JP4534316B2 - 栄養補助食品の製造方法並びに栄養補助食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、代謝活性の優れた栄養補助食品の製造方法並びに栄養補助食品に係り、特に玄米の胚芽と表皮を蒸し、これに性質の異なる複数の麹菌アスペルギルスオリーゼ菌株群(Aspergills oryzae)を撒着して、温湿調整して培養、熟成させて麹を得た後、麹菌培養中よりも培養床の麹の品温をあげて、麹菌は死滅させ、麹に含有されている酵素群は失活されていない状態で乾燥させた、健康保持に優れた食品であって、一定量継続して食べ続けると、人体における活性酸素による血流障害並びに代謝不全による諸疾患の抑制、及び改善効果をもたらす栄養補助食品の製造方法、並びに栄養補助食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂肪代謝不全、糖代謝不全などは、体内の活性酸素による障害の一っであり、活性酸素の各核種(スーパーオキシドアニオンラジカル:・O2 -,ヒドロキシラジカル:・OH)は、呼吸や食物などにより人体に取り込まれた酸素や、体内において血流が急に増加した時など、酸素が組織に供給過剰になると発生し、またマクロファージ(アメーバ状の貧食細胞)や白血球が、抗原抗体複合体などの外的刺激に応じて捕らえた異物を分解するために産生する。
【0003】
この活性酸素による酸素障害の標的分子は、生体膜の脂質、酵素蛋白、DNAなどであり、活性酸素が体組織内に増加すると、さまざまな炎症などの細胞障害が生じるが、例えば膵臓のインスリンを分泌するβ細胞は、・OHによって炎症を起して細胞障害を生じさせ、インスリン分泌が弱くなり、血糖値が増加する。
【0004】
ちなみに我が国において高血圧症患者は、およそ2000万人おり、そのうち原因のわからない本態性高血圧症患者は、およそ80%を占めていると推測されている。高血圧症の発症には、多くの因子が複雑に関連し合っているものと考えられている。
【0005】
主としてコレステロール、リン脂質、トリグリセライド(中性脂肪)、遊離脂肪酸からなる脂質は、体内においてアポリポ蛋白(血清リポ蛋白から脂質を除いた蛋白部分)と結合して、リポ蛋白(脂質と蛋白の複合体)となり血中に存在する。このリポ蛋白の代謝に異常をきたすと、脳梗塞、動脈硬化、虚血性心臓病などがおこる。
【0006】
また悪液質(全身衰弱症状)の原因物質である腫瘍壊死因子(TNF)や、カケクチン(マクロファージが分泌する蛋白因子)は、血中のトリグリセライドを代謝・除去しているリポ蛋白リパーゼ(脂肪分解酵素)の活性を阻害して、血中のトリグリセライド量が増大し、悪液質の一特徴である高脂血症を惹起すると考えられている。
【0007】
血圧抑制剤の例が、特公平8−40号公報に開示されており、これは、米糠類(米胚芽、脱脂米胚芽、米糠、脱脂米糠)、大豆類(脱脂大豆、キナ粉、大豆粉、大豆カス、これらの加水分解物など)を、アルカリ性を好む枯草菌(腐敗菌)により、アルカリ性液体培地で醗酵させて、エキスを抽出したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
体内に発生する活性酸素を抑制する薬品は、さまざま研究されており、前記特公平8−40号公報記載の発明は、溶媒による抽出液であり、エキス組成分は不明である。普通に食べることによって、人体の血流障害改善や、代謝改善に優れている単品食品はまだ発見されていない。
【0009】
食品の醗酵による酵素の増大、それに伴う生体吸収率の増大した栄養効果は、注目すべきものであるが、醗酵は、本来腐敗と同じ現象のため、ともすれば腐敗という印象を招いてしまう。また、麹菌培養においては、培養目的以外のコンタミネーションは避けなければならないため、培養床の雰囲気と湿度の管理に加えて、培養床の品温管理に技術上の大きな問題があった。
【0010】
特に、玄米の胚芽・表皮は、米粒に比して粒度が小さいため、麹菌培養床において密着しあうと空気の流通性が衰えて、好気菌の培養に好ましくなく、また歓迎されない嫌気菌の繁殖に適した環境となる。
