JP2018113101A - リチウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ケイ酸リチウム系化合物を用いつつも、高いサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池を得ることのできる、正極活物質として有用なリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記式(I):
Li2FeaMnbCocAld1 eSiO4・・・(I)
で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と、下記式(II):
LiFefMngMghCoi2 jPO4・・・(II)
で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とが担持してなり、かつ上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子の含有量と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の含有量との質量比((I):(II))が、50:50〜95:5であるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池におけるサイクル特性を有効に高めることのできるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、非水電解質電池の1種であり、携帯電話、デジタルカメラ、ノートPC、ハイブリッド自動車、電気自動車等広い分野に利用されている。リチウムイオン二次電池は、正極材料としてリチウム金属酸化物を用い、負極材料としてグラファイト等の炭素材を用いるものが主流となっている。
この正極材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMnO2)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、ケイ酸鉄リチウム(Li2FeSiO4)等、数多くのものが知られている。なかでも、オリビン構造を有するLi2FeSiO4等のケイ酸リチウム系化合物は、高容量のリチウムイオン二次電池に用いる優れた正極材料として注目を浴びており、従来より種々の開発がなされている。
例えば、特許文献1には、CoやMnを含むケイ酸リチウム化合物である固溶体化合物を含む正極活物質が開示されており、原料混合物を仮焼と本焼成の複数の焼成工程を介する固相反応によって固溶体化合物を得ている。また、特許文献2には、原料を混合、加熱して溶融した後、溶融物を徐冷する工程を含むことにより得られるシリケート系化合物が開示されている。
特開2007−335325号公報 特開2008−218303号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、製造に長時間を要するだけでなく、得られる化合物は、高温での焼成によって粒径が増大しやすい傾向にある。また、特許文献2に記載の方法により得られる化合物は、冷却過程での結晶化を伴うため、組成や結晶種のばらつきや、結晶における偏析が生じやすい上に、塊状の冷却物を粉砕する際、粒子に歪みが大きく蓄積してしまうおそれがある。
そのため、これらの化合物を正極材料として用いて電池を得た場合、1サイクル目では高い放電容量を示すことができても、2サイクル目以降の放電容量が良好に維持できなくなる可能性が高く、ケイ酸リチウム系化合物を用いた有用な正極活物質を実現させるには、さらなる改善が求められている。
したがって、本発明の課題は、ケイ酸リチウム系化合物を用いつつも、高いサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池を得ることのできる、リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体及びその製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、種々検討したところ、主としてケイ酸リチウム系化合物を用いつつも、ケイ酸リチウム系化合物の粒子とリン酸リチウム系化合物の粒子とが担持してなる複合体であれば、得られるリチウムイオン二次電池において、有効にサイクル特性を高めることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記式(I):
Li2FeaMnbCocAld1 eSiO4・・・(I)
(式(I)中、M1はNi、Zn、V又はZrを示す。a、b、c、d及びeは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e<1、及び2×(a+b+c)+3×d+(M1の価数)×e=2を満たし、かつa+b+c+d≠0を満たす数を示す。)
で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と、下記式(II):
LiFefMngMghCoi2 jPO4・・・(II)
(式(II)中、M2はNi、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。f、g、h、i及びjは、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i≦1、0≦j≦0.2、及び2×(f+g+h+i)+(M2の価数)×j=2を満たし、かつf+g+h+i≠0を満たす数を示す。)
で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とが担持してなり、かつ上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子の含有量と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の含有量との質量比((I):(II))が、50:50〜95:5であるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を提供するものである。
また、本発明は、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とを、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合処理する工程(X)を備える、上記リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の製造方法を提供するものである。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体によれば、これを用いて得られるリチウムイオン二次電池において、ケイ酸リチウム系化合物を用いつつも、充放電サイクルを経る度毎に放電容量が低下するのを有効に抑制することができ、優れたサイクル特性を良好に維持することが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、下記式(I):
Li2FeaMnbCocAld1 eSiO4・・・(I)
(式(I)中、M1はNi、Zn、V又はZrを示す。a、b、c、d及びeは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e<1、及び2×(a+b+c)+3×d+(M1の価数)×e=2を満たし、かつa+b+c+d≠0を満たす数を示す。)
で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と、下記式(II):
LiFefMngMghCoi2 jPO4・・・(II)
(式(II)中、M2はNi、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。f、g、h、i及びjは、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i≦1、0≦j≦0.2、及び2×(f+g+h+i)+(M2の価数)×j=2を満たし、かつf+g+h+i≠0を満たす数を示す。)
で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とが担持してなる粒子である。
