜させて取付ける。この傾斜させる角度を90°未満とするか、90°以上とするかは、マッハ数から決定する。マッハ数は、流速を音速で割った値である。この値が、1より大きければ超音速流れであり、1未満であれば亜音速流れである。音速は、流れを有している気体の比熱比と絶対温度の関数であり、詳細は圧縮性流体力学の解説書(例えば、杉山弘、圧縮性流体力学、森北出版(2014)参照)に記載されている。また、一対のフラップは、スリット状開口部の中心線を挟んで対称的に設けられているが、必ずしもこれに限るものではない。
一方で、流速は、ルツボ200内側で、スリット400面に平行に極薄の検査体積(流体力学において、質量や流速といった流体構造パラメータの変化を考える時に設ける系)をとり、その体積内でスリット面に垂直な方向の蒸気の流速で与えることが望ましい。その流速は、希薄気体力学に基づく数値シミュレーションで算出すると良い。数値シミュレーションにより算出された、スリット400を通過する直前の蒸気の流速でのマッハ数が1未満であれば、フラップ401を傾斜させる角度は90°未満(図5はこの例を示す)とすることが必要である。また、1より大きければ、同角度は90°より大きくすることが必要である。このように傾斜させる角度を決定することで、スリット400面に垂直な方向(公転軸105aと平行な方向)の蒸気の流速を大きくすることができる。この流速は、スリット400面と平行な方向の流速と比較して、極めて大きくなるため、スリット400と略同じ形状の高指向性蒸気を基板(蒸着対象物)に転写させることができる。
なお、図5のフラップ401は、長方形の板状の薄板で図示されているが、それに限定されるものではない。この長方形の面をラバルノズルのような、滑らかな曲面にすると、スリット400面に垂直な方向の流速を、更に大きくできるので望ましい。また、フラップ401は、スリット状開口400の前段に対向面を形成することができればよいので、長方形の薄板である必要は無く、三角柱状等の形状の一対の部材をスリット400面の裏面に取り付けることで前記対向面を形成してもよい。
フラップ401の表面粗さは、当然のことながら可能な限り小さくすることが望ましい。なぜなら、フラップ401の上述した設計は、蒸気の流れを等エントロピー流れで近似し、等エントロピー流れに基づいた圧縮性流体力学の理論を適用しているからである。等エントロピー流れは、簡単に言えば、散逸現象を無視した流れのことである。しかし、フラップ401の表面粗さがあまりに大きいと、フラップ401の表面境界層での散逸現象が無視できなくなる可能性がある。無視できない場合は、フラップ401の傾斜の効果が得られなくなる可能性も生じる。この可能性は、フラップ401の表面粗さが小さいと回避できる。
フラップ401をスリット400の長手の縁部に取付ける時には、図6(A)に示すようにスリット長手方向の面500がフラップの曲げ部501より突出することがないようにする。開口側に突出していると、その突出部で蒸気のよどみ点状態(流速が各方向に略0(ゼロ)の蒸気粒子が存在する空間の状態)が生じ、それとスリット400を通過する蒸気の干渉も生じる。これにより、スリット400面の垂直な方向における蒸気の流速を著しく低下させてしまう。スリット長手方向の面500の突出を避ける対策として、図6(B)に示すように、スリットの長手方向の面500をフラップの曲げ部501で覆うように取付けても良い。図6(B)では、スリット400上面にフラップ面が被さっている。スリット400を通過する蒸気は、フラップ401の傾斜の効果により、スリット400面に垂直な方向の流速が大きくなっている。仮に前記被さりに流れが到達しても、その流れを遮る形状にはなっていない。したがって、図6(B)のようなフラップ401の取付けは、高指向性蒸気を乱さないので良い。
また、フラップの曲げ部501に生ずるR(スリットの縁を形成する曲げ部の厚み方向の距離)は、平均自由行程未満とすることが望ましい。平均自由行程以上のRにすると、そのRの大きさにより、蒸気の流速が変化する可能性があるからであり、Rに大きさに留意すると良い。
