JP2018127538A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤および当該熱硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化物に関する。より具体的には、靭性に優れた硬化物を与えることができると共に、気泡の抜け性が改良された熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤および当該熱硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化物に関する。
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などに代表される熱硬化性樹脂はその架橋性から強度、剛性、耐熱性などに優れるため、電気電子用途、建築建材用途、土木用途、自動車用途など、多岐の用途にわたり使用されている。しかし、これらの熱硬化性樹脂は非常に脆く、靭性に欠けるという問題がある。
熱硬化性樹脂の靭性を向上させる方法としては、他のポリマー成分を添加する方法が知られている。添加するポリマーとして、ゴム(特許文献1〜3等を参照)やゴム粒子(特許文献4および5等を参照)が提案されている。しかしながら、ゴムを添加する方法ではゴムが熱硬化性樹脂中に溶解して強度や弾性率が大きく低下し、耐熱性も低下するという問題があった。一方、ゴム粒子を添加する方法では、粘度上昇が大きく、塗工または注型において気泡の混入による物性低下や外観悪化の問題があった。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、靱性に優れた硬化物を与えることができると共に、気泡の抜け性が改良された熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤および当該熱硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化物を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者が鋭意検討を重ねた結果、熱硬化性樹脂に特定の硬化性官能基を有する重合体を配合すれば、靱性に優れた硬化物を与えることができると共に、気泡の抜け性が改良された熱硬化性樹脂組成物が得られることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[16]に関する。
[1] 硬化性官能基を有する重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)を含む熱硬化性樹脂組成物であって、硬化性官能基が下記一般式(1)で示される部分構造を有する、熱硬化性樹脂組成物。
[1] 硬化性官能基を有する重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)を含む熱硬化性樹脂組成物であって、硬化性官能基が下記一般式(1)で示される部分構造を有する、熱硬化性樹脂組成物。
(式中、R1は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
[2] 硬化性官能基が下記一般式(2)で示される、上記[1]の熱硬化性樹脂組成物。
[2] 硬化性官能基が下記一般式(2)で示される、上記[1]の熱硬化性樹脂組成物。
(式中、R1は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子または−NR4−を表し、ここでR4は、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは、1〜20の整数を表す。)
[3] 重合体(A)がビニル系重合体である、上記[1]または[2]の熱硬化性樹脂組成物。
[4] ビニル系重合体が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニルおよび共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する単位を含む、上記[3]の熱硬化性樹脂組成物。
[5] ビニル系重合体がメタクリル酸メチルに由来する単位を含む、上記[3]の熱硬化性樹脂組成物。
[6] ビニル系重合体がブロック共重合体またはグラフト共重合体である、上記[3]〜[5]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[7] ビニル系重合体が、硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と、硬化性官能基を実質的に有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)とを有する、上記[3]の熱硬化性樹脂組成物。
[8] 熱硬化性樹脂(B)が、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[7]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[9] 熱硬化性樹脂(B)100質量部に対して、重合体(A)を0.1〜50質量部含む、上記[1]〜[8]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[10] ビニル系化合物(C)をさらに含む、上記[1]〜[9]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[11] ビニル系化合物(C)が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニルおよび共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[10]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[12] 活性エネルギー線重合開始剤を含まない、上記[1]〜[11]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[13] 60℃で4時間加熱した後にさらに150℃で4時間加熱して硬化することにより得られる長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を用いてJIS K 7171:2016の規定に従い測定される曲げ強さが70MPa以上である、上記[1]〜[12]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[14] 60℃で4時間加熱した後にさらに150℃で4時間加熱して硬化することにより得られる長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を用いてJIS K 7171:2016の規定に従い測定される曲げ強さ曲げひずみが4%以上である、上記[1]〜[13]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[15] 上記[1]〜[14]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤。
[16] 上記[1]〜[14]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化物。
[3] 重合体(A)がビニル系重合体である、上記[1]または[2]の熱硬化性樹脂組成物。
[4] ビニル系重合体が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニルおよび共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する単位を含む、上記[3]の熱硬化性樹脂組成物。
[5] ビニル系重合体がメタクリル酸メチルに由来する単位を含む、上記[3]の熱硬化性樹脂組成物。
[6] ビニル系重合体がブロック共重合体またはグラフト共重合体である、上記[3]〜[5]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[7] ビニル系重合体が、硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と、硬化性官能基を実質的に有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)とを有する、上記[3]の熱硬化性樹脂組成物。
[8] 熱硬化性樹脂(B)が、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[7]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[9] 熱硬化性樹脂(B)100質量部に対して、重合体(A)を0.1〜50質量部含む、上記[1]〜[8]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[10] ビニル系化合物(C)をさらに含む、上記[1]〜[9]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[11] ビニル系化合物(C)が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニルおよび共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[10]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[12] 活性エネルギー線重合開始剤を含まない、上記[1]〜[11]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[13] 60℃で4時間加熱した後にさらに150℃で4時間加熱して硬化することにより得られる長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を用いてJIS K 7171:2016の規定に従い測定される曲げ強さが70MPa以上である、上記[1]〜[12]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[14] 60℃で4時間加熱した後にさらに150℃で4時間加熱して硬化することにより得られる長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を用いてJIS K 7171:2016の規定に従い測定される曲げ強さ曲げひずみが4%以上である、上記[1]〜[13]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
[15] 上記[1]〜[14]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤。
[16] 上記[1]〜[14]のいずれかの熱硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化物。
本発明によれば、靭性に優れた硬化物を与えることができると共に、気泡の抜け性が改良された熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤および当該熱硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化物が提供される。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化性官能基を有する重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)を含む。
<重合体(A)>
重合体(A)が有する硬化性官能基は、下記一般式(1)で示される部分構造を有する。
重合体(A)が有する硬化性官能基は、下記一般式(1)で示される部分構造を有する。
上記一般式(1)中、R1は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
上記一般式(1)において、R1が表す炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−エイコシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基などが挙げられる。R1が炭化水素基である場合、炭素数の上限としては10が好ましく、4がより好ましい。
