以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる自動分析装置を説明する。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の構成を示す図である。自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、制御回路8、及び通信インタフェース回路9を備える。
分析機構2は、予め設定されたサイクルタイムに応じて、被検試料の測定に係る一連の動作を駆動機構4により実行する。サイクルタイムは、自動分析装置1が処理可能な最大検査数を決定するパラメータの1つである。最大検査数は、例えば所定期間で処理可能な検査数の最大値を表す。検査数は、例えば測定が依頼された各検体に係る検査項目の数の合計値である。
分析機構2は、所定の検査項目に用いられる標準試料と、当該標準試料に設定された検査項目で用いられる試薬とを混合する。標準試料は、例えば所定の検査項目に係る生化学物質の物質濃度が既知のキャリブレータである。分析機構2は、標準試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データを生成する。また、分析機構2は、所定の検査項目に用いられる被検試料と、当該被検試料に設定された検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、被検試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される被検データを生成する。生成された標準データ及び被検データは解析回路3に出力される。
解析回路3は、分析機構2により生成された標準データ及び被検データに基づいて検量線及び分析データ等を解析するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図1に示される各種機能を実現する。すなわち、解析回路3は、検量線生成機能31、及び分析データ生成機能32を備える。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって検量線生成機能31、及び分析データ生成機能32が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて解析回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することにより検量線生成機能31、及び分析データ生成機能32を実現しても構わない。
検量線生成機能31は、例えば検査項目毎に生成される標準データに基づいて検査項目毎の検量線を生成する機能である。検量線は、例えば所定の検査項目に係る生化学物質の物質濃度と吸光度との関係を表す関係線である。検量線生成機能31は、例えば初期設定時、メンテナンス時、装置起動時、又は有効期限更新時等に随時実行される。検量線生成機能31が実行されると、解析回路3は、分析機構2により検査項目毎に生成された標準データそれぞれに基づいて検査項目毎の検量線を生成する。解析回路3は、生成した検査項目毎の検量線を記憶回路7へ出力する。
分析データ生成機能32は、被検データ及び検量線に基づいて分析データを生成する機能である。分析データ生成機能32が実行されると、解析回路3は、被検データを、当該被検データに係る検査項目に対応する検量線に当てはめることによって、分析データを生成する。分析データは、生化学物質の物質濃度又は酵素の活性値等の物理量として表される。また、解析回路3は、被検データを、当該被検データに係る検査項目に対応する、後述する補正後の検量線に当てはめることによって、分析データを生成する。解析回路3は、生成した検査項目毎の分析データを記憶回路7へ出力する。
駆動機構4は、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。駆動機構4は、制御回路8の制御に従い、分析機構2を駆動させる。
入力インタフェース回路5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース回路5は、例えば、操作者から測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インタフェース回路5は、制御回路8に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路8へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース回路5はマウス及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路8へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路5の例に含まれる。
出力インタフェース回路6は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等の表示回路61、並びに、プリンタ等の印刷回路62を含む。出力インタフェース回路6は、制御回路8に接続され、制御回路8から供給される信号を出力する。
表示回路61は、例えば、制御回路8から供給される検量線及び分析データを表示する。
印刷回路62は、制御回路8から供給される検量線及び分析データを、予め設定されたフォーマットに従ってプリンタ用紙等に印刷する。
記憶回路7は、磁気的若しくは光学的記録媒体又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。記憶回路7は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路8で実行される動作プログラムを記憶する。記憶回路7は、解析回路3から出力される検量線を検査項目毎に記憶する。記憶回路7は、解析回路3から出力される分析データを被検試料毎に記憶する。
また、記憶回路7は、測定が依頼された検体に関するオーダ情報を記憶する。オーダ情報には、測定が依頼された検体、及び検体毎の依頼項目を示す情報が含まれる。また、記憶回路7は、検査履歴を記憶する。検査履歴には、オーダ情報に含まれる依頼項目毎に当該依頼項目に係る検査が実施されたか否かを示す情報が含まれる。
