[第1の実施形態]
以下、第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の機能構成の例を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、出力インタフェース6、メモリ7、及び制御回路8を具備する。
分析機構2は、キャリブレータ若しくはコントロール試料等として用いられる標準試料、又は被検試料等の試料と、この試料に設定される各検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データ、及び被検データを生成する。
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析することで、検量線、及び分析データ等を生成するプロセッサである。解析回路3は、制御回路8を介してメモリ7から動作プログラムを読み出し、読み出した動作プログラムに従って検量線、及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、標準データに基づき、標準データと標準試料について予め設定された標準値との関係を示す検量線を生成する。また、解析回路3は、被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量線とに基づき、濃度値、及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量線、及び分析データ等を制御回路8へ出力する。
駆動機構4は、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。駆動機構4は、制御回路8の制御に従い、分析機構2を駆動する。
入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース5は、例えば、操作者から測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インタフェース5は、制御回路8に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路8へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース5はマウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路8へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース5の例に含まれる。
出力インタフェース6は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等のディスプレイ61、並びに、プリンタ62等を含む。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路もディスプレイ61に含まれる。また、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路もプリンタ62に含まれる。出力インタフェース6は、制御回路8に接続され、制御回路8から供給される信号を出力する。
ディスプレイ61は、例えば、制御回路8から供給される検量線及び分析データを表示する。
プリンタ62は、制御回路8から供給される検量線及び分析データを、予め設定されたフォーマットに従ってプリンタ用紙等に印刷する。
メモリ7は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。メモリ7は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路8で実行される動作プログラムを記憶する。メモリ7は、解析回路3により生成される検量線を検査項目毎に記憶する。メモリ7は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。また、第1の実施形態に係るメモリ7は、濃縮試薬の希釈倍率に関する情報を検査項目毎に記憶している。濃縮試薬の希釈倍率に関する情報には、所定の検査項目に対応する濃縮試薬の必要量、希釈倍率、及び試薬容量が含まれる。希釈倍率は、濃縮試薬を希釈することにより生成される試薬の容量が当該濃縮試薬の必要量の何倍になるかを示す数を表している。試薬容量は、濃縮試薬を希釈倍率に基づいて希釈することにより生成される試薬の容量を表す。
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路8は、メモリ7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。また、図3は、図2に示される分析機構2の構成を示す斜視図である。図2、及び図3に示される分析機構2は、反応ディスク21、及び試薬庫22を備える。
反応ディスク21は、恒温水で満たされた恒温槽211を備える。恒温槽211は円周形状を有している。恒温槽211内の温度は、常に一定の温度(以下、管理温度と称する)になるように管理されている。管理温度は、生体の酵素反応に最適な温度、例えば37℃である。反応ディスク21は、恒温槽211により、円周状に複数の反応管2111を保持する。これにより、複数の反応管2111内の温度は、常に管理温度に保たれる。反応ディスク21は、駆動機構4によって既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応管2111は、例えば、ガラスにより形成される。
試薬庫22は、標準試料、及び被検試料に含まれる所定の成分と反応する試薬、又は濃縮試薬を収容する試薬容器101を複数保冷する。試薬庫22は、反応ディスク21に隣接して設けられる。なお、図2、図3に示される自動分析装置1では、試薬庫22が、反応ディスク21と隣接して設けられる例を説明するが、試薬庫22が設けられる位置はこれに限定されない。また、試薬庫22は、1つに限定されず、複数設けられていても構わない。
試薬庫22は、試薬容器ラックにより、円周状に複数の試薬容器101を保持する。図2及び図3に示される試薬庫22内の外円221は、例えば試薬庫22内で円周状に配列される試薬容器101のうち、外側の円周に配列される試薬容器101の開口部の位置を表す。また、試薬庫22の外側の円周には、標準試料容器が配列されている。試薬庫22内の内円222は、例えば試薬庫22内で円周状に配列される試薬容器101のうち、内側の円周に配列される試薬容器101の開口部の位置を表す。
試薬庫22に保持されている試薬容器101は、反応管2111に分注される試薬を収容している。開口部が外円221に沿って配置される試薬容器101は、第1試薬を収容している。開口部が内円222に沿って配置される試薬容器は、第2試薬を収容している。第1及び第2試薬は、検査項目毎に使われるものが決められている。試薬容器ラックは、駆動機構4によって試薬庫22の中心を回転中心として回動される。
また、試薬庫22は、試薬庫22に保持された試薬容器101に収容された試薬、又は濃縮試薬の温度を検知するための温度センサ223を有している。
また、図2、及び図3に示される分析機構2は、サンプル分注ユニット23、洗浄プール24、第1試薬分注ユニット25、洗浄プール26、希釈水供給プール27、第2試薬分注ユニット28、洗浄プール29、希釈水供給プール30、攪拌ユニット31、測光ユニット210、洗浄ユニット201、及び電解質測定ユニット202を備える。
サンプル分注ユニット23は、反応ディスク21とサンプリングレーン313との間に設けられている。サンプル分注ユニット23は、サンプル分注アーム231、及びサンプル分注プローブ232を有する。
サンプル分注アーム231は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。サンプル分注アーム231は、一端にサンプル分注プローブ232を保持する。
サンプル分注プローブ232は、サンプル分注アーム231の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプル分注プローブ232が試料容器から試料を吸引するためのサンプル吸引位置P11が設けられている。サンプル吸引位置P11は、サンプル分注プローブ232の回動軌道と、サンプリングレーン313上の試料容器の移動軌道との交点に相当する。
また、サンプル分注プローブ232の回動軌道上の、サンプル吸引位置P11とは異なる位置には、サンプル分注プローブ232が吸引した試料を反応管2111へ吐出するためのサンプル吐出位置P12が設けられている。サンプル吐出位置P12は、サンプル分注プローブ232の回動軌跡と、反応ディスク21に保持されている反応管2111の移動軌道との交点に相当する。
