JP2018126956A - 熱硬化型樹脂積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐火性能と機械的物性とに優れた熱硬化型樹脂積層体を提供すること。【解決手段】熱硬化型樹脂積層体は、基材層に熱硬化性樹脂含有耐火層を積層し、一体化したことを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化型樹脂積層体に関する。
建築材料の分野においては従来から耐火性が重要な意味を持っており、建築材料として耐火性能を付与された樹脂材料が広く用いられるようになってきている。そのような耐火性能を付与された樹脂材料として、樹脂成分に熱膨張性黒鉛を混入した耐火性樹脂組成物及びかかる耐火性樹脂組成物から形成された耐火性シートが用いられている。
特許文献1は、エポキシ樹脂100重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛10〜300重量部及び無機充填剤50〜500重量部からなることを特徴とする耐火性樹脂組成物について開示している。
特許文献2は、繊維シートにバインダー及び熱膨張性黒鉛を含有する耐火性樹脂組成物を含浸させた樹脂シートを備え、前記バインダーが樹脂、エラストマー、ゴム、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする熱膨張性耐火シートについて開示している。
特許文献3は、バインダー、リン化合物、熱膨張性黒鉛、及び無機充填剤を含有し、該バインダーはフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及び熱硬化性ポリイミドから選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂;アクリル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及びポリビニルブチラール樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂;ゴム;ラテックス;又はそれらの組み合わせからなり、バインダー100重量部当たり、リン化合物が50〜500重量部であり、熱膨張性黒鉛と無機充填剤との合計量が50〜1000重量部である耐火性樹脂組成物及びかかる耐火性樹脂組成物からなる層を備えた耐火性シートについて開示している。
特許文献1〜3の耐火性樹脂組成物は、樹脂成分に熱硬化性樹脂を使用している点で、火災等による加熱後も耐火性樹脂組成物及びそれからなる耐火シートの機械的強度が維持され、また難燃性にも優れている点で有利である。
しかしながら、特許文献1〜3の耐火性樹脂組成物はその多くが、躯体追従性を有している一方、耐火材そのものの機械特性は基材の性質に依存しており、設計自由度が不足している。
また、特許文献1〜3の耐火性組成物は、熱膨張性黒鉛を含むために外観が灰色〜黒色をしており、意匠性が不足している。
本発明の一つの目的は、積層体全体の機械特性の設計自由度を高めた熱硬化型樹脂積層対を提供することにある。
本発明の別の目的は、意匠性を高めた熱硬化型樹脂積層体を提供することにある。
本発明によれば、以下の態様が提供される。
項1.基材層に、熱硬化性樹脂及び熱膨張性黒鉛を含有する熱硬化性樹脂含有耐火層を積層し、一体化したことを特徴とする熱硬化型樹脂積層体。
項2.熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填剤を含有し、熱硬化性樹脂100質量部に対して熱膨張性黒鉛が5〜300質量部、無機充填剤が50〜500質量部である耐火樹脂組成物から前記熱硬化性樹脂含有耐火層が形成されている項1に記載の熱硬化型樹脂積層体。
項3.熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、無機充填剤、及びリン化合物を含有し、熱硬化性樹脂100質量部に対してリン化合物と熱膨張性黒鉛との合計量が5〜300質量部、無機充填剤が50〜500質量部、熱膨張性黒鉛:リン化合物の重量比が9:1〜1:100である耐火樹脂組成物から形成されている項1に記載の熱硬化型樹脂積層体。
項4.熱膨張性黒鉛:リン化合物の重量比が1:3〜1:100である耐火樹脂組成物から形成されていることを特徴とする項3に記載の熱硬化型樹脂積層体。
項5.前記熱硬化性樹脂含有耐火層が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及び熱硬化性ポリイミドから選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含む項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化型樹脂積層体。
項6.メラミン樹脂を含有するメラミン樹脂化粧層をさらに備え、前記積層体の厚みが0.2mm〜30mmからなる項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化型樹脂積層体。
項7.前記メラミン樹脂が、紙又は繊維に含浸されている項6に記載の熱硬化型樹脂積層体。