また、R1が表す炭素数1〜20の炭化水素基は置換基を有していてもよい。この置換基としては、硬化性官能基の硬化性を阻害しないものであればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
上記一般式(1)において、R1は、重合体(A)の製造の容易さや硬化速度に優れるなどの観点から、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
重合体(A)が有する硬化性官能基は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、下記一般式(2)で示される基であることが好ましい。
上記一般式(2)中、R1は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子または−NR4−を表し、ここでR4は、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基を表し、nは、1〜20の整数を表す。
上記一般式(2)におけるR1の定義および説明は、上記一般式(1)のものと同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
上記一般式(2)において、R1ないしR2が表す炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基などが挙げられる。
また、R2ないしR3が表す炭素数1〜6の炭化水素基は置換基を有していてもよい。この置換基としては、硬化性官能基の硬化性を阻害しないものであればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
上記一般式(2)において、R2およびR3は、重合体(A)の製造の容易さや硬化速度に優れるなどの観点から、それぞれ炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましく、それぞれ水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
上記一般式(2)において、Xは、重合体(A)の製造の容易さや硬化速度に優れるなどの観点から、酸素原子または−NR4−であることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。
上記一般式(2)においてXが−NR4−である場合、R4が表す炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基などが挙げられる。
また、R4が表す炭素数1〜6の炭化水素基は置換基を有していてもよい。この置換基としては、硬化性官能基の硬化性を阻害しないものであればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
上記一般式(2)においてXが−NR4−である場合、R4は、重合体(A)の製造の容易さや硬化速度に優れるなどの観点から、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
また上記一般式(2)において、重合体(A)の製造の容易さや硬化速度に優れるなどの観点から、nの下限としては、2が好ましく、一方、nの上限としては、10が好ましく、5がより好ましい。
重合体(A)を構成する全単量体単位のモル数に対する上記の硬化性官能基のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、0.01モル%以上であることが好ましく、0.05モル%以上であることがより好ましく、0.3モル%以上であることがさらに好ましく、1モル%以上であることが特に好ましく、また、90モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下、10モル%以下、5モル%以下、さらには3モル%以下であってもよい。
重合体(A)における上記の硬化性官能基の導入位置は、特に限定されない。重合体(A)の構造としては、例えば、重合体(A)の主鎖中に上記の硬化性官能基を有する単量体単位がランダムに導入された構造、重合体(A)の末端に上記の硬化性官能基を有する単量体単位が導入された構造(例えば、重合体(A)が後述するようなウレタン(メタ)アクリレートである場合など)、後述するうように重合体(A)がブロック共重合体である場合に、特定の重合体ブロックに上記の硬化性官能基を有する単量体単位が導入された構造、後述するうように重合体(A)がグラフト共重合体である場合に、主鎖(幹部分)に上記の硬化性官能基を有する単量体単位が導入された構造またはグラフト鎖(枝部分)に上記の硬化性官能基を有する単量体単位が導入された構造などが挙げられる。
硬化性官能基の導入方法は、特に制限されないが、例えば、硬化性官能基を有しない重合体を製造し、後反応で硬化性官能基を導入する方法、保護された硬化性官能基を有する単量体を用いて重合体を製造し、その後、保護基を脱離する方法、硬化性官能基を有する単量体を用い、立体障害などを利用して硬化性官能基を選択性よく残存させる重合方法により重合体を製造する方法などを採用することができる。
本発明で用いられる重合体(A)は上記の硬化性官能基を有する重合体である。当該重合体(A)としては、本発明の熱硬化性樹脂組成物が含む熱硬化性樹脂(B)以外のものが用いられ、具体的には例えば、ビニル系重合体、エステル系重合体、カーボネート系重合体、アミド系重合体、ウレタン系重合体などが挙げられる。これらの中でも、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、ビニル系重合体、ウレタン系重合体が好ましく、ビニル系重合体がより好ましい。
上記のウレタン系重合体(硬化性官能基を有するウレタン系重合体)としては、例えば、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート等のウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。当該ウレタン(メタ)アクリレートの種類に特に制限はなく、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系などを使用することができる。
上記のビニル系重合体(硬化性官能基を有するビニル系重合体)は、ビニル基を有する単量体に由来する単位を含む重合体である。ビニル系重合体は、一般に、縮合系重合体(例えば、カーボネート系重合体等)と比較して溶剤溶解性に優れており、共重合などの変性も容易である。また後述するようなリビング重合法を採用するなどして分子量分布を制御することができ、重合体の構造を幅広く調整することができ、ブロック共重合体の製造も容易となる。また組成や分子量などの制御が容易であり、靱性により一層優れた硬化物を与えることのできる熱硬化性樹脂組成物を得ることが容易になる。さらに、ビニル系重合体のガラス転移温度(Tg)、架橋密度などを調整することにより、耐熱性により一層優れた硬化物を与えることのできる熱硬化性樹脂組成物を得ることも容易になる。
ビニル系重合体が含むビニル基を有する単量体に由来する単位となるビニル基を有する単量体の種類に特に制限はなく、ビニル重合可能なものを好ましく使用することできる。このようなビニル基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリシクロデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、アクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、メタクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル等のメタクリル酸エステル;スチレン、インデン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル;酢酸ビニル;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;アクリロニトリル等のその他のビニル系化合物;などが挙げられる。これらビニル基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のビニル基を有する単量体の中でも、得られる硬化物の力学特性を向上させることができると共に、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニルおよび共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、炭素数15以下(例えば、炭素数13以下、さらには炭素数11以下)のアクリル酸エステル、炭素数16以下(例えば、炭素数14以下、さらには炭素数12以下)のメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ブタジエンおよびイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物ないしその硬化物は使用時に高温となることが多いため、ビニル系重合体は高温で変色しにくいものが望ましい。このような観点から、ビニル系重合体は、メタクリル酸メチルに由来する単位を含むことが好ましく、メタクリル酸メチルに由来する単位を主成分として含むことがより好ましい。ビニル系重合体におけるメタクリル酸メチルに由来する単位の具体的な含有量は、上記のような観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、50質量%以上、60質量%以上、さらには80質量%以上であってもよい。なおビニル系重合体が後述するようなブロック共重合体ないしグラフト共重合体である場合は、重合体ブロックのうちの少なくとも1つ、または、主鎖もしくはグラフト鎖のうちの少なくとも1つに含まれるメタクリル酸メチルに由来する単位の含有量が上記範囲にあればよい。
ビニル系重合体が複数の単量体単位を含む共重合体である場合、その形態としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが挙げられる。
上記ランダム共重合体や交互共重合体では、使用するモノマー種の単独重合体の物性の組成平均に近い物性を示すことが多く、用途に応じて必要な物性を調整することができる。このようなビニル系重合体としては、例えば、アクリル樹脂アクリレート等の(メタ)アクリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
一方、ブロック共重合体では各ブロック部分に異なる機能を付与することが可能である。同様に、グラフト共重合体においても、主鎖(幹部分)とグラフト鎖(枝部分)に異なる機能を付与することができる。このような観点からビニル系重合体は、ブロック共重合体またはグラフト共重合体であることが好ましく、ブロック共重合体であることがより好ましく、中でも、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、上記の硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と、上記の硬化性官能基を実質的に有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)とを有するものが特に好ましい。
((メタ)アクリル系重合体ブロック(a))
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)は、上記の硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロックである。(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)を構成する全単量体単位のモル数に対する(メタ)アクリル系単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることが特に好ましく、100モル%であってもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)は、上記の硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロックである。(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)を構成する全単量体単位のモル数に対する(メタ)アクリル系単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることが特に好ましく、100モル%であってもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)は、上記の硬化性官能基と他のエチレン性二重結合とを有するビニル系化合物(以下、「硬化性単量体」と称する場合がある)のエチレン性二重結合の付加重合によって形成される単位を含むことが好ましい。
