JP2018127512A - 紫外線硬化型樹脂組成物、硬化皮膜及び積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの電子デバイスには、一般的に、硬化皮膜(ハードコート層)、又は、基材と基材上に設けられたハードコート層とを有する積層体(ハードコートフィルム)が用いられている。
このようなハードコートフィルムを形成するための紫外線硬化型樹脂組成物として、例えば、特許文献1には、(a)多官能(メタ)アクリレートと、(b)幹がアクリル樹脂からなる枝状ポリマーと、(c)希釈溶剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物において、レベリング剤を含まず、希釈溶剤は沸点の異なる溶剤の併用であることを特徴とする紫外線硬化型樹脂組成物が記載されている。
このようななか、本発明者は特許文献1を参考にして、多官能(メタ)アクリレートと、主鎖骨格がアクリル樹脂であるアクリル系ポリマーとを含有する組成物を調製しこれを評価したところ、このような組成物から得られる硬化皮膜は、透明性、基材への密着性及びリコート性が低く、並びに、上記硬化皮膜と基材とを有する積層体は例えば屈曲に対して、割れやすい場合があることが明らかとなった。
そこで、本発明は透明性、基材への密着性、リコート性、及び、耐破壊性(例えば屈曲に対する積層体の割れにくさ。以下同様。)に優れる紫外線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記紫外線硬化型樹脂組成物から形成される硬化皮膜、及び、基材と上記硬化皮膜とを有する積層体を提供することを目的とする。
多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物と、
フッ素原子含有基と親水性基と親油性基とを有するノニオン性オリゴマーと、
光重合開始剤とを含有する、紫外線硬化型樹脂組成物によって所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物と、
フッ素原子含有基と親水性基と親油性基とを有するノニオン性オリゴマーと、
光重合開始剤とを含有する、紫外線硬化型樹脂組成物。
2. 上記主鎖を構成するモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを少なくとも含む、上記1に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
3. 上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル及び2−メトキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、上記2に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
4. 上記多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物が、(メタ)アクリロイルオキシ基を複数有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、及び、複数の(メタ)アクリロイルオキシ基とウレタン基とを有するウレタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記1〜3のいずれかに記載の紫外線硬化型樹脂組成物。ただし、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物は、ウレタン基を有さない。
5. さらに、無機微粒子を含有する、上記1〜4のいずれかに記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
6. 上記1〜5のいずれかに記載の紫外線硬化型樹脂組成物から形成される硬化皮膜。
7. 基材と、上記6に記載の硬化皮膜とを備える、積層体。
8. 上記基材が、放電処理された基材である、上記7に記載の積層体。
また、本発明は、上記紫外線硬化型樹脂組成物から形成される硬化皮膜、及び、基材と上記硬化皮膜とを有する積層体を提供できる。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)および/またはメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)を意味するものとし、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基(CH2=CHCO−)および/またはメタクリロイル基(CH2=C(CH3)CO−)を意味するものとし、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味するものとし、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味するものとする。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、透明性、基材への密着性、リコート性、及び、耐破壊性のうちの少なくとも1つがより優れることを、本発明の効果がより優れるということがある。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物(本発明の組成物)は、
(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、主鎖が(メタ)アクリル系ポリマーである、(メタ)アクリル系重合体Aと、
多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物と、
フッ素原子含有基と親水性基と親油性基とを有するノニオン性オリゴマーと、
光重合開始剤とを含有する、紫外線硬化型樹脂組成物である。
なお、上記ノニオン性オリゴマーを以下「特定ノニオン性オリゴマー」と称する場合がある。
上述のとおり、本発明の組成物は(メタ)アクリル系重合体Aと多官能(メタ)アクリル化合物とを含有する。本発明において、(メタ)アクリル系重合体Aは多官能(メタ)アクリル化合物と反応し、本発明の組成物で形成された硬化皮膜は基材を保護できる。このため、基材が例えばCOPのような比較的脆いポリマーであっても、上記硬化皮膜は、基材が衝撃等によって破壊することを防ぐことができ、耐破壊性に優れると考えられる。