これら上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子、及び上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子は、いずれもオリビン型構造を有する粒子である。前者のケイ酸リチウム系化合物粒子は、少なくとも鉄、マンガン、コバルト、アルミニウムのいずれかの金属を含み、後者のリン酸リチウム系化合物粒子は、少なくとも鉄、マンガン、マグネシウム、及びコバルトのいずれかの遷移金属を含み、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、これらの粒子が担持してなる有用なリチウムイオン二次電池用正極活物質である。
上記式(I)中、M1はNi、Zn、V又はZrを示し、好ましくはV又はZrであり、より好ましくはZrである。a、b、c、及びdは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦d≦1であり、好ましくは0.01≦a≦0.99、0.01≦b≦0.99、0≦c≦0.3、0≦d≦0.3であり、より好ましくは0.1≦a≦0.9、0.1≦b≦0.9、0≦c≦0.15、0≦d≦0.15である。eは、0≦e<1であり、好ましくは0<e<0.2である。そして、これらa、b、c、d及びeは、2×(a+b+c)+3×d+(M1の価数)×e=2を満たし、かつa+b+c+d≠0を満たす数である。
上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子としては、具体的には、例えばLi2Fe0.45Mn0.45Co0.1SiO4、Li2Fe0.36Mn0.54Al0.066SiO4、Li2Fe0.45Mn0.45Zn0.1SiO4、Li2Fe0.36Mn0.540.066SiO4、Li2Fe0.282Mn0.658Zr0.02SiO4等が挙げられ、なかでもLi2Fe0.282Mn0.658Zr0.02SiO4が好ましい。
上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子の平均粒径は、好ましくは10〜150nmであり、より好ましくは10〜120nmである。また、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子のタップ密度は、好ましくは0.4〜1.5g/cm3であり、より好ましくは0.5〜1.4g/cm3である。
なお、タップ密度とは、重量既知の測定対象試料m(g)を入れた測定用容器を機械的にタップし、体積変化が認められなくなった時の試料体積V(cm3)を読み取り、式m/Vを用いて計算された値から求めた平均値を意味する。
上記式(II)中、M2はNi、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示し、好ましくはMg、Zr、又はMoである。f、g、h、及びiは、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i≦1であり、好ましくは0.05≦f≦0.95、0.01≦g≦1、0≦h≦0.1、0≦i≦0.1であり、より好ましくは0.1≦f≦0.9、0.1≦g≦1、0≦h≦0.05、0≦i≦0.05である。jは、0≦j≦0.2であり、好ましくは0≦j<0.1である。そして、f、g、h、i及びjは、2×(f+g+h+i)+(M2の価数)×j=2を満たし、かつf+g+h+i≠0を満たす数である。
上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子としては、具体的には、例えばLiFe0.9Mn0.1PO4、LiFe0.2Mn0.8PO4、LiFe0.15Mn0.75Mg0.1PO4、LiFe0.19Mn0.75Zr0.03PO4等が挙げられ、なかでもLiFe0.2Mn0.8PO4が好ましい。
上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の平均粒径は、好ましくは30〜800nmであり、より好ましくは40〜500nmである。また、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子のタップ密度は、好ましくは0.4〜1.5g/cmであり、より好ましくは0.5〜1.4g/cm3である。
上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子の含有量と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の含有量との質量比((I):(II))は、50:50〜95:5であり、好ましくは55:45〜90:10であり、より好ましくは60:40〜85:15であり、さらに好ましくは65:35〜80:20である。本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、このような質量比を保持しつつ、複数の上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と複数の上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とが、互いに凝集しながら堅固に担持されてなる粒子である。こうした構造を有する複合体であることによって、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とが相乗的に作用し合うこととなり、リチウムイオン二次電池を構築した際、ケイ酸リチウム系化合物のみで構成された正極活物質を用いた場合よりも、優れたサイクル特性を発現することができる。これは、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子が充放電時に体積変化が大きい一方、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子が上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と比較して体積変化が小さいため、これらの粒子を担持させて複合体にすることで、充放電時の体積変化を総合的に抑制できるものと推定される。
上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子の含有量は、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体中に、好ましくは50〜94質量%であり、より好ましくは55〜89質量%であり、さらに好ましくは60〜84質量%である。また、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の含有量は、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体中に、好ましくは6〜50質量%であり、より好ましくは11〜45質量%であり、さらに好ましくは16〜40質量%である。
上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物の粒子表面、或いは上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子、及び上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の双方の粒子表面に、セルロースナノファイバー由来の炭素又は水溶性炭素材料由来の炭素が担持してなるのが好ましい。かかる炭素が担持してなることにより、これから得られるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体をリチウムイオン二次電池用正極として用いた際、充放電時における活物質粒子の体積変化に伴う活物質粒子間の導電パスの劣化を抑制し、優れたサイクル特性を発現することができるものと推定される。
上記炭素源としてのセルロースナノファイバーとは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、かかる細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維であり、セルロースナノファイバー由来の炭素は、周期的構造を有する。かかるセルロースナノファイバーの繊維径は、1nm〜100nmであり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖では、炭素による周期的構造が形成されていることから、これが炭化されつつ上記無機化合物とも相まって、双方のリチウム系化合物の粒子表面に堅固に担持されることにより、サイクル特性を向上させることのできる有用なリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を得ることができる。
