JP2018123378A - 光化学電極、光化学電極の製造方法、及び水の光分解装置 - Google Patents
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Abstract
Description
光励起材料を電極として構成するとき、粉体の集合体からなる電極では粉体間の接触が十分でない場合が多く、これも薄膜の電気抵抗を高める要因となる。
1つの態様では、光化学電極は、
導電体と、
前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている。
導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料の粒子、及び導電性粒子をエアロゾルデポジション法により成膜し、光励起層を形成する工程を含み、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている。
対向電極と、
前記対向電極に導線を介して接続された光化学電極と、
前記対向電極及び前記光化学電極を水中に浸すための透光性容器と、
を有し、
前記光化学電極が、導電体と、前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている。
本発明の光化学電極の製造方法によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、光の利用効率に優れる光化学電極を提供できる。
本発明の水の光分解装置によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、光の利用効率に優れる水の光分解装置を提供できる。
本発明の光化学電極は、導電体と、光励起層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、支持体などのその他の部材を有する。
本発明の光化学電極では、前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されている。
ここで、前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されているとは、前記導電性粒子が前記光励起層の前記導電体側と反対側の表面に露出していないことを意味する。
前記導電体としては、導電性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。
前記合金としては、例えば、前記金属の例示で挙げられた2以上の金属種からなる合金などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛、酸化インジウム(In2O3)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化スズ、酸化亜鉛−酸化スズ系、酸化インジウム−酸化スズ系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などが挙げられる。
前記バルブメタルとは、アノード酸化により表面に不動態膜を形成する金属を指す。
前記バルブメタルとしては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンなどが挙げられる。
前記導電体の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光励起層は、光励起材料、及び導電性粒子を有する。
前記光励起層は、前記導電体上に配される。
前記光励起層において、前記導電性粒子は前記光励起材料に包摂されている。
前記光励起材料は、光を吸収して励起する材料である。
前記光励起材料としては、例えば、紫外光型光励起材料、可視光型光励起材料などが挙げられる。
前記紫外光型光励起材料としては、紫外線以下の波長の光を吸収して励起する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外光応答型光触媒などが挙げられる。
ここで、紫外線以下の波長とは、例えば、400nm以下の波長が挙げられる。
バンドギャップとは、バンド構造における電子に占有された最も高いエネルギーバンド(価電子帯)の頂上から、最も低い空のバンド(伝導帯)の底までの間のエネルギーの差を指す。
前記可視光型光励起材料としては、可視光線以下の波長の光を吸収して励起する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光応答型光触媒などが挙げられる。
ここで、可視光線以下の波長とは、例えば、800nm以下の波長が挙げられる。
前記導電性粒子としては、導電性を有する粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。
前記合金としては、例えば、前記金属の例示で挙げられた2以上の金属種からなる合金などが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛、酸化インジウム(In2O3)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化スズ、酸化亜鉛−酸化スズ系、酸化インジウム−酸化スズ系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などが挙げられる。
なお、前記光励起層の平均厚みは、通常、前記導電性粒子の平均粒子径よりも大きい。
前記支持体は、前記導電体、及び前記光励起層を支持する。
前記支持体は、例えば、前記導電体に接して配される。