逆に、(メタ)アクリロイルオキシ基を有さない(メタ)アクリル系重合体を使用した場合、基材への密着性及び耐破壊性が低いと考えられる。後述する比較例1は、(メタ)アクリロイルオキシ基を有さない(メタ)アクリル系重合体を使用した場合、基材への密着性及び耐破壊性が不十分となることを示す。
本発明の組成物に含有される(メタ)アクリル系重合体Aは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、(メタ)アクリル系重合体Aの主鎖は(メタ)アクリル系ポリマーである。
上記(メタ)アクリル系重合体Aは、1分子中に、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個又は複数有することができる。
上記(メタ)アクリル系重合体A1分子が有する(メタ)アクリロイルオキシ基は、密着性及び耐破壊性により優れるという観点から、2〜6個が好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基は、(メタ)アクリル系重合体Aの末端に結合することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基は、(メタ)アクリル系重合体Aの複数の末端に結合することが好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基は、(メタ)アクリル系重合体Aの主鎖が直鎖状である場合、上記主鎖の両末端に結合することが好ましい。
上記(メタ)アクリル系重合体Aの主鎖は(メタ)アクリル系ポリマーである。
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するモノマーにおけるエチレン性不飽和結合が反応して形成される繰り返し単位を有するポリマーを意味する。
上記(メタ)アクリル系重合体Aの主鎖を構成するモノマーは、透明性により優れ、硬化性に優れる(例えば、硬度が高くなる、及び/又は、耐傷付き性に優れる。)という観点から、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを少なくとも含むことが好ましい。
上記Rは、水素原子又はメチル基である。
上記R1は、炭化水素基である。炭化水素基としては例えば、脂肪族炭化水素基(直鎖状、分岐状及び環状を含む。)、芳香族炭化水素基、並びに、これらの組合せが挙げられる。炭化水素基の炭素数は2〜10が好ましい。炭化水素基は、硬化性に優れる(例えば、硬度が高くなる、及び/又は、耐傷付き性に優れる。)という観点から、脂肪族炭化水素基が好ましい。
上記エチレン性不飽和結合を有するモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合が可能な化合物であれば特に制限されない。例えば、(メタ)アクリル酸;エチレン、プロピレン及びブテンのようなオレフィン;スチレンのようなビニル基を有する芳香族化合物が挙げられる。
具体的には例えば、ハロゲンのような反応性官能基を有する(メタ)アクリル系ポリマー(上記(メタ)アクリル系重合体Aの主鎖)を原子移動ラジカル重合のようなリビングラジカル重合で製造し、次いで、上記反応性官能基を(メタ)アクリロイルオキシ基に変換する方法が挙げられる。
原子移動ラジカル重合法としては、たとえばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュルズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁、サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号パンフレット、WO97/18247号パンフレットあるいはSawamotoら、マクロモレキュルズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁などに記載の方法があげられる。
反応性官能基を(メタ)アクリロイルオキシ基に変換する方法としては、例えば、上記反応性官能基を有する(メタ)アクリル系ポリマーと、式:M+−OC(O)C(Ra)=CH2(式中、Raは水素原子またはメチル基、M+はアルカリ金属イオンまたは4級アンモニウムイオンを表わす)で示される化合物との反応による方法が挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体Aの含有量は、透明性、耐破壊性により優れ、相溶性、レベリング性、光学特性、塗装時の作業性に優れるという観点から、後述する多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物100質量部に対して、3〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。
本発明の組成物に含有される多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物は、(メタ)アクリロイルオキシ基を複数(2個以上)有する化合物であれば特に限定されない。
多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物は、(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
なお、本発明において、多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物は、(メタ)アクリル系重合体Aを含まない。
また、多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物はフッ素原子を有さないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物が有する(メタ)アクリロイルオキシ基の数は、本発明の組成物の塗工性および硬化性が優れるという観点から、3個以上が好ましく、4〜15個がより好ましい。