上記炭素源としての水溶性炭素材料とは、25℃の水100gに、水溶性炭素材料の炭素原子換算量で0.4g以上、好ましくは1.0g以上溶解する炭素材料を意味し、炭化されることで炭素として上記リチウム系化合物粒子表面に存在する。かかる水溶性炭素材料としては、例えば、糖類、ポリオール、ポリエーテル、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類;マルトース、スクロース、セロビオース等の二糖類;デンプン、デキストリン等の多糖類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリビニルアルコール、グリセリン等のポリオールやポリエーテル;クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、溶媒への溶解性及び分散性を高めて炭素材料として効果的に機能させる観点から、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリンが好ましく、グルコースがより好ましい。
上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子表面、又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子表面に担持されてなる炭素の担持量は、上記炭素源である水溶性炭素材料の炭素原子換算量に相当する。かかる炭素の担持量(水溶性炭素材料由来の炭素の原子換算量)は、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子中に、好ましくは0.3〜20質量%であり、より好ましくは0.4〜15質量%であり、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
なお、リチウム系化合物粒子中に存在する水溶性炭素材料の炭素の原子換算量(炭素の担持量)は、炭素・硫黄分析装置を用いて測定した炭素量として、確認することができる。
上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子、又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子は、リチウム化合物を含む混合物Aに、ケイ酸化合物又はリン酸化合物を混合して複合体Aを得る工程(A)、
得られた複合体Aと、少なくとも鉄化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、又はアルミニウム化合物のいずれかを含む金属塩、或いは少なくとも鉄化合物、マンガン化合物、マグネシウム化合物、又はコバルト化合物のいずれかを含む金属塩を含有するスラリー水Bを水熱反応に付して複合体Bを得る工程(B)、並びに
得られた複合体Bを焼成する工程(C)
を備える製造方法により得ることができ、これら上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とを各々独立した上記製造方法にしたがって製造し、別個独立した粒子として得る。
すなわち、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子を得る場合には、工程(A)においてケイ酸化合物を用い、工程(B)において少なくとも鉄化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、又はアルミニウム化合物のいずれかを含む金属塩を用いればよく、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子を得る場合には、工程(A)においてリン酸化合物を用い、工程(B)において少なくとも鉄化合物、マンガン化合物、マグネシウム化合物、又はコバルト化合物のいずれかを含む金属塩を用いればよい。また、これらのリチウム系化合物粒子表面にセルロースナノファイバー由来の炭素又は水溶性炭素材料由来の炭素を担持させる場合には、工程(A)又は工程(B)において、セルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料を添加すればよい。
工程(A)は、リチウム化合物を含む混合物Aに、ケイ酸化合物又はリン酸化合物を混合して複合体Aを得る工程である。
用い得るリチウム化合物としては、水酸化物(例えばLiOH・HO)、炭酸化物、硫酸化物、酢酸化物が挙げられる。なかでも、水酸化物が好ましい。
混合物Aにおけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは7〜45質量部である。より具体的には、工程(A)においてケイ酸化合物を用いた場合、混合物Aにおけるケイ酸化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜40質量部であり、より好ましくは7〜35質量部である。また、リン酸化合物を用いた場合、混合物Aにおけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは10〜45質量部である。
混合物Aにケイ酸化合物又はリン酸化合物を混合する前に、予め混合物Aを撹拌しておくのが好ましい。かかる混合物Aの撹拌時間は、好ましくは1〜15分であり、より好ましくは3〜10分である。また、混合物Aの温度は、好ましくは20〜90℃であり、より好ましくは20〜70℃である。
工程(A)で用いるケイ酸化合物としては、反応性のあるシリカ化合物であれば特に限定されず、非晶質シリカ、NaSiO(例えばNaSiO・HO)等が挙げられる。
工程(A)で用いるリン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでもリン酸を用いるのが好ましく、70〜90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。かかる工程(A)では、混合物Aにリン酸を混合するにあたり、混合物Aを撹拌しながらリン酸を滴下するのが好ましい。混合物Aにリン酸を滴下して少量ずつ加えることで、混合物A中において良好に反応が進行して、複合体Aがスラリー中で均一に分散しつつ生成され、かかる複合体Aが不要に凝集するのをも効果的に抑制することができる。
リン酸の上記混合物Aへの滴下速度は、好ましくは15〜50mL/分であり、より好ましくは20〜45mL/分であり、さらに好ましくは28〜40mL/分である。また、リン酸を滴下しながらの混合物Aの撹拌時間は、好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは3〜12時間である。さらに、リン酸を滴下しながらの混合物Aの撹拌速度は、好ましくは200〜700rpmであり、より好ましくは250〜600rpmであり、さらに好ましくは300〜500rpmである。
なお、混合物Aを撹拌する際、さらに混合物Aの沸点温度以下に冷却するのが好ましい。具体的には、80℃以下に冷却するのが好ましく、20〜60℃に冷却するのがより好ましい。
ケイ酸化合物又はリン酸化合物を混合した後の混合物Aは、ケイ酸又はリン酸1モルに対し、リチウムを2.0〜4.0モル含有するのが好ましく、2.0〜3.1モル含有するのがより好ましく、このような量となるよう、上記リチウム化合物と、ケイ酸化合物又はリン酸化合物を用いればよい。より具体的には、工程(A)においてケイ酸化合物を用いた場合、ケイ酸化合物を混合した後の混合物Aは、ケイ酸1モルに対し、リチウムを2.0〜4.0モル含有するのが好ましく、2.0〜3.0含有するのがより好ましく、工程(A)においてリン酸化合物を用いた場合、リン酸化合物を混合した後の混合物Aは、リン酸1モルに対し、リチウムを2.7〜3.3モル含有するのが好ましく、2.8〜3.1モル含有するのがより好ましい。
このような量となるよう、上記リチウム化合物と、ケイ酸化合物又はリン酸化合物を用いればよい。
