JP2018102869A - 脈波測定装置および脈波測定方法、並びに血圧測定装置 - Google Patents

脈波測定装置および脈波測定方法、並びに血圧測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】脈波伝播時間の測定精度を高められる脈波測定装置を提供すること。
【解決手段】被測定部位を取り巻いて装着されるべきベルトと、このベルトに幅方向に関して互いに離間した状態で搭載され、被測定部位を通る動脈のうちそれぞれ対向する部分の脈波を検出する第1、第2の脈波センサ(40−1,40−2)と、被測定部位に対して第1、第2の脈波センサ(40−1,40−2)を、押圧力を可変して押圧し得る押圧部(21b,21c)と、第1、第2の脈波センサ(40−1,40−2)がそれぞれ時系列で出力する第1、第2の脈波信号(PS1,PS2)を取得して、それらの第1、第2の脈波信号(PS1,PS2)の波形を比較する波形比較部と、波形比較部により比較した第1、第2の脈波信号(PS1,PS2)の波形が同一になるように、押圧部(21b,21c)による押圧力をそれぞれ可変して設定する脈波センサ押圧力設定部とを備える。
【選択図】図5

Description

この発明は脈波測定装置および脈波測定方法に関し、より詳しくは、動脈を伝播する脈波の伝播時間(脈波伝播時間;Pulse Transit Time;PTT)を非侵襲で測定する脈波測定装置および脈波測定方法に関する。
また、この発明は、そのような脈波測定装置を備えて、脈波伝播時間と血圧との間の対応式を用いて血圧を算出する血圧測定装置に関する。
従来、例えば特許文献1(特開平2−213324号公報)に開示されているように、カフ10内に、このカフ10の幅方向(上腕の長手方向に相当)に関して互いに離間した状態で、小カフ13と、中カフ12とを固定配置し、上記小カフ13、上記中カフ12によってそれぞれ検出された脈波信号の間の時間差(脈波伝播時間)を測定する技術が知られている。カフ10内には、上記小カフ13と上記中カフ12との間に沿って、オシロメトリック法による血圧測定のための大カフ11が配置されている。
特開平2−213324号公報
特許文献1では、脈波伝播時間の測定は、上記小カフ13、上記中カフ12内の圧力が上記大カフ11内の圧力と同一圧力になるように、加圧・減圧の操作をしながら行われている。しかしながら、腕の中の組織配置はユーザ(被験者)によって区々であるため、上腕動脈の上流側(心臓に近い側)に位置する上記中カフ12内の圧力、および上腕動脈の下流側(心臓から遠い側)に位置する上記小カフ13内の圧力の適正値はユーザ(被験者)によって異なる。したがって、特許文献1のように上記中カフ12内の圧力と上記小カフ13内の圧力とを同一圧力に維持すると、適切な測定条件とはならない場合がある。このため、脈波伝播時間の測定精度が良くないという問題がある。
例えば、ウエアラブル機器の手首装着用ベルト(またはカフ)に、このベルトの幅方向(手首の長手方向に相当)に関して互いに離間した状態で2つの脈波センサを搭載し、上記2つの脈波センサによってそれぞれ検出された脈波信号の間の時間差(脈波伝播時間)を測定する態様が想定される。この態様では、装着の不快感を減らすためにベルトの幅が制限され、したがって、上記2