JP2008017834A - 容器詰飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】風味を損うことなく、非重合体カテキン類を高濃度で含む容器詰飲料の苦味を低減する。
【解決手段】(A)非重合体カテキン類を0.05〜0.5質量%、及び(B)ソーマチンを0.00001〜0.005質量%含有する容器詰飲料及び非重合体カテキン類含有飲料の苦味抑制方法。
【選択図】なし

Description

本発明は非重合体カテキン類を高濃度で含有し、かつ苦味が抑制された容器詰飲料に関する。
カテキン類の効果としてはコレステロール上昇抑制作用やアミラーゼ活性阻害作用などが報告されている(例えば、特許文献1、2参照)。カテキン類のこのような生理効果を発現させるためには、大量のカテキン類を摂取する必要があるために、飲料にカテキン類を高濃度配合する技術が望まれている。この方法の一つとして、緑茶抽出物の濃縮物(例えば、特許文献3〜5参照)などを利用して、カテキン類を飲料に溶解状態で添加する方法がある。
しかし、カテキン類を高濃度に含む飲料は、飲んだときに苦味が強く感じられ、常飲が困難である。これら飲料のうち、茶系飲料の苦味を低減する方法として、サイクロデキストリンを配合する方法が報告されている(例えば特許文献1〜6)。すなわち、特許文献1は、茶抽出物1質量部乾燥質量に対し、サイクロデキストリン2.5質量部以上を含有する茶抽出物含有組成物を、特許文献2は、カテキン類1質量%以上、カフェイン0.1質量%以下及びサイクロデキストリン0.1〜20質量%の各量を含む飲食物の製造に際し、茶抽出液に水蒸気賦活炭を作用させカフェインを吸着・除去する方法を、特許文献3、4は、カテキン類及びサイクロデキストリンを各特定量含む容器詰飲料をそれぞれ開示している。さらに、特許文献5ではクラスターデキストリンを高濃度茶カテキン類に配合することにより苦味が抑制された容器詰茶飲料を、特許文献6ではさらに高濃度のカテキン類に対しするサイクロデキストリンの苦味抑制効果を開示している。また、特許文献7ではスクラロースと種々甘味料を併用して、スクラロース特有の甘味とそれに不足している甘味を補った甘味組成物が開示されている。しかし、高濃度カテキン飲料の有する苦味を低減させると言った技術に関しては言及されていない。
特開平3−168046号公報 特開平10−4919号公報 特開2002−238518号公報 特開2004−129662号公報 特開2004−159641号公報 特開2004−254511号公報 特表2000−24273号公報
このように、非重合体カテキン類を高濃度に含む容器詰飲料に、サイクロデキストリンを配合することによって加熱殺菌処理後の苦味を低減させるには、多量のサイクロデキストリンが必要であった。しかしながら多量のサイクロデキストリンを配合するとサイクロデキストリン自身の風味によって飲料本来の風味が損なわれてしまう欠点があり、使用量については限界があった。また、スクラロース等の低濃度で効果を発揮する甘味量を配合しただけでは非重合体カテキン類を高濃度に含む容器詰飲料の苦味を抑制する効果は不十分であった。
従って、本発明の目的は飲料本来の風味を損うことなく、かつ、非重合体カテキン類を高濃度に含む容器詰飲料の苦味を低減する手段を提供することにある。
そこで本発明者は、非重合体カテキン類を高濃度に含む容器詰飲料の加熱殺菌後の風味を低下させることなく、苦味を低減させるべく検討した結果、ソーマチンを配合することにより優れた苦味抑制効果が得られ、飲料本来の風味を保持した容器詰飲料が得られることを見出した。また、非重合体カテキン類中のガレート体率を調整すれば、さらに苦味が抑制できることも見出した。
すなわち、本発明は、(A)非重合体カテキン類を0.05〜0.5質量%、及び(B)ソーマチンを0.00001〜0.005質量%含有する容器詰飲料及び非重合体カテキン類含有飲料の苦味抑制方法を提供するものである。
本発明によれば、非重合体カテキン類を高濃度で含む容器詰飲料であって、苦味が抑制され、かつ風味が良好である飲料を提供できる。
本発明で(A)非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を合わせての総称であり、非重合体カテキン類の濃度は、上記の合計8種の合計量に基づいて定義される。
本発明の容器詰飲料中には、非重合体カテキン類を、0.05〜0.5質量%、好ましくは0.07〜0.4質量%、さらに好ましくは0.08〜0.3質量%、最も好ましくは0.09〜0.2質量%含有する。非重合体カテキン類がこの範囲内であれば多量の非重合体カテキン類を容易に摂取し易く、非重合体カテキン類の生理効果が期待できる。また、非重合体カテキン類含量が0.05質量%未満である場合、生理効果の発現が十分ではなく、0.5質量%を超えると飲料の苦味が増加する。