ケイ酸化合物又はリン酸化合物を混合した後の混合物Aに対して窒素をパージすることにより、かかる混合物中での反応を完了させて、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の前駆体である複合体Aを混合物中に生成させる。窒素がパージされると、混合物A中の溶存酸素濃度が低減された状態で反応を進行させることができ、また得られる複合体Aを含有する混合物中の溶存酸素濃度も効果的に低減されるため、次の工程で添加する鉄化合物やマンガン化合物等の酸化を抑制することができる。かかる複合体Aを含有する混合物中において、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の前駆体は、微細な分散粒子として存在する。
窒素をパージする際における圧力は、好ましくは0.1〜0.2MPaであり、より好ましくは0.1〜0.15MPaである。また、ケイ酸化合物又はリン酸化合物を混合した後の混合物Aの温度は、好ましくは20〜80℃であり、より好ましくは20〜60℃である。
また、窒素をパージする際、反応を良好に進行させる観点から、ケイ酸化合物又はリン酸化合物を混合した後の混合物Aを撹拌するのが好ましい。このときの撹拌速度は、好ましくは200〜700rpmであり、より好ましくは250〜600rpmである。
また、より効果的に複合体Aの分散粒子表面における酸化を抑制し、分散粒子の微細化を図る観点から、ケイ酸化合物又はリン酸化合物を混合した後の混合物A中における溶存酸素濃度を0.5mg/L以下とするのが好ましく、0.2mg/L以下とするのがより好ましい。
工程(B)は、工程(A)で得られた複合体Aと、少なくとも鉄化合物、マンガン化合物、又はアルミニウム化合物のいずれかを含む金属塩、或いは少なくとも鉄化合物、マンガン化合物、マグネシウム化合物、又はコバルト化合物のいずれかを含む金属塩を含有するスラリー水Bを水熱反応に付して、複合体Bを得る工程である。上記工程(A)により得られた複合体Aを、混合物のまま、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の前駆体として用い、これに上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子の前駆体には、少なくとも鉄化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、又はアルミニウム化合物のいずれかを含む金属塩を添加し、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の前駆体には、少なくとも鉄化合物、マンガン化合物、マグネシウム化合物、又はコバルト化合物のいずれかを含む金属塩を添加して、スラリー水Bとして用いるのが好ましい。これにより、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子が極めて微細になり、互いの粒子を有効に散在させつつ堅固に担持させることが可能となり、得られるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体をリチウムイオン二次電池用正極として用いた際、優れたサイクル特性を発現することができる。
用い得る鉄化合物としては、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、及びこれらの水和物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸鉄が好ましい。
用い得るマンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン、及びこれらの水和物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マンガンが好ましい。
用い得るコバルト化合物としては、酢酸コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、及びこれらの水和物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸コバルトが好ましい。
用い得るアルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、及びこれらの水和物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸アルミニウムが好ましい。
用い得るマグネシウム化合物としては、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、及びこれらの水和物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マグネシウムが好ましい。
例えば、金属塩として、鉄化合物とマンガン化合物の双方を用いる場合、これらマンガン化合物及び鉄化合物の使用モル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、好ましくは99:1〜1:99であり、より好ましくは90:10〜10:90である。
さらに、必要に応じて、金属塩として、上記以外の金属(M1、又はM2)塩を用いてもよい。金属(M1、又はM2)塩におけるM1、及びM2は、上記式(I)又は上記式(II)中のM1、又はM2と同義であり、かかる金属塩として、硫酸塩、ハロゲン化合物、有機酸塩、及びこれらの水和物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。なかでも、電池物性を高める観点から、硫酸塩を用いるのがより好ましい。
これら金属(M1、又はM2)塩を用いる場合、鉄化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、及び金属(M1、又はM2)塩の合計添加量は、上記工程(A)において得られた混合物中のケイ酸又はリン酸1モルに対し、好ましくは0.99〜1.01モルであり、より好ましくは0.995〜1.005モルである。
水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、用いる金属塩の溶解性、撹拌の容易性、及び合成の効率等の観点から、スラリー水B中に含有されるケイ酸又はリン酸イオン1モルに対し、好ましくは10〜50モルであり、より好ましくは12.5〜45モルである。より具体的には、水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、スラリー水B中に含有されるイオンがケイ酸イオンの場合、好ましくは10〜50モルであり、より好ましくは12.5〜45モルである。また、スラリー水B中に含有されるイオンがリン酸イオンの場合、好ましくは10〜30モルであり、より好ましくは12.5〜25モルである。
工程(B)において、上記金属塩の添加順序は特に制限されない。また、これらの金属塩を添加するとともに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。かかる酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na)、アンモニア水等を使用することができる。酸化防止剤の添加量は、過剰に添加されることで、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の生成が抑制されるのを防止する観点から、用いる全金属塩の合計1モルに対し、好ましくは0.01〜1モルであり、より好ましくは0.03〜0.5モルである。
上記金属塩や酸化防止剤を添加することにより得られるスラリー水B中における複合体Bの含有量は、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。
工程(B)における水熱反応は、100℃以上であればよく、130〜180℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130〜180℃で反応を行う場合、この時の圧力は0.3〜0.9MPaであるのが好ましく、140〜160℃で反応を行う場合の圧力は0.3〜0.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は0.1〜48時間が好ましく、さらに0.2〜24時間が好ましい。
得られた複合体Bは、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子を含む粒状の複合体である。これは、ろ過後、水で洗浄し、乾燥することにより単離できる。なお、乾燥手段は、凍結乾燥、真空乾燥が用いられる。