上述のフラップ401にて、ルツボ200内部の蒸気においてスリット400を通過しようとするスリット短手方向の流れを遮蔽することができる。これにより、スリット400の通過直前における蒸気の流束は、スリット400の短手方向からより、長手方向からの方に大きくすることができる。この流束は、蒸気粒子の密度と流速の積である。スリット400を通過した直後のスリット面方向の流速は、狭いスリット同平面内で同方向に存在する蒸気粒子の衝突により、長手・短手の各方向に略等しくなると考えられる。その時、スリット400の通過直前に、長手方向の流束が大きかったことから、スリット400を通過した直後のスリット面における蒸気粒子の密度は、長手方向に高く、短手方向に低くなる。
後述する拡散係数は、蒸気粒子の平均自由行程と流速の積と定義される(富山小太郎訳、ファインマン物理学II、岩波書店(1968)参照)。短手方向より高い密度を有する長手方向は、平均自由行程が極めて短くなる。これは、密度が高いと、衝突が多くなるからである。一方で、上述したように、スリット同面内で長手・短手の各方向の流速は略等しいため、拡散係数は、上述の定義より、長手方向に極めて小さくなる。したがって、フラップ401を取付けることで、スリット400を通過後(通過直後から蒸気粒子の衝突間隔の時間スケールで十分時間が経過した後)の流束は、拡散係数が長手方向より極めて大きくなる短手方向に、更に大きくすることができる。つまり、フラップ401を取付けたスリット400面での長手・短手両方向における流束の差は、スリット400のみの場合と比較して、大きくすることができる。このような現象が顕著に出現すれば、スリット400面での流束が長手方向に小さく短手方向に極めて大きい、高指向性蒸気となるはずである。この高指向性蒸気を、蒸気の放射係数で表現すると、長手方向に極めて大きく、短手方向に小さくなる。
しかしながら、後述する[実施例]の蒸気の放射係数は、逆の結果を得ている。つまり、[実施例]の蒸気の放射係数は、長手方向に小さく、短手方向に極めて大きくなっている。これは、フラップ401の傾斜によるスリット400面に垂直な方向の流束の増加が、スリット面方向の流束の変化より極めて大きくなったからと考えられる。したがって、例えば、スリット400を通過する直前の蒸気の流れが亜音速流れであれば、フラップ401の傾斜角度は、スリット400同一面に対して小さくとったりして、フラップ401の傾斜の効果をより強くすることが望ましい。
囲い402は、スリット同一平面に対して囲い402の面が垂直になるように設置する。そして、囲い402の寸法に関して、スリット400長手方向の寸法は、スリット400長手寸法と略一致させ、また短手方向の寸法は、スリット400の短手寸法より大きくとる。スリット400の長手方向において、囲い402とスリット400の寸法を略一致させたのは、囲い402により長手方向の蒸気粒子の高密度を維持するためである。これによって、高密度に維持された長手方向の流束を小さくすることができる。また、スリット400の短手方向において、囲い402の寸法をスリット400の寸法より大きくしたのは、囲い402内にて、短手方向の蒸気粒子の密度を低下させることができるからである。これによって、短手方向の流束を大きくすることができる。
また、囲い402があると、無い場合と比較して蒸気粒子の密度の急激な低下を低減することができる。この低減により、蒸着中の蒸気が、定常流れに近くなるので良い。しかしながら、囲い402内は、蒸気粒子の、圧力に比例する密度低下が低減しつつも、真空環境に曝されていることもあり、平均自由行程は長くなる。これによって、囲い402の面に沿った流れとなるコリメーション効果を出現させることができる。このコリメーション効果は、平均自由行程が非常に長い分子流で顕著に出現するが、中間流でも出現することが知られている。これは、中間流でも分子流の挙動を有するからである。このコリメーション効果によって、スリット400面に平行な方向の流束を低減することができる。なお、囲い402上端の形状は図5に図示したような長方形もしくは正方形に限定されず、上述したスリット400との寸法関係を満たしていれば、楕円などでも良い。
