JP2018117618A - ティリロサイド及びクロロゲン酸類を含有する飲料 - Google Patents

ティリロサイド及びクロロゲン酸類を含有する飲料 Download PDF

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【課題】本発明は、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料を提供すること、及び飲料においてティリロサイドに起因する苦味や収斂味を改善する方法を提供することを目的とする。【解決手段】ティリロサイド0.008〜1.0mg/100mlを含有する飲料において、クロロゲン酸類5〜350mg/100mlを含有させる。【選択図】なし

Description

本発明は、ティリロサイド及びクロロゲン酸類を含有する飲料に関する。
フラボノール、フラバノン、フラバノール等のポリフェノールは、優れた生理作用を有することが知られており、この生理作用をより効果的に発現させるためには、ポリフェノールをより多く継続して摂取することが有効である。そして多量のポリフェノールを簡便に摂取できる形態として飲料がある。しかしながら、高濃度のポリフェノールを含有する飲料は、ポリフェノール特有の苦味や収斂味を有しているため、継続して摂取する上で障害になりやすい。そこで、ポリフェノールの苦味や収斂味を低減する方法が種々提案されており、例えば、スクラロース(特許文献1)やコラーゲン由来ペプチド(特許文献2)によるポリフェノールの渋味等を低減する方法が提案されている。
一方、ローズヒップ等の植物には、ポリフェノールの一種であるティリロサイドが含まれていることが知られている。ローズヒップはバラ科バラ属の植物の果実であり、それに含まれる豊富な栄養成分によって、高い美肌効果が得られることや、抗菌、抗ウイルス及び免疫力強化等の効果が得られることや、体脂肪率の低下や肝臓中の中性脂質の減少に関する効果が得られること(特許文献3)が知られている。そして、これら生理作用を期待した飲料への応用が検討されている。
特開2008−99677号公報 特開2006−271259号公報 特許第3790767号
上述した通り、ティリロサイド及びこれを含むローズヒップ抽出物は、体脂肪の減少作用等を通じて肥満の解消が期待できる有効な素材である。しかしながら、本発明者らによるティリロサイドの飲料への利用検討において、ティリロサイドの独特の苦味や収斂味が感じられること、特に中性の飲料や甘味度の低い飲料ではティリロサイドの苦味や収斂味が顕著であることが判明した。
そこで、本発明は、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、飲料におけるティリロサイド由来の苦味や収斂味の改善に関して、所定量のクロロゲン酸類に特に優れた効果があることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1)ティリロサイドを0.008〜1.0mg/100ml、及びクロロゲン酸類を5〜350mg/100ml含有する、飲料。
(2)ティリロサイドの含有量が0.01〜0.1mg/100mlである、(1)に記載の飲料。
(3)コーヒー飲料である、(1)又は(2)に記載の飲料。
本発明によって、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料を提供することが可能となる。ティリロサイドはまた、ローズヒップ等の天然植物に含まれており、飲食品に使用可能な素材である。そのため、本発明によって提供される飲料は、安全性が高く、副作用も少ないものと考えられる。なお、詳細な作用機序は明らかではなく、特に限定することを意図するものではないが、ティリロサイドにより生じる独特の苦味や収斂味と、クロロゲン酸類により生じる苦味、収斂味、及び独特の風味とは互いに打ち消し合い、結果としてティリロサイドに由来する苦味や収斂味は感じられにくくなるものと考えられる。
本発明の一態様は、ティリロサイドを0.008〜1.0mg/100ml、及びクロロゲン酸類を5〜350mg/100ml含有する飲料である。
(ティリロサイド)
本発明の飲料に含まれるティリロサイド(Tiliroside)は、フラボノイド配糖体に分類される有機化合物の一種であって、下式(1)の構造を有する化合物である。ティリロサイドの別名はKaempferol-3-O-glucoside-6''-E-coumaroylとも称され、そのCAS登録番号は20316−62−5である。構造名・構造式から自明な通り、ティリロサイドは、ケンフェロール、クマル酸、グルコースから構成されている。
Figure 2018117618
このようにティリロサイドは、他のフラボノイドや配糖体にはない特徴的な構造を持つ。飲料形態でティリロサイドを利用したときに苦味や収斂味を有することは、このユニークな構造からは容易に想像できるものではない。
