JP2018118967A - 免疫賦活剤 - Google Patents

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中野 長久
Osahisa Nakano
長久 中野
真由子 加藤
Mayuko Kato
真由子 加藤
豊田 実
Minoru Toyoda
実 豊田
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Osaka Prefecture University PUC
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Abstract

【課題】 自己免疫系の賦活化により、ストレスによる消化器系等の機能低下を改善する。【解決手段】 本発明は、米麹を有効成分として含有する組成物を経口摂取することにより、腸管免疫組織(主にパイエル板)を賦活化して、IgA抗体産生を亢進し、免疫機能を高める。更に当該組成物は、コルチコステロンの血中濃度を高めて、ストレスに対する反応を緩和することができる。例えば、ストレスによる胃潰瘍や潰瘍性の炎症を抑制する効果が期待できる。【選択図】図3

Description

本発明は、免疫機能を賦活化する組成物、およびそれを含有する食品、医薬品又は飼料に関する。
潰瘍は、強いストレス(肉体的ストレス、精神的ストレス)を受けることによって自律神経による調節機能が低下し、胃腸における粘膜の血流が悪化して生じ易くなるとされている。現在、潰瘍対策としては、プロトンポンプインヒビター(PPI)、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P−CAB)、ヒスタミン受容体拮抗剤(HRA)などによる薬物治療が中心となっている(例えば、特許文献1参照。)。
特公平6−74272号公報
しかし、これらはあくまでも自覚症状を生じた際に医師からの処方に基づいて事後的に行うもので、逆流性食道炎の寛解維持、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)や低容量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制を除くと、継続的あるいは予防的に提供されるものでない。そのため、一旦罹患すると、強い痛みを伴う状態で完治するまで数か月をかけて治療にあたる必要があった。
本発明は、日常的に摂取可能な天然由来の組成物により、腸管免疫組織を賦活化して、自己免疫系の働きを高めて、ストレスによる自律神経調節機能の不調を抑制しようとするものである。
請求項1記載の発明は、米麹又は米麹を糖化して得られる甘酒もしくは米麹をアルコール発酵して得られるどぶろくを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤である。
請求項2記載の発明は、米麹又は米麹を糖化して得られる甘酒もしくは米麹をアルコール発酵して得られるどぶろくにおからを配合したものを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤である。
請求項3記載の発明は、米麹又は米麹を糖化して得られる甘酒もしくは米麹をアルコール発酵して得られるどぶろくにユーグレナを配合したものを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤である。
請求項4記載の発明は、前記米麹は請求項1乃至3の何れかに記載の免疫賦活剤を含有することを特徴とする免疫賦活用食品である。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の免疫賦活剤を含有することを特徴とする免疫賦活用医薬品である。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の免疫賦活剤を含有することを特徴とする免疫賦活用飼料である。
本発明の請求項1乃至6記載の米麹又は米麹を糖化して得られる甘酒もしくは米麹をアルコール発酵して得られるどぶろくを有効成分として含む免疫賦活剤、及びそれを含有する食品、医薬品又は飼料を経口摂取することにより、腸管免疫組織である小腸パイエル板が増大化され、IgA抗体産生を亢進して、自己免疫系の働きが賦活される。また、潰瘍性炎症を抑制するコルチコステロンの血中濃度が高められる。これらによりストレスを原因とする胃潰瘍が抑制される。
