JP2018107277A - 半導体受光素子 - Google Patents

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猪口 康博
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Abstract

【課題】暗電流を低減できる半導体受光素子を提供する。【解決手段】半導体受光素子は、タイプIIの超格子構造を含む受光層と、タイプIIの超格子構造を含む第1超格子層と、受光層と第1超格子層との間に設けられ、タイプIIの超格子構造を含む井戸層と、を備え、井戸層の超格子構造の伝導帯は、受光層の超格子構造の伝導帯及び第1超格子層の超格子構造の伝導帯より低く、受光層の超格子構造の伝導帯、井戸層の超格子構造の伝導帯及び第1超格子層の超格子構造の伝導帯の配列は、第1エネルギー準位及び第2エネルギー準位を含む井戸型ポテンシャルを形成し、第1エネルギー準位は、第2エネルギー準位より低い。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体受光素子に関する。
非特許文献1は、赤外線用のフォトダイオードに関する。
D. Hoffman et.al.,"Beryllium compensationdoping of InAs/GaSb infrared superlattice photodiodes",Appl. Phys. Lett., Volume 91, p.143507 (2007)
非特許文献1に開示されたフォトダイオードでは、光の入射がなくても受光層の伝導帯にキャリアが熱励起される。この熱励起キャリアは、フォトダイオード内に拡散して暗電流を発生させ、暗電流はフォトダイオードの受光感度を低下させる。暗電流の発生を低減させるために、キャリアの熱励起を抑えることが求められる。熱励起キャリアの生成を少なくする手法の一つが、フォトダイオードの冷却である。フォトダイオードの冷却により、暗電流を抑えることができる。更なる暗電流の低減のためには、フォトダイオードの冷却に加えて新たな工夫が求められる。
本発明の一側面は、上記の背景に基づき為されたものであり、暗電流を低減できる半導体受光素子を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る半導体受光素子は、タイプIIの超格子構造を含む受光層と、タイプIIの超格子構造を含む第1超格子層と、前記受光層と前記第1超格子層との間に設けられ、タイプIIの超格子構造を含む井戸層と、を備え、前記井戸層の前記超格子構造の伝導帯は、前記受光層の前記超格子構造の伝導帯及び前記第1超格子層の前記超格子構造の伝導帯より低く、前記受光層の前記超格子構造の伝導帯、前記井戸層の前記超格子構造の伝導帯及び前記第1超格子層の前記超格子構造の伝導帯の配列は、第1エネルギー準位及び第2エネルギー準位を含む井戸型ポテンシャルを形成し、前記第1エネルギー準位は、前記第2エネルギー準位より低い。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明の一側面によれば、暗電流を低減できる半導体受光素子が提供される。
図1は、実施形態に係る半導体受光素子を模式的に示す図である。 図2は、実施例に係る井戸型ポテンシャルを模式的に示す図である。 図3は、実施例に係る半導体受光素子における伝導帯及び価電子帯の一例を模式的に示す図である。 図4は、実施例に係る半導体受光素子における暗電流のバイアス電圧特性と、井戸層を備えない半導体受光素子における暗電流のバイアス電圧特性とを示す図である。 図5は、実施形態に係る半導体受光素子を作製する方法における主要な工程を模式的に示す図である。 図6は、実施形態に係る半導体受光素子を作製する方法における主要な工程を模式的に示す図である。
引き続き、いくつかの具体例を説明する。
一形態に係る半導体受光素子は、(a)タイプIIの超格子構造を含む受光層と、(b)タイプIIの超格子構造を含む第1超格子層と、(c)前記受光層と前記第1超格子層との間に設けられ、タイプIIの超格子構造を含む井戸層と、を備え、前記井戸層の前記超格子構造の伝導帯は、前記受光層の前記超格子構造の伝導帯及び前記第1超格子層の前記超格子構造の伝導帯より低く、前記受光層の前記超格子構造の伝導帯、前記井戸層の前記超格子構造の伝導帯及び前記第1超格子層の前記超格子構造の伝導帯の配列は、第1エネルギー準位及び第2エネルギー準位を含む井戸型ポテンシャルを形成し、前記第1エネルギー準位は、前記第2エネルギー準位より低い。
