以下、本発明の実施の形態に係る接合レンズを適用した撮像レンズ系11の実施例について説明する。
[実施例1]
図1は、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の構成を示す図である。図1に示すように、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、像側に凹形状で負のパワーを有する第1レンズL1と、像側に凹形状で負のパワーを有する第2レンズL2と、物体側に凸形状で正のパワーを有する第3レンズL3と、絞りSTOPと、像側に凹形状で負のパワーを有する前方レンズLAと、物体側および像側に凸形状で正のパワーを有する中間レンズLBと、物体側に凹形状で負のパワーを有する後方レンズLCとからなる接合レンズLABC、から構成される。接合レンズLABCは撮像レンズ系11の第4レンズとなっている。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。
第1レンズL1は、負のパワーを有する球面メニスカスレンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は正の曲率を有する球面であり、像側レンズ面S2は正の曲率を有する球面である。物体側レンズ面S1は物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S2は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
第2レンズL2は、負のパワーを有する非球面レンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面S3は負の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S4は正の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S3は光軸Zの近傍で像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S4は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
第3レンズL3は、正のパワーを有する非球面レンズである。物体側レンズ面S5は正の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S6は負の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S5は物体側に突出する凸形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S6は光軸Zの近傍で像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
第1レンズL1及び第2レンズL2は、大きい入射角からの入射光線を少しずつ光軸Zに沿った小さい角度に変換してから絞りSTOPを通過させる働きを有する。第1レンズL1及び第2レンズL2の像側レンズ面は、光線を拡げるために、双方とも負の曲率を有する。第3レンズL3は、物体側に凸形状の正レンズであり、第1レンズL1及び第2レンズL2で発散された光線を収束させる働きを有する。広角化を達成するために上記の構成が必要であり、130度以上の全画角を達成できる。
接合レンズLABCの物体側の前方レンズLAは、負のパワーを有する非球面メニスカスレンズである。前方レンズLAの物体側レンズ面S9は正の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S10は正の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S9は光軸Zの近傍で物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S10は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
接合レンズLABCの中間レンズLBは、正のパワーを有する非球面両凸レンズである。中間レンズL5の物体側レンズ面S11は正の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S12は負の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S11は光軸Zの近傍で物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S12は光軸Zの近傍で像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
接合レンズLABCの後方レンズLCは、負のパワーを有する非球面メニスカスレンズである。後方レンズLCの物体側レンズ面S13は負の曲率を有する非球面であり、像側レンズ面S14は負の曲率を有する非球面である。物体側レンズ面S13は像側に窪む凹形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S14は光軸Zの近傍で像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
前方レンズLAの像側レンズ面S10と中間レンズLBの物体側レンズ面S11とは接着剤により貼り合わされている。また、中間レンズLBの像側レンズ面S12と後方レンズLCの物体側レンズ面S13とは接着剤により貼り合わされている。すなわち、前方レンズLA、中間レンズLBおよび後方レンズLCの3枚のレンズを貼り合わせることにより、3枚接合レンズを構成する。つまり、撮像レンズ系11では、絞りSTOPよりも像側には本発明に係る3枚接合レンズのみが配置される。
IRカットフィルタ12は、赤外領域の光をカットするためのフィルタである。カバーガラス13は、撮像素子を保護するためのガラス板である。IRカットフィルタ12及びカバーガラス13は、撮像レンズ系11の設計時には、撮像レンズ系11と一体として扱われる。しかし、IRカットフィルタ12及びカバーガラス13は、撮像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
表1に、撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。レンズデータとしては、各面の曲率半径、面間隔、屈折率及びアッベ数を載せている。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