有機基は特に制限されない。例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲンのようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基が挙げられる。有機基は、炭素原子及び水素原子のみで構成される炭化水素基であってもよい。
上記ヘテロ原子を有してもよい炭化水素基としては例えば、脂肪族炭化水素基(直鎖状、分岐状及び環状を含む。)、芳香族炭化水素基、並びに、これらの組合せが挙げられる。
上記有機基において、上記ヘテロ原子は、例えば、エーテル結合、ウレタン基(−N−CO−O−)、エステル結合、及び、イソシアヌレート環からなる群から選ばれる少なくとも1種を形成してもよい。上記エーテル結合は、例えば、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基を形成してもよい。
なお、多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物としての上記(メタ)アクリル酸エステル化合物は、ウレタン基を有さない。
多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物としての、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物は(メタ)アクリロイルオキシ基を複数有する化合物である。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物1分子が有する(メタ)アクリロイルオキシ基の数は、透明性、耐破壊性により優れ、相溶性、レベリング性、光学特性に優れるという観点から、2〜10個が好ましい。
上記有機基がエーテル結合を有する(メタ)アクリル酸エステル;
上記有機基がイソシアヌレート環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物としてのウレタン化合物は、複数の(メタ)アクリロイルオキシ基とウレタン基とを有する化合物である。
上記ウレタン化合物1分子が有する(メタ)アクリロイルオキシ基の数は、透明性により優れ、硬化性(例えば、硬度が高くなる、及び/又は、耐傷付き性に優れる。)、光学特性、相溶性に優れるという観点から、2〜15個が好ましい。
上記ウレタン化合物1分子が有するウレタン基の数は、耐破壊性、透明性により優れ、靭性、光学特性に優れるという観点から、1〜3個が好ましい。
ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのようなジペンタエリスリトール系化合物;
トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートのようなトリペンタエリスリトール系化合物が挙げられる。
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂肪族系ポリイソシアネート;
これらのイソシアヌレート体、ビューレット体、アダクト体等が挙げられる。
本発明の組成物に含有されるノニオン性オリゴマー(特定ノニオン性オリゴマー)は、フッ素原子含有基と親水性基と親油性基とを含有するノニオン性オリゴマーであれば特に制限されない。ここで、ノニオン性とは非イオン性を意味する。また、オリゴマーとは、数平均分子量で数百〜数万(好ましくは500〜50,000)の重合体を意味する。
なお、本明細書におけるノニオン性オリゴマーの数平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定されたポリスチレン換算値とする。
また、ノニオン性オリゴマーの骨格(主鎖)は、本発明の効果がより優れる理由から、ポリオキシエチレンエーテル系又は(メタ)アクリル系であることが好ましく、(メタ)アクリル系であることがより好ましい。上記(メタ)アクリル系は、ノニオン性オリゴマーの骨格(主鎖)が、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するモノマーにおけるエチレン性不飽和結合が反応して形成される繰り返し単位を有するポリマーであることを意味する。
フッ素原子含有基と親水性基と親油性基とは、上記主鎖に、直接又は有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。
以下では、まず、フッ素原子含有基、親水性基及び親油性基について詳述し、その後、好適な態様について詳述する。
フッ素原子含有基はフッ素原子を含有する基であれば特に制限されないが、少なくとも一部の水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素基であることが好ましい。全ての水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素基(パーフルオロ炭化水素基)であってもよい。
炭化水素基としては特に制限されないが、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらを組み合わせたものなどが挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基が好ましい。
上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよいが、分岐鎖状であることが好ましい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状または分岐状のアルキル基(特に、炭素数1〜50)、直鎖状または分岐状のアルケニル基(特に、炭素数2〜50)、直鎖状または分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2〜50)などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基、ナフチル基などが挙げられる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基などの炭素数6〜18のアリール基などが挙げられる。