本発明の容器詰飲料中の非重合体カテキン類にはエピガロカテキンガレート、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピカテキンからなるエピ体と、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、ガロカテキン及びカテキンからなる非エピ体がある。従って、本発明の容器詰飲料に使用できる(A)非重合体カテキン類中の(C)非重合体カテキン類の非エピ体の割合([(C)/(A)]×100)は5〜25質量%が好ましく、さらに8〜20質量%、特に10〜15質量%であることが風味及び非重合体カテキン類の保存安定性の観点から好ましい。
本発明の容器詰飲料中の非重合体カテキン類にはエピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなるガレート体と、エピガロカテキンとガロカテキン及びエピカテキンとカテキンからなる非ガレート体がある。エステル型非重合体カテキン類であるガレート体は苦味が強いことから、本発明容器詰飲料に使用できる(A)非重合体カテキン類中の(D)非重合体カテキン類のガレート体類の割合([(D)/(A)]×100)は5〜55質量%が好ましく、さらに8〜51質量%であることが苦味抑制の観点から好ましい。
本発明における前記の高濃度の非重合体カテキン類を有する容器詰飲料は、例えば緑茶抽出物の精製物を配合して非重合体カテキン類濃度を調整して得ることができる。具体的には、緑茶抽出物の精製物の水溶液、あるいは当該緑茶抽出物の精製物に緑茶抽出液、半発酵茶抽出液又は発酵茶抽出液を配合したものが挙げられる。ここでいう緑茶抽出物の精製物とは、緑茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出した溶液から水分を一部除去したもの、精製して非重合体カテキン類濃度を高めたものであり、形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものが挙げられる。また、緑茶、半発酵茶及び発酵茶から選ばれる茶抽出液とは濃縮や精製操作を行わない抽出液のことをいう。
非重合体カテキン類を含有する緑茶抽出物の精製物としては市販の三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などから選択できる。更に、これらを精製したものを用いてもよい。精製の方法としては、例えば緑茶抽出物の濃縮物を水又は水とエタノールなどの有機溶媒の混合物に懸濁して生じた沈殿を除去し、次いで溶媒を留去する方法がある。あるいは茶葉から熱水もしくはエタノールなどの水溶性有機溶媒により抽出した抽出物を濃縮したものをさらに精製したもの、あるいは抽出物を直接精製したものを用いてもよい。
本発明の容器詰飲料に用いる非重合体カテキン類は、緑茶抽出物又はその精製物をタンナーゼ処理により、ガレート体率を低下することができる。タンナーゼによる処理は、緑茶抽出物の非重合体カテキン類に対してタンナーゼを0.5〜10質量%の範囲になるように添加することが好ましい。タンナーゼ処理の温度は、酵素活性が得られる15〜40℃が好ましく、さらに好ましくは20〜30℃である。タンナーゼ処理時のpHは、酵素活性が得られる4.0〜6.0が好ましく、さらに好ましくは4.5〜6.0であり、特に好ましくは5.0〜6.0である。
本発明の容器詰飲料における(A)非重合体カテキン類と(E)カフェインとの含有重量比[(E)/(A)]は0.0001〜0.16が好ましく、より好ましくは0.001〜0.15、さらに好ましくは0.01〜0.14、さらに好ましくは0.05〜0.13である。非重合体カテキン類に対するカフェインの比率が低すぎると、風味バランス上好ましくない。また非重合体カテキン類に対するカフェインの比率が高すぎると、飲料本来の外観を害し好ましくない。カフェインは、原料として用いる緑茶抽出物、香料、果汁及び他の成分中に天然で存在するカフェインであっても、新たに加えられたカフェインであってもよい。
本発明の容器詰飲料に用いられる(B)ソーマチンは、Marantaceae科のThaumatococcus danielliiの果実に含まれる蛋白質性甘味物質である。甘味度は、砂糖の2600〜3100倍と極めて強く、苦味や渋みなどのない爽快な甘味を呈するため、良好な食品用甘味剤として市販されている。また、ソーマチンは食品素材自身の持つ固有の風味(フレーバー)を増強する作用も有している。
本発明において、非重合体カテキン類の苦味は甘味よりも後に出てくるため、通常使用する甘味料では甘味の発現が早く、非重合体カテキン類の苦味を十分にマスキングすることができない。しかし、本発明で使用するソーマチンは、非重合体カテキン類の苦味とソーマチン自体の甘味を感じる時間がほぼ同じとなるため、非重合体カテキン類の苦味を良好にマスキングできると考えられる。
