JP2018126878A - インサート成形用ハードコートフィルムおよびこれを用いた樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】指紋による視認性の低下が抑制され、局面形状におけるクラックも無く、インサート成型後のヘイズ、鉛筆硬度、金型離れ性に優れたインサート成形用耐指紋性フィルムの提供。【解決手段】熱可塑性透明基材フィルムの一方面に、膜厚が0.5〜3.0μm、表面粗さRaが0.04〜0.20μmの耐指紋層が形成されてなるインサート成形用耐指紋フィルムであって、前記耐指紋層は、SP値が8〜13で、Tgが65〜100℃のポリマーA、紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物B、平均粒子径0.8〜5.5μmの有機微粒子C、光重合開始剤Dからなり、かつポリマーAと紫外線反応型化合物Bの質量比が90:10〜60:40であり、ポリマーAおよび紫外線反応型化合物Bの合計100質量部に対して、有機微粒子Cを0.3〜2.0質量部、光重合開始剤Dを1〜10質量部含有する樹脂組成物の硬化物であるインサート成形用耐指紋性フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、カーナビをはじめとする自動車のインフォメーションパネル、携帯電話、パソコンなどで利用されるタッチパネルディスプレイに使用されるフィルムに関する。特に、指紋が目立ち難く、かつ、インサート成形加工時の金型離型性が良好なインサート成形用ハードコートフィルムに関する。また、これを用いた樹脂成形品に関する。
近年、カーナビや携帯電子機器の普及に伴い、それらのタッチパネル機能付きディスプレイのカバーにインサート成形品が用いられる機会が増えている。インサート成形とは、ハードコート処理や印刷が施されたフィルムと樹脂成型材料とを金型により一体的に成形(インサート成形)する方法であり、意匠性の高い自動車部品や携帯電子機器部品の成形品を高品質かつ高速度で提供することができる。
インサート成形に用いられるハードコート層には、特に、基材との密着性、成形性、表面硬度等の機能が求められているが、タッチパネル機能付きディスプレイ用途におけるニーズの高まりに伴い、指紋等の皮脂汚れが付着することによる視認性の悪化を抑制する耐指紋性へのニーズが高まっており、例えば、特許文献1、2には、そのような要求に応えるインサート成形用耐指紋フィルムが提供されている。
インサート成形は、加飾フィルムと樹脂の射出成形プロセスとを用いる点において、インモールド成形と類似する成形方法であるが、インモールド成形と比べると、技術的にはるかに高度な技術である。インモールド成形においては、型離れのよいアプリケータフィルムを用いることによって、連続的な転写ができるのであるが、これに対して、インサート成形においては、生産性をより高めるため、アプリケータフィルムを用いず、直接キャビティ(メス型)上に設置した加飾フィルムに部品形成用の熱可塑性樹脂を射出成形して、キャビティから成形品である意匠部品を取り出す。その際に、フィルムの離形性に問題があると、「キャビ取られ」といわれる離形不良が発生し、連続ライン生産の停止という重大な事態に陥る。成形品の意匠性の高まりに伴い、キャビティ形状が複雑になる一方で、フィルム利用のメリットである高い生産性の維持が要求されている。
一方、自動車部品や携帯電子機器部品の成形品の意匠性が高まるにつれ、成形品はより複雑で多様な曲面を有する設計仕様への対応が求められる。この曲面部分にはクラックが発生しやすくなるのであるが、単純にインサート成形用ハードコートフィルムの柔軟性を増しただけでは、今度はキャビ取られが発生しやすくなってしまう。
上記の通り、指紋視認性の高さ、インサート成型後のヘイズ値の低さ、鉛筆硬度の高さといった、インサート成形用のフィルムとしての基本性能を損なうことなく、相反する金型離れ性(キャビ取られ性)および曲面形状における低クラック性という、さらに高度な要求性能を満たすインサート成形用ハードコートフィルムが求められているのである。
特開2014−226849号公報 特開2016−049748号公報
上記の通り、本発明の目的とするところは、インサート成形用のフィルムであって、指紋による視認性の低下が抑制され、局面形状におけるクラックも無く、インサート成型後のヘイズも良好であり、鉛筆硬度も十分であり、かつ、金型離れ性の良いインサート成形用耐指紋性フィルムを提供すること、ならびにこれを用いた樹脂成形品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、耐指紋層において、特定の溶解度パラメータとガラス転移温度を有するポリマーマトリックス中に特定粒子径を有する有機微粒子を担持させて使用して、耐指紋層の表面凹凸粗さを特定範囲とすることによって、上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕〜〔3]である。
〔1〕熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に、耐指紋層が形成されてなり、
該耐指紋層の膜厚が0.5〜3.0μmであり、
該耐指紋層の表面凹凸がRa(算術平均粗さ)0.04〜0.20μmであるインサート成形用耐指紋フィルムであって、
前記の耐指紋層が、下記の(A)〜(D)成分;
SP値が8〜13であり、Tgが65〜100℃のポリマー(A)、
紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)、
平均粒子径0.8〜5.5μmの有機微粒子(C)、
光重合開始剤(D)
からなり、かつ
ポリマー(A)と紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の質量比が90:10〜60:40であり、
