JP6515186B2 - 酸素発生用光触媒電極およびモジュール - Google Patents

酸素発生用光触媒電極およびモジュール Download PDF

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Description

本発明は、酸素発生用光触媒電極およびモジュールに関する。
炭酸ガス排出削減、エネルギーのクリーン化の観点から、太陽エネルギーを利用して、光触媒により水を分解して、水素や酸素を製造する技術に注目が集まっている。
このような光触媒による水分解反応に関する研究は数多くなされており、例えば、可視光の有効利用が検討されている。具体的には、特許文献1には、Tiおよび/またはNbを含む酸窒化物に、MOで表される金属酸化物および金属Mを助触媒として担持した光触媒が開示されている(請求項1)。
特開2013−230427号公報
近年は、さらに効率よく水分解を進めることが求められており、光触媒電極の特性に関してより一層の向上が求められている。
特に、良好なオンセットポテンシャルは、光触媒電極を有するモジュールにおいて非常に重要となる。具体的には、光触媒電極のうち、酸素生成側の光触媒電極(以下、「酸素発生用光触媒電極」ともいう。)については、オンセットポテンシャルが卑側にあることが求められている。
すなわち、2電極水分解モジュールの水分解は、水素発生電極と酸素発生電極の分解効率が釣り合うところで動作をする。そのため、性能が劣っている側の分解効率を上げることが、モジュールとしての性能を上げることにつながる。
一般的には、酸素発生電極の性能が劣っている場合が多い。したがって、酸素発生電極の性能を向上させるには、光電流密度を向上させる他、オンセットポテンシャルをより卑側、つまり水素発生電極のオンセットポテンシャルよりも、より卑側にすることが求められる。
ここで、光触媒電極に用いられる光触媒の酸素生成能を向上させるために、光触媒に助触媒を担持させることが知られている。しかしながら、光触媒に担持させる助触媒の性質によっては、本来の光触媒の能力を十分に引き出せず、酸素発生電極のオンセットポテンシャルが悪い場合がある。
そこで、本発明は、良好なオンセットポテンシャルを示す酸素発生用光触媒電極、およびこれを含むモジュールを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、酸素生成過電圧0.4V以下の第1金属酸化物と、酸素生成過電圧0.4V超の第2金属酸化物と、を含む助触媒を用いることで、良好なオンセットポテンシャルが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]
集電層と、
上記集電層上の光触媒と、
上記光触媒の少なくとも一部に担持された助触媒と、を有し、
上記助触媒が、酸素生成過電圧0.4V以下の第1金属酸化物および酸素生成過電圧0.4V超の第2金属酸化物を含む、酸素発生用光触媒電極。
[2]
上記第2金属酸化物の表面の少なくとも一部が、上記第1金属酸化物で覆われている、上記[1]に記載の酸素発生用光触媒電極。
[3]
上記第2金属酸化物が、上記光触媒上に形成されており、
上記第1金属酸化物が、上記第2金属酸化物上に形成されている、上記[1]または[2]に記載の酸素発生用光触媒電極。
[4]
上記第2金属酸化物が酸素生成過電圧の異なる2種以上の金属酸化物を含有し、
上記2種以上の金属酸化物が、酸素生成過電圧が高い方から順に、上記光触媒側に積層されている、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の酸素発生用光触媒電極。
[5]
上記第1金属酸化物が、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、コバルト鉄複合酸化物、酸化ロジウム、ニッケル鉄複合酸化物、および、酸化白金からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の酸素発生用光触媒電極。
[6]
上記第2金属酸化物が、酸化コバルト、酸化鉄、および、酸化ニッケルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の酸素発生用光触媒電極。
[7]
上記第2金属酸化物が酸化コバルトおよび酸化鉄の少なくとも一方を含み、上記第1金属酸化物が酸化ルテニウム、酸化イリジウムおよびコバルト鉄複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の酸素発生用光触媒電極。
[8]
上記第1金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM1、上記第2金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM2とした場合に、M1/M2が0.01〜10である、上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の酸素発生用光触媒電極。
[9]
上記光触媒が遷移金属化合物である、上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の酸素発生用光触媒電極。
[10]
上記遷移金属化合物が、Ti、Ta、Nb、WおよびLaからなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属種を含む、上記[9]に記載の酸素発生用光触媒電極。
[11]
上記第1金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM1、上記遷移金属化合物に含まれる遷移金属種のモル量をM3とした場合に、M1/M3が0.001〜0.3である、上記[9]または[10]に記載の酸素発生用光触媒電極。
[12]
上記第2金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM2と、上記遷移金属化合物に含まれる遷移金属種のモル量をM3とした場合に、M2/M3が0.001〜0.3である、上記[9]または[10]に記載の酸素発生用光触媒電極。
[13]
上記[1]〜[12]のいずれか1つに記載の酸素発生用光触媒電極を含む、モジュール。
以下に示すように、本発明によれば、良好なオンセットポテンシャルを示す酸素発生用光触媒電極、およびこれを含むモジュールを提供することができる。
本発明の酸素発生用光触媒電極の一実施形態を模式的に示す電極の断面図である。 本発明の酸素発生用光触媒電極の他の実施形態を模式的に示す電極の断面図である。 本発明の酸素発生用光触媒電極における助触媒の一形態を模式的に示す電極の部分断面図である。 本発明の酸素発生用光触媒電極における助触媒の他の形態を模式的に示す電極の部分断面図である。 本発明の酸素発生用光触媒電極の製造方法の工程の一部を示す模式的断面図である。 本発明の酸素発生用光触媒電極の製造方法の工程の一部を示す模式的断面図である。 本発明の酸素発生用光触媒電極の製造方法の工程の一部を示す模式的断面図である。 本発明の酸素発生用光触媒電極の製造方法の工程の一部を示す模式的断面図である。 本発明の酸素発生用光触媒電極の製造方法の工程の一部を示す模式的断面図である。
以下に、本発明の酸素発生用光触媒電極(以下、単に「酸素発生電極」という。)およびこれを含むモジュール(以下、単に「モジュール」という。)ついて説明する。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[酸素発生電極]
本発明の酸素発生電極は、集電層と、上記集電層上の光触媒と、上記光触媒の少なくとも一部に担持された助触媒と、を有し、上記助触媒が、酸素生成過電圧0.4V以下の第1金属酸化物および酸素生成過電圧0.4V超の第2金属酸化物を含む。本発明の酸素発生電極は、水分解用に好適である。
ここで、酸素生成過電圧とは、電気化学反応において、熱力学的に求められる反応の理論電位(平衡電極電位)と、実際に反応が進行するときの電極の電位と、の差をいう。
本発明によれば、酸素生成過電圧0.4V以下の第1金属酸化物と、酸素生成過電圧0.4V超の第2金属酸化物と、を含む助触媒を用いることで、これを有する酸素発生電極が良好なオンセットポテンシャルを示すものとなる。
酸素生成過電圧の低い金属酸化物を助触媒として用いると、高い光電流密度が得られてオンセットポテンシャルの良化につながると考えられている。しかしながら、発明者等が検討したところ、酸素生成過電圧の低い金属酸化物を助触媒として用いただけでは、酸素発生電極のオンセットポテンシャルが悪い。
そこで、酸素発生電極のオンセットポテンシャルを良好にすべく、発明者等がさらに検討を重ねたところ、酸素生成過電圧の低い金属酸化物(具体的には、酸素生成過電圧0.4V以下の第1金属酸化物)と、酸素生成過電圧の高い金属酸化物(具体的には、酸素生成過電圧0.4V超の第2金属酸化物)と、を助触媒として併用することで、これを含む酸素発生電極のオンセットポテンシャルが良好になることを見出した。