項8.前記基材層が、樹脂シート、金属板、難燃紙、又は繊維シートを含む項1〜7のいずれか一項に記載の熱硬化型樹脂積層体。
項9.前記基材層が熱可塑性樹脂、エラストマー及びゴムから選択された少なくとも一つを含み、内曲げ最小R径50mm〜150mmの屈曲性を有する項1〜8のいずれか一項に記載の熱硬化型樹脂積層体。
本発明の熱硬化型樹脂積層体は、加熱後も十分な機械的強度を有することによって優れた耐火性能を発現すると共に、基材の適切な選択により積層体全体の機械特性を高い自由度で設定することができる。また、メラミン樹脂化粧層を設けることにより、熱硬化型樹脂積層体の意匠性を高めることもできる。
本発明の第1〜5実施形態について図1〜7を参照しながら説明する。
図1に示された本発明の第1実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は基材層3に、熱硬化性樹脂及び熱膨張性黒鉛を含有する熱硬化性樹脂含有耐火層2を積層し、一体化したシート状の積層体である。
基材層3は、樹脂シート、金属板、難燃紙、繊維シート等であってもよい。
樹脂シートはバインダー樹脂に難燃剤等の他の成分を混合させたものである。バインダー樹脂としては、例えば、合成樹脂、エラストマー、ゴム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。合成樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、ポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソブチレン等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
エラストマーの例としてはオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、これらの組み合わせ等が挙げられる。
ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、非加硫ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴム等が挙げられる。
特に、バインダー樹脂として熱可塑性樹脂、エラストマー及びゴムから選択された少なくとも一つを使用すると、基材層3及び該基材層3を備えた熱硬化型樹脂積層体1に曲げ性を与えることができる。例えば、バインダー樹脂として熱可塑性樹脂、エラストマー及びゴムから選択された少なくとも一つ含有し、内曲げ最小R径50mm〜150mmの屈曲性を有する基材層3を有する熱硬化型樹脂積層体1は、施工箇所の形状に合わせて曲げて、フレキシブルに使用することができる。
金属板を構成する金属は特に限定されないが、鋼、銅、又はこれらの合金等が好ましい。金属板から構成された基材層3は適度な硬さがあるため、例えば、中空部を間に有する二つの壁部からなる中空壁に貫通孔を形成した場合に、中空部を跨ぐように二つの壁部に架け渡し、貫通孔の金属枠として基材層3を備えた積層体1を設置することができる。
難燃紙は、難燃性を付与した紙であり、ガラス繊維等の無機繊維を主配合した紙や、無機リン化合物,含窒素系化合物,水酸化アルミニウム,炭酸カルシウム等の公知の難燃剤を水溶液に溶解又は分散したものを含浸した紙が挙げられる。
繊維シートは繊維を絡ませてシート形状にしたもので、織布又は不織布であってよく、織布又は不織布に使用される繊維としては、特に限定はされないが、不燃性料又は準不燃材料のものが好ましく、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、熱硬化性樹脂繊維が挙げられる。
難燃紙又は繊維シートから構成された基材層3はカッター又はハサミ等の切断装置により所望の形状に切断又は加工することができる。また、基材層3を難燃紙又は繊維シートから構成することにより、積層体1に可撓性を付与することができる。
熱硬化性樹脂含有耐火層2は、熱硬化型樹脂積層体に耐火性を与える。熱硬化性樹脂含有耐火層2は、加熱により膨張することにより火の通過を遮断し、また加熱後には硬化して燃焼残渣が機械的強度を維持する。
熱硬化性樹脂含有耐火層2は、好ましくは熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成される。
熱硬化性樹脂の例としては、好ましくはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及び熱硬化性ポリイミドから選択される少なくとも1種である。
熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたもので、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
熱膨張性黒鉛は任意選択で中和処理されてもよい。つまり、上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛を、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和する。上記脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