それには、特定種菌の選択と、精度の高い温度、湿度管理により、酸性域で好ましい麹菌培養を図ることが望まれている。
【0011】
本発明者は、玄米の胚芽の糖蛋白と、自然の糖鎖及び失活されていない酵素群が、人体のホルモン系、生理活性物質を活性化し、代謝活性が各種疾患の改善に寄与するとの知見から、胚芽の糖蛋白に麹菌を用いて酵素を増加させて、体内の糖鎖に好影響を与える蛋白と、触媒作用が失活されていない酵素を多く含む食品の製造方法について、鋭意研究を重ねてきた結果、この発明を完成した。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、前記課題を解決するために、次のような技術的な手段を採用した。
すなわち、穀類の中でも特に玄米の胚芽部位単独、あるいは胚芽と表皮(果皮・種皮)の混合物を蒸し、これに、種菌アスペルギルスオリーゼ菌株群(Aspergills oryzae)を撒着して培養、熟成させた後、培養床の麹の品温をあげて麹菌を死滅させ、酵素群は失活させない麹の品温で乾燥体として栄養補助食品を得る。
【0013】
天然の蛋白のほとんどは、糖と結合した糖蛋白である。蛋白は20種のLアミノ酸が、ペプチド結合(アミノ酸分子がアミノ基とカルボキシルで脱水した形で結合)した、ポリペプチドからなる高分子化合物であり、生体を形成すると共に、血清蛋白、ホルモンや酵素、コラーゲンなどの結合物質等、生体内における多くの生理活性物質を構成している。
【0014】
糖蛋白の糖鎖(グルコースやマンノースなどの11種の単糖が結合したポリマー)の立体構造は複雑で、生理学的意味はまだよく解明されていないが、既に知られている糖鎖の機能は、糖鎖の違いによる細胞間の認識、生体内の移動、細胞蛋白代謝に深く関わっているようである。
【0015】
特に糖鎖抗原の存在は注目されて、活性酸素やウィルスなどによる糖鎖の変化が、細胞間認識障害、受容体障害を招き、代謝不全、あるいは免疫不全として表れるものと考えられる。すなわち活性酸素による障害は、糖鎖の変化として細胞間の認識を狂わせて、サイトカインネットワークの撹乱、免疫不全や代謝不全などを生じさせるものと考えられる。
【0016】
本発明は、前記基質に麹菌を培養して酵素を分泌させて熟成させ、この失活されていない酵素を利用して、体内の活性酸素を抑え、糖鎖の活性化を図り、あるいは血流障害を抑制し、脂肪代謝、糖代謝等を活性化する栄養価の高い、栄養補助食品を提供することを目的としている。
ここでいう穀類とは、米、麦、粟、稗、それらの全粒、一部分、粉を含む。素材とはこの食品を造るための材料をさす。熟成とは、基質に麹菌が充分に培養され、麹菌が分泌した酵素により基質が充分に低分子へ分解されることをいう。品温とは、麹菌の培養により発熱している基質の温度をいう。失活とは、酵素本来の触媒作用を失うことをいう。
発明の具体的な内容は、次の通りである。
【0017】
(1) 玄米の胚芽と表皮とが45重量%〜95重量%含まれている穀類を主材とする基質に麹菌を培養、熟成させた麹を、培養床における麹自体の温度を44℃〜46℃の範囲に維持して9時間前後乾燥させ、含有水分を2.5%〜3.6%として、麹菌は死滅し、含有酵素は失活していない状態で粉末の食品とすることを特徴とする栄養補助食品の製造方法。
【0018】
(2) 前記基質には、全粒を破砕した玄米が、全体量の5重量%〜15重量%混合されて蒸され、製麹工程を経る、前記(1)に記載の栄養補助食品の製造方法。
【0019】
(3) 前記(1)又は(2)の方法により製造されたことを特徴とする栄養補助食品。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態例を説明する。
まず「玄米」とは、古代の黒米(赤米)のことを云うが、本発明においては、一般米の精米していないものも含む。玄米においては、「胚乳」と呼ばれる芯部分は、玄米全体の約92%を占めている。この胚乳の側部に「胚芽」がある。
【0021】