この半導体受光素子によれば、受光層の超格子構造の伝導帯、井戸層の超格子構造の伝導帯、及び第1超格子層の超格子構造の伝導帯の配列は、井戸型ポテンシャルを形成することができる。井戸型ポテンシャルは、キャリアを捕獲するいくつかの離散的エネルギー準位を形成できるような深さ及び幅を有している。上記の受光層は、光の入射がなくても半導体受光素子の動作温度に応じて熱励起キャリアを生成する。これらのキャリアのうちの一部分は、受光層から第1超格子層への経路上の井戸層においてエネルギーを失わずに、第1超格子層の伝導帯へ到達する。キャリアのうちの他の部分は、井戸層においてエネルギーを失い井戸型ポテンシャル内のエネルギー準位に捕獲されて、捕獲キャリアとなる。受光層から移動してきた捕獲キャリアは一旦第2エネルギー準位に捕獲され、一部は再度熱で励起されて第1超格子層まで流れ、電気信号として検出され暗電流の原因になる。しかし他の捕獲キャリアは、第1エネルギー準位の緩和時間に応じて、より低いエネルギー準位に緩和していき、暗電流の原因にならない。井戸型ポテンシャル内のエネルギー準位は、井戸層における熱励起キャリアも捕獲する。半導体受光素子において、このような緩和は定常的に生じており、また、キャリアの熱励起も定常的に生じている。井戸型ポテンシャルの深さと幅を調整することで、井戸型ポテンシャル中の第1エネルギー準位の第2エネルギー準位より深い部分が、受光層の熱励起キャリアと井戸層の熱励起キャリアで埋まるようにすれば、受光層で発生した熱励起キャリアが第1超格子層まで流れて暗電流の原因となることを防止できる。なおかつ、受光層への光入射に応答して生成した光励起キャリアは、井戸型ポテンシャルまで流れても第1エネルギー準位の第2エネルギー準位より深い部分が埋まっているために第2エネルギー準位にとどまり、第1超格子層に流れて電気信号として検出される。このため、井戸型ポテンシャルを挿入しても感度は低下しない。
一形態に係る半導体受光素子では、前記井戸層の前記超格子構造は、GaSb/InAs/InSb構造を含んでもよい。
この半導体受光素子によれば、キャリアを捕獲できる井戸型ポテンシャルを形成することが容易になる。
一形態に係る半導体受光素子では、前記受光層の前記超格子構造は、GaSb/InAs/InSb構造を含んでもよい。
この半導体受光素子によれば、受光層のGaSb/InAs/InSb構造は、所望の中赤外領域の光に応答して光励起キャリアを生成すると共に、井戸型ポテンシャルを形成するための障壁を提供できる。
一形態に係る半導体受光素子では、前記第1超格子層の前記超格子構造は、GaSb/InAs/InSb構造を含んでもよい。
この半導体受光素子によれば、第1超格子層のGaSb/InAs/InSb構造は、井戸型ポテンシャルを形成するための障壁を提供できる。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、半導体受光素子に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、実施形態に係る半導体受光素子を模式的に示す図である。図1の(a)部は、半導体受光素子の断面図を示し、図1の(b)部は、半導体受光素子における伝導帯を示す。半導体受光素子1は、受光層40、井戸層50、及び第1超格子層60を備える。受光層40は、タイプIIの超格子構造40Sを含む。井戸層50は、タイプIIの超格子構造50Sを含み、受光層40と第1超格子層60との間に設けられる。第1超格子層60は、タイプIIの超格子構造60Sを含む。受光層40、井戸層50、及び第1超格子層60の超格子構造の各々は、例えば、III−V族半導体層を含み、III族元素は、例えば、Ga及びInの少なくともいずれかであり、V族元素は、例えば、Sb及びAsの少なくともいずれかである。具体的には、受光層40、井戸層50、及び第1超格子層60の超格子構造は、GaSb/InAs/InSb構造、GaSb/InAs構造、GaSb/InSb/InAs構造、GaSb/InSb/InAs/InSb構造、GaInSb/InAs構造及びGaInSb/InAsSb構造を含むことができる。