ポリマー(A)および紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の合計100質量部に対して、有機微粒子(C)を0.3〜2.0質量部、光重合開始剤(D)を1〜10質量部含有する樹脂組成物の硬化物である、インサート成形用耐指紋フィルム。
〔2〕前記の熱可塑性透明基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなり、前記の耐指紋層が、前記のポリメチルメタクリレート層上に形成されている、前記の〔1〕に記載のインサート成形用耐指紋フィルム。
〔3] 前記の〔1〕または〔2〕に記載のインサート成形用耐指紋フィルムを表面に備えた樹脂成形品。
本発明によって、指紋による視認性の低下が抑制され、局面形状におけるクラックも無く、インサート成型後のヘイズも良好であり、鉛筆硬度も十分であり、かつ、金型離れ性の良いインサート成形用耐指紋性フィルムおよびこれを用いた樹脂成形品が提供される。
図1は、DSC測定によるガラス転移温度(Tg)の算出方法を図解したものであり、温度の上昇に伴う発熱の曲線の変化部分から、本発明におけるガラス転移温度(Tg)を算出することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本明細書において数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。
また、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。「(メタ)アクリロイル基」や「(メタ)アクリル系樹脂」も同様である。
本発明のインサート成形用耐指紋フィルムは、熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に、耐指紋層が形成されてなり、該耐指紋層は、下記の(A)〜(D)成分からなる樹脂組成物の硬化物である。
SP値が8〜13であり、Tgが65〜100℃のポリマー(A)
紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)
平均粒子径0.8〜5.5μmの有機微粒子(C)
光重合開始剤(D)
≪熱可塑性透明基材フィルム≫
熱可塑性透明基材フィルムは、ポリカーボネート樹脂、またはポリメチルメタクリレート樹脂の一方または双方からなるフィルムを使用でき、特に、ポリカーボネート層およびポリメチルメタクリレート層との2層構造からなるフィルムが好ましい。熱可塑性透明基材フィルムの膜厚は、通常30〜250μm、好ましくは125〜200μmである。また、熱可塑性透明基材フィルムの屈折率は、1.49〜1.59であることが好ましい。なお、PETなどのポリエステル樹脂からなるフィルム等は、成形時に基材フィルムが延伸するとクラックに起因した白化等が生じるため、本発明の基材フィルムとしては好ましくない。
≪耐指紋層≫
耐指紋層の膜厚は、0.5〜3.0μmである。0.5μm未満の場合、指紋の付着性を抑制する効果が低下する。3.0μmよりも厚い場合は、応力が加わるインサート成形加工の際に延伸性が低下して耐指紋層に亀裂(クラック)が発生し易くなる。
耐指紋層の表面凹凸のRa(算術平均粗さ)は、0.04〜0.20μmである。0.04μmよりも低い場合は、金型離れ性が低下し、0.20μmよりも高い場合は、インサート成形後のヘイズが悪くなる。
なお、耐指紋層は、耐指紋層用樹脂組成物を紫外線等により硬化させた硬化物であり、その組成を以下に説明する。
<ポリマー(A)>
本発明に用いるポリマー(A)は、SP値が8〜13であり、好ましくは9〜11である。SP値が8より低いと指紋が付着すると目立ち易くなり、13より高いと、耐指紋層の塗料中で他成分との相溶性が悪化するため、耐指紋層の一部が透明フィルム上ではじいた状態となり、十分な表面性を得ることができない。
本発明に用いるポリマー(A)は、Tgが65〜100℃であり、好ましくは70〜90℃である。Tgが65℃より低いとインサート成形加工の際に軟化しすぎて金型離れ性(キャビ取られ性)が悪くなり、100℃より高いと応力が加わるインサート成形加工の際に延伸性が低下して、耐指紋層に亀裂(クラック)が発生し易くなるため好ましくない。
前記SP値が8〜13であり、Tgが65〜100℃のポリマーとしては、ポリオレフィン構造、ポリスチレン構造、ポリ(メタ)アクリル酸構造、ポリ(メタ)アクリル酸エステル構造、ポリシロキサン構造、ポリエステル構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造、およびセルロース構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を有し、かつヒドロキシル基(−OH)、エーテル基(−O−)、カルボキシル基(−COOH)、オキシカルボニル基(−OC(=O)−)、シロキサン結合(−SiO−)、炭素原子数1〜18のトリアルコキシシリル基(−OR3)、フルオロ基(−F)、クロロ基(−Cl)、ブロモ基(−Br)、およびヨード基(−I)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する、重量平均分子量が5000〜500,000のポリマーが挙げられる。SP値は、これらの構造の含有比率等によって適宜制御することができる。なお、ポリマーは、単独重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の何れであってもよく、例えばポリ(メタ)アクリル酸エステル構造とポリシロキサン構造のそれぞれをユニットとして有するブロック共重合体、ポリオレフィン構造を主鎖とし、ポリ(メタ)アクリル酸構造をグラフト鎖とするグラフト共重合体等が当該ポリマーに該当する。また、ポリマー内の官能基は、重合前のモノマーの状態から存在するもの、重合によって形成するもの、ポリマーを変性して導入するもののいずれであってもよい。ポリマーの変性方法は、公知のものを適宜採用することができるが、例えば、ポリマー内のカルボン酸無水物構造をアルコールと反応させてエステル化し、アルコール由来の構造をポリマーの側鎖に導入する方法が挙げられる(下記反応式参照。)。