米麹又は米麹を糖化して得られる甘酒に加えて、特におからを配合することによって、小腸パイエル板の増大化及びIgA抗体産生の亢進が一層顕著になる。また、特にユーグレナを配合することによって、コルチコステロンの血中濃度がより一層高められる。
表1の各群飼料を2週間摂食したラットの総摂食量を表すグラフである。 表1の各群飼料を2週間摂食したラットの摂食開始から水浸前までの体重変化を表すグラフである。 表1の各群飼料を摂食したラットの摂食開始前24時間及び摂食開始後24時間における糞中IgAを表すグラフである。 表1の各群飼料を2週間摂食したラットから摘出した小腸のパイエル板の数(ラット1匹当たり)を表すグラフである。 表1の各群飼料を2週間摂食したラットから摘出した小腸のパイエル板1個当たりの面積平均値を表すグラフである。 表1の各群飼料を2週間摂食したラットから摘出した小腸のパイエル板の総面積(ラット1匹当たり)を表すグラフである。 表1の各群飼料を2週間摂食したラットの水浸拘束ストレス負荷後に摘出した胃を切開して撮影した胃組織の写真である。 表1の各群飼料を2週間摂食したラットの水浸拘束ストレス負荷後に摘出した胃から作製した病理切片をHE染色及びPAS染色して撮影した写真である。 表1の各群飼料を2週間摂食したラットの水浸拘束ストレス負荷後に摘出した胃の組織写真を画像処理して計測した胃潰瘍部面積を表すグラフである。 表1の各群飼料を2週間摂食したラットの血中コルチコステロン濃度を表すグラフである。 表3の各群飼料を2週間摂食したマウスの総摂食量を表すグラフである。 表3の各群飼料を2週間摂食したマウスの摂食開始から2週間の体重変化を表すグラフである。 表3の各群飼料を摂食したマウスの摂食開始前24時間及び摂食開始後24時間における糞中IgAを表すグラフである。 表3の各群飼料を2週間摂食したマウスから摘出した小腸のパイエル板の数(マウス1匹当たり)を表すグラフである。 表3の各群飼料を2週間摂食したマウスから摘出した小腸のパイエル板1個当たりの面積平均値を表すグラフである。 表3の各群飼料を2週間摂食したマウスから摘出した小腸のパイエル板の総面積(マウス1匹当たり)を表すグラフである。
本発明の実施形態に係る免疫賦活剤について、図1〜16を参照しながら説明する。
本実施形態の免疫賦活剤は、米麹、特に米麹を糖化することで得られる甘酒、これにおからを配合したもの又はユーグレナを配合したもの並びに米麹をアルコール発酵することにより得られるどぶろくを有効成分とすることを特徴とする。
(米麹)
米麹は、蒸した白米において麹菌を繁殖させたもので、麹菌の菌糸から分泌される栄養分解酵素を利用して、古来より日本酒、甘酒、醤油、味噌等の発酵食品が製造されているが、近年、日常の食材調理時に加えることで、食材に含む栄養素を分解して甘味や旨みを生み出し、消化吸収し易くするとして注目されている。特に、麹自体に含まれる食物繊維が、腸内の乳酸菌などの善玉菌の繁殖を助け、分解酵素により生じるオリゴ糖は、大腸にまで届いてビフィズス菌の繁殖を助けるとされている。
本実施形態に係る免疫賦活剤に有効成分として含有する米麹は以下のように製造する。まず、白米を10〜20℃程度の水で洗米し、水に浸漬して吸水させる。浸漬時間は、吸水し過ぎないように15時間以内とし、浸漬後、白米をザルにあげて、室温10〜20℃程度で30分程度水切りする。水切りした白米は蒸し桶に入れ、下からボイラーの蒸気を当てて蒸煮する。白米から湯気が上り始めて20分経過後、蒸し具合を均一化するために白米をスコップで攪拌する。更に10分程蒸して、米粒を押し潰したときに芯が残らなくなる程度まで蒸し上げる。蒸し上げた白米は蒸し桶から取り出し、テーブル状の放冷機で均等に広げて空気に触れさせることで急冷し、品温を30〜35℃ぐらいに低下させる。その際、蒸し白米を擦り合わせて表面を傷付け、後工程での麹菌の植菌をし易くする。
次に、原料白米に対し、0.1重量パーセント相当の胞子量の粉末麹菌(種麹)を植菌する。麹菌を蒸し白米上でムラなく繁殖させるには、胞子を蒸し白米全体に隈なく行き渡らせる必要があるが、麹菌は蒸し米に一旦付着すると、他の蒸し米に移り難くなるため、植菌作業は、塊状の蒸し白米を手で細かくほぐした後で行う。本発明は、アスペルギルスオリーゼ(AspergillusOryzae)、いわゆるニホンコウジカビを用いる。蒸し白米上で胞子が発芽し、菌糸を伸ばしながら繁殖して、菌糸の先端からアミラーゼやプロテアーゼ等の分解酵素を分泌する。これらの酵素は、蒸し白米の澱粉をブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解し、麹菌自らが繁殖するための養分とする。
