JP2018109138A - セルロース製剤 - Google Patents
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Abstract
Description
[2] 前記有機成分の動的表面張力が60mN/m以下である、上記態様1に記載のセルロース製剤。
[3] 前記有機成分の溶解パラメータ(SP値)が7.25以上である、上記態様1または2に記載のセルロース製剤。
[4] レーザー回折粒度分布計により測定される積算体積50%粒子径が10μm以下である、上記態様1〜3のいずれかに記載のセルロース製剤。
[5] 前記セルロース粒子を構成するセルロースの平均重合度が1000以下である、上記態様1〜4のいずれかに記載のセルロース製剤。
[6] 前記セルロース粒子を構成するセルロースが結晶セルロースを含む、上記態様1〜5のいずれかに記載のセルロース製剤。
[7] 前記結晶セルロースの長さ/径比率(L/D比)が30未満、及び/又は平均重合度が500未満である、上記態様6に記載のセルロース製剤。
[8] 前記セルロース製剤がセルロースファイバーを更に含み、前記セルロースファイバーの長さ/径比率(L/D比)が30以上、及び/又は平均重合度が300以上である、上記態様1〜7のいずれかに記載のセルロース製剤。
[9] 前記セルロース製剤中に存在するセルロースの総質量に対する結晶セルロースの比率が50質量%以上である、上記態様1〜8のいずれかに記載のセルロース製剤。
[10] セルロースを30〜99質量%、及び前記有機成分を1〜70質量%含む、上記態様1〜9のいずれかに記載のセルロース製剤。
[11] 前記有機成分がロジン誘導体、アルキルフェニル誘導体、ビスフェノールA誘導体、βナフチル誘導体、スチレン化フェニル誘導体、及び硬化ひまし油誘導体からなる群から選択される、上記態様1〜10のいずれかに記載のセルロース製剤。
[12] 前記有機成分がポリオキシエチレン誘導体である、上記態様1〜11のいずれかに記載のセルロース製剤。
[13] 上記態様1〜12のいずれかに記載のセルロース製剤を1質量%以上含む樹脂組成物。
[14] 前記セルロース製剤100質量部に対し100質量部以上の量の界面形成剤を更に含む、上記態様13に記載の樹脂組成物。
[15] 熱可塑性樹脂を更に含む、上記態様13または14に記載の樹脂組成物。
[16] 熱可塑性樹脂、セルロース粒子、有機成分、及び界面形成剤を含む樹脂組成物であって、
前記有機成分が、静的表面張力20mN/m以上、及び水よりも高い沸点を有し、
前記界面形成剤の量が、樹脂組成物中に存在するセルロース100質量部に対して1質量部以上である、樹脂組成物。
[17] 前記有機成分の動的表面張力が60mN/m以下である、上記態様16に記載の樹脂組成物。
[18] 前記有機成分の溶解パラメータ(SP値)が7.25以上である、上記態様16または17に記載の樹脂組成物。
[19] レーザー回折粒度分布計により測定される、前記セルロース粒子の積算体積50%粒子径が10μm以下である、上記態様16〜18のいずれかに記載の樹脂組成物。
[20] 前記セルロース粒子を構成するセルロースの平均重合度が1000以下である、上記態様16〜19のいずれかに記載の樹脂組成物。
[21] 前記セルロース粒子を構成するセルロースが結晶セルロースを含む、上記態様16〜20のいずれかに記載の樹脂組成物。
[22] 前記結晶セルロースの平均L/Dが30未満、及び/又は平均重合度が500未満である、上記態様21に記載の樹脂組成物。
[23] 前記樹脂組成物がセルロースファイバーを更に含み、前記セルロースファイバーの平均L/Dが30以上、及び/又は平均重合度が300以上である、上記態様16〜22のいずれかに記載の樹脂組成物。
[24] 前記樹脂組成物中に存在するセルロースの総質量に対する結晶セルロースの比率が50質量%以上である、上記態様16〜23のいずれかに記載の樹脂組成物。
[25] 前記樹脂組成物中のセルロースの総量と前記有機成分の量との合計100質量%に対して、前記セルロースの量が30〜99質量%、及び前記有機成分の量が1〜70質量%である、上記態様16〜24のいずれかに記載の樹脂組成物。
[26] 前記有機成分がロジン誘導体、アルキルフェニル誘導体、ビスフェノールA誘導体、βナフチル誘導体、スチレン化フェニル誘導体、及び硬化ひまし油誘導体からなる群から選択される、上記態様16〜25のいずれかに記載の樹脂組成物。
本発明に係るセルロース製剤は、セルロース粒子と、該セルロース粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機成分とを含む。すなわち、セルロース製剤は、表面の少なくとも一部が、有機成分により被覆されているセルロース粒子を含む。一実施形態において、有機成分の静的表面張力は20mN/m以上である。また一実施形態において、有機成分は水よりも高い沸点を有する。本発明に係るセルロース製剤は、含有するセルロース粒子(以下、「本発明のセルロース粒子」ということがある。)の表面の少なくとも一部が特定の有機成分により被覆されているために樹脂への分散性が良好であり、当該セルロース製剤を分散させた樹脂組成物は、溶融時の流動性に優れ、引っ張り時の伸びが良好である、という特徴を有する。
本発明のセルロース粒子を調製するためのセルロース原料としては、天然セルロース質物質(セルロースを含有する天然物由来の繊維質物質)が好ましい。天然セルロース質物質としては、植物性でも動物性でもよく、微生物由来であってもよい。天然セルロース質物質としては、例えば木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、ホヤ、バガス、ケナフ、ビート、バクテリアセルロース等のセルロースを含有する天然物由来の繊維質物質が挙げられる。一般に入手できる天然セルロース質物質としては、例えばセルロースフロックや結晶セルロース等の粉末形態である天然セルロース質物質(粉末セルロース)が挙げられる。本発明のセルロース粒子のセルロース原料としては、1種の天然セルロース質物質を使用してもよく、2種類以上の天然セルロース質物質を組み合わせて使用してもよい。また、セルロース原料は、精製パルプの形態で使用することが好ましいが、パルプの精製方法には特に制限はなく、溶解パルプ、クラフトパルプ、NBKP、LBKP、フラッフパルプ等いずれのパルプを使用してもよい。
セルロースの平均重合度は、「第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)」の確認試験(3)に記載の銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従って測定することができる。
セルロースの平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースやリグニン等の不純物も取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。それにより、後記の混練工程中等のセルロースと有機成分に機械的せん断力を与える工程において、セルロースが機械処理を受けやすくなり、セルロースが微細化されやすくなる。その結果、セルロースの表面積が高くなり、有機成分との複合化の制御が容易になる。
本発明のセルロース粒子を構成するセルロースは、結晶セルロースを含むことが好ましく、結晶セルロースであることがより好ましい。結晶セルロースの結晶化度は10%以上であることが好ましい。結晶化度が10%以上であると、セルロース粒子自体の力学物性(強度、寸法安定性)が高まるため、樹脂に分散した際に、樹脂組成物の強度、寸法安定性が高くなる傾向にある。本発明のセルロース粒子を構成するセルロースの結晶化度は、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることがよりさらに好ましい。当該結晶化度の上限は特に制限されないが、90%以下であることが好ましい。
結晶化度(%)=([2θ/deg.=22.5の(200)面に起因する回折強度]−[2θ/deg.=18の非晶質に起因する回折強度])/[2θ/deg.=22.5の(200)面に起因する回折強度]×100