この理由の詳細は明らかになっていないが、第1金属酸化物は、酸素生成過電圧は低い(すなわち酸素生成能力は高いと予想される)が、光触媒に対する密着性(濡れ性)が不十分であるのに対して、第2金属酸化物は光触媒に対する密着性が高いことによるものと推測される。すなわち、光触媒に対する密着性の低い第1金属酸化物が、光触媒に対する密着性の高い第2金属酸化物を介して、光触媒に良好に担持されるため、第1金属酸化物の特性が有効に発現すると考えられる。これにより、オンセットポテンシャルを良化させるという第1金属酸化物の備える優れた効果が十分に発揮されるものと推測される。
図1に、本発明の酸素発生電極の一実施形態の断面図を示す。図1に示すように、酸素発生電極10は、集電層14と、光触媒12と、助触媒30と、を備える。酸素発生電極10においては、光照射によって光触媒12にて生成した電子が集電層14へと流れる。一方で、光触媒12にて生じたホールが助触媒30を経由して、水と反応することで、酸素を生成する。
なお、通常、酸素発生電極10には、白抜き矢印の方向から光が照射される場合が多く、その場合、光触媒12の集電層14とは反対側の表面が受光面となる。
なお、図1の態様では、集電層14上に光触媒12が形成されているが、酸素発生電極の他の実施形態として、図2に示すように、酸素発生電極100が、さらにコンタクト層16を有していてもよい。具体的には図2に示すように、酸素発生電極100は、光触媒12と集電層14との間にコンタクト層16を有する。
以下、酸素発生電極を構成する各部材について詳述する。
<光触媒>
光触媒は、後述する集電層の一方の面上に配置される。光触媒は、集電層の一方の面の少なくとも一部の上に形成されていればよい。
光触媒は、集電層上で層状に配置された光触媒層を構成していてもよい。ここで、光触媒層には、集電層上で複数の光触媒粒子が連続して存在するような形態や、集電層上で複数の光触媒粒子が非連続に存在する形態も含まれる。
光触媒は遷移金属化合物であることが好ましく、この場合には遷移金属化合物は非遷移金属種を含むこととなる。
光触媒としては、具体的には、
TiO、WO、BiWO、BiMoO、In(ZnO)、PbBiNb、BiVO、AgVO、AgLi1/3Ti2/3、および、AgLi1/3Sn2/3などの酸化物、ならびに、これらの酸化物がCr、Ni、Sb、Nb、Th、および、Rhから選択される少なくとも1種のドーパントでドープされたもの;
LaTiON、CaNbON、BaNbON、SrNbON、LaNbON、TaON、CaTaON、SrTaON、BaTaON、LaTaON、YTa、Zr1+xGeN、Ga1−xZn1−xなどのオキシナイトライド化合物;
Ta、GaN、および、Geなどのナイトライド化合物、ならびに、これらのナイトライド化合物がMgおよびZrの少なくとも1種のドーパントでドープされた化合物;
SmTi、および、LaTiAgSなどのオキシサルファイド化合物;
LaTiAgSeなどのオキシセレナイド化合物;
LaTiCu(S,Se1−x、および、LaTiAg(S,Se1−xなどの、SおよびSeが任意の割合で混在したカルコゲナイド化合物などが挙げられる。
光触媒は、Ti、Ta、Nb、WおよびLaからなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属種を含む遷移金属化合物であることが好ましい。
上記光触媒を構成する材料としては、可視光応答型光触媒であることが好ましく、オキシナイトライド化合物、ナイトライド化合物、オキシサルファイド化合物、または、オキシセレナイド化合物がより好ましく、オキシナイトライド化合物、ナイトライド化合物、または、オキシサルファイド化合物がさらに好ましい。
ここで、光触媒を構成する材料としてオキシナイトライド化合物を用いた場合、酸化物を用いた場合と比較して、酸素発生電極のオンセットポテンシャルが悪くなる傾向にある。しかしながら、本発明においては、第1金属酸化物および第2金属酸化物を含有する助触媒の作用により、オキシナイトライド化合物を用いた場合であっても、オンセットポテンシャルを良化することができる。したがって、オキシナイトライド化合物は、本発明の効果が顕著に表れるという点で好ましく使用できる。
上記光触媒は、従来公知の方法により合成することができる。
なかでも、光触媒としては、TaON、Ta、LaTiON、BaNbON、BaTaON、または、CaTaONが好ましく、BaNbON、または、BaTaONがより好ましい。これらの光触媒には、他の金属がドープされていてもよい。
光触媒の形状は特に制限されず、柱状、粒子状、平板状などが挙げられる。
光触媒が粒子状である場合には、光触媒粒子の一次粒子の平均粒子径は特に制限されないが、光電変換効率が高いことから、下限としては1nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましく、上限としては500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましく、100μm以下が特に好ましく、50μm以下が最も好ましい。
ここで、一次粒子とは、粉体を構成する最小単位の粒子を指し、平均粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)またはSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察された任意の100個の光触媒粒子の粒径(直径)を測定し、それらを算術平均したものである。なお、粒子形状が真円状でない場合は、長径を測定する。また、粒子形状が不定形(非球形)である場合には、球形近似した球の直径を測定する。
なお、TEMには、透過型電子顕微鏡「JEM−2010HC」(商品名、日本電子社製)に準ずる装置を使用できる。また、SEMには、超高分解能電解放出型走査電子顕微鏡「SU8010」(商品名、日立ハイテクノロジーズ社製)に準ずる装置を使用できる。
光触媒が柱状である場合、支持体(例えば、集電層)表面の法線方向に沿って延びる柱状の光半導体であることが好ましい。柱状の光半導体の直径は、特に限定されるものではないが、通常、25nm以上が好ましく、より好ましくは50nm以上であり、通常、20μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下である。
光触媒が層状である場合の厚みは特に制限されないが、水分解効率がより優れる点で、0.01〜3.0μmが好ましく、0.5〜2.0μmがより好ましい。
<集電層>
集電層は、上記光触媒にて生成した電子を流す役割を有する。なお、後述するように、集電層上には、後述する光触媒が形成される。
集電層の形状は、特に制限されず、例えばパンチングメタル状、メッシュ状、格子状、または、貫通した細孔を持つ多孔体のようなものであってもよい。
集電層を構成する材料は、導電特性を示す材料であれば特に制限されず、例えば、金属の単体、これらの合金、酸化物、窒化物もしくは酸窒化物、または、炭素(C)などが挙げられる。
集電層を構成する材料としては、具体的には、Au、Al、Cu、Cd、Co、Cr、Fe、Ga、Ge、Hg、Ir、In、Mn、Mo、Nb、Ni、Pb、Pd、Pt、Ru、Re、Rh、Sb、Sn、Ta、Ti、V、W、および、Znなどの金属、ならびに、これらの合金;TiO、ZnO、SnO、Indium Tin Oxide(ITO)、SnO、TiO(:Nb)、SrTiO(:Nb)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、CuAlO、CuGaO、CuInO、ZnO(:Al)、ZnO(:Ga)、および、ZnO(:In)などの酸化物;TiN、Ta、GaN、GaN(:C)、GaN(:Si)、および、GaN(:Sn)などの窒化物;TaONなどの酸窒化物;ならびに、Cが挙げられる。
なお、本明細書において、α(:β)と記載がある場合、α中にβがドープされているものを表す。例えば、TiO(:Nb)は、TiO中にNbがドープされていることを表す。
なかでも、集電層が金属またはその合金である場合において、集電層中の材料の酸化が起きにくく、導電特性がより維持される点、安価であり、適度な硬さを持つという点から、TiまたはSnであることが好ましい。
集電層の抵抗値は特に制限されないが、酸素発生電極の特性(光電流密度)がより優れる点で、10.0Ω/□以下であることが好ましく、6.0Ω/□以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、0.01Ω/□以上が好ましい。
集電層の抵抗値の測定方法は、ガラス基板上に製膜した集電層の抵抗値を4端子4探針法(三菱化学アナリテック製ロレスタGP MCP-T610型、プローブPSP)で測定する。
集電層の厚みは特に制限されないが、導電特性およびコストのバランスの点から、0.1μm〜10mmが好ましく、1μm〜2mmがより好ましい。
<コンタクト層>
コンタクト層は、半導体または良導体を含む層である。コンタクト層は、オーミック接合をとるような金属を選択して用いることで、ショットキー障壁の発生を防止したり、ショットキー障壁が発生した場合であってもこれを低減させて、電子伝導を速やかに行わせたりするなどの特性を持つ。