分岐構造のフルオロ脂肪族炭化水素基は、分岐構造を有するアルキル基及び/又はアルケニル基で構成され、かつ少なくとも一部の水素原子がフッ素原子で置換されていることが好ましい。フルオロ脂肪族炭化水素基としては、例えば、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロイソブチル、パーフルオロs−ブチル、パーフルオロt−ブチル、パーフルオロイソペンチル、パーフルオロネオペンチル、パーフルオロt−ペンチル、パーフルオロイソヘキシル、パーフルオロ2−エチルヘキシル基などのパーフルオロC3-16アルキル基、又はこれらのアルキル基に対応するパーフルオロC3-16アルケニル基(例えば、パーフルオロネオペンタン−1−イル基、パーフルオロネオペンタン−2−イル基、パーフルオロt−ペンタン−1−イル基、パーフルオロt−ペンタン−2−イル基など)であってもよい。脂肪族炭化水素基は、高度に分岐した構造を有するのが好ましく、最も長い炭素鎖を基準にして2〜6個(好ましくは2〜4個)のアルキル基が分岐していてもよく、このアルキル鎖はメチル基であってもよく、炭素数2以上であるアルキル鎖(例えば、C2-4アルキル基)の場合は直鎖状であってもよくイソプロピル基などのように分岐していてもよい。このような高度に分岐した構造の炭化水素基は、例えば、アルケン(プロピレン、ブテン、イソブテン、ペンテン、イソペンテンなどのC3-6アルケン、特に分岐鎖状アルケン)のダイマー(二量体)、トリマー(三量体)、テトラマー(四量体)などの多量体(好ましくは二量体〜四量体、特に三量体)の炭化水素基に対応する場合が多い。
親水性基は、親水性の基であれば特に制限されないが、ヒドロキシ基であることがより好ましい。なお、親水性基は、フッ素原子を含有しないことが好ましい。
親油性基は親油性の基であれば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、炭化水素基であることがより好ましい。親油性基の別の好適な態様としては、ポリオキシアルキレンエーテル骨格(例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)骨格、ポリエチレングリコール(PEG)骨格)なども挙げられる。なお、親油性基はフッ素原子を含有しない基又はヒドロキシ基を含有しない基であることが好ましい。
特定ノニオン性オリゴマーは、透明性により優れる理由から、さらに、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するのが好ましい。
特定ノニオン性オリゴマーは、本発明の効果がより優れる理由から、フッ素原子含有基を有する繰り返し単位と、親水性基を有する繰り返し単位と、親油性基を有する繰り返し単位とを有するのが好ましく、さらに、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する繰り返し単位を有するのがより好ましい。繰り返し単位は(メタ)アクリレート系であることが好ましい。
フッ素原子含有基を有する繰り返し単位となる単量体としては、例えば、下記式(F)で表される単量体が好ましい。
式(F)中、R2は、2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基。好ましくは炭素数1〜8)、2価の芳香族炭化水素基(例えば、アリーレン基。好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
式(F)中、R3は、上述したフッ素原子含有基を表す。R3の具体例及び好適な態様は上述のとおりである。
親水性基を有する繰り返し単位となる単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリオキシC2−4アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
親油性基を有する繰り返し単位となる単量体としては、例えば、C1-20アルキル(メタ)アクリレート;C5-10シクロアルキル(メタ)アクリレート;アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの橋架け環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレートなどのアラルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシC2-4アルキレングリコールモノC1-4アルキルエーテルモノ(メタ)アクリレートなどが例示できる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する繰り返し単位となる単量体としては、例えば、下記式(M)で表される単量体が好ましい。
式(M)中、Lは、2価の連結基を表す。Lの具体例及び好適な態様は上述した式(F)中のR2と同じである。
上述した好適な態様1のなかでも、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(1)で表されるノニオン性オリゴマーが好ましい。
式(1)中、R1は炭素原子数が1〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基(所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合またはアリール基を有していてもよい。)である。
式(1)中、R2は炭素原子数が1〜100の二価の飽和脂肪族炭化水素基(所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合またはアリール基を有していてもよい。)である。複数あるR2は同一であっても異なってもよい。
式(1)中、R3は、炭素原子数が2〜10の二価または三価の飽和脂肪族炭化水素基(所望によりエーテル結合を有していてもよい。)である。
式(1)中、R4は、水素原子又はメチル基を示す。
式(1)中、R5は、炭素原子数が1〜50(好ましくは、5〜20)の一価の飽和脂肪族炭化水素基(所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合またはアリール基を有していてもよい。)又はアリール基である。
式(1)中、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。複数あるR7は同一であっても異なってもよい。
式(1)中、n、m、qの各々は、1〜30の整数であり、pは、0〜30の整数である。xは、1または2の整数である。