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路8は、記憶回路7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。
通信インタフェース回路9は、例えば、変調・復調装置、及び通信デバイス等により実現される。通信インタフェース回路9は、例えば、LAN等の病院内ネットワークを介し、検査室に設けられているシステムと接続する。検査室に設けられているシステムは、病院内に構築されている電子カルテシステムと接続している。通信インタフェース回路9は、検査室のシステムと通信することで、必要な情報を当該システムから取得する。
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す斜視図である。図2に示される分析機構2は、反応ディスク201、サンプルディスク202、第1試薬庫203、試薬ラック203a、第2試薬庫204、及び試薬ラック204aを備える。
反応ディスク201は、環状に配列された複数の反応管2011を保持する。反応ディスク201は、サイクルタイムに対応する既定の時間間隔で回動と停止とを交互に繰り返す。反応管2011は、例えば、ガラスにより形成されている。反応管2011は、1サイクルタイム毎に、駆動機構4により反応ディスク201が回動及び停止されることで、例えば所定の方向に、所定の角度移動される。
サンプルディスク202は、反応ディスク201の近傍に設けられている。サンプルディスク202は、回動することで、例えば血液等の検体が収容された試料容器100を複数保持する。サンプルディスク202は、分注対象の検体が収容された試料容器100を試料吸入位置に移動させる。
第1試薬庫203は、標準試料及び被検試料の各試料に含まれる所定の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器101を保冷する。第1試薬庫203内には、試薬ラック203aが回転自在に設けられている。試薬ラック203aは、複数の試薬容器101を保持する。
第2試薬庫204は、例えば、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器102を保冷する。第2試薬庫204内には、試薬ラック204aが回転自在に設けられている。試薬ラック204aは、複数の試薬容器102を保持する。
また、図2に示される分析機構2は、サンプル分注アーム205、サンプル分注プローブ206、洗浄槽206a、第1試薬分注アーム207、第1試薬分注プローブ208、洗浄槽208a、第2試薬分注アーム209、第2試薬分注プローブ210、洗浄槽210a、第1撹拌アーム211、第1撹拌子212、洗浄槽212a、第2撹拌アーム213、第2撹拌子214、及び洗浄槽214aを備える。
サンプル分注アーム205は、反応ディスク201とサンプルディスク202との間に、鉛直方向には上下動自在に、水平方向には回動自在に設けられている。サンプル分注アーム205は、一端にサンプル分注プローブ206を保持する。サンプル分注アーム205は、駆動機構4によって回動される。サンプル分注アーム205の回動に伴って、サンプル分注プローブ206は、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプル分注プローブ206が試料容器100から試料を吸引するサンプル吸引位置が設定されている。また、当該回動軌道上のサンプル吸引位置とは異なった位置には、サンプル分注プローブ206が吸引した試料を反応管2011へ吐出するサンプル吐出位置が設定されている。さらに、この回動軌道上のサンプル吸引位置、サンプル吐出位置とは異なった位置には、サンプル分注プローブ206が洗浄される洗浄位置が設定されている。洗浄位置には、サンプル分注プローブ206を洗浄する洗浄槽206aが設けられている。サンプル分注プローブ206の回動軌跡は、サンプルディスク202に保持されている試料容器100の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、サンプル吸引位置、サンプル吐出位置である。
サンプル分注プローブ206は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置、サンプル吐出位置、洗浄位置において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ206は、制御回路8の制御に従い、サンプル吸引位置に位置する試料容器100から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ206は、制御回路8の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
第1試薬分注アーム207は、反応ディスク201の外周近傍に、鉛直方向には上下動自在に、水平方向には回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム207は、一端に第1試薬分注プローブ208を保持する。第1試薬分注アーム207は、駆動機構4によって回動される。第1試薬分注アーム207が回動されることにより、第1試薬分注プローブ208は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第1試薬分注プローブ208が、第1試薬庫203に配置される試薬容器101から各検査項目に対応する第1試薬を吸引する第1試薬吸引位置と、吸引した第1試薬を反応管2011へ吐出する第1試薬吐出位置とが設定されている。第1試薬分注プローブ208の回動軌跡は、第1試薬庫203内の試薬ラック203aに保持されている試薬容器101(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、第1試薬吸引位置、第1試薬吐出位置である。