受光層40においては、例えば、GaSb層41、BeドープInAs層42、及びInSb層43を含む単位構造が、繰り返して積層されて超格子構造40Sを構成する。GaSb層41及びInSb層43は、アンドープであることができ、例えば、Beといったp型ドーパントを含んでもよい。超格子構造40Sにおける単位構造の繰り返し数は、例えば300である。井戸層50においては、例えば、GaSb層51、BeドープInAs層52、及びInSb層53を含む単位構造が、繰り返して積層されて超格子構造50Sを構成する。GaSb層51及びInSb層53は、アンドープであることができ、例えば、Beといったp型ドーパントを含んでもよい。超格子構造50Sにおける単位構造の繰り返し数は、例えば4である。第1超格子層60においては、例えば、GaSb層61、SiドープInAs層62、及びSiドープInSb層63を含む単位構造が、繰り返して積層されて超格子構造60Sを構成する。GaSb層61は、アンドープであることができ、例えば、Siといったn型ドーパントを含んでもよい。超格子構造60Sにおける単位構造の繰り返し数は、例えば50である。
図1の(b)部に示されるように、井戸層50の超格子構造50Sの伝導帯Ec50は、受光層40の超格子構造40Sの伝導帯Ec40、及び第1超格子層60の超格子構造60Sの伝導帯Ec60より低い。伝導帯Ec40、伝導帯Ec50、及び伝導帯Ec60の配列は、井戸型ポテンシャルQWを形成する。井戸型ポテンシャルQWは、キャリアを捕獲するいくつかの離散的エネルギー準位を形成できるような深さ及び幅を有しており、離散的エネルギー準位のうちの最も低い準位を第1エネルギー準位E1として参照し、離散的エネルギー準位のうちの最も高い準位を第2エネルギー準位E2として参照する。第1エネルギー準位E1が、井戸層50のキャリアによって占有され、次いで、第2エネルギー準位E2が、井戸層50のキャリアによって占有されていく。
半導体受光素子1では、受光層40は、半導体受光素子1の動作温度に応じて熱励起キャリアを生成する。このキャリアは電子であることができる。受光層40の伝導帯Ec40に励起されたキャリアは、受光層40の伝導帯Ec40から第1超格子層60の伝導帯Ec60へ流れる。これらのキャリアのうちの一部分は、受光層40から第1超格子層60への経路上の井戸層50においてエネルギーを失わずに、第1超格子層60の伝導帯Ec60へ到達する。キャリアのうちの他の部分は、井戸層50において(例えばフォノンと衝突して)エネルギーを失い井戸型ポテンシャルQW内のエネルギー準位に捕獲されて、捕獲キャリアとなる。井戸型ポテンシャルQW内のエネルギー準位は、井戸層50における熱励起キャリアも捕獲する。捕獲キャリアの一部は、井戸層50において(例えばフォノンと衝突して)エネルギーを得て、井戸型ポテンシャルQW外において第2エネルギー準位E2より高い井戸層の伝導帯に遷移して、第1超格子層60へ流れていく。また、他の捕獲キャリアは、第1エネルギー準位E1の緩和時間に応じて、より低いエネルギー準位(例えば、深い準位又は価電子帯)に緩和していく。半導体受光素子1において、このような緩和は定常的に生じており、また、キャリアの熱励起も定常的に生じている。井戸型ポテンシャルQWは、離散的エネルギー準位の数に応じて少ない量のキャリアを収容でき、キャリア捕獲による収容は、半導体受光素子1の暗電流の低減になる。また、井戸型ポテンシャルQWは、熱励起キャリアより多く生成される光励起キャリアが第1超格子層60に流れることを妨げない。
図1の(a)部を参照すると、半導体受光素子1は、基板10、p型バッファ層20、第2超格子層30、及びn型キャップ層70を更に備える。半導体受光素子1では、基板10、p型バッファ層20、第2超格子層30、受光層40、井戸層50、第1超格子層60、及びn型キャップ層70が、第1軸Ax1方向に沿って、この順に配列することができる。この配列が変更されて、基板、n型バッファ層、第1超格子層、井戸層、受光層、第2超格子層、及びp型キャップ層が、この順に配列してもよい。半導体受光素子1は、半導体メサMSを有し、この半導体メサMSは、p型バッファ層20、第2超格子層30、受光層40、井戸層50、第1超格子層60、及びn型キャップ層70を含む。必要な場合には、半導体メサMSの表面が保護膜80によって覆われる。半導体受光素子1は、第1電極81及び第2電極82を更に備える。第1電極81は、n型キャップ層70に接続され、第2電極82は、p型バッファ層20に接続される。