特定ノニオン性オリゴマーの数平均分子量は、500〜50,000であることが好ましく、1000〜30,000であることがより好ましく、2,000〜20,000であることがさらに好ましい。
本発明の組成物において、特定ノニオン性オリゴマーの含有量は特に制限されないが、上述した多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることが好ましい。
本発明の組成物に含有される光重合開始剤は、光によって上記(メタ)アクリル系重合体A及び/又は上記多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を重合することができるものであれば特に限定されない。
光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、硫黄化合物、アゾ化合物、パーオキサイド化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4′−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物は、さらに、無機微粒子を含有することができる。本発明の組成物がさらに無機微粒子を含有する場合、上記効果に優れることに加え、耐ブロッキング性(フィルム同士のくっつきを防止する。)に優れる。
本発明の組成物に含有される無機微粒子は特に制限されない。例えば、シリカが挙げられる。
無機微粒子としてのシリカは特に制限されない。なかでも、分散性、耐ブロッキング性に優れるという観点から、乾式シリカが好ましい。
上記乾式シリカは、気相で生成又は溶融されたシリカであれば特に制限されない。乾式シリカは表面処理が施されたものであってもよい。
乾式シリカとしては、より具体的には、例えば、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のハロゲン化ケイ素類、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のシロキサン類等の含ケイ素化合物と、酸素等の支燃性ガスとの混合ガス(必要に応じて窒素等の希釈ガスや水素等の補助燃焼ガスが用いられる場合もある)をバーナーから噴出させつつ燃焼させる方法により製造されるシリカ;金属ケイ素粉末を火炎中等の高温で、かつ酸化性の雰囲気下で熱処理する方法により製造されるシリカ;粉砕した石英やシリカ凝集体を火炎中で溶融させた後、再凝固させることによって製造されるシリカ等、及びこれらを各種のシランカップリング剤等で表面処理したシリカ等が挙げられる。
本発明の効果がより優れる理由から、無機微粒子は表面処理が施されたものであることが好ましく、疎水化処理が施されたものであることがより好ましい。
ここで、疎水化処理とは疎水化処理剤で処理することを意図する。通常、疎水化処理によって、乾式シリカ表面のシラノール基と疎水化表面処理剤とが反応して、乾式シリカの表面に疎水基が導入される。疎水基としては、特に制限されないが、アルキル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、アルキルシリル基、メタクリルシリル基などが挙げられる。
疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シロキサン、シラザン、クロロシラン、アルコキシシラン、アルキルシラン、シリコーンオイル等が挙げられる。
シロキサンとしては、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどが挙げられ、シラザンとしては、例えば、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられ、クロロシランとしては、例えば、ジメチルジクロロシランなどが挙げられ、アルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどが挙げられ、アルキルシランとしては、例えば、オクチルシランなどが挙げられ、シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、(メタ)変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
本発明の組成物に含有される無機微粒子の平均1次粒子径は、透明性により優れ、光学特性に優れるという観点から、100nm以下が好ましく、50nm以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、透明性により優れ、耐ブロッキング性に優れるという観点から、10nm以上であることが好ましい。
本明細書において、平均1次粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された50%体積累積径(D50)を言うものとする。
本発明の組成物において、無機微粒子の含有量は特に制限されないが、耐ブロッキング性に優れるという観点から、上述した多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物100質量部に対して、1〜25質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。
本発明の組成物は、塗工性が良好となる観点から、さらに、溶剤を含有するのが好ましい。
溶剤は、上述した各成分を溶解することができるものであれば特に限定されない。例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチケトン(MIBK)、シクロヘキサノンのようなケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、イソプロピルアルコール(IPA)のようなアルコール;シクロヘキサンのようなシクロアルカン;トルエン、キシレン、ベンジルアルコールのような芳香族炭化水素化合物が挙げられる。なかでも、溶解性、乾燥性や塗装性に優れるという観点から、MEK、シクロヘキサノン、MIBKが好ましく、MEKがより好ましい。
溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物は、上述した成分以外のその他の成分を含有していてもよい。そのような成分としては、例えば、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、艶消し剤、光安定剤、染料、顔料などが挙げられる。