本開示で、セルロース(具体的には、セルロース粒子及びセルロースファイバー)の長さ、径、及びL/D比は、セルロース(加水分解後のウェットケークが好ましい。)を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(例えば日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」)で、処理条件:回転数15,000rpm×5分間で分散させた水分散体を、0.1〜0.5質量%まで純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾したものを測定サンプルとし、高分解能走査型顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測して求める。具体的には、少なくとも100個、例えば100〜150個のセルロースが観測されるように倍率が調整された観察視野にて、無作為に選んだセルロースの像の長さ(具体的には、セルロース粒子の長径又は存在する場合のセルロースファイバーの繊維長)(L)、径(具体的には、セルロース粒子の短径又は存在する場合のセルロースファイバーの繊維径)(D)、及びこれらの比(L/D)を求める。なお、例えばセルロース粒子が比(L/D)が30未満の結晶セルロースであって測定サンプル中に当該結晶セルロースとセルロースファイバーとが併存する場合、比(L/D)が30未満のものを結晶セルロース、30以上のものをセルロースファイバーと分類できる。長さ(L)の数平均値、径(D)の数平均値、及び比(L/D)の数平均値を、少なくとも100個、例えば100個〜150個の数平均値として算出する。
又は、組成物中のセルロースの長さ、径、及びL/D比は、固体である組成物を測定サンプルとして、上述の測定方法により測定することで確認することができる。
又は、組成物中のセルロースの長さ、径、及びL/D比は、組成物の樹脂成分を溶解できる有機または無機の溶媒に組成物中の樹脂成分を溶解させ、セルロースを分離し、前記溶媒で充分に洗浄した後、溶媒を純水に置換した水分散液を作製し、セルロース濃度を、0.1〜0.5質量%まで純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾したものを測定サンプルとして上述の測定方法により測定することで確認することができる。
本発明に係るセルロース製剤は、セルロース粒子としてコロイド状セルロース粒子を含むことが好ましい。セルロース粒子全体に占めるコロイド状セルロース粒子の比率が高いほど、該セルロース粒子を用いたセルロース製剤を樹脂中に分散させた際に、分散が進み、表面積が高いネットワークを形成できるため、樹脂の強度及び寸法安定性が向上する傾向にある。セルロース粒子100質量%に対するコロイド状セルロース粒子の含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。コロイド状セルロース粒子の含有率の上限は特に制限されず、理論上の上限は100質量%である。
本開示において、セルロースの体積平均粒子径は、レーザー回折粒度分布計により測定される。また、本開示で、「レーザー回折粒度分布計により得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(粒子全体の体積に対して、積算体積が50%になるときの粒子の球形換算直径)」を、「体積平均粒子径」または「積算体積50%粒子径」ということがある。
本発明のセルロース粒子を構成するセルロースのゼータ電位は、−40mV以下であることが好ましい。ゼータ電位がこの範囲にあることで、セルロース粒子と樹脂とをコンパウンドした際に、セルロース粒子と樹脂との過度の結合が生じることなく、良好な溶融流動性を保つことができる。ゼータ電位は、より好ましくは−30mV以下であり、さらに好ましくは−25mV以下であり、特に好ましくは−20mV以下であり、最も好ましくは−15mV以下である。この値が小さいほどコンパウンドの物性が優れるため下限は特に限定されるものではないが、−5mV以上が好ましい。
本発明のセルロース粒子は、前述の結晶セルロースを含むことが好ましく、前述の結晶セルロースであることがより好ましい。結晶セルロースは、上述のセルロースを原料として用い、上述の加水分解を経て得ることができる。一実施形態において、結晶セルロースは、平均重合度が500未満、及び/又は平均L/Dが30未満に制御されたものである。結晶セルロースを用いることで、セルロース粒子と有機成分との複合化が促進され、セルロース製剤を樹脂に配合して樹脂組成物を調製する際に、セルロースの分散性が向上し、さらに、樹脂組成物は、溶融時に優れた流動特性及び射出成型性を有することができる。その結果、当該セルロース製剤を樹脂に分散させた樹脂組成物は、線膨張係数が低く、引っ張り、曲げ変形時に、伸びが優れるという効果を発現できる。
セルロース製剤は、セルロースファイバーを更に含むことが好ましい。セルロースファイバーとは、パルプ等のセルロース原料を100℃以上の熱水等で処理し、ヘミセルロース部分を加水分解して脆弱化したのち、高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイダイザー、ボールミルやディスクミルといった粉砕法により解繊したセルロースを指す。一実施形態において、セルロースファイバーは、平均重合度が300以上である。一実施形態において、セルロースファイバーは、平均L/Dが30以上の範囲に制御されたものである。セルロースファイバーを用いることで、セルロース製剤を樹脂に配合した際に、セルロースの分散性を一層良好に維持しつつ、さらに、樹脂組成物が溶融時に良好な流動特性及び射出成型性を有することができる。その結果、当該セルロース製剤を樹脂に分散させた樹脂組成物は、線膨張係数が一層低く、引っ張り、曲げ変形時に、強度が一層優れるという効果を発現できる。
本発明のセルロース製剤は、セルロース粒子(好ましくは、上述のL/Dが30未満の結晶セルロース)とL/Dが30以上のセルロースファイバーとを含むことが好ましい。セルロース粒子(好ましくは、L/Dが30未満の結晶セルロース)とL/Dが30以上のセルロースファイバーとの組合せである場合、セルロース粒子と有機成分とが良好に複合化される。これにより、セルロース製剤を樹脂に配合して樹脂組成物を製造する際の当該セルロース製剤の樹脂中での分散性が向上し、さらに、樹脂組成物は溶融時に優れた流動特性及び射出成型性を有する。従って、当該セルロース製剤を樹脂に分散させた樹脂組成物は、線膨張係数が低く、引っ張り、曲げ変形時に、伸び及び強度が優れるという効果を発現できる。また上記のセルロース粒子(好ましくは結晶セルロース)とセルロースファイバーとの配合比率を適正化することで、セルロース粒子が低添加量でも樹脂組成物における上記の効果が良好に発現し、その結果、樹脂コンポジットの軽量化が図れる。
本発明に係るセルロース製剤において、有機成分はセルロース粒子の表面に弱い力で結合していることが好ましい。弱い力とは、例えば、非共有結合(水素結合、配位結合、イオン結合、分子間力など)、物理的吸着、静電的引力等である。有機成分とセルロースとが共有結合せず、弱い力で結合している場合、溶融状態の樹脂にセルロース製剤を混合、分散させる過程で、セルロース表面の有機成分が樹脂中に遊離・脱離し、セルロース本来の表面が露出する。この露出したセルロース粒子表面同士が相互作用することにより、セルロースのネットワークが強固になる傾向にある。セルロースのネットワークが強固になるほど、樹脂組成物の力学的特性は改善され、機械的強度の向上が望める。
セルロース製剤粉末を250μmの篩を通るように粉砕し、それを1g採取する。このサンプルを有機溶剤(例えばエタノール)又は水(有機成分を溶解できる媒体)10mLに入れ、スターラー撹拌下で60分間、室温で撹拌する。有機溶剤又は水を目開き0.4μmのPTFE製メンブレンフィルターでろ過し、ろ液から有機溶剤又は水を気化させる。ろ液から採取された残渣の質量を求め、以下の式から結合率を算出する。ここで、セルロース製剤中の有機成分量は、製造時の配合量から得られる理論値を用いても、NMR、IR、X線回折等の化学分析から求めたものを用いてもよい。
結合率(%)=〔1−([残渣の質量(g)]/[セルロース製剤中の有機成分量(g)
])〕×100
本開示において、「有機成分」とは、典型的には、炭素原子を骨格とし、水素、酸素、炭素、窒素、塩素、硫黄、リン等から構成される官能基を有するものである。分子中に上述の構造を有していれば、無機化合物と上記官能基が化学結合したものも、本発明における有機成分に含まれる。
本発明のセルロース粒子の表面を被覆する有機成分(以下、「本発明の有機成分」ということがある。)は、水よりも高い沸点を有する。なお、水よりも高い沸点とは、水の蒸気圧曲線における各圧力における沸点(例えば、1気圧下では100℃)よりも高い沸点を指す。本発明の有機成分の沸点が水よりも高いことにより、溶融状態の樹脂に本発明に係るセルロース製剤を混合する際に、当該セルロース製剤に含まれる水が蒸発し、その水と当該有機成分が置換されるため、樹脂中でのセルロースの分散が促進される。