また、回動軌道上には、第1試薬分注プローブ208が洗浄される洗浄位置が設定されている。この洗浄位置には、第1試薬分注プローブ208を洗浄する洗浄槽208aが設けられている。洗浄槽208aは、第1試薬分注プローブ208を各検査項目に対応する第1試薬の分注終了毎に洗浄する。
第1試薬分注プローブ208は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置、及び第1試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、第1試薬吸引位置に位置する試薬容器101から第1試薬を吸引する。第1試薬分注プローブ208は、制御回路8の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
第2試薬分注アーム209は、反応ディスク201と第2試薬庫204との間に、鉛直方向には上下動自在に、水平方向には回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム209は、一端に第2試薬分注プローブ210を保持する。第2試薬分注アーム209は、駆動機構4によって回動される。第2試薬分注アーム209が回動されることにより、第2試薬分注プローブ210は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第2試薬分注プローブ210が、第2試薬庫204内に配置される試薬ラック204aに保持される試薬容器102から各検査項目に対応する第2試薬を吸引する第2試薬吸引位置と、吸引した第2試薬を反応管2011へ吐出する第2試薬吐出位置とが設定されている。第2試薬分注プローブ210の回動軌跡は、第2試薬庫204内の試薬ラック204aに保持されている試薬容器101(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、第2試薬吸引位置、第2試薬吐出位置である。
また、回動軌道上には、第2試薬分注プローブ210が洗浄される洗浄位置が設定されている。この洗浄位置には、第2試薬分注プローブ210を洗浄する洗浄槽210aが設けられている。洗浄槽210aは、第2試薬分注プローブ210を各検査項目に対応する第2試薬の分注終了毎に洗浄する。
第2試薬分注プローブ210は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第2試薬吸引位置、及び第2試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、第2試薬吸引位置に位置する試薬容器102から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ210は、制御回路8の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置に位置する反応管2011へ吐出する。
第1撹拌アーム211、及び第2撹拌アーム213は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。第1撹拌アーム211の先端には第1撹拌子212が設けられている。第1撹拌アーム211は、第1撹拌子212を保持し、鉛直方向に上下動自在である。また、第1撹拌アーム211は、水平方向に回動自在で、第1撹拌子212を円弧状の回動軌道に沿って移動させることが可能である。第1撹拌子212は、駆動機構4によって駆動され、反応ディスク201上の第1撹拌位置、及び反応ディスク201脇に設けられている洗浄位置において上下方向に移動する。第1撹拌子212は、反応ディスク201上の第1撹拌位置に配置された反応管2011内の試料と第1試薬との混合液を撹拌する。
洗浄位置は、第1撹拌子212の回転軌道上にあり、そこには、第1撹拌子212を洗浄する洗浄槽212aが設けられている。洗浄槽212aでは、試料と第1試薬との混合液を撹拌した第1撹拌子212が洗浄される。
第2撹拌アーム213の先端には第2撹拌子214が設けられている。第2撹拌アーム213は、第2撹拌子214を保持し、鉛直方に上下動自在である。また、第2撹拌アーム213は、水平方向に回動自在で、第2撹拌子214を円弧状の回動軌道に沿って移動させることが可能である。第2撹拌子214は、駆動機構4によって駆動され、反応ディスク201上の第2撹拌位置、及び反応ディスク201脇に設けられている洗浄位置において上下方向に移動する。第2撹拌子214は、反応ディスク201上の第2撹拌位置に配置された反応管2011内の試料と第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌する。
洗浄位置は、第2撹拌子214の回転軌道上にあり、そこには、第2撹拌子214を洗浄する洗浄槽214aが設けられている。洗浄槽214aでは、試料と第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌した第2撹拌子214が洗浄される。
また、図2に示される分析機構2は、測光ユニット220、及び洗浄ユニット230を備える。
測光ユニット220は、測光位置近傍に設けられる。測光位置は、反応ディスク201内に予め設定されている。測光ユニット220は、反応管2011に収容される混合液等の成分を光学的に測定する。測光ユニット220は、光源、及び光検出器を有する。光源及び光検出器は、測光位置に位置する反応管2011を挟んでお互いに対向する位置に設けられる。測光ユニット220は、制御回路8の制御に従い、光源から光を照射する。光検出器は、例えばサイクルタイムと同期したサンプリング周期で、光源から照射された光を検出する。これにより、反応管2011に吐出された混合液を透過した光を検出することになる。光検出器は、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される標準データ又は被検データを生成する。測光ユニット220は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