本発明で用いられる熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュのものが好ましい。粒度が200メッシュより大きいと、黒鉛の膨張度が大きく、望む耐火断熱層が得られ、粒度が20メッシュより小さいと、樹脂と混練する際の、分散性が良好である。
熱膨張性黒鉛の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、5〜300質量部であることが好ましい。
無機充填剤の例としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MOS」、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が候補に挙げられ、本発明では、周期律表II族又はIII族に属する金属の金属塩又は酸化物は、燃焼時に発泡して発泡焼成物を形成する性質を有するため、形状保持性を高めるうえで特に好ましい。具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
一般的に、上記無機充填剤は、骨材的な働きをすることから、残渣強度の向上や熱容量の増大に寄与すると考えられる。上記無機充填剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散性が性能を大きく左右するため粒径の小さいものが好ましいが、0.5μm未満では二次凝集が起こり、分散性が悪くなる。上記無機充填剤の添加量が多いときは、高充填が進むにつれて、樹脂組成物粘度が高くなり成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組成物の粘度を低下させることができる点から、上記範囲のなかでも粒径の大きいものが好ましい。粒径が100μmを超えると、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下する。
無機充填剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、50〜500質量部であることが好ましい。
熱硬化性樹脂含有耐火層2は、好ましくはリン化合物をさらに含む。リン化合物の例としては、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;ポリリン酸メラミン、下記一般式(1)で表される化合物;リン酸系可塑剤等が挙げられる。
式中、R1 、R3 は、水素、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数6〜16のアリール基を表す。R2 は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のアリールオキシ基を表す。
赤リンとしては、市販の赤リンを用いることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティングしたもの等が好ましい。
ポリリン酸アンモニウム類としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取扱性等の点から、ポリリン酸アンモニウムが好ましい。市販品としては、ヘキスト社製「AP422」、「AP462」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ社製「テラージュC60」が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。上記リン化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
リン酸系可塑剤は熱硬化性樹脂等の溶融粘度を調整するために添加される。リン酸系列可塑剤としては、リン酸エステル系化合物、例えばリン酸トリクレジル(TCP)、リン酸クレジルジフェニルなどのアリールエステル;リン酸トリメチルなどのアルキルエステル;ビスフェノール系芳香族縮合リン酸エステル類等が挙げられる。好ましいリン酸系列可塑剤はリン酸トリクレジル(TCP)である。
リン化合物は、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;及びポリリン酸メラミン、下記一般式(1)で表される化合物;からなる群から選択される少なくとも一つであってよく、リン酸系列可塑剤は任意選択で添加される。
リン化合物の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましい。
好ましくは、熱硬化型樹脂積層体は、熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、無機充填剤、及びリン化合物を含有し、熱硬化性樹脂100質量部に対してリン化合物と熱膨張性黒鉛との合計量が5〜300質量部、無機充填剤が50〜500質量部、熱膨張性黒鉛:リン化合物の重量比が9:1〜1:100である耐火樹脂組成物から形成される。この構成によれば、十分な耐火性能を得つつ、加熱燃焼後の機械的物性の低下を抑性することができる。