なお、コンタクト層は、上記特性以外にも、集電層の強度補強層としての役割を有する場合もある。
コンタクト層は、光触媒と上記集電層との間に配置してもよい任意の層である。
半導体または良導体としては、良好な電気伝導性を示し、かつ、水分解反応の逆反応(具体的には酸素発生電極で酸素を消費する反応)、光触媒の水分解反応の対となる反応(具体的には酸素発生電極で水素生成反応、あるいは、電解質溶液を含めた反応)を触媒しない材料を使用することが好ましい。
コンタクト層を構成する材料としては、Au、Al、Cu、Cd、Co、Cr、Fe、Ga、Ge、Hg、Ir、In、Mn、Mo、Nb、Ni、Pb、Pd、Pt、Ru、Re、Rh、Sb、Sn、Ta、Ti、V、W、および、Znなどの金属、ならびに、これらの合金;TiN、Ta、GaN、GaN(:C)、GaN(:Si)、および、GaN(:Sn)などの窒化物;TaONなどの酸窒化物;TiO、ZnO、SnO、Indium Tin Oxide(ITO)、SnO、TiO(:Nb)、SrTiO(:Nb)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、CuAlO、CuGaO、CuInO、ZnO(:Al)、ZnO(:Ga)、および、ZnO(:In);ならびに、Cなどが挙げられる。
なかでも、コンタクト層を構成する材料としては、金属が好ましく、Ta、Zr、Nb、MoまたはTiであることがより好ましく、Ta、ZrまたはNbであることがさらに好ましい。
コンタクト層の厚みは特に制限されないが、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。また、上限値は、1mm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましく、800nm以下であることがさらに好ましく、700nm以下であることが特に好ましい。
<助触媒>
本発明の酸素発生電極において、助触媒は光触媒の少なくとも一部に担持されている。助触媒は、酸素生成過電圧が0.4V以下の第1金属酸化物と、酸素生成過電圧が0.4V超の第2金属酸化物と、を含む。助触媒は、光触媒の表面の少なくとも一部に存在していればよい。
助触媒は、光触媒上で層状に存在する形態であってもよいし、光触媒上で非連続に存在する形態(例えば、島状の形態など)であってもよい。
本発明の酸素発生電極において、光触媒に担持された助触媒の成分である第2金属酸化物の表面の少なくとも一部は、第1金属酸化物で覆われていることが好ましい。第2金属酸化物が光触媒に接しており、第2金属酸化物の表面のうち、光触媒に接していない表面の少なくとも一部が、第1金属酸化物で覆われている形態であることが好ましい。これにより、第1金属酸化物が第2金属酸化物を介して光触媒に、より良好に担持されるので、第1金属酸化物によるオンセットポテンシャルの良化の効果がより良好に発揮される。
このような形態について、図3を用いて具体的に説明する。図3において、第2金属酸化物30bが光触媒12上に形成されており、第1金属酸化物30aが、第2金属酸化物30b上に形成されている。このように、光触媒12、第2金属酸化物30bおよび第1金属酸化物30aが、この順に積層されていることで、酸素発生電極がより良好なオンセットポテンシャルを示す。
第1金属酸化物30aおよび第2金属酸化物30bを含む助触媒30は、光触媒12の表面の少なくとも一部に存在する。より具体的には、第2金属酸化物30bは、光触媒12の表面の一部に接して存在しており、第2金属酸化物30bの表面のうち光触媒12に接していない表面が、第1金属酸化物30aで覆われている。
図3の例では、第2金属酸化物30bが光触媒12の表面の一部のみに存在しているが、光触媒12の表面の全体に存在していてもよい。また、第1金属酸化物30aが第2金属酸化物30bの表面のうち光触媒12に接していない表面の全体を覆っているが、第2金属酸化物30bの表面のうち光触媒12に接していない表面の一部を覆うものであってもよい。
特に、第2金属酸化物30bが光触媒12の表面の一部のみに存在し、第1金属酸化物30aが第2金属酸化物30bの表面の一部のみに存在すること態様が好ましい。
なお、第1金属酸化物30aは、第2金属酸化物30bを介さずに光触媒12の表面に存在していてもよい。
本発明の酸素発生電極において、第2金属酸化物が酸素生成過電圧の異なる2種以上の金属酸化物を含有し、2種以上の金属酸化物が、酸素生成過電圧が高い方から順に、光触媒側に積層されていることが好ましい。これにより、酸素発生電極がより一層良好なオンセットポテンシャルを示す。
このような形態の一例について、図4を用いて具体的に説明する。
図4に示すように、第2金属酸化物30bは、第2金属酸化物層30b−1と、第2金属酸化物層30b−2と、を有する。第2金属酸化物層30b−1は、光触媒12の表面の少なくとも一部に形成されており、第2金属酸化物層30b−2は、第2金属酸化物層30b−1の表面を覆うように形成されている。ここで、第2金属酸化物層30b−1の酸素生成過電圧は、第2金属酸化物層30b−2の酸素生成過電圧よりも高い。
また、第1金属酸化物層30aは、第2金属酸化物層30b−2の表面の少なくとも一部を覆うように形成されている。
図4の例では、第2金属酸化物30b(第2金属酸化物層30b−1)が光触媒12の表面の一部のみに存在しているが、光触媒12の表面の全体に存在していてもよい。また、第1金属酸化物30aが第2金属酸化物30b(第2金属酸化物層30b−2)の表面のうち光触媒12に接していない表面の全体を覆っているが、第2金属酸化物30bの表面のうち光触媒12に接していない表面の一部を覆うものであってもよい。
特に、第2金属酸化物30bが光触媒12の表面の一部のみに存在し、第1金属酸化物30aが第2金属酸化物30bの表面の一部のみに存在すること態様が好ましい。
なお、第1金属酸化物30aは、第2金属酸化物30bを介さずに光触媒12の表面に存在していてもよい。
第1金属酸化物には、酸素生成過電圧が0.4V以下の金属酸化物が用いられる。第1金属酸化物の酸素生成過電圧の下限値は、特に限定されず、一般に、0.1V以上である。
第1金属酸化物は、具体的には、酸化ルテニウム(RuOx)、酸化イリジウム(IrOx)、コバルト鉄複合酸化物(CoFeOx)、酸化ロジウム(RhOx)、ニッケル鉄複合酸化物(NiFeOx)および酸化白金(PtOx)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、より酸素生成過電圧が低いという観点とコストの観点から、酸化イリジウム(IrOx)、酸化ルテニウム(RuOx)、コバルト鉄複合酸化物(CoFeOx)およびニッケル鉄複合酸化物(NiFeOx)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、酸化イリジウム(IrOx)および酸化ルテニウム(RuOx)の少なくとも一方を含むことがさらに好ましく、酸化イリジウム(IrOx)であることが特に好ましい。
第1金属酸化物は、上記酸化物の混合物またはアロイであってもよい。
第2金属酸化物には、酸素生成過電圧が0.4V超の金属酸化物が用いられる。第2金属酸化物の上限値は特に限定されない。
第2金属酸化物は、具体的には、酸化コバルト(CoOx)、酸化鉄(FeOx)、および、酸化ニッケル(NiOx)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、より酸素生成過電圧が低いという観点から、酸化コバルト(CoOx)を含むことがより好ましい。
第1金属酸化物と第2金属酸化物との好ましい組み合わせは、第2金属酸化物が酸化コバルトおよび酸化鉄の少なくとも一方を含み、第1金属酸化物が酸化ルテニウム、酸化イリジウムおよびコバルト鉄複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含む態様であり、より好ましくは、第2金属酸化物が酸化コバルトであり、第1金属酸化物が酸化ルテニウムまたは酸化イリジウムである態様である。この場合には、オンセットポテンシャルの良化の効果がより一層良好に発揮される。
ここで、本発明において、金属酸化物の酸素生成過電圧とは、以下のようにして測定された電圧値を指す。作用極として基板(酸化インジウムスズ(ITO))の表面に上記金属酸化物を固定したものを準備し、対極にPtリング、参照極に飽和カロメル電極を用いて、回転円盤電極ボルタンメトリー(Rotating disk electrode voltammetry、RDEV)法により測定する。酸素飽和状態の1M NaOH溶液中で、電極の回転速度1600rpm、掃引速度0.01V/sで電位掃引した際に、電流値が10mA/cmとなる電位を求め、この電位で2時間保持した後の電圧値を酸素生成過電圧とする。なお、測定温度は、室温(23℃)とする。