洗浄ユニット230は、廃液ノズル、洗浄ノズル、及び乾燥ノズルを備える。洗浄ユニット230は、廃液ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011内の混合液を廃液として吸引する。洗浄ユニット230は、洗浄ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011へ洗浄液を吐出し、反応管2011を洗浄する。洗浄ユニット225は、乾燥ノズルにより、反応管2011へ乾燥空気を供給することで、洗浄液により洗浄された反応管2011を乾燥させる。なお、洗浄液には、純水、アルカリ性洗剤を純水で希釈した希釈液、及び酸性洗剤を純水で希釈した希釈液等が含まれる。
本実施形態に係る制御回路8は、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図1に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8は、システム制御機能81、検査数取得機能82、サイクルタイム変更機能83、及び検量線補正機能84を備える。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能81、検査数取得機能82、サイクルタイム変更機能83、及び検量線補正機能84が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能81、検査数取得機能82、サイクルタイム変更機能83、及び検量線補正機能84を実現しても構わない。
システム制御機能81は、入力インタフェース回路5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。
検査数取得機能82は、測定が依頼された検査数を取得する機能である。検査数取得機能82が実行されると、制御回路8は、例えば測定が依頼された検体に関するオーダ情報及び検査履歴を記憶回路7から読み出す。制御回路8は、読み出したオーダ情報及び検査履歴に基づいて、測定が依頼されている検査のうち、未だ検査が実施されていない検査に係る検査数(以下、実施必要検査数と称する)を取得する。
なお、検査数取得機能82が実行されると、制御回路8は、通信インタフェース回路9を制御し、検査室に設けられているシステムから必要な情報を取得するようにしてもよい。具体的には、制御回路8は、通信インタフェース回路9を介して検査室のシステムへ実施が必要な検査数を問い合わせる。制御回路8は、通信インタフェース回路9により、検査室のシステムから送信された検体数、及び検体毎の依頼項目数を取得する。これにより、制御回路8は、実施必要検査数を取得する。
サイクルタイム変更機能83は、取得された実施必要検査数に応じて、予め設定されるサイクルタイムを変更する機能である。サイクルタイム変更機能83が実行されると、制御回路8は、検査数取得機能82の実行により取得された実施必要検査数に対応するサイクルタイムを記憶回路7から読み出す。制御回路8は、設定されているサイクルタイムを読み出したサイクルタイムに変更する。
検量線補正機能84は、変更されたサイクルタイムに応じて、検量線を補正する機能である。検量線補正機能84が実行されると、制御回路8は、検査項目毎に設定されている検量線を、変更されたサイクルタイムに応じて生成される補正値を用いてそれぞれ補正する。補正値は、例えば以下のように算出される。まず、測光ユニット220が備える光検出器により検出される光の強度に基づき、吸光度で表されるタイムコース(反応曲線)が検査項目毎に生成される。タイムコースは、例えば吸光度の時系列変化を示す関係線である。制御回路8は、サイクルタイムが変更されると、各測光点の時間間隔の伸縮を利用し、生成されている検査項目毎のタイムコースに基づいて、変更後のサイクルタイムに対応する検査項目毎のタイムコースを取得する。そして、制御回路8は、取得された検査項目毎のタイムコースにおける吸光度の時間的推移に基づいて、検査項目毎に設定されている検量線の補正値を算出する。補正値は、例えば検量線が比例して単調増加する場合、又は単調減少する場合には、切片及び傾きにより表される。
次に、本実施形態に係る自動分析装置1の動作について説明する。図3及び図4は、実施形態に係る自動分析装置が実施必要検査数に応じたサイクルタイムで測定する流れの例を示すフローチャートである。以下、説明を具体的にするため、初期設定されているサイクルタイムを、4.5秒(以下、第1のサイクルタイムと称する)とする。サイクルタイムが4.5秒に設定されている場合、自動分析装置1が処理可能な最大検査数は、例えば1時間当たり800である。また、記憶回路7には、第1のサイクルタイム(4.5秒)に加えて、第2のサイクルタイム(9秒)が記憶されている。サイクルタイムが9秒に設定されている場合、自動分析装置1が処理可能な最大検査数は、例えば1時間当たり400である。
自動分析装置1は、例えばサイクルタイム4.5秒における検量線を検査項目毎に予め生成する。具体的には、制御回路8は、測光ユニット220を制御し、例えば所定の検査項目に係る標準試料と試薬との混合液を測定して標準試料に係る標準データを生成する。また、制御回路8は、測光ユニット220を制御し、例えば当該検査項目に係る試薬を蒸留水(生理食塩水)等の反応を全くしないもので希釈した試薬ブランク液を測定して試薬ブランク液に係る標準データを生成する。解析回路3は、検量線生成機能31を実行する。検量線生成機能31の実行により解析回路3は、標準試料に係る標準データ、及び、試薬ブランク液に係る標準データを組み合わせて検量線を検査項目毎に繰り返し生成する。生成された検量線は、検査項目毎に記憶回路7に記憶される。図5は、本実施形態に係る自動分析装置が生成する検量線の例を表す図である。図5に示される検量線では、濃度と吸光度との関係が比例している。測定点(blk,Ablk)は、例えば試薬ブランク液を用いて測定した結果を表す。測定点(C-blk,Ac-Ablk)は、例えば濃度Cである標準試料を用いて測定した結果を表す。なお、図5に示される傾きK(以下、検量線定数Kと称する)は、以下の式で表される。