表1において、接合レンズの前方レンズLAのアッベ数νd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている24である。接合レンズの中間レンズLBのアッベ数νd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている56である。接合レンズの後方レンズLCのアッベ数νd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている24である。つまり、実施例1において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数は33以下、中間レンズLBのアッベ数は50以上である。
接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率nd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている1.635である。中間レンズLBの屈折率nd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている1.535である。後方レンズLCの屈折率nd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている1.635である。つまり、実施例1において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCの屈折率nd(A)、nd(C)は1.6以上、中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.6未満である。
前方レンズと中間レンズを接合する物体側接着層のアッベ数は第10面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。中間レンズと後方レンズを接合する像側接着層のアッベ数は第12面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。
従って、物体側および像側の接着剤層は、負のパワーを備える前方レンズLAおよび後方レンズより大きく、かつ、正のパワーを備える中間レンズLBより小さいアッベ数を有している。また接着剤層は、前方レンズLAおよび後方レンズLCより小さく、かつ、中間レンズLBより小さい屈折率を有している。
また、3枚接合レンズLABCにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
第9面から第14面が、接合レンズLABCの構成となる。第9面は前方レンズLAの入射面(曲率半径をr1、中心厚みをdAとする。)、第10面は前方レンズLAの出射面(曲率半径をr2とする。)、第11面は中間レンズLBの入射面(曲率半径をr3、中心厚みをdBとする。)、第12面は中間レンズLBの出射面(曲率半径をr4とする。)、第13面は後方レンズLCの入射面(曲率半径をr5、中心厚みをdCとする。)、第14面は後方レンズLCの出射面(曲率半径をr6とする。)を表している。第10面と第11面との間、第12面と第13面との間は接着剤で満たされている。
接合レンズの入射面(前方レンズLAの物体側面)の曲率半径r1は、第9面の欄に記載されている2.232(mm)である。接合レンズの出射面(後方レンズLCの像側面)の曲率半径r6は、第14面の欄に記載されている−1.452の絶対値1.452(mm)である。ともに接合レンズの中心厚みd(前方レンズの中心厚みdA=0.45と、中間レンズの中心厚みdB=1.998と、後方レンズの中心厚みdC=0.45の総和)2.898(mm)よりも短い。
また、中間レンズLBの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3は第11面の1.024(mm)、出射面(像側接合面)の曲率半径r4は第12面の−0.754の絶対値0.754(mm)で、それぞれ、中間レンズLBの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の1.998(mm))よりも短く、物体側接合面の曲率半径r3の絶対値|r3|と像側接合面の曲率半径r4の絶対値|r4|の合計1.778(mm)も、中間レンズLBの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の1.998(mm))よりも短い。
レンズ面に採用される非球面形状は、zをサグ量、cを曲率半径の逆数、kを円錐係数、rを光軸からの光線高さとして、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数をそれぞれα4、α6、α8、α10、α12、α14、α16としたときに、次式により表わされる。
表2に、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表2において、例えば「−3.60256E+02」は、「−3.60256×102」を意味する。
本発明の接合レンズは、撮像レンズ系の絞りの像側に配置されており、前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数を33以下とし、中間レンズLBのアッベ数を50以上としている。これにより、軸上色収差を良好に補正することができる。上述したように、実施例1においてもこの条件を満たしている(表1参照)。
このような接合レンズが仮に全体として負のパワーを有する場合、軸上色収差の補正は良好にできるものの、全長の増大を抑えるために、3枚接合レンズの像側において撮像素子に集光させるための(テレセントリック性を確保するための)レンズをさらに配置しなくてはならない。これに対し、本発明の接合レンズは全体として正のパワーを有することで、全長の増大を抑えるために、像側において撮像素子に集光させるためのレンズを追加配置しなくても済むので、撮像レンズ系におけるレンズ枚数を減らしコンパクト化が実現できる。
本発明の接合レンズでは、貼り合わせ面はいずれも非球面である。貼り合わせ面を非球面とすることで、軸上色収差をより良好に補正することができる。実施例1においては、表1に示すように、3枚接合レンズにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
本発明の接合レンズでは、中間レンズは、物体側レンズ面および像側レンズ面のいずれもが凸形状であることが好ましい。中間レンズを凸形状にすることにより3枚接合レンズが正のパワーを発生させるので、テレセントリック性を確保しやすくなる。実施例1においては、図1に示すように、中間レンズは、物体側レンズ面および像側レンズ面のいずれもが凸形状である。
