JP2018104233A - ガラス物品及びその製造方法 - Google Patents

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耕司 池上
Koji Ikegami
耕司 池上
利之 梶岡
Toshiyuki Kajioka
利之 梶岡
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【課題】アンチグレア膜が設けられたガラス板の主面が凸となる曲げに対する強度を確保することを可能にしたガラス物品及びその製造方法を提供する。【解決手段】ガラス物品11は、ガラス板12とアンチグレア膜13とを有する。ガラス物品は、ガラス板12とアンチグレア膜13との間に設けられた樹脂層14をさらに有する。ガラス物品11の製造方法は、ガラス板12上に樹脂層14を形成する工程と、樹脂層14上にアンチグレア膜13を形成する工程とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス板とアンチグレア膜とを有するガラス物品及びその製造方法に関する。
特許文献1に記載されるように、ガラス板の一方の主面にアンチグレア膜を設けたガラス物品が知られている。
特開2013−156523号公報
上記のようにアンチグレア膜を有するガラス物品において、アンチグレア膜が設けられたガラス板の主面が凸となる曲げが生じた場合、アンチグレア膜を設けていないガラス板よりも破壊され易いという現象が発生していた。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンチグレア膜が設けられたガラス板の主面が凸となる曲げに対する強度を確保することを可能にしたガラス物品及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するガラス物品は、ガラス板とアンチグレア膜とを有するガラス物品であって、前記ガラス板と前記アンチグレア膜との間に設けられた樹脂層をさらに有する。
上記ガラス物品において、前記樹脂層は、シリコーン樹脂層であることが好ましい。
上記ガラス物品において、前記ガラス板は、表面に圧縮応力層を有することが好ましい。
上記課題を解決するガラス物品の製造方法は、ガラス板とアンチグレア膜とを有するガラス物品の製造方法であって、前記ガラス板上に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層上にアンチグレア膜を形成する工程と、を備える。
上記ガラス物品の製造方法において、前記アンチグレア膜を形成する工程は、前記アンチグレア膜の前駆体を含有する塗布用溶液を前記樹脂層上に塗布することで前記樹脂層上に塗膜を形成した後、前記塗膜を加熱する工程であることが好ましい。
本発明によれば、アンチグレア膜が設けられたガラス板の主面が凸となる曲げに対する強度を確保することが可能となる。
実施形態におけるガラス物品を示す側面図である。 (a)は、外力を加える前のガラス物品の内部応力について説明する概略断面図であり、(b)は、外力を加えた状態のガラス物品の内部応力について説明する概略断面図である。 従来のガラス物品であって、(a)は、外力を加える前のガラス物品の内部応力について説明する概略断面図であり、(b)は、外力を加えた状態のガラス物品の内部応力について説明する概略断面図である。
以下、本発明のガラス物品の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の厚さ等を誇張して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
図1に示すように、ガラス物品11は、ガラス板12とアンチグレア膜13とを有している。ガラス物品11は、ガラス板12とアンチグレア膜13との間に設けられた樹脂層14をさらに有している。詳述すると、本実施形態のガラス物品11において、ガラス板12の両主面(第1主面12a及び第2主面12b)のうち、一方の主面(第1主面12a)上には、樹脂層14が設けられ、その樹脂層14上にはアンチグレア膜13が設けられている。
ガラス板12としては、例えば、表面に圧縮応力層を有するガラス板(化学強化ガラスや風冷強化ガラス等の強化ガラス)、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等からなるガラス板が挙げられる。ガラス板12は、曲面を有していてもよい。ガラス板12の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上、5mm以下の範囲であることが好ましく、0.3mm以上、1.5mm以下の範囲であることがより好ましい。ガラス板12は、表面に圧縮応力層を有することが好ましい。