Figure 2018126878
ポリマー(A)の具体的材料としては、ポリオレフィンに不飽和ジカルボン酸無水物をグラフト化し、カルボン酸と反応させて変性するカルボン酸変性不飽和ジカルボン酸グラフト化ポリオレフィン、シリコーンアクリル重合体、シリコーンアクリルブロック共重合体、スチレン・メタアクリル樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド(ナイロン66)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、熱可塑性ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
<紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)>
本発明に用いる紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)は、(メタ)アクリロイル基を有しており、紫外線を照射することによって耐指紋層用樹脂組成物を硬化させ、耐指紋層を硬くすることができる。また、紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)を含むことで、耐溶剤侵食性や耐湿性などの耐候性が改善する傾向にある。本発明に用いる紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)は、重量平均分子量5000未満であり、紫外線が照射されることで硬化するものであれば特に限定されることなく、公知のものを利用することができる。本発明に用いる紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)のSP値は、8〜16であることが好ましく、8〜13であることがより好ましい。紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)のSP値が8〜13であると、ポリマー(A)との相溶性を確保しやすくなる。
紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)としては、下記式(B−1)または(B−2)で表される単官能(メタ)アクリレート、下記式(B−3)〜(B−5)の何れかで表される2官能(メタ)アクリレート、下記式(B−6)または(B−7)で表される多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
Figure 2018126878
(式(B−1)〜(B−7)中、R1はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を、R2およびR4はヒドロキシル基(−OH)、エーテル基(−O−)、カルボキシル基(−COOH)、およびオキシカルボニル基(−OC(=O)−)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基を、R3、R6、およびR8はそれぞれ独立してヒドロキシル基(−OH)およびエーテル基(−O−)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基を、R5およびR7はヒドロキシル基(−OH)、エーテル基(−O−)、カルボキシル基(−COOH)、およびオキシカルボニル基(−OC(=O)−)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して1〜30の整数を、nは3〜10の整数を、Zは炭素原子と、水素原子、酸素原子、および窒素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子とからなるn価の基を表す。)
なお、「炭化水素基」は、分岐構造、環状構造、及び炭素−炭素不飽和結合(炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合)のそれぞれを有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよい。
1としては水素原子が好ましく、R2およびR4としては炭素原子数1〜10の炭化水素基が好ましく、R3、R6、およびR8としては炭素原子数3〜12の炭化水素基が好ましく、R5およびR7としては炭素原子数2〜12の炭化水素基が好ましく挙げられる。
式(B−1)または(B−2)で表される単官能(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート(m=9)、メトキシポリエチレングリコール#550アクリレート(m=13)、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(m=2)、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、イソステアリルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート(m=9)、メトキシポリエチレングリコール#1000メタクリレート(m=23)、フェノキシエチレングリコールメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート等が挙げられる。