前記支持体の材質としては、例えば、ガラス、有機樹脂等の絶縁体などが挙げられる。
図1は、光化学電極の一例を説明するための断面模式図である。図1の光化学電極1では、支持体10と、導電体2と、光励起層3とがこの順で積層されている。光励起層3では、光励起材料3Aのマトリックス中に導電性粒子3Bが包摂されている。導電性粒子3Bは、光化学電極1の表面に露出していない。
本発明の光化学電極の製造方法は、光励起層形成工程を含み、更に必要に応じて、導電体形成工程などのその他の工程を含む。
しかし、係る構造を実現することは、容易ではなく、例えば、従来技術のように、粉体のみを、一般的な塗布法や電気泳動法で基板上に成膜しても、係る構造を実現できない。
そこで、発明者らは鋭意検討を行った結果、係る構造の実現には、エアロゾルデポジション法が有効であることを見出し、本発明の光化学電極の製造方法の完成に至った。
前記導電体形成工程としては、支持体上に導電体を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸着法などが挙げられる。
前記導電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記光化学電極の説明において例示した前記導電体などが挙げられる。
前記光励起層形成工程としては、導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料の粒子、及び導電性粒子をエアロゾルデポジション法により成膜し、光励起層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光励起層は、開示の前記光化学電極における前記光励起層である。
図2は、エアロゾルデポジション法による成膜に用いられる成膜装置の一例の構造図である。
エアロゾルデポジション成膜装置は、エアロゾル室910及び成膜チャンバー920を有している。エアロゾル室910には成膜される材料の微粒子911が入れられており、He、N2、Ar等のキャリアガスが入れられたガスボンベ930が配管960を介して接続されている。また、エアロゾル室910と成膜チャンバー920とは、配管941により接続されており、成膜チャンバー920内における配管941の端部にはノズル921が設けられている。真空チャンバー920内においては、ノズル921の開口部と対向する側に、ステージ922が設けられており、ステージ922には、成膜がなされる基板923が設置されている。この成膜チャンバー920内は真空に排気可能であり、配管942を介し、メカニカルブースターポンプ943及び真空ポンプ944が接続されている。尚、エアロゾル室910内を排気することができるように、エアロゾル室910は、配管945及び不図示のバルブ等を介し配管942と接続されている。また、エアロゾル室910が設置される領域には、エアロゾル室910において、成膜される材料の微粒子が固まる、もしくは、成膜中に粒子が偏ることを防ぐため、エアロゾル室910を振動させるための振動器950が設けられている。
前記光励起材料の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上8μm以下がより好ましく、0.5μm以上5μm以下が特に好ましい。
前記導電性粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上8μm以下がより好ましく、0.5μm以上5μm以下が特に好ましい。
前記光励起層形成工程においては、前記エアロゾルデポジション法により成膜した後に、前記光励起層の表面に露出した前記導電性粒子を除去する除去処理を含むことが好ましい。
そのような光励起層を完成させるために、前記エアロゾルデポジション法により成膜した後に、前記光励起層の表面に前記導電性粒子が露出している場合には、露出している前記導電性粒子を除去する処理を行う。
除去の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記導電性粒子を溶解させて除去する方法などが挙げられる。
図3A〜図3Dは、光化学電極の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
まず、支持体10を用意する(図3A)。
次に、支持体10上に導電体2の薄膜を形成する(図3B)。導電体2は、FTOの薄膜であり、スパッタリング法により形成できる。
次に、エアロゾルデポジション法により、光励起材料の粒子3AAであるZnO粒子(平均粒子径1μm)と、導電性粒子3BであるAl(アルミニウム)粒子(平均粒子径1μm)との混合粉をノズル921から導電体2に向けて噴射する(図3C)。この際、光励起材料の粒子3AAと、導電性粒子3Bとの混合割合を、体積比で95:5(光励起材料の粒子:導電性粒子)とする。この過程で、ZnO粒子はノズル内で相互に衝突することにより粉砕され、ノズルから噴出する際の粒径は数nmから数百nmとなっている。
そうすると、導電体2上に、光励起材料3Aと、導電性粒子3Bとから構成される光励起層3(平均厚み5μm)が形成される(図3D)。
以上により、光化学電極1が得られる。
この例は、導電体としてのTi(チタン)基板上に、10体積パーセントのAlを包摂したZnOからなる光励起層を形成する例である。
まず、Ti基板を用意する。
次に、エアロゾルデポジション法により、光励起材料の粒子であるZnO粒子(平均粒子径1μm)と、導電性粒子であるAl(アルミニウム)粒子(平均粒子径2μm)との混合粉をノズルからTi基板に向けて噴射する。この際、光励起材料の粒子と、導電性粒子との混合割合を、体積比で90:10(光励起材料の粒子:導電性粒子)とする。この過程で、ZnO粒子はノズル内で相互に衝突することにより粉砕され、ノズルから噴出する際の粒径は数nmから数百nmとなっている。
