JP7217140B2 - 自動分析装置および自動分析方法 - Google Patents
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Description
図1は、実施形態に係る自動分析装置1を示す概略構成図であり、一例として血液や尿などの検体に含まれる生体成分を分析する生化学分析装置に本発明を適用した自動分析装置1の概略構成図である。特にこの自動分析装置1は、検体を希釈液によって希釈する機構を備えたものである。このような自動分析装置1は、測定部1aと制御部1bとを備えている。
[検体保持部2]
検体保持部2は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の検体容器P2を複数列で保持し、保持した検体容器P2を円周の双方向に搬送する構成である。この検体保持部2は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。検体保持部2に保持される各検体容器P2には、検査対象となる検体や、他の溶液が貯留される。検体保持部2には、各種の検体が所定の位置に保持される構成となっている。このような検体保持部2は、保持した検体容器P2や他の容器を冷却する機能を有していてもよい。
希釈検体保持部は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の希釈容器P3を保持し、保持した希釈容器P3を円周の双方向に搬送する構成である。この希釈検体保持部3は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。希釈検体保持部3に保持される希釈容器P3には、検体保持部2に配置された検体容器P2から吸引された検体と、希釈液とが分注される。
第1試薬保持部4は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の第1試薬容器P4を保持する。また、第2試薬保持部5は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の第2試薬容器P5を保持する。そして、それぞれ保持した第1試薬容器P4および第2試薬容器P5を円周の双方向に搬送する構成である。これらの第1試薬保持部4および第2試薬保持部5は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。なお、自動分析装置1に設けられた試薬保持部は、第1試薬保持部4および第2試薬保持部5の2つに限定されることはなく、1つであってもよいし3つ以上の複数であってもよい。自動分析装置1に設けられた試薬保持部が1つである場合、1つの試薬保持部に対応させて、以降に説明する第1試薬分注装置20cおよび第2試薬分注装置20dが設けられた構成であってよい。
反応容器保持部6は、希釈検体保持部3と、第1試薬保持部4と、第2試薬保持部5との間に配置される。この反応容器保持部6は、例えばターンテーブル状のものであって、その周縁に沿って複数の反応容器P6を保持し、保持した反応容器P6を円周の双方向に搬送する構成である。この反応容器保持部6は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。反応容器保持部6に保持される反応容器P6は、希釈検体保持部3の希釈容器P3から採取した希釈検体、第1試薬保持部4の第1試薬容器P4から採取した第1試薬、さらに第2試薬保持部5の第2試薬容器P5から採取した第2試薬が、それぞれ所定量で分注されるものである。そして、この反応容器P6内において、希釈検体と第1試薬および第2試薬とが撹拌されてこれらの反応が行われるか、または希釈検体と第1試薬とが撹拌されてこれらの反応が行われる。なお、反応容器P6内において、希釈検体と共に撹拌される第1試薬および第2試薬は、各検体に対して実施される検査項目に対応して選択される。
希釈撹拌装置11は、希釈検体保持部3の周囲に配置されている。希釈撹拌装置11は、撹拌機構、および撹拌機構を駆動するための駆動機構を有する。図3は、実施形態に係る自動分析装置における希釈撹拌装置の要部を説明する図であって、希釈撹拌装置の撹拌機構を示す図である。この図に示すように、希釈撹拌装置の撹拌機構11aは、略垂直に保持された撹拌棒11bと、撹拌棒11bの下端に設けられた撹拌子11cとを備えている。撹拌棒11bは、ここでの図示を省略した駆動機構によって回転する回転軸であり、この先端に設けられた撹拌子11cを回転させる。また撹拌棒11bは、駆動機構によって上下方向および水平方向に移動自在である。また撹拌子11cは、液体を撹拌できればその形状が限定されることはなく、一例としてプロペラ型や板状材をひねったスクリュー型であることとする。