式(B−3)〜(B−5)の何れかで表される2官能(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート(m=4)、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(m=9)、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(m=14)、ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート(m=23)、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(m合計=12)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート等が挙げられる。
式(B−6)または(B−7)で表される多官能(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、日本合成化学(株)製「紫光UV−7600B」として入手可能な6官能ウレタンアクリレートが挙げられる。これらのうち、高硬度を維持しやすいことから、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、日本合成化学(株)製「紫光UV−7600B」として入手可能な6官能ウレタンアクリレートを適用することが好ましい。
ポリマー(A)と紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の質量比は、90:10〜60:40であり、好ましくは80:20〜70:30である。ポリマー(A)に対して、紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の質量比が小さすぎると耐指紋層の硬度が不十分となり、鉛筆硬度(評価法:JIS−K5600−5−4)が2H以上とならない。また、大きすぎると応力が加わるインサート成形加工の際に延伸性が低下して、耐指紋層に亀裂(クラック)が発生し易くなるため好ましくない。
<有機微粒子(C)>
本発明に用いる有機微粒子(C)としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂、架橋ポリオレフィン樹脂、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ポリウレタン樹脂などの架橋熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で形成された粒子などが挙げられる。これらの有機粒子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機粒子のうち、ポリアミド粒子などの熱可塑性樹脂粒子や、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子、架橋ポリスチレン系粒子、架橋ポリウレタン粒子などの架橋熱可塑性樹脂粒子などが汎用される。
本発明に用いる有機微粒子(C)の平均粒子径は、0.8〜5.5μm、好ましくは3.0〜5.5μmである。この平均粒子径が0.8μm未満の場合、耐指紋層表面における凹凸が小さくなり金型離型性が不十分となる。その一方、5.5μmを超える場合、耐指紋層表面における凹凸が大きくなることで白化が生じ、透明性が損なわれるため好ましくない。
本発明における平均粒子径とは、コールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算し、得られた粒子数分布から算出される値である。なお、コールターカウンター法は、電気抵抗を利用した粒子径測定法であり、粒子が細孔を通過する際に生じる2電極間の電気抵抗の変化を測定して平均粒子径を測定する方法である。
本発明に用いる有機微粒子(C)の屈折率は、1.46〜1.60であることが好ましく、1.48〜1.53であることがより好ましい。有機微粒子(C)の屈折率が1.48〜1.53であると、インサート成形後のヘイズを良好に保ちやすくなる。
本発明に用いる有機微粒子(C)は、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して、0.3〜2.0質量部、好ましくは0.5〜1.0質量部含有する。有機微粒子の含有量が0.3質量部より少ない場合には、有機微粒子の機能を十分に発揮することができず、金型離型性が得られなくなる。その一方、2.0質量部より多い場合には、インサート成形後のヘイズ値が高くなり過ぎ、耐指紋フィルムをディスプレイ表面に設置した際、白化等が生じると共に、シンチレーション(面ぎら)が生じて画像鮮明性が低下する。
<光重合開始剤(D)>
本発明に用いる光重合開始剤は、上記(A)〜(C)成分にさらに添加して樹脂組成物とし、紫外線(UV)等の活性エネルギー線により、これを硬化させて塗膜を形成する。光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤(D)の添加量としては、ポリマー(A)および紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の合計100質量部に対して、1〜10質量部となるようにする。1質量部未満であると硬化が十分に進行せず、十分な硬度が確保できず、10質量部を上回ると密着性が低下する場合がある。
〔SP値:溶解性パラメータ〕
SP値とは、溶解性パラメータ(Solubility Parameter)のことであり、溶解性の尺度となるものである。SP値は数値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを示す。一般に、2成分のSP値の差は、相溶性の目安とされており、差が大きいほど2成分が混ざりにくい。
本発明における、ポリマーのSP値は濁点滴定法による[参考文献:Suh, Clarke, J. Polym. Sci,. A-1, 5, 1671-1681 (1967)]。具体的には、ポリマーをSP値が既知の良溶媒に溶解させておき、ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒と、ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒で濁度滴定することにより、高分子のSP値を決定することができる。ポリマーのSP値δは次式によって与えられる。