制御回路8は、例えば予め定められた時刻になると、検査数取得機能82を実行する。検査数取得機能82の実行により制御回路8は、例えばオーダ情報及び検査履歴を記憶回路7から読み出す。制御回路8は、読み出したオーダ情報及び検査履歴に基づいて、実施必要検査数を取得する。(ステップSA1)。なお、制御回路8は、所定の基準時点からの経過時間に基づいて検査数取得機能82を実行してもよい。また、例えば記憶回路7にオーダ情報が記憶されていない場合には、制御回路8は、通信インタフェース回路9により、検査室のシステムから測定の実施が必要な検体に係る検体数、及び検体毎の依頼項目数を取得することで、実施必要検査数を取得する。
制御回路8は、実施必要検査数を取得すると、サイクルタイム変更機能83を実行する。サイクルタイム変更機能83の実行により制御回路8は、初期設定値である第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合が50%未満であるか否か判定する(ステップSA2)。
制御回路8は、第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合が50%未満であると判定した場合(ステップSA2のYes)、初期設定値であるサイクルタイムが設定されているか否か、すなわち第1のサイクルタイムが設定されているか否か判定する(ステップSA3)。
制御回路8は、第1のサイクルタイムが設定されていると判定した場合(ステップSA3のYes)、第2のサイクルタイムを記憶回路7から読み出す。制御回路8は、設定されている第1のサイクルタイムを、読み出した第2のサイクルタイムに変更する(ステップSA4)。
制御回路8は、サイクルタイムが変更されると(ステップSA4)、検量線補正機能84を実行する。検量線補正機能84の実行により制御回路8は、変更後のサイクルタイム及び記憶回路7に記憶される検査項目毎のタイムコースに基づいて検査項目毎の補正値を算出する。制御回路8は、算出した検査項目毎の補正値を用い、検量線を検査項目毎に補正する(ステップSA5)。制御回路8は、補正した検量線を、補正後の検量線として検査項目毎に記憶回路7に記憶する。以下、補正値の算出方法を、複数のパターンのタイムコースを用いて具体的に説明する。
まず、主観測区間において吸光度が単調増加するタイムコースに基づいて補正値が算出される場合について説明する。主観測区間とは、例えば標準データ及び被検データを生成する際に用いられる吸光度を測定するために設定される区間である。主観測区間は、例えば複数の測光点で表される。図6は、主観測区間において吸光度が単調増加するタイムコースを表す図である。図6に示されるタイムコースは、第1のサイクルタイムが設定されている場合に生成されたタイムコースを表す。図6に示されるタイムコースにおいて、横軸は測光点、縦軸は吸光度を表している。図6に示される開始点Sは、所定の検査項目に係る試料の測光の開始点を表す。図6に示される測光点R1は、例えば第1試薬が検査項目に係る標準試料に対して投入された時の測光点を表す。図6に示される測光点R2は、例えば第2試薬が、検査項目に係る標準試料と第1試薬との混合液に対して投入された時の測光点を表す。図6に示されるタイムコースは、所定の検査項目に対して測光ユニット220が備える光検出器により各測光点で検出された値を結ぶことにより得られる。測光点の数は、例えば33である。図6に示されるタイムコースの測光点間の時間間隔は約18秒であり、開始点Sから終了点までにかかる時間は約10分となる。また、図6に示されるタイムコースは、第2試薬投入以後、単調増加する直線で近似される。
設定されている第1のサイクルタイム(4.5秒)を、読み出した第2のサイクルタイム(9秒)に変更した場合、図6に示されるタイムコースに基づいて取得される第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける測光点の時間間隔は、図6に示されるタイムコースにおける測光点間の時間間隔の2倍になる。また、取得された第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける開始点Sから予め設定された終点となる測光点までにかかる時間は、図6に示されるタイムコースにおける開始点Sから予め設定された終点となる測光点までにかかる時間の2倍になる。また、取得された第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける開始時Sから主観測区間に含まれる各測光点までにかかる時間は、図6に示されるタイムコースにおける開始時Sから主観測区間に含まれる各測光点までにかかる時間のそれぞれ2倍になる。主観測区間に含まれる測光点に至るまでの反応時間が長くなることにより、取得された第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける主観測区間に含まれる各測光点で測定された吸光度は、図6に示されるタイムコースにおける主観測区間に含まれる各測光点で測定された吸光度より大きくなる。特に、取得された第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける主観測区間で近似される直線の傾きは、図6に示されるタイムコースにおける主観測区間で近似される直線の傾きの2倍になる。このように、制御回路8は、設定されている第1のサイクルタイムに対応するタイムコースと、変更後の第2のサイクルタイムに対応するタイムコースとを比較した場合の変化に基づいて補正値を算出する。制御回路8は、例えば図5に示される検量線定数Kの値を大きくするような補正値を算出する。
次に、主観測区間において吸光度が単調減少するタイムコースについて説明する。図7は、主観測区間において吸光度が単調減少するタイムコースを表す図である。図7に示されるタイムコースは、第1のサイクルタイムに設定されている場合に生成されたタイムコースを表す。図7に示されるタイムコースは、第2試薬投入以後、単調減少する直線で近似される。