本発明の組成物の調製方法は特に制限されず、例えば、上述した各成分を、攪拌機等を用いて混合する方法などが挙げられる。
本発明の硬化皮膜は、上述した本発明の組成物から形成されたものであれば特に制限されない。
本発明の硬化皮膜を製造する方法は特に制限されないが、例えば、基材上に上述した本発明の組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させることで基材上に塗膜を形成し、得られた塗膜に紫外線を照射することで硬化させる方法などが挙げられる。
本発明の組成物を塗布する方法は特に制限されず、はけ塗り、流し塗り、浸漬塗り、スプレー塗り、スピンコート等の公知の方法を採用できる。
また、塗膜を乾燥させる場合の温度は特に制限されないが、20〜110℃であるのが好ましい。
紫外線を照射する場合の照射量(積算光量)は特に制限されないが、速硬化性、作業性の観点から、50〜3,000mJ/cm2が好ましい。紫外線を照射するために使用する装置は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。硬化させるに際し加熱を併用してもよい。
本発明の硬化皮膜の厚さは特に制限されないが、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。
本発明の積層体は、基材と、上述した硬化皮膜とを備えるものであれば特に制限されない。硬化皮膜については上述のとおりである。また、本発明の積層体は、密着性等の観点から、基材と硬化皮膜との間に、さらに、樹脂層(例えば、アクリル系樹脂層)を備えていてもよい。
硬化皮膜を形成する方法は上述のとおりである。また、樹脂層を形成する方法は上述した硬化皮膜の製造方法と同様である。
以下、本発明の積層体に用いられる基材について説明する。
上記基材は特に限定されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
ここで、プラスチックは、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれであってもよく、その具体例としては、シクロオレフィン系重合体(単独重合体、共重合体及び水素添加物を含む。具体的には例えば、COP及びCOCが挙げられる。)のようなポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
以下に、COCおよびCOPの構造の例を示す。
上記基材は、基材との密着性により優れるという観点から、表面処理がなされた基材であることが好ましい。表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理のような放電処理が挙げられる。
本発明の硬化皮膜及び積層体は、例えば、電子画像表示装置、眼鏡レンズ、照明(特に、LED照明)用の保護カバー、太陽電池モジュール部材等に使用することができる。
電子画像表示装置としては、例えば、パソコン、テレビ、タッチパネル、ウェラブル端末(例えば、眼鏡型、腕時計型などの身体に身につけることが可能なコンピューター端末)などのディスプレイ用途電子デバイス部品が挙げられる。
本発明の積層体は、電子画像表示装置等に内蔵または後付け(例えば外部からの貼付等)することができる。本発明の積層体を電子画像表示装置等に内蔵する場合、例えば反射板以外の部分に適用することができる。具体的には例えば、レンズシート、拡散シート、導光板に適用することができる。
本発明の組成物は電子画像表示装置等に直接適用して硬化皮膜を形成することができる。
〔(メタ)アクリル系重合体Aの調製〕
<(メタ)アクリル系重合体A1:アクリロイルオキシ基を両末端に有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)>
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤として、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレートをモル数で25/46/29の比率で重合し、両末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)を得た。
本発明において、「平均末端(メタ)アクリロイルオキシ基数」は、「(メタ)アクリル系重合体Aの1分子当たりに導入された(メタ)アクリロイルオキシ基の数」であり、1H−NMR(核磁気共鳴)分析およびゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められた数平均分子量より算出した。
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、2−ブロモブチル酸エチルを開始剤として、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレートをモル数で25/46/29の比率で重合し、片末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)を得た。
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤として、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレートをモル数で25/46/29の比率で重合し、両末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)を含む反応液を得た。
MEK(メチルエチルケトン)に、下記表1に示される各成分を同表に示される組成(固形分の質量部)で加え、撹拌機を用いて混合することで各紫外線硬化型樹脂組成物(実施例及び比較例)を調製した(組成物の固形分濃度:40質量%)。
なお、表1中、固形分(%)の欄に示される値は、各成分に含有される固形分濃度(質量%)を表す。