ティリロサイドは、市販されている既知の化合物である。本発明では、ティリロサイドは純品又は植物抽出物の形態で用いることができる。ティリロサイドの市販品としては、フナコシより販売されているもの、Merck KGaAによって販売されているもの等が挙げられる。また、ティリロサイドを含有する植物抽出物としては、森下仁丹製のローズヒップ抽出物、オリザ油化製のイチゴ種子抽出物等が挙げられる。
本発明の飲料は、0.008〜1.0mg/100mlのティリロサイドを含有する。飲料中のティリロサイドの含有量が上記の範囲内であれば、ティリロサイドの有益な生理作用を発揮しつつ、且つティリロサイドに由来する苦味や収斂味を後述するクロロゲン酸類によって効果的に改善することができるが、飲料中のティリロサイド含有量が1.0mg/100mlを超えると、ティリロサイドの苦味や収斂味が強くなりすぎて本発明の効果が得られないことがある。効果及び香味の観点から、本発明の飲料におけるティリロサイドの含有量は、好ましくは0.01mg/100ml以上、より好ましくは0.02mg/100ml以上である。また、本発明の飲料におけるティリロサイドの含有量は、好ましくは0.5mg/100ml以下、又は0.3mg/100ml以下、より好ましくは0.1mg/100ml以下である。
本発明におけるティリロサイドの含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定することができる。HPLCによる測定条件を以下に示す。
・溶離液:37.5%アセトニトリル
・流速:1 mL
・検出:UV 254 nm
・カラム:資生堂CAPCELL PAK C18 (4.6 × 250 mm)
(クロロゲン酸類)
本発明の飲料は、クロロゲン酸類を含有する。本発明におけるクロロゲン酸類とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4-フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5−ジカフェオイルキナ酸をいい、本発明の飲料中のクロロゲン酸類の含有量は、本発明の飲料におけるこれら化合物の合計の含有量(mg/100ml)を意味する。クロロゲン酸類の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定することができる。HPLCによる測定条件は後述の実施例に示す。なお、クロロゲン酸類の測定では、必要に応じて、本発明の飲料を純水にて適宜希釈した後、0.45μmのフィルターにてろ過し、HPLCに注入する。
本発明の飲料におけるクロロゲン酸類の含有量は、5〜350mg/100mlである。飲料中のクロロゲン酸類の含有量が上記の範囲内であれば、ティリロサイドに由来する苦味や収斂味を効果的に改善することができる。本発明の飲料におけるクロロゲン酸類の含有量は、好ましくは10mg/100ml以上、より好ましくは20mg/100ml以上である。また、本発明の飲料におけるクロロゲン酸類の含有量は、好ましくは、250mg/100ml以下、230mg/100ml以下、200mg/100ml以下、又は180mg/100ml以下、より好ましくは150mg/100ml以下である。
本発明においてクロロゲン酸類は、クロロゲン酸類を含有する天然物、特に植物から抽出したもの又はその精製品を用いてもよいし、化学合成により工業的に製造したものを用いてもよい。本発明の好ましい実施形態としては、クロロゲン酸類は植物抽出物由来のものである。クロロゲン酸類を含有する植物としては、例えば、コーヒー豆、南天の葉、リンゴ等が挙げられる。かかる植物抽出物の調製は、特に制限されず、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。
(飲料)
本発明の飲料は、特定量のティリロサイド及びクロロゲン酸類を含有する飲料であり、後味として残りやすいティリロサイドの苦味や収斂味を所定量のクロロゲン酸を用いることで低減し、飲料の嗜好性を向上させるものである。本発明者らの検討によると、ティリロサイドの苦味や収斂味は、特に飲料が中性である場合に強くなる傾向にある。そのため、本発明の好適な態様は、飲料が中性であることである。具体的には、本発明の飲料は、好ましくはpH5〜7であり、より好ましくはpH5.5〜7である。
本発明の飲料には、pHを上記範囲内に調整するために、pH調整剤を含有させることができる。pH調整剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、及び水酸化ナトリウムからなる群より選択されるいずれか1種以上を使用することができる。