第1金属酸化物の酸素生成過電圧と、第2金属酸化物の酸素生成過電圧と、の差((第2金属酸化物の酸素生成過電圧)−(第1金属酸化物の酸素生成過電圧))は、0.05V以上であることが好ましい。
第1金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM1、第2金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM2とした場合に、M1/M2は、0.01〜10が好ましく、0.5〜2がより好ましい。この範囲内にあることで、オンセットポテンシャルの良化の効果がより良好に発揮される傾向にある。
上記モル量は、ICP発光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分析法)を測定原理とするICPS−8100(製品名、株式会社島津製作所製)に準じた装置を用いて測定される。具体的には、本発明の酸素発生電極に含まれる第1金属酸化物、第2金属酸化物および光触媒を適切な溶解液(塩酸、硝酸、またはフッ酸など)で溶解させて、それを適切な溶解液(例えば塩酸、硝酸、またはフッ酸など)を用いて溶解させて、定量測定を行う。
光触媒が遷移金属化合物である場合において、第1金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM1、遷移金属化合物に含まれる遷移金属種のモル量をM3とした場合に、M1/M3は、0.001〜0.3が好ましく、0.01〜0.1がより好ましい。この範囲内にあることで、オンセットポテンシャルの良化の効果がより良好に発揮される傾向にある。
上記M1およびM3の測定方法は、第2金属酸化物の代わりに遷移金属化合物を測定対象にする以外は、上記M1およびM2の測定方法と同様である。
光触媒が遷移金属化合物である場合において、第2金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM2と、遷移金属化合物に含まれる遷移金属種のモル量をM3とした場合に、M2/M3は、0.001〜0.3が好ましく、0.05〜0.2がより好ましい。この範囲内にあることで、オンセットポテンシャルの良化の効果がより良好に発揮される傾向にある。
上記M2およびM3の測定方法は、第1金属酸化物の代わりに遷移金属化合物を測定対象にする以外は、上記M1およびM2の測定方法と同様である。
第1金属酸化物の厚みは、0.5〜10nmが好ましく、0.5〜2nmがより好ましい。
第2金属酸化物の厚みは、0.5〜10nmが好ましく、0.5〜2nmがより好ましい。
<その他の層>
本発明の酸素発生電極は、上記層以外の他の層を有していてもよい。例えば、後述する粒子転写法により酸素発生電極を作製する場合は、集電層の光触媒側とは反対側の表面上に、電極の機械的強度を補強するために基材(後述する第2の基材に該当)を有していてもよい。また、集電層と基材との間には接着層を有していてもよい。
なお、第2の基材としては、例えば、石英板、ガラス板、Ti板およびCu板などを用いることができる。
[酸素発生電極の製造方法]
本発明の酸素発生電極の製造方法は特に制限されず、上述した態様の酸素発生電極が製造できればよいが、形成される酸素発生電極の特性(光電流密度、暗電流)がより優れるなどの点で、以下の図5(図5A〜図5E)を用いて説明する製造工程を備えることが好ましい。なお、図5は、酸素発生電極100の製造方法が備える工程の一部を示すが、酸素発生電極100の製造方法は、さらに図5では示していない後述する助触媒を形成する工程を必須に備える。なお、図5においてはコンタクト層16を設ける場合を示したが、コンタクト層16を設けない場合は、後述する工程B(コンタクト層形成工程)を省略すればよい。
図5は、本発明の酸素発生電極の製造工程を説明するための概略図である。
図5に示す製造方法は、光触媒を形成する工程S1と、光触媒の一方の面に、半導体または良導体を含むコンタクト層を形成する工程S2と、コンタクト層の光触媒側とは反対側の面に集電層を形成する工程S3と、を少なくとも備える。
さらに、本発明の酸素発生電極の製造工程は、図5には示していない助触媒を形成する工程S5を必須に備える。
本発明の酸素発生電極の製造方法は、後述する金属線接着工程と、エポキシ樹脂被覆工程と、を備えていてもよく、これらの工程は、助触媒を形成する工程の前または後に実施されることが好ましい。
本発明の酸素発生電極の製造方法は、上記工程S3の後に、非接触光触媒を除去する工程S4を実施してもよい。また、工程S4に関しては、後述するような、補強基材形成工程S4aまたは洗浄工程S4cを備えることが好ましい。
(工程S1:光触媒形成工程)
工程S1は、光触媒(光触媒層)を形成する工程である。光触媒を形成する方法は特に制限されないが、例えば、光触媒粒子とバインダーとの混錬、加圧成型により光触媒を形成する方法や、第1の基材上に光触媒を積層する方法が挙げられる。特に、バインダーを使用せずに強固な層を形成することができ、かつ、光触媒とコンタクト層(または集電層)との間に不純物が混入しがたいことから、第1の基材上に積層することによって光触媒(光触媒層)を形成する方法が好ましい。
図5では、第1の基材を用いる態様について詳述する。より具体的には、本工程では、図5Aに示すように、第1の基材20上に光触媒12を形成する。なお、光触媒12には、光触媒粒子18が含まれる。
本工程で使用される第1の基材としては、光触媒との反応に不活性であり、化学的安定性、耐熱性に優れる材料を選択することが好ましく、例えば、ガラス板、Ti板、Cu板が好ましい。
なお、光触媒が配置される第1の基材の表面は、研磨処理および/または洗浄処理が施されていてもよい。
光触媒の形成方法は特に制限されないが、例えば、光触媒粒子を溶媒に分散させて懸濁液として、第1の基材上に懸濁液を塗布して、必要に応じて乾燥することにより行うことができる。
懸濁液中の溶媒としては、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類が挙げられる。なお、溶媒に光触媒粒子を分散させる場合、超音波処理を施すことで、光触媒粒子を溶媒中に均一に分散させることができる。
第1の基材上に懸濁液を塗布する方法は特に制限されず、例えば、スプレー法、ディップ法、スキージ法、ドクターブレード法、スピンコート法、スクリーンコート法、ロールコーティング法、インクジェット法などの公知の方法が挙げられる。また、懸濁液を入れた容器の底面に第1の基材を配置しておき、第1の基材上に光触媒粒子を沈降させた後に溶媒を拭き取る方法でもよい。
塗布後の乾燥条件としては、溶媒の沸点以上の温度に保持するか、短時間での溶媒が揮発する程度の温度(例えば、15〜200℃程度)に加熱すればよい。
光触媒と、コンタクト層または集電層との間の導電パスの形成が阻害されないように、光触媒にはバインダーなど他の成分は含まれないほうが好ましい。特に、有色または絶縁性のバインダーは含まれない方が好ましい。
(工程S2:コンタクト層形成工程)
工程S2は、工程S1で形成された光触媒の第1の基材とは反対側の面に、半導体または良導体を含むコンタクト層を形成する工程である。より具体的には、本工程では、図5Bに示すように、光触媒12上にコンタクト層16を形成する。
コンタクト層を形成する方法は、蒸着法やスパッタ法が採用される。
(工程S3:集電層形成工程)
工程S3は、工程S2で形成されたコンタクト層の光触媒側とは反対側の面に集電層を形成する工程である。より具体的には、本工程では、図5Cに示すように、コンタクト層16上に集電層14を形成する。
集電層を形成する方法は、蒸着法やスパッタ法が採用される。
(工程S4:非接触光触媒除去工程)
工程S4は、コンタクト層と接触していない光触媒粒子を除去する工程である。除去方法は特に制限されないが、例えば、超音波洗浄処理等の洗浄液を用いて光触媒粒子を除去する洗浄工程S4cが適用可能である。
洗浄液としては、例えば、水、電解質水溶液;メタノール、エタノールなどのアルコール:ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;フルオロカーボンなどのハロゲン化物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物などが挙げられる。なかでも、水、または、メタノール、エタノール、テトラヒドロフランなどの水混和性の溶媒が好ましい。
なお、集電層の機械的強度が低く、工程S4において酸素発生電極の破損が懸念される場合には、集電層14のコンタクト層16側とは反対側の面に第2の基材24を設ける、補強基材形成工程S4aを経て、洗浄工程S4cに供することが好ましい。
第2の基材を設ける方法は特に制限されないが、例えば、カーボンテープなどの接着剤を用いて、集電層14と第2の基材24とを接着する方法が挙げられる。すなわち、図5Dに示すように、集電層14のコンタクト層16側とは反対側の面に、接着層22を介して、第2の基材24を貼り付けることができる。
また、上記工程S1において、第1の基材20上に光触媒粒子を積層した場合、第1の基材20を除去する基材除去工程S4bを経た後(好ましくは、図5Eに示すように、補強基材形成工程S4aに引き続き基材除去工程S4bを経た後)、コンタクト層16と接触していない光触媒粒子を洗浄工程S4cにより除去することが好ましい。