図1に戻り、希釈洗浄装置12は、希釈検体保持部3の周囲に配置されている。希釈洗浄装置12は、以降に説明する希釈検体分注装置20bによって希釈検体が吸引された後の希釈容器P3を洗浄する装置である。
第1反応撹拌装置13および第2反応撹拌装置14は、反応容器保持部6の周囲に配置されている。第1反応撹拌装置13および第2反応撹拌装置14は、反応容器保持部6に保持された反応容器P6内において、希釈検体と、第1試薬または第2試薬とを撹拌し、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬との反応を進める。このような第1反応撹拌装置13および第2反応撹拌装置14は、希釈撹拌装置11と同様の構成のものであってよい。
計測部15は、反応容器保持部6の周囲における反応容器保持部6の外壁と対向するように配置されている。計測部15は、反応容器P6内において検査項目に対応する第1試薬および第2試薬と反応した希釈検体に対して光学的測定を行なう多波長光度計であって、検体中の様々な成分の量を吸光度として出力し、希釈検体の反応状態を検出するものである。
反応容器洗浄装置16は、反応容器保持部6の周囲に配置されている。反応容器洗浄装置16は、検査が終了した反応容器P6内を洗浄する装置である。
検体分注装置20aは、細管状の分注プローブ21として検体プローブ21aを備え、検体保持部2と希釈検体保持部3の周囲に配置されている。検体分注装置20aは、予め設定された測定プログラムにしたがって、不図示の駆動機構により、軸方向を垂直に保った検体プローブ21aの先端を検体保持部2に保持された検体容器P2内の検体中に挿入し、所定量の検体を検体プローブ21a内に吸引する。この際、検体保持部2は、予め設定された測定プログラムにしたがって、検体保持部2の所定位置に保持された検体容器P2を、所定の検体採取位置に移動させておく。
希釈検体分注装置20bは、分注装置20のうちの1つであって、細管状の分注プローブ21として希釈検体プローブ21bを備え、希釈検体保持部3と反応容器保持部6の間に配置されている。希釈検体分注装置20bは、予め設定された測定プログラムにしたがって、不図示の駆動機構により、軸方向を垂直に保った希釈検体プローブ21bの先端を、希釈検体保持部3の希釈容器P3内に挿入し、システム水が充填された希釈検体プローブ21bの先端から、所定量の希釈検体を吸引する。また希釈検体分注装置20bは、反応容器保持部6の反応容器P6内に希釈検体プローブ21bの先端を挿入し、希釈検体プローブ21b内に吸引した希釈検体を、反応容器P6内に吐出する。これにより希釈容器P3から反応容器P6に希釈検体を分注する。
第1試薬分注装置20cおよび第2試薬分注装置20dは、分注装置20のうちの1つであって、他の分注装置と同様の構成であり、反応容器保持部6と第1試薬保持部4および第2試薬保持部5との間に配置されている。第1試薬分注装置20cは、予め設定された測定プログラムにしたがって、第1試薬保持部4の第1試薬容器P4から反応容器P6に第1試薬を分注する。また第2試薬分注装置20dは、予め設定された測定プログラムにしたがって、第2試薬保持部5の第2試薬容器P5から反応容器P6に第2試薬を分注する。
図1~図3を参照し、制御部1bは、上述した測定部1aを構成する各構成要素の駆動機構、および計測部15に接続されている。このような制御部1bは、相互に接続された表示部51、入力部52、記憶部53、演算処理部54、および駆動制御部55を備える。このうち、記憶部53、演算処理部54、および駆動制御部55は、マイクロコンピューターなどの計算機によって構成されている。計算機は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの記憶部を備え、自動分析装置1内の各部の動作を制御する。ROMおよびRAMなどの記憶部は、記憶部53であってもよい。以下、制御部1bの各構成要素の詳細を説明する。
表示部51は、計測部15による測定結果を表示する他、自動分析装置1における各種の設定情報や各種の履歴情報を表示する。この表示部51には、例えば、液晶ディスプレイ装置等が用いられる。
入力部52は、自動分析装置1のオペレーターによって行われる各種の設定に関する入力やその他の入力を受け付け、入力信号を駆動制御部55に出力する。この入力部52には、例えば、マウス、キーボード、表示部51における表示面に設けられたタッチパネル等が用いられる。また入力部52は、例えば検体保持部2に保持された検体容器P2のバーコードを読み取るバーコードリーダーも含む。