本発明の容器詰飲料で使用されるソーマチンは、Marantaceae科のThaumatococcus danielliiの果実から抽出、精製して使用するが、すでに市販されているソーマチン製剤、例えば三栄源エフ・エフ・アイ(株)製の商品名サンスイートT、サンスイートT−147、ネオサンマルクDC、ネオサンマルクAGや英国Tate&Lyle社の商品名タリン(Talin)を用いることもできる。
本発明の容器詰飲料で使用されるソーマチンは、最終濃度、すなわち容器詰飲料中の濃度が0.00001〜0.005質量%、さらに0.00002〜0.001質量%、特に0.0001〜0.0005質量%となるように添加するのが、最終容器詰飲料の苦味低減化効果、風味低下抑制の点で好ましい。尚、ソーマチンの濃度は特開2005−10104号公報記載の抗体法により分析することができる。
本発明の容器詰飲料において、ソーマチン以外の甘味料を用いてもよい。甘味料としては、炭水化物類、グリセロール類、人工甘味料が使用できる。これらの甘味料は、本発明の容器詰飲料中に0.0001〜20質量%、さらに0.001〜15質量%、特に0.01〜10質量%含有するのが好ましい。本発明の容器詰飲料は、甘味料が少なすぎると甘みがほとんどなく、酸味、塩味とのバランスがとれないのでショ糖を1としたときの甘味度が2以上であることが好ましい(参考文献:JISZ8144、官能評価分析−用語、番号3011、甘味;JISZ9080、官能評価分析−方法、試験方法;飲料用語辞典4−2甘味度の分類、資料11(ビバレッジジャパン社);特性等級試験mAG試験、ISO 6564−1985(E)、「Sensory Analysis−Methodology−Flavour profile method」等)。一方、甘味度が8以上になると、甘すぎて喉にひっかかる感覚が強く、喉越しが低下する。尚、これらの甘味料は茶抽出物中のものも含む。
炭水化物系甘味料としては、単糖、オリゴ糖、複合多糖又はそれらの混合物を含む。このうち、ブドウ糖、果糖、ショ糖及び果糖ブドウ糖液糖から選ばれる1種又は2種以上の天然から得られる炭水化物が特に好ましい。
本発明の容器詰飲料中のブドウ糖含有量は、好ましくは0.0001〜20質量%、さらに好ましくは0.001〜15質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%である。本発明の容器詰飲料中の果糖含有量は好ましくは0.0001〜20質量%、さらに好ましくは0.001〜15質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%である。果糖ブドウ糖液糖はこれらの混合液糖であり、含有量は好ましくは0.01〜7質量%、さらに好ましくは0.1〜6質量%、特に好ましくは1.0〜5質量%である。これらの甘味料は、合計20質量%以上配合すると飲料の保存中に褐変による着色が生じる。
オリゴ糖としては、二糖のショ糖又はテンサイ糖として知られるスクロースが好ましい。ショ糖の形態としては、グラニュー糖、液糖、上白糖などがあり、これらをいずれも使用できる。本発明の容器詰飲料中のショ糖含有量は、好ましくは0.001〜20質量%、さらに好ましくは0.01〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
複合多糖の好ましい例はマルトデキストリンである。また、炭水化物誘導体、多価アルコール、例えばグリセロール類も本発明で用いることができる。グリセロール類は、例えば0.1〜15質量%、好ましくは0.2〜10質量%、本発明の容器詰飲料に使用できる。
本発明の容器詰飲料に用いられる甘味料のうち、糖アルコールとしてはエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、マルチトール、ラクチトール、パラチノース、マンニトール等があげられる。これらのうち、カロリーがないエリスリトールが好ましい。これらの糖アルコールの含有量は、0.0001〜20質量%が好ましい。
本発明の容器詰飲料に用いられる甘味料のうち、人工甘味料としてはアスパルテーム、スクラロース、サッカリン、シクラメート、アセスルフェーム−K、L−アスパルチル−L−フェニルアラニン低級アルキルエステル、L−アスパルチル−D−アラニンアミド、L−アスパルチル−D−セリンアミド、L−アスパルチル−ヒドロキシメチルアルカンアミド、L−アスパルチル−1−ヒドロキシエチルアルカンアミド、などの高甘度甘味料、合成アルコキシ芳香族化合物等がある。これらの人工甘味料の含有量は、0.0001〜20質量%である。また、ステビノシド及び他の天然源の甘味料も使用できる。
本発明の容器詰飲料には、電解質であるナトリウムを0.001〜0.5質量%及び/又はカリウム0.001〜0.2質量%を含有することができる。ここで、ナトリウム及びカリウムの合計濃度は、0.001〜0.5質量%が好ましく、この合計が0.001質量%未満であると、飲む場面によっては味的に物足りなく感じる傾向があり、好ましくない。一方、0.5質量%を超えると塩類自体の味が強く、長期間の飲用に好ましくない傾向がある。