基材除去工程S4bにて実施される第1の基材20の除去方法は特に制限されないが、例えば、第1の基材20を機械的に除去する方法や、水に浸漬して光触媒粒子積層部を湿潤させ、光触媒粒子間の結合を弱めて第1の基材20を除去する方法、酸またはアルカリ等の薬剤で第1の基材20を溶解させて除去する方法、第1の基材20を物理的に破壊して除去する方法などが挙げられるが、光触媒の損傷の可能性が低い点で、第1の基材20を剥離する方法が好ましい。なお、基材除去工程S4bにより、コンタクト層16と非接触の光触媒粒子の一部を第1の基材20とともに物理的に除去することが可能である(図5E)。
一方で、コンタクト層16と接触している光触媒粒子については、コンタクト層16と物理的にある程度強固に結合しているため、第1の基材20を除去する際も、脱落することなくコンタクト層16側に残ることとなる。この場合、基材除去工程S4bでは除去しきれなかった非接触の光触媒粒子については、洗浄工程S4cにより、さらの除去処理に供されることが好ましい。
(工程S5:助触媒形成工程)
本発明の酸素発生電極の製造方法は、光触媒上に助触媒を形成する助触媒形成工程(工程S5)を備える。以下に助触媒形成工程の一例を示すが、以下の例に限定されず、公知の方法を用いることができる。
なお、以下の助触媒形成工程は、2回以上繰り返して行ってもよい。すなわち、光触媒上に第2金属酸化物を担持させた後、第2金属酸化物上に第1金属酸化物を形成してもよい。また、上述したように第2金属酸化物が積層構造である場合には、光触媒上に第2金属酸化物層30b−1(上記図4参照)を形成(担持)させた後、第2金属酸化物層30b−1上に第2金属酸化物層30b−2(上記図4参照)に形成してもよい。
(工程S5a:助触媒形成工程a)
助触媒形成工程a(工程S5a)は、助触媒(上述した第1金属酸化物および第2金属酸化物の少なくとも一方)となる金属化合物(金属原子を含む化合物)を含む溶液と光触媒とを接触させる処理を含む。これにより、光触媒上に助触媒が形成(担持)される。また、上記処理の後、必要に応じて加熱処理を施してもよい。
具体的には、本工程は、光触媒合成後に、助触媒の金属化合物を含む溶液に光触媒を懸濁させ、溶媒を徐々に蒸発させながら、光触媒表面に助触媒金属種を吸着させることにより行うことができ、その後加熱処理を行って、光触媒表面に助触媒を固定化することができる。これにより、助触媒が予め担持された光触媒を第1の基材に積層することができる。
本工程によれば、助触媒の担持量の制御が容易になるという利点がある。また、この場合には、混合物に含まれる光触媒が酸化されない雰囲気下で加熱処理を施すことが好ましい。
金属化合物とは、金属原子を含む化合物であり、上記助触媒の前駆体である。
金属化合物としては、金属原子が含まれ、金属酸化物または金属原子となりえる化合物であればその種類は特に制限されない。例えば、金属原子を含む塩(例えば、硝酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、ホウ酸塩など)、金属原子を含む錯体(例えば、アセチルアセトナート、チオラート、チオカルボキシラート錯体、アンミン錯体、各種アミン錯体、ポルフィリン錯体、各種ニトリル錯体など)、水酸化物、ハロゲン化物、酸化物、金属などが挙げられる。なかでも、硝酸塩または金属アンミン錯体が熱分解性の観点から好ましい。
光触媒と金属化合物との混合方法は特に制限されず、例えば、光触媒が分散した溶液(懸濁液)と金属化合物を含む溶液とを混合する方法や、光触媒と金属化合物とを溶媒中に添加して、混合する方法などが挙げられる。
(工程S5b:助触媒形成工程b)
助触媒形成工程5Sの別の態様としては、助触媒形成工程b(工程S5b)が挙げられる。助触媒形成工程bは、少なくとも上記工程S1〜S3を経て得られた積層体を、助触媒に含まれる金属原子を含有する液体に浸漬する浸漬処理を含む。
助触媒に含まれる金属原子を含有する液体としては、金属アンミン錯体水溶液が挙げられる。
(工程S5c:助触媒形成工程c)
助触媒形成工程5Sの別の態様としては、助触媒形成工程c(工程S5c)が挙げられる。助触媒形成工程cは、少なくとも上記工程S1〜S3を経て得られた積層体を、助触媒に含まれる金属原子を含有する電解質溶液中に浸漬して電着を実施する電着処理を含む。
電着処理は、上記積層体を助触媒に含まれる金属原子を含有する電解質溶液に浸漬し、例えば、ポテンショスタットを用いた3電極系用いて行うことができる。より具体的には、電気化学セルとして平面窓付きのセパラブルフラスコを用い、参照極に飽和Ag/AgCl電極、対極にPtワイヤーを用いることができる。電解液としては、例えば、リン酸カリウム(KPi)緩衝液(ホウ酸水溶液を調製し、KOHでpH=13.0に調整したもの)に硝酸コバルトを溶解させた溶液が挙げられる。電気化学セル内部はアルゴンで満たし、十分にバブリングを行うことによって溶存する酸素、二酸化炭素を除去することが好ましい。このようにポテンショスタットを用い、一定電位で保持することにより、助触媒(第1金属酸化物および/または第2金属酸化物)を形成する。
電着処理(助触媒形成工程c)は、後述する金属線接着工程およびエポキシ樹脂被覆工程の後に実施されることが好ましい。
電着処理の時間は特に限定されず、所望の助触媒の厚みに応じて設定される。具体的には、50nmの厚みの助触媒を電着により形成した際の電着時間を予め計測して、電着レート(電着時間/膜厚)を算出した後、「電着レート」と「所望の助触媒の厚み(助触媒の狙い膜厚)」との積から、電着時間が求められる。
(工程S5d:助触媒形成工程d)
助触媒形成工程5Sの別の態様としては、助触媒形成工程d(工程S5d)が挙げられる。助触媒形成工程dは、スパッタ法により助触媒に含まれる金属原子を含む膜を上記光触媒上に形成するスパッタ処理と、このスパッタ処理により形成された膜に含まれる金属原子を酸化させる酸化処理と、を含む。
スパッタ処理は、公知の条件にしたがって行うことができる。
(その他の助触媒形成工程)
助触媒形成工程は、上記金属化合物を昇華させて、光触媒上に担持させる(蒸着する)方法によっても実施できる。
上述した助触媒形成工程により、光触媒上に第1金属酸化物および第2金属酸化物を含む助触媒が形成される。ここで、上述した助触媒形成工程や助触媒形成工程に含まれる各処理はそれぞれ、組み合わせて行ってもよい。具体的には、助触媒形成工程bに含まれる浸漬処理によって光触媒上に第2金属酸化物を設けた後、上述した助触媒形成工程dを実施して第1金属酸化物を設ける方法が挙げられる。また、助触媒形成工程cに含まれる電着処理によって光触媒上に第2金属酸化物を設けた後、上述した助触媒形成工程dを実施して第1金属酸化物を設ける方法が挙げられる。
(その他の工程)
本発明の酸素発生電極の製造方法は、金属線接着工程およびエポキシ樹脂被覆工程を備えていることが好ましい。これらの工程は、助触媒を形成する工程の前または後に実施される。
金属線接着工程は、上記積層体に対して金属線を接着する工程であり、例えば金属インジウムを用いて、ハンダ付けすることができる。金属線としては、樹脂被膜付きの金属線を用いてもよい。
エポキシ樹脂被覆工程は、露出金属部分からのリークを抑制するために、上記積層体の光触媒以外の表面をエポキシ樹脂で被覆する工程である。エポキシ樹脂としては、公知のものを用いることができる。
[モジュール]
本発明のモジュールは、上述した酸素発生電極を備える。
光触媒モジュールは、例えば、水が貯留されたセルと、セル内の水に浸漬されるように配置された酸素発生電極および水素発生電極と、酸素発生電極および水素発生電極に接続され、酸素発生電極をアノード、水素発生電極をカソードとして電圧を印加する電圧印加手段と、が設けられている。本発明のモジュールは、水分解用の光触媒モジュールとして好適に用いられる。
酸素発生電極に光を照射することによって、水の分解が進行して、酸素発生電極の表面に酸素が生成され、水素発生電極の表面上に水素が生成される。
照射される光としては、光分解反応を生じさせうる光であればよく、具体的には、太陽光などの可視光、紫外光、赤外光などが利用でき、そのなかでも、その量が無尽蔵である太陽光が好ましい。
以下、実施例を用いて、本発明の酸素発生電極について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
(合成例1:BaTaON光触媒の合成)
酸化タンタル(株式会社高純度化学研究所製)0.88gと炭酸バリウム(関東化学株式会社製)0.79gをメノウ乳鉢で粉砕混合した後にアルミナ製ボートに入れ、ボックス型電気炉で1000℃、10時間焼成し酸化物前駆体を得た。この前駆体を電気管状炉にて、100%アンモニア気流下(200ml/min)にて、900℃で10時間窒化処理した。得られた粉末は、メノウ乳鉢で解砕した。XRD(X‐ray diffraction)測定より、得られた粉末がバリウムタンタルオキシナイトライド(BaTaON)であることを確認した。なお、XRD測定には、株式会社リガク製、X線回折装置「UltimaIII」(製品名)を用い、以下の実施例および比較例においても同様の装置を用いた。