麹菌を植菌した蒸し白米を室温30±2℃ぐらいに保った室(培養室)の床(培養床)にのせて麹菌を培養する。麹菌の繁殖に伴い生じる発酵熱で、蒸し白米自体の品温は上昇するが、40℃を超えると、麹菌が弱って、酵素分泌力が衰えて繁殖できなくなるため、品温は30〜40℃に維持する必要がある。具体的には、時間経過にしたがって、以下の作業を行う。まず、培養開始から10時間経過後、床の中の蒸し白米を攪拌し、蒸し白米の温度を下げて、均一化し、麹菌に対する酸素補給を行う。培養開始後24時間経過後、培養が進んで、蒸し白米に一層熱がこもり易くなるため、麹蓋に蒸し白米を小さく盛り分けて品温上昇を抑制する。
品温を37℃程度に維持して、培養開始後30時間経過後、再び品温均一化のため、麹蓋を上下反転させる。培養開始後33時間経過で、品温均一化及び酸素補給のため、攪拌及び手入れ(ほぐし作業)を行い、水に浸しておいた菰を麹蓋に被せ、菰に含まれる水分を蒸し白米に補給させる。室に設けた天窓を開閉することで、換気及び室温調節を行い、蒸し白米の品温を40℃以下に維持して48時間で培養を完了した後、冷却して自然乾燥することにより米麹を完成させる。なお、自然乾燥させても麹菌が分泌したアミラーゼ等の分解酵素は不活化されることなく、所定温度の水を加えて保温すれば米に含まれる澱粉を糖化することができる。なお、完成した米麹を糖化発酵することにより甘酒を製造することができ、アルコール発酵することによりどぶろくを製造することができる。
(甘酒)
下記実施例1に使用する甘酒は、自然乾燥した米麹に対して水を加え、55〜60℃、好ましくは57〜58℃で7〜8時間保温して分解酵素を活性化することで、米に含まれる澱粉の糖化を進行させてゲル状の甘酒が完成する。これには、ブドウ糖のほかに、ブドウ糖が複数個つながったオリゴ糖も含む。オリゴ糖は経口摂取した際、小腸で吸収されずに大腸に届き、ビフィダス菌の養分となる。完成した甘酒は、雑菌による腐敗防止のために冷凍保存する。
(おから)
おからは、大豆から豆乳を絞ることによりできる残渣物であるが、食物繊維が豊富で、蛋白質や不飽和脂肪酸(リノール酸)を多く含む食品として知られている。下記実施例1に使用されるおからは、豆乳を絞った後、腐敗防止と取扱い性を確保するために、トレイ上で薄く広げるように平坦状に伸ばして乾燥機に入れ、約80℃の雰囲気温度下で通風乾燥することで水分を除去する。乾燥終了後、更に粉砕機にかけて細かく粉砕して、微粉末状とし、本実施形態に係る免疫賦活剤の有効成分の一部として配合される。
(ユーグレナ)
ユーグレナ(和名:ミドリムシ)は、動物運動と植物光合成の両方を行う微生物であり、動物性及び植物性の様々な栄養分を有しており、特にユーグレナに含まれる多糖類のパラミロンは炎症抑制効果を高めるとして、経口摂取による健康効果が注目されている。下記実施例1に使用されるユーグレナは、乾燥機で乾燥し、粉砕機にかけて微粉末状とし、本実施形態に係る免疫賦活剤の有効成分の一部として配合される。
(どぶろく)
どぶろく(濁酒)は、水、米麹および掛け米(蒸した米)を酵母でアルコール発酵し、もろみ成分(固形物)を漉さずに残したものであり、米麹に含まれる食物繊維等がそのまま含まれている。下記実施例2に使用するどぶろくの製造方法は、下記のとおりである。一日目は、まず仕込み前に水を入れた容器に上記の自然乾燥した米麹を加えて混ぜ合わせることにより米麹に含まれる酵素を水中に溶出させて、酵母によるアルコール発酵に適した水麹を作る。水麹には、水と米麹のほか、雑菌を繁殖させないように乳酸を事前に加えておく。1〜2時間後、水麹に酵母(協会酵母701号)を投入して、更に掛け米と水を加えて、品温を7〜8度に保つように管理する。二日目は、生育環境を安定化させて酵母の増殖を促すために仕込みを休む(踊り)。