記憶部53は、例えば、HDD(Hard disk drive)や半導体メモリなどの大容量の記録装置によって構成される。この記憶部53には、次に説明する駆動制御部55が実行する各種のプログラム、プログラムを実行するための各種の設定情報が保存される。これらの情報は、予め記憶部53に保持されているか、または入力部52からの入力に基づいて記憶部53に保存された情報である。
図1~図3に戻り、演算処理部54は、入力部52からの入力、および記憶部53に保存された情報に基づいて、駆動制御部55による制御の判断を実施する。特にこの演算処理部54は、希釈容器P3内の希釈検体を反応容器P6に分注するのに際し、入力部52からの入力、および記憶部53に保存された情報に基づいて、駆動制御部55による希釈検体分注装置20bの駆動のための判断を実施する。演算処理部54による希釈検体分注装置20bの駆動の判断については、次の自動分析方法において詳細に説明する。
駆動制御部55は、入力部52、記憶部53、および演算処理部54からの信号に基づいて、測定部1aを構成する各部の駆動機構の作動を制御し、検体保持部2の検体容器P2内に収容された検体[S]の分析を実施する。このような駆動制御部55は、特に希釈検体分注装置20bの駆動を制御するための分注制御部55aを備える。
図6は、実施形態の自動分析装置1を用いた自動分析方法を示すフローチャートである。以下、図6のフローチャートに示す順に、先に示した図1~図4を参照して実施形態の自動分析装置1を用いた自動分析方法を説明する。これらの図を用いて説明する自動分析方法は、希釈容器P3内に分注した検体[S]と希釈液[D]とを撹拌して希釈検体[Sd]とした後、この希釈検体[Sd]を反応容器P6に分注する際の分注処理に対して適用される手順である。
ステップS101において、演算処理部54は、入力部52からの入力により測定の指示がなされたか否かを判断する。
この際、演算処理部54は、入力部52からの入力により、測定項目および測定条件が入力された場合に、測定の指示があった(YES)と判断する。測定項目は、検体の種類に関する情報を含む。また測定条件は、測定項目毎の希釈条件、すなわち1つの希釈容器に分注する検体[S]と希釈液[S]との比率および総量を含む。
ステップS102において、駆動制御部55は、検体分注装置20aを駆動させ、希釈検体保持部3の希釈容器P3内に検体[S]と希釈液[D]とを分注する。この際、検体分注装置20aは、入力部52から入力された希釈条件に基づいて、検体保持部2に保持された検体容器P2内の検体[S]を吸引し、希釈検体保持部3に保持された希釈容器P3内に所定量の検体[S]と希釈液[D]とを分注する。
ステップS103において、駆動制御部55は、希釈撹拌装置11を駆動させ、希釈容器P3内に分注された検体[S]と希釈液[D]とを撹拌する。この際、希釈撹拌装置11は、予め設定されたプログラムにしたがって、希釈容器P3内における検体[S]と希釈液[D]との撹拌を実施し、撹拌終了後には撹拌子11cを希釈容器P3から引き上げる。
ステップS104において、演算処理部54は、ステップS103での撹拌が終了してから、待機時間[Tho]が経過したか否かを判断する。この際、演算処理部54は、記憶部53に保存されている待機時間[Tho]に関する情報を参照し、入力部52からの入力された検体の種類および希釈条件に適合する待機時間[Tho]を選択する。そして、予め設定された希釈撹拌装置11の動作のタイミング、すなわち待機時間[Tho]を決定する際のタイミングであって、例えば撹拌子11cの引き上げを完了した時点または撹拌子11cの引き上げを開始した時点からの経過時間[T]を、選択した待機時間[Tho]と比較する。そして、経過時間[T]が待機時間[Tho]に達した場合に、待機時間[Tho]が経過した(YES)と判断し、次のステップS105に進む。
ステップS105において、演算処理部54は、希釈容器P3内の希釈検体[Sd]の分注先となる反応容器P6が、確認済のものであるか否かを判断する。この際、演算処理部54は、計測部15による空の(ブランク状態の)反応容器P6の測定結果に基づいて、反応容器P6が洗浄済みであって測定に支障のある傷などがないことが確認された場合に確認済のものである(YES)と判断し、次のステップS106に進む。一方、確認済のものではない(NO)と判断された場合には、反応容器保持部6に保持されている別の反応容器P6について同様の判断を実施し、確認済のものである(YES)と判断されるまで、別の反応容器Pに対する測定と判断を繰り返す。なお、このステップS105は、ステップS104の先に実施されてもよい。
ステップS106において、駆動制御部55の分注制御部55aは、希釈検体分注装置20bを駆動させ、待機時間[Tho]に達した希釈容器P3内の希釈検体[Sd]を、ステップS105において確認済みと判断した反応容器P6に希釈検体[Sd]を分注する。以上により、検体[S]の分析に係わる希釈検体[Sd]の分注処理の一連の手順を終了させる。