また、サンプル分注プローブ232の回動軌道上の、サンプル吸引位置P11、及びサンプル吐出位置P12とは異なる位置には、サンプル分注プローブ232を洗浄するためのサンプルプローブ洗浄位置P13が設けられている。サンプルプローブ洗浄位置P13は、例えばサンプル分注プローブ232の回動軌道上であって、サンプル吸引位置P11と、サンプル吐出位置P12との間に設けられている。サンプルプローブ洗浄位置P13には、所定の洗浄液が貯留された洗浄プール24が設けられている。
サンプル分注プローブ232は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置P11、サンプル吐出位置P12、及びサンプルプローブ洗浄位置P13において上下方向に移動する。
サンプル分注ユニット23は、制御回路8の制御に従い、サンプル分注プローブ232により、サンプル吸引位置P11に位置する試料容器100に収容される試料を吸引する。また、サンプル分注ユニット23は、制御回路8の制御に従い、サンプル分注プローブ232により吸引した試料を、サンプル吐出位置P12に位置する反応管2111へ吐出する。また、サンプル分注ユニット23は、サンプルプローブ洗浄位置P13にてサンプル分注プローブ232へ洗浄液を供給し、サンプル分注プローブ232の内壁を洗浄する。
第1試薬分注ユニット25は、試薬庫22の外周近傍に設けられている。第1試薬分注ユニット25は、第1試薬分注アーム251、及び第1試薬分注プローブ252を有する。
第1試薬分注アーム251は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム251は、一端に第1試薬分注プローブ252を保持する。
第1試薬分注プローブ252は、第1試薬分注アーム251の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第1試薬吸引位置P21が設けられている。第1試薬吸引位置P21は、第1試薬分注プローブ252の回動軌道と、試薬庫22内で外側の円周に配列される試薬容器101の開口部の移動軌道との交点に相当する。また、第1試薬分注プローブ252の回動軌道上には、第1試薬分注プローブ252が吸引した試薬を反応管2111へ吐出するための第1試薬吐出位置P22が設定されている。第1試薬吐出位置P22は、第1試薬分注プローブ252の回動軌道と、反応ディスク21に保持されている反応管2111の移動軌道との交点に相当する。
また、第1試薬分注プローブ252の回動軌道上の、第1試薬吸引位置P21、及び第1試薬吐出位置P22とは異なる位置には、第1試薬分注プローブ252を洗浄するための試薬プローブ洗浄位置P23が設けられている。試薬プローブ洗浄位置P23は、例えば第1試薬分注プローブ252の回動軌道上であって、第1試薬吸引位置P21と、第1試薬吐出位置P22との間、かつ、反応ディスク21の外周近傍に設けられている。試薬プローブ洗浄位置P23には、所定の洗浄液が貯留された洗浄プール26が設けられている。
また、第1試薬分注プローブ252の回動軌道上の、第1試薬吸引位置P21、第1試薬吐出位置P22、及び試薬プローブ洗浄位置P23とは異なる位置には、第1試薬分注プローブ252に希釈水を供給するための希釈水供給位置P24が設けられている。希釈水供給位置P24は、例えば第1試薬分注プローブ252の回動軌道上であって、第1試薬吸引位置P21と、第1試薬吐出位置P22との間、かつ、試薬庫22の外周近傍に設けられている。希釈水供給位置P24には、所定の温度の希釈水が貯留された希釈水供給プール27が設けられている。希釈水供給プール27は、希釈水供給プール27に貯留された希釈水の温度を検知するための温度センサ271を有する。希釈水の温度は、通常、室温、例えば20℃程度で保温されている。すなわち、希釈水供給プール27に貯留されている希釈水の温度は、通常、37℃(管理温度)より低い。また、希釈水供給プール27は、特許請求の範囲に記載の第2の貯留部の一例である。
第1試薬分注プローブ252は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置P21、第1試薬吐出位置P22、試薬プローブ洗浄位置P23、及び希釈水供給位置P24において上下方向に移動する。
図4は、第1試薬分注ユニット25の構成例を示す模式図である。図4に示される第1試薬分注ユニット25は、一端が第1試薬分注プローブ252に接続される弾性体であるチューブ253、チューブ253の他端部に接続されるシリンジ254、及びシリンジ254の下端部に設けられる開口に勘合するプランジャ255を備える。
また、図4に示されるように、第1試薬分注ユニット25は、第1試薬分注プローブ252、チューブ253、及びシリンジ254の各内部に充填される圧力伝達媒体を貯留するタンク32に接続されている。タンク32は、分析機構2に含まれる。タンク32に貯留される圧力伝達媒体は、例えば純水である。タンク32は、自動分析装置1の外部と接続されており、タンク32に貯留される圧力伝達媒体は、自動分析装置1の外部から補充される。補充される圧力伝達媒体の温度は、例えば、自動分析装置1の外部の温度と略同じであり、通常、37℃より低い。また、タンク32は、特許請求の範囲に記載の第1の貯留部の一例である。
また、第1試薬分注ユニット25は、タンク32に貯留された圧力伝達媒体を吸引し、吸引した圧力伝達媒体を希釈水としてシリンジ254、及びチューブ253を経由して第1試薬分注プローブ252内に供給するポンプ257を備える。また、第1試薬分注ユニット25は、シリンジ254とポンプ257との間を連通する流路を開閉する開閉弁258を備える。開閉弁258は、例えば電磁弁である。
試薬を分注する際、シリンジ254とポンプ257との間の流路は、制御回路8により制御される開閉弁258により閉鎖される。駆動機構4がプランジャ255を矢印L1方向へ吸引駆動することにより、第1試薬分注プローブ252は、第1試薬吸引位置P21で試薬容器101内の試薬を吸引する。また、駆動機構4がプランジャ255を矢印L2方向へ吐出駆動することにより、第1試薬分注プローブ252は、第1試薬吐出位置P22に位置する反応管2111内へ試薬を吐出する。
また、図4に示されるように、第1試薬分注プローブ252は、第1試薬分注プローブ252内に供給された希釈水を昇温するためのヒーター2521を有する。また、第1試薬分注プローブ252は、第1試薬分注プローブ252内に供給された希釈水の温度を検知するための温度センサ2522を有する。第1試薬分注プローブ252は、制御回路8の制御に従い、ヒーター2521及び温度センサ2522により、供給された希釈水の温度を所定の温度まで昇温する。また、ヒーター2521は、特許請求の範囲に記載の第1の昇温部の一例である。
また、図4に示されるように、ポンプ257とタンク32との間には、ヒーター33が設けられている。ヒーター33は、第1試薬分注ユニット25に供給される圧力伝達媒体の温度を予め昇温する役割を担う。これにより、第1試薬分注プローブ252内に供給された希釈水を所定の温度まで昇温するのに要する時間を短縮することができる。なお、ヒーター33が設けられる位置は、タンク32と第1試薬分注プローブ252との間の位置であればどの位置であってもよい。また、ヒーター33は、特許請求の範囲に記載の第2の昇温部の一例である。
第1の実施形態に係る第1試薬分注ユニット25は、制御回路8の制御に従い、タンク32に貯留された圧力伝達媒体を第1の希釈水として第1試薬分注プローブ252内に供給する。第1試薬分注ユニット25は、制御回路8の制御に従い、第1試薬分注プローブ252により、希釈水供給プール27に貯留された希釈水を第2の希釈水として吸引する。第1試薬分注ユニット25は、制御回路8の制御に従い、第1試薬分注プローブ252により、第1試薬吸引位置P11に位置する試薬容器101に収容される濃縮試薬を吸引する。また、第1試薬分注ユニット25は、制御回路8の制御に従い、第1試薬分注プローブ252内に保持された第1の希釈水、第2の希釈水、及び濃縮試薬を第1試薬として、第1試薬吐出位置P12に位置する反応管2111へ吐出する。
第2試薬分注ユニット28は、試薬庫22の外周近傍に設けられている。第2試薬分注ユニット28は、第2試薬分注アーム281、及び第2試薬分注プローブ282を有する。
第2試薬分注アーム281は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム281は、一端に第2試薬分注プローブ282を保持する。
第2試薬分注プローブ282は、第2試薬分注アーム281の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第2試薬吸引位置P31が設けられている。第2試薬吸引位置P31は、第2試薬分注プローブ282の回動軌道と、試薬庫22内で外側の円周に配列される試薬容器101の開口部の移動軌道との交点に相当する。また、第2試薬分注プローブ282の回動軌道上には、第2試薬分注プローブ282が吸引した試薬を反応管2111へ吐出するための第2試薬吐出位置P32が設定されている。第2試薬吐出位置P32は、第2試薬分注プローブ282の回動軌道と、反応ディスク21に保持されている反応管2111の移動軌道との交点に相当する。