ガラス物品11のアンチグレア膜13の膜面(表面)は、図示を省略した微細な凹凸構造を有し、この凹凸構造が光を散乱させることで、ガラス物品11は、アンチグレア(AG:anti−glare)の性能を持つ。アンチグレア膜13の厚さは、例えば、40〜500nmの範囲であり、アンチグレア膜13は、例えば、SiO、Al、ZrO、及びTiOから選ばれる少なくとも一種の酸化物により構成されている。
樹脂層14は、アンチグレア膜13の下地層として設けられている。樹脂層14は、アンチグレア膜13よりも軟質な層であり、アンチグレア膜13とガラス板12の第1主面12aとの間において応力を緩和する。樹脂層14としては、例えば、熱可塑性樹脂層、熱硬化性樹脂層、又は光硬化性樹脂層が挙げられる。樹脂層14としては、具体的には、ウレタン樹脂層、エポキシ樹脂層、シリコーン樹脂層が挙げられる。樹脂層14は、耐熱性、可視光の透過性等に優れるという観点から、シリコーン樹脂層であることが好ましい。シリコーン樹脂層は、例えば、ポリエステル変性シリコーン樹脂層等の変性シリコーン樹脂層であってもよい。樹脂層14の弾性率は、アンチグレア膜13の弾性率よりも低いことが好ましい。
樹脂層14の厚さは、0.005μm以上が好ましく、より好ましくは0.01μm以上であり、さらに好ましくは0.05μm以上であり、最も好ましくは0.1μm以上である。樹脂層14の厚さを厚くするにつれて、アンチグレア膜13とガラス板12の第1主面12aとの間において応力を緩和する機能をより高めることができる。樹脂層14の厚さは、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.5μm以下である。樹脂層14の厚さを薄くするにつれて、例えば、ガラス物品11の光透過性に対する影響を抑えることができる。
次に、ガラス物品11の製造方法について説明する。
ガラス物品11を製造するには、まずガラス板12の第1主面12aに樹脂層14を形成する(樹脂層形成工程)。樹脂層14の形成方法としては、例えば、スリットコート法、スピンコート法、ディップコート法等が挙げられる。具体的には、樹脂層14は、ガラス板12の第1主面12aに樹脂層14を形成する化合物を、例えば、スピンコート法により塗布し、200〜300℃程度の温度条件下で10〜100分間加熱することで得られる。
例えば、樹脂層14をシリコーン樹脂から構成する場合、樹脂層14を形成する化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
[RSiO1/2[RSiO][RSiO3/2[SiO…(1)
一般式(1)中、a、b、c、及びdは、それぞれ括弧内の繰り返し単位数を表し、a、b、c、及びdは、それぞれ0以上の整数であり、2<(a+2b+3c+4d)/(a+b+c+d)<4で表される関係式を満たす。
、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭化水素基を示す。
上記一般式(1)で表される化合物から形成された樹脂層14は、ガラス板12及びアンチグレア膜13との密着性が良好である。また、上記一般式(1)で表される化合物から形成された樹脂層14は、ガラス板12及びアンチグレア膜13との熱膨張率差が小さいため、アンチグレア膜13を形成する際に熱を受けたとしても、ガラス板12から樹脂層14が剥離し難く、しかもアンチグレア膜13も樹脂層14から剥離し難い。
上記一般式(1)で表される化合物は、炭化水素基又は水素原子の割合が少なくなる、すなわち、上記関係式中における(a+2b+3c+4d)/(a+b+c+d)の値が大きくなるほど、加熱された際の白濁が起こり難い。このため、アンチグレア膜13を形成する際に熱を受けたとしても、透過ヘイズを低く抑えることが可能となる。上記関係式中における(a+2b+3c+4d)/(a+b+c+d)の値は、好ましくは2.2以上であり、より好ましくは2.4以上であり、さらに好ましくは2.6以上である。但し、上記関係式中における(a+2b+3c+4d)/(a+b+c+d)の値が大きすぎると、樹脂層14が硬質化することで十分な緩衝機能が得られ難くなるおそれがある。こうした観点から、上記関係式中における(a+2b+3c+4d)/(a+b+c+d)の値は、好ましくは3.8以下であり、より好ましくは3.6以下であり、さらに好ましくは3.4以下である。
次に、樹脂層14上にアンチグレア膜13を形成する(アンチグレア膜形成工程)。アンチグレア膜13は、アンチグレア膜13の前駆体を含有する塗布用溶液を樹脂層14上に塗布することで塗膜を形成した後、その塗膜を加熱することで得られる。なお、樹脂層14上の塗膜は、加熱せずに自然乾燥してもよいが、塗膜を加熱することで、アンチグレア膜形成工程の時間を短縮することが可能である。