設定されている第1のサイクルタイム(4.5秒)を、読み出した第2のサイクルタイム(9秒)に変更した場合、図7に示されるタイムコースに基づいて取得される第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける測光点の時間間隔は、図7に示されるタイムコースにおける測光点間の時間間隔の2倍になる。また、取得された第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける開始点Sから予め設定された終点となる測光点までにかかる時間は、図7に示されるタイムコースにおける開始点Sから予め設定された終点となる測光点までにかかる時間の2倍になる。また、取得された第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける開始時Sから主観測区間に含まれる各測光点までにかかる時間は、図7に示されるタイムコースにおける開始時Sから主観測区間に含まれる各測光点までにかかる時間のそれぞれ2倍になる。主観測区間に含まれる測光点に至るまでの反応時間が長くなることにより、取得された第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける主観測区間に含まれる各測光点で測定された吸光度は、図7に示されるタイムコースにおける主観測区間に含まれる各測光点で測定された吸光度より大きくなる。特に、取得された第2のサイクルタイムに対応するタイムコースにおける主観測区間で近似される直線の傾きは、図7に示されるタイムコースにおける主観測区間で近似される直線の傾きの2倍になる。このように、制御回路8は、設定されている第1のサイクルタイムに対応するタイムコースと、変更後の第2のサイクルタイムに対応するタイムコースとを比較した場合の変化に基づいて補正値を算出する。制御回路8は、例えば図5に示される検量線定数Kの値を小さくするような補正値を算出する。
最後に、吸光度が最終的に一定の値に収束するタイムコースについて説明する。図8は、吸光度が最終的に一定の値に収束するタイムコースの例を表す図である。図8に示されるタイムコースは、第1のサイクルタイムに設定されている場合に生成されたタイムコースを表す。図8に示されるタイムコースは、第2試薬投入後、最終的に一定の値Aに収束する。この場合、測光点の間隔に対応する時間、及び開始点Sから予め設定された終点となる測光点までにかかる時間の伸縮にかかわらず、主観測区間の測光点で測定される吸光度は一定である。よって、制御回路8は、例えば検量線定数Kの値が変化されない補正値を算出する。このとき、算出された補正値を用いて補正された検量線は、補正される前の検量線と一致する。
なお、制御回路8は、図6、図7、及び図8に示されるタイムコースに対し、測定吸光度範囲の上限、又は/及び下限を予め設定してもよい。主観測区間において測定される吸光度が測定吸光度範囲の上限に達した場合、又は、測定吸光度範囲の下限に達した場合、制御回路8は、例えば表示回路61を制御し、警告メッセージを表示するようにしてもよい。
制御回路8は、検量線を補正すると(ステップSA5)、第2のサイクルタイムに応じた検量線を用いて測定を実施する旨を解析回路3に通知する(ステップSA6)。
制御回路8は、第2のサイクルタイムで、駆動機構4を制御し、分析機構2に被検試料の測定に係る一連の動作を実行させる。解析回路3は、分析機構2から被検データが出力されると、分析データ生成機能32を実行する。分析データ生成機能32の実行により解析回路3は、第2のサイクルタイムに応じた所定の検査項目に係る補正後の検量線を記憶回路7から読み出す。解析回路3は、分析機構2により生成された所定の検査項目に係る被検データを、読み出した検量線に当てはめることによって、分析データを生成する(ステップSA7)。分析データは、検査項目毎に生成される。
制御回路8は、設定されているサイクルタイムが初期設定値でない、すなわち第2のサイクルタイムであると判定した場合(ステップSA3のNo)、第2のサイクルタイムに応じた検量線を用いて測定を実施する旨を解析回路3に通知する(ステップSA8)。
制御回路8は、第2のサイクルタイムで、駆動機構4を制御し、分析機構2に被検試料の測定に係る一連の動作を実行させる。解析回路3は、分析機構2から被検データが出力されると、分析データ生成機能32を実行する。分析データ生成機能32の実行により解析回路3は、分析機構2により生成された所定の検査項目に係る被検データを、第2のサイクルタイムに対応する補正後の検量線に当てはめることによって、分析データを生成する(ステップSA9)。
制御回路8は、第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合が50%未満でないと判定した場合(ステップSA2のNo)、初期設定値であるサイクルタイムが設定されているか、すなわち第1のサイクルタイムが設定されているか否か判定する(ステップSA10)。
制御回路8は、第1のサイクルタイムが設定されていると判定した場合(ステップSA10のYes)、第1のサイクルタイムに応じた検量線を用いて測定を実施する旨を解析回路3に通知する(ステップSA11)。
制御回路8は、第1のサイクルタイムで、駆動機構4を制御し、分析機構2に被検試料の測定に係る一連の動作を実行させる。解析回路3は、分析機構2から被検データが出力されると、分析データ生成機能32を実行する。分析データ生成機能32の実行により解析回路3は、分析機構2により生成された所定の検査項目に係る被検データを、検量線生成機能31の実行により生成された当該検査項目に係る検量線に当てはめることによって、分析データを生成する(ステップSA12)。
制御回路8は、設定されているサイクルタイムが初期設定値でない、すなわち第1のサイクルタイムが設定されていないと判定した場合(ステップSA10のNo)、第1のサイクルタイムを記憶回路7から読み出す。制御回路8は、設定されている第2のサイクルタイムを、読み出した第1のサイクルタイムに変更する(ステップSA13)。
制御回路8は、サイクルタイムが変更されると(ステップSA13)、第1のサイクルタイムに応じた検量線を用いて測定を実施する旨を解析回路3に通知する(ステップSA14)。
制御回路8は、第1のサイクルタイムで、駆動機構4を制御し、分析機構2に被検試料の測定に係る一連の動作を実行させる。解析回路3は、分析機構2から被検データが出力されると、分析データ生成機能32を実行する。分析データ生成機能32の実行により解析回路3は、第1のサイクルタイムに応じた所定の検査項目に係る検量線を記憶回路7から読み出す。解析回路3は、分析機構2により生成された所定の検査項目に係る被検データを、読み出した検量線に当てはめることによって、分析データを生成する(ステップSA15)。