三日目は、一日目に使用した量と略同量の水、米麹および掛け米を加え、引き続き品温を7〜8度に保つように管理する。四日目は、三日目に使用した量の略2倍の水、米麹および掛け米を加えて、引き続き品温を7〜8度位を保つように管理し、五日目以降、徐々に温度を上げてゆき、その後12度位を保つように管理して十日ほど熟成させる。なお、熟成が進んで、出来上がってきたら温度を下げるようにする。そして、上記とは別の容器に水、米麹および掛け米を仕込んで混ぜ合わせ、55〜60度で保温することにより甘酒を製造しておき、酵母によるアルコール発酵を行い、上述した十日間の熟成をした容器に追加投入した後に瓶詰めすることにより完成する。
以下、本発明を実施例1及び2に基づき説明するが、これによって、本発明の内容・範囲が限定されるものではない。
実施例1では、ラットに、「米麹」、「おから配合米麹」、「ユーグレナ配合米麹」の何れかを加えた飼料を2週間摂食させた後、ラットに水浸拘束ストレスを与える実験を行った。通常のラット飼育に用いる生育用飼料組成(AIN−93M)を対象群(C群)とし、実施例群として「米麹群(K群)」、「おから米麹群(O群)」、「ユーグレナ米麹群(E群)」の3群を設定した。K群、O群、E群には、C群飼料の46.57%を占めるβ化コーンスターチ分のうち、5%を米麹、おから配合米麹(内訳:米麹3%、おから2%)、ユーグレナ配合米麹(内訳:米麹4%、ユーグレナ1%)に置き換えたものを与えた。表1に飼料組成の詳細を示す(上記割合はすべて飼料全体に対する質量%)。なお、ここでは「米麹」として、上述した甘酒を凍結乾燥処理したものを用いている。
Figure 2018118967
飼料の摂食開始を実験0日目として、実験14日目に24時間絶食させた後、ラットを専用保定カゴに1匹ずつ入れて、頸部より下側を23℃の水中に20時間浸漬する拘束ストレス負荷(以下「水浸拘束」という)を与えた。飼料摂食開始前及び開始後の各24時間における糞を回収して、飼料摂食開始2週間後に後大静脈から採血した。水浸拘束後に、水中からラットを引き上げて、イソフルラン吸入麻酔下で胃及び小腸を採取した。本発明による免疫賦活効果の評価のため、飼料摂食開始前後各24時間の糞中IgAを測定し、小腸パイエル板の数及び面積を計測した。また、ストレス(胃潰瘍)抑制効果の評価のため、切り開いた胃を画像解析して生成潰瘍面積を測定し、病理切片を作製して胃組織及び粘膜の変化を観察した。更に潰瘍性炎症の抑制効果の評価のため、飼料摂食2週間後の血中コルチコステロン濃度(ステロイドホルモン、ストレス抑制ホルモン)を測定した。
以下、実施例1の評価結果について、図1乃至図10を参照しながら説明する。
図1は、各群飼料を2週間摂食させたラット(以下「各群ラット」という)について、総摂食量を表示しているが、全群間で差は認められない。また、図2は、各群ラットについて体重変化を表示しているが、これも全群間で差は認められない。なお、測定データは省略するが、肝臓、腎臓及び脾臓重量についても全群間で差は認められず、飼料が腫瘍、潰瘍形成、機能低下等の異常を誘起する可能性は低いと考えられる。
図3は、各群ラットの摂食開始前24時間及び開始後24時間における糞中IgAを表示しているが、摂食開始前24時間の糞中IgAについて、全群間で差は認められない。摂食開始後24時間の糞中IgAについては、米麹群、おから米麹群、ユーグレナ米麹群で何れも対象群に対し有意に高値を示している。IgA(ImmunoglobulinA/イムノグロブリンA)は、免疫タンパク質の一種であり、細菌やウィルス等の病原体を結合し体外に排出することで、病原体が腸管の粘膜上皮細胞に付着又は定着しないように防御する等、免疫機能を高める。
図4〜6は、各群ラットの水浸拘束後に摘出した小腸のパイエル板数(ラット1匹当たり)、パイエル板面積(パイエル板1個当たり)及びパイエル板総面積(ラット1匹当たり)を表示している。小腸パイエル板は、腸管免疫系の一端を担い、腸管の内面を覆う上皮細胞の直下に位置するリンパ小節の集合体であり、樹状細胞、T細胞、B細胞などの免疫細胞群が存在する。腸内に病原体が侵入すると、免疫細胞群により抗原に対するIgAを産生し、腸管内に侵入した病原体が腸管壁から体内へ侵入しないように防御する。
パイエル板数は、図4に示すように、対象群及び各実施例群で略同じ値を示している。パイエル板面積は、図5に示すように、すべての実施例群で対象群と比較して有意な増加が認められる。パイエル板総面積は、図6に示すように、対象群と比較すると、米麹群とおから米麹群では有意な増加が認められ、ユーグレナ米麹群では増加傾向が認められる。おそらく経口摂取された米麹がパイエル板によって抗原であると認識されて、IgA抗体産生が亢進している(免疫機能が高められている)ものと推察される。