COPフィルム(シクロオレフィンポリマー(COP)成形品、日本ゼオン社製、商品名ゼオノアフィルムZF−16。縦297mm、横210mm、フィルムの厚さ:100μm。コロナ処理されている。)上に、得られた各紫外線硬化型樹脂組成物を乾燥後の膜厚で0.5〜1μmとなるようなクリアランス設定で塗布し、これを80℃の条件下で1分間乾燥させた。その後、川口スプリング製作所社製のGS UV SYSTEMを用いて紫外線(UV)を照射(UV照射条件:照度300mW/cm2、積算光量300mJ/cm2、UV照射装置は高圧水銀灯)して硬化させ、COPフィルムと硬化皮膜とを備える積層体を得た。
各組成物を上記COPフィルムに塗布する際、組成物の塗布方向を、上記COPフィルムの長手方向(長辺に平行な方向)とした。
得られた積層体の硬化皮膜について下記評価を行った。各評価結果を表1に示す。
得られた積層体を正方形(30mm×30mm)に切り出し、ヘイズメーター(HM150、村上色彩技術研究所社製)を用いてヘイズ(%)を測定した。
ヘイズが小さい程透明性に優れる。
得られた積層体を用いて、JIS K5600−5−6に準じて碁盤目剥離試験を行い、密着性を評価した。
具体的には、カッターを用いて各積層体の硬化皮膜に1mmピッチで切れ込みを入れ、基盤目を100個(縦10行×横10列)を作り、基盤目上にセロハン粘着テープ(幅18mm)を完全に付着させ、直ちにテープの一端を基板に対して直角に保ちながら瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った基盤目の数を調べた。
残った基盤目の数/100を密着性の欄に記載した。
残った基盤目の数が多いほど密着性に優れる。
上記のとおり得られた各積層体をそれぞれ2枚用意し、上記2枚のうちの1枚をTD方向(上記塗布方向と垂直な方向)に、約3.0cmの幅で蛇腹に完全に折り畳んだ。
残りの1枚をMD方向(上記塗布方向と平行な方向)約3.0cmの幅で蛇腹に完全に折り畳んだ。
上記のとおり折り畳んだ後の積層体をそれぞれ広げて、広げた後の積層体を目視で観察した。
耐破壊性の評価基準は以下のとおりである。
TD方向に折った積層体及びMD方向に折った積層体において、COPフィルムが割れなかった場合、耐破壊性に非常に優れると評価し、これを「割れなし」と表示した。
MD方向に折った積層体においてCOPフィルムが割れず、TD方向に折った積層体においてCOPフィルムが割れた場合、耐破壊性がやや優れると評価し、これを「MD割れなし、TD割れあり」と表示した。
TD方向に折った積層体及びMD方向に折った積層体において、COPフィルムが割れた場合、耐破壊性が悪いと評価し、これを「TD及びMD割れあり」と表示した。
ダインペン(Arcotest社製の、表面エネルギーが30、32、34及び36mN/mの標準レンジのテストペン)を用いた。
まず、30mN/mのテストペンで硬化皮膜に線を引き、引いた線が水滴にならず、線を引いてから2秒後に上記線が保持されているかを確認した。線の状態が線のまま2秒間保持された場合、合格であり、線の状態が2秒後水滴だった場合は不合格である。
合格であったらテストペンの表面エネルギーのレベルを1つ上げ、不合格になるまで、上記と同様の評価を行った。
合格だった際に使用された、テストペンの表面エネルギーの最高値をリコート性の欄に記載した。同欄において「<30」は30mN/mのテストペンを使用した際の結果が不合格であったことを意味する。
テストペンの表面エネルギー(つまり硬化皮膜の表面エネルギー)が大きい程、硬化皮膜はリコート性に優れる。リコート性の観点から、上記最高値が34mN/m以上であることが好ましい。
得られた各積層体5枚とハードコート(クリアハードコート)塗装フィルム5枚とを準備に、上記各積層体と上記塗装フィルムとを交互に重ねて層状物を得て、上記層状物を親指と人差し指で挟み、親指と人差し指で層状物を擦り合わせて、硬化皮膜とハードコート塗装フィルムとが滑るかブロッキングするかを評価した。
両者がブロッキングせずに滑る場合を「なし」、少しでもブロッキングして滑らない場合を「あり」と、ブロッキング性の欄に記載した。
なお、ノニオン性オリゴマー1は特定ノニオン性オリゴマー(上述した式(1)で表されるノニオン性オリゴマー)に該当する。比較ノニオン性オリゴマー1は特定ノニオン性オリゴマーに該当しない。
・(メタ)アクリル系重合体A2:上記のとおり調製された(メタ)アクリル系重合体A2
特定ノニオン性オリゴマーを含有しない比較例2は、リコート性が悪かった。
本発明の組成物がさらに無機微粒子を含有する場合、耐ブロッキング性に優れた。
Claims (8)
- (メタ)アクリロイルオキシ基を有し、主鎖が(メタ)アクリル系ポリマーである、(メタ)アクリル系重合体Aと、
多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物と、
フッ素原子含有基と親水性基と親油性基とを有するノニオン性オリゴマーと、
光重合開始剤とを含有する、紫外線硬化型樹脂組成物。 - 前記主鎖を構成するモノマーが、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを少なくとも含む、請求項1に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル及び2−メトキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項2に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
- 前記多官能(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物が、(メタ)アクリロイルオキシ基を複数有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、及び、複数の(メタ)アクリロイルオキシ基とウレタン基とを有するウレタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。ただし、前記(メタ)アクリル酸エステル化合物は、ウレタン基を有さない。
- さらに、無機微粒子を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物から形成される硬化皮膜。
- 基材と、請求項6に記載の硬化皮膜とを備える、積層体。
- 前記基材が、放電処理された基材である、請求項7に記載の積層体。
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