本発明に用いられるナトリウムとしては、アスコルビン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等及びそれらの混合物のような容易に入手しうるナトリウム塩を配合することができる。又、ナトリウムは加えられた果汁又は茶の成分由来のものも含まれる。ナトリウム濃度が高くなるほど、飲料の変色する度合いが高くなる。飲料の安定性の観点から、本発明の容器詰飲料中のナトリウム含有量は、好ましくは0.001〜0.5質量%、より好ましくは0.002〜0.4質量%、さらに好ましくは0.003〜0.2質量%である。
本発明に用いられるカリウムとしては、茶抽出液に含有するカリウム以外の化合物を添加してその濃度を高めることができる。例えば、カリウム塩化物、炭酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、酒石酸カリウム、ソルビン酸カリウム等又はそれらの混合物のようなカリウム塩を配合してもよいし、加えられた果汁又は香料由来のものも含まれる。カリウム濃度は、ナトリウム濃度に比べて、長期間高温保存時での色調への影響が大きい。このように高温保存時での色調の安定性の観点から、本発明の容器詰飲料中のカリウム含有量は、好ましくは0.001〜0.2質量%、より好ましくは0.002〜0.15質量%、さらに好ましくは0.003〜0.12質量%である。
本発明の容器詰飲料には、酸味料が使用できる。本発明における酸味料はアスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸及びこれらの塩類から選ばれる1種以上である。これら単独でも長期の保存に適したpHになるが、適度な酸味を得るには又はそれらの塩類との併用が好ましい。具体的にはクエン酸3ナトリウム、クエン酸1カリウム、クエン酸3カリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸3ナトリウム、酒石酸水素カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、フマル酸ナトリウム等が挙げられる。
その他の酸味料としては、アジピン酸、天然成分から抽出した果汁類が挙げられる。酸味料は全体として本発明の容器詰飲料中に0.01〜0.7質量%、特に0.02〜0.6質量%含有するのが好ましい。酸味料の濃度が範囲内の場合には、苦味、渋味は抑制できるが酸味が弱すぎる。一方、酸味料の濃度が0.7質量%より大きい場合には、酸味が強くなるが苦みや渋みも強くなる。
また無機酸類、無機酸塩類も使用できる。無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、メタリン酸3ナトリウム、リン酸3カリウム等が挙げられる。これらの無機酸類、無機酸塩類は、容器詰飲料中0.01〜0.5質量%、特に0.02〜0.3質量%が好ましい。
本発明の容器詰飲料では、風味及び保存安定性の観点でpHが2.5〜5.1の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは3.0〜5.0であり、特に好ましくは3.8〜4.5である。すなわち、pHが2.5未満では酸味が強くなり、長期の保存において非重合体カテキン類が減少する。又、pHが5.1を超えると長期の保存においても併用する炭水化物との反応などにより非重合体カテキン類が減少する。pHの調整は、アスコルビン酸又はその塩やクエン酸などで前記範囲にすることにより、長期の保存が可能で適度な酸味を有する飲料となる。
香料(フレーバー)や果汁(フルーツジュース)は嗜好性を高めるために本発明の飲料に配合できる。天然又は合成香料や果汁が本発明で使用できる。これらはフルーツジュース、フルーツフレーバー、植物フレーバー又はそれらの混合物から選択できる。特に、フルーツジュースと一緒に茶フレーバー、好ましくは緑茶又は黒茶フレーバーの組合せが好ましい。果汁はリンゴ、ナシ、レモン、ライム、マンダリン、グレープフルーツ、クランベリー、オレンジ、ストロベリー、ブドウ、キゥイ、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴ、グァバ、ラズベリー及びチェリーを使用できる。好ましくはシトラスジュース、グレープフルーツ、オレンジ、レモン、ライム、マンダリンと、マンゴ、パッションフルーツ及びグァバのジュース、又はそれらの混合物が最も好ましい。好ましい天然フレーバーはジャスミン、カミツレ、バラ、ペパーミント、サンザシ、キク、ヒシ、サトウキビ、レイシ、タケノコ等である。果汁は本発明飲料中に0.001〜20重量%、さらに0.002〜10重量%含有するのが好ましい。特に好ましい香料はオレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー及びグレープフルーツフレーバーを含めたシトラスフレーバーである。シトラスフレーバー以外にも、リンゴフレーバー、ブドウフレーバー、ラズベリーフレーバー、クランベリーフレーバー、チェリーフレーバー、パイナップルフレーバー等のような様々な他のフルーツフレーバーが使用できる。これらのフレーバーはフルーツジュース及び香油のような天然源から誘導しても、又は合成してもよい。