本発明の有機成分の静的表面張力は20mN/m以上である。この静的表面張力は、後述のウィルヘルミー法で測定される表面張力のことである。常温で液体状の有機成分を使用する場合は、25℃で測定されるが、常温で固体又は半固形状の有機成分を使用する場合は、有機成分を融点以上に加熱し、溶融した状態で測定し、25℃に温度補正された値を用いる。本発明の有機成分としては、セルロース製剤とする際に前記の静的表面張力を満たせば、どのような状態のものでも用いることができる。例えば、本発明の有機成分は、単独の有機成分であってもよく、2種以上の有機成分を混合したものであってもよく、有機溶剤や水等に溶解した有機成分の形態で使用されてもよい。
本発明の有機成分の動的表面張力は60mN/m以下であることが好ましい。この動的表面張力は、最大泡圧法(液体中に挿した細管(以下、プローブ)に空気を流して、気泡を発生させたときの最大圧力(最大泡圧)を計測し、表面張力を算出する方法)で測定される表面張力のことである。本発明の動的表面張力とは、有機成分を5質量%としてイオン交換水に溶解又は分散し測定液を調製し、25℃に調温した後、動的表面張力計(例えば英弘精機株式会社製 製品名シータサイエンスt−60型、プローブ(キャピラリーTYPE I(ピーク樹脂製)、シングルモード)を使用し、気泡発生周期を10Hzとして測定された表面張力の値を指す。各周期における動的表面張力は、以下の式により求められる。σ=ΔP・r/2。ここで、σ:動的表面張力、ΔP:圧力差(最大圧力−最小圧力)、r:キャピラリー半径、である。
本発明の有機成分は、溶解パラメーター(SP値)が7.25以上であることが好ましい。有機成分がこの範囲のSP値を有することで、セルロースと有機成分との複合化が促進されることに加え、樹脂中でのセルロースの分散が促進される。
本発明の有機成分としては、特に限定されず、例えば、油脂、脂肪酸又は界面活性剤等を用いることができる。
リエチレングリコール、カチオン化シリコーン重合体等が挙げられる。
本発明に係るセルロース製剤は、セルロースを30〜99質量%、及び有機成分を1〜70質量%含むことが好ましい。セルロースと有機成分との複合化によって、有機成分がセルロース粒子の表面を水素結合、分子間力等の非共有の化学結合により被覆し、その結果、樹脂中へのセルロースの分散が促進される。セルロースと有機成分の含有量を上記範囲にすることで、複合化がより促進される。本発明に係るセルロース製剤は、セルロースを50〜99質量%、有機成分を1〜50質量%含むことがより好ましく、セルロースを70〜99質量%、有機成分を1〜30質量%含むことがさらに好ましく、セルロースを80〜99質量%、有機成分を1〜20質量%含むことがよりさらに好ましく、セルロースを90〜99質量%、有機成分を1〜10質量%含むことが特に好ましい。
次に、本発明に係るセルロース製剤の製造方法について説明する。
本発明に係るセルロース製剤の製造方法は、特に限定されるものではなく、原料セルロースと有機成分を混合した後に微細化(粒子化)してもよく、原料セルロースを微細化して得たセルロース粒子に本発明の有機成分を接着させた状態で乾燥させることにより、セルロース粒子表面の少なくとも一部を有機成分で被覆させることもできる。また、原料セルロースの微細化と有機成分による被覆を同時に行ってもよい。
本発明に係るセルロース製剤は、セルロース粒子及び有機成分に加えて、分散補助剤として多糖類を含有していてもよい。多糖類を含有することにより、セルロース粒子表面への有機成分の親和性が増し、樹脂中でのセルロース粒子の分散が促進されるため好ましい。
上述の陰イオン性多糖類の中でも、CMC−Naが、特にセルロースと複合化しやすいため好ましい。ここでいうCMC−Naとは、セルロースの水酸基の水素原子の一部又は全部が−CH2COO基(カルボキシメチル基)に置換されたアニオンポリマーとNaカチオンからなるもので、D−グルコースがβ−1,4結合した直鎖状の化学構造を持つものである。CMC−Naは、例えばパルプ(セルロース)を水酸化ナトリウム溶液で溶かし、モノクロロ酢酸(或いはそのナトリウム塩)でエーテル化する製法によって得られる。
A=〔(af−bf1)/[試料無水物(g)]〕−[アルカリ度(又は+酸度)]
置換度=(162×A)/(10000−80A)
ここで、
A:試料1g中のアルカリに消費された0.05Mの硫酸の量(mL)
a:0.05M硫酸の使用量(mL)
f:0.05M硫酸の力価
b:0.1M水酸化カリウムの滴定量(mL)
f1:0.1M水酸化カリウムの力価
162:グルコースの分子量
80:CH2COONa−Hの分子量。
アルカリ度=((B−S)xf2)/試料無水物(g)
ここで、f2:0.1M水酸化カリウムの力価である。(B−S)xf2の値が、(−)の時には、酸度とする。
本発明に係るセルロース製剤は、本発明の有機成分によって少なくとも表面の一部が被覆されたセルロース粒子を30〜99質量%、及び分散補助剤を1〜70質量%含むことが好ましく、前記セルロース粒子を50〜99質量%、分散補助剤を1〜50質量%を含むことがより好ましく、セルロース粒子を70〜99質量%、分散補助剤を1〜30質量%を含むことがさらに好ましく、セルロース粒子を80〜99質量%、分散補助剤を1〜20質量%を含むことがよりさらに好ましく、セルロース粒子を90〜99質量%、分散補助剤を1〜10質量%を含むことが特に好ましい。
本発明に係る樹脂組成物は、本発明に係るセルロース製剤を、樹脂に分散させた組成物であることができる。
本発明に係るセルロース製剤を分散させる樹脂としては、特に限定されるものではなく、多種多様のものを用いることができる。例えば、本発明に係るセルロース製剤を分散させる樹脂として熱可塑性樹脂を用いることにより、本来、熱可塑性を有さないセルロースを用いて、熱可塑性の樹脂組成物を得ることが可能になる。
本発明に係る樹脂組成物における樹脂の含有量は、樹脂組成物に対して70質量%以上98質量%以下であることが好ましい。樹脂の含有量が70質量%以上である場合、得られた樹脂組成物が、良好な成形性と熱可塑性を有する傾向にあり、98質量%以下である場合、結晶セルロース微粉末の分散性が良好となる傾向にある。樹脂の含有量は、より好ましくは75質量%以上90質量%以下である。
本発明に係る樹脂組成物における本発明に係るセルロース製剤の含有量は、樹脂組成物に対して1質量%であることが好ましく、1質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。セルロース製剤の含有量が1質量%以上である場合、得られる成形品の強度と耐衝撃性が良好となる傾向にある。また、50質量%以下である場合、得られる成形品の強度と弾性率が良好となる傾向にある。本発明に係るセルロース製剤の含有量は、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下がよりさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
本発明に係るセルロース製剤を樹脂に添加する場合に、より優れた力学特性(低線膨張係数、強度、伸び)を達成するために、セルロースと樹脂との界面を密着させる界面形成剤を添加することが好ましい。界面形成剤としては、一分子中に、親水性の結晶セルロースに対する親和性基と、疎水性の樹脂成分に対する親和性基との両方を備える物質であればよく、樹脂等の高分子であってもよく、いわゆる低分子化合物であってもよい。例えば、本発明に係る樹脂組成物は、一部構造に極性官能基を有する樹脂を、界面形成剤として含有することができる。一部構造に極性官能基を有する樹脂としては、例えば、変性ポリオレフィン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、アクリル樹脂等が挙げられる。なお、界面形成剤が樹脂の場合、本発明に係る樹脂組成物において、界面形成剤は、樹脂成分の一部を構成する。
本発明に係る樹脂組成物は、界面活性剤、表面処理剤、無機充填剤等の分散剤を含んでいてもよい。分散剤は、本発明に係るセルロース製剤と樹脂との間を取り持って、両者の相溶性を向上させる機能を有する。つまり、セルロース粒子を樹脂組成物中で凝集させずに良好に分散させ、樹脂組成物全体を均一にする機能を有する。従って、本発明に係る樹脂組成物に含有させる分散剤としては、樹脂組成物中でセルロース粒子を均一に分散できるものであれば、特に制限なく使用することができる。このような分散剤としては、公知の界面活性剤、表面処理剤、無機充填剤等の中から、少なくともセルロース粒子と樹脂の両者に親和性を有しているものを適宜用いることができる。界面活性剤及び表面処理剤は、それぞれ、静的表面張力20mN/m以上及び水よりも高い沸点を有する有機成分であってもよい。