また、第2試薬分注プローブ282の回動軌道上の、第2試薬吸引位置P31、及び第2試薬吐出位置P32とは異なる位置には、第2試薬分注プローブ282を洗浄するための試薬プローブ洗浄位置P33が設けられている。試薬プローブ洗浄位置P33は、例えば第2試薬分注プローブ282の回動軌道上であって、第2試薬吸引位置P31と、第2試薬吐出位置P32との間、かつ、反応ディスク21の外周近傍に設けられている。試薬プローブ洗浄位置P33には、所定の洗浄液が貯留された洗浄プール29が設けられている。
また、第2試薬分注プローブ282の回動軌道上の、第2試薬吸引位置P31、第2試薬吐出位置P32、及び試薬プローブ洗浄位置P33とは異なる位置には、第2試薬分注プローブ282に希釈水を供給するための希釈水供給位置P34が設けられている。希釈水供給位置P34は、例えば第2試薬分注プローブ282の回動軌道上であって、第2試薬吸引位置P31と、第2試薬吐出位置P32との間、かつ、試薬庫22の外周近傍に設けられている。希釈水供給位置P34には、所定の温度の希釈水が貯留された希釈水供給プール30が設けられている。希釈水供給プール30は、希釈水供給プール30に貯留された希釈水の温度を検知するための温度センサ301を有する。希釈水供給プール30に貯留される希釈水の温度は、通常、室温、例えば20℃程度で保温されている。すなわち、希釈水供給プール30に貯留されている希釈水の温度は、通常、37℃(管理温度)より低い。また、希釈水供給プール30は、特許請求の範囲に記載の第2の貯留部の一例である。
第2試薬分注プローブ282は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置P31、第1試薬吐出位置P32、試薬プローブ洗浄位置P33、及び希釈水供給位置P34において上下方向に移動する。
第2試薬分注ユニット28は、制御回路8の制御に従い、第2試薬分注プローブ282により、第2試薬吸引位置P31に位置する試薬容器101に収容される試薬を吸引する。また、第2試薬分注ユニット28は、制御回路8の制御に従い、第2試薬分注プローブ282により、吸引した試薬を第2試薬として、第2試薬吐出位置P32の直下に位置する反応管2111へ吐出する。
第2試薬分注ユニット28の構成及び機能は、図4に示される第1試薬分注ユニット25の構成及び機能と同様である。また、第2試薬分注ユニット28は、図4に示されるタンク32と同様のタンクに接続されている。また、第2試薬分注ユニット28に接続されるタンクと第2試薬分注ユニット28に含まれるポンプとの間には、図4に示されるヒーター33と同様のヒーターが設けられている。第2試薬分注ユニット28に接続されるタンクは、タンク32と別に設けられていてもよいし、タンク32と共有のものであってもよい。
第1の実施形態に係る第2試薬分注ユニット28は、制御回路8の制御に従い、タンクに貯留された圧力伝達媒体を第1の希釈水として第2試薬分注プローブ282内に供給する。第2試薬分注ユニット28は、制御回路8の制御に従い、第2試薬分注プローブ282により、希釈水供給プール30に貯留された希釈水を第2の希釈水として吸引する。第2試薬分注ユニット28は、制御回路8の制御に従い、第2試薬分注プローブ282により、第2試薬吸引位置P21に位置する試薬容器101に収容される濃縮試薬を吸引する。また、第2試薬分注ユニット28は、制御回路8の制御に従い、第2試薬分注プローブ282内に保持された第1の希釈水、第2の希釈水、及び濃縮試薬を第2試薬として、第2試薬吐出位置P22に位置する反応管2111へ吐出する。
攪拌ユニット31は、反応ディスク21の外周近傍に設けられている。攪拌ユニット31は、第1攪拌アーム、及び第1攪拌アームの先端に設けられる第1攪拌子を有する。攪拌ユニット31は、第1攪拌子により、反応ディスク21上の第1撹拌位置に配置される反応管2111内に収容されている試料と第1試薬とを攪拌する。また、攪拌ユニット31は、第2攪拌アーム、及び第2攪拌アームの先端に設けられる第2攪拌子をさらに有する。攪拌ユニット31は、第2攪拌子により、反応ディスク21上の第2攪拌位置に配置される反応管2111内に収容されている試料、第1試薬、及び第2試薬を攪拌する。
測光ユニット210は、反応管2111内に吐出された試料と試薬との混合液における所定の成分を光学的に測定する。測光ユニット210は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット210は、制御回路8の制御に従い、光源から反応管2111へ光を照射する。光検出器は、反応管2111内の標準試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される標準データを生成する。また、光検出器は、反応管2111内の被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される被検データを生成する。測光ユニット210は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
洗浄ユニット201は、例えば、廃液ノズル、洗浄ノズル、及び乾燥ノズルを備える。洗浄ユニット201は、反応ディスク21の回動により洗浄位置へ配送される反応管2111内の混合液を、廃液ノズルにより廃液として吸引する。洗浄ユニット201は、洗浄ノズルにより、混合液が吸引された反応管2111へ純水、又は洗剤を吐出することで、反応管2111を洗浄する。洗浄ユニット201は、乾燥ノズルにより、洗浄された反応管2111へ乾燥空気を供給することで、反応管2111を乾燥させる。
電解質測定ユニット202は、反応管2111内の混合液中に存在する特定電解質の測定を行う。電解質測定ユニット202は、例えば特定電解質から発生するイオン濃度を測定する。
また、図2、及び図3に示される分析機構2は、ラック投入レーン300、及びラック移動ユニット310を備える。ラック投入レーン300は、所定の本数の試料容器を保持するサンプルラックが投入される。試料容器には、標準試料、又は被検試料が収容される。サンプルラックは、所定の本数の試料容器を保持可能、かつ、ラック移動ユニット310に設けられる搬送アーム311によりピックアップ可能な形状を有する。
ラック移動ユニット310は、搬送アーム311、搬送レール312、及びサンプリングレーン313を備える。
搬送アーム311は、駆動機構4によって駆動され、ラック投入レーン300に投入されたサンプルラックを搬送する。例えば、搬送アーム311は、ラック投入レーン300における所定の投入位置に載置されているサンプルラックを、搬送レール312に沿ってサンプリングレーン313へ搬送する。
サンプリングレーン313は、駆動機構4によって駆動され、搬送アーム311により搬送されたサンプルラックを移動させる。例えば、サンプリングレーン313は、サンプルラックに保持される試料容器各々の開口を、サンプル吸引位置P11の直下へ移動させる。
図1に示される制御回路8は、本実施形態に係る動作プログラムを実行することで、本実施形態に係る処理を実現する。具体的には、制御回路8は、動作プログラムを実行することで、分注制御機能81、昇温制御機能82、及びシステム制御機能83を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって分注制御機能81、昇温制御機能82、及びシステム制御機能83が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することにより分注制御機能81、昇温制御機能82、及びシステム制御機能83を実現しても構わない。
分注制御機能81は、検査項目に対応する濃縮試薬の希釈倍率に応じて、第1試薬分注ユニット25、及び第2試薬分注ユニット28の動作を制御する機能である。分注制御機能81が実行されると、制御回路8は、例えば、第1試薬分注ユニット25を制御し、所定の目標温度及び所定濃度の試薬を発生させるための第1の希釈水、第2の希釈水、及び濃縮試薬を第1試薬分注プローブ252内に保持させる。目標温度は、例えば、恒温槽211で管理される管理温度である。また、制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、目標温度より高い第1の温度かつ第1の量の第1の希釈水、目標温度より低い第2の温度かつ第2の量の第2の希釈水、及び目標温度より低い第3の温度かつ第3の量の濃縮試薬を第1試薬分注プローブ252から反応管2111に吐出する。