受光層40はGaSb/InAs/InSb構造を含んでもよく、この構造は、所望の中赤外領域の光に応答して光励起キャリアを生成すると共に、井戸型ポテンシャルQWを形成するための障壁を提供できる。井戸層50はGaSb/InAs/InSb構造を含んでもよく、この構造は、キャリアを捕獲できる井戸型ポテンシャルQWの形成を容易にする。第1超格子層60はGaSb/InAs/InSb構造を含んでもよく、この構造は、井戸型ポテンシャルQWを形成するための障壁を提供できる。
基板10は、III−V族半導体、例えば、TeドープGaSbを含み、p型バッファ層20は、例えば、BeドープGaSbを含む。第2超格子層30は、例えば、タイプIIのIII−V族半導体超格子構造30Sを含み、この超格子構造30Sでは、III−V族半導体層、例えば、BeドープGaSb層31、BeドープInAs層32、及びBeドープInSb層33を含む単位構造が、第1軸Ax1方向に沿って、繰り返して積層される。単位構造の繰り返し数は、例えば50である。n型キャップ層70は、III−V族半導体、例えば、SiドープInAsを含む。
井戸層50がp型の導電性を有するときには、受光層40と井戸層50との間にpn接合が形成されない。第1超格子層60及びn型キャップ層70から拡散したキャリア(電子)は、井戸層50の正孔と再結合することができる。この再結合は、井戸型ポテンシャルQW内のエネルギー準位が第1超格子層60及びn型キャップ層70からの電子で満たされることを防止する。
(実施例)
図2は、実施例に係る井戸型ポテンシャルを模式的に示す図である。実施例の半導体受光素子SR1は、p型バッファ層及びn型キャップ層の材料、ドーパント濃度、並びに層の厚さに関して、以下の素子構造を有する。
層の名称、 材料、 ドーパント濃度、 層の厚さ。
p型バッファ層、BeドープGaSb、Be:1×1018cm−3、0.5μm。
n型キャップ層、SiドープInAs、Si:2×1018cm−3、20nm。
実施例において、第1超格子層は、n型コンタクト層であることができ、第2超格子層は、p型コンタクト層であることができる。実施例における第2超格子層、受光層、井戸層、及び第1超格子層の超格子構造の材料(厚さ)、ドーパント濃度、繰り返し数は、下記の通りである。
層の名称、材料(厚さ)、ドーパント濃度、繰り返し数。
p型コンタクト層、BeドープGaSb(2.13nm)/BeドープInAs(2.74nm)/BeドープInSb(0.27nm)、Be:1×1017cm−3、50。
受光層、GaSb(2.13nm)/BeドープInAs(2.74nm)/InSb(0.27nm)、Be:1×1015cm−3、300。
受光層の超格子構造の伝導帯と価電子帯との間のバンドギャップ:207meV。
井戸層、GaSb(2.13nm)/BeドープInAs(3.33nm)/InSb(0.36nm)、Be:1×1016cm−3、4。
井戸層の超格子構造の伝導帯と価電子帯との間のバンドギャップ:155meV。
n型コンタクト層、GaSb(2.13nm)/SiドープInAs(2.74nm)/InSb(0.27nm)、Si:1×1017cm−3、50。
n型コンタクト層の超格子構造の伝導帯と価電子帯との間のバンドギャップ:207meV。
実施例における保護膜は、SiOを含み、その厚さは、300nmである。
受光層の超格子構造における単位構造の繰り返し数は、50〜1000の範囲であり、この超格子構造は、GaSb/InAs/InSb、GaSb/InAs、GaSb/InSb/InAs、GaSb/InSb/InAs/InSb、GaInSb/InAs及びGaInSb/InAsSbを包含することができる。井戸層の超格子構造における単位構造の繰り返し数は、1〜50の範囲であり、この超格子構造は、GaSb/InAs/InSb、InAs/GaSb、GaSb/InSb/InAs、GaSb/InSb/InAs/InSb、InAs/GaInSb、InAsSb/GaSb、及びInAsSb/GaInSbを包含することができる。n型コンタクト層の超格子構造における単位構造の繰り返し数は、10〜100の範囲であり、この超格子構造は、GaSb/InAs/InSb、GaSb/InAs、GaSb/InSb/InAs、GaSb/InSb/InAs/InSb、GaInSb/InAs及びGaInSb/InAsSbを包含することができる。