本発明に係る樹脂組成物中には、本発明に係るセルロース製剤や樹脂、さらには界面形成剤及び分散剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて他の成分を含有させてもよい。当該他の成分としては、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、無機リン系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等)、フッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機又は有機の充填材や強化材(ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ウィスカー、マイカ、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ワラストナイト、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等が挙げられる。当該他の成分の含有量は、樹脂組成物全体に対して10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明に係る樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、樹脂に無機粒子等を分散させる際に用いられる各種の方法の中から適宜選択して用いることができる。
「第14改正日本薬局方」(廣川書店発行)の結晶セルロース確認試験(3)に規定される銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法により測定した。
X線回折装置(株式会社リガク製、多目的X線回折装置)を用いて粉末法にて回折像を測定(常温)し、Segal法で結晶化度を算出した。また、得られたX線回折像から結晶形についても測定した。
セルロース(加水分解後のウェットケーク)を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、0.1〜0.5質量%まで純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾したものを、原子間力顕微鏡(AFM)で計測された際に得られる粒子像の長さ(L)と径(D)とした場合の比(L/D)を求め、100個〜150個の粒子の平均値として算出した。
各セルロースを固形分40質量%として、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、商品名「5DM−03−R」、撹拌羽根はフック型)中において、126rpmで、室温常圧下で30分間混練した。次いで、固形分が0.5質量%の濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」、ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力39200m2/sで10分間遠心した上澄みを採取し、さらに、この上澄みについて、116000m2/sで45分間遠心処理する。)した。遠心後の上澄みに残存する固形分を絶乾法で測定し、質量百分率を算出した。
セルロースを固形分40質量%として、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、商品名「5DM−03−R」、撹拌羽根はフック型)中において、126rpmで、室温常圧下で30分間混練した。次いで、固形分が0.5質量%の濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」、ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力39200m2/sで10分間遠心した上澄みを採取し、さらに、この上澄みについて、116000m2/sで45分間遠心処理する。)した。遠心後の上澄み液を用いて、レーザー回折/散乱法粒度分布計(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分間、屈折率1.20)により得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径(体積平均粒子径)を測定した。
セルロースを、1質量%濃度の純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させて得た水分散体を、0.1〜0.5質量%まで純水で希釈し、ゼータ電位計(大塚電子製、装置名ELSZ−2000ZS型、標準セルユニット)を使用し、25℃で測定した。
各有機成分を用い、自動表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、商品名「CBVP−Z型」、付属のガラス製セル)を用い、ウィルヘルミー法により静的表面張力を測定した。実施例、比較例で用いた各有機成分は常温で液体であったので、装置に付属のステンレス製シャーレに底から液面までの高さを7mm〜9mmとなるように仕込み、25℃±1℃に調温した後に測定し、以下の式により求めた。γ=(P−mg+shρg)/Lcosθ。ここで、P:つりあう力、m:プレートの質量、g:重力定数、L:プレート周囲長、θ:プレートと液体の接触角、s:プレート断面積、h:(力が釣り合うところまで)液面から沈んだ深さ、ρ:液体の密度(実施例、比較例で用いた有機成分は密度が1±0.4g/mLだったので、1を用いた。)、である。
各有機成分を用い、動的表面張力計(英弘精機株式会社製 製品名シータサイエンスt−60型、プローブ(キャピラリーTYPE I(ピーク樹脂製)、シングルモード)を使用し、最大泡圧法により気泡発生周期を10Hzで動的表面張力を測定した。実施例、比較例で用いた各有機成分を5質量%としてイオン交換水に溶解または分散し測定液を調整し、その溶液または分散液100mLを、100mL容量のガラス製ビーカーに仕込み、25℃±1℃に調温された後、測定された値を用いた。動的表面張力は、以下の式により求められた。σ=ΔP・r/2。ここで、σ:動的表面張力、ΔP:圧力差(最大圧力−最小圧力)、r:キャピラリー半径、である。
有機成分のSP値は、各1mLをSP値が既知の下表の溶剤10mLに室温で滴下し、スターラーで1時間撹拌した後、相分離なく溶解した溶剤のSP値の範囲から求めた。
セルロース製剤を固形分で1g、エタノール10mLに入れ、スターラー撹拌下で60分間、室温で撹拌した後、溶媒を目開き0.4μmのPTFE製メンブレンフィルターでろ過し、ろ液からエタノール、その他溶剤を気化させた。ろ液から採取された残渣の質量を求め、以下の式から結合率を算出した。
樹脂組成物のストランドから得られた薄膜を、透過光にてマイクロスコープ(KEYENCE製、商品名「VHX−1000」、倍率200倍)で観察し、短径100μm以上の粗大粒子の個数を計測した。2000μm×2000μmの視野に確認された、短径100μm以上の粒子の数に基づき、以下の基準で評価した。
◎:10個以下
○:10個を超え20個以下
△:20個を超えて50個以下
×:50個を超える
樹脂組成物のストランドから得られた薄膜を、目視で観察した。評価は以下の基準で行った。
◎:無色透明
○:薄い橙色
△:濃い橙色
×:濃い橙色から茶褐色
樹脂組成物のストランドから得られたペレットを、ISO1133 A法の方法に従い、230℃で荷重2.16kgfの条件で測定した。各樹脂組成物のMFRの測定値をPP単独のペレット(サンアロマー株式会社製、製品名「サンアロマーPX600N」、以下同じ。)のMFRの測定値と比較し、以下の基準で評価した。単位はg/10分とした。なお、PP単独のペレットのMFRは5.8g/10分であった。
◎:PP単独に対し80%以上向上
○:PP単独に対し50%以上向上
△:PP単独に対し20%以上向上
×:PP単独に対し+10%以下(効果なし)
樹脂組成物のストランドから得られたペレットを、JIS K7197の方法(TMA法:熱機械分析法)に従い、0〜60℃の範囲で測定し、得られた測定値に基づき、以下の基準で評価した(なお、PP単独は148ppm/Kであった。)。
(実施例1〜28及び比較例について)
◎:120ppm/K未満
○:120ppm/K以上、130ppm/K未満
△:130ppm/K以上、140ppm/K未満
×:140〜150ppm/K
(実施例29〜41について)
◎:40ppm/K未満
○:40ppm/K以上、50ppm/K未満
△:50ppm/K以上、60ppm/K未満
×:60〜70ppm/K