香料には、様々なフレーバーのブレンド、例えばレモン及びライムフレーバー、シトラスフレーバーと選択されたスパイス(典型的コーラソフトドリンクフレーバー)等を含めることができる。このような香料は本発明飲料に好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.001〜3重量%を配合できる。
本発明の容器詰飲料には、ビタミンをさらに含有させることができる。ビタミンA、ビタミンB及びビタミンEが加えられことが好ましい。ビタミンBとしてはイノシトール、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、リボフラビン、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、ナイアシン、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、ピリドキシ塩酸塩、シアノコバラミンから選ばれるビタミンB群が挙げられ、葉酸、ビオチンも本発明の飲料に用いることができる。これらのビタミンは1日所要量(米国RDI基準:US2005/0003068記載:U.S.Reference Daily Intake)の少なくとも10質量%以上であることが好ましい。
本発明の容器詰飲料には、ミネラルをさらに含有させることができる。好ましいミネラルはカルシウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン及び亜鉛である。特に好ましいミネラルはマグネシウム、リン及び鉄である。
本発明の容器詰飲料には、非重合体カテキン類の苦味を抑制させるためにサイクロデキストリンを併用することができる。サイクロデキストリンは、α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリンが挙げられる。これらのサイクロデキストリンは、本発明の容器詰飲料中に好ましくは、好ましくは0.005〜0.3質量%、更に好ましくは0.02〜0.25質量%、特に好ましくは0.05〜0.25質量%となるように添加する。
このように本発明の容器詰飲料には、茶由来の成分にあわせて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して配合しても良い。
本発明の容器詰飲料は、非炭酸飲料としてもよいが、炭酸ガスにより適度な気泡性を有する炭酸飲料とすることにより、非重合体カテキン類の苦味を抑制させることができ、さらにソフト感及び清涼感を継続して付与することもできる。また、本発明の容器の容器詰飲料は、茶系飲料とすることも、非茶系飲料とすることもできる。茶系飲料としては、緑茶飲料等の不発酵茶飲料、烏龍茶飲料等の半発酵茶飲料、紅茶飲料等の発酵茶飲料が挙げられる。また、本発明の容器詰飲料は、機能性飲料とすることもでき、例えばエンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、スポーツドリンク、ニアウォーター等の非茶系飲料とすることもできる。
本発明の容器詰飲料のカロリーは、飲料100mL中に含まれるブドウ糖、果糖及びショ糖は1gにつき4kcalで算出し、エリスリトールは1gにつき0Kcalで算出する。ここで本発明の容器詰飲料は、低カロリーである40kcal/240mL以下が好ましく、さらに好ましくは1〜35kcal/240mL以下、特に好ましくは2〜30kcal/240mL以下である。
本発明の容器詰飲料に使用できる容器は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
また本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
非重合体カテキン類及びカフェインの測定
メンブランフィルター(0.8μm)でろ過し、次いで蒸留水で希釈した試料を、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、移動相の流速は1mL/分、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った(通常カテキン類及びカフェインの濃度は、質量/体積%(%[w/v])で表すが、実施例中の含有量は液量を掛けて質量で示した)。なお、グラディエント条件は以下の通りである。
時間(分) A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0 97% 3%