塗布用溶液を塗布する方法は、スプレー塗布法であることが好ましい。塗布用溶液のスプレー塗布には、周知の2流体ノズルや1流体ノズル等のノズルを用いることができる。ノズルから噴射される塗布用溶液の液滴の粒径は、例えば、0.1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。液滴の粒径が0.1μm以上の場合、塗膜をより短時間で形成することができる。液滴の粒径が100μm以下の場合、アンチグレア膜13の性能を高め易くなる。液滴の粒径は、ノズルの種類、スプレー圧力、液量等によって調整することができる。例えば、2流体ノズルを用いる場合、スプレー圧力が高くなるほど液滴は小さくなり、また、液量が多くなるほど液滴は大きくなる。なお、液滴の粒径は、レーザー測定器によって測定されるザウター平均粒子径である。
塗布用溶液に含有されるアンチグレア膜13の前駆体としては、例えば、シリカ前駆体、アルミナ前駆体、ジルコニア前駆体、チタニア前駆体等の無機前駆体が挙げられる。アンチグレア膜13の前駆体は、アンチグレア膜13の屈折率が低いこと、及び反応性を制御し易いことから、シリカ前駆体を含むことが好ましい。
シリカ前駆体としては、例えば、ケイ素原子に結合した炭化水素基及び加水分解性基を有するシラン化合物、シラン化合物の加水分解縮合物、並びにシラザン化合物が挙げられる。シリカ前駆体は、アンチグレア膜13におけるクラックの発生を抑えるという観点から、シラン化合物、及びシラン化合物の加水分解縮合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
シラン化合物は、ケイ素原子に結合した炭化水素基及び加水分解性基を有する。炭化水素基は、炭素原子間に−O−、−S−、−CO−及び−NR’−(R’は水素原子又は1価の炭化水素基である。)から選ばれる少なくとも一つの基を有していてもよい。
炭化水素基は、1つのケイ素原子に結合した1価の炭化水素基であってもよく、2つのケイ素原子に結合した2価の炭化水素基であってもよい。1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、及びアリール基が挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、及びアリーレン基が挙げられる。
加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、イソシアネート基、及びハロゲン原子が挙げられ、シラン化合物の安定性と加水分解性とのバランスを考慮すると、アルコキシ基、イソシアネート基、又はハロゲン原子(特に塩素原子)が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
シラン化合物としては、例えば、アルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等)、アルキル基を有するアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等)、ビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、及びアクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)が挙げられる。
アンチグレア膜13の各特性の点から、シラン化合物は、アルコキシシラン及びアルコキシシランの加水分解縮合物の少なくとも一方を含むことが好ましく、アルコキシシランの加水分解縮合物を含むことがより好ましい。
シラザン化合物は、その構造内にケイ素と窒素の結合(−SiN−)を有する化合物である。シラザン化合物としては、低分子化合物でも高分子化合物(所定の繰り返し単位を有するポリマー)であってもよい。低分子系のシラザン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、及び1,1,3,3,5,5−ヘキサメテルシクロトリシラザンが挙げられる。
アルミナ前駆体としては、例えば、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドの加水分解縮合物、水溶性アルミニウム塩、及びアルミニウムキレートが挙げられる。ジルコニア前駆体としては、例えば、ジルコニウムアルコキシド、及びジルコニウムアルコキシドの加水分解縮合物が挙げられる。チタニア前駆体としては、例えば、チタンアルコキシド、及びチタンアルコキシドの加水分解縮合物が挙げられる。
塗布用溶液は、アンチグレア膜13の前駆体を溶解する液状媒体を含有する。
液状媒体としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、及び含硫黄化合物が挙げられる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及びジアセトンアルコールが挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが挙げられる。
エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、及び1,4−ジオキサンが挙げられる。セロソルブ類としては、例えば、メチルセロソルブ、及びエチルセロソルブが挙げられる。エステル類としては、例えば、酢酸メチル、及び酢酸エチルが挙げられる。グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。含窒素化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN−メチルピロリドンが挙げられる。含硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
液状媒体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
液状媒体としては、アンチグレア膜13の前駆体を加水分解させるために、少なくとも水が用いられる。液状媒体は、水と水以外の液状媒体との混合液であってもよい。混合液中の水以外の液状媒体としては、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、及びブタノールから選ばれる少なくとも一種がより好ましい。
液状媒体は、アンチグレア膜13の前駆体の加水分解及び縮合を促進する酸触媒を含んでもよい。酸触媒は、上記前駆体の加水分解および縮合を促進し、アンチグレア膜13を短時間で形成させる。酸触媒は、アンチグレア膜13の前駆体に予め添加されてもよく、塗布用溶液の調製の際に添加されてもよい。酸触媒としては、無機酸(硝酸、硫酸、塩酸等)、有機酸(ギ酸、シュウ酸、酢酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸等)が挙げられる。
アンチグレア膜13を形成する工程において、樹脂層14上の塗膜を150〜230℃の温度条件下で、30〜60分間加熱することが好ましい。
ガラス物品11の主な用途としては、例えば、ディスプレイ用途、タッチパネル用途、及び電子デバイス用途が挙げられるが、窓ガラス用途、建材用途、車両用途等であってもよい。ガラス物品11は、映像等の視認性が良好であり、電子デバイス用途として好適に使用できる。なお、ガラス物品11のアンチグレア膜13には、さらにアンチリフレクション(AR)膜、防汚(AF)膜等を積層することもできる。AR膜及びAF膜を積層する場合、ガラス板12側から、アンチグレア膜13、AR膜、及びAF膜の順に積層することが好ましい。
次に、ガラス物品11の作用について説明する。
図3(a)に示すように、従来のガラス物品10では、ガラス板12の第1主面12aにアンチグレア膜13が直接設けられている。ここで、アンチグレア膜13は、塗膜を加熱することによって形成される。すなわち、アンチグレア膜13は、塗膜の収縮を伴って形成される。このように形成されたアンチグレア膜13に接するガラス板12の第1主面12aには、内部応力(引張応力)が生じていると考えられる。
このため、図3(b)に示すように、状来のガラス物品10では、ガラス板12の第1主面12aが凸となるように湾曲した場合、第1主面12aの引張応力がさらに増大する。このことにより、ガラス板12が破壊され易くなる。
図2(a)に示すように、本実施形態のガラス物品11では、ガラス板12とアンチグレア膜13との間に樹脂層14が設けられている。このため、アンチグレア膜13の形成の際に塗膜が収縮しても、樹脂層14のおかげで、ガラス板12の第1主面12aには、アンチグレア膜13を要因とした引張応力が生じ難くなる。
このため、図2(b)に示すように、本実施形態のガラス物品11では、ガラス板12の第1主面12aが凸となるように湾曲した場合、ガラス板12の第1主面12aに生じる引張応力は、樹脂層14を有しない従来のガラス物品10よりも小さくなる。
以上詳述した実施形態によれば、次のような作用効果が発揮される。
(1)ガラス物品11は、ガラス板12とアンチグレア膜13とを有している。ガラス物品11は、ガラス板12とアンチグレア膜13との間に設けられた樹脂層14とをさらに有している。この構成によれば、上述した作用が得られるため、アンチグレア膜13が設けられたガラス板12の第1主面12aが凸となる曲げに対する強度を確保することが可能となる。
(2)ガラス物品11の樹脂層14は、シリコーン樹脂層であることが好ましい。シリコーン樹脂層は、例えば、可視光の透過性に優れるため、電子デバイス用途に好適に用いることができる。
(3)ガラス物品11のガラス板12が圧縮応力層を有することで、曲げ強度をより高めたガラス物品11を得ることができる。
(4)ガラス物品11の製造方法は、ガラス板12上に樹脂層14を形成する工程と、樹脂層14上にアンチグレア膜13を形成する工程とを備えている。この方法によれば、上述した作用が得られるため、アンチグレア膜13が設けられたガラス板12の第1主面12aが凸となる曲げに対する強度を確保することが可能となる。