耐火性樹脂組成物は、その物性を損なわない範囲で、更に、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等のその他の成分を含有することができる。
本発明の第1実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は、塗工;浸漬;プレス成形、押出し成形、カレンダー成形、真空成形を初めとする成形;等の従来公知の方法により形成した熱硬化性樹脂含有耐火層2と、別途準備した基材層3とを、インライン又はオフセットでプレス、真空吸着、押出し、又はその他の方法で接着することにより製造することができる。プレス成形には熱プレス、ベルトプレス等が包含される。或いは、硬化前の熱硬化性樹脂含有耐火層2を別途準備した基材層3と熱プレスで一体成形してもよい。
本発明の第1実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は、基材を適切に選択することにより、硬さ、可撓性、加工性等の熱硬化型樹脂積層体1全体の機械特性を高い自由度で設定することができる。また、メラミン樹脂化粧層を設けることにより、熱硬化型樹脂積層体1の意匠性を高めることもできる。
図2は本発明の第2実施形態の熱硬化型樹脂積層体1である。以下の第2〜第5実施形態の説明において、第1実施形態と同じ部材については説明を省略する。
第2実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は、2層の熱硬化性樹脂含有耐火層2と、3層の基材層とが積層されて一体化したものである。このように、熱硬化型樹脂積層体1は2層以上の熱硬化性樹脂含有耐火層2と、2層以上の基材層3を備えても良い。
2層の熱硬化性樹脂含有耐火層2は熱硬化型樹脂積層体1の両端に配置され、2層の熱硬化性樹脂含有耐火層2の間に3層の基材層3が挟まれている。この構成により、熱硬化型樹脂積層体1の両面への耐火性の要求に応えることができる。
本発明の第2実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は第1実施形態と同じ上記の効果を有することに加えて、5層ともが熱硬化性樹脂含有耐火層2より形成された場合に比べて、製造コストが低い。
図3は本発明の第3実施形態の熱硬化型樹脂積層体1である。本実施形態では、熱硬化型樹脂積層体1は、図1の第1実施形態に対し、熱硬化性樹脂含有耐火層2の上にさらに、メラミン樹脂を含有するメラミン樹脂化粧層4を備えている。メラミン樹脂化粧層4を設けることにより、熱硬化型樹脂積層体1の外観が良好となる。メラミン樹脂化粧層4に所望の着色を施すこともできるし、メラミン樹脂化粧層4に柄、模様、エンボス等を施すことにより、熱硬化型樹脂積層体1に意匠性を施すことができる。
熱硬化型樹脂積層体1の厚みは限定されないが、厚いと曲げ性能が低下し、薄いとメラミン樹脂化粧層4が割れやすくなるため、0.2mm〜30mmであることが好ましく、0.2mm〜5mmであることがより好ましく、0.4mm〜2mmであることがさらに好ましい。なお、メラミン樹脂化粧層4の上に別の表面材が設けられても良い。
メラミン樹脂化粧層4は、メラミン含浸用の紙又は繊維等の基材に含浸させ乾燥させることにより製造することができる。紙としては、例えば薄葉紙、リンター紙、チタン紙等が挙げられる。繊維としては合成繊維、ガラス繊維が挙げられる。繊維は織布または不織布であってもよい。メラミン樹脂には必要に応じて他の成分を添加してもよい。メラミン樹脂化粧層の製造方法は公知であり、例えば特開平3−281242及び特許第3789694等に記載されている。
本発明の第3実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は第1実施形態と同じ上記の効果を有することに加えて、意匠性が高く、優れた外観を有する。
図4は本発明の第4実施形態の熱硬化型樹脂積層体1である。本実施形態は、第3実施形態の熱硬化型樹脂積層体1と比較して、熱硬化性樹脂含有耐火層2と基材層3の位置が逆になっている。つまり、基材層3の上にメラミン樹脂化粧層4を備えている。この場合も、メラミン樹脂化粧層4は基材層3を上からカバーし、熱硬化型樹脂積層体1に良好な外観を与えることができる。
熱硬化型樹脂積層体1の厚みは限定されないが、厚いと曲げ性能が低下し、薄いと割れやすくなるため、0.2mm〜30mmであることが好ましく、0.2mm〜5mmであることがより好ましく、0.4mm〜2mmであることがさらに好ましい。なお、メラミン樹脂化粧層4の上に別の表面材が設けられても良い。
本発明の第4実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は第1実施形態と同じ上記の効果を有することに加えて、意匠性が高く、優れた外観を有する。
図5は本発明の第5実施形態の熱硬化型樹脂積層体1である。第5実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は、メラミン樹脂化粧層4と、2層の熱硬化性樹脂含有耐火層2と、2層の基材層3とからなり、2層の熱硬化性樹脂含有耐火層2の間に2層の基材層3が挟まれ、2層の熱硬化性樹脂含有耐火層2のうちの一方における基材層3とは反対側にメラミン樹脂化粧層4が積層されている。この構成により、熱硬化型樹脂積層体1の両面への耐火性の要求に応えることができ、かつ、熱硬化型樹脂積層体1に良好な外観を与えることができる。