図2(a)〜(c)は、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の縦収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。図2(a)〜(c)に示すように、実施例1の接合レンズを適用した撮像レンズ系11では、半画角ωが102.5°、F値が2.0である。図2(a)の縦収差図では、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図2(b)の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図2(b)において、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図2(c)の歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図2(a)〜図2(c)では、波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示してある。
[実施例2]
図3は、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の構成を示す図である。図3に示すように、第1レンズL1〜第3レンズL3、接合レンズLABCは、実施例1と同様の形状をしている。接合レンズLABCは撮像レンズ系11の第4レンズとなっている。
表3に、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。
表3において、接合レンズの前方レンズLAのアッベ数νd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている24である。接合レンズの中間レンズLBのアッベ数νd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている56である。接合レンズの後方レンズLCのアッベ数νd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている24である。つまり、実施例2において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数は33以下、中間レンズLBのアッベ数は50以上である。
接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率nd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている1.635である。中間レンズLBの屈折率nd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている1.535である。後方レンズLCの屈折率nd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている1.635である。つまり、実施例2において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCの屈折率nd(A)、nd(C)は1.6以上、中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.6未満である。
前方レンズと中間レンズを接合する物体側接着層のアッベ数は第10面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。中間レンズと後方レンズを接合する像側接着層のアッベ数は第12面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。従って、物体側および像側の接着剤層は、負のパワーを備える前方レンズLAおよび後方レンズLCより大きく、かつ、正のパワーを備える中間レンズLBより小さいアッベ数を有している。
また接着剤層は、前方レンズLAおよび後方レンズLCより小さく、かつ、中間レンズLBより小さい屈折率ndを有している。
また、3枚接合レンズLABCにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
第9面から第14面が、接合レンズLABCの構成となる。第9面は前方レンズLAの入射面(曲率半径をr1、中心厚みをdAとする。)、第10面は前方レンズLAの出射面(曲率半径をr2とする。)、第11面は中間レンズLBの入射面(曲率半径をr3、中心厚みをdBとする。)、第12面は中間レンズLBの出射面(曲率半径をr4とする。)、第13面は後方レンズLCの入射面(曲率半径をr5、中心厚みをdCとする。)、第14面は後方レンズLCの出射面(曲率半径をr6とする。)を表している。第10面と第11面との間、第12面と第13面との間は接着剤で満たされている。
接合レンズの入射面(前方レンズの物体側面)の曲率半径r1は、第9面の欄に記載されている2.270(mm)である。接合レンズの出射面(後方レンズの像側面)の曲率半径r6は、第14面の欄に記載されている−1.445の絶対値1.445(mm)である。ともに接合レンズの中心厚みd(前方レンズの中心厚みdA=0.45と、中間レンズの中心厚みdB=2.104と、後方レンズの中心厚みdC=0.45の総和)3.004(mm)よりも短い。
また、中間レンズLBの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3は第11面の0.967(mm)、出射面(像側接合面)の曲率半径r4は第12面の−0.827の絶対値0.827(mm)で、それぞれ、中間レンズLBの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.104(mm))よりも短く、物体側接合面の曲率半径r3の絶対値|r3|と像側接合面の曲率半径r4の絶対値|r4|の合計1.794(mm)も、中間レンズLBの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.104(mm))よりも短い。
表4に、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
図4(a)〜(c)は、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の縦収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。図4(a)〜(c)に示すように、実施例2の接合レンズを適用した撮像レンズ系11では、半画角ωが102°、F値が2.0である。
[実施例3]