また、本発明者らの検討によると、甘味度が一定以下に抑えられている低甘味度の飲料では、それよりも甘味度が高い飲料と比較して、ティリロサイドの苦味や収斂味が目立ちやすい傾向にある。したがって、効果の顕著さから、低甘味度の飲料は本発明の飲料の好適な態様である。ここで「低甘味度」の飲料とは、具体的には甘味度が2以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下の飲料をいう。なお、下限値は0以上であり、好ましくは0.01以上である。甘味度とは、甘味の強さを示す尺度であり、ショ糖1重量%(20℃)の甘味を1とした場合の相対比である。飲料の甘味度は、当該飲料に含まれる各甘味成分の量(重量濃度)を、ショ糖の甘味1に対する当該甘味成分の甘味の相対比に基づいて、ショ糖の相当量に換算して、次いで当該飲料に含まれる全ての甘味成分のショ糖甘味換算量を総計することによって求めることができる。なお、ショ糖の甘味1に対する各種甘味成分の甘味の相対比は、公知の砂糖甘味換算表(マクマリー有機化学(第7版)988頁)から求めることができる。
本発明の飲料の好適な態様の一つとして、コーヒー飲料が挙げられる。ここで「コーヒー飲料」とは、コーヒー分を原料として使用して製造される飲料をいう。なお、コーヒー分とは、コーヒー豆由来の成分を含有する液のことをいい、例えば、コーヒー抽出液、即ち、焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水等を用いて抽出した液が挙げられる。また、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥したインスタントコーヒー等を、水や温水等で適量に調整した液も、コーヒー分として挙げられる。コーヒー分にはクロロゲン酸類が含まれている。そのため、原料の一部にクロロゲン酸類が含まれるコーヒー飲料は、製造の手軽さや飲料の香味的な観点から、本発明の飲料の好適な態様である。特に、飲料に添加される乳分や甘味成分などコーヒー分以外の成分を含まないブラックコーヒーは、本発明の好適な態様の一例である。
その他、本発明の飲料には、本発明の所期の目的を逸脱しない範囲であれば、飲料の種類に応じて、各種添加剤等が配合されていてもよい。各種添加剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、品質安定剤等が挙げられる。
本発明の飲料は、ティリロサイドの苦味や収斂味が低減された飲みやすい飲料である。したがって、ティリロサイドの生理作用を期待して継続摂取する飲料として、常温で長期保存でき、即時飲用可能な形態(RTD:Ready To Drink)とするのが、ユーザーの観点の簡便性から優れている。
ポリフェノールを含有する容器詰め飲料は、長期間保存したときに苦渋味の増加や劣化臭・劣化風味の発生、ポリフェノールの残存率低下等を生じやすく、商品価値を損なうことがある。しかし、所定量のティリロサイド及びクロロゲン酸を含む本発明の飲料は、保存安定性を有する。かかる観点から、加熱殺菌処理を経て得られる容器詰め飲料は本発明の一態様である。この場合、容器の種類は特に限定されず、アルミ缶、スチール缶、PETボトル、ガラス瓶、紙容器など、飲料において通常用いられる容器のいずれも用いることができる。
本発明の飲料は、上述した成分を適宜配合することにより製造することができる。クロロゲン酸類の含有量に関して、例えば、焙煎コーヒー豆の抽出液を原料として用いる場合であれば、当該抽出液中のクロロゲン酸類量を測定した上で本発明の飲料中のクロロゲン酸類の含有量を調整することができる。また、本発明の飲料は、必要に応じて殺菌等の工程を経て、容器詰め飲料とすることができる。例えば、飲料を容器に充填した後に加熱殺菌等を行う方法や、飲料を殺菌してから無菌環境下で容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。本発明の好ましい実施形態として、本発明の飲料は容器詰め飲料である。
本発明の飲料の製造において、各種成分の配合順序は特に限定されるものではない。また、本発明の飲料の製造においては、上記に示した成分及び材料を配合する工程やそれらの含有量を調整する工程も含むことができる。本発明の飲料の製造における飲料中の成分の種類やその含有量等の各種要素については、本発明の飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
(実験例1:ティリロサイド含有飲料の評価)
ティリロサイドとしてフナコシ製のもの(純度99%)を使用した。水溶液中のティリロサイド濃度が、表1に記載の濃度となるように、ティリロサイドを水(pH7のイオン交換水)に溶解した。種々の濃度のティリロサイド溶液(pH:約7、甘味度:0)について、5名のパネルにより、ティリロサイドに由来する苦味及び収斂味の有無を評価した。評価は、苦味や収斂味の有無について各自が実施した後、パネル全員で協議して決定した。