各実施例、比較例で得られたJIS K7127規格のダンベル状試験片を用いて、万能材料試験機(オートグラフAG−E型、島津製作所株式会社製)を用いて、引っ張り強度を測定した。試験温度は室温とし、クロスヘッド速度は50mm/分で測定し、得られた応力−歪み曲線から降伏値を、引っ張り強度として求めた。各樹脂組成物の引っ張り強度の測定値をPP単独のペレットの引っ張り強度の測定値と比較し、以下の基準で評価した。なお、PP単独のペレットの引っ張り強度は33MPaであった。
◎:PP単独に対し130%以上向上
○:PP単独に対し120%以上向上
△:PP単独に対し110%以上向上
×:PP単独に対し110%未満
上述の引っ張り強度の測定で得られた応力−歪み曲線から破断距離を、引っ張り伸びとして求めた。各樹脂組成物の引張強度の測定値をPP単独のペレットの引っ張り伸びの測定値と比較し、以下の基準で評価した。なお、PP単独のペレットの引っ張り伸びは20%であった。
◎:PP単独に対し200%以上向上
○:PP単独に対し150%以上向上
△:PP単独に対し130%以上向上
×:PP単独に対し110%未満
市販のDPパルプ(平均重合度1600)を細断後、2.5mol/L塩酸中、105℃で15分間加水分解した後、水洗及び濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーク状のセルロースを作製した(平均重合度220、結晶形I型、結晶化度78%、粒子L/D1.6、コロイド状セルロース含有量55質量%、粒子径(積算体積50%粒子径、以下同様。)0.2μm、ゼータ電位−20mV)。次に、このウェットケーク状のセルロースを単独で密閉式プラネタリーミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM−5LVT」、撹拌羽根はフック型)中、70rpmで20分間、常温常圧で摩砕処理し、その後、ロジンエチレンオキサイド付加物(ロジン−ポリエチレングリコールエステル、ハリマ化成株式会社社製、商品名「REO−15」、静的表面張力39.7mN/m、動的表面張力48.1mN/m、SP値7.25以上、常圧下沸点100℃超)を、セルロース/ロジンエチレンオキサイド付加物が80/20(質量比)となるように投入し、常温常圧下70rpmで60分間摩砕処理し、最後に減圧(−0.1MPa)し、40℃の温浴をセットし、307rpmで2時間、コーティング及び減圧乾燥処理を行い、セルロース製剤Aを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。
実施例1のセルロース製剤の製法において、セルロース/ロジンエチレンオキサイド付加物の配合割合を95/5(質量比)としたこと以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Bを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Bを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、セルロース/ロジンエチレンオキサイド付加物の配合割合を50/50(質量比)としたこと以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Cを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Cを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、セルロース/ロジンエチレンオキサイド付加物の配合割合を99/1(質量比)としたこと以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Dを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Dを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、流動パラフィン(和光純薬製、特級グレード、静的表面張力26.4mN/m(なお、流動パラフィンは水と分相したため、動的表面張力は、水と同じ値となった。)、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Eを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。
このセルロース製剤Eを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、トール油脂肪酸(ハリマ化成株式会社製 商品名「ハートールSR−30」、静的表面張力30.2mN/m(なお、トール油脂肪酸は水と分相したため、動的表面張力は、水と同じ値となった。)、SP値7.25以上、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Fを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Fを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表2に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、テルピン油(ヤスハラケミカル株式会社製 商品名「ターピネオール」、静的表面張力33.2mN/m(なお、テルピン油は水と分相したため、動的表面張力は、水と同じ値となった。)、SP値7.25以上、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Gを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Gを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表3に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ロジンエチレンオキサイド付加物(ロジン−ポリエチレングリコールエステル、ハリマ化成株式会社社製、商品名「REO−15」、静的表面張力39.7mN/m、動的表面張力48.1mN/m、SP値7.25以上、常圧下沸点100℃超)と、トール油脂肪酸(ハリマ化成株式会社製、商品名「ハートールSR−30」、静的表面張力30.2mN/m、SP値7.25以上、常圧下沸点100℃超)を質量比で等量混合したもの(静的表面張力35mN/m、動的表面張力39mN/m)を20質量部として用いた以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Hを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Hを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表3に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、グリセリン(静的表面張力63.4mN/m、動的表面張力71.9mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Iを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Iを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表3に示した。
市販のDPパルプ(平均重合度1600)を細断後、2.5mol/L塩酸中、70℃で15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーク状のセルロース(平均重合度490、結晶形I型、結晶化度73%、粒子L/D1.4、コロイド状セルロース含有量50質量%、粒子径0.3μm)を作製した。得られたウェットケーク状のセルロースをセルロースとして用いた以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Jを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Jを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表3に示した。
市販のバガスパルプ(平均重合度1100)を細断後、1.5mol/L塩酸中、70℃で15分間加水分解した後、ろ過して、固形分が50質量%のウェットケーク状のセルロース(平均重合度750、結晶形I型、結晶化度69%、粒子L/D1.3、コロイド状セルロース含有量40質量%、粒子径0.5μm)を作製した。得られたウェットケーク状のセルロースをセルロースとして用いた以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Kを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Kを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表3に示した。