玄米の「胚芽」は玄米全体の約3%を占めている。玄米の表面には、玄米全体の約5%を占める果皮・種皮・糊粉層があり、これは一般に米糠と称される部分である。玄米の胚芽には、蛋白13%前後、脂質17%前後、灰分9%前後などが含まれ、これは、「胚乳」に対比して非常に多いほか、ミネラルやビタミンが豊富に含まれている。
【0022】
製造方法の1例として、選別された基質としての玄米の胚芽(約37%)と表皮(果皮・種皮ー約63%)を加水機の中に入れ、これに石灰質粉(焼牡蠣殻粉=粒度#250〜400メッシュ)を、全体量の5重量%〜12重量%ほど加え、これに、前記全素材(基質、石灰質粉)に対して、25重量%〜35重量%の水を吸わせて膨潤させる。
【0023】
副基質として霊芝や玄米などを添加する場合には、玄米そのままでは、その下に位置する粒度の細かな基質が、玄米の重量に圧迫されて菌培養に斑が生じるので、玄米を半割以下、霊芝も粒度3mm程度に破砕して、全体量に対して、それぞれ5重量%〜15重量%の範囲で、胚芽や表皮と共に前記加水機に混入させる。 加水機で膨潤させた素材(基質、副基質、石灰質粉)を、再度異物チェックと水分チェックをしながら蒸器の中に入れ、100℃〜120℃の蒸気で、45分〜60分間蒸す。
【0024】
石灰質粉を基質や副基質と共に蒸すと、石灰質粉の炭酸カルシウム分によるアルカリイオンが基質や副基質に付着する。このアルカリ分によって硬い表皮や玄米、霊芝は軟化して、体内で消化しやすくなる。
【0025】
胚芽や表皮などは米粒に比して粒度が小さいため、水分を含んで密着し合うと、空気の流通が悪く、好気菌の平均した培養に好ましくない。また、歓迎されない嫌気菌の繁殖を招く虞がある。
【0026】
麹菌培養によって、前記基質と副基質が培養床で発熱してくるが、培養床において、石灰質粉が基質や副基質間の間隙形成材となり、粒度の細かな基質や副基質同士が密接し合わないため、基質や副基質の表面に平均的によく空気が当り、麹菌の平均した培養を図ることができる。
【0027】
また平均的に散在する石灰質粉が、酸化に傾きやすい培養床の酸化を中和し、緩和させる。酸性培養床において、石灰質粉は酸で分解され、酵素の成生にこのましく作用する。また食品になったときは、食品の酸味を抑えて味覚をまろやかにし、香りに好影響を与える。更に、酸によって分解された石灰質粉は、体内において消化しやすくなり、細胞内においては、2次情報伝達物質のカルシウムイオンとして活用される。
【0028】
蒸しあがった胚芽と表皮等の基質、素材は、蒸器から冷却器へと自動的に回送されて、37℃〜40℃前後にまで放熱、冷却される。冷却直後の蒸した胚芽、表皮等の基質、素材は混合器に自動的に回送されて、麹菌アスペルギルスオリーゼ菌株群(Aspergills oryzae)を加えてよく混合させる。
この場合、性質の異なった他の麹菌(A.kawachii,A.awamori,A.Usamii)の中から任意に選択して、20%〜30%の範囲で混入させることができる。これらの麹菌は糖蛋白分解に適している。
【0029】
麹菌アスペルギルスオリーゼ菌は、生体を構成するための養分として、糖と蛋白質を必要とするため、分解酵素を出して糖や蛋白質を低分子に分解する。麹菌の培養に適する雰囲気は35℃〜37℃、湿度は85%RH〜90%RHであり、この雰囲気や湿度では麹菌が分解酵素を活発に分泌して、デンプン、蛋白質の分解酵素が分泌される。麹菌は湿度70%RH以下では活動せず、また温度42℃以上ではほとんど死滅する。
【0030】
麹菌を混合させた約1屯ほどの基質と副基質等素材は、密閉式箱状の温湿調整機に移されて、内部雰囲気31℃〜37℃、湿度50%RH〜90%RHの範囲で、段階的に温湿調整して、32時間〜36時間ほど麹菌を培養させる。
温湿調整機は、光電式任意プログラム設定装置を備え、送風される風温(風に混じる蒸気による湿度も)制御、培養床の品温(麹菌培養中の基質、副基質の温度)制御を、任意数値設定でプログラムすることができる。
【0031】