結果を表1に示す。ティリロサイドを0.008mg/100ml以上の濃度で含有する溶液は、ティリロサイドの苦味や収斂味を有し、飲みにくい飲料であることが判明した。
Figure 2018117618
(実験例2:クロロゲン酸によるティリロサイドの苦味・収斂味低減作用(1))
実験例1と同様にして、ティリロサイド含有量が0.02mg/100mlとなる試料溶液を調製した(試料2−1)。また、表2に記載の濃度となるように、ティリロサイド(フナコシ、純度99%)及びクロロゲン酸0.5水和物(ナカライテスク)をpH7のイオン交換水に溶解し、種々の濃度のクロロゲン酸を含有するティリロサイド溶液を調製した(pH:約7、甘味度:0)(試料2−2〜2−11)。各種試料溶液について、5名のパネルにより、ティリロサイドに由来する苦味及び収斂味の強さを評価した。評価は、以下の基準に基づいて各自が実施した後、パネル全員で協議して評価点を決定した。
5点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味を感じない。
4点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味をほとんど感じない。
3点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味を少し感じるが、後味には残らない。
2点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味があり、後味に残る。
1点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味が強く、後味に大きく残る。
結果を表2に示す。ティリロサイドを0.02mg/100mlの濃度で含有する飲料は、ティリロサイドの苦味や収斂味を強く感じ、飲みにくい飲料であったが、5mg/100ml以上のクロロゲン酸を含有させることによって、ティリロサイドの苦味や収斂味を効果的に緩和(低減)することができた。
Figure 2018117618
なお、500mg/100mlのクロロゲン酸を含有させると、クロロゲン酸に起因する苦味が強く感じられ、飲用に適さないと評価するパネルもいた。そのため、飲料の飲みやすさを含めてティリロサイドに由来する苦味や収斂味を低減するのに効果的なクロロゲン酸含量は、5〜350mg/100mlであることが示唆された。
(実験例3:クロロゲン酸によるティリロサイドの苦味・収斂味低減作用(2))
実験例2と同様にして、表3に示された濃度の試料溶液を調製した(pH:約7、甘味度:0)(試料3−1〜3−3)。各種試料溶液について、実験例2と同様の方法及び基準で官能評価を実施した。
結果を表3に示す。ティリロサイドが0.05mg/100mlの場合も、特定量のクロロゲン酸を含有させることで、ティリロサイドに由来する苦味及び収斂味を効果的に低減することができた。
Figure 2018117618
(実験例4:クロロゲン酸によるティリロサイドの苦味・収斂味低減作用(3))
実験例2と同様にして、表4に示された濃度の試料溶液を調製した(pH:約7、甘味度:0)(試料4−1〜4−9)。各種試料溶液について、実験例2と同様の方法及び基準で官能評価を実施した。
結果を表4に示す。ティリロサイドが0.008〜1.0mg/100mlの場合も、5〜350mg/100mlのクロロゲン酸を含有することで、ティリロサイドに由来する苦味及び収斂味を効果的に低減することができた。一方、飲料中のティリロサイド含有量が2.0mg/100mlの場合は、ティリロサイドの苦味や収斂味が強過ぎて、クロロゲン酸類を多量に配合してもティリロサイド由来の苦味や収斂味を低減することはできなかった。
Figure 2018117618
(実験例5:クロロゲン酸によるティリロサイドの苦味・収斂味低減作用(4))
実験例2と同様にして、表5に示された濃度の試料溶液を調製した(pH:約7、甘味度:0)(試料5−1〜5−6)。各種試料溶液について、実験例2と同様の方法及び基準で官能評価を実施した。
結果を表5に示す。ティリロサイド濃度が0.01mg/100ml〜0.1mg/100mlの場合も、特定量のクロロゲン酸を含有させることで、ティリロサイドに由来する苦味及び収斂味を効果的に低減することができた。
Figure 2018117618
(実験例6:ティリロサイド含有コーヒー飲料の評価(1))
クロロゲン酸類の供給源としてコーヒー分を用いて、ティリロサイド由来の苦味及び収斂味の改善作用に関する評価を行った。