(積層体Aの作製)
上記合成例1にて製造した光触媒粉末(光触媒粒子)を低沸点有機溶剤(溶媒:エタノール)に懸濁させて、懸濁液を作製した。なお、懸濁液中における光触媒粉末(BaTaON)の濃度は3.9質量%であった。
次に、得られた懸濁液を基材(石英ガラス)上に塗布し、乾燥させて、基材上に光触媒層(厚み:0.5〜2.0μm)が配置された光触媒層付き基材を作製した。
上記光触媒層付き基材の光触媒層上に、コンタクト層となるジルコニウム(Zr)層(厚み70nm)をスパッタ法にて積層した。装置はアルバック社製MPS−254を使用して、成膜レートが28nm/sとなるようにして行った。
次に、コンタクト層上に、集電層となるチタン(Ti)層(5.0μm)をスパッタ法にて積層した。装置はアルバック社製MPS−254を使用して、成膜レートが5nm/sとなるようにして行った。続いて、カーボンテープを用いて集電層上にガラス基材(ソーダライムガラス)を接着した。その後、基材(石英ガラス)上より積層体A(光触媒層/コンタクト層/集電層/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス)の積層体)を剥離させ、純水中で1時間超音波洗浄することで、積層体Aを得た。
そして、インジウムハンダを用いて、樹脂被覆付の金属線を積層体Aの集電層に接着し、その後、光触媒層以外の金属露出部分(コンタクト層および集電層)をエポキシ樹脂で被覆した。
(助触媒形成1−1)
続いて、pH7の0.1M−KHPO、0.1M−KHPO混合溶液に10mMのCo(NO)3・6HOを溶解させ、この中に作製した積層体Aを浸漬した。積層体Aを作用極、Ag/AgCl電極を参照極、Pt線を対極とした三電極式の電気化学測定方法にて1.1V(vs Ag/AgCl)を100秒間印加して、酸化コバルト助触媒(第2金属酸化物)を積層体Aの光触媒層上に電着法で担持した。その後、蒸留水で洗浄した。
(助触媒形成1−2)
次に、得られた酸化コバルト助触媒(第2金属酸化物)が担持された積層体Aを用いて、酸化コバルト助触媒上に酸化イリジウム助触媒(第1金属酸化物)をスパッタ法により形成した。
装置は、(株)真空デバイス社製 MSP−30Tを使用した。
また、成膜は、成膜レートが0.0625nm/sとなる条件で、金属Ir(イリジウム)の厚みが2nmとなる様に金属Irを積層した。ターゲットサイズは50mmφ、電流値50mA、アルゴン圧0.8Pa、ターゲット/基板間距離(TS距離)は75mmであった。
続いて、成膜した金属Irに対し、大気暴露と電気化学測定時の電圧印加によって、酸化イリジウム(IrOx)とした。
この様にして、実施例1の酸素発生電極(IrOx/CoOx/BaTaON/Zr/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を得た。
<実施例2>
助触媒であるIrOx(第1金属酸化物)の厚みを0.5nmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、実施例2の酸素発生電極を製造した。
<実施例3>
助触媒であるCoOx(第2金属酸化物)の製造時の電着時間を500秒に変更した以外は、実施例2と同様の手順に従って、実施例3の酸素発生電極を製造した。
<実施例4>
助触媒であるCoOx(第2金属酸化物)の製造時の電着時間を1000秒に変更した以外は、実施例2と同様の手順に従って、実施例4の酸素発生電極を製造した。
<実施例5>
(合成例2:BaNbON)
NbCl(高純度化学研究所製、3N、2.93g)、BaCO(関東化学製、3N、2.68g)、クエン酸(和光純薬製、23.5g)、エチレングリコール(和光純薬製、試薬特級、30.3g)およびメタノール(和光純薬製、99.5%、39.1g)をビーカーに入れ混合し(Ba/Nb(モル比)=1.25)、ホットスターラー上で均一に撹拌を行い、錯化を行った。続いて350℃のマントルヒーターで、得られた混合物を350℃で3時間加熱し、炭化させた。
次に、アルミナ製ボート上でさらに500℃で5時間加熱し、白色の固体を得た。さらに、得られた固体を700℃で2時間焼成し、さらにその後800℃で3時間焼成した。得られた固体がBaNb15であることはXRDにて確認した。得られたBaNb15に対して、電気管状炉にて、100%アンモニア気流下(500ml/min)にて850℃で50時間窒化処理を施した。その後、生成物の表面を1M硝酸で洗浄処理し、バリウムニオブオキシナイトライド(BaNbON)を得た。
バリウムニオブオキシナイトライドであることはXRDにて確認した。また、拡散反射スペクトル測定(日本分光株式会社製、紫外可視近赤分光光度計「V−670」(製品名))より、バリウムニオブオキシナイトライドの吸収端は740nmであることが確認された。
なお、上記Ba/Nb(モル比)は、BaCO由来のバリウム原子のモル量と、NbCl由来のニオブ原子のモル量との比である。
(積層体Bの作製)
合成例2で製造した光触媒粉末(光触媒粒子)を低沸点有機溶剤(溶媒:イソプロピルアルコール)に懸濁させて、懸濁液を作製した。なお、懸濁液中における光触媒粉末(BaNbON)の濃度は1.92質量%であった。次に、得られた懸濁液を基材(フロート板ガラス(FLガラス))上に塗布し、乾燥させて、基材上に光触媒層が配置された光触媒層付き基材を作製した。
上記光触媒層付き基材の光触媒層上に、コンタクト層となるチタン層(Ti)(厚み600nm)を蒸着法にて積層した。装置はアルバック機工社製VPC-260Fを使用して、成膜レートが5nm/sとなるようにして行った。
次に、コンタクト層上に、集電層となる錫層(Sn)(4.4μm)を蒸着法にて積層した。装置はアルバック機工社製VPC-260Fを使用して、成膜レートが5nm/sとなるようにして行った。
次に、カーボンテープを用いて集電層上にガラス基材(ソーダライムガラス)を接着した。その後、基材(FLガラス)を、積層体B(光触媒層、コンタクト層、集電層、カーボンテープ、ガラス基材(ソーダライムガラス))から剥離して、純水中で10分間超音波洗浄することで、積層体Bを得た。
なお、上記で得られた積層体Bにおける光触媒層の厚みは0.5〜2.0μm程度であった。
また、上記蒸着条件と同条件でガラス基板上へ直接成膜した際のチタン層および錫層の抵抗値は、それぞれ2.8Ω/□および0.4Ω/□であった。
(助触媒形成5−1)
20mMアンモニア水溶液と20mM硝酸コバルト水溶液とを各10mlずつ混合させ、28%アンモニア水でpHを8.5に調整したコバルトアンミン錯体溶液を作製した。上記積層体Bを上記コバルトアンミン錯体に1時間浸漬し、純水で洗浄後した後、乾燥させることで、酸化コバルト助触媒(第2金属酸化物)を積層体Bの光触媒上に形成(担持)した。
(助触媒形成5−2)
得られた酸化コバルト助触媒(第2金属酸化物)が担持された積層体Bを用いて、酸化ルテニウム助触媒(RuOx、第1金属酸化物)をスパッタ法により形成した。金属Ru(ルテニウム)の厚みが8nmとなる様に金属Ruを積層した以外は、実施例1と同様の方法で酸化ルテニウム助触媒を形成(担持)した。
そして、インジウムハンダを用いて、樹脂被覆付の金属線を、上記助触媒が形成された積層体Bの集電層に接着し、その後、光触媒層および助触媒以外の金属露出部分(コンタクト層および集電層)をエポキシ樹脂で被覆した。
このようにして、実施例5の酸素発生電極(RuOx/CoOx/BaNbON/Ti/Sn/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を得た。
<実施例6>
助触媒であるRuOx(第1金属酸化物)の厚みを5nmに変更した以外は、実施例5と同様の手順に従って、実施例6の酸素発生電極を製造した。
<実施例7>
助触媒であるRuOx(第1金属酸化物)を10nmに変更した以外は、実施例5と同様の手順に従って、実施例7の酸素発生電極を製造した。
<実施例8>
「助触媒形成1−1」の電着時間を50秒に変更し、「助触媒形成1−2」を以下の「助触媒形成8−2」に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例8の酸素発生電極を製造した。
(助触媒形成8−2)
まず、酸化コバルト助触媒(第2金属酸化物)が担持された積層体Aを準備した(実施例1の「助触媒形成1−1」を参照)。
続いて、FeOx電着溶液として、NaSOを水に溶解させ、濃度0.2Mとした溶液を作製した。その溶液にFeSO・7HOを加えることで、濃度1mMのFe2+溶液を調製した。上記積層体Aを作用極、Ag/AgCl電極を参照極、Pt線を対極とした三電極ガラスセルに、作製したFe2+溶液を入れ、1.4V(vs Ag/AgCl)を印加することで、積層体AのCoOx(第2金属酸化物)上に電着法でFeOxを担持した(FeOxの形成)。なお、電着時間は1秒とした。