また、温湿調整機は、空調器、加湿器のほかに、内部に、培養床と撹拌装置を有している。撹拌装置は、掻羽根と、掻均し具を備えている。
温湿調整機において麹菌を培養するための基質、副基質等は、撹拌装置で掻き混ぜ、平坦に均す。
【0032】
麹菌の発育を促す誘導期は、麹菌の培養に伴って品温が5℃〜徐々に38℃まで自然に上昇する。この状態を最低8時間継続させる。培養床の品温が40℃〜41℃付近になった時に、熱で麹菌の活動を弱らせないように培養床の撹拌をして新鮮な空気に触れさせて、強制的に品温をさげる。このとき品温は32℃程度に落ちてから、再び上昇する。
【0033】
麹菌の成熟を促す生育期は、麹菌培養に伴って上昇する品温が、40℃を越えないように培養床を撹拌して調節し、培養床における雰囲気31℃〜36℃の間で麹菌を培養する。6時間後に品温が40℃〜42℃付近になったとき、過熱によって麹菌が衰弱あるいは死滅しないように、培養床の撹拌を行なって、新鮮な空気に触れさせて品温を強制的に下げる。その後、品温が39℃〜40℃の範囲になるように、培養床の撹拌などにより温度調節をして、11時間〜12時間ほど麹菌を培養させる。
【0034】
麹菌の生育を止める安静期は、麹菌の活動が鈍る湿度70%RH以下とし、培養床における雰囲気は36℃〜37℃に上げる。培養床を撹拌するなどにより、品温を39.5度〜40℃の範囲に調節しながら6時間にわたり熟成させる。培養床のpHは6〜7以下に保持されている。
【0035】
麹菌の分泌した酵素による基質や副基質の熟成により、麹が得られる。その熟成物である麹は、培養床の雰囲気46℃〜53℃で9時間前後かけて乾燥させる。このときの麹の品温は、培養床の撹拌をするなど培養床内の熱気を飛ばし温度管理をして、44℃〜46℃の範囲に制御する。この範囲の雰囲気や麹の品温では培養中に麹菌が分泌した酵素群は失活されず、その酵素群による熟成が続けられるが、麹菌は次第に活動が鈍り、高熱の麹の品温によって死滅する。
【0036】
この乾燥工程の終了時に、熟成された基質や副基質からなる麹は、含有水分2.5%〜3.6%前後の乾燥体となっている。因みに、普通流通米の含有水分は14%〜15%である。
【0037】
この状態で麹の中の酵素は触媒作用が失活されていないが、酵素は休眠状態になり活動は完全に停止している。この酵素は、食品を摂取したときに体内で活性化される。
【0038】
前記乾燥工程終了後の麹の乾燥体は、篩にかけて、5mm以上の塊固形化物を除去し、異物チェックをする。それを粉砕機にかけて微粉末度をチェックしながら、#30メッシュ〜#50メッシュ程度の、乾燥した微粉末からなる栄養補助食品にする。
【0039】
本発明栄養補助食品の基本品としての、麹菌培養処理前の素材配合割合の1例は次の通りである。
胚芽単体、または胚芽と表皮 85重量%〜95重量%
石灰質粉(焼牡蠣殻粉) 5重量%〜10重量%
【0040】
必要に応じて、胚芽、表皮を減らして玄米5重量%〜12重量%を添加する。この場合、表皮約63%、胚芽約37%であるが、品質向上のために胚芽部位だけを使用することができる。
【0041】
前記石灰質粉は、人体内の活性酸素抑制と培養床のpH調節を兼ねて混合されている。ここでは焼牡蠣殻粉が選択されたが、骨粉、乳酸カルシウム、蟹殻その他等、これに限定されるものではない。前記各素材配合割合内で100重量%に構成する。この製品を自動計量し、缶に投入、封缶して粉末の栄養補助食品として販売する。
【0042】
また前記粉末は、後記する賦形材を混合して、造粒機で粒度1.2mm〜1.3mm程度の顆粒に造粒し、乾燥後に分包機で、1包の重量3.5グラム、あるいは4グラム前後で袋詰め(1日量20g〜25g)し、顆粒製品とする。また、必要に応じて造錠機で造錠する。
【0043】
特種品については、表皮と胚芽を45重量%〜75重量%、石灰質粉5重量%〜10重量%、玄米5重量%〜15重量%とし、混合して菌培養処理をし、これに下記副素材として、次の配合割合、任意な組合わせで、総量100%になるように添加混合される。霊芝は全て菌培養処理をしたものである。
霊芝 5重量%〜15重量%