具体的には、制御回路8は、検査項目に対応する濃縮試薬の希釈倍率に関する情報をメモリ7から読み出す。これにより、制御回路8は、濃縮試薬の必要量(第3の量)、及び希釈倍率、及び試薬容量を認識する。制御回路8は、例えば、図4に示される温度センサ2522により、第1試薬分注プローブ252内に供給された第1の希釈水の温度を検出する。制御回路8は、希釈水供給プール27が有する温度センサ271により、希釈水供給プール27内に貯留された第2の希釈水の温度を検出する。制御回路8は、試薬庫22が備える温度センサ223により、試薬庫22内の試薬容器101に収容されている濃縮試薬の温度を検出する。
制御回路8は、認識した濃縮試薬の希釈倍率、及び試薬容量、並びに、検出した第1の希釈水の温度、第2の希釈水の温度、及び濃縮試薬の温度に基づいて、第1の希釈水の必要量(第1の量)、及び第2の希釈水の必要量(第2の量)を算出する。
制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、第1試薬分注プローブ252により、算出した第2の量の第2の希釈水を、希釈水供給プール27から吸引する。制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、第1試薬分注プローブ252により、認識した第3の量の濃縮試薬を、第1試薬吸引位置P11に位置する試薬容器101から吸引する。そして、制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、第1試薬分注プローブ252内の第1の量の第1の希釈水、第2の量の第2の希釈水、及び第3の量の濃縮試薬を第1試薬として、第1試薬吐出位置P12に位置する反応管2111へ一度にまとめて吐出する。
昇温制御機能82は、濃縮試薬を希釈する希釈水を所定の温度まで昇温する機能である。昇温制御機能82が実行されると、制御回路8は、例えば、第1試薬分注プローブ252を制御し、ヒーター2521及び温度センサ2522により、第1試薬分注プローブ252内に供給された第1の希釈水を目標温度より高い所定の温度まで昇温する。また、制御回路8は、ヒーター33を制御し、タンク32に貯留される希釈水を昇温する。
システム制御機能83は、入力インタフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。システム制御機能83が実行されると、制御回路8は、例えば、入力インタフェース5を介し、所定の検査項目に対応する濃縮試薬の希釈倍率に関する情報の入力を受け付ける。制御回路8は、受け付けた濃縮試薬の希釈倍率に関する情報をメモリ7に記憶する。
次に、以上のように構成された自動分析装置1が、濃縮試薬を分注する際の動作を、図を参照して説明する。図5は、第1の実施形態に係る自動分析装置1が濃縮試薬を分注する際の制御回路8の動作を示すフローチャートの例である。
以下の説明では、制御回路8は、例えば、入力インタフェース5を介し、所定の検査項目に関する検査を受け付けるものとする。また、第1試薬分注プローブ252内には、必要量より多い量の第1の希釈水が供給されているものとする。また、第1試薬分注プローブ252内に供給された第1の希釈水は、例えば第1試薬分注プローブ252により第2の希釈水が吸引される前に予め第1試薬分注プローブ252が備えるヒーター2521により目標温度より高い所定の温度まで昇温されているものとする。また、希釈水供給プール27に貯留されている第2の希釈水の温度は、目標温度より低いものとする。また、制御回路8は、試薬庫22に保持されている試薬容器101に収容されている濃縮試薬の温度を温度センサ223等により予め把握しているものとする。また、所定の検査項目に対応する試料が第1の試薬吐出位置P12に位置する反応管2111に収容されているものとする。また、目標温度、及び管理温度は、それぞれ37℃であるものとする。なお、図5では、制御回路8が第1試薬分注ユニット25を制御して濃縮試薬を分注する場合を例に説明するが、制御回路8が第2試薬分注ユニット28を制御して濃縮試薬を分注する場合も同様である。
制御回路8は、入力インタフェース5を介し、所定の検査項目に関する検査を受け付けると、第1の希釈水の温度、及び、第2の希釈水の温度を検出する(ステップSA1)。具体的には、制御回路8は、図4に示される温度センサ2522により、第1試薬分注プローブ252内に供給された第1の希釈水の温度を検出する。また、制御回路8は、温度センサ271により、希釈水供給プール27内に貯留された第2の希釈水の温度を検出する。このとき、制御回路8は、受け付けた検査に係る検査項目に対応する濃縮試薬の希釈倍率に関する情報をメモリ7から読み出す。これにより、制御回路8は、濃縮試薬の必要量、希釈倍率、及び試薬容量を認識する。
制御回路8は、予め把握している濃縮試薬の温度、ステップSA1において検出した第1の希釈水の温度、及び第2の希釈水の温度、並びにステップSA1において認識した濃縮試薬の希釈倍率、及び試薬容量に基づいて、第1の希釈水の必要量、及び、第2の希釈水の必要量を算出する(ステップSA2)。具体的には、濃縮試薬の温度をA、第1の希釈水の温度をB(>37℃)、第2の希釈水の温度をC(<37℃)、希釈倍率をD、試薬容量をE、濃縮試薬の必要量をX、第1の希釈水の容量をY、第2の希釈水の容量をZ、及び希釈後の試薬の目標温度を37℃とした場合、試薬容量E=X+Y+Z、希釈倍率D=(X+Y+Z)/Xとなる。また、目標温度37℃となる熱量の等価式は、X(A−37)+Y(B−37)+Z(C−37)=0となる。これにより、制御回路8は、第1の希釈水の必要量Y、及び第2の希釈水の必要量Zを以下の式(1−1)、及び(1−2)に従いそれぞれ算出する。
図6は、第1実施形態に係る濃縮試薬、第1の希釈水、及び第2の希釈水の混合例を示す表である。図6には、3つの混合例が示されている。図6に示されるように、混合例の制御パラメータには、希釈倍率D、管理温度(℃)、試薬容量E(μl)、及び目標温度(℃)が含まれている。目標温度(℃)は、例えば管理温度(℃)と同じになるように設定されている。また、図6には、濃縮試薬、第1の希釈水、及び第2の希釈水それぞれについての希釈前の温度(℃)、希釈前の温度と目標温度との差(℃)、容量比率、及び容量(μl)が示されている。容量比率は、濃縮試薬の容量を1とした場合の、各希釈水の容量の比率を表している。
図6に示される混合例1は、希釈倍率D、管理温度(℃)、試薬容量E(μl)、目標温度(℃)が、それぞれ15、37℃、150μl、37℃であり、濃縮試薬の必要量Xが10μlである場合を表している。このとき、図6の混合例1に示されるように、例えば、濃縮試薬の温度A、第1の希釈水の温度B、及び第2の希釈水の温度Cは、7℃、47℃、及び7℃である。このとき、濃縮試薬の温度A、第1の希釈水の温度B、及び第2の希釈水の温度Cと目標温度との差は、ぞれぞれ−30℃、10℃、及び−30℃である。制御回路8は、希釈倍率D、濃縮試薬が希釈された後の試薬の試薬容量E(μl)、及び目標温度(℃)が15、150μl、及び37℃となるように、第1希釈水の必要量Yを112.5μl、第2希釈水の必要量Zを27.5μlと算出する。この場合、図6の混合例1に示されるように、濃縮試薬、第1の希釈水、及び第2の希釈水の容量比率は、1:11.25:2.75となる。
また、図6に示される混合例2は、希釈倍率D、管理温度(℃)、試薬容量E(μl)、目標温度(℃)が、それぞれ10、37℃、150μl、37℃であり、濃縮試薬の必要量Xが15μlである場合を表している。このとき、図6の混合例2に示されるように、例えば、濃縮試薬の温度A、第1の希釈水の温度B、及び第2の希釈水の温度Cは、12℃、42℃、及び12℃である。このとき、濃縮試薬の温度A、第1の希釈水の温度B、及び第2の希釈水の温度Cと目標温度との差は、それぞれ−25℃、5℃、及び−25℃である。制御回路8は、希釈倍率D、濃縮試薬が希釈された後の試薬の試薬容量E(μl)、及び目標温度(℃)が10、150μl、37℃となるように、第1希釈水の必要量Yを125μl、第2希釈水の必要量Zを10μlと算出する。この場合、図6の混合例2に示されるように、濃縮試薬、第1の希釈水、及び第2の希釈水の容量比率は、1:8.333333:0.666667となる。
また、図6に示される混合例3は、希釈倍率D、管理温度(℃)、試薬容量E(μl)、目標温度(℃)が、それぞれ10、37℃、100μl、37℃であり、濃縮試薬の必要量Xが10μlである場合を表している。このとき、図6の混合例3に示されるように、例えば、濃縮試薬の温度A、第1の希釈水の温度B、及び第2の希釈水温度Cは、5℃、50℃、及び25℃である。このとき、濃縮試薬の温度A、第1の希釈水の温度B、及び第2の希釈水温度Cとの目標温度との差が、それぞれ−32℃、13℃、及び−12℃である。制御回路8は、希釈倍率D、濃縮試薬が希釈された後の試薬の試薬容量E(μl)、及び目標温度(℃)が10、100μl、37℃となるように、第1希釈水の必要量Yを56μl、第2希釈水の必要量Zを34μlと算出する。この場合、図6の混合例3に示されるように、濃縮試薬、第1の希釈水、及び第2の希釈水の容量比率は、1:5.6:3.4となる。