形成される光励起層の平均厚みは5μmとする。
この際、形成される光励起層において、導電性粒子の一部は、光化学電極の表面に露出している。また、導電性粒子は、その大きさ、及びその割合からして、連接している。そのため、露出する導電性粒子をエッチングにより除去すると、光励起層に、導電体に達する孔が形成される場合がある。そのような場合でも、導電体として、バルブメタルであるTiを用いることにより、前記孔に露出したTi基板では、不動態膜が形成されているため、光化学電極のアノードとしての機能に悪影響を与えることはない。なお、不動態膜は、アノード酸化により形成しても良いし、熱酸化、空気酸化、オゾン処理などにより形成してもよい。
開示の水の光分解装置は、対向電極と、光化学電極と、透光性容器とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記光化学電極は、開示の前記光化学電極であり、陽極である。
前記光化学電極は、前記対向電極に導線を介して接続される。
前記透光性容器は、前記対向電極及び前記光化学電極を水中に浸すための容器である。前記透光性容器の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスチック、ガラス、石英などが挙げられる。
前記水の分解装置は、陽極である光化学電極1と、陰極である対向電極4と、光化学電極1及び対向電極4を接続する導線5と、光化学電極1及び対向電極4を収容する透光性容器6とを有する。透光性容器6には、水7が入っており、光化学電極1及び対向電極4は水7に浸っている。
対向電極4には、例えば、水素の発生に高い触媒活性を示すPt金属電極が用いられる。
(付記1)
導電体と、
前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする光化学電極。
(付記2)
前記導電性粒子の仕事関数が、前記光励起材料の仕事関数以下である付記1に記載の光化学電極。
(付記3)
前記導電体の材質が、バルブメタルである付記1又は2に記載の光化学電極。
(付記4)
前記光励起層における前記光励起材料と前記導電性粒子との割合が、体積比で99:1〜80:20(光励起材料:導電性粒子)である付記1から3のいずれかに記載の光化学電極。
(付記5)
導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料の粒子、及び導電性粒子をエアロゾルデポジション法により成膜し、光励起層を形成する工程を含み、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする光化学電極の製造方法。
(付記6)
前記光励起層を形成する工程が、前記エアロゾルデポジション法により成膜した後に、前記光励起層の表面に露出した前記導電性粒子を除去する処理を含む付記5に記載の光化学電極の製造方法。
(付記7)
前記導電性粒子の仕事関数が、前記光励起材料の仕事関数以下である付記5又は6に記載の光化学電極の製造方法。
(付記8)
前記導電体の材質が、バルブメタルである付記5から7のいずれかに記載の光化学電極の製造方法。
(付記9)
対向電極と、
前記対向電極に導線を介して接続された光化学電極と、
前記対向電極及び前記光化学電極を水中に浸すための透光性容器と、
を有し、
前記光化学電極が、導電体と、前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする水の光分解装置。
(付記10)
前記導電性粒子の仕事関数が、前記光励起材料の仕事関数以下である付記9に記載の水の光分解装置。
(付記11)
前記導電体の材質が、バルブメタルである付記9又は10に記載の水の光分解装置。
2 導電体
3 光励起層
3A 光励起材料
3AA 光励起材料の粒子
3B 導電性粒子
4 対向電極
5 導線
6 透光性容器
7 水
8 照射光
10 支持体
Claims (7)
- 導電体と、
前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする光化学電極。 - 前記導電性粒子の仕事関数が、前記光励起材料の仕事関数以下である請求項1に記載の光化学電極。
- 前記導電体の材質が、バルブメタルである請求項1又は2に記載の光化学電極。
- 前記光励起層における前記光励起材料と前記導電性粒子との割合が、体積比で99:1〜80:20(光励起材料:導電性粒子)である請求項1から3のいずれかに記載の光化学電極。
- 導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料の粒子、及び導電性粒子をエアロゾルデポジション法により成膜し、光励起層を形成する工程を含み、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする光化学電極の製造方法。 - 前記光励起層を形成する工程が、前記エアロゾルデポジション法により成膜した後に、前記光励起層の表面に露出した前記導電性粒子を除去する処理を含む請求項5に記載の光化学電極の製造方法。
- 対向電極と、
前記対向電極に導線を介して接続された光化学電極と、
前記対向電極及び前記光化学電極を水中に浸すための透光性容器と、
を有し、
前記光化学電極が、導電体と、前記導電体上に、光を吸収し励起する光励起材料、及び導電性粒子を有する光励起層とを有し、
前記光励起層において前記導電性粒子が前記光励起材料に包摂されていることを特徴とする水の光分解装置。
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