上記実施形態によれば、解析回路3は、第1のサイクルタイムにおける検査項目毎の検量線を生成する。制御回路8は、実施必要検査数を取得する。制御回路8は、第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合に応じてサイクルタイムを変更する。制御回路8は、解析回路3により生成された検査項目毎の検量線を、変更されたサイクルタイムに応じて補正する。解析回路3は、補正後の所定の検査項目に係る検量線を用いて当該検査項目に係る試料の分析データを生成する。これにより、実施必要検査数の増減に応じて単位時間当たりの反応管2011の使用頻度を調整することが可能となる。すなわち、反応管2011の使用に伴い、サンプル分注プローブ206、第1試薬分注プローブ208、第2試薬分注プローブ210、第1撹拌子212、及び第2撹拌子214が単位時間当たりに洗浄される回数を調整することが可能となる。
特に、サイクルタイムを大きくする、すなわち最大検査数を小さくした場合には、一連の測定動作を大きくなったサイクルタイムにて行うため、サンプル分注プローブ206、第1試薬分注プローブ208、第2試薬分注プローブ210、第1撹拌子212、及び第2撹拌子214が単位時間当たりに洗浄される回数を実施必要検査数に応じて減少させることができる。また、反応管洗浄ユニットは、各種洗剤も使用するためその使用量を減少させることができる。
したがって、本実施形態に係る自動分析装置によれば、洗浄液の無駄を軽減することが可能となる。また、所定の検査項目において1つのサイクルタイムに係る検量線を生成しさえすれば、当該検量線を補正してサイクルタイムの変更に対応することが可能となる。すなわち、サイクルタイムの変更に伴って別途検量線を生成する必要がない。
また、第1の実施形態によれば、制御回路8は、設定されている第1のサイクルタイムに対応するタイムコースと、変更後の第2のサイクルタイムに対応するタイムコースとを比較した場合の変化に基づいて補正値を算出する。制御回路8は、算出した補正値を用い、検量線を補正する。これにより、測定が依頼された検体について所定の検査項目に係る試料と試薬との反応時間を考慮して容易に検量線を補正することが可能となる。
[変形例]
上記実施形態では、実施必要検査数に応じて、サイクルタイムが変更される場合について説明した。変形例では、実施必要検査数に応じて、サイクルタイムの変更を促す旨が操作者等に報知される場合について説明する。
図9は、本実施形態に係る自動分析装置1Aの構成を示す図である。自動分析装置1Aは、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース回路5、出力インタフェース回路6、記憶回路7、制御回路8A、及び通信インタフェース回路9を備える。
本実施形態に係る制御回路8Aは、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図9に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8Aは、システム制御機能81、検査数取得機能82、サイクルタイム変更機能83A、及び検量線補正機能84を備える。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能81、検査数取得機能82、サイクルタイム変更機能83A、及び検量線補正機能84が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能81、検査数取得機能82、サイクルタイム変更機能83A、及び検量線補正機能84を実現しても構わない。
サイクルタイム変更機能83Aは、検査数取得機能82により取得された検査数に応じて、サイクルタイムを変更する機能である。サイクルタイム変更機能83Aが実行されると、制御回路8Aは、検査数取得機能82の実行により取得された検査数に対応するサイクルタイムを記憶回路7から読み出す。これによりサイクルタイムが取得される。制御回路8Aは、取得したサイクルタイムが所定の要件を満たす場合、出力インタフェース回路6を制御し、読み出したサイクルタイムの値と共に、サイクルタイムの変更を促す旨を出力(報知)する。例えば、制御回路8Aは、出力インタフェース回路6の表示回路61を制御し、例えば読み出したサイクルタイムの値と共に、サイクルタイムの変更を促す表示画面を表示する。また、制御回路8Aは、出力インタフェース回路6の印刷回路62を制御し、読み出したサイクルタイムの値と共に、サイクルタイムの変更を促す書面を印刷する。
また、制御回路8Aは、サイクルタイムの変更を促す旨を出力した後、例えば入力インタフェース回路5を介して、サイクルタイムの変更指示が入力されると、変更指示に応じてサイクルタイムの値を変更する。
次に、変形例に係る自動分析装置1Aの動作について説明する。図10及び図11は、変形例に係る自動分析装置1Aが検査数に応じてサイクルタイムの変更を促す旨を出力する流れを示すフローチャートである。以下、説明を具体的にするため、上記実施形態と同様に初期設定されているサイクルタイムを、4.5秒(第1のサイクルタイム)とする。また、記憶回路7には、第1のサイクルタイム(4.5秒)に加えて、第2のサイクルタイム(9秒)が記憶されている。
ステップSB1からステップSB3までの動作は、図3及び図4に示されるステップSA1からステップSA3までの動作と同様である。
制御回路8Aは、第1のサイクルタイムが設定されていると判定した場合(ステップSB3のYes)、第2のサイクルタイムを記憶回路7から読み出す。制御回路8Aは、例えば出力インタフェース回路6の表示回路61を制御し、読み出した第2のサイクルタイムの値と共に、設定されている第1のサイクルタイムを、第2のサイクルタイムに変更することを促す表示画面を表示する(ステップSB4)。図12は、変形例に係る表示回路61に表示される表示画面の例を表す図である。図12に示される表示画面では、「はい」のボタンが押下されることにより、サイクルタイムの変更を承諾する変更指示を入力することが可能である。