制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、第1試薬分注プローブ252により、ステップSA2において算出したZの量の第2の希釈水を、希釈水供給プール27から吸引する(ステップSA3)。
制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、第1試薬分注プローブ252により、ステップSA1において認識したXの量の濃縮試薬を、第1試薬吸引位置P21に位置する試薬容器101から吸引する(ステップSA4)。
制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、ステップSA2において算出したYの量の第1の希釈水、及びZの量の第2の希釈水、並びに、ステップSA1において認識したXの量の濃縮試薬を、第1試薬分注プローブ252から反応管2111へ一度にまとめて吐出する(ステップSA5)。
制御回路8は、攪拌ユニット31を制御し、反応管2111に収容されている試料、Yの量の第1の希釈水、Zの量の第2の希釈水、及びXの量の濃縮試薬を攪拌する(ステップSA6)。
以下、図7、8及び9を参照し、Yの量の第1の希釈水、Zの量の第2の希釈水、及びXの量の濃縮試薬が、第1試薬分注プローブ252に保持されてから、反応管2111で攪拌されるまでの流れを説明する。図7は、第1の実施形態に係る自動分析装置1が濃縮試薬を吐出する直前の第1試薬分注プローブ252及び反応管2111内の状態を説明するための図である。図8は、第1の実施形態に係る自動分析装置1が濃縮試薬を吐出した直後の第1試薬分注プローブ252及び反応管2111内の状態を説明するための図である。図9は、第1の実施形態に係る自動分析装置1において、反応管2111に吐出された濃縮試薬が攪拌された後の反応管2111内の状態を説明するための図である。以下では、図6に示される混合例3の場合を前提として説明する。このとき、濃縮試薬の温度A、第1の希釈水の温度B、第2の希釈水の温度C、希釈倍率D、試薬容量E、濃縮試薬の必要量X、第1の希釈水の容量Y、第2の希釈水の容量Z、希釈後の試薬の目標温度は、それぞれ5℃、50℃、25℃、37℃、10、10μl、56μl、34μl、及び37℃である。
図7によれば、濃縮試薬が吐出される直前の時点において、第1試薬分注プローブ252内には、50℃で56μlの第1の希釈水W1、25℃で34μlの第2の希釈水W2、及び5℃で10μlの濃縮試薬R1が保持されている。また、反応管2111内には、37℃の試料が収容されている。
次に、図8によれば、濃縮試薬が吐出された直後の時点において、反応管2111内には、50℃で56μlの第1の希釈水W1、25℃で34μlの第2の希釈水W2、5℃で10μlの濃縮試薬R1、及び37℃の試料が収容されている。このとき、第1の希釈水W1、第2の希釈水W2、及び濃縮試薬R1は、反応管2111内で瞬時に混ざり合うことで攪拌し、温度が平均化されて10倍の100μlに希釈された37℃の試薬となる。なお、第1試薬分注プローブ252内には、第1の希釈水W1が保持されている。
最後に、図9によれば、反応管2111内において、10倍に希釈された37℃の試薬、及び試料が攪拌されて37℃の混合液が生成される。
第1の実施形態によれば、制御回路8は、例えば、第1試薬分注ユニット25を制御し、タンク32から第1試薬分注プローブ252に第1の希釈水を供給する。制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、希釈水供給プール27から第1試薬分注プローブ252に第2の希釈水を供給する。制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、濃縮試薬を第1試薬分注プローブ252に吸引させる。制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、所定の目標温度及び所定濃度の試薬を発生させるための第1の希釈水、第2の希釈水、及び濃縮試薬を第1試薬分注プローブ252内に保持させる。
これにより、第1試薬分注プローブ252に保持された第1の希釈水、第2の希釈水、及び濃縮試薬は、反応管2111に吐出された後、瞬時に混ざり合うことで攪拌され、目標温度と等しい温度の試薬となる。よって、濃縮試薬が吸引された後に第1試薬分注プローブ252内の試薬を昇温する必要がなくなる。このため、濃縮試薬が吸引された後に第1試薬分注プローブ252内の試薬を昇温する場合と比して、昇温に要する時間が、多数の試料測定を連続で処理する上でボトルネックとなることがなくなる。
したがって、第1の実施形態に係る自動分析装置1によれば、試料測定を高速に実施することが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、制御回路8は、例えば、第1試薬分注ユニット25を制御し、タンク32から目標温度より低い温度の第1の希釈水を第1試薬分注プローブ252に供給する。制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、ヒーター2521及び温度センサ2522により、第1試薬分注プローブ252に供給された目標温度より低い温度の第1の希釈水を、目標温度より高い所定の温度まで昇温する。制御回路8は、濃縮試薬の希釈倍率、及び試薬容量、並びに、第1の希釈水の温度、第2の希釈水の温度、及び濃縮試薬の温度に基づいて、第2の希釈水の必要量を算出する。制御回路8は、第1試薬分注ユニット25を制御し、目標温度より低い温度の希釈水を貯留している希釈水供給プール27から算出した必要量の第2の希釈水を第1試薬分注プローブ252に吸引させる。
従来、測定に用いられる濃縮試薬の希釈倍率が一律ではない場合、プローブ内に供給される希釈水と濃縮試薬の比率により希釈されて生成される試薬の温度にばらつきが生じる。第1の実施形態に係る自動分析装置1によれば、制御回路8は、濃縮試薬の希釈倍率、及び試薬容量、並びに、第1の希釈水の温度、第2の希釈水の温度、及び濃縮試薬の温度に基づいて、第2の希釈水の必要量を算出する。これにより、検査の対象となる複数の検査項目に対応する濃縮試薬の希釈倍率が一律でない場合であっても、濃縮試薬が希釈された所定の濃度の試薬を目標温度と常に等しい温度で反応管2111に吐出することができる。
(変形例1)
第1の実施形態においては、第2の希釈水が試薬庫22の外側に設けられる希釈水供給位置P24に位置する希釈水供給プール27、並びに、希釈水供給位置P34に位置する希釈水供給プール30に貯留されている場合について説明した。このとき、希釈水供給プール27、及び希釈水供給プール30に貯留されている希釈水の温度は、装置内温度と略同じ温度であった。変形例1では、試薬庫22内に、希釈水供給プール27、及び希釈水供給プール30が設けられる場合について説明する。このとき、希釈水供給プール27、及び希釈水供給プール30に貯留される希釈水は、試薬庫22内の温度と等しい温度で管理される。
図10は、変形例1に係る分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図10によれば、試薬庫22は、希釈水供給プール27、及び希釈水供給プール30に貯留されている希釈水を、試薬庫22内の温度と等しい温度に保冷可能な保冷領域500を有する。これにより、希釈水供給プール27、及び希釈水供給プール30に貯留されている希釈水の温度は、試薬庫22内の温度と等しくなる。したがって、第1の希釈水の必要量、及び第2の希釈水の必要量の計算が簡易化される。このとき、試薬庫22が有する保冷機能を利用することが可能なため、自動分析装置1には新たな保冷機構を設ける必要がない。
(変形例2)
第1の実施形態においては、第2の希釈水が試薬庫22の外側に設けられる希釈水供給位置P24に位置する希釈水供給プール27、並びに、希釈水供給位置P34に位置する希釈水供給プール30に貯留されている場合について説明した。変形例2では、第2の希釈水が試薬庫22内の試薬容器に収容されている場合について説明する。
図11は、変形例2に係る分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図11によれば、分析機構2が備える試薬庫22の外円221上には、第1試薬分注プローブ252に希釈水を供給するための試薬容器101Aが試薬容器ラックにより保持されている。また、分析機構2が備える試薬庫22の内円222上には、第2試薬分注プローブ282に希釈水を供給するための試薬容器101Aが試薬容器ラックにより保持されている。このとき、制御回路8は、例えば、第1試薬分注ユニット25を制御し、第1試薬吸引位置P21に位置する試薬容器101Aから希釈水を第1の希釈水として吸引する。また、制御回路8は、第2試薬分注ユニット28を制御し、第2試薬吸引位置P31に位置する試薬容器101Aから希釈水を第1の希釈水として吸引する。これにより、変形例2に係る自動分析装置1は、希釈水供給プール27、及び希釈水供給プール30を設ける必要がなくなる。したがって、装置の構造を複雑にすることなく、試料測定を高速に実施することが可能となる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態においては、例えば、第1の希釈水が図4に示されるタンク32から第1試薬分注プローブ252にポンプ257により供給される場合を例に説明した。第2の実施形態では、第1試薬分注プローブ252、及び第2試薬分注プローブ282が、第1の希釈水を吸引により取得する場合について説明する。