5 97% 3%
37 80% 20%
43 80% 20%
43.5 0% 100%
48.5 0% 100%
49 97% 3%
60 97% 3%
風味の評価
パネラー5名により飲用試験を行った。
保存試験
調製した飲料を37℃で4週間保存し、保存前後での飲料の色調変化を、5名のパネラーに目視で以下の基準で評点をつけさせた。
A:変化しない、B:やや変化する、C:変化する、D:大きく変化する
実施例1
市販の緑茶抽出物の濃縮物(三井農林(株)「ポリフェノンHG」)100gを90.0質量%エタノール900gに分散させ、30分熟成し、2号濾紙及び孔径0.2μmの濾紙で濾過し、水200mLを加えて減圧濃縮することによって精製物を得た。得られた精製物中の(A)非重合体カテキン類は15.2質量%、(C)非重合体カテキンガレート体類の割合は52.1質量%であった。この緑茶抽出物の精製物のうち8.5gと、ネオサンマルクDC(ソーマチン含有量1.1質量%、三栄源エフエフアイ(株)製)を0.18g溶解した。次に、エリスリトール、無水結晶ぶどう糖、グレープフルーツ果汁、無水クエン酸、クエン酸3Na、食塩、L−アスコルビン酸、グレープフルーツ香料を添加して全量を1,000gとした。配合後、UHT殺菌しPETボトルに充填した。この容器詰飲料の組成、風味評価結果及び保存試験結果を表1に示す。
実施例2
実施例1における精製物を製造する際、得られた非重合体カテキン類組成物のうち75.0g(非重合体カテキン類11.47g、ガレート体率:52.1%)をステンレス容器に投入し、イオン交換水で全量を1,000gとし、5質量%重炭酸ナトリウム水溶液3.0gを添加してpH5.5に調整した。次いで、22℃、150r/minの攪拌条件下で、イオン交換水1.07g中にキッコーマンタンナーゼKTFH(Industrial Grade、500U/g以上)0.27g(非重合体カテキン類に対して2.4%)を溶解した液を添加し、55分後にpHが4.24に低下した時点で酵素反応を終了した。次いで95℃の温浴にステンレス容器を浸漬し、90℃、10分間保持して酵素活性を完全に失活した後、25℃まで冷却した後に濃縮処理を行った。タンナーゼ処理後に得られた精製緑茶抽出物の(A)非重合体カテキン類は、16.8質量%、(C)非重合体ガレート体率は39.7質量%であった。この精製物7.7gを使用した以外は実施例1と同様にして容器詰飲料を製造した。この飲料の組成、風味評価、保存試験結果を表1に示す。
実施例3
ネオサンマルクDCを0.018gに減量した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料を製造した。
実施例4
ネオサンマルクDCを1.8gに増量した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料を製造した。
実施例5
静岡産の緑茶葉135gを65℃に加熱したイオン交換水4kgに加えて5分間抽出し、次いで抽出液から茶葉を除き、熱交換器で25℃以下に冷却した。次にネル濾過により抽出液中の沈殿物や浮遊物を取り除き、円盤型デプスフィルター(ゼータプラス10C)で濾過した。一方、市販の緑茶抽出物の濃縮物(三井農林(株)「ポリフェノンHG」)100gを90.0質量%エタノール900gに分散させ、30分熟成し、2号濾紙及び孔径0.2μmの濾紙で濾過し、水200mLを加えて減圧濃縮して精製物を得た。この緑茶抽出物の精製物のうち6.0g、サンスイートT147(ソーマチン含有量10質量%、三栄源エフエフアイ(株)製)を0.02g及び先の茶抽出液210gとアスコルビン酸0.5g、緑茶香料1.0gを加え希釈し、全量を1,000gにした後、UHT殺菌しPETボトルに充填した。この容器詰飲料の組成、風味評価、保存試験結果を表2に示す。
実施例6
サンスイートT147を0.002gに減量した以外は、実施例5と同様にして容器詰飲料を製造した。
実施例7
サンスイートT147を0.2gに増量した以外は、実施例5と同様にして容器詰飲料を製造した。
実施例8
実施例5と同様にして得られた緑茶抽出物の精製物のうち0.85g、紅茶抽出液の濃縮物0.3g、サンスイートT147(ソーマチン含有量10質量%、三栄源エフエフアイ(株)製)を0.02g及びアスコルビン酸0.5g、紅茶香料1.0gを加え希釈後、全量を1,000gにした後、UHT殺菌しPETボトルに充填した。この容器詰飲料の組成、風味評価、保存試験結果を表2に示す。
比較例1
ネオサンマルクDCを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料を製造した。
比較例2
ネオサンマルクDCを0.0018gに減量した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料を製造した。
比較例3