図5は、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の構成を示す図である。図5に示すように、第1レンズL1〜第3レンズL3、接合レンズLABCは、実施例1と同様の形状をしている。接合レンズLABCは撮像レンズ系11の第4レンズとなっている。
表5に、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。
表5において、接合レンズの前方レンズLAのアッベ数νd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている24である。接合レンズの中間レンズLBのアッベ数νd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている56である。接合レンズの後方レンズLCのアッベ数νd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている24である。つまり、実施例3において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数は33以下、中間レンズLBのアッベ数は50以上である。
接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率nd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている1.635である。中間レンズLBの屈折率nd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている1.535である。後方レンズLCの屈折率nd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている1.635である。つまり、実施例3において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCの屈折率nd(A)、nd(C)は1.6以上、中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.6未満である。
前方レンズと中間レンズを接合する物体側接着層のアッベ数は第10面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。中間レンズと後方レンズを接合する像側接着層のアッベ数は第12面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。従って、物体側および像側の接着剤層は、負のパワーを備える前方レンズLAおよび後方レンズより大きく、かつ、正のパワーを備える中間レンズLBより小さいアッベ数を有している。
また接着剤層は、前方レンズLAおよび後方レンズLCより小さく、かつ、中間レンズLBより小さい屈折率ndを有している。
また、3枚接合レンズにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
第9面から第14面が、接合レンズLABCの構成となる。第9面は前方レンズLAの入射面(曲率半径をr1、中心厚みをdAとする。)、第10面は前方レンズLAの出射面(曲率半径をr2とする。)、第11面は中間レンズLBの入射面(曲率半径をr3、中心厚みをdBとする。)、第12面は中間レンズLBの出射面(曲率半径をr4とする。)、第13面は後方レンズLCの入射面(曲率半径をr5、中心厚みをdCとする。)、第14面は後方レンズLCの出射面(曲率半径をr6とする。)を表している。第10面と第11面との間、第12面と第13面との間は接着剤で満たされている。
接合レンズの入射面(前方レンズの物体側面)の曲率半径r1は、第9面の欄に記載されている2.302(mm)である。接合レンズの出射面(後方レンズの像側面)の曲率半径r6は、第14面の欄に記載されている−1.427の絶対値1.427(mm)である。ともに接合レンズの中心厚みd(前方レンズの中心厚みdA=0.45と、中間レンズの中心厚みdB=2.231と、後方レンズの中心厚みdC=0.45の総和)3.131(mm)よりも短い。
また、中間レンズの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3は第11面の0.922(mm)、出射面(像側接合面)の曲率半径r4は第12面の−0.893の絶対値0.893(mm)で、それぞれ、中間レンズの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.231(mm))よりも短く、物体側接合面の曲率半径r3の絶対値|r3|と像側接合面の曲率半径r4の絶対値|r4|の合計1.815(mm)も、中間レンズの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.231(mm))よりも短い。
表6に、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
図6(a)〜(c)は、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の縦収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。図6(a)〜(c)に示すように、実施例3の接合レンズを適用した撮像レンズ系11では、半画角ωが102°、F値が2.0である。
[実施例4]
図7は、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の構成を示す図である。図7に示すように、第1レンズL1〜第3レンズL3、接合レンズLABCは、実施例1と同様の形状をしている。接合レンズLABCは撮像レンズ系11の第4レンズとなっている。
表7に、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。
表7において、接合レンズの前方レンズLAのアッベ数νd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている24である。接合レンズの中間レンズLBのアッベ数νd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている56である。接合レンズの後方レンズLCのアッベ数νd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている24である。つまり、実施例4において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCのアッベ数は33以下、中間レンズLBのアッベ数は50以上である。