市販のKPパルプ(平均重合度1600)を細断後、2.5mol/L塩酸中、120℃で50分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、これをイオン交換水で10質量%濃度に希釈し、高せん断ホモジナイザー(プライミクス製、商品名「TKホモジナイザー」、8000rpm、15分間)処理し、さらにろ過して、固形分が50質量%のウェットケーク状のセルロース(平均重合度110、結晶形I型、結晶化度85%、粒子L/D5.5、コロイド状セルロース含有量80質量%、粒子径0.15μm)を作製した。得られたウェットケーク状のセルロースをセルロースとして用いた以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Lを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Lを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
市販のDPパルプ(平均重合度1620)を、−5℃で60質量%硫酸水溶液にセルロース濃度が4重量%になるように溶解し、セルロースドープを得た。このセルロースドープを重量で2.5倍量の水中(5℃)に撹拌しながら注ぎ、セルロースをフロック状に凝集させて懸濁液を得た。この懸濁液を、80℃の温度に達してから10分間加水分解し、上澄みのpHが4以上になるまで水洗と脱水を繰り返し、セルロース濃度6重量%のペースト状のセルロース粒子の半透明白色ペースト状物を得た。更に、当該ペーストを水でセルロース濃度5重量%に希釈し、高せん断ホモジナイザー(エクセルオートホモジナイザー)で15000rpm以上の回転速度で5分間混合した。次いで、当該ペーストを超高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザーM−110EH型、みづほ工業(株)製、操作圧力1750kg/cm2)で4回処理して、透明なゲル状物(透明ペースト)を得た。この透明ペーストを、イオン交換水/エタノール=50/50(重量比)で3回洗浄/脱溶媒し、セルロース濃度5.2重量%のゲル状物を得た。このゲル状物を、ブレンダーで10000rpmの回転速度で5分間混合した。この分散体を、撹拌下で減圧濃縮して、固形分50質量%のセルロースフロック(平均重合度80、結晶形II型、結晶化度28%、粒子L/D0.1、コロイド状セルロース含有量80質量%、粒子径0.1μm)を得た。このセルロースを用いた以外は、実施例1と同様の方法によりセルロース製剤Mを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Mを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作製し、評価を行った。結果を表4に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分を加えず、セルロース濃度が50質量%のウェットケーキ状セルロース(セルロース製剤N)を用いて、実施例1と同様にPPの樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表4に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、エタノール(和光純薬製、特級グレード、静的表面張力22.3mN/m、動的表面張力54.9mN/m、SP値12.58、常圧下沸点78.4℃)を用いて、セルロース/有機成分の配合比が80/20になるように調製し、セルロース製剤Oを得た。このセルロース製剤Oを用いて、実施例1と同様にPPの樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表4に示した。
市販の針葉樹漂白クラフトパルプ(リファイナー処理済み、重合度1050、固形分25質量%)を600gに対し、イオン交換水を19.94kg加え、水懸濁液を調製した(セルロース濃度0.75質量%)。得られたスラリーをビーズミル(コトブキ技研工業株式会社製、商品名「アペックスミルAM−1型」)で、媒体としてφ1mmのジルコニアビーズ(充填率70体積%)を用いて、攪拌翼回転数2500rpm、セルロース水分散体の供給量0.4L/分の条件にて2回通過で粉砕処理を行い、セルロース分散体を得た。この分散体を、撹拌下で減圧濃縮して、固形分50質量%のセルロースフロック(平均重合度1050、結晶形I型、結晶化度69%、粒子L/D15000、コロイド状セルロース含有量は測定できず、粒子径550μm)を得た。
実施例1の方法において、樹脂組成物を作製する際に、セルロースを添加せず、有機成分としてロジンエチレンオキサイド付加物(ロジン−ポリエチレングリコールエステル、ハリマ化成株式会社社製、商品名「REO−15」、静的表面張力39.7mN/m、動的表面張力48.1mN/m、SP値7.25以上、常圧下沸点100℃超)を、2.5質量部添加し、マレイン酸変性PP(三洋化成工業株式会社製、製品名「ユーメックス1001」)を3質量部、PP(サンアロマー株式会社製、製品名「サンアロマーPX600N」)を84.5質量部加え、小型混練機(Xplore instruments社製、製品名「Xplore」)を用いて、実施例1と同様の操作で樹脂組成物を作製し、得られた薄膜、ペレット、ダンベル状試験片を用いて各評価を行った。結果を表4に示した。
実施例1のセルロース製剤Aを使用し、樹脂組成物組成として、セルロース製剤を12.5質量部、マレイン酸変性PPを0.1質量部、残りとしてポリプロピレンを加えて全量100質量部に変更し、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表5に示した。
<線膨張係数>
◎◎◎:80ppm/K未満
◎◎:80ppm/K以上、100ppm/K未満
◎:100ppm/K以上、120ppm/K未満
○:120ppm/K以上、130ppm/K未満
△:130ppm/K以上、140ppm/K未満
<引っ張り強度>
◎◎:PP単独に対し140%以上向上
◎:PP単独に対し130%以上向上
〇:PP単独に対し120%以上向上
△:PP単独に対し110%以上向上
<引っ張り伸び>
◎:PP単独に対し200%以上向上
〇:PP単独に対し150%以上向上
△:PP単独に対し130%以上向上
実施例1のセルロース製剤Aを使用し、樹脂組成物組成として、セルロース製剤を12.5質量部、マレイン酸変性PPを0.5質量部、残りとしてPPを加え全量100質量部製剤中のセルロース/マレイン酸変性PPの質量比を95/5に変更し、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表5に示した。
実施例1のセルロース製剤Aを使用し、樹脂組成物組成として、セルロース製剤を12.5質量部、マレイン酸変性PPを1.1質量部、残りとしてPPを加え全量100質量部に変更し、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表5に示した。
実施例1のセルロース製剤Aを使用し、樹脂組成物組成として、セルロース製剤を12.5質量部、マレイン酸変性PPを1.8質量部、残りとしてPPを加え全量100質量部に変更し、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表5に示した。
実施例1のセルロース製剤Aを使用し、樹脂組成物組成として、セルロース製剤を12.5質量部、マレイン酸変性PPを2.5質量部、残りとしてPPを加え全量100質量部に変更し、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表5に示した。
実施例1のセルロース製剤Aを使用し、樹脂組成物組成として、セルロース製剤を12.5質量部、マレイン酸変性PPを8.5質量部、残りとしてPPを加え全量100質量部に変更し、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表6に示した。
実施例1の樹脂組成物組成において、セルロース製剤Aの配合量を12.5質量部、マレイン酸変性PPの配合量を3質量部に固定し、PPの一部を置き換えて、ポリアミド6(東レ株式会社製 アミランCM1007)を0.1質量部配合して、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表6に示した。