Figure 2018126878
mL=V12/(φ1221
1:ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における貧溶媒の分子容
2:ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における良溶媒の分子容
φ1:ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における貧溶媒の体積分率
φ2:ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における良溶媒の体積分率
mh=V34/(φ34+φ43
3:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における貧溶媒の分子容
4:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における良溶媒の分子容
φ3:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における貧溶媒の体積分率
φ4:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁りを生じはじめた点(濁点)における良溶媒の体積分率
φmh=φ3δ3+φ4δ4
δ3:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値である貧溶媒のSP値
δ4:ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒で濁点を測定した良溶媒のSP値
〔Tg:ガラス転移温度〕
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121−1987に記載のDSC(Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量測定)によって測定した補外ガラス転移開始温度を示す。図面1に示す通り、補外ガラス転移開始温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線とガラス転移の段階上変化部分の曲線勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である(図面1を参照)。
〔耐指紋層の形成〕
まず、耐指紋層用樹脂組成物を熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に塗布した後、乾燥して、或いは紫外線を照射して、硬化させることにより、熱可塑性透明基材フィルム上に耐指紋層が形成される。それにより、インサート成形用耐指紋性フィルムが得られる。
上記の耐指紋層用樹脂組成物の塗布方法は特に制限されず、通常行なわれている塗布方法、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、インクジェット法、グラビアコート法等公知のいかなる方法も採用される。塗布に際しては、密着性を向上させるために、予め熱可塑性透明基材フィルム表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことができる。
また、塗工性の観点から、各樹脂組成物は溶媒に希釈し塗工することが好ましい。溶媒としては、各層形成用の塗液に従来から使用されている公知のものであれば特に制限は無く、例えばアルコール系、ケトン系、エステル系の溶媒が適時選択できる。
塗膜に紫外線を照射する場合、紫外線源としては、例えば高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、窒素レーザ、電子線加速装置、放射性元素等の線源等が使用される。この場合、紫外線の照射量は、紫外線の波長365nmでの積算光量として50〜5000mJ/cm2であることが好ましい。照射量がこの範囲であれば、塗膜の硬化が不十分となったり、(A)成分のポリマーが着色したりすることがなく、好適に塗膜の硬化を行うことができる。
〔インサート成形用耐指紋性フィルムを用いた樹脂成形品〕
上記インサート成形用耐指紋性フィルムは、インサート成形により、樹脂を成形すると同時に、その成形品の表面に一体化される。インサート成形用耐指紋性フィルムを射出成形金型内のキャビティに保持し、溶融した樹脂を金型内に注入することで、表面にインサート成形用耐指紋性フィルムが一体化され、表面に耐指紋層を備えた樹脂成形品を得ることができる。
本発明の樹脂成形品を得るインサート成形において、金型の温度は、他の成形条件も考慮して適宜設定されるが、多くの場合、約100℃に保たれる。金型の温度が約100℃に保たれる理由としては、金型の温度が100℃を超過して高くしてしまうと、成形品の熱履歴によって、表面の防眩性フィルムにシワや歪みが生じやすいためである。一方、金型の温度が100℃を大幅に下回ると、成形加工中に樹脂温度が低下しすぎて、目的の形状を形作ることが困難となるためである。
本発明の耐指紋性フィルムおよびこれを用いた樹脂成形品は、テレビ、ビデオカメラ、ワープロ、カーナビ、カーナビのカバーレンズパソコン、携帯電話、自動車のインフォメーションパネルなどの電子画像装置やタッチパネルにおける、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、FED(フィールドエミッションディスプレイ)などの各種ディスプレイに適用できる。
以下に、製造例、実施例および比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