(5)アンチグレア膜13を形成する工程は、アンチグレア膜13の前駆体を含有する塗布用溶液を樹脂層14上に塗布することで樹脂層14上に塗膜を形成した後、塗膜を加熱する工程である。例えば、このようにアンチグレア膜13を形成した場合であっても、樹脂層14によってアンチグレア膜13の内部応力を好適に緩和することができるため、上述した曲げに対する強度を確保したガラス物品11を得ることが可能となる。
(変更例)
ガラス物品11のアンチグレア膜13は、例えば、スパッタリング法や化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)法等により形成したものであってもよい。このガラス物品11では、ガラス板12の第1主面12aが凸となるように湾曲した場合、アンチグレア膜13に生じたクラックの進展を樹脂層14によって抑制し、ガラス板12にクラックが進展することを阻止することが可能となる。従って、アンチグレア膜13が設けられたガラス板12の第1主面12aが凸となる曲げに対する強度を確保することが可能となる。
次に、実施例、比較例を説明する。
(実施例1)
ガラス板(無アルカリガラス板、日本電気硝子社製、OA−10G、幅50mm、長さ50mm、厚さ0.5mm)上に、樹脂層を形成するための化合物(シリコーン樹脂系コーティング剤、ハニー化成社製、商品名:ハニセランPI)をスピンコート法で塗布した。その後、加熱温度180℃、加熱時間30分間の条件で塗膜を硬化させることで、厚さ1μmのシリコーン樹脂層が設けられたガラス板を得た。
次に、アンチグレア膜を形成するための塗布用溶液を樹脂層上にスプレー塗布することで、樹脂層上に塗膜を形成した。塗布用溶液は、水を含む液状媒体にアンチグレア膜の前駆体(テトラエトキシシラン)を溶解することで調製した。スプレー塗布には、市販の2流体ノズルを備えたスプレーコーティング装置を用いて、樹脂層上に塗布用溶液を均一に塗布した。その後、加熱温度180℃、加熱時間30分間の条件で塗膜を硬化させることで、ガラス物品のサンプルを得た。
(比較例1)
比較例1では、樹脂層を省略した以外は、実施例1と同様にしてガラス板の第1主面にアンチグレア膜を設けることでガラス物品のサンプルを得た。
(比較例2)
比較例2では、実施例1と同様にして樹脂層を設けたガラス板を得た後、ガラス板において樹脂層とは反対側の第2主面に実施例1と同様にしてアンチグレア膜を設けることでガラス物品のサンプルを得た。
(参考例1)
参考例1では、実施例1と同様のガラス板をサンプルとして準備し、樹脂層及びアンチグレア膜のいずれも省略した。
(評価)
各例のサンプルの周縁部全体を固定治具によって押さえ、重さ130g、直径31.8mmの鉄球を所定の高さから各サンプルにおけるガラス板の第2主面側に落下させ、各サンプルが破壊される高さを比較することにより行った。
鉄球を落下させる高さ位置を15cmから5cmずつ上げていき、各サンプルが破壊されるまで繰り返した。なお、各サンプルについて、18回測定を行った後、得られたデータに対しプロットを行い、平均の破壊高さ(破壊確率が63%となるときの高さ)を求めた。その結果を表1に示す。
実施例1では、ガラス板とアンチグレア膜との間に樹脂層が設けられているため、参考例1と同等の破壊強度が得られている。比較例1及び2では、ガラス板とアンチグレア膜との間に樹脂層が設けられていないため、参考例1よりも曲げ強度が低い。
11…ガラス物品、12…ガラス板、13…アンチグレア膜、14…樹脂層。

Claims (5)

  1. ガラス板とアンチグレア膜とを有するガラス物品であって、
    前記ガラス板と前記アンチグレア膜との間に設けられた樹脂層をさらに有することを特徴とするガラス物品。
  2. 前記樹脂層は、シリコーン樹脂層であることを特徴とする請求項1に記載のガラス物品。
  3. 前記ガラス板は、表面に圧縮応力層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガラス物品。
  4. ガラス板とアンチグレア膜とを有するガラス物品の製造方法であって、
    前記ガラス板上に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層上にアンチグレア膜を形成する工程と、を備えることを特徴とするガラス物品の製造方法。
  5. 前記アンチグレア膜を形成する工程は、前記アンチグレア膜の前駆体を含有する塗布用溶液を前記樹脂層上に塗布することで前記樹脂層上に塗膜を形成した後、前記塗膜を加熱する工程であることを特徴とする請求項4に記載のガラス物品の製造方法。
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