本実施形態によれば、例えば、シンチレータの真空蒸着装置のように、基板の傾斜により、蒸着源の開口面に対し小面積で且つ矩形となってしまう基板への蒸着であっても、高い材料収率を得ることができる。更に、例えば、有機ELの真空蒸着装置のように、蒸着源の開口面に対して平行に設置し且つ基板同一面上の方向に搬送する基板への蒸着であっても、蒸着源の開口からの蒸気の干渉を抑制し、高い材料収率を得ることが可能になる。
[実施例]
前述した第2の実施形態の真空蒸着装置にて、本発明者は、シンチレータ用の或る基板に対する、その傾ける角度、基板の公転半径と自公転速度、及び、そのような基板に対する蒸着源の配置を鋭意検討した。その結果、図4に示したような、基板301の中心を通り、かつ蒸着源の開口部300の面に平行な平面において、蒸着源の開口部300からの蒸気の放射係数は公転半径方向に16以上、またその方向に直角となる方向に10とした。この放射係数であれば、冶具105で自公転している、或る基板に対して、膜厚分布を小さく、且つ材料収率を高めることができる。そこで、本実施例では、上述した蒸気の放射係数を目標とした。
蒸気の放射係数の評価を以下に説明する。この放射係数は、蒸気の形状が余弦則に従うと仮定した。そこで、図4に示すように、蒸着源の開口と基板中心との間の公転軸302に平行な距離をL、基板中心を通る蒸着源の開口面に平行な平面にて開口中心の直上となる点から公転軸302への距離をL、蒸気の放射係数をnとした。そして、次式に示す余弦則を用いて、蒸気の形状を、基板中心を通る平面上にて公転半径方向とその方向に直角となる方向の蒸気の放射係数から評価した。
cosθ=(L/(L +L 0.5
以下、蒸気の放射係数を評価した本実施例の蒸着源の開口について説明する。まず、その開口の構成における各部の寸法を図5に基づいて説明する。スリット400は長手を50mm、短手を5mm、厚みは0.3mmとした。この寸法は、後述するCsIの蒸気圧から平均自由行程を算出し、中間流になるように決定した。フラップ401は長方形の薄板とし、スリット400同一面に対して28°傾けて、フラップ401のR部先端がスリット長手方向の面と一致するように取付けた。フラップ401の傾斜させる角度を90°未満としたのは、上述したスリット400の寸法で数値シミュレーションした結果、マッハ数が1未満となったからである。フラップ401の寸法は、スリット400長手方向に50mm、スリット同一面に対して傾いている辺の寸法は20mmとした。また、その厚みは0.3mmとした。囲い402の内部寸法は、スリット400長手方向に50mm、短手方向に56mmとし、高さは30mmとした。
また、蒸気の放射係数を評価するために設置する、図4に示した基板301は、正方形で、一辺が500mmであり、厚さが0.5mmのフロートガラスを採用した。また同図でのLは555mmとなるように設置した。また、同図の開口部300のスリットの短手方向を基板301の公転半径方向に一致するように配置した。そのため、当然ではあるが、基板301にて、公転半径方向と直角になる方向は、開口部300のスリットの長手方向に一致する。
次に、蒸気の放射係数を評価する流れについて説明する。まず、蒸着源のルツボ200に、シンチレータの一般的な蒸着材料であるCsI(ヨウ化セシウム)を、後述するマイクロメータで測定可能な膜厚となる分だけ投入した。そして、真空ポンプ104で、真空用チャンバ100内の圧力を1.0×10−3Pa以下にした。それから、蒸着源のヒータ201で、ルツボ200の加熱を開始し、ルツボ200の温度が融点以上に達したら、シャッター207を開けて、上述した基板301を蒸着した。蒸着終了後、基板301を冷却板106で十分に冷却してから大気解放し、真空用チャンバ100から蒸着された基板301を取出した。次に、蒸着された基板301の公転半径方向と、その方向と直角になる方向のそれぞれにLをとり、各方向のLに対する膜厚をマイクロメータで測定した。そして、各方向での膜厚分布を上述した余弦則で近似し、近似した時のnを蒸気の放射係数として評価した。
