JP2018126878A - インサート成形用ハードコートフィルムおよびこれを用いた樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
インサート成形に用いられるハードコート層には、特に、基材との密着性、成形性、表面硬度等の機能が求められているが、タッチパネル機能付きディスプレイ用途におけるニーズの高まりに伴い、指紋等の皮脂汚れが付着することによる視認性の悪化を抑制する耐指紋性へのニーズが高まっており、例えば、特許文献1、2には、そのような要求に応えるインサート成形用耐指紋フィルムが提供されている。
一方、自動車部品や携帯電子機器部品の成形品の意匠性が高まるにつれ、成形品はより複雑で多様な曲面を有する設計仕様への対応が求められる。この曲面部分にはクラックが発生しやすくなるのであるが、単純にインサート成形用ハードコートフィルムの柔軟性を増しただけでは、今度はキャビ取られが発生しやすくなってしまう。
すなわち、本発明は下記の〔1〕〜〔3]である。
〔1〕熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に、耐指紋層が形成されてなり、
該耐指紋層の膜厚が0.5〜3.0μmであり、
該耐指紋層の表面凹凸がRa(算術平均粗さ)0.04〜0.20μmであるインサート成形用耐指紋フィルムであって、
前記の耐指紋層が、下記の(A)〜(D)成分;
SP値が8〜13であり、Tgが65〜100℃のポリマー(A)、
紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)、
平均粒子径0.8〜5.5μmの有機微粒子(C)、
光重合開始剤(D)
からなり、かつ
ポリマー(A)と紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の質量比が90:10〜60:40であり、
ポリマー(A)および紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の合計100質量部に対して、有機微粒子(C)を0.3〜2.0質量部、光重合開始剤(D)を1〜10質量部含有する樹脂組成物の硬化物である、インサート成形用耐指紋フィルム。
〔2〕前記の熱可塑性透明基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなり、前記の耐指紋層が、前記のポリメチルメタクリレート層上に形成されている、前記の〔1〕に記載のインサート成形用耐指紋フィルム。
〔3] 前記の〔1〕または〔2〕に記載のインサート成形用耐指紋フィルムを表面に備えた樹脂成形品。
なお、本明細書において数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。
また、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。「(メタ)アクリロイル基」や「(メタ)アクリル系樹脂」も同様である。
本発明のインサート成形用耐指紋フィルムは、熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に、耐指紋層が形成されてなり、該耐指紋層は、下記の(A)〜(D)成分からなる樹脂組成物の硬化物である。
SP値が8〜13であり、Tgが65〜100℃のポリマー(A)
紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)
平均粒子径0.8〜5.5μmの有機微粒子(C)
光重合開始剤(D)
熱可塑性透明基材フィルムは、ポリカーボネート樹脂、またはポリメチルメタクリレート樹脂の一方または双方からなるフィルムを使用でき、特に、ポリカーボネート層およびポリメチルメタクリレート層との2層構造からなるフィルムが好ましい。熱可塑性透明基材フィルムの膜厚は、通常30〜250μm、好ましくは125〜200μmである。また、熱可塑性透明基材フィルムの屈折率は、1.49〜1.59であることが好ましい。なお、PETなどのポリエステル樹脂からなるフィルム等は、成形時に基材フィルムが延伸するとクラックに起因した白化等が生じるため、本発明の基材フィルムとしては好ましくない。
耐指紋層の膜厚は、0.5〜3.0μmである。0.5μm未満の場合、指紋の付着性を抑制する効果が低下する。3.0μmよりも厚い場合は、応力が加わるインサート成形加工の際に延伸性が低下して耐指紋層に亀裂(クラック)が発生し易くなる。
耐指紋層の表面凹凸のRa(算術平均粗さ)は、0.04〜0.20μmである。0.04μmよりも低い場合は、金型離れ性が低下し、0.20μmよりも高い場合は、インサート成形後のヘイズが悪くなる。
なお、耐指紋層は、耐指紋層用樹脂組成物を紫外線等により硬化させた硬化物であり、その組成を以下に説明する。
本発明に用いるポリマー(A)は、SP値が8〜13であり、好ましくは9〜11である。SP値が8より低いと指紋が付着すると目立ち易くなり、13より高いと、耐指紋層の塗料中で他成分との相溶性が悪化するため、耐指紋層の一部が透明フィルム上ではじいた状態となり、十分な表面性を得ることができない。
本発明に用いる紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)は、(メタ)アクリロイル基を有しており、紫外線を照射することによって耐指紋層用樹脂組成物を硬化させ、耐指紋層を硬くすることができる。また、紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)を含むことで、耐溶剤侵食性や耐湿性などの耐候性が改善する傾向にある。本発明に用いる紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)は、重量平均分子量5000未満であり、紫外線が照射されることで硬化するものであれば特に限定されることなく、公知のものを利用することができる。本発明に用いる紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)のSP値は、8〜16であることが好ましく、8〜13であることがより好ましい。紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)のSP値が8〜13であると、ポリマー(A)との相溶性を確保しやすくなる。
なお、「炭化水素基」は、分岐構造、環状構造、及び炭素−炭素不飽和結合(炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合)のそれぞれを有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよい。