FeOxが形成された積層体Aを蒸留水で洗浄した後、これを真空下で300℃に加熱することで、CoOxのコバルト(Co)と、FeOxの鉄(Fe)と、を反応させて、コバルト鉄複合酸化物(CoFeOx)(第1金属酸化物)を形成した。
この様にして、実施例8の酸素発生電極(CoFeOx/CoOx/BaTaON/Zr/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を得た。
<実施例9>
(合成例3:Ta光触媒の合成)
光触媒粉末は酸化物の前駆体をフラックスを用いて窒化することで作製した。
具体的には、まず、酸化物の前駆体として、TaにZrO(NO・2HOとMg(NO・6HOを混ぜたものを用意し、大気雰囲気化で650℃で焼成したものを用意した。
次に、用意した酸化物前駆体をNaCOをフラックスとして窒素ガス雰囲気下にて900℃で窒化させることでTa:Mg+Zr粉末を作製した。
ここで、Ta:Mg+Zrとは、Taを構成するTa原子が、MgおよびZrで置換されていることを示す。本実施例においては、Taを構成するTa原子の25%が、Zr:Mg=2:1の比で置換されていた。
XRD測定より、得られた粉末が、Taの一部がZrおよびMgで置換された窒化タンタル(Ta)であることを確認した。
(積層体Cの作製)
上記合成例3にて製造した光触媒粉末(光触媒粒子)を低沸点有機溶剤(溶媒:エタノール)に懸濁させて、懸濁液を作製した。なお、懸濁液中における光触媒粉末(Ta)の濃度は3.9質量%であった。
次に、得られた懸濁液を基材(石英ガラス)上に塗布し、乾燥させて、基材上に光触媒層(厚み:0.5〜2.0μm)が配置された光触媒層付き基材を作製した。
上記光触媒層付き基材の光触媒層上に、コンタクト層となるニオブ(Nb)層(厚み70nm)をスパッタ法にて積層した。装置はアルバック社製MPS−254を使用して、成膜レートが28nm/sとなるようにして行った。
次に、コンタクト層上に、集電層となるチタン(Ti)層(5.0μm)をスパッタ法にて積層した。装置はアルバック社製MPS−254を使用して、成膜レートが5nm/sとなるようにして行った。続いて、カーボンテープを用いて集電層上にガラス基材(ソーダライムガラス)を接着した。その後、基材(石英ガラス)上より積層体A(光触媒層/コンタクト層/集電層/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス)の積層体)を剥離させ、純水中で1時間超音波洗浄することで、積層体Cを得た。
そして、インジウムハンダを用いて、樹脂被覆付の金属線を積層体Cの集電層に接着し、その後、光触媒層以外の金属露出部分(コンタクト層および集電層)をエポキシ樹脂で被覆した。
(助触媒形成9−1)
続いて、印加電圧を1.2V(vs Ag/AgCl)に変更し、電着時間を20秒に変更した以外は、上記「助触媒形成8−2」における「FeOx」の形成方法(電着法)と同様にして、積層体Cの光触媒層上に電着法でFeOx(図4における第2金属酸化物層30b−1に相当)を担持した。その後、蒸留水で洗浄した。
(助触媒形成9−2)
続いて、pH7の0.1M−KHPO、0.1M−KHPO混合溶液に10mMのCo(NO)3・6HOを溶解させ、この中にFeOxを光触媒層に担持させた積層体Cを浸漬した。この積層体Cを作用極、Ag/AgCl電極を参照極、Pt線を対極とした三電極式の電気化学測定方法にて1.1V(vs Ag/AgCl)を印加して、酸化コバルト助触媒(図4における第2金属酸化物層30b−2に相当)を積層体CのFeOx上に電着法で担持した。その後、蒸留水で洗浄した。
なお、電着時間は、50秒とした。
(助触媒形成9−3)
次に、酸化コバルト助触媒(図4における第2金属酸化物層30b−2に相当)が担持された積層体Cを用いて、酸化コバルト助触媒上に酸化イリジウム助触媒(第1金属酸化物)をスパッタ法により形成した。
装置は、(株)真空デバイス社製 MSP−30Tを使用した。
また、成膜は、成膜レートが0.0625nm/sとなる条件で、金属Ir(イリジウム)の厚みが2nmとなる様に金属Irを積層した。ターゲットサイズは50mmφ、電流値50mA、アルゴン圧0.8Pa、ターゲット/基板間距離(TS距離)は75mmであった。
続いて、成膜した金属Irに対し、大気暴露と電気化学測定時の電圧印加によって、酸化イリジウム(IrOx)とした。
この様にして、実施例9の酸素発生電極(IrOx/CoOx/FeOx/Ta/Nb/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を得た。
<実施例10>
「助触媒形成1−1」の電着時間を50秒に変更し、「助触媒形成1−2」を以下のように浸漬法に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例10の酸素発生電極を製造した。
具体的には、まず、[Ir(OH)2−溶液にHNOを加えて酸性条件にすることで、IrOxコロイドを生成した。上記溶液中に酸化コバルト助触媒(第2金属酸化物)が担持された積層体Aを3秒間浸漬し、酸化コバルト助触媒の表面にIrOxを担持した。IrOxコロイド溶液から取り出した際の積層体Aを、蒸留水中に軽く潜らせることで、表面に残ったコロイド溶液を除去した。
この様にして、実施例10の酸素発生電極(IrOx/CoOx/BaTaON/Zr/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を得た。
<実施例11>
「助触媒形成1−1」の電着時間を50秒に変更し、「助触媒形成1−2」を以下のように電着法に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例11の酸素発生電極を製造した。
まず、0.1MのNaOH溶液50mlを用意し、そこに24.2mgのKIrClを加えた溶液を、90℃で20分間加熱した。
積層体Aを作用極、Ag/AgCl電極を参照極、Pt線を対極とした三電極ガラスセルに、作製した上記溶液を入れ、1.1V(vs Ag/AgCl)を印加することで、積層体Aの第2金属酸化物上に電着法でIrOx(第1金属酸化物)を担持した。
電着は、内部をAr雰囲気として、導線部が電着液に触れないように浸漬させ、攪拌を加えながら実施した。電着の時間は、150秒とした。
この様にして、実施例11の酸素発生電極(IrOx/CoOx/BaTaON/Zr/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を得た。
<比較例1>
助触媒であるIrOx(第1金属酸化物)を形成する工程を省いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、比較例1の酸素発生電極(CoOx/BaTaON/Zr/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を製造した。
<比較例2>
助触媒であるCoOx(第2金属酸化物)を形成する工程を省いた以外は、実施例2と同様の手順に従って、比較例2の酸素発生電極(IrOx/BaTaON/Zr/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を製造した。
<比較例3>
助触媒であるIrOx(第1金属酸化物)を形成する工程を省いた以外は、実施例5と同様の手順に従って、比較例3の酸素発生電極(CoOx/BaNbON/Ti/Sn/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を製造した。
<比較例4>
助触媒であるCoOx(第2金属酸化物)を形成する工程を省いた以外は、実施例5と同様の手順に従って、比較例4の酸素発生電極(RuOx/BaNbON/Ti/Sn/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を製造した。
<比較例5>
助触媒であるCoOxおよびFeOx(いずれも第2金属酸化物)を形成する工程を省いた以外は、実施例9と同様の手順に従って、比較例5の酸素発生電極(IrOx/Ta/Nb/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を製造した。
<比較例6>
助触媒であるCoOx(第2金属酸化物)を形成する工程を省いた以外は、実施例10と同様の手順に従って、比較例6の酸素発生電極(IrOx/BaTaON/Zr/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を製造した。
<比較例7>
助触媒であるCoOx(第2金属酸化物)を形成する工程を省いた以外は、実施例11と同様の手順に従って、比較例7の酸素発生電極(IrOx/BaTaON/Zr/Ti/カーボンテープ/ガラス基材(ソーダライムガラス))を製造した。
<電極の評価>
(オンセットポテンシャル測定)
作製した酸素発生電極のオンセットポテンシャルの評価は、ポテンショスタットを用いた3電極系での電流−電位測定により得られた光電流密度に基づいて行った。