以上説明した実施形態によれば、希釈容器P3内において検体[S]と希釈液[D]とを撹拌した後、希釈容器P3から反応容器P6へ希釈検体[Sd]の分注を停止させる待機時間[Tho]を設けたことにより、希釈容器P3内において検体[S]と希釈液[D]との混合が十分に進んで混合状態が安定化した希釈検体[Sd]を反応容器P6に分注することが可能になる。これにより、検体[S]と希釈液[D]との混合状態のバラツキが、その後に実施される計測部15による測定に影響を及ぼすことを防止でき、自動分析装置1による分析精度の向上を図ることが可能になる。さらに、撹拌が終了した後に待機時間[Tho]を設け、撹拌による残留流を利用して検体[S]と希釈液[D]とを進めるため、希釈撹拌装置11による撹拌時間を短縮することができる。この結果、希釈撹拌装置11による撹拌の効率を向上させることができ、自動分析装置1による分析の効率化を図ることが可能になる。
3…希釈検体保持部
6…反応容器保持部
11…希釈撹拌装置
15…計測部
20b…希釈検体分注装置
52…入力部
53…記憶部
54…演算処理部
P3…希釈容器
P6…反応容器
[D]…希釈液
[S]…検体
[T]…経過時間
[Tho]…待機時間
Claims (8)
- 分析対象となる検体と希釈液とが分注される希釈容器を保持する希釈検体保持部と、
前記希釈検体保持部に保持された前記希釈容器内の検体と希釈液とを撹拌する希釈撹拌装置と、
複数の反応容器を保持する反応容器保持部と、
前記検体と前記希釈液とを撹拌して混合した希釈検体を前記希釈容器から前記反応容器に分注する分注装置と、
前記検体の種類と希釈条件とを入力するための入力部と、
前記希釈容器に分注された前記検体と前記希釈液との前記希釈撹拌装置による撹拌が終了してから前記分注装置による前記希釈容器中の希釈検体の分注を開始するまでの間に設定される待機時間を、前記検体の種類と希釈条件とに関連付けた情報として保持する記憶部と、
前記入力部から入力された検体の種類と希釈条件とに基づいて前記記憶部に保存された待機時間を選択し、前記希釈撹拌装置による撹拌が終了した時点からの経過時間が前記選択した待機時間に達した場合に、前記分注装置による分注の開始を許可する演算処理部とを備えた
自動分析装置。 - 前記希釈条件は、前記希釈容器に分注する前記検体と前記希釈液との比率および前記検体と前記希釈液との総量を含む
請求項1に記載の自動分析装置。 - 前記待機時間は、前記希釈撹拌装置による検体と希釈液の撹拌が終了してから前記希釈容器中における前記検体と前記希釈液との混合状態が安定化する時間に設定される
請求項1または2に記載の自動分析装置。 - 前記反応容器内において試薬と反応させた前記希釈検体の光学的測定を行う計測部を備え、
前記待機時間は、分析成分の濃度が既知である標準検体を用いた希釈条件毎の予備分析の実施において、前記計測部で測定された測定値に基づいて設定されている
請求項1~3の何れか1項に記載の自動分析装置。 - 前記待機時間は、前記予備分析の実施において、前記希釈撹拌装置による撹拌が終了した時点からの時間経過に伴う前記測定値の変動が許容範囲となった時点に設定されている
請求項4に記載の自動分析装置。 - 前記待機時間は、前記希釈容器の形状毎に設定されている
請求項1~5の何れかに記載の自動分析装置。 - 前記待機時間は、前記希釈撹拌装置による撹拌条件毎に設定されている
請求項1~6の何れかに記載の自動分析装置。 - 分析対象となる検体と希釈液とが分注される希釈容器を保持する希釈検体保持部と、
前記希釈検体保持部に保持された前記希釈容器内の検体と希釈液とを撹拌する希釈撹拌装置と、
複数の反応容器を保持する反応容器保持部と、
前記検体と前記希釈液とを撹拌して混合した希釈検体を前記希釈容器から前記反応容器に分注する分注装置と、
前記検体の種類と希釈条件とを入力するための入力部とを備えた自動分析装置による自動分析方法であって、
前記希釈容器に分注された前記検体と前記希釈液との前記希釈撹拌装置による撹拌が終了してから前記分注装置による前記希釈容器中の希釈検体の分注を開始するまでの間に設定される待機時間を、前記検体の種類と希釈条件とに関連付けた情報として記憶部に保持し、
前記入力部から入力された検体の種類と希釈条件とに基づいて前記記憶部に保存された待機時間を選択し、前記希釈撹拌装置による撹拌が終了した時点からの経過時間が前記選択した待機時間に達した場合に、前記分注装置による分注の開始を演算処理部が許可する
自動分析方法。
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