接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率nd(A)は、前方レンズLAの物体側のレンズ面である第9面の欄に記載されている1.635である。中間レンズLBの屈折率nd(B)は、中間レンズLBの物体側のレンズ面である第11面の欄に記載されている1.535である。後方レンズLCの屈折率nd(C)は、後方レンズLCの物体側のレンズ面である第13面の欄に記載されている1.635である。つまり、実施例4において、接合レンズとしての前方レンズLAおよび後方レンズLCの屈折率nd(A)、nd(C)は1.6以上、中間レンズLBの屈折率nd(B)は1.6未満である。
前方レンズと中間レンズを接合する物体側接着層のアッベ数は第10面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。中間レンズと後方レンズを接合する像側接着層のアッベ数は第12面の欄に記載されている50であり屈折率ndは1.500である。従って、物体側および像側の接着剤層は、負のパワーを備える前方レンズLAおよび後方レンズより大きく、かつ、正のパワーを備える中間レンズLBより小さいアッベ数を有している。
また接着剤層は、前方レンズLAおよび後方レンズLCより小さく、かつ、中間レンズLBより小さい屈折率ndを有している。
また、3枚接合レンズLABCにおける貼り合わせ面の両方とも非球面である。
第9面から第14面が、接合レンズLABCの構成となる。第9面は前方レンズLAの入射面(曲率半径をr1、中心厚みをdAとする。)、第10面は前方レンズLAの出射面(曲率半径をr2とする。)、第11面は中間レンズLBの入射面(曲率半径をr3、中心厚みをdBとする。)、第12面は中間レンズLBの出射面(曲率半径をr4とする。)、第13面は後方レンズLCの入射面(曲率半径をr5、中心厚みをdCとする。)、第14面は後方レンズLCの出射面(曲率半径をr6とする。)を表している。第10面と第11面との間、第12面と第13面との間は接着剤で満たされている。
接合レンズの入射面(前方レンズの物体側面)の曲率半径r1は、第9面の欄に記載されている2.305(mm)である。接合レンズの出射面(後方レンズの像側面)の曲率半径r6は、第14面の欄に記載されている−1.390の絶対値1.390(mm)である。ともに接合レンズの中心厚みd(前方レンズの中心厚みdA=0.450と、中間レンズの中心厚みdB=2.069と、後方レンズの中心厚みdC=0.450の総和)2.969(mm)よりも短い。
また、中間レンズの入射面(物体側接合面)の曲率半径r3は第11面の0.965(mm)、出射面(像側接合面)の曲率半径r4は第12面の−0.988の絶対値0.988(mm)で、それぞれ、中間レンズの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の1.998(mm))よりも短く、物体側接合面の曲率半径r3の絶対値|r3|と像側接合面の曲率半径r4の絶対値|r4|の合計1.953(mm)も、中間レンズの中心厚みdB(第11面の面間隔の欄の2.069(mm))よりも短い。
表8に、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
図8(a)〜(c)は、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の縦収差図、像面湾曲図、歪曲収差図である。図8(a)〜(c)に示すように、実施例4の接合レンズを適用した撮像レンズ系11では、半画角ωが102.5°、F値が2.0である。
[実施例のまとめ]
表9に、実施例1〜4の接合レンズLABCを適用した撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。撮像レンズ系11において、第1レンズL1の焦点距離をf1、第2レンズL2の焦点距離をf2、第3レンズL3の焦点距離をf3、接合レンズLABCの前方レンズLAの焦点距離をfA、中間レンズLBの焦点距離をfB、後方レンズLCの焦点距離をfC、前方レンズLAと中間レンズLBと後方レンズLCとの合成焦点距離(3枚接合レンズの合成焦点距離)をfABC、レンズ全系の焦点距離をf、としたときのこれらの値を、撮像レンズ系の半画角、F値のデータとともに、表9に示す。
各種の焦点距離は、546nmの波長の光線を用いて、546nmの波長におけるレンズ材料の屈折率として、第1レンズL1の屈折率を1.7762、第2レンズL2の屈折率を1.537、第3レンズL3の屈折率を1.587、接合レンズLABCの前方レンズLAの屈折率を1.641、中間レンズLBの屈折率を1.537、後方レンズLCの屈折率を1.641として、それぞれ計算により求めた。
表10に、実施例1〜4の接合レンズLABCにおいて、接合レンズLABCおよび中間レンズLBにおける入射面・出射面の曲率半径と中心厚みとの関係を示す。
表10より明らかな通り、本発明の各実施例における接合レンズLABCは、入射面の曲率半径r1、出射面の曲率半径r6(絶対値)がともに中心厚みdよりも短い。さらに中間レンズLBは、入射面(物体側接合面)の曲率半径r3、出射面(像側接合面)の曲率半径r4(絶対値)がともに中間レンズの中心厚みdBよりも短い。また、中間レンズLBの物体側接合面の曲率半径r3の絶対値と像側接合面の曲率半径r4の絶対値の合計|r3|+|r4|もまた中間レンズの中心厚みdBよりも短い。このため広角撮像レンズ系において像面湾曲が少なく、高画角での色収差を小さくすることが実現できている。
[撮像装置への適用例]
図9は、本発明の接合レンズを適用した撮像レンズ系11を用いた撮像装置10の構成を示す図である。撮像装置10は、撮像レンズ系11と、IRカットフィルタ12と、カバーガラス13と、撮像素子14と、を備える。撮像レンズ系11と、IRカットフィルタ12と、カバーガラス13と、撮像素子14と、は筐体(不図示)に収容されている。
撮像素子14は、受光した光を電気信号に変換する素子であり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子14は、撮像レンズ系11の焦点位置に配置されている。なお、水平画角とは、撮像素子14の水平方向に対応する画角である。
IRカットフィルタ12は、赤外領域の光をカットするためのフィルタである。可視光のみがIRカットフィルタ12を通過して撮像素子14に入射する。カバーガラス13は、撮像素子14を異物から保護するために、撮像素子14上に設けられている。
なお、本発明の接合レンズは上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本発明の接合レンズを適用した撮像レンズ系11の用途は、車載カメラに限定されるものではなく、監視カメラや、携帯電話等の小型電子機器に搭載するカメラ等の他の用途にも用いることができる。