R1としては水素原子が好ましく、R2およびR4としては炭素原子数1〜10の炭化水素基が好ましく、R3、R6、およびR8としては炭素原子数3〜12の炭化水素基が好ましく、R5およびR7としては炭素原子数2〜12の炭化水素基が好ましく挙げられる。
本発明に用いる有機微粒子(C)としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂、架橋ポリオレフィン樹脂、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ポリウレタン樹脂などの架橋熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で形成された粒子などが挙げられる。これらの有機粒子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機粒子のうち、ポリアミド粒子などの熱可塑性樹脂粒子や、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子、架橋ポリスチレン系粒子、架橋ポリウレタン粒子などの架橋熱可塑性樹脂粒子などが汎用される。
本発明に用いる光重合開始剤は、上記(A)〜(C)成分にさらに添加して樹脂組成物とし、紫外線(UV)等の活性エネルギー線により、これを硬化させて塗膜を形成する。光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
SP値とは、溶解性パラメータ(Solubility Parameter)のことであり、溶解性の尺度となるものである。SP値は数値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを示す。一般に、2成分のSP値の差は、相溶性の目安とされており、差が大きいほど2成分が混ざりにくい。
V1:ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における貧溶媒の分子容
V2:ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における良溶媒の分子容
φ1:ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における貧溶媒の体積分率
φ2:ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における良溶媒の体積分率
Vmh=V3V4/(φ3V4+φ4V3)
V3:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における貧溶媒の分子容
V4:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における良溶媒の分子容
φ3:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における貧溶媒の体積分率
φ4:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における良溶媒の体積分率
φmh=φ3δ3+φ4δ4
δ3:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値である貧溶媒のSP値
δ4:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁点を測定した良溶媒のSP値
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121−1987に記載のDSC(Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量測定)によって測定した補外ガラス転移開始温度を示す。図面1に示す通り、補外ガラス転移開始温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線とガラス転移の段階上変化部分の曲線勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である(図面1を参照)。
まず、耐指紋層用樹脂組成物を熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に塗布した後、乾燥して、或いは紫外線を照射して、硬化させることにより、熱可塑性透明基材フィルム上に耐指紋層が形成される。それにより、インサート成形用耐指紋性フィルムが得られる。
上記インサート成形用耐指紋性フィルムは、インサート成形により、樹脂を成形すると同時に、その成形品の表面に一体化される。インサート成形用耐指紋性フィルムを射出成形金型内のキャビティに保持し、溶融した樹脂を金型内に注入することで、表面にインサート成形用耐指紋性フィルムが一体化され、表面に耐指紋層を備えた樹脂成形品を得ることができる。
まず、耐指紋層の形成に用いる樹脂組成物を調製するために以下の原料を用意した。
本発明に用いるポリマー(A)であるポリマーA1〜A4を次の通り準備した。
1.プロピオニル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A1)の調製
高分子ポリオレフィン(プロピレンと1−ブテンとの共重合体:三井化学(株)製「タフマーXR110T」)を攪拌機および温度計を備えた反応容器に入れ、360℃まで昇温して溶融させ、窒素気流下で100分間加熱することにより、熱減成による低分子ポリオレフィン(a1)を得た。
VPS−1001N(アゾ基含有ポリシロキサン化合物、和光純薬工業(株)製、ポリシロキサン鎖の分子量10,000、固形分50%)243.9質量部と、シクロヘキシルメタクリレート144.0質量部、スチレン43.7質量部、ヒドロキシルエチルメタクリレート52.3質量部および酢酸ブチル343.3質量部からなる混合物とを混合した。この混合溶液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管および滴下漏斗を備えた1000mL反応容器中の、窒素雰囲気下で120℃に加温した酢酸ブチル270.0質量部に、3時間かけて等速で滴下し、その後、120℃で30分間混合し、反応させた。ターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.60質量部を含む酢酸ブチル15.0質量部溶液を、30分間かけて等速滴下してから、さらに120℃で1時間混合して反応させて、数平均分子量34,000、重量平均分子量125,000のシリコーンアクリルブロック共重合体を得た。この樹脂は、SP値:10.8、Tg:69℃であった。