大豆蛋白 15重量%〜35重量%
スピルリナ 3重量%〜 8重量%
グルカン液 3重量%〜 8重量%
花粉 2重量%〜 6重量%
【0044】
前記グルカン液は、単細胞藻類等から抽出された多糖類抽出液であり、その固形分濃度は、0.5〜1.0%程度である。
スピルリナ、グルカン液、大豆蛋白、花粉などは封包前に混入される。また、造粒、打錠における賦形材として、全体量に対して、
乳糖 13重量%〜24重量%
ぶどう糖 4重量%〜12重量%
食用油脂 2重量%〜6重量%
等を添加することができる。
食用油脂としては、菜種油、紅花油(リノール油)を使用することができる。更に、強力な還元作用をもち、抗動脈硬化作用もあるというビタミンCを、栄養補助食品20g当り、50mg〜300mg配合させることができる。
【0045】
また、穀類を基質とする場合は、米、麦、玉蜀黍等はそれぞれ10重量%〜35重量%、粟、黍、稗等は5重量%〜10重量%の範囲で任意に組み合わせて配合し、前述のように蒸して麹菌の培養をさせる。この場合、それぞれ穀類の胚芽、表皮部分を限定して使用することができる。また前記特種品に示した副素材を組合わせることができる。
【0046】
このようにして製造された、本発明の栄養補助食品(基本品)の100g当りの栄養素分析結果(累積)は次の通りであった。
ビタミンB1 1.6mg〜1.8mg
ビタミンB6 2.3mg〜2.4mg
ビタミンB12 5.4mg〜5.9mg
ニコチン酸 42mg〜48mg
パントテン酸 7.1mg〜7.8mg
蛋白質 14g〜24g
脂質 18g〜21g
水分 1.5g〜3.6g
エネルギー 375kcal〜459kcal
酸価 36.5〜50.8
活性酸素消去活性 490単位/g〜770単位/g
リパーゼ力価 540U/g〜560U/g
酸性プロテアーゼ力価 190U/g〜250U/g
中性プロテアーゼ力価 350U/g〜430U/g
苛性プロテアーゼ力価 190U/g〜230U/g
【0047】
これを見ると、体内の細胞活性に欠かせないビタミンB群が多く含まれていることがわかる。また酵素力価が充実していて、消化並びに脂肪代謝、蛋白代謝に優れていることが推測できる。特に蛋白分解酵素の充実は、胚芽の糖蛋白の分解が好ましく促進されて、吸収されやすい糖鎖の充実が推測される。
【0048】
本発明栄養補助食品の、活性酸素(・O2 -及び・OH)消去活性について、次のような実験をした。
【0049】
1. 測定方法及び試料
ESR(電子スピン共鳴)を用いたスピントラッピング法により、本発明、栄養補助食品の活性酸素発生系(スーパーオキシドアニオンラジカル:・O2 ー,ヒドロキシラジカル:・OH)に対する抑制率について検討した。測定装置は、日本電子社製ESR装置(JESーFR30)を使用した。
【0050】
溶媒として、0.2mモルの燐酸緩衝液を使用し、
(1) 2mモルのヒポキサンチン溶液(HPX),
(2) 5.5mモルのジエチレントリアミンパンタ酢酸(DETAPAC)溶 液に、
(3) それぞれを20μl、35μl、50μlとして、これに、0.4U/ mlキサンチンオキシダーゼ溶液(XOD)50μlを加え、
撹拌後に石英セル内で発生するO2 -−アダクトをトラップ剤として、5,5−ジメチル−1−ピノリン−N−オキシド(DMPO)を15μl(9.2モル)と混合した後に、120mmの専用石英セル内で発生するDMPO−O2 -のスペクトルとして計測した。
【0051】
DMPO−O2 -の信号強度は、内部標準Mn2+の信号強度に対する相対強度として算出した。
全てのサンプル水溶液は、0.2mg/ml、2mg/ml、20mg/mlとして調整し、その50μlにおける・O2 -産生に及ぼす抑制を、DMPO−O2 -スペクトルとして計測した。コントロールには、溶媒として燐酸緩衝液を用い、それに対する抑制率(%)として算出した。
【0052】
2. ESRによる・OH消去活性の測定
(1) ヒドロキシラジカル消去活性については、フェントン反応に対する抑制として測定した。