受光層の超格子構造におけるドーパント濃度、例えばBeドーパント濃度は、1×1014cm−3〜1×1018cm−3の範囲であることができる。井戸層の超格子構造におけるドーパント濃度、例えばBeドーパント濃度は、1×1014cm−3〜1×1017cm−3の範囲であることができる。n型コンタクト層の超格子構造におけるドーパント濃度、例えばSiドーパント濃度は、1×1017cm−3〜1×1019cm−3の範囲であることができる。
図2の(a)部は各層のドーピング濃度が十分薄く、バンド曲りが無視できる場合のバンド構造である。実際には、ドーピングに起因するビルトイン電圧やバイアス電圧の印加により、図2の(b)部に示される井戸型ポテンシャルQW2の形に変化する。井戸型ポテンシャルは、第1エネルギー準位E1及び第2エネルギー準位E2を形成する。第2エネルギー準位E2は、第1エネルギー準位E1よりも高い。図2には、伝導帯Ecが示されている。
図2の(a)部を参照すると、実施例の半導体受光素子SR1では、n型コンタクト層の伝導帯から第1エネルギー準位E1までのエネルギー差P1は、例えば40.6meVである。n型コンタクト層の伝導帯から第2エネルギー準位E2までのエネルギー差P2は、例えば11.7meVであり、n型コンタクト層の伝導帯から井戸層の伝導帯までのエネルギー差P3は、例えば51.7meVである。
図2の(b)部を参照すると、半導体受光素子SR1にバイアス電圧が印加されており、このバイアス電圧は、20mVである。受光層の伝導帯から第1エネルギー準位E1までのエネルギー差P4は、例えば46.2meVであり、受光層の伝導帯から第2エネルギー準位E2までのエネルギー差P5は、例えば17.4meVである。受光層の伝導帯から井戸層の伝導帯までのエネルギー差P6は、例えば57.4meVである。n型コンタクト層の伝導帯から第1エネルギー準位E1までのエネルギー差P7は、例えば34.9meVであり、n型コンタクト層の伝導帯から第2エネルギー準位E2までのエネルギー差P8は、例えば6.0meVである。エネルギー差P8は、エネルギー差P5よりも小さくなっている。
発明者等の見積もりによれば、井戸層の厚さが23.3nmであるとき、第1エネルギー準位E1及び第2エネルギー準位E2の状態密度(単位面積及び単位エネルギーあたりの状態数である)は、例えば1.25×1013eV−1cm−2である。この値から、半導体受光素子SR1の動作温度、例えば絶対温度(T)の210Kでは、第1エネルギー準位E1の状態密度D(E1)の面密度は、例えば3.12×1011cm−2と見積もられる。面密度は、積層方向(第1軸Ax1方向)に垂直な面で規定され、単位面積当たりのキャリア密度を表す。動作温度においては、受光層及び井戸層には、熱励起されたキャリアが存在する。受光層のキャリア面密度は、例えば2.34×1011cm−2と見積もられ、井戸層のキャリア面密度は、例えば1.65×1010cm−2と見積もられる。受光層及び井戸層のキャリア面密度の合算値は、2.51×1011cm−2である。この合算したキャリア面密度は、第1エネルギー準位E1の状態密度D(E1)の面密度3.12×1011cm−2に近いので、第1エネルギー準位E1の大部分は、熱励起キャリアで占有される。
既に説明したように、バイアス電圧が、例えば20mVのときに、n型コンタクト層の伝導帯から第2エネルギー準位E2までのエネルギー差P8は、例えば6.0meVである。絶対温度210Kにおける熱的ゆらぎ(kT、kはボルツマン定数を表し、Tは絶対温度を表す)は、18.1meVである。この熱的ゆらぎ(kT)がエネルギー差P8より大きいので、図2の(b)部に示されるように、第2エネルギー準位E2のキャリアの一部は、ゆらぎの熱エネルギーによって励起されて、井戸型ポテンシャルQW2外における井戸層の伝導帯のエネルギー準位C1に遷移する。エネルギー準位C1のキャリアは、n型コンタクト層の伝導帯へ流れていく。