実施例1の樹脂組成物組成において、セルロース製剤Aの配合量を12.5質量部、マレイン酸変性PPの配合量を3.0質量部に固定し、PPの一部を置き換えて、ポリアミド6を0.5質量部配合して、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表6に示した。
実施例1の樹脂組成物組成において、セルロース製剤Aの配合量を12.5質量部、マレイン酸変性PPの配合量を3.0質量部に固定し、PPの一部を置き換えて、ポリアミド6を1.0質量部配合して、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表6に示した。
実施例1の樹脂組成物組成において、セルロース製剤Aの配合量を12.5質量部、マレイン酸変性PPの配合量を3.0質量部に固定し、PPの一部を置き換えて、ポリアミド6を2.0質量部配合して、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表6に示した。
実施例1の樹脂組成物組成において、セルロース製剤Aの配合量を12.5質量部、マレイン酸変性PPの配合量を3.0質量部に固定し、PPの一部を置き換えて、ポリアミド6を5.0質量部配合して、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表7に示した。
実施例1の樹脂組成物組成において、セルロース製剤Aの配合量を12.5質量部、マレイン酸変性PPの配合量を3.0質量部に固定し、PPの一部を置き換えて、ポリアミド6を10.0質量部配合して、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表7に示した。
実施例1の樹脂組成物組成において、セルロース製剤Aの配合量を12.5質量部、マレイン酸変性PPの配合量を3.0質量部に固定し、PPの一部を置き換えて、ポリアミド6を20.0質量部配合して、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表7に示した。
実施例1の樹脂組成物組成において、セルロース製剤Aの配合量を12.5質量部、マレイン酸変性PPの配合量を3.0質量部に固定し、PPの一部を置き換えて、ポリアミド6を30.0質量部配合して、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表7に示した。
実施例1の樹脂組成物組成において、セルロース製剤Aの配合量を12.5質量部、マレイン酸変性PPの配合量を3.0質量部に固定し、PPの一部を置き換えて、ポリアミド6を75.0質量部配合して、小型混練機を用いて、同様に樹脂組成物を作製し、評価した。結果を表7に示した。
実施例2のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンN−515 静的表面張力34.8mN/m、動的表面張力40.9mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例2と同様の方法によりセルロース製剤Qを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Qを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作成し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例2のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンKTSP−16 静的表面張力39.0mN/m、動的表面張力55.8mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例2と同様の方法によりセルロース製剤Rを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Rを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作成し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例2のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレンβナフチルエーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンBN−10 静的表面張力48.2mN/m、動的表面張力51.7mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例2と同様の方法によりセルロース製剤Sを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Sを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作成し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例2のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンBEO−17.5 静的表面張力49.5mN/m、動的表面張力53.1mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例2と同様の方法によりセルロース製剤Tを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Tを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作成し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例2のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンRCW−20 静的表面張力42.4mN/m、動的表面張力52.9mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例2と同様の方法によりセルロース製剤Uを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Uを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作成し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例2のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレン直鎖アルキルエーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンCH−315L 静的表面張力36.7mN/m、動的表面張力62.6mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例2と同様の方法によりセルロース製剤Vを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Vを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作成し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例2のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル(日光ケミカルズ株式会社製 NIKKOL BPS−20 静的表面張力51.3mN/m、動的表面張力65.7mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例2と同様の方法によりセルロース製剤Qを得た(水分2質量%、有機成分の結合率5%以下)。このセルロース製剤Wを用いて、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を作成し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例1の方法でセルロース製剤Aを得た後、得られたセルロース製剤を12.5質量部、ポリアミド6(PA6)(宇部興産株式会社製 商品名UBEナイロン 1013B、カルボキシル末端基比率が([COOH]/[全末端基])=0.6)を87.5質量部加え、小型混練機(Xplore instruments社製、製品名「Xplore」)を用いて、240℃、100rpm(シアレート1570(1/s))で5分間循環混練後に、ダイスを経てφ1mmの樹脂組成物のストランドを得た。