硬化性単量体としては、例えば、下記一般式(3)で示される化合物が好ましく挙げられる。この一般式(3)で示される化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(3)中、R1、R2、R3、Xおよびnのそれぞれについての定義および説明は、上記一般式(1)および上記一般式(2)のものと同様であり、ここでは重複する説明を省略する。なお、上記一般式(3)中、複数存在するR1は互いに同一であっても異なっていてもよいが、当該一般式(3)で示される化合物の製造の容易さなどの観点から、同一であることが好ましい。上記一般式(3)で示される化合物のうち、好ましいものとしては、例えば、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)を構成する全単量体単位のモル数に対する硬化性単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、0.02モル%以上であることが好ましく、0.1モル%以上であることがより好ましく、0.5モル%以上であることがさらに好ましく、2モル%以上であることが特に好ましく、10モル%以上、20モル%以上、さらには30モル%以上であってもよく、また、90モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましいが、(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)が含む(メタ)アクリル系単量体に由来する単位が硬化性単量体から形成される場合、上記割合は100モル%であってもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)は、硬化性単量体に由来する単位以外に、(メタ)アクリル系単量体に由来する単位として、モノ(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含んでいてもよい。
上記モノ(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピルなどが挙げられる。これらの中で、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル等の炭素数5以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。また、モノ(メタ)アクリル酸エステルとしては、モノメタクリル酸エステルが好ましく、炭素数5以下のアルキル基を有するメタアクリル酸アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらのモノ(メタ)アクリル酸エステルは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)を構成する全単量体単位のモル数に対するモノ(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、99.98モル%以下であることが好ましく、99.9モル%以下であることがより好ましく、99.5モル%以下であることがさらに好ましく、98モル%以下であることが特に好ましく、また、10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)は、(メタ)アクリル系単量体に由来する単位として、またはそれ以外の単位として、上記の硬化性単量体およびモノ(メタ)アクリル酸エステル以外の他の単量体に由来する単位を含んでいてもよい。
上記他の単量体としては、例えば、α−メトキシアクリル酸メチル、α−エトキシアクリル酸メチル等のα−アルコキシアクリル酸エステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸エステル;3−メトキシアクリル酸エステル等の3−アルコキシアクリル酸エステル;N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド;N−イソプロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド;2−フェニルアクリル酸メチル、2−フェニルアクリル酸エチル、2−ブロモアクリル酸n−ブチル、2−ブロモメチルアクリル酸メチル、2−ブロモメチルアクリル酸エチル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、エチルイソプロペニルケトンなどが挙げられる。これらの他の単量体は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)を構成する全単量体単位のモル数に対する上記他の単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)の数平均分子量(Mn)に特に制限はないが、得られるビニル系重合体の取り扱い性、流動性、力学特性などの点から、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、また、1,000,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがより好まし、50,000以下であることがさらに好ましい。
((メタ)アクリル系重合体ブロック(b))
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、上記の硬化性官能基を実質的に有さない(メタ)アクリル系重合体ブロックである。ここで、上記の硬化性官能基を実質的に有さない場合の例としては、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成する全単量体単位のモル数に対する上記の硬化性官能基のモル数の占める割合が、例えば5モル%未満、3モル%未満、1モル%未満、0.5モル%未満、さらには0モル%である場合などが挙げられる。(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成する全単量体単位のモル数に対する(メタ)アクリル系単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、30モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることが特に好ましく、100モル%であってもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、上記の硬化性官能基を実質的に有さない(メタ)アクリル系重合体ブロックである。ここで、上記の硬化性官能基を実質的に有さない場合の例としては、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成する全単量体単位のモル数に対する上記の硬化性官能基のモル数の占める割合が、例えば5モル%未満、3モル%未満、1モル%未満、0.5モル%未満、さらには0モル%である場合などが挙げられる。(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成する全単量体単位のモル数に対する(メタ)アクリル系単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、30モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましく、95モル%以上であることが特に好ましく、100モル%であってもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、(メタ)アクリル系単量体に由来する単位として、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位を含むことができる。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、モノアクリル酸エステル、モノメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
上記モノアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、アクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピルなどが挙げられる。
上記モノメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、メタクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピルなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数4以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数6以上のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチルがより好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−メトキシエチルがさらに好ましい。なお、これらの(メタ)アクリル酸エステルは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成する全単量体単位のモル数に対する上記(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)は、(メタ)アクリル系単量体に由来する単位として、またはそれ以外の単位として、上記の(メタ)アクリル酸エステル以外の他の単量体に由来する単位を含んでいてもよい。
上記他の単量体としては、例えば、α−メトキシアクリル酸メチル、α−エトキシアクリル酸メチル等のα−アルコキシアクリル酸エステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸エステル;3−メトキシアクリル酸エステル等の3−アルコキシアクリル酸エステル;N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド;N−イソプロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド;2−フェニルアクリル酸メチル、2−フェニルアクリル酸エチル、2−ブロモアクリル酸n−ブチル、2−ブロモメチルアクリル酸メチル、2−ブロモメチルアクリル酸エチル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、エチルイソプロペニルケトンなどが挙げられる。これらの他の単量体は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)を構成する全単量体単位のモル数に対する上記他の単量体に由来する単位のモル数の占める割合は、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の数平均分子量(Mn)に特に制限はないが、得られるビニル系重合体の取り扱い性、流動性、力学特性などの点から、3,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましく、また、5,000,000以下であることが好ましく、1,000,000以下であることがより好ましく、200,000以下であることがさらに好ましい。