すなわち、1mモルFeSO4 -ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTAPAC)溶液75μlに、0.2mg/ml、2mg/ml、20mg/mlの各サンプル水溶液50μlを加え、9.2モルの10倍稀釈した、5.5ージメチルー1−ピノリンーNーオキシド(DMPO)の20μlと、0.1mモルのH2O275μlを追加して、その2秒間撹拌後に、同上の扁平セルにとり、DMPO−OHとしてESRにて測定した。
【0053】
掃引は、H2O2を加えてから60秒後に開始した。コントロールには同様に燐酸緩衝液を用い、それに対する抑制率(%)として算出した。
なお、ESR装置によるスペクトル解析は、全て次の条件で行った。
出力4mWのもとに、磁場掃引幅;335.6mT、
磁場変調;0.1mT、
増幅率 ;125、
掃引時間;2分、
応当時間;0.1秒、
測定温度は室温である。
【0054】
(2) 測定試料の調整
本発明の栄養補助食品は、基本品、スピルリナ入り、霊芝入り、グルカン液入りの4種を、測定試料として選択した。
すべてのサンプル用量は、0.2mg/ml、2mg/ml、20mg/mlに調整して測定した。
【0055】
3.測定結果
(1) ESRによる・O2 -消去活性の測定成績(平均)
実験の結果、・O2 -消去活性、20mg/mlにおいて、
基本品(胚芽・表皮90%) 89%
基本品(胚芽・表皮80%) 81%
グルカン液入り 78%
スピルリナ入り 76%
霊芝入り 72%
の平均値が得られた。
【0056】
(2) フェントン反応に対する抑制率は、20mg/mlにおいて、
基本品 97%
スピルリナ入り 92%
霊芝入り 79%
グルカン液入り 75%
の平均値が得られた。
【0057】
これに示されるように、グルカン液入り、スピルリナ入りなども高い・O2 -消去活性を示した。しかし、素材の配合比から見ると、胚芽・表皮の比率が大きいから、これに因るものといえる。従って、表皮・胚芽の配合割合が50重量%程度であっても、・O2 -消去活性は70%を維持できる事がわかる。
【0058】
このように、本発明の栄養補助食品は、体内における活性酸素の消去活性に著しく優れていることが確認された。
このことは、同時に、体内の活性酸素によって惹起されていた障害から派生する各種疾患、特に高血圧症、高脂血症の発症抑制、代謝全般にも薬剤的な効果があることが推認される。これを、保健食品として人が摂取して効率の良い量は、1日当り10g〜25gである。
【0059】
インスリン不足で血糖が増加すると、血液の粘度が高まり、血流を阻害し、また、血小板,赤血球,白血球,フィブリンなどが血管壁に凝固して血栓、梗塞、血管瘤などを起こす。血流障害により、血管壁の新陳代謝が阻害されて硬化したり、病巣が拡大し、血流路が狭くなると、これによって、血圧が高くなり、血流障害による末梢部の障害(機能不全、痴呆、肩こり、腰痛、アレルギー、免疫不全による癌その他疾患)、並びに血管の破裂(くも膜下出血、静脈瘤破裂ほか)等が症候群として生じる。
【0060】
増加する成人病において、循環器疾患(高血圧症、動脈硬化症、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞)の高脂血症(高コレステロール、高中性脂肪)との関わりは大きく、合併症としては、高血糖、高血圧症、慢性肝炎などが挙げられる。
この高脂血症などに対する本発明栄養補助食品の効果について、出願人会社の顧問・佐藤巳代吉医師の臨床データの例を次に示す。
【0061】
症例1.男(39歳)、ストレスによる精神不安、疲労感、高度の肝機能障害、糖尿病。空腹時血糖値309。
本発明栄養補助食品(霊芝入り、グルカン液入り)を、それぞれ1日21gずつ食べ続けたところ、23日目に、血糖値は118(正常な空腹時の血糖値は110以下)になった。糖尿病もほぼ正常に回復した。
【0062】
症例2.女(56歳)、糖尿病、高脂血症。