当該ストランドを常温で、1cm長さにカットして1gを量りとり、ホットプレス(240℃)にて厚み100μmの薄膜を得た。また、当該ストランドから得られたペレット(ストランドを1cm長さにカットしたもの)を、付属の射出成型機にて260℃で溶融した樹脂をJIS K7127規格のダンベル状試験片を作成し、各評価に用いた。得られた薄膜、ペレット、ダンベル状試験片を用いて各評価を行った。結果を表8に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンN−515 静的表面張力34.8mN/m、動的表面張力40.9mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でセルロース製剤Xを得た。得られたセルロース製剤Xを用いて、実施例38と同様の方法で樹脂組成物を調整し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンKTSP−16 静的表面張力39.0mN/m、動的表面張力55.8mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でセルロース製剤Yを得た。得られたセルロース製剤Xを用いて、実施例38と同様の方法で樹脂組成物を調整し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレンβナフチルエーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンBN−10 静的表面張力48.2mN/m、動的表面張力51.7mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でセルロース製剤Zを得た。得られたセルロース製剤Xを用いて、実施例38と同様の方法で樹脂組成物を調整し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンBEO−17.5 静的表面張力49.5mN/m、動的表面張力53.1mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でセルロース製剤αを得た。得られたセルロース製剤Xを用いて、実施例38と同様の方法で樹脂組成物を調整し、評価を行った。結果を表8に示した。
実施例1のセルロース製剤の製法において、有機成分として、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンRCW−20 静的表面張力42.4mN/m、動的表面張力52.9mN/m、常圧下沸点100℃超)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でセルロース製剤βを得た。得られたセルロース製剤Xを用いて、実施例38と同様の方法で樹脂組成物を調整し、評価を行った。結果を表8に示した。
Claims (26)
- セルロース粒子と、前記セルロース粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機成分とを含むセルロース製剤であって、前記有機成分が、静的表面張力20mN/m以上、及び水よりも高い沸点を有する、セルロース製剤。
- 前記有機成分の動的表面張力が60mN/m以下である、請求項1に記載のセルロース製剤。
- 前記有機成分の溶解パラメータ(SP値)が7.25以上である、請求項1または2に記載のセルロース製剤。
- レーザー回折粒度分布計により測定される積算体積50%粒子径が10μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロース製剤。
- 前記セルロース粒子を構成するセルロースの平均重合度が1000以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロース製剤。
- 前記セルロース粒子を構成するセルロースが結晶セルロースを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース製剤。
- 前記結晶セルロースの平均L/Dが30未満、及び/又は平均重合度が500未満である、請求項6に記載のセルロース製剤。
- 前記セルロース製剤がセルロースファイバーを更に含み、前記セルロースファイバーの平均L/Dが30以上、及び/又は平均重合度が300以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルロース製剤。
- 前記セルロース製剤中に存在するセルロースの総質量に対する結晶セルロースの比率が50質量%以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のセルロース製剤。
- セルロースを30〜99質量%、及び前記有機成分を1〜70質量%含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のセルロース製剤。
- 前記有機成分がロジン誘導体、アルキルフェニル誘導体、ビスフェノールA誘導体、βナフチル誘導体、スチレン化フェニル誘導体、及び硬化ひまし油誘導体からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のセルロース製剤。
- 前記有機成分がポリオキシエチレン誘導体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のセルロース製剤。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のセルロース製剤を1質量%以上含む樹脂組成物。
- 前記セルロース製剤中に存在するセルロース100質量部に対し1質量部以上の量の界面形成剤を更に含む、請求項13に記載の樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂を更に含む、請求項13または14に記載の樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂、セルロース粒子、有機成分、及び界面形成剤を含む樹脂組成物であって、
前記有機成分が、静的表面張力20mN/m以上、及び水よりも高い沸点を有し、
前記界面形成剤の量が、樹脂組成物中に存在するセルロース100質量部に対して1質量部以上である、樹脂組成物。 - 前記有機成分の動的表面張力が60mN/m以下である、請求項16に記載の樹脂組成物。
- 前記有機成分の溶解パラメータ(SP値)が7.25以上である、請求項16または17に記載の樹脂組成物。
- レーザー回折粒度分布計により測定される、前記セルロース粒子の積算体積50%粒子径が10μm以下である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロース粒子を構成するセルロースの平均重合度が1000以下である、請求項16〜19のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記セルロース粒子を構成するセルロースが結晶セルロースを含む、請求項16〜20のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記結晶セルロースの平均L/Dが30未満、及び/又は平均重合度が500未満である、請求項21に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物がセルロースファイバーを更に含み、前記セルロースファイバーの平均L/Dが30以上、及び/又は平均重合度が300以上である、請求項16〜22のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物中に存在するセルロースの総質量に対する結晶セルロースの比率が50質量%以上である、請求項16〜23のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物中のセルロースの総量と前記有機成分の量との合計100質量%に対して、前記セルロースの量が30〜99質量%、及び前記有機成分の量が1〜70質量%である、請求項16〜24のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記有機成分がロジン誘導体、アルキルフェニル誘導体、ビスフェノールA誘導体、βナフチル誘導体、スチレン化フェニル誘導体、及び硬化ひまし油誘導体からなる群から選択される、請求項16〜25のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
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