以下、第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図12は、第2の実施形態に係る自動分析装置1Aの機能構成の例を示すブロック図である。図12に示される自動分析装置1Aは、分析機構2A、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、出力インタフェース6、メモリ7、及び制御回路8Aを具備する。
分析機構2Aは、キャリブレータ若しくはコントロール試料等として用いられる標準試料、又は被検試料等の試料と、この試料に設定される各検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2Aは、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データ、及び被検データを生成する。
図12に示される解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、出力インタフェース6、及びメモリ7の構成及び機能は、図1に示される解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、出力インタフェース6、及びメモリ7の構成及び機能と同様である。
制御回路8Aは、自動分析装置1Aの中枢として機能するプロセッサである。制御回路8Aは、メモリ7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。
図13は、図12に示される分析機構2Aの構成の一例を示す模式図である。図13に示される分析機構2Aは、反応ディスク21、及び試薬庫22を備える。
反応ディスク21、及び試薬庫22の構成及び機能は、図2に示される反応ディスク21、及び試薬庫22の構成及び機能と同様である。
また、図13に示される分析機構2は、サンプル分注ユニット23、洗浄プール24、第1試薬分注ユニット25A、洗浄プール26、希釈水供給プール27A、希釈水供給プール27B、第2試薬分注ユニット28A、洗浄プール29、希釈水供給プール30A、希釈水供給プール30B、攪拌ユニット31、測光ユニット210、洗浄ユニット201、及び電解質測定ユニット202を備える。
サンプル分注ユニット23、及び洗浄プール24の構成及び機能は、図2、及び図3に示されるサンプル分注ユニット23、及び洗浄プール24の構成及び機能と同様である。
第1試薬分注ユニット25Aは、試薬庫22の外周近傍に設けられている。第1試薬分注ユニット25Aは、第1試薬分注アーム251、及び第1試薬分注プローブ252Aを有する。
第1試薬分注アーム251は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム251は、一端に第1試薬分注プローブ252Aを保持する。
第1試薬分注プローブ252Aは、第1試薬分注アーム251の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第1の実施形態と同様に、第1試薬吸引位置P21、第1試薬吐出位置P22、及び試薬プローブ洗浄位置P23が設けられている。試薬プローブ洗浄位置P23には、所定の洗浄液が貯留された洗浄プール26が設けられている。
また、第1試薬分注プローブ252Aの回動軌道上の、第1試薬吸引位置P21、第1試薬吐出位置P22、及び試薬プローブ洗浄位置P23とは異なる位置には、第1試薬分注プローブ252に希釈水を供給するための希釈水供給位置P24A、及び希釈水供給位置P24Bが設けられている。
希釈水供給位置P24Aは、例えば第1試薬分注プローブ252の回動軌道上であって、第1試薬吸引位置P21と、第1試薬吐出位置P22との間、かつ、試薬庫22の外周近傍に設けられている。希釈水供給位置P24には、所定の温度の希釈水が貯留された希釈水供給プール27Aが設けられている。希釈水供給プール27Aは、希釈水供給プール27Aに貯留された希釈水の温度を検知するための温度センサ271Aを有する。希釈水供給プール27に貯留される希釈水の温度は、目標温度より低い所定の温度に保温されている。また、希釈水供給プール27Aは、特許請求の範囲に記載の第2の貯留部の一例である。
また、希釈水供給位置P24Bは、例えば第1試薬分注プローブ252の回動軌道上であって、希釈水供給位置P24Aと、第1試薬吐出位置P22との間に設けられている。希釈水供給位置P24Bには、所定の温度の希釈水が貯留された希釈水供給プール27Bが設けられている。希釈水供給プール27Bは、希釈水供給プール27Bに貯留された希釈水の温度を検知するための温度センサ271Bを有する。希釈水供給プール27Bに貯留される希釈水の温度は、目標温度より高い所定の温度に保温されている。また、希釈水供給プール27Bは、特許請求の範囲に記載の第1の貯留部の一例である。
第1試薬分注プローブ252Aは、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置P21、第1試薬吐出位置P22、試薬プローブ洗浄位置P23、希釈水供給位置P24A、及び希釈水供給位置P24Bにおいて上下方向に移動する。
図14は、第1試薬分注ユニット25Aの構成例を示す模式図である。図14に示される第1試薬分注ユニット25Aは、一端が第1試薬分注プローブ252Aに接続される弾性体であるチューブ253、チューブ253の他端部に接続されるシリンジ254、及びシリンジ254の下端部に設けられる開口に勘合するプランジャ255を備える。
また、図14に示されるように、第1試薬分注ユニット25Aは、第1試薬分注プローブ252A、チューブ253、及びシリンジ254の各内部に充填される圧力伝達媒体を貯留するタンク32に接続されている。
また、第1試薬分注ユニット25Aは、タンク32に貯留された圧力伝達媒体を吸引し、吸引した圧力伝達媒体を希釈水としてシリンジ254、及びチューブ253を経由して第1試薬分注プローブ252A内に供給するポンプ257を備える。また、第1試薬分注ユニット25Aは、シリンジ254とポンプ257との間を連通する流路を開閉する開閉弁258を備える。
試薬を分注する際、シリンジ254とポンプ257との間の流路は、制御回路8により制御される開閉弁258により閉鎖される。駆動機構4がプランジャ255を矢印L1方向へ吸引駆動することにより、第1試薬分注プローブ252は、第1試薬吸引位置P21で試薬容器101内の試薬を吸引する。また、駆動機構4がプランジャ255を矢印L2方向へ吐出駆動することにより、第1試薬分注プローブ252は、第1試薬吐出位置P22に位置する反応管2111内へ試薬を吐出する。
第2の実施形態に係る第1試薬分注ユニット25Aは、制御回路8Aの制御に従い、第1試薬分注プローブ252Aにより、希釈水供給プール27Bに貯留された希釈水を第1の希釈水として吸引する。第1試薬分注ユニット25Aは、制御回路8Aの制御に従い、第1試薬分注プローブ252Aにより、希釈水供給プール27Aに貯留された希釈水を第2の希釈水として吸引する。第1試薬分注ユニット25Aは、制御回路8Aの制御に従い、第1試薬分注プローブ252Aにより、第1試薬吸引位置P11に位置する試薬容器101に収容される濃縮試薬を吸引する。また、第1試薬分注ユニット25Aは、制御回路8Aの制御に従い、第1試薬分注プローブ252A内に保持された第1の希釈水、第2の希釈水、及び濃縮試薬を第1試薬として、第1試薬吐出位置P12に位置する反応管2111へ吐出する。
第2試薬分注ユニット28Aは、試薬庫22の外周近傍に設けられている。第2試薬分注ユニット28Aは、第2試薬分注アーム281、及び第2試薬分注プローブ282Aを有する。
第2試薬分注アーム281は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム281は、一端に第2試薬分注プローブ282を保持する。
第2試薬分注プローブ282Aは、第2試薬分注アーム281の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第1の実施形態と同様に、第2試薬吸引位置P31、第2試薬吐出位置P32、及び試薬プローブ洗浄位置P33が設けられている。試薬プローブ洗浄位置P33には、所定の洗浄液が貯留された洗浄プール29が設けられている。