ネオサンマルクDCを添加せずに、エリスリトールを40g、無水結晶ぶどう糖を20gに増量した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料を製造した。
比較例4
実施例1で製造した緑茶抽出物の精製物を34.0gに増量した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料を製造した。
比較例5
サンスイートT147を添加しなかった以外は、実施例5と同様にして容器詰飲料を製造した。
比較例6
サンスイートT147を0.0002gに減量した以外は、実施例5と同様にして容器詰飲料を製造した。
比較例7
実施例5で製造した緑茶抽出物の精製物を33.0gに増量した以外は、実施例5と同様にして容器詰飲料を製造した。
表1、表2から明らかなように、高濃度の非重合体カテキン類を含有する容器詰飲料にソーマチンを配合すると顕著に苦味が抑制された。また、ガレート体率を調整すれば、さらに顕著に苦味が抑制された。
Figure 2008017834
Figure 2008017834

Claims (18)

  1. (A)非重合体カテキン類を0.05〜0.5質量%、及び(B)ソーマチンを0.00001〜0.005質量%含有する容器詰飲料。
  2. 緑茶抽出物の精製物を配合した請求項1記載の容器詰飲料。
  3. (C)非重合体カテキン類の非エピ体率が5〜25質量%である請求項1又は2項記載の容器詰飲料。
  4. (A)非重合体カテキン類中の(D)非重合体カテキンガレート体類の割合が5〜55質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  5. (E)カフェインと(A)非重合体カテキン類との含有重量比[(E)/(A)]が0.0001〜0.16である請求項1〜4のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  6. 果糖、ブドウ糖、ショ糖及び果糖ブドウ糖液糖から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  7. さらに、糖アルコールを含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  8. さらに、人工甘味料を含有する請求項1〜7のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  9. さらに、アスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸及びそれらの塩類から選ばれる1種以上を含有する請求項1〜8のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  10. さらに、イノシトール、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、リボフラビン、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、ナイアシン、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、ピリドキシ塩酸塩及びシアノコバラミンから選ばれるビタミンB群、葉酸並びにビオチンから選ばれる1種以上を含有する請求項1〜9のいずれか1項記載の容器詰緑茶飲料。
  11. ショ糖を1としたときの甘味度が2以上である請求項1〜10のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  12. 非茶系飲料である請求項1〜11のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  13. 不発酵茶飲料である請求項1〜11のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  14. 半発酵茶飲料である請求項1〜11のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  15. 発酵茶飲料である請求項1〜11のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  16. 炭酸飲料である請求項1〜15のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  17. 非炭酸飲料である請求項1〜15のいずれか1項記載の容器詰飲料。
  18. (A)非重合体カテキン類を0.05〜0.5質量%含有する飲料に、(B)ソーマチンを0.00001〜0.005質量%配合し、(A)非重合体カテキン類中の(C)非重合体カテキンガレート体類の割合を5〜55質量%とする非重合体カテキン類含有飲料の苦味抑制方法。
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