ビニル系重合体が上記の硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と、上記の硬化性官能基を実質的に有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)とを有するものである場合、少なくとも1個の(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と少なくとも1個の(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が互いに結合したブロック共重合体であることが好ましい。ビニル系重合体が上記の硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と、上記の硬化性官能基を実質的に有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)とを有するものである場合、各重合体ブロックの数および結合順序に特に制限はないが、ビニル系重合体の製造容易性の観点から、1個の(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と1個の(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)が結合したジブロック共重合体および1個の(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の両端に(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)各1個がそれぞれ結合したトリブロック共重合体が好ましい。このようにビニル系重合体の両末端のブロックが上記の硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)であることで、この(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)同士が熱硬化性樹脂組成物の硬化時に相互作用し、網目構造を形成するため、得られる硬化物の靱性がより一層向上すると考えられる。
ビニル系重合体が上記の硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と、上記の硬化性官能基を実質的に有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)とを有するものである場合、(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)との構成割合としては、質量比([(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)の質量]:[(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の質量])で、1:99〜90:10が好ましく、2:98〜75:25がより好ましく、5:95〜70:30、さらには10:90〜60:40であってもよい。(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の合計に対する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)の割合が1質量%以上であると硬化速度が向上する。一方、(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)の割合が10質量%以上であると硬化物の靱性が向上する。
ビニル系重合体の製造方法に特に制限はなく、ビニル基を有する単量体を重合することのできる方法を採用することができ、例えば、アニオン重合法またはラジカル重合法が好ましい。重合制御の観点からは、リビングアニオン重合法、リビングラジカル重合法等のリビング重合法が好ましい。ラジカル重合法を採用すれば、接着性などの観点から水酸基やカルボキシル基等のアニオン重合を阻害する極性基を導入する際に、これらを比較的容易に導入することができる。
リビングラジカル重合法としては、ポリスルフィド等の連鎖移動剤を用いる重合法、コバルトポルフィリン錯体を用いる重合法、ニトロキシドを用いる重合法(国際公開第2004/014926号等を参照)、有機テルル化合物等の高周期ヘテロ元素化合物を用いる重合法(特許第3839829号明細書等を参照)、可逆的付加脱離連鎖移動重合法(RAFT)(特許第3639859号明細書等を参照)、原子移動ラジカル重合法(ATRP)(特許第3040172号明細書や国際公開第2004/013192号等を参照)などが挙げられる。これらのリビングラジカル重合法の中でも、原子移動ラジカル重合法が好ましく、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、Fe、Ru、NiおよびCuからなる群より選ばれる少なくとも1種を中心金属とする金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法がより好ましい。
リビングアニオン重合法としては、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてリビング重合する方法(特開平6−93060号公報等を参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(特表平5−507737号公報等を参照)、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法(特開平11−335432号公報や国際公開第2013/141105号等を参照)などが挙げられる。
本発明で用いられる重合体(A)の数平均分子量(Mn)に特に制限はなく、例えば、当該数平均分子量(Mn)が1,000以上、2,000以上、さらには2,500以上の重合体を用いることができるが、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、4,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、7,000以上であることがさらに好ましく、また、7,000,000以下であることが好ましく、3,000,000以下であることがより好ましく、2,000,000以下であることがさらに好ましい。重合体(A)の数平均分子量(Mn)が上記下限以上であることにより、得られる硬化物の強度が向上する。一方、重合体(A)の数平均分子量(Mn)が上記上限以下であることにより、気泡の抜け性が向上し、また数平均分子量(Mn)の過大に伴う過度の粘度上昇防止のため、例えば重合体(A)の配合量を少なくした際に、得られる硬化物の靱性が低下する問題を解消することができる。
重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)に特に制限はないが、熱硬化性樹脂組成物からのブリードアウトやタック感を抑制することができることなどから、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は通常1以上である。
なお、本明細書における数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を表す。
なお、本明細書における数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、それぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を表す。
<熱硬化性樹脂(B)>
本発明で用いられる熱硬化性樹脂(B)の種類に特に制限はなく、熱硬化性樹脂として知られているものを目的の用途などに応じて適宜選択して用いることができ、例えば、反応前において液状の比較的低分子の化合物および/または反応性を有する重合物などからなり、熱、光、触媒等の作用によって架橋反応を起こし、三次元網状構造を形成して硬化することのできる樹脂を好ましく使用することができる。本発明で用いられる熱硬化性樹脂(B)は、必ずしもその硬化に加熱を必要とするものでなくてもよい。気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、熱硬化性樹脂(B)としては、分子量が360以上のものを好ましく使用することができる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂(B)の種類に特に制限はなく、熱硬化性樹脂として知られているものを目的の用途などに応じて適宜選択して用いることができ、例えば、反応前において液状の比較的低分子の化合物および/または反応性を有する重合物などからなり、熱、光、触媒等の作用によって架橋反応を起こし、三次元網状構造を形成して硬化することのできる樹脂を好ましく使用することができる。本発明で用いられる熱硬化性樹脂(B)は、必ずしもその硬化に加熱を必要とするものでなくてもよい。気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、熱硬化性樹脂(B)としては、分子量が360以上のものを好ましく使用することができる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂(B)として具体的には、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、エステル(メタ)アクリレート樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ケイ素樹脂、イミド樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、アリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが挙げられる。これらの中でも、入手性および硬化物の基本物性の観点や、また、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびエポキシ(メタ)アクリレート樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、中でも、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、エポキシ樹脂であることが特に好ましい。
上記のエポキシ樹脂の種類に特に制限はなく、様々な性状、エポキシ当量、分子量、分子構造などを有するエポキシ樹脂を使用することができる。エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族型エポキシ樹脂、脂環族型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点からエポキシ樹脂は、ビスフェノールA系エポキシ樹脂であることが好ましい。またエポキシ樹脂としては、常温で液状のものが好ましい。好ましいエポキシ樹脂の市販品としては例えば、「jER828」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
上記の不飽和ポリエステル樹脂の種類に特に制限はなく、種々の公知の不飽和ポリエステル樹脂を使用することができる。不飽和ポリエステル樹脂の具体例としては、例えば、オルソ系不飽和ポリエステル樹脂、イソ系不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの不飽和ポリエステル樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。不飽和ポリエステル樹脂としては、スチレンやメタクリル酸メチルなどで希釈されるなどした常温で液状のものが好ましい。
上記のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の種類に特に制限はなく、種々の公知のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を使用することができる。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノール系エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ノボラック系エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、スチレンやメタクリル酸メチルなどで希釈されるなどした常温で液状のものが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における、重合体(A)と熱硬化性樹脂(B)との比率に特に制限はないが、得られる硬化物における熱硬化性樹脂(B)の特性をより効果的に発現させることができると共に、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性および耐熱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、熱硬化性樹脂(B)100質量部に対して、重合体(A)を0.1質量部以上含むことが好ましく、1質量部以上含むことがより好ましく、3質量部以上含むことがさらに好ましく、5質量部以上含むことが特に好ましく、また、50質量部以下含むことが好ましく、20質量部以下含むことがより好ましく、10質量部以下含むことがさらに好ましく、8質量部以下含むことが特に好ましい。