その結果、蒸気の放射係数は、公転半径方向(スリットの短手方向)に18、その方向と直角になる方向(スリットの長手方向)に11となることが分かった。この結果をもって、上述した公転半径方向に16以上、その方向と直交する方向に10という目標を略達成することを確認できた。
本実施形態例により、基板の傾斜により、蒸着源の開口面に対し小面積で且つ矩形となってしまう基板への蒸着であっても、高い材料収率を得ることができる。
100・・チャンバ
101・・蒸着源
300、400・・スリット状開口部
301、402・・囲い
401・・フラップ(蒸気導入部)

Claims (16)

  1. 蒸着装置で用いられ、蒸着材料を収容する蒸着源であって、
    蒸着材料の蒸気が通るスリット状開口部を有し、前記蒸気が出る側の前記スリット状開口部の周囲に囲いを有することを特徴とする蒸着源。
  2. 前記囲いは、前記スリット状開口部の面と同一面上に垂直に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着源。
  3. 前記スリット状開口部の短手の寸法は、前記短手と同方向の前記囲いの寸法より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着源。
  4. 前記スリット状開口部の長手の寸法と前記長手と同方向の前記囲いの寸法は、略一致していることを特徴とする請求項3に記載の蒸着源。
  5. 前記囲い及び前記スリット状開口部を蒸着材料の融点以上に加熱する手段を有することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の蒸着源。
  6. 前記蒸気が入る側の前記スリット状開口部の長手の縁に繋がる一対の対向面を形成する蒸気導入部を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の蒸着源。
  7. 前記蒸気導入部は一対の板状のフラップで形成され、前記フラップは前記スリット状開口部の面と同一面上に該面に対して傾斜させて取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の蒸着源。
  8. 前記フラップは、前記スリット状開口部の中心線を挟んで対称的に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の蒸着源。
  9. 前記フラップは、前記スリット状開口部の長手の縁の面を前記フラップの曲げ部で覆うように取付けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の蒸着源。
  10. 前記フラップの表面粗さは、前記フラップの表面境界層での散逸現象が無視できるように決定されていることを特徴とする請求項7から9の何れか1項に記載の蒸着源。
  11. 基板を支持する支持部材と、請求項1から5の何れか1項に記載の蒸着源と、を有する蒸着装置であって、
    前記支持部材は、前記基板の公転と自転との少なくとも一方を行って、且つ前記蒸着源の開口部の面に対する前記基板の角度ないし配置を変更することができることを特徴とする蒸着装置。
  12. 前記支持部材は、前記基板を公転することを特徴とする請求項11に記載の蒸着装置。
  13. 前記スリット状開口部の長手の方向が、前記基板の公転半径の方向に一致することを特徴とする請求項12に記載の蒸着装置。
  14. 基板を支持する支持部材と、請求項6から10の何れか1項に記載の蒸着源と、を有する蒸着装置であって、
    前記支持部材は、前記基板の公転と自転との少なくとも一方を行って、且つ前記蒸着源の開口部の面に対する前記基板の角度ないし配置を変更することができることを特徴とする蒸着装置。
  15. 前記支持部材は、前記基板を公転することを特徴とする請求項14に記載の蒸着装置。
  16. 前記スリット状開口部の長手の方向が、前記基板の公転半径の方向と直交する方向に一致することを特徴とする請求項15に記載の蒸着装置。
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