制御回路8Aは、例えば入力インタフェース回路5を介して、設定されている第1のサイクルタイムを、第2のサイクルタイムに変更することを承諾する変更指示が入力されるまで待機する(ステップSB5)。
制御回路8Aは、変更指示が入力された場合(ステップSB5のYes)、設定されている第1のサイクルタイムを、ステップSB4において読み出した第2のサイクルタイムに変更する(ステップSB6)。
ステップSB7、ステップSB8、及びステップSB9の動作は、図3及び図4に示されるステップSA5、ステップSA6、及びステップSA7の動作と同様である。
また、ステップSB1、ステップSB2、ステップSB3、ステップSB10、及びステップSB11の一連の動作は、図3及び図4に示されるステップSA1、ステップSA2、ステップSA10、ステップSA11、及びステップSA12の一連の動作と同様である。
また、ステップSB1、ステップSB2、ステップSB12、ステップSB13、及びステップSB14の一連の動作は、図3及び図4に示されるステップSA1、ステップSA2、ステップSA10、ステップSA11、及びステップSA12の一連の動作と同様である。
制御回路8Aは、第1のサイクルタイムが設定されていないと判定した場合(ステップSB12のNo)、第1のサイクルタイムを記憶回路7から読み出す。制御回路8Aは、例えば出力インタフェース回路6の表示回路61を制御し、読み出した第1のサイクルタイムの値と共に、設定されている第2のサイクルタイムを、第1のサイクルタイムに変更することを促す表示画面を表示する(ステップSB15)。
制御回路8Aは、例えば入力インタフェース回路5を介して、設定されている第2のサイクルタイムを、第1のサイクルタイムに変更することを承諾する変更指示が入力されるまで待機する(ステップSB16)。
制御回路8Aは、変更指示が入力された場合(ステップSB16のYes)、設定されている第2のサイクルタイムを、ステップSB9において読み出した第1のサイクルタイムに変更する(ステップSB17)。
ステップSB18、及びステップSB19の動作は、図3及び図4に示されるステップSA14、及びステップSA15の動作と同様である。
変形例によれば、解析回路3は、初期設定のサイクルタイムにおける検査項目毎の検量線を生成する。制御回路8Aは、実施必要検査数を取得する。制御回路8Aは、初期設定値である第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合に応じてサイクルタイムを記憶回路7から読み出す。制御回路8Aは、取得したサイクルタイムが所定の要件を満たす場合、例えば出力インタフェース回路6の表示回路61を制御し、読み出したサイクルタイムの値と共に、当該サイクルタイムの変更を促す表示画面を表示する。制御回路8Aは、サイクルタイムの変更を促す表示画面を表示した後、サイクルタイムの変更指示が入力されると、変更指示に応じてサイクルタイムの値を変更する。制御回路8Aは、解析回路3により生成された検査項目毎の検量線を、変更されたサイクルタイムに応じて補正する。解析回路3は、補正後の所定の検査項目に係る検量線を用いて当該検査項目に係る試料の分析データを生成する。これにより、実施必要検査数に応じたサイクルタイムの変更を操作者に実行させることが可能となり、より実情に即して洗浄液の無駄を軽減することが可能となる。
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において、初期設定値である第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合に応じて、サイクルタイムを変更していたがこれに限定されない。制御回路8は、例えば予め記憶回路7に記憶される統計データに基づいて、サイクルタイムを変更してもよい。統計データは、例えば第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合が1時間毎に集計されたものである。統計データは、例えば随時、測定した実績により更新される。図13は、第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合が1時間毎に集計された統計データの例を表す図である。図13に示されるように、8時から15時の1時間毎の時間帯では、第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合は50%以上となっている。このとき、制御回路8は、設定されているサイクルタイムが第1のサイクルタイムではない場合、設定されているサイクルタイムを、第1のサイクルタイムに変更する。一方、図13に示されるように、7時及び16時から20時までの1時間毎の時間帯では、第1のサイクルタイムが設定される際の最大検査数に対する実施必要検査数の割合は、50%未満となっている。このとき、制御回路8は、設定されているサイクルタイムが第2のサイクルタイムではない場合、設定されているサイクルタイムを、第2のサイクルタイムに変更する。
また、上記実施形態において、制御回路8は、初期設定値である第1のサイクルタイムに対応する最大検査数に対する実施必要検査数の割合に対し、1つの閾値(50%)のみ設定してサイクルタイムを変更するようにしていたがこれに限定されない。例えば、制御回路8は、複数の閾値を設定して、段階的にサイクルタイムを変更するようにしてもよい。
また、上記実施形態において、制御回路8は、閾値である50%を超えた場合にサイクルタイムを変更するようにしていたがこれに限定されない。例えば、制御回路8は、初期設定値である第1のサイクルタイムに対応する最大検査数に対する実施必要検査数の割合に対し、閾値(100%)を超えた場合にサイクルタイムを変更するようにしてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1及び図9における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。