食前に本発明栄養補助食品(基本品)を1日21gずつ食べ続けた。血糖値は、1週間で144から128に下った。中性脂肪は、500から263になった。
【0063】
症例3.男(55歳)、慢性肝炎。
肝機能のγGTPが、250〜450の間にあったが、本発明栄養補助食品(霊芝入り)を1日21gずつ食べ続けたところ、2か月後には、γGTP100以下(正常は40以下)にまで下った。
【0064】
症例4.女(72歳)、168mmHg前後の高血圧症。
本発明栄養補助食品(基本品)を、保健用として1日21gずつ食べ続けたところ、25日目に血圧は、下108mmHg〜上135mmHgにまで降下した。
【0065】
これらの症例を見ると、本発明の栄養補助食品を摂取することにより、脂肪代謝が活性化されて、高脂血症が改善されていることが認められる。また糖代謝が活性化されて、血糖値が改善されている。
【0066】
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものではなく、例えばビタミン類、朝鮮ニンジン末、鬱金末、クコ末、ニンニク末、ギョウジャニンニク末、海藻(沃素源として)等や、動物蛋白質として鼈末、乾燥蛇末、乾燥貝、乾燥魚あるいは蟹殻粉、脱脂粉乳等を、封缶、封包直前に添加するなど、栄養素を補強する事ができる。
【0067】
本発明の栄養補助食品は、そのままの状態で食べることもできるが、果汁や牛乳などの液体に溶かしてもよいし、ゼリー、クリーム、パン類、麺類、マンナン類等に混合させてもよい。また、乾燥工程において、雰囲気を上げずに真空を利用した乾燥をすることが出来る。
【0068】
【発明の効果】
上記のように構成されたこの発明は、次のような優れた効果を有している。
【0069】
(1) 請求項1に記載された発明は、基質に種菌を培養、熟成させた麹を、そのまま培養床において麹自体の温度を44℃〜46℃の範囲に維持して9時間前後乾燥させることによって、含有水分は2.5〜3.6%になる。この温度範囲で9時間という長時間で、植物である麹菌は脱水され熱変化により死滅する。
しかし食品中の酵素群は、この熱や乾燥では、酵素のもつ触媒作用を失活させることはない。麹菌を殺菌しないということは、他の雑菌も生きていることになり、そのような食品を食べることは、食品衛生上で好ましくないので、本発明食品は確実に殺菌されている安全な食品である。
【0070】
(2) 請求項2に記載された発明は、細かな粒の胚芽や表皮の基質と大粒の玄米が混合された状態の培養床においては、玄米の重みが下部にある細粒度の基質の負担となって、空気流通を妨げる虞があったものが、玄米の粒を小さくしたことによって、細粒度の胚芽や表河とともに玄米を麹にすることができて、玄米の持つ栄養素を添加させることができる。
【0071】
(3) 請求項1または2にの方法で製造された食品は、麹菌が分泌した酵素を多く含み、これを栄養補助食品、保健食品として定量(1日10g〜25g)継続して摂取するとき、人体内における有用な蛋白、糖鎖、酵素源、並びに代謝活性源として発揮され、血液の酸化を防止し、活性酸素により生じる様々な疾患の予防をし、かつ、総合的な栄養価により健康体維持をさせることができる。
その結果、優れた脂肪代謝活性や糖代謝活性を有し、血流の改善に伴い高脂血症、高血圧、心臓病その他循環器の障害解消に効果がある。
Claims (3)
- 玄米の胚芽と表皮とが45重量%〜95重量%含まれている穀物を主材とする基質に麹菌を培養、熟成させた麹を、培養床における麹自体の温度を44℃〜46℃の範囲に維持して9時間前後乾燥させ、含有水分を2.5%〜3.6%として、麹菌は死滅し、含有酵素は失活していない状態で粉末の食品とすることを特徴とする栄養補助食品の製造方法。
- 前記基質には、全粒を破砕した玄米が、全体量の5重量%〜15重量%混合されて蒸され、製麹工程を経ること、を特徴とする請求項1に記載の栄養補助食品の製造方法。
- 請求項1又は2の方法により製造されたことを特徴とする栄養補助食品。
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