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40質量部、酢酸ブチル20質量部を反応器に入れ、加熱撹拌しながら還流状態とする。これにアゾビスイソブチロニトリル質量部酢酸ブチル40質量部の溶液が還流状態を保ちつつ2時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間還流を続けた。得られた樹脂液は不揮発分41%であり、樹脂のTgは90℃であった。重量平均分子量110,000、SP値:8.5。
スチレン・メタアクリル樹脂:三菱レイヨン(株)製「BR−50」、重量平均分子量65,000、SP値:9.2、Tg:100℃
本発明に用いるポリマー(A)以外のポリマーA’5およびA’6を次の通り準備した。
ポリメタクリル酸メチル:根上工業(株)製「M−4003」、重量平均分子量1.000,000、SP値:9.0、Tg:105℃
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104質量部とビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11質量部を入れた。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させて無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、1H−NMR、IR(赤外線吸収スペクトル)により分析したところ、上記アリルエーテルの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。重量平均分子量は118,000であった。
得られた水酸基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー5質量部とメチルエチルケトン(MEK)43質量部、ピリジン1質量部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。そして、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1質量部をMEK9質量部に溶解したものを10分間かけて滴下した。これにより重合性二重結合をもつ含フッ素化合物(A’6)を得た。この樹脂は、SP値:7.5、Tg:102℃であった。
本発明に用いる紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)を次の通り準備した。
DPHA: ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」、分子量:578、SP値:12.1
A−TMM−3LM−N: ペンタエリスリトールトリアクリレート、新中村化学(株)製「A−TMM−3LM−N」、分子量:298、SP値:12.7
本発明に用いる有機微粒子(C)を次の通り準備した。
XX−27V: スチレン−アクリル共重合体の微粒子、積水化成品(株)製「XX−27V」、平均粒子径3.0μm、屈折率1.50
MX−80H3wT: 架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂微粒子、綜研化学(株)製「ケミスノーMX−80H3wT」、平均粒子径0.8μm、屈折率1.49
SSX1055QXE: 架橋アクリル−スチレン共重合樹脂粒子、積水化成品工業(株)製「SSX1055QXE」、平均粒子径5.5μm、屈折率1.51
SSX−108:アクリル粒子、積水化成品工業(株)製「SSX−108」、平均粒子径8.0μm、屈折率1.49
MX−40T: 架橋アクリル粒子、綜研化学(株)製「MX−40T」、平均粒子径0.4μm、屈折率1.49
I−184:1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「I−184」
メチルイソブチルケトン/イソプロピルアルコール=50/50
次に、耐指紋層用樹脂組成物として上記原料を使用し、各原料を表1および表2に記載した組成で混合した。更に、その混合物25質量部と上記溶媒75質量部とを混合し、耐指紋層用塗液を調整した。各材料の名称については、表中には一部上記した略称を用いた。
表3および表4に記載した熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に、耐指紋層が形成された実施例1〜12、比較例1〜13のインサート成型用耐指紋フィルムを作製した。
各実施例および比較例において、熱可塑性透明基材フィルムとしては、以下のものを使用した。
ポリカーボネートフィルム(PC):住友化学(株)製「C000」188μm、
ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA):住友化学(株)製「S014G」188μm、
ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなるフィルム(PC/PMMA):住友化学(株)製「C001」200μm
(実施例1)
耐指紋層用塗液(製造例1)を、前記ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)上にロールコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm2)、硬化させて耐指紋層を作製した。耐指紋層の厚みは1.0μmであった。耐指紋層の表面凹凸である算術平均粗さRaは0.08であった。
耐指紋層用塗液(製造例1)を、前記ポリカーボネートフィルム(PC)上にロールコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm2)、硬化させて耐指紋層を作製した。耐指紋層の厚みは0.5μmであった。算術平均粗さRaは0.04であった。
耐指紋層用塗液(製造例1)を、前記ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)上にロールコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm2)、硬化させて耐指紋層を作製した。耐指紋層の厚みは3.0μmであった。算術平均粗さRaは0.19であった。