工程(C)は、得られた複合体Bを焼成する工程である。工程(A)又は工程(B)において、セルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料を添加した場合には、焼成は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で行う。焼成温度は、炭素源としてセルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料を用いた場合には、これをより有効に炭化させる等の観点から、好ましくは500〜800℃であり、より好ましくは600〜770℃であり、さらに好ましくは650〜750℃である。また、焼成時間は、好ましくは10分〜3時間、より好ましくは30分〜1.5時間とするのがよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とが担持してなる粒子であり、かかるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の平均粒径は、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは5〜50μmである。また、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体のタップ密度は、好ましくは0.5〜2.5g/cm3であり、より好ましくは1.5〜2.5g/cm3である。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体のBET比表面積は、サイクル特性を向上させる観点から、好ましくは5〜40m2/gであり、より好ましくは7〜30m2/gである。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、その粒子表面に、セルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料由来の炭素が担持してなるものであってもよい。かかる炭素が担持してなることにより、リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の粒子表面のみならず、凝集して互いに担持してなる上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子との間隙にも炭素を散在又は介在させることができ、これをリチウムイオン二次電池用正極として用いた際、より電池性能を高めて、サイクル特性の向上に寄与することができる。
上記炭素源としての水不溶性導電性炭素材料とは、25℃の水100gに対する溶解量が、水不溶性導電性炭素材料の炭素原子換算量で0.4g未満である水不溶性の炭素材料であって、セルロースナノファイバー以外の炭素源であり、還元焼成等せずともそのもの自体が導電性を有する炭素源である。かかる水不溶性導電性炭素材料としては、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、及びサーマルブラックから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。グラファイトとしては、人造グラファイト(鱗片状、塊状、土状、グラフェン)、天然グラファイトのいずれであってもよい。
上記セルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料のBET比表面積は、サイクル特性を効果的に高める観点から、好ましくは1〜750m2/gであり、より好ましくは3〜500m2/gである。また、上記セルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料の平均粒子径は、同様の観点から、好ましくは0.5〜20μmであり、より好ましくは1.0〜15μmである。
かかるセルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料由来の炭素の原子換算量(炭素の担持量)は、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体中に、好ましくは1〜15質量%であり、より好ましくは2〜12質量%であり、さらに好ましくは3〜10質量%である。
なお、リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体中に存在するセルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料の炭素の原子換算量(炭素の担持量)は、炭素・硫黄分析装置を用いて測定した炭素量として、確認することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の具体的な態様としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持あり)と、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持あり)とが上記所定の質量比で担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、
(2)上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持なし)と、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持なし)とが上記所定の質量比で担持してなり、かつリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の粒子表面にセルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料由来の炭素が担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、
(3)上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持あり)と、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持なし)とが上記所定の質量比で担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、
(4)上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持あり)と、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持なし)とが上記所定の質量比で担持してなり、かつリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の粒子表面にセルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料由来の炭素が担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、
(5)上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持あり)と、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子(セルロースナノファイバー由来の炭素及び水溶性炭素材料由来の炭素の担持あり)とが上記所定の質量比で担持してなり、かつリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の粒子表面にセルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料由来の炭素が担持してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
これらリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(1)〜(5)の態様のなかでも、効率的かつ効果的にリチウムイオン二次電池のサイクル特性の向上を図る観点から、リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体(5)の態様が好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とを、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合処理する工程(X)を備える製造方法により得ることができる。