また本発明の熱硬化性樹脂組成物における、重合体(A)と熱硬化性樹脂(B)の合計の含有率は、目的とする用途などに応じて適宜調整することができるが、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましく、70質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、さらには100質量%であってもよい。また、後述するように本発明の熱硬化性樹脂組成物が重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)以外の成分を含む場合において、上記含有率は、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、さらには95質量%以下であってもよい。
<ビニル系化合物(C)>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)の他にさらにビニル系化合物(C)を含んでいてもよい。本発明の熱硬化性樹脂組成物がビニル系化合物(C)を含むと、得られる硬化物の靱性がより一層向上する。当該ビニル系化合物(C)としては、重合体(A)を溶解させて熱硬化性樹脂組成物のハンドリング性を向上させることができ、また熱硬化性樹脂組成物の硬化時にはそれ自体も反応して硬化物の一部を構成することができるような低分子量のビニル基を有する化合物を好ましく使用することができる。当該ビニル系化合物(C)は、大気圧下での沸点が100℃以上であることが望ましく、このようなビニル系化合物(C)は揮発性が高すぎず、開放系での塗工法を採用する場合などにおいて、熱硬化性樹脂組成物の組成が変化するのを抑制することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)の他にさらにビニル系化合物(C)を含んでいてもよい。本発明の熱硬化性樹脂組成物がビニル系化合物(C)を含むと、得られる硬化物の靱性がより一層向上する。当該ビニル系化合物(C)としては、重合体(A)を溶解させて熱硬化性樹脂組成物のハンドリング性を向上させることができ、また熱硬化性樹脂組成物の硬化時にはそれ自体も反応して硬化物の一部を構成することができるような低分子量のビニル基を有する化合物を好ましく使用することができる。当該ビニル系化合物(C)は、大気圧下での沸点が100℃以上であることが望ましく、このようなビニル系化合物(C)は揮発性が高すぎず、開放系での塗工法を採用する場合などにおいて、熱硬化性樹脂組成物の組成が変化するのを抑制することができる。
上記のビニル系化合物(C)としては、代表的なものとして単官能ビニル系化合物(C−1)を用いることができる。
単官能ビニル系化合物(C−1)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリシクロデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、アクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、メタクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル等のメタクリル酸エステル;スチレン、インデン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル;酢酸ビニル;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;アクリロニトリル等のその他のビニル系化合物;などが挙げられる。これらの単官能ビニル系化合物(C−1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単官能ビニル系化合物(C−1)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリシクロデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、アクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸2−(トリメチルシリルオキシ)エチル、メタクリル酸3−(トリメチルシリルオキシ)プロピル等のメタクリル酸エステル;スチレン、インデン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル;酢酸ビニル;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;アクリロニトリル等のその他のビニル系化合物;などが挙げられる。これらの単官能ビニル系化合物(C−1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の単官能ビニル系化合物(C−1)の中でも、得られる硬化物の力学特性を向上させることができると共に、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニルおよび共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、炭素数15以下(例えば、炭素数13以下、さらには炭素数11以下)のアクリル酸エステル、炭素数16以下(例えば、炭素数14以下、さらには炭素数12以下)のメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ブタジエンおよびイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、炭素数15以下(例えば、炭素数13以下、さらには炭素数11以下)のアクリル酸エステルおよび炭素数16以下(例えば、炭素数14以下、さらには炭素数12以下)のメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
またビニル系化合物(C)としては、複数の重合性基を有する多官能ビニル系化合物(C−2)を単独で、あるいは好ましくは上記した単官能ビニル系化合物(C−1)と共に用いることができる。
多官能ビニル系化合物(C−2)としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリス(2−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)エチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジアクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジアクリレート、グリシジルアクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、トリス(2−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)エチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジメタクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メタクリレートなどが挙げられる。
多官能ビニル系化合物(C−2)としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリス(2−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)エチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジアクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジアクリレート、グリシジルアクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、トリス(2−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)エチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジメタクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メタクリレートなどが挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物がビニル系化合物(C)を含む場合、その含有量に特に制限はないが、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)の合計100質量部に対して、ビニル系化合物(C)を0.1質量部以上含むことが好ましく、0.5質量部以上含むことがより好ましく、2質量部以上含むことがさらに好ましく、4質量部以上含むことが特に好ましく、また、100質量部以下含むことが好ましく、50質量部以下含むことがより好ましく、20質量部以下含むことがさらに好ましく、15質量部以下含むことが特に好ましく、10質量部以下、さらには8質量部以下含んでいてもよい。
<硬化剤(D)>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)の他にさらに硬化剤(D)を含んでいてもよい。当該硬化剤(D)としては、重合体(A)、熱硬化性樹脂(B)、ビニル系化合物(C)などの反応(硬化)を開始ないし促進させることのできるものを好ましく使用することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)の他にさらに硬化剤(D)を含んでいてもよい。当該硬化剤(D)としては、重合体(A)、熱硬化性樹脂(B)、ビニル系化合物(C)などの反応(硬化)を開始ないし促進させることのできるものを好ましく使用することができる。
当該硬化剤(D)の種類に特に制限はないが、熱硬化性樹脂(B)がエポキシ樹脂である場合は、硬化物(D)として、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、酸無水物系化合物、フェノールノボラック樹脂等の重付加型硬化剤;芳香族第3級アミン、イミダゾール系化合物(例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、ルイス酸錯体等の触媒型硬化剤などが挙げられる。また特にビニル系化合物(C)を配合する場合などにおいては、得られる硬化物の靱性がより一層向上するなどの観点から、硬化物(D)として、例えば、ケトンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル(例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等)等の過酸化有機化合物なども挙げられる。これらの硬化剤(D)は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、重合体(A)、熱硬化性樹脂(B)、ビニル系化合物(C)などの反応性(硬化性)をより高めたい場合は、2種以上の硬化剤(D)を使用するのが好ましく、上記のようにビニル化合物(C)を配合する場合には、上記した過酸化有機化合物を硬化物(D)の少なくとも一部として用いることが好ましい。