図7は、各群ラットの水浸拘束後に摘出した胃をホルマリンで固定した後で、切開して粘膜面を撮影した各群代表例の胃組織写真である。対象群の胃腺部には、血液が滲んで黒い線状となった胃潰瘍損傷部が広範囲で確認される。一方、すべての実施例群においても黒い点状の胃潰瘍損傷部は確認されるものの、その範囲はごく僅かであり、潰瘍性内出血は殆ど認められない。
図9は、各群ラットの胃組織写真の画像解析により計測した胃潰瘍部面積を表示している。対照群の胃潰瘍部面積と比較して、おから米麹群は有意に低値を示しており、米麹群及びユーグレナ米麹群は低値傾向を示している。
表2は、各群ラットの胃潰瘍部面積と、各実施例群の胃潰瘍面積を対象群の胃潰瘍面積で割って100を乗じた値を100から差し引くことで算出される潰瘍抑制率を表示している。潰瘍抑制率をみると、米麹群29.9%、おから米麹群74.6%、ユーグレナ米麹群58.6%と高い抑制率を示している。
Figure 2018118967
図8は、各群ラットの摘出した胃から病理切片を作製し、胃組織及び粘膜への影響を評価するために、HE(ヘマトキシリン・エオジン)染色及びPAS(過ヨウ素酸シッフ)染色して撮影した写真である。対照群では被覆粘液が減少しており、広範囲に亘って深い潰瘍損傷部が観察される。それに対し、すべての実施例群では、比較的軽度で浅い損傷部しか認められず、個体によっては糜爛が確認されなかった。
図10は、各群ラットについて摂食開始2週間後の血中コルチコステロン濃度を表示している。コルチコステロン(Corticosterone)は、コルチゾール、コルチゾンと同様に副腎皮質から分泌されるグルココルチコイドホルモンの一種で、潰瘍性抗炎症の抑制作用を示し、糖質代謝や電解質代謝に影響を及ぼし、ストレスとの関連性が高いことが知られている。血中コルチコステロン濃度は、図9に示すように、対照群と比較して、ユーグレナ米麹群の有意に高値を示し、米麹群及びおから米麹群は高値傾向を示している。
上記実施例1の評価結果により、米麹(甘酒)、おから配合米麹(甘酒)、及びユーグレナ配合米麹(甘酒)には、免疫機能を高め、ストレス(胃潰瘍)ならびに潰瘍性炎症を抑制する効果が認められる。特に、おからを配合することにより、免疫機能向上と胃潰瘍抑制を顕著に高める相乗効果が認められる。また、ユーグレナを配合することにより、胃潰瘍と潰瘍性炎症を顕著に抑制する相乗効果が認められる。
実施例2では、マウスに、「どぶろく」を加えた飼料を摂食させて、摂食前後の糞中IgAの変化及び摂食2週間後の小腸パイエル板を測定した。実施例1と同様に、生育用飼料組成(AIN−93M)を摂食させたものを対象群(C群)とし、実施例群として「どぶろく群(D群)」を設定した。D群には、C群飼料の46.57%を占めるβ化コーンスターチ分のうち5%(飼料全体に対する質量%)をどぶろく乾燥粉末(上述のどぶろくを凍結乾燥処理したもの)に置き換えたものを与えた。各群飼料の組成は、表3に示されるとおりである。
Figure 2018118967
飼料摂食開始前及び開始後の各24時間における糞を回収して、飼料摂食開始2週間後にイソフルラン吸入麻酔下で小腸を採取した。本発明による免疫賦活効果の評価のため、飼料摂食開始前後各24時間の糞中IgAを測定し、小腸パイエル板の数及び面積を計測した。
以下、実施例2の評価結果について、図11乃至図16を参照しながら説明する。
図11は、各群飼料を2週間摂食させたマウス(以下「各群マウス」という)について、総摂食量を表示しているが、両群間で差は認められない。また、図12は、各群マウスについて、摂食2週間の体重変化を表示しているが、これも両群間で差は認められない。なお、測定データは省略するが、肝臓、腎臓及び脾臓重量についても両群間で差は認められず、飼料が腫瘍、潰瘍形成、機能低下等の異常を誘起する可能性は低いと考えられる。
図13は、各群マウスの摂食開始前24時間及び開始後24時間における糞中IgAを表示しているが、摂食開始前24時間の糞中IgAについて、両群間で差は認められない。摂食開始後24時間の糞中IgAについては、D群はC群に対して有意に高値を示している。