まず、耐指紋層の形成に用いる樹脂組成物を調製するために以下の原料を用意した。
<ポリマー(A)の調製>
本発明に用いるポリマー(A)であるポリマーA1〜A4を次の通り準備した。
1.プロピオニル変性不飽和ジカルボン酸(無水物)グラフト化ポリオレフィン(A1)の調製
高分子ポリオレフィン(プロピレンと1−ブテンとの共重合体:三井化学(株)製「タフマーXR110T」)を攪拌機および温度計を備えた反応容器に入れ、360℃まで昇温して溶融させ、窒素気流下で100分間加熱することにより、熱減成による低分子ポリオレフィン(a1)を得た。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記低分子ポリオレフィン(a1)160質量部を入れ、窒素気流下で180℃まで昇温して溶融させたのち、無水マレイン酸25質量部と1−ドデセン20質量部を加え、均一に混合した。次いで、あらかじめ調製したキシレン20質量部にジクミルパーオキサイド1質量部を溶解させた溶液を、180℃を維持しながら2時間かけて滴下し、滴下後さらに180℃で2時間攪拌し、無水マレイン酸のグラフト化反応を行った。その後、減圧下でキシレンおよび1−ドデセンを留去して、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(a2)を得た。
次に、攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応容器に、前記無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(a2)450質量部を入れ、窒素気流下で105℃まで昇温し、該温度を維持するようにしながらトルエン300質量部を攪拌下で徐々に滴下した。次いで、水酸基含有プロピオネート[CH3CH2COO(CH22OCO(CH25OH]135質量部を添加し、攪拌しながら同温度で3時間反応させたのち、冷却し、水酸基含有プロピオニル変性無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(A1)を得た。この樹脂は、重量平均分子量は12,100、SP値:10.9、Tg:80℃であった。
2.シリコーンアクリルブロック共重合体(A2)の調製
VPS−1001N(アゾ基含有ポリシロキサン化合物、和光純薬工業(株)製、ポリシロキサン鎖の分子量10,000、固形分50%)243.9質量部と、シクロヘキシルメタクリレート144.0質量部、スチレン43.7質量部、ヒドロキシルエチルメタクリレート52.3質量部および酢酸ブチル343.3質量部からなる混合物とを混合した。この混合溶液を、撹拌羽根、窒素導入管、冷却管および滴下漏斗を備えた1000mL反応容器中の、窒素雰囲気下で120℃に加温した酢酸ブチル270.0質量部に、3時間かけて等速で滴下し、その後、120℃で30分間混合し、反応させた。ターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.60質量部を含む酢酸ブチル15.0質量部溶液を、30分間かけて等速滴下してから、さらに120℃で1時間混合して反応させて、数平均分子量34,000、重量平均分子量125,000のシリコーンアクリルブロック共重合体を得た。この樹脂は、SP値:10.8、Tg:69℃であった。
3.シリコーンアクリル重合体(A3)の調製
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40質量部、酢酸ブチル20質量部を反応器に入れ、加熱撹拌しながら還流状態とする。これにアゾビスイソブチロニトリル質量部酢酸ブチル40質量部の溶液が還流状態を保ちつつ2時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間還流を続けた。得られた樹脂液は不揮発分41%であり、樹脂のTgは90℃であった。重量平均分子量110,000、SP値:8.5。
4.スチレン・メタアクリル樹脂(A4)
スチレン・メタアクリル樹脂:三菱レイヨン(株)製「BR−50」、重量平均分子量65,000、SP値:9.2、Tg:100℃
本発明に用いるポリマー(A)以外のポリマーA’5およびA’6を次の通り準備した。
5.スチレン・メタアクリル樹脂(A’5)
ポリメタクリル酸メチル:根上工業(株)製「M−4003」、重量平均分子量1.000,000、SP値:9.0、Tg:105℃
6.含フッ素化合物(A’6)の調製
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104質量部とビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11質量部を入れた。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させて無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、1H−NMR、IR(赤外線吸収スペクトル)により分析したところ、上記アリルエーテルの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。重量平均分子量は118,000であった。
得られた水酸基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー5質量部とメチルエチルケトン(MEK)43質量部、ピリジン1質量部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。そして、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1質量部をMEK9質量部に溶解したものを10分間かけて滴下した。これにより重合性二重結合をもつ含フッ素化合物(A’6)を得た。この樹脂は、SP値:7.5、Tg:102℃であった。
<紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)>
本発明に用いる紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)を次の通り準備した。
DPHA: ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」、分子量:578、SP値:12.1
A−TMM−3LM−N: ペンタエリスリトールトリアクリレート、新中村化学(株)製「A−TMM−3LM−N」、分子量:298、SP値:12.7
<有機微粒子(C)>
本発明に用いる有機微粒子(C)を次の通り準備した。
XX−27V: スチレン−アクリル共重合体の微粒子、積水化成品(株)製「XX−27V」、平均粒子径3.0μm、屈折率1.50
MX−80H3wT: 架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂微粒子、綜研化学(株)製「ケミスノーMX−80H3wT」、平均粒子径0.8μm、屈折率1.49
SSX1055QXE: 架橋アクリル−スチレン共重合樹脂粒子、積水化成品工業(株)製「SSX1055QXE」、平均粒子径5.5μm、屈折率1.51
SSX−108:アクリル粒子、積水化成品工業(株)製「SSX−108」、平均粒子径8.0μm、屈折率1.49
MX−40T: 架橋アクリル粒子、綜研化学(株)製「MX−40T」、平均粒子径0.4μm、屈折率1.49
<光重合開始剤(D)>
I−184:1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「I−184」
<溶媒>
メチルイソブチルケトン/イソプロピルアルコール=50/50
(製造例1〜10、比較製造例1〜9)
次に、耐指紋層用樹脂組成物として上記原料を使用し、各原料を表1および表2に記載した組成で混合した。更に、その混合物25質量部と上記溶媒75質量部とを混合し、耐指紋層用塗液を調整した。各材料の名称については、表中には一部上記した略称を用いた。
Figure 2018126878
Figure 2018126878
〔インサート成型用耐指紋フィルムの作製〕
表3および表4に記載した熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に、耐指紋層が形成された実施例1〜12、比較例1〜13のインサート成型用耐指紋フィルムを作製した。
<熱可塑性透明基材フィルム>
各実施例および比較例において、熱可塑性透明基材フィルムとしては、以下のものを使用した。
ポリカーボネートフィルム(PC):住友化学(株)製「C000」188μm、
ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA):住友化学(株)製「S014G」188μm、
ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなるフィルム(PC/PMMA):住友化学(株)製「C001」200μm
(耐指紋性フィルムの作製)
(実施例1)
耐指紋層用塗液(製造例1)を、前記ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)上にロールコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm2)、硬化させて耐指紋層を作製した。耐指紋層の厚みは1.0μmであった。耐指紋層の表面凹凸である算術平均粗さRaは0.08であった。
(実施例2)
耐指紋層用塗液(製造例1)を、前記ポリカーボネートフィルム(PC)上にロールコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm2)、硬化させて耐指紋層を作製した。耐指紋層の厚みは0.5μmであった。算術平均粗さRaは0.04であった。
(実施例3)
耐指紋層用塗液(製造例1)を、前記ポリメチルメタクリレートフィルム(PMMA)上にロールコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm2)、硬化させて耐指紋層を作製した。耐指紋層の厚みは3.0μmであった。算術平均粗さRaは0.19であった。
(実施例4)
耐指紋層用塗液(製造例2)を、前記ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなるフィルム(PC/PMMA)上にロールコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm2)、硬化させて耐指紋層を作製した。耐指紋層の厚みは1.0μmであった。算術平均粗さRaは0.08であった。
(実施例5〜12)
耐指紋層用塗液を製造例3〜製造例10に変更した以外は、実施例4と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表3の通りであった。
(比較例1、2)
耐指紋層用塗液を製造例1に変更し、耐指紋層の厚みをそれぞれ0.4μm、3.2μmに変更した以外は、実施例4と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表4の通りであった。
(比較例3)
耐指紋層の厚みをそれぞれ0.6μmに変更した以外は、前記実施例6と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表4の通りであった。
(比較例4)
耐指紋層の厚みをそれぞれ1.2μmに変更した以外は、前記実施例7と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表4の通りであった。
(比較例5〜13)
耐指紋層用塗液を比較製造例1〜比較製造例9に変更した以外は、前記実施例4と同様に硬化させて耐指紋層を作製した。算術平均粗さRaは表4の通りであった。