井戸層の一例では、好ましくは、例えば、井戸層のp型InAs層の厚さは、3.03nm以上4.24nm以下の範囲であることができる。p型InAs層の厚さが3.03nm未満であるときには、井戸層の超格子構造の伝導帯と価電子帯とのエネルギー差が、受光層及びn型コンタクト層の超格子構造の伝導帯と価電子帯とのエネルギー差に非常に近くなり、井戸型ポテンシャルが浅くなる。p型InAs層の厚さが4.24nmより大きいときには、井戸層の超格子構造の伝導帯と価電子帯とのエネルギー差が、受光層及びn型コンタクト層の超格子構造の伝導帯と価電子帯とのエネルギー差に比べて増大して、このエネルギー差の増大に伴って、井戸型ポテンシャルが深くなる。非常に深い井戸型ポテンシャルは、3つ以上のエネルギー準位を有する。例えば、3つのエネルギー準位が形成される井戸型ポテンシャルでは、これら3つのエネルギー準位の各々に状態密度が規定される。これらの状態密度の面密度の総和は、井戸層及び受光層の熱励起キャリアのキャリア面密度の総和より大きくなることがある。具体的には、熱励起キャリアは、3つのエネルギー準位のうち、低エネルギー側の2つのエネルギー準位の全てを占有することができない。低エネルギー側の2つのエネルギー準位のうちの空き準位は、光励起により生成されたキャリアを捕獲できる。多くの場合、動作温度における熱的ゆらぎは、低エネルギー側の2つのエネルギー準位と、n型コンタクト層の伝導帯とのエネルギー差より小さいので、動作温度の熱エネルギー(kT)、18.1meVは、低エネルギー側の2つのエネルギー準位内のキャリアを井戸層の伝導帯のエネルギー準位C1に熱励起できない。
本実施例では、n型コンタクト層の伝導帯から井戸層の伝導帯までのエネルギー差P3が、例えば30meV以上100meV以下であるように、井戸層及びn型コンタクト層の超格子構造を設計することができる。井戸層のための超格子構造の厚さは、例えば10nm以上100nm以下である。井戸層のための超格子構造が薄くなると、量子性が現れてくる。これらの範囲のエネルギー差P3及び厚さを有する井戸層の超格子構造によれば、井戸型ポテンシャルQWに2つのエネルギー準位が提供されることができる。
図3は、実施例に係る半導体受光素子における伝導帯及び価電子帯の一例を模式的に示す図であり、この半導体受光素子には、バイアス電圧が印加されている。p型バッファ層は、GaSb膜を含み、図3にはGaSbバルクの伝導帯Ec及び価電子帯Evが示されている。n型キャップ層は、InAs膜を含み、図3にはInAsバルクの伝導帯Ec及び価電子帯Evが示されている。p型コンタクト層、受光層、井戸層、及びn型コンタクト層は、GaSb/InAs構造を含む。図3には、p型コンタクト層、受光層、井戸層、及びn型コンタクト層において、GaSb/InAs超格子構造のGaSb層及びInAs層の伝導帯Ecが、それぞれバルクGaSb及びバルクInAsの伝導帯Ecとして描かれている。また、GaSb/InAs超格子構造のGaSb層及びInAs層の価電子帯Evが、それぞれバルクGaSb及びバルクInAsの価電子帯Evとして描かれている。GaSb層の伝導帯Ecは、InAs層の伝導帯Ecより高く、GaSb層の価電子帯Evは、InAs層の価電子帯Evより高い。GaSb層の価電子帯Evは、InAs層の伝導帯Ecより高くなっている。
図4は、実施例に係る半導体受光素子における暗電流のバイアス電圧特性と、井戸層を備えない半導体受光素子における暗電流のバイアス電圧特性とを示す。暗電流の測定は、絶対温度210Kにおいて行われ、半導体受光素子の冷却は、例えば、ペルチェ素子による。半導体受光素子SR2は、実施例の半導体受光素子SR1から井戸層を除いた構造を有する。
図4に示されるように、半導体受光素子SR1の暗電流は、半導体受光素子SR2の暗電流より少ない。例えば、バイアス電圧が−0.2Vのときには、半導体受光素子SR2の暗電流は0.832A/cmであり、半導体受光素子SR1の暗電流は0.0256A/cmである。半導体受光素子SR1は、受光層の超格子構造の伝導帯、井戸層の超格子構造の伝導帯、及びn型コンタクト層の超格子構造の伝導帯の配列による井戸型ポテンシャルを有する。この井戸型ポテンシャルが、半導体受光素子SR1において暗電流を低減している。
半導体受光素子の作製方法の概要を説明する。III−V族半導体基板のTeドープGaSb基板を準備する。図5の(a)部に示されるように、例えば、GaSb基板の(100)面上に、p型バッファ層20のためのIII−V族半導体層と、第2超格子層30、受光層40、井戸層50、及び第1超格子層60のためのIII−V族半導体超格子構造と、n型キャップ層70のためのIII−V族半導体層とをこの順に成長する。これらの成長は、例えば、MBE法によって行われる。p型バッファ層20のためのIII−V族半導体層は、例えば、BeドープGaSbであり、第2超格子層30、受光層40、及び井戸層50のためのIII−V族半導体超格子構造は、例えば、BeドープのGaSb/InAs/InSbを含む超格子構造である。第1超格子層60のためのIII−V族半導体超格子構造は、例えば、SiドープのGaSb/InAs/InSbを含む超格子構造である。n型キャップ層70のためのIII−V族半導体層は、例えば、SiドープInAsである。これらの成長工程により、半導体積層SLが形成される。