図14〜16は、各群マウスの摂食2週間後に摘出した小腸のパイエル板数(マウス1匹当たり)、パイエル板面積(パイエル板1個当たりの面積平均値)及びパイエル板総面積(マウス1匹当たりのパイエル板総面積)を表示している。パイエル板数は、図14に示すように、C群とD群で略同じ値を示しているが、パイエル板面積並びにパイエル板総面積に関しては、図15、図16に示すように、D群はC群と比較して増加が認められる。どぶろく摂取によるパイエル板面積の増加から、経口摂取されたどぶろくがパイエル板によって抗原であると認識されて、IgA抗体産生が亢進していると推察される。したがって、どぶろくは、腸管のパイエル板を介してマウスの免疫を活性化させること、および、全身性の炎症を抑制することが示唆される。
実施例2の評価結果により、米麹をアルコール発酵させて得られるどぶろくに関して、免疫機能を高める効果が認められる。なお、実施例2においては、おからやユーグレナを配合した飼料を用いていないが、実施例1と同様に、β化コーンスターチからを置き換えるどぶろく乾燥粉末に、上述したおからやユーグレナの乾燥粉末を配合することにより、実施例1と同様の効果を奏することが期待される。
(発明の効果)
本発明の米麹又は米麹を糖化して得られる甘酒もしくは米麹をアルコール発酵して得られるどぶろくを有効成分として含む免疫賦活剤を摂取することにより、腸管免疫組織である小腸パイエル板が増大化され、IgA抗体産生を亢進して、自己免疫系の働きが賦活される。胃潰瘍は罹患すると強い痛みを伴い医薬品によって治療するが、完治するまでに数か月を要する。しかし、本発明の免疫賦活剤を日常的に摂取することで、免疫機能が高められて、ストレス及び潰瘍性炎症が抑制されて、胃潰瘍を予防する効果が期待されるものである。また、ストレスは、最近では全ての生活習慣病(ガン、脳疾患(脳梗塞、脳溢血等)、心疾患(心筋梗塞、動脈狭窄等)、糖尿病、肥満、うつ病等)の発症原因となると言われており、故にストレス抑制により、これらの病気の発症を抑制し、健康寿命の延長に繋がる効果が期待される。本発明の免疫賦活剤に含有される有効成分は何れも天然物由来の組成物であり、安全性に優れており、継続的、かつ予防的に摂取することが可能である。
免疫賦活剤に含有される有効成分の割合は、用途に応じて適宜設定されるが、上記実施例のように、総食事量の2〜5質量%程度に相当する炭水化物が、米麹、特に米麹を糖化発酵させて製造した甘酒やアルコール発酵させて製造したどぶろくに置換されるように調製して摂取させる食餌療法を採用することにより、免疫機能が高められ、上述したストレス及び潰瘍性炎症を抑制する効果を奏し、病気療養や健康管理に繋がるものである。更に米麹、甘酒及びどぶろくと併せて、おからを摂取させることにより免疫機能向上と胃潰瘍抑制を顕著に高める相乗効果を奏し、また、ユーグレナを摂取させることにより胃潰瘍と潰瘍性炎症を顕著に抑制する相乗効果を奏するものであり、これらを有効成分として免疫賦活剤に含有させるようにしても良いことは勿論である。
本発明の免疫賦活剤を食品、医薬品及び飼料に含有させることにより、免疫機能を向上させると共に胃潰瘍と潰瘍性炎症を抑制することができる免疫賦活用食品、免疫賦活用医薬品及び免疫賦活用飼料を提供することができる。

Claims (6)

  1. 米麹又は米麹を糖化して得られる甘酒もしくは米麹をアルコール発酵して得られるどぶろくを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤。
  2. 米麹又は米麹を糖化して得られる甘酒もしくは米麹をアルコール発酵して得られるどぶろくにおからを配合したものを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤。
  3. 米麹又は米麹を糖化して得られる甘酒もしくは米麹をアルコール発酵して得られるどぶろくにユーグレナを配合したものを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤。
  4. 前記米麹は請求項1乃至3の何れかに記載の免疫賦活剤を含有することを特徴とする免疫賦活用食品。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載の免疫賦活剤を含有することを特徴とする免疫賦活用医薬品。
  6. 請求項1乃至3の何れかに記載の免疫賦活剤を含有することを特徴とする免疫賦活用飼料。
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