得られたインサート成形用耐指紋性フィルムについて、インサート成形後のヘイズ、Ra、指紋視認性、鉛筆硬度、成形品の曲面形状におけるクラックの有無、金型離れ性(キャビ取られ性)を下記方法で測定した。
(1)ヘイズ値
ヘイズメーター〔日本電色工業(株)製、NDH2000〕を使用し、光学特性としてのヘイズ値(%)を測定した。
(2)算術平均粗さRa
表面粗さ測定器〔(株)小坂研究所製、型名SurfcorderSE500〕を用い走査範囲4mm、走査速度0.2mm/sの条件で、JIS B0601−1994の規定に準拠して算術平均粗さRa(μm)を測定した。
(3)指紋視認性
耐指紋層上に指紋を付着させ、その視認性について下記の4段階にて目視による官能評価を行った。
◎:指紋が全く見えない、○:指紋が極僅かに見える、△:指紋が僅かに見える、×:指紋が見える。
○以上が実用に供することができる合格範囲である。
(4)鉛筆硬度
荷重は750gfとし、JIS K 5600に準拠して評価した。
2H以上が実用に供することができる合格範囲である。
(5)成形品の曲面形状におけるクラックの有無
インサート成型用耐指紋性フィルムを用いて下記の成形条件にてインサート成形して樹脂成形品を作製し、その成形品の曲面部分を目視にて確認し、クラック等の亀裂の有無を確認した。
○:クラック等の亀裂なし、×:クラック等の亀裂あり
(6)金型離れ性(キャビ取られ性)
インサート成形用耐指紋性フィルムを用いて下記の成形条件にてインサート成形して樹脂成形品を作製し、金型から成形体を抜くときに、金型からの離型性不良の有無と金型と接触した表面層を目視でシワ、フクレ、ハガレ等が発生せず外観上問題ないかを確認することで金型離れ性を評価した。
○:金型からの離型性が良好、かつ、シワ、フクレ、ハガレ等が発生せず外観が良好
×:金型からの離型性が不良、または、シワ、フクレ、ハガレ等が発生し外観が不良
上記の評価方法に基づくインサート成形用耐指紋性フィルムの評価結果を表3および表4に示す。
Figure 2018126878
Figure 2018126878
表3に示した結果より、実施例1〜12では良好な金型離れ性(耐キャビ取られ性)を有し、かつ、指紋視認性に優れているため、指紋が目立ち難い。さらに、鉛筆硬度が2Hを達成できている。
一方、表4に示した結果より、比較例1では、耐指紋層の膜厚が薄く、金型離れ性が悪い。比較例3では、算術平均粗さRaが低く金型離れ性が悪い結果となった。
比較例2では、耐指紋層の膜厚が厚すぎるため、インサート成形後のヘイズが悪い。比較例4では、算術平均粗さRaが高く、インサート成形後のヘイズが悪いだけでなく、曲面形状におけるクラックが発生する結果となった。
比較例5は(A)成分の組成量が下限を下回っているため、曲面形状におけるクラックが発生し、かつ、指紋視認性も悪い結果となった。
比較例6は、(A)成分の組成量が上限を上回っているため、鉛筆硬度が悪い結果となった。
比較例7は、(A)成分のTgが上限を上回っているため、曲面形状におけるクラックが発生する結果となった。
比較例8は、(A)成分のSP値が下限を下回っているポリマーを使用するため、曲面形状におけるクラックが発生し、かつ、指紋視認性も悪い結果となった。
比較例9は、有機微粒子(C)の組成量が上限より多いため、算術平均粗さRaが高く、インサート成形後のヘイズが悪い。
比較例10は、有機微粒子(C)の組成量が下限より少ないため、金型離れ性が悪い。
比較例11は、有機微粒子(C)の粒子径が上限より大きいため、インサート成型後のヘイズが悪い。
比較例12は、有機微粒子(C)の粒子径が下限より小さいため、金型離れ性が悪い。
比較例13は、有機微粒子(C)を含有しないため、金型離れ性が悪い。
本発明の耐指紋性フィルムおよびこれを用いた樹脂成形品は、テレビ、ビデオカメラ、ワープロ、カーナビ、カーナビのカバーレンズ、パソコン、携帯電話、自動車のインフォメーションパネルなどの電子画像装置やタッチパネルにおける、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、FED(フィールドエミッションディスプレイ)などの各種ディスプレイに適用できる。

Claims (3)

  1. 熱可塑性透明基材フィルムの一方面上に、耐指紋層が形成されてなり、
    該耐指紋層の膜厚が0.5〜3.0μmであり、
    該耐指紋層の表面凹凸がRa(算術平均粗さ)0.04〜0.20μmであるインサート成形用耐指紋フィルムであって、
    前記の耐指紋層が、下記の(A)〜(D)成分;
    SP値が8〜13であり、Tgが65〜100℃のポリマー(A)、
    紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)、
    平均粒子径0.8〜5.5μmの有機微粒子(C)、
    光重合開始剤(D)
    からなり、かつ
    ポリマー(A)と紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の質量比が90:10〜60:40であり、
    ポリマー(A)および紫外線反応型(メタ)アクロイル基含有化合物(B)の合計100質量部に対して、有機微粒子(C)を0.3〜2.0質量部、光重合開始剤(D)を1〜10質量部含有する
    樹脂組成物の硬化物である、インサート成形用耐指紋フィルム。
  2. 前記の熱可塑性透明基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチルメタクリレート層との2層構造からなり、前記の耐指紋層が、前記のポリメチルメタクリレート層上に形成されている、請求項1に記載のインサート成形用耐指紋フィルム。
  3. 請求項1または請求項2に記載のインサート成形用耐指紋フィルムを表面に備える樹脂成形品。
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