具体的には、工程(X)は、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子及び上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子を混合した後、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する工程であるのが好ましい。これにより、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とが均一に分散したまま堅固に凝集しつつ担持させることができ、かかる工程(X)を経た後、焼成工程を介することなく、リチウムイオン二次電池においてサイクル特性を高めることのできる正極活物質として有用な、リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を得ることができる。
圧縮力及びせん断力を付加しながらの混合処理は、周速度30〜45m/sで回転するインペラを備えた密閉容器内で行うのが好ましい。かかるインペラの周速度は、上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子及び上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子を堅固に担持させ、得られるリチウムイオン二次電池におけるサイクル特性を有効に高める観点から、好ましくは35〜45m/sである。
なお、インペラの周速度とは、回転式攪拌翼(インペラ)の最外端部の速度を意味し、下記式(1)により表すことができ、また圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を行う時間は、インペラの周速度が遅いほど長くなるように、インペラの周速度によっても変動し得る。
インペラの周速度(m/s)=
インペラの半径(m)×2×π×回転数(rpm)÷60・・・(1)
圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を行う時間は、インペラの周速度が遅いほど長くなるように、インペラの周速度によっても変動し得るが、好ましくは5〜90分間であり、より好ましくは10〜60分である。また、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を行う際の温度は、好ましくは5〜80℃であり、より好ましくは10〜50℃である。処理雰囲気としては、特に限定されないが、不活性ガス雰囲気下、又は還元ガス雰囲気下が好ましい。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の粒子表面に、セルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料由来の炭素を担持させる場合、工程(X)においてセルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料を添加し、これら上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子及び上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とともに混合すればよい。
工程(X)の混合処理における、インペラの周速度及び/又は処理時間は、容器に投入する上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子及び上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の量、或いは必要に応じて用いるセルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料の量に応じて適宜調整する必要がある。そして、容器を稼動させることにより、インペラと容器内壁との間でこれら混合物に圧縮力及びせん断力が付加されつつ、これを混合することが可能となり、これら粒子の表面又は間隙において、互いの粒子が緻密かつ均一に分散したリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を形成することができる。
例えば、上記混合する処理を周速度35〜40m/sで回転するインペラを備える密閉容器内で、10〜15分間行う場合、容器に投入する上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子、上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子、及びセルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料の合計量は、有効容器(インペラを備える密閉容器のうち、複合体Y及びカーボンブラックを収容可能な部位に相当する容器)1cm3当たり、好ましくは0.1〜0.7gであり、より好ましくは0.15〜0.4gである。
このような圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を容易に行うことができる密閉容器を備える装置としては、高速せん断ミル、ブレード型混練機等が挙げられ、具体的には、例えば、微粒子複合化装置 ノビルタ(ホソカワミクロン社製)を好適に用いることができる。
炭素源として上記セルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料を用いた場合、工程(X)を経た後、得られた混合物を焼成せずともよく、また焼成してもよい。焼成する場合には、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で行うのが好ましい。焼成温度は、好ましくは500〜800℃であり、より好ましくは600〜770℃であり、さらに好ましくは650〜750℃である。また、焼成時間は、好ましくは10分〜3時間、より好ましくは30分〜1.5時間とするのがよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を含む二次電池用正極を適用できる、リチウムイオン二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータを必須構成とするものであれば特に限定されない。
ここで、負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そしてリチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池の電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF、LiBF、LiClO及びLiAsFから選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSOCF、LiC(SOCF及びLiN(SOCF、LiN(SO及びLiN(SOCF)(SO)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[製造例1:式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子(I−1)の製造]
LiOH・H2O 428g、Na4SiO4・nH2O 1397gに超純水3.75Lを混合してスラリー水Cを得た。このスラリー水Cに、FeSO4・7H2O 392g、MnSO4・5H2O 793g、及びZr(SO4・4H2O 53gを添加し、混合して混合液Cを得た。このとき、添加したFeSO4、MnSO4及びZr(SO4のモル比(鉄化合物:マンガン化合物:ジルコニウム化合物)は、28:66:3であった。
次いで、得られた混合液Cをオートクレーブに投入し、150℃で12hr水熱反応を行った。オートクレーブの圧力は0.4MPaであった。生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し、12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を−50℃で12時間凍結乾燥して複合体Cを得た。得られた複合体Cを500g分取し、これに水5mLを添加して、混合液Cを得た。次いで、得られた混合液Cを超音波攪拌機(T25、IKA社製)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた。