本発明の第5実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は第1実施形態と同じ上記の効果を有することに加えて、優れた外観を有し、かつメラミン樹脂化粧層4以外の4層が熱硬化性樹脂含有耐火層2より形成された場合に比べて、製造コストが低い。
なお、上記第1〜第5実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は、熱硬化性樹脂含有耐火層2、基材層3、及びメラミン樹脂化粧層4以外の追加の層を1層又は2層以上さらに備えていてもよい。例えば、熱硬化型樹脂積層体1に可撓性を付与するために、ウレタン樹脂等より形成された発泡層を設けてもよい。
本発明の第1〜第5実施形態の熱硬化型樹脂積層体1は、建築材料に耐火性能を与えるために使用することができる。例えば、図6(A)に示すように、シート状の熱硬化型樹脂積層体1を丸めて、中空壁6の一方の壁から他方の壁に架け渡すように中空壁6における断面略円形の区画貫通孔7を区画形成する壁に設置することにより、区画貫通孔7から中空壁6の2つの壁の間の空間に火が侵入するのを防ぐことができる。また、加熱時には熱硬化型樹脂積層体1自体が熱により膨張し、区画貫通孔7を塞ぎ、区画貫通孔7に耐火性を付与することができる。さらに、熱硬化型樹脂積層体1を設置することにより、区画貫通孔7内に追加の耐火充填材を配置することができる。例えば、区画貫通孔7に貫通部材としての配管8を挿通した後、配管8と熱硬化型樹脂積層体1の間を、充填パテ又は耐火性樹脂性シート等の公知の耐火充填材9で充填することができ、熱硬化型樹脂積層体1を設置しているため、中空壁6の2つの壁の間の空間に耐火充填材9が落下するのを防止することができる。
熱硬化型樹脂積層体1のメラミン樹脂化粧層4の厚みが大きい場合や、熱硬化型樹脂積層体1全体の厚みが大きい場合、曲げ性能が低下する場合があるが、図7(A)に示すように略矩形の熱硬化型樹脂積層体1の長さ方向又は幅方向に切れ込み10を入れて、切れ込み10の位置で折り曲げることにより、図7(B)に示すように熱硬化型樹脂積層体1を断面略矩形の筒状体に変形することができ、矩形の区画貫通孔7の形状に適合させて熱硬化型樹脂積層体1を施工することができる。
なお一実施形態では、本発明の熱硬化型樹脂積層体1は、繊維シートにバインダー及び熱膨張性黒鉛を含有する耐火性樹脂組成物を含浸させた樹脂シートを備え、バインダーが樹脂、エラストマー、ゴム、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする熱膨張性耐火シートを含まない。
Claims (9)
- 基材層に、熱硬化性樹脂及び熱膨張性黒鉛を含有する熱硬化性樹脂含有耐火層を積層し、一体化したことを特徴とする熱硬化型樹脂積層体。
- 熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、及び無機充填剤を含有し、熱硬化性樹脂100質量部に対して熱膨張性黒鉛が5〜300質量部、無機充填剤が50〜500質量部である耐火樹脂組成物から前記熱硬化性樹脂含有耐火層が形成されている請求項1に記載の熱硬化型樹脂積層体。
- 熱硬化性樹脂、熱膨張性黒鉛、無機充填剤、及びリン化合物を含有し、熱硬化性樹脂100質量部に対してリン化合物と熱膨張性黒鉛との合計量が5〜300質量部、無機充填剤が50〜500質量部、熱膨張性黒鉛:リン化合物の重量比が9:1〜1:100である耐火樹脂組成物から形成されている請求項1に記載の熱硬化型樹脂積層体。
- 熱膨張性黒鉛:リン化合物の重量比が1:3〜1:100である耐火樹脂組成物から形成されていることを特徴とする請求項3に記載の熱硬化型樹脂積層体。
- 前記熱硬化性樹脂含有耐火層が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及び熱硬化性ポリイミドから選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化型樹脂積層体。
- メラミン樹脂を含有するメラミン樹脂化粧層をさらに備え、前記積層体の厚みが0.2mm〜30mmからなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化型樹脂積層体。
- 前記メラミン樹脂が、紙又は繊維に含浸されている請求項6に記載の熱硬化型樹脂積層体。
- 前記基材層が、樹脂シート、金属板、難燃紙、又は繊維シートを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱硬化型樹脂積層体。
- 前記基材層が熱可塑性樹脂、エラストマー及びゴムから選択された少なくとも一つを含み、内曲げ最小R径50mm〜150mmの屈曲性を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱硬化型樹脂積層体。
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