耐指紋層用塗液(製造例2)を、前記ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなるフィルム(PC/PMMA)上にロールコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm2)、硬化させて耐指紋層を作製した。耐指紋層の厚みは1.0μmであった。算術平均粗さRaは0.08であった。
耐指紋層用塗液を製造例3〜製造例10に変更した以外は、実施例4と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表3の通りであった。
耐指紋層用塗液を製造例1に変更し、耐指紋層の厚みをそれぞれ0.4μm、3.2μmに変更した以外は、実施例4と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表4の通りであった。
耐指紋層の厚みをそれぞれ0.6μmに変更した以外は、前記実施例6と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表4の通りであった。
耐指紋層の厚みをそれぞれ1.2μmに変更した以外は、前記実施例7と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表4の通りであった。
耐指紋層用塗液を比較製造例1〜比較製造例9に変更した以外は、前記実施例4と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表4の通りであった。
ヘイズメーター〔日本電色工業(株)製、NDH2000〕を使用し、光学特性としてのヘイズ値(%)を測定した。
表面粗さ測定器〔(株)小坂研究所製、型名SurfcorderSE500〕を用い走査範囲4mm、走査速度0.2mm/sの条件で、JIS B0601−1994の規定に準拠して算術平均粗さRa(μm)を測定した。
耐指紋層上に指紋を付着させ、その視認性について下記の4段階にて目視による官能評価を行った。
◎:指紋が全く見えない、○:指紋が極僅かに見える、△:指紋が僅かに見える、×:指紋が見える。
○以上が実用に供することができる合格範囲である。
荷重は750gfとし、JIS K 5600に準拠して評価した。
2H以上が実用に供することができる合格範囲である。
インサート成型用耐指紋性フィルムを用いて下記の成形条件にてインサート成形して樹脂成形品を作製し、その成形品の曲面部分を目視にて確認し、クラック等の亀裂の有無を確認した。
○:クラック等の亀裂なし、×:クラック等の亀裂あり
インサート成形用耐指紋性フィルムを用いて下記の成形条件にてインサート成形して樹脂成形品を作製し、金型から成形体を抜くときに、金型からの離型性不良の有無と金型と接触した表面層を目視でシワ、フクレ、ハガレ等が発生せず外観上問題ないかを確認することで金型離れ性を評価した。
○:金型からの離型性が良好、かつ、シワ、フクレ、ハガレ等が発生せず外観が良好
×:金型からの離型性が不良、または、シワ、フクレ、ハガレ等が発生し外観が不良
上記の評価方法に基づくインサート成形用耐指紋性フィルムの評価結果を表3および表4に示す。
比較例2では、耐指紋層の膜厚が厚すぎるため、インサート成形後のヘイズが悪い。比較例4では、算術平均粗さRaが高く、インサート成形後のヘイズが悪いだけでなく、曲面形状におけるクラックが発生する結果となった。
比較例5は(A)成分の組成量が下限を下回っているため、曲面形状におけるクラックが発生し、かつ、指紋視認性も悪い結果となった。
比較例6は、(A)成分の組成量が上限を上回っているため、鉛筆硬度が悪い結果となった。
比較例7は、(A)成分のTgが上限を上回っているため、曲面形状におけるクラックが発生する結果となった。
比較例8は、(A)成分のSP値が下限を下回っているポリマーを使用するため、曲面形状におけるクラックが発生し、かつ、指紋視認性も悪い結果となった。
比較例9は、有機微粒子(C)の組成量が上限より多いため、算術平均粗さRaが高く、インサート成形後のヘイズが悪い。
比較例10は、有機微粒子(C)の組成量が下限より少ないため、金型離れ性が悪い。
比較例11は、有機微粒子(C)の粒子径が上限より大きいため、インサート成型後のヘイズが悪い。
比較例12は、有機微粒子(C)の粒子径が下限より小さいため、金型離れ性が悪い。
比較例13は、有機微粒子(C)を含有しないため、金型離れ性が悪い。
Claims (3)
- 熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に、耐指紋層が形成されてなり、
該耐指紋層の膜厚が0.5〜3.0μmであり、
該耐指紋層の表面凹凸がRa(算術平均粗さ)0.04〜0.20μmであるインサート成形用耐指紋フィルムであって、
前記の耐指紋層が、下記の(A)〜(D)成分;
SP値が8〜13であり、Tgが65〜100℃のポリマー(A)、
紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)、
平均粒子径0.8〜5.5μmの有機微粒子(C)、
光重合開始剤(D)
からなり、かつ
ポリマー(A)と紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の質量比が90:10〜60:40であり、
ポリマー(A)および紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の合計100質量部に対して、有機微粒子(C)を0.3〜2.0質量部、光重合開始剤(D)を1〜10質量部含有する
樹脂組成物の硬化物である、インサート成形用耐指紋フィルム。 - 前記の熱可塑性透明基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなり、前記の耐指紋層が、前記のポリメチルメタクリレート層上に形成されている、請求項1に記載のインサート成形用耐指紋フィルム。
- 請求項1または請求項2に記載のインサート成形用耐指紋フィルムを表面に備える樹脂成形品。
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JP2011088962A (ja) * | 2009-10-20 | 2011-05-06 | Nippon Kayaku Co Ltd | 紫外線硬化型ハードコート樹脂組成物、それを用いたハードコートフィルム及びハードコート成形物 |
JP2015147369A (ja) * | 2014-02-07 | 2015-08-20 | 日油株式会社 | インサート成形用防眩性フィルム |
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