得られた混合液Cを、スプレードライ装置(MDL−050M、藤崎電機株式会社製)を用いてスプレードライに付した後、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、650℃で1時間焼成して、式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子(I−1)(Li2Fe0.28Mn0.66Zr0.03SiO4)を得た。
[製造例2:式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子(I−2)の製造]
混合液Cの製造において、スラリー水Cにセルロースナノファイバー(セリッシュKY−100G、ダイセルファインケム製、繊維径4〜100nm)784gを混合した以外は製造例1と同様にして、3.0質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子(I−2)(Li2Fe0.28Mn0.66Zr0.03SiO4/C、炭素の量=3.0質量%)を得た。
[製造例3:式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子(II−1)の製造]
LiOH・H2O 1272g、及び水 4Lを混合してスラリー水Aを得た。次いで、得られたスラリー水Aを、25℃の温度に保持しながら2〜3分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液 1153gを35mL/分で滴下し、続いて12時間、速度400rpmで撹拌することによりリン酸三リチウム混合液Aを得た。かかる混合液Aは、リン1モルに対し、2.97モルのリチウムを含有していた。なお、得られた混合液Aは、窒素パージし、溶存酸素濃度を0.5mg/Lとした。次に、得られたリン酸三リチウムを含有する混合液A全量に対し、MnSO4・5H2O 1688g、FeSO4・7H2O 834gを添加して、混合液Aを得た。このとき、添加したMnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、70:30であった。
次いで、得られた混合液Aをオートクレーブに投入し、170℃で1時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し、12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を−50℃で12時間凍結乾燥して複合体Aを得た。得られた複合体Aを1000g分取し、これに水1Lを添加して、混合液Aを得た。次いで、得られた混合液Aを超音波攪拌機(T25、IKA社製)で1分間分散処理して、全体を均一に呈色させた。
得られた混合液Aを、スプレードライ装置(MDL−050M、藤崎電機株式会社製)を用いてスプレードライに付した後、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子(II−1)(LiFe0.3Mn0.7PO4)を得た。
[製造例4:式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子(II−2)の製造]
混合液Aの製造において、スラリー水Aにセルロースナノファイバー(セリッシュKY−100G、ダイセルファインケム製、繊維径4〜100nm)707gを混合した以外は製造例3と同様にして、1.2質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持された式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子(II−2)(LiFe0.3Mn0.7PO4/C、炭素の量=1.2質量%)を得た。
[実施例1]
ケイ酸リチウム系化合物粒子(I−2)112gとリン酸リチウム系化合物粒子(II−2)48gとを、ノビルタ(ホソカワミクロン社製、NOB130)を用いて40m/s(6000rpm)で30分間、複合化処理を行ってリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体A((I−2):70質量%、及び(II−2):30質量%の複合体)を得た。
[実施例2]
ケイ酸リチウム系化合物粒子(I−2)の代わりにケイ酸リチウム系化合物粒子(I−1)112g、リン酸リチウム系化合物粒子(II−2)の代わりにリン酸リチウム系化合物粒子(II−1)48gを用い、グラファイト6.7g(UP−5N、日本黒鉛社製、活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)を添加した以外、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体B((I−1):67.2質量%、(II−1):28.8質量%、及びグラファイト:4質量%の複合体)を得た。
[実施例3]
リン酸リチウム系化合物粒子(II−2)の代わりにリン酸リチウム系化合物粒子(II−1)48gを用いた以外、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体C((I−2):70質量%、及び(II−1):30質量%の複合体)を得た。
[実施例4]
リン酸リチウム系化合物粒子(II−2)の代わりにリン酸リチウム系化合物粒子(II−1)48gを用い、グラファイト6.7g(UP−5N、日本黒鉛社製、活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)を添加した以外、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体D((I−2):67.2質量%、(II−1):28.8質量%、及びグラファイト:4質量%の複合体)を得た。
[実施例5]
グラファイト6.7g(UP−5N、日本黒鉛社製、活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)を添加した以外、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体E((I−2):67.2質量%、(II−2):28.8質量%、及びグラファイト:4質量%の複合体)を得た。
[実施例6]
ケイ酸リチウム系化合物粒子(I−2)を144g、リン酸リチウム系化合物粒子(II−2)を16gとし、グラファイト6.7g(UP−5N、日本黒鉛社製、活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)を添加した以外、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体F((I−2):86.4質量%、(II−2):9.6質量%、及びグラファイト:4質量%の複合体)を得た。
[実施例7]
ケイ酸リチウム系化合物粒子(I−2)を128g、リン酸リチウム系化合物粒子(II−2)を32gとし、グラファイト6.7g(UP−5N、日本黒鉛社製、活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)を添加した以外、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体G((I−2):76.8質量%、(II−2):19.2質量%、及びグラファイト:4質量%の複合体)を得た。
[実施例8]
ケイ酸リチウム系化合物粒子(I−2)を96g、リン酸リチウム系化合物粒子(II−2)を6.7gとし、グラファイト6.7g(UP−5N、日本黒鉛社製、活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)を添加した以外、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体H((I−2):57.6質量%、(II−2):38.4質量%、及びグラファイト:4質量%の複合体)を得た。
[実施例9]
ケイ酸リチウム系化合物粒子(I−2)を80g、リン酸リチウム系化合物粒子(II−2)を80gとし、グラファイト6.7g(UP−5N、日本黒鉛社製、活物質中における炭素原子換算量で4質量%に相当)を添加した以外、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体I((I−2):48質量%、(II−2):48質量%、及びグラファイト:4質量%の複合体)を得た。