図5の(b)部に示されるように、半導体積層SLの主面上に半導体メサMSのための第1マスクM1を形成する。第1マスクM1は、例えば、SiN又はSiOを含む。図5の(c)部に示されるように、第1マスクM1を用いて半導体積層SLをエッチングして、半導体メサMSを形成する。このエッチングは、p型バッファ層20の途中まで行われ、ドライエッチング法及び/又はウェットエッチング法によることができる。ドライエッチング法では、例えば、ヨウ化水素又は塩化シリコンガスをエッチャントとして用い、ウェットエッチング法では、例えば、リン酸及び過酸化水素水を含む水溶液をエッチャントとして用いる。半導体メサMSの形成後に、第1マスクM1を除去する。
図6の(a)部に示されるように、半導体メサMS及びエッチングされたp型バッファ層20を覆う保護膜80を形成する。保護膜80は、例えば、SiN又はSiOを含み、プラズマCVD法といった成膜方法で形成される。図6の(b)部に示されるように、第2マスクM2を保護膜80上に形成する。第2マスクM2は、例えば、樹脂を含み、開口M2A及び開口M2Bを有する。第2マスクM2を用いて、保護膜80をエッチングする。このエッチングの後に、第2マスクM2を除去する。続いて、第1電極81及び第2電極82を形成するための樹脂マスクを形成する。樹脂マスクは、半導体メサMS上に第1電極81を形成するための開口と、p型バッファ層20上に第2電極82を形成するための開口とを有する。図6の(c)部に示されるように、第1電極81及び第2電極82が、樹脂マスクを用いて、例えば、蒸着及びリフトオフにより形成されて、基板生産物SP1が作製される。このように作製された基板生産物SP1の基板10を所望の厚さになるように裏面研磨して、さらに研磨された基板生産物SP1の劈開により半導体受光素子チップを形成する。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
以上説明したように、本実施形態によれば、暗電流を低減できる半導体受光素子が提供される。
1…半導体受光素子、10…基板、20…p型バッファ層、30…第2超格子層、30S…超格子構造、40…受光層、40S…超格子構造、50…井戸層、50S…超格子構造、60…第1超格子層、60S…超格子構造、70…n型キャップ層、80…保護膜、81…第1電極、82…第2電極、E1…第1エネルギー準位、E2…第2エネルギー準位、Ec40…伝導帯、Ec50…伝導帯、Ec60…伝導帯、QW…井戸型ポテンシャル。

Claims (4)

  1. タイプIIの超格子構造を含む受光層と、
    タイプIIの超格子構造を含む第1超格子層と、
    前記受光層と前記第1超格子層との間に設けられ、タイプIIの超格子構造を含む井戸層と、
    を備え、
    前記井戸層の前記超格子構造の伝導帯は、前記受光層の前記超格子構造の伝導帯及び前記第1超格子層の前記超格子構造の伝導帯より低く、
    前記受光層の前記超格子構造の伝導帯、前記井戸層の前記超格子構造の伝導帯及び前記第1超格子層の前記超格子構造の伝導帯の配列は、第1エネルギー準位及び第2エネルギー準位を含む井戸型ポテンシャルを形成し、
    前記第1エネルギー準位は、前記第2エネルギー準位より低い、半導体受光素子。
  2. 前記井戸層の前記超格子構造は、GaSb/InAs/InSb構造を含む、請求項1に記載された半導体受光素子。
  3. 前記受光層の前記超格子構造は、GaSb/InAs/InSb構造を含む、請求項1又は請求項2に記載された半導体受光素子。
  4. 前記第1超格子層の前記超格子構造は、GaSb/InAs/InSb構造を含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された半導体受光素子。
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