コーヒー分として、市販のインスタントコーヒーを所定の割合で水に溶解したものを作製した(試料A)。HPLCを用いて試料Aにおけるクロロゲン酸類の含有量を測定したところ、20mg/100mlであった。測定方法としては、試料Aを下記の移動相Aで10倍希釈(w/w)した後、メンブランフィルター(ADVANTEC製 Cellulose Acetate 0.45μm)で濾過し、HPLCに注入した。そして、クロロゲン酸0.5水和物を標準物質として用い、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4-フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5−ジカフェオイルキナ酸の9種のクロロゲン酸類のピーク面積値から、含有量を求めた。HPLCの条件は下記の通りである。
・カラム:ガードカラムInertsil ODS-3(4.0mmφx20mm)+Inertsil ODS-2(4.6mmφx250mm)(GLサイエンス)
・移動相:A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、3(V/V)%アセトニトリル溶液
B:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、97(V/V)%アセトニトリル溶液
・流速:1.0ml/min
・カラム温度:35℃
・グラディエント条件;分析開始から1分後まではA液100%保持、
1分から20分まででB液13%、
20分から25分まででB液13%保持、
25分から27分まででB液15%、
27分から45分までB液15%保持、
45分から55分まででB液20%、
55分から60分まででB液100%
60分から70分までB液100%保持、
70分から75分までA液100%、
75分から100分までA液100%保持
・注入量:10.0μl
・検出波長:325nm
・標準物質:クロロゲン酸0.5水和物(含量99%)(和光一級)
上記の試料Aを別途作製して、これにクロロゲン酸0.5水和物(ナカライテスク)を添加してコーヒー分中のクロロゲン酸類濃度が50mg/100ml又は150mg/100mlとなる試料も調製した。これらの試料(コーヒー分)に、ティリロサイド含有量が0.02mg/100mlとなるようにティリロサイド(フナコシ、純度99%)を添加して、クロロゲン酸類濃度の異なるティリロサイド含有コーヒー飲料を製造した(試料6−1〜6−3)。得られたコーヒー飲料について、実験例2と同様の方法及び基準で官能評価を実施した。
結果を表6に示す。コーヒー分由来のクロロゲン酸類を用いた場合にも、ティリロサイド由来の苦味や収斂味を効果的に低減できた。
Figure 2018117618
(実験例7:ティリロサイド含有コーヒー飲料の評価(2))
実験例6と同様にして、最終形態のコーヒー飲料の濃度が表6に示した通りになるよう各種コーヒー飲料を調製し、それぞれ缶容器に190mlずつ充填して容器詰めコーヒー飲料とした。得られた容器詰めコーヒー飲料は、120〜125℃、5分間の条件で加熱殺菌した。加熱殺菌された容器詰めコーヒー飲料について、室温まで冷却した後、5名のパネルにより官能評価を実施した。その結果、パネル全員が、加熱殺菌後のコーヒー飲料のいずれについてもティリロサイドの苦味や収斂味を感じないと評価した。
また、上記の加熱殺菌された容器詰めコーヒー飲料を別途調製して、55℃で2週間保管し、保管後の風味を5名のパネルにより評価した。なお、55℃で2週間の保管は、長期保存(常温10ヶ月相当)の加速試験を意味する。評価の結果、いずれのコーヒー飲料とも、パネル全員が、保管後もティリロサイドの苦味や収斂味が抑制されており、保管前と比べて苦味等が増加していない、嗜好性の高い飲料であると判断した。
(実験例8:ティリロサイド含有コーヒー飲料の評価(3))
ティリロサイド及びクロロゲン酸類の濃度を表7に示した通りに変える以外は実験例7と同様にして、加熱殺菌済みの容器詰めコーヒー飲料を製造した(試料7−1〜7−5)。各種容器詰めコーヒー飲料について、室温まで冷却した後、実験例2と同様の方法及び基準で官能評価を実施した。
結果を表7に示す。ティリロサイド濃度が0.05mg/100ml又は0.1mg/100mlの場合も、コーヒー分由来のクロロゲン酸類を特定量含有させることで、効果的にティリロサイドの苦味や収斂味を低減することができた。ただし、ティリロサイド濃度が2mg/100mlの場合には、クロロゲン酸類によるティリロサイドの苦味及び収斂味の低減効果は得られなかった。
Figure 2018117618

Claims (3)

  1. ティリロサイドを0.008〜1.0mg/100ml、及びクロロゲン酸類を5〜350mg/100ml含有する、飲料。
  2. ティリロサイドの含有量が0.01〜0.1mg/100mlである、請求項1に記載の飲料。
  3. コーヒー飲料である、請求項1又は2に記載の飲料。
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