また、第2試薬分注プローブ282Aの回動軌道上の、第2試薬吸引位置P31、第2試薬吐出位置P32、及び試薬プローブ洗浄位置P33とは異なる位置には、第2試薬分注プローブ282Aに第1試薬分注プローブ252に希釈水を供給するための希釈水供給位置P34A、及び希釈水供給位置P34Bが設けられている。
希釈水供給位置P34Aは、例えば第2試薬分注プローブ282Aの回動軌道上であって、第2試薬吸引位置P31と、第2試薬吐出位置P32との間、かつ、試薬庫22の外周近傍に設けられている。希釈水供給位置P34Aには、所定の温度の希釈水が貯留された希釈水供給プール30Aが設けられている。希釈水供給プール30Aは、希釈水供給プール30Aに貯留された希釈水の温度を検知するための温度センサ301Aを有する。希釈水供給プール30Aに貯留される希釈水の温度は、目標温度より低い所定の温度に保温されている。また、希釈水供給プール30Aは、特許請求の範囲に記載の第2の貯留部の一例である。
また、希釈水供給位置P34Bは、例えば第2試薬分注プローブ282Aの回動軌道上であって、希釈水供給位置P34Aと、第2試薬吐出位置P32との間に設けられている。希釈水供給位置P34Bには、所定の温度の希釈水が貯留された希釈水供給プール30Bが設けられている。希釈水供給プール30Bは、希釈水供給プール30Bに貯留された希釈水の温度を検知するための温度センサ301Bを有する。希釈水供給プール30Bに貯留される希釈水の温度は、目標温度より高い所定の温度に保温されている。また、希釈水供給プール30Bは、特許請求の範囲に記載の第1の貯留部の一例である。
第2試薬分注プローブ282は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置P31、第1試薬吐出位置P32、試薬プローブ洗浄位置P33、及び希釈水供給位置P34において上下方向に移動する。
第2試薬分注ユニット28は、制御回路8の制御に従い、第2試薬分注プローブ282により、第2試薬吸引位置P31に位置する試薬容器101に収容される試薬を吸引する。また、第2試薬分注ユニット28は、制御回路8の制御に従い、第2試薬分注プローブ282により、吸引した試薬を第2試薬として、第2試薬吐出位置P32の直下に位置する反応管2111へ吐出する。
第2試薬分注ユニット28Aの構成及び機能は、図14に示される第1試薬分注ユニット25Aの構成及び機能と同様である。また、第2試薬分注ユニット28Aは、図14に示されるタンク32と同様のタンクに接続されている。第2試薬分注ユニット28に接続されるタンクは、タンク32と別に設けられていてもよいし、タンク32と共有のものであってもよい。
第2の実施形態に係る第2試薬分注ユニット28Aは、制御回路8Aの制御に従い、第2試薬分注プローブ282Aにより、希釈水供給プール30Bに貯留された希釈水を第1の希釈水として吸引する。第2試薬分注ユニット28Aは、制御回路8Aの制御に従い、第2試薬分注プローブ282Aにより、希釈水供給プール30Aに貯留された希釈水を第2の希釈水として吸引する。第2試薬分注ユニット28Aは、制御回路8Aの制御に従い、第2試薬分注プローブ282Aにより、第1試薬吸引位置P11に位置する試薬容器101に収容される濃縮試薬を吸引する。また、第2試薬分注ユニット28Aは、制御回路8Aの制御に従い、第2試薬分注プローブ282A内に保持された第1の希釈水、第2の希釈水、及び濃縮試薬を第1試薬として、第1試薬吐出位置P12に位置する反応管2111へ吐出する。
攪拌ユニット31、測光ユニット210、洗浄ユニット201、及び電解質測定ユニット202の構成及び機能については、図2に示される攪拌ユニット31、測光ユニット210、洗浄ユニット201、及び電解質測定ユニット202の構成及び機能と同様である。
また、図13に示される分析機構2Aは、ラック投入レーン300、及びラック移動ユニット310を備える。ラック投入レーン300、及びラック移動ユニット310については、図2に示されるラック投入レーン300、及びラック移動ユニット310と同様である。
図12に示される制御回路8Aは、本実施形態に係る動作プログラムを実行することで、本実施形態に係る処理を実現する。具体的には、制御回路8Aは、動作プログラムを実行することで、分注制御機能81A、昇温制御機能82A、及びシステム制御機能83を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって分注制御機能81A、昇温制御機能82A、及びシステム制御機能83が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することにより分注制御機能81A、昇温制御機能82A、及びシステム制御機能83を実現しても構わない。
分注制御機能81Aは、検査項目に対応する濃縮試薬の希釈倍率に応じて、第1試薬分注ユニット25A、及び第2試薬分注ユニット28Aの動作を制御する機能である。分注制御機能81Aが実行されると、制御回路8Aは、例えば、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、所定の目標温度及び所定濃度の試薬を発生させるための第1の希釈水、第2の希釈水、及び濃縮試薬を第1試薬分注プローブ252A内に保持させる。また、制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、目標温度より高い第1の温度かつ第1の量の第1の希釈水、目標温度より低い第2の温度かつ第2の量の第2の希釈水、及び目標温度より低い第3の温度かつ第3の量の濃縮試薬を第1試薬分注プローブ252Aから反応管2111に吐出する。
具体的には、制御回路8Aは、検査項目に対応する濃縮試薬の希釈倍率に関する情報をメモリ7から読み出す。これにより、制御回路8Aは、濃縮試薬の必要量(第3の量)、及び希釈倍率、及び試薬容量を認識する。制御回路8Aは、温度センサ271Bにより、希釈水供給プール27B内に貯留された第1の希釈水の温度を検出する。制御回路8Aは、温度センサ271Aにより、希釈水供給プール27A内に貯留された第2の希釈水の温度を検出する。制御回路8Aは、試薬庫22が備える温度センサ223により、試薬庫22内の試薬容器101に収容されている濃縮試薬の温度を検出する。なお、第1の希釈水の温度を検出する温度センサ271A、及び第2の希釈水の温度を検出する温度センサ271Bは、別体であってもよいし、共有のものであってもよい。
制御回路8Aは、認識した濃縮試薬の希釈倍率、及び試薬容量、並びに、検出した第1の希釈水の温度、第2の希釈水の温度、及び濃縮試薬の温度に基づいて、第1の希釈水の必要量(第1の量)、及び第2の希釈水の必要量(第2の量)を算出する。
制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、第1試薬分注プローブ252Aにより、算出した第1の量の第1の希釈水を、希釈水供給プール27Bから吸引する。
制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、第1試薬分注プローブ252Aにより、算出した第2の量の第2の希釈水を、希釈水供給プール27Aから吸引する。制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、第1試薬分注プローブ252Aにより、認識した第3の量の濃縮試薬を、第1試薬吸引位置P11に位置する試薬容器101から吸引する。これにより、第1試薬分注プローブ252A内に、第1の量の第1の希釈水、第2の量の第2の希釈水、及び第3の量の濃縮試薬が保持される。そして、制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、第1試薬分注プローブ252A内に保持された第1の量の第1の希釈水、第2の量の第2の希釈水、及び第3の量の濃縮試薬を第1試薬として、第1試薬吐出位置P12に位置する反応管2111へ一度にまとめて吐出する。
昇温制御機能82Aは、濃縮試薬を希釈する希釈水を所定の温度まで昇温する機能である。昇温制御機能82Aが実行されると、制御回路8Aは、例えば、分析機構2Aが備える図示しないヒーターを制御し、希釈水供給プール27B、又は、希釈水供給プール30Bに貯留される第1の希釈水を昇温する。これにより、希釈水供給プール27B、又は、希釈水供給プール30Bに貯留される第1の希釈水は、目標温度より高い所定の温度まで昇温される。
システム制御機能83が有する機能は、図2に示されるシステム制御機能83が有する機能と同様である。
次に、以上のように構成された自動分析装置1Aが、濃縮試薬を分注する際の動作を、図を参照して説明する。図15は、第2の実施形態に係る自動分析装置1が濃縮試薬を分注する際の制御回路8Aの動作を示すフローチャートの例である。