[比較例1]
製造例2で得られたケイ酸リチウム系化合物粒子(I−2)のみをリチウムイオン二次電池用正極活物質J((I−2):100質量%)とした。
[比較例2]
ノビルタを用いずに混合した以外、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質混合物K((I−2):70質量%、及び(II−2):30質量%の混合物)を得た。
[比較例3]
ノビルタを用いずに混合した以外、実施例5と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質混合物L((I−2):67.2質量%、(II−2):28.8質量%、及びグラファイト:4質量%の混合物)を得た。
[比較例4]
ノビルタを用いずに混合した以外、実施例6と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質混合物M((I−2):86.4質量%、(II−2):9.6質量%、及びグラファイト:4質量%の混合物)を得た。
[比較例5]
ノビルタを用いずに混合した以外、実施例7と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質混合物N((I−2):76.8質量%、(II−2):19.2質量%、及びグラファイト:4質量%の混合物)を得た。
[比較例6]
ノビルタを用いずに混合した以外、実施例8と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質混合物O((I−2):57.6質量%、(II−2):38.4質量%、及びグラファイト:4質量%の混合物)を得た。
[比較例7]
ノビルタを用いずに混合した以外、実施例9と同様にしてリチウムイオン二次電池用正極活物質混合物P((I−2):48質量%、(II−2):48質量%、及びグラファイト:4質量%の混合物)を得た。
《容量保持率の評価》
実施例1〜9及び比較例1〜7で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体A〜I又はリチウムイオン二次電池用材料粒子混合物J〜Pを用い、リチウムイオン二次電池の正極を作製した。具体的には、得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体A〜I又はリチウムイオン二次電池用材料粒子混合物J〜P、ケッチェンブラック、ポリフッ化ビニリデンを質量比75:20:5の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。
その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
次いで、上記の正極を用いてコイン型二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR−2032)を製造した。
製造した二次電池を用い、充放電試験を行った。具体的には、充電条件を電流0.1CA(17mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件を0.1CA(17mA/g)、終止電圧1.5Vの定電流放電として、0.1CAにおける放電容量を求めた。さらに、同様の充放電条件において、10サイクル繰り返し試験を行い、下記式(1)により容量保持率(%)を求めた。なお、充放電試験は全て30℃で行った。
容量保持率(%)=(10サイクル後の放電容量)/(1サイクル後の放電容量)
×100 ・・・(1)
結果を表1に示す。
Figure 2018113101
表1から明らかなように、実施例で得られたケイ酸リチウム系化合物の粒子(I)とリン酸リチウム系化合物の粒子(II)とが担持してなる複合体を正極活物質として使用したリチウムイオン二次電池は、比較例で得られたケイ酸リチウム系化合物の粒子とリン酸リチウム系化合物の粒子が混合されただけの混合物を正極活物質として使用したリチウムイオン二次電池と比べ、高い容量保持率を有しており、サイクル特性に優れることがわかる。

Claims (8)

  1. 下記式(I):
    Li2FeaMnbCocAld1 eSiO4・・・(I)
    (式(I)中、M1はNi、Zn、V又はZrを示す。a、b、c、d及びeは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e<1、及び2×(a+b+c)+3×d+(M1の価数)×e=2を満たし、かつa+b+c+d≠0を満たす数を示す。)
    で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と、下記式(II):
    LiFefMngMghCoi2 jPO4・・・(II)
    (式(II)中、M2はNi、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。f、g、h、i及びjは、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i≦1、0≦j≦0.2、及び2×(f+g+h+i)+(M2の価数)×j=2を満たし、かつf+g+h+i≠0を満たす数を示す。)
    で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とが担持してなり、かつ上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子の含有量と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の含有量との質量比((I):(II))が、50:50〜95:5であるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  2. リチウムイオン正極活物質複合体の粒子表面に、セルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料由来の炭素が担持してなる請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  3. 平均粒径が、1〜100μmである請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  4. セルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料由来の炭素の担持量が、原子換算量で1〜15質量%である請求項2又は3に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  5. 上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子表面、及び/又は上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子表面に、セルロースナノファイバー由来の炭素又は水溶性炭素材料由来の炭素が担持してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  6. 上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子の平均粒径が、10〜150nmであり、かつ上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子の平均粒径が、30〜800nmである請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  7. 上記式(I)で表されるケイ酸リチウム系化合物粒子と上記式(II)で表されるリン酸リチウム系化合物粒子とを、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合化する工程(X)を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の製造方法。
  8. 工程(X)を、周速度30〜45m/sで回転するインペラを備える密閉容器内で行う請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の製造方法。
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