また熱硬化性樹脂(B)が不飽和ポリエステル樹脂および/またはエポキシ(メタ)アクリレート樹脂である場合は、硬化物(D)として、例えば、ケトンパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル(例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等)等の過酸化有機化合物などが挙げられる。また、反応(硬化)を促進させるため、ナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト等の有機金属塩、アミン類などを用いることもできる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、紫外線、X線、γ線等の電磁波や、電子線、プロトン線、中性子線といった活性エネルギー線を照射することにより重合体(A)や熱硬化性樹脂(B)などの反応(硬化)を促進させる活性エネルギー線重合開始剤を含んでいてもよいが、高価な当該活性エネルギー線重合開始剤を使用する必要がなく、また煩雑な活性エネルギー線の照射をせずにより簡便に目的の硬化物が得られ、さらに、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、本発明の熱硬化性樹脂組成物はこのような活性エネルギー線重合開始剤を含まないことが好ましい。
上記の活性エネルギー線重合開始剤としては、例えば、活性エネルギー線を照射することによりラジカルを発生する化合物、活性エネルギー線を照射することによりカチオンを発生する化合物、活性エネルギー線を照射することにより塩基を発生する化合物などが挙げられる。活性エネルギー線を照射することによりラジカルを発生する化合物としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、ベンゾイン類等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、チオキサントン等の硫黄化合物などが挙げられる。活性エネルギー線を照射することによりカチオンを発生する化合物としては、例えば、スルホニウム塩系開始剤、ヨードニウム塩系開始剤等のオニウム塩系開始剤、スルホン酸誘導体、カルボン酸エステル類、アリールジアゾニウム塩、鉄アレーン錯体、ピリジニウム塩、キノリニウム塩、O−ニトロベンジル基含有化合物などが挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が硬化剤(D)を含む場合、その含有量に特に制限はないが、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)の合計100質量部に対して、硬化剤(D)を0.01質量部以上含むことが好ましく、0.1質量部以上含むことがより好ましく、0.5質量部以上含むことがさらに好ましく、1質量部以上含むことが特に好ましく、2質量部以上含むことが最も好ましく、また、20質量部以下含むことが好ましく、10質量部以下含むことがより好ましく、5質量部以下含むことがさらに好ましく、3質量部以下含むことが特に好ましい。
<その他の成分>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、各種用途などに応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知のゴム、熱可塑性エラストマー、コア−シェル粒子等の衝撃改質剤、充填剤(シリカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機粒子など)、難燃剤、消泡剤、顔料、染料、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、離型剤など、上記した重合体(A)、熱硬化性樹脂(B)、ビニル系化合物(C)および硬化剤(D)以外のその他の成分をさらに含んでいてもよい。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、これらの他の成分のうちの1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、各種用途などに応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知のゴム、熱可塑性エラストマー、コア−シェル粒子等の衝撃改質剤、充填剤(シリカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機粒子など)、難燃剤、消泡剤、顔料、染料、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、離型剤など、上記した重合体(A)、熱硬化性樹脂(B)、ビニル系化合物(C)および硬化剤(D)以外のその他の成分をさらに含んでいてもよい。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、これらの他の成分のうちの1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が上記の他の成分を含む場合、その含有量に特に制限はないが、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる熱硬化性樹脂組成物が得られるなどの観点から、重合体(A)および熱硬化性樹脂(B)の合計100質量部に対して、その他の成分を0.01質量部以上含むことが好ましく、0.1質量部以上含むことがより好ましく、1質量部以上含むことがさらに好ましく、また、50質量部以下含むことが好ましく、20質量部以下含むことがより好ましく、5質量部以下含むことがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の製造方法に特に制限はなく、例えば、上記した重合体(A)、熱硬化性樹脂(B)および他の任意成分(ビニル系化合物(C)、硬化剤(D)など)を混合、撹拌することにより簡便に製造することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、靭性に優れた硬化物を与えることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物を60℃で4時間加熱した後にさらに150℃で4時間加熱して硬化することにより得られる長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を用いてJIS K 7171:2016の規定に従い測定される曲げ強さは、70MPa以上であることが好ましく、80MPa以上であることがより好ましく、90MPa以上であってもよい。当該曲げ強さの上限に特に制限はないが、当該曲げ強さは、例えば、300MPa以下とすることができる。当該曲げ強さは、例えば、試験速度2mm/分、支点間距離64mm、測定温度23℃、相対湿度50%RHの条件下で測定すればよい。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物を60℃で4時間加熱した後にさらに150℃で4時間加熱して硬化することにより得られる長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を用いてJIS K 7171:2016の規定に従い測定される曲げ強さ曲げひずみは、4%以上であることが好ましく、4.5%以上であることがより好ましく、5%以上であることがさらに好ましく、5.5%以上であってもよい。当該曲げ強さ曲げひずみの上限に特に制限はないが、当該曲げ強さ曲げひずみは、例えば、10%以下とすることができる。当該曲げ強さ曲げひずみは、例えば、試験速度2mm/分、支点間距離64mm、測定温度23℃、相対湿度50%RHの条件下で測定すればよい。
本発明は、上記した本発明の熱硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化物を包含する。当該本発明の硬化物は靱性に優れる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて本発明の硬化物を得る際の手法に特に制限はなく、例えば、型内に本発明の熱硬化性樹脂組成物を配した後に硬化する方法、基材上に本発明の熱硬化性樹脂組成物を塗工等によって配した後に硬化する方法などが挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化する際の温度に特に制限はなく、用いる硬化剤(D)の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば室温で硬化させることもできる。具体的な硬化温度としては、靱性により一層優れた硬化物を得ることができ、また工業的な観点などから、10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましく、また、200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましく、160℃以下であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化する際の硬化時間に特に制限はないが、靱性により一層優れた硬化物を得ることができ、また工業的な観点などから、1分間以上であることが好ましく、30分間以上であることがより好ましく、1時間以上であることがさらに好ましく、また、7日間以下であることが好ましく、24時間以下であることがより好ましく、12時間以下であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物ないし本発明の硬化物の用途に特に制限はないが、本発明の熱硬化性樹脂組成物によれば、靭性に優れた硬化物を与えることができることなどから、電気電子分野、建築土木分野、運輸運送分野(自動車分野等)など、幅広い分野で好ましく使用することができる。具体的な用途としては、例えば、繊維補強複合材用接着剤(コンクリート用繊維補強複合材料用接着剤、自動車・鉄道車両・航空機といった運輸運送装置用繊維補強複合材料用接着剤、各種スポーツ用品用繊維補強複合材料用接着剤等)、組み立て用接着剤(自動車・鉄道車両・航空機といった運輸運送装置における部品組み立て用接着剤等)などの各種接着剤;上下水道用防食・防水塗料、金属用防食塗料などの各種塗料;建築土木用塗装プライマー、自動車・鉄道車両・航空機といった運輸運送装置用の塗装プライマーなどの各種塗装プライマー;金属用ライニング材、コンクリート用ライニング材、タンク類用ライニング材などの各種ライニング材;コンクリート用亀裂補修材などの各種補修材;プリント配線基板、絶縁ボード、半導体封止材、パッケージ材などの各種電気電子部品などが挙げられる。これらの中でも、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それからなる接着剤として用いることが好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の合成例、実施例および比較例において採用された、単量体の消費率、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)並びに熱硬化性樹脂組成物の性能(硬化物の曲げ特性、硬化物の耐熱性および気泡の抜け性)の各測定ないし評価方法を以下に示す。
[単量体の消費率]
以下の各合成例における各単量体の消費率は、次の方法により算出した。すなわち、反応液0.5mLを採取してメタノール0.5mL中に入れて混合後、該混合液から0.1mLを採取して、重クロロホルム0.5mLに溶解させて1H−NMR測定を下記の測定条件で行い、単量体として用いた(メタ)アクリル酸エステルの炭素−炭素二重結合に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値5.79〜6.37ppm)および溶媒として用いたトルエンの芳香環に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値7.00〜7.38ppm)の積分値の比率の変化から算出した。
(1H−NMR測定条件)
装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「JNM−ECX400」
温度:25℃
以下の各合成例における各単量体の消費率は、次の方法により算出した。すなわち、反応液0.5mLを採取してメタノール0.5mL中に入れて混合後、該混合液から0.1mLを採取して、重クロロホルム0.5mLに溶解させて1H−NMR測定を下記の測定条件で行い、単量体として用いた(メタ)アクリル酸エステルの炭素−炭素二重結合に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値5.79〜6.37ppm)および溶媒として用いたトルエンの芳香環に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値7.00〜7.38ppm)の積分値の比率の変化から算出した。