具体的には、平面窓付きのセパラブルフラスコを電気化学セルに用い、作用極として上記実施例および比較例の各酸素発生電極、参照極にAg/AgCl電極、対極にPtワイヤーを用いた。
電解液は、実施例1〜4および比較例1〜2では、0.2M リン酸カリウム(KPi)緩衝液(pH=13)を用いた。実施例5〜7および比較例3〜4には、0.1M ホウ酸カリウム(KBi)緩衝液(pH=9.3)を用いた。実施例8、10〜11、および、比較例6〜7には、0.2M ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH=13)を用いた。実施例9および比較例5には、0.1M 硫酸ナトリウム(pH=13)を用いた。
電気化学セル内部はアルゴンで満たし、かつ、測定前に十分にバブリングを行うことによって溶存する酸素、二酸化炭素を除去した。
光電気化学測定には、ソーラーシミュレータ(AM1.5G)を光源として用いた。それぞれの電極について、測定電位を−0.1V vs.RHE〜1.5V vs.RHEの間で変化させて、光電流密度を測定した。光電流密度が0.05mA/cm以上になった場合の電位をオンセットポテンシャルとした。なお、RHEは、reversible hydrogen electrode(可逆水素電極)の略である。
(評価基準)
実施例1〜4、8および比較例1については、比較例2のオンセットポテンシャルを基準とし、実施例5〜7および比較例3については、比較例4のオンセットポテンシャルを基準として、実施例9については、比較例5のオンセットポテンシャルを基準として、実施例10については、比較例6のオンセットポテンシャルを基準として、実施例11については、比較例7のオンセットポテンシャルを基準として、以下の評価基準に基づいて分類した。評価基準は、C以上で良好と判断し、Aが最も好ましい。
A:オンセットポテンシャルが0.3V vs.RHE以上良化(卑側へ移動)
B:オンセットポテンシャルが0.2V vs.RHE以上0.3V vs.RHE未満で良化
C:オンセットポテンシャルが0.15V vs.RHE以上0.2V vs.RHE未満で良化
D:オンセットポテンシャルの良化が0.15vs.RHE未満(貴側への移動も含む)
評価結果を下記第1表に示す。
<モル量の測定>
実施例1の酸素発生電極について、第1金属酸化物に含まれる金属種のモル量(M1)と、第2金属酸化物に含まれる金属種のモル量(M2)と、光触媒を構成する遷移金属化合物の遷移金属種のモル量(M3)と、を以下のようにして測定した。
実施例2の酸素発生電極については、第1金属酸化物に含まれる金属種のモル量(M1)と、第2金属酸化物に含まれる金属種のモル量(M2)と、を以下のようにして測定した。
上記の各モル量は、ICP発光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分析法)を測定原理とするICPS−8100(製品名、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。具体的には、上記の各酸素発生電極に含まれる第1金属酸化物、第2金属酸化物および光触媒を適切な溶解液(塩酸、硝酸、またはフッ酸)で溶解させて、定量測定を行った。
測定結果に基づいて、各モル比を算出した。結果を以下に示す。
(実施例1の酸素発生電極におけるモル比)
M1/M2=約2
M1/M3=約0.03
M2/M3=約0.08
(実施例2の酸素発生電極におけるモル比)
M1/M2=約0.5
<酸素生成過電圧の測定>
実施例および比較例で使用した助触媒を構成する第1金属酸化物および第2金属酸化物の酸素生成過電圧を以下のようにして測定した。
まず、作用極として基板(酸化インジウムスズ(ITO))の表面に上記第1金属酸化物または第2金属酸化物を固定したものを準備し、対極にPtリング、参照極に飽和カロメル電極を用いて、回転円盤電極ボルタンメトリー(Rotating disk electrode voltammetry、RDEV)法により測定した。酸素飽和状態の1M NaOH溶液中で、電極の回転速度1600rpm、掃引速度0.01V/sで電位掃引した際に、電流値が10mA/cmとなる電位を求め、この電位で2時間保持した後の電圧値を酸素生成過電圧とした。なお、測定温度は、室温(23℃)とした。
各金属酸化物の酸素生成過電圧を以下に示す。
IrOx:0.32V
RuOx:0.25V
CoFeOx:0.36V
CoOx:0.42V
FeOx:0.43V
第1表に示すように、第1金属酸化物および第2金属酸化物を含む助触媒を用いて形成された実施例の酸素発生電極はいずれも、第1金属酸化物または第2金属酸化物を含まない助触媒を用いて形成された比較例の酸素発生電極と比較して、良好なオンセットポテンシャルを示すことがわかった。
また、実施例の各酸素発生電極について、透過電子顕微鏡(FEI社製Titan80-300型)を用い、加速電圧300kVにて、TEM(透過型電子顕微鏡)観察、およびSTEM−EDS(Scanning transmission electron microscope Energy dispersive spectroscopy)分析により、助触媒および光触媒の断面を確認した。その結果、第2金属酸化物が光触媒に接しており、第2金属酸化物の表面のうち光触媒に接していない表面の少なくとも一部が第1金属酸化物で覆われていることが確認できた。
10,100 酸素発生電極
12 光触媒
14 集電層
16 コンタクト層
18 光触媒粒子
20 第1の基材
22 接着層
24 第2の基材
30 助触媒
30a 第1金属酸化物
30b 第2金属酸化物
30b−1,30b−2 第2金属酸化物層

Claims (12)

  1. 集電層と、
    前記集電層上の光触媒と、
    前記光触媒の少なくとも一部に担持された助触媒と、を有し、
    前記助触媒が、酸素生成過電圧0.4V以下の第1金属酸化物および酸素生成過電圧0.4V超の第2金属酸化物を含
    前記第2金属酸化物が、前記光触媒上に形成されており、
    前記第1金属酸化物が、前記第2金属酸化物上に形成されている、酸素発生用光触媒電極。
  2. 前記第2金属酸化物の表面の少なくとも一部が、前記第1金属酸化物で覆われている、請求項1に記載の酸素発生用光触媒電極。
  3. 前記第2金属酸化物が酸素生成過電圧の異なる2種以上の金属酸化物を含有し、
    前記2種以上の金属酸化物が、酸素生成過電圧が高い方から順に、前記光触媒側に積層されている、請求項1または2に記載の酸素発生用光触媒電極。
  4. 前記第1金属酸化物が、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、コバルト鉄複合酸化物、酸化ロジウム、ニッケル鉄複合酸化物、および、酸化白金からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の酸素発生用光触媒電極。
  5. 前記第2金属酸化物が、酸化コバルト、酸化鉄、および、酸化ニッケルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の酸素発生用光触媒電極。
  6. 前記第2金属酸化物が酸化コバルトおよび酸化鉄の少なくとも一方を含み、前記第1金属酸化物が酸化ルテニウム、酸化イリジウムおよびコバルト鉄複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の酸素発生用光触媒電極。
  7. 前記第1金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM1、前記第2金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM2とした場合に、M1/M2が0.01〜10である、請求項1〜のいずれか1項に記載の酸素発生用光触媒電極。
  8. 前記光触媒が遷移金属化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の酸素発生用光触媒電極。
  9. 前記遷移金属化合物が、Ti、Ta、Nb、WおよびLaからなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属種を含む、請求項に記載の酸素発生用光触媒電極。
  10. 前記第1金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM1、前記遷移金属化合物に含まれる遷移金属種のモル量をM3とした場合に、M1/M3が0.001〜0.3である、請求項またはに記載の酸素発生用光触媒電極。
  11. 前記第2金属酸化物に含まれる金属種のモル量をM2と、前記遷移金属化合物に含まれる遷移金属種のモル量をM3とした場合に、M2/M3が0.001〜0.3である、請求項またはに記載の酸素発生用光触媒電極。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の酸素発生用光触媒電極を含む、モジュール。
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