以下の説明では、制御回路8Aは、例えば、入力インタフェース5を介し、所定の検査項目に関する検査を受け付けるものとする。また、希釈水供給プール27Bに貯留されている第1の希釈水の温度は、目標温度より高い温度に保温されているものとする。また、希釈水供給プール27Aに貯留されている第2の希釈水の温度は、目標温度より低い温度に保温されているものとする。また、制御回路8Aは、試薬庫22に保持されている試薬容器101に収容されている濃縮試薬の温度を温度センサ223等により予め把握しているものとする。また、所定の検査項目に対応する試料が第1の試薬吐出位置P12に位置する反応管2111に収容されているものとする。また、目標温度、及び管理温度は、それぞれ37℃であるものとする。なお、図15では、制御回路8Aが第1試薬分注ユニット25Aを制御して濃縮試薬を分注する場合を例に説明するが、制御回路8Aが第2試薬分注ユニット28Aを制御して濃縮試薬を分注する場合も同様である。
制御回路8Aは、入力インタフェース5を介し、所定の検査項目に関する検査を受け付けると、第1の希釈水の温度、及び、第2の希釈水の温度を検出する(ステップSB1)。具体的には、制御回路22Aは、分析機構2Aが備える図示しない所定の温度センサにより、希釈水供給プール27B内に貯留された第1の希釈水の温度を検出する。また、制御回路22Aは、分析機構2Aが備える図示しない所定の温度センサにより、希釈水供給プール27A内に貯留された第2の希釈水の温度を検出する。このとき、制御回路22Aは、受け付けた検査に係る検査項目に対応する濃縮試薬の希釈倍率に関する情報をメモリ7から読み出す。これにより、制御回路8は、濃縮試薬の必要量X、希釈倍率D、及び試薬容量Eを認識する。
制御回路8Aは、予め把握している濃縮試薬の温度A、ステップSB1において検出した第1の希釈水の温度B、及び第2の希釈水の温度C、並びにステップSB1において認識した濃縮試薬の希釈倍率D、及び試薬容量Eに基づいて、第1の希釈水の必要量Y、及び、第2の希釈水の必要量Zを算出する(ステップSB2)。
制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、第1試薬分注プローブ252Aにより、ステップSB2において算出したYの量の第1の希釈水を、希釈水供給プール27Bから吸引する(ステップSB3)。
制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、第1試薬分注プローブ252Aにより、ステップSB2において算出したZの量の第2の希釈水を、希釈水供給プール27Aから吸引する(ステップSB4)。
制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、第1試薬分注プローブ252Aにより、ステップSB1において認識したXの量の濃縮試薬を、第1試薬吸引位置P21に位置する試薬容器101から吸引する(ステップSB5)。
制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、ステップSB2において算出したYの量の第1の希釈水、及びZの量の第2の希釈水、並びに、ステップSB1において認識したXの量の濃縮試薬を、第1試薬分注プローブ252Aから反応管2111へ一度にまとめて吐出する(ステップSB6)。
制御回路8は、攪拌ユニット31を制御し、反応管2111に収容されている試料、Yの量の第1の希釈水、Zの量の第2の希釈水、及びXの量の濃縮試薬を攪拌する(ステップSB7)。
以下、図16、17及び18を参照し、Yの量の第1の希釈水、Zの量の第2の希釈水、及びXの量の濃縮試薬が、第1試薬分注プローブ252Aに保持されてから、反応管2111で攪拌されるまでの流れを説明する。図16は、第2の実施形態に係る自動分析装置1Aが濃縮試薬を吐出する直前の第1試薬分注プローブ252A及び反応管2111内の状態を説明するための図である。図17は、第2の実施形態に係る自動分析装置1Aが濃縮試薬を吐出した直後の第1試薬分注プローブ252A及び反応管2111内の状態を説明するための図である。図18は、第2の実施形態に係る自動分析装置1Aにおいて、反応管2111に吐出された濃縮試薬が攪拌された後の反応管2111内の状態を説明するための図である。以下では、図6に示される混合例3の場合を前提として説明する。このとき、濃縮試薬の温度A、第1の希釈水の温度B、第2の希釈水の温度C、希釈倍率D、試薬容量E、濃縮試薬の必要量X、第1の希釈水の容量Y、第2の希釈水の容量Z、希釈後の試薬の目標温度は、それぞれ5℃、50℃、25℃、37℃、10、10μl、56μl、34μl、及び37℃である。
図16によれば、濃縮試薬が吐出される直前の時点において、第1試薬分注プローブ252A内には、50℃で56μlの第1の希釈水W3、25℃で34μlの第2の希釈水W2、及び5℃で10μlの濃縮試薬R1が保持されている。第1の希釈水W3は、図7に示される第1の希釈水W1とは異なり、第1試薬分注プローブ252Aにより希釈水供給プール27Bから吸引された希釈水である。また、反応管2111内には、37℃の試料が収容されている。さらに、第1試薬分注プローブ252A内には、図14に示されるタンク32から供給された圧力伝達媒体W4が充填されている。
次に、図17によれば、濃縮試薬が吐出された直後の時点において、反応管2111内には、50℃で56μlの第1の希釈水W3、25℃で34μlの第2の希釈水W2、5℃で10μlの濃縮試薬R1、及び37℃の試料が収容されている。このとき、第1の希釈水W3、第2の希釈水W2、及び濃縮試薬R1は、反応管2111内で瞬時に混ざり合うことで攪拌し、温度が平均化されて10倍の100μlに希釈された37℃の試薬となる。なお、第1試薬分注プローブ252A内には、圧力伝達媒体W4が保持されている。
最後に、図18によれば、反応管2111内において、10倍に希釈された37℃の試薬、及び試料が攪拌されて37℃の混合液が生成される。
第2の実施形態によれば、制御回路8Aは、例えば、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、希釈水供給プール27Bから第1試薬分注プローブ252Aに第1の希釈水を供給する。これにより、第1試薬分注プローブ252Aには、ヒーター及び温度センサを設ける必要がなくなる。したがって、より簡易な構成で試料測定を高速に実施することが可能となる。
また、第2の実施形態によれば、制御回路8Aは、濃縮試薬の希釈倍率、及び試薬容量、並びに、第1の希釈水の温度、第2の希釈水の温度、及び濃縮試薬の温度に基づいて、第1の希釈水の必要量、及び第2の希釈水の必要量を算出する。制御回路8Aは、例えば、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、目標温度より高い温度の希釈水を貯留している希釈水供給プール27Bから、算出した必要量の第1の希釈水を第1試薬分注プローブ252Aに吸引させる。また、制御回路8Aは、第1試薬分注ユニット25Aを制御し、目標温度より低い温度の希釈水を貯留している希釈水供給プール27Aから、算出した必要量の第2の希釈水を第1試薬分注プローブ252Aに吸引させる。これにより、上記第1の実施形態と同様に、検査の対象となる複数の検査項目に対応する濃縮試薬の希釈倍率が一律でない場合であっても、濃縮試薬が希釈された所定の濃度の試薬を目標温度と常に等しい温度で反応管2111に吐出することができる。
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1記実施形態において、制御回路8は、濃縮試薬を分注する際中に、例えば、濃縮試薬を分注するサイクルが開始されてから終了するまでの1サイクルタイムの間に、混合される第1の希釈水、第2の希釈水、及び濃縮試薬の温度を制御していなかったがこれに限定されない。例えば、制御回路8は、希釈水供給プール27内の希釈水、又は試薬庫22内の濃縮試薬の温度が所定の温度より低い場合、第1試薬分注プローブ252内に保持されている第1の希釈水の量が所定の必要量より少ないため濃縮試薬を希釈して所定の目標温度の試薬を生成できない場合がある。このとき、制御回路8は、例えば、濃縮試薬を分注する際中に、第1試薬分注プローブ252内に保持されている第1の希釈水を、ヒーター2521により所定の温度まで昇温するようにしてもよい。これにより、例えば、第1の希釈水の量が必要量に満たない場合であっても、濃縮試薬を希釈して所定の目標温度の混合液を生成することが可能となる。
また、上記第1及び第2の実施形態では、目標温度、及び管理温度をそれぞれ37℃としていたがこれに限定されない。目標温度、及び管理温度は、例えば、生体の酵素反応に最適な温度であれば何℃であってもよい。また、目標温度は、例えば、入力インタフェース5を介して指定された温度に設定されてもよい。また、目標温度は、例えば、恒温槽211の管理温度と恒温槽211内で実際に検知される実温度とが異なる場合に、当該実温度に設定されてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、試料測定を高速に実施することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。