(1H−NMR測定条件)
装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「JNM−ECX400」
温度:25℃
[数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)]
以下の各合成例において得られた重合体のGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)測定を下記の測定条件で行い、標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および数平均分子量(Mw)の値を求めると共に分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
(GPC測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC装置「HLC−8220GPC」
分離カラム:東ソー株式会社製 「TSKgel SuperMultiporeHZ−M(カラム径=4.6mm、カラム長=15cm)」(2本を直列に繋いで使用)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
以下の各合成例において得られた重合体のGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)測定を下記の測定条件で行い、標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および数平均分子量(Mw)の値を求めると共に分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
(GPC測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC装置「HLC−8220GPC」
分離カラム:東ソー株式会社製 「TSKgel SuperMultiporeHZ−M(カラム径=4.6mm、カラム長=15cm)」(2本を直列に繋いで使用)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
[熱硬化性樹脂組成物の性能]
(硬化物の曲げ特性)
以下の実施例または比較例で得られた注型板より長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を切り出し、これを用いて、日本工業規格JIS K 7171:2016に記載された方法に従い、曲げ強さおよび曲げ強さ曲げひずみを測定し、硬化物の曲げ特性の指標とした。なお測定条件としては、試験速度2mm/分、支点間距離64mm、測定温度23℃、相対湿度50%RHとした。また測定は5回実施し、その平均値を求めた。
(硬化物の曲げ特性)
以下の実施例または比較例で得られた注型板より長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を切り出し、これを用いて、日本工業規格JIS K 7171:2016に記載された方法に従い、曲げ強さおよび曲げ強さ曲げひずみを測定し、硬化物の曲げ特性の指標とした。なお測定条件としては、試験速度2mm/分、支点間距離64mm、測定温度23℃、相対湿度50%RHとした。また測定は5回実施し、その平均値を求めた。
(硬化物の耐熱性)
以下の実施例または比較例で得られた注型板より長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を切り出し、これを用いて、日本工業規格JIS K 7191−2:2015の方法に従い、荷重たわみ温度の測定を行い、その測定値を耐熱性の指標とした。なお測定条件としては、曲げ応力1.80MPa、支点間距離64mm、昇温速度120℃/時間、熱媒体:シリコーンオイルとした。また測定は2回実施し、その平均値を求めた。
以下の実施例または比較例で得られた注型板より長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を切り出し、これを用いて、日本工業規格JIS K 7191−2:2015の方法に従い、荷重たわみ温度の測定を行い、その測定値を耐熱性の指標とした。なお測定条件としては、曲げ応力1.80MPa、支点間距離64mm、昇温速度120℃/時間、熱媒体:シリコーンオイルとした。また測定は2回実施し、その平均値を求めた。
(気泡の抜け性)
以下の実施例または比較例で得られた注型板について、その表面の気泡の有無を目視にて評価し、その結果を気泡の抜け性の指標とした。
以下の実施例または比較例で得られた注型板について、その表面の気泡の有無を目視にて評価し、その結果を気泡の抜け性の指標とした。
[合成例1]
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した5Lのフラスコにトルエン1,800gを添加した後、撹拌しながら、さらに、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン2.5g、およびイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを23質量%含むトルエン溶液67gを順次添加して、−30℃に冷却した。
これにsec−ブチルリチウムを12質量%含むシクロヘキサン溶液6.5gを加え、その後、単量体として1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート(以下、DMAと略称する)3.6gとメタクリル酸メチル(以下、MMAと略称する)130gとの混合物133.6gを一括で添加し、アニオン重合を開始し、反応液を−30℃で12時間撹拌した。
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した5Lのフラスコにトルエン1,800gを添加した後、撹拌しながら、さらに、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン2.5g、およびイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを23質量%含むトルエン溶液67gを順次添加して、−30℃に冷却した。
これにsec−ブチルリチウムを12質量%含むシクロヘキサン溶液6.5gを加え、その後、単量体として1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート(以下、DMAと略称する)3.6gとメタクリル酸メチル(以下、MMAと略称する)130gとの混合物133.6gを一括で添加し、アニオン重合を開始し、反応液を−30℃で12時間撹拌した。
(工程(2))
引き続き、反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてアクリル酸n−ブチル(以下、BAと略称する)280gを添加して、2時間反応させた。
引き続き、反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてアクリル酸n−ブチル(以下、BAと略称する)280gを添加して、2時間反応させた。
(工程(3))
引き続き、反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてDMA3.6gとMMA130gとの混合物133.6gを添加した後、25℃に昇温した。上記混合物の添加から120分後にメタノールを18g加えることによりアニオン重合を停止させて、硬化性官能基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)−硬化性官能基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)−硬化性官能基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)(a−b−a)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は51,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。
引き続き、反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてDMA3.6gとMMA130gとの混合物133.6gを添加した後、25℃に昇温した。上記混合物の添加から120分後にメタノールを18g加えることによりアニオン重合を停止させて、硬化性官能基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)−硬化性官能基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)−硬化性官能基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)(a−b−a)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は51,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。
(工程(4))
次いで得られた溶液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノール割合90質量%)中に注ぎ、析出した沈殿物をろ過で回収し減圧乾燥することで480gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「ビニル系重合体(1)」と称する)を得た。
次いで得られた溶液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノール割合90質量%)中に注ぎ、析出した沈殿物をろ過で回収し減圧乾燥することで480gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「ビニル系重合体(1)」と称する)を得た。
[合成例2]
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した5Lのフラスコにトルエン1,800gを添加した後、撹拌しながら、さらに、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン1.8g、およびイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを23質量%含むトルエン溶液36gを順次添加して、−30℃に冷却した。
これにsec−ブチルリチウムを9質量%含むシクロヘキサン溶液5.0gを加え、その後、単量体としてDMA5.0gとMMA4.2gとの混合物9.2gを一括で添加し、アニオン重合を開始し、反応液を−30℃で12時間撹拌して反応液をサンプリングした。工程(1)におけるDMAおよびMMAの消費率は100%であった。
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した5Lのフラスコにトルエン1,800gを添加した後、撹拌しながら、さらに、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン1.8g、およびイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを23質量%含むトルエン溶液36gを順次添加して、−30℃に冷却した。
これにsec−ブチルリチウムを9質量%含むシクロヘキサン溶液5.0gを加え、その後、単量体としてDMA5.0gとMMA4.2gとの混合物9.2gを一括で添加し、アニオン重合を開始し、反応液を−30℃で12時間撹拌して反応液をサンプリングした。工程(1)におけるDMAおよびMMAの消費率は100%であった。
(工程(2))
引き続き、反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてアクリル酸2−メトキシエチル(以下、2−MEAと略称する)250gとアクリル酸2−エチルヘキシル(以下、2−EHAと略称する)250gとの混合物500gを8g/分の速度で添加した。単量体の添加終了直後に反応液をサンプリングした。工程(2)における2−MEAおよび2−EHAの消費率は100%であった。
引き続き、反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてアクリル酸2−メトキシエチル(以下、2−MEAと略称する)250gとアクリル酸2−エチルヘキシル(以下、2−EHAと略称する)250gとの混合物500gを8g/分の速度で添加した。単量体の添加終了直後に反応液をサンプリングした。工程(2)における2−MEAおよび2−EHAの消費率は100%であった。
(工程(3))
引き続き、反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてDMA5.0gとMMA4.0gとの混合物9.0gを一括で添加した後、25℃に昇温した。上記混合物の添加から300分後に反応液をサンプリングした。工程(3)におけるDMAおよびMMAの消費率は100%であった。
引き続き、反応液を−30℃で撹拌しつつ、単量体としてDMA5.0gとMMA4.0gとの混合物9.0gを一括で添加した後、25℃に昇温した。上記混合物の添加から300分後に反応液をサンプリングした。工程(3)におけるDMAおよびMMAの消費率は100%であった。
(工程(4))
引き続き、反応液を25℃で撹拌しつつ、メタノールを40g加えることによりアニオン重合を停止させて、硬化性官能基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)−硬化性官能基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)−硬化性官能基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)(a−b−a)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は95,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.23であった。
引き続き、反応液を25℃で撹拌しつつ、メタノールを40g加えることによりアニオン重合を停止させて、硬化性官能基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)−硬化性官能基を有さないアクリル系重合体ブロック(b)−硬化性官能基を有するメタクリル系重合体ブロック(a)(a−b−a)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は95,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.23であった。
(工程(5))
次いで得られた溶液を5000gのメタノール中に注ぎ、油状沈殿物を析出させた。油状沈殿物を回収後に乾燥することで410gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「ビニル系重合体(2)」と称する)を得た。
次いで得られた溶液を5000gのメタノール中に注ぎ、油状沈殿物を析出させた。油状沈殿物を回収後に乾燥することで410gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「ビニル系重合体(2)」と称する)を得た。
[実施例1]
配合工程1:撹拌翼を備えた300mlの三口フラスコに、重合体(A)として合成例1で得られたビニル系重合体(1)5gと、ビニル系化合物(C)としてMMA5gとを加えて、室温で撹拌した。
配合工程2:配合工程1においてビニル系重合体(1)が溶解したことを確認した後、熱硬化性樹脂(B)として市販のエポキシ樹脂「jER828」(三菱化学(株)製)90gを加えて、60℃で20分間撹拌した。
配合工程3:配合工程2で得られた配合物を室温まで冷却した後に、硬化剤(D)として「パーブチルO」(日本油脂(株)製)0.05gと、同じく硬化剤(D)として「キュアゾール2E4MZ」(四国化成工業(株)製)2.7gとを加えて、室温で撹拌して熱硬化性樹脂組成物を得た。
注型工程:縦10cm、横10cm、厚さ0.4cmの熱硬化性樹脂組成物の注型板を得ることのできるアルミニウム製の注型型枠に、配合工程3で得られた熱硬化性樹脂組成物を流し込み、60℃で4時間静置し、さらに150℃で4時間静置し、その後、室温まで冷却して注型型枠を外し、注型板を得た。
評価工程:注型工程で得られた注型板について、上記した方法により各測定ないし評価を行った。結果を表1に示す。
配合工程1:撹拌翼を備えた300mlの三口フラスコに、重合体(A)として合成例1で得られたビニル系重合体(1)5gと、ビニル系化合物(C)としてMMA5gとを加えて、室温で撹拌した。
配合工程2:配合工程1においてビニル系重合体(1)が溶解したことを確認した後、熱硬化性樹脂(B)として市販のエポキシ樹脂「jER828」(三菱化学(株)製)90gを加えて、60℃で20分間撹拌した。
配合工程3:配合工程2で得られた配合物を室温まで冷却した後に、硬化剤(D)として「パーブチルO」(日本油脂(株)製)0.05gと、同じく硬化剤(D)として「キュアゾール2E4MZ」(四国化成工業(株)製)2.7gとを加えて、室温で撹拌して熱硬化性樹脂組成物を得た。
注型工程:縦10cm、横10cm、厚さ0.4cmの熱硬化性樹脂組成物の注型板を得ることのできるアルミニウム製の注型型枠に、配合工程3で得られた熱硬化性樹脂組成物を流し込み、60℃で4時間静置し、さらに150℃で4時間静置し、その後、室温まで冷却して注型型枠を外し、注型板を得た。
評価工程:注型工程で得られた注型板について、上記した方法により各測定ないし評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2、3、比較例1および2]
重合体(A)、熱硬化性樹脂(B)、ビニル系化合物(C)および硬化剤(D)の種類および量を表1に示したように変更したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物および注型板を作製し、上記した方法により各測定ないし評価を行った。結果を表1に示す。なお比較例2では、重合体(A)の代わりにコアシェル粒子を含む熱硬化性樹脂「カネエースMX153」((株)カネカ製)30gを使用した。
重合体(A)、熱硬化性樹脂(B)、ビニル系化合物(C)および硬化剤(D)の種類および量を表1に示したように変更したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物および注型板を作製し、上記した方法により各測定ないし評価を行った。結果を表1に示す。なお比較例2では、重合体(A)の代わりにコアシェル粒子を含む熱硬化性樹脂「カネエースMX153」((株)カネカ製)30gを使用した。
表1に示されるように、硬化性官能基を有する重合体(A)と熱硬化性樹脂(B)とを含む実施例1〜3の熱硬化性樹脂組成物は、いずれも、得られた注型板の表面に気泡が見られず気泡の抜け性が改良されており、しかも、曲げ強さおよび曲げ強さ曲げひずみの値の高い靱性に優れた硬化物を与えることが分かる。
これに対して、硬化性官能基を有する重合体(A)を使用していない比較例1では、例えば得られる硬化物の曲げ強さ曲げひずみの値が2.8%と低くて靱性に劣り、また、硬化性官能基を有する重合体(A)の代わりにコアシェル粒子を含む熱硬化性樹脂を使用した比較例2では、得られた注型板の表面に気泡が見られ、気泡の抜け性の点で劣ることが分かる。
これに対して、硬化性官能基を有する重合体(A)を使用していない比較例1では、例えば得られる硬化物の曲げ強さ曲げひずみの値が2.8%と低くて靱性に劣り、また、硬化性官能基を有する重合体(A)の代わりにコアシェル粒子を含む熱硬化性樹脂を使用した比較例2では、得られた注型板の表面に気泡が見られ、気泡の抜け性の点で劣ることが分かる。
Claims (16)
- 重合体(A)がビニル系重合体である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ビニル系重合体が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニルおよび共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する単位を含む、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ビニル系重合体がメタクリル酸メチルに由来する単位を含む、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ビニル系重合体がブロック共重合体またはグラフト共重合体である、請求項3〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ビニル系重合体が、硬化性官能基を有する(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)と、硬化性官能基を実質的に有さない(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)とを有する、請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂(B)が、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂(B)100質量部に対して、重合体(A)を0.1〜50質量部含む、請求項1〜8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ビニル系化合物(C)をさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- ビニル系化合物(C)が、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニルおよび共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 活性エネルギー線重合開始剤を含まない、請求項1〜11のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 60℃で4時間加熱した後にさらに150℃で4時間加熱して硬化することにより得られる長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を用いてJIS K 7171:2016の規定に従い測定される曲げ強さが70MPa以上である、請求項1〜12のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 60℃で4時間加熱した後にさらに150℃で4時間加熱して硬化することにより得られる長さ8cm×幅1cm×厚さ0.4cmの試験片を用いてJIS K 7171:2016の規定に従い測定される曲げ強さ曲げひずみが4%以上である、請求項1〜13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物が硬化してなる硬化物。
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---|---|---|---|
JP2017021486A JP2018127538A (ja) | 2017-02-08 | 2017-02-08 | 熱硬化性樹脂組成物 |
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KR20200073030A (ko) * | 2018-12-13 | 2020-06-23 | 황진상 | 저유전 조성물 및 이의 제조방법 |
-
2017
- 2017-02-08 JP JP2017021486A patent/JP2018127538A/ja active Pending
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KR102139925B1 (ko) | 2018-12-13 | 2020-07-31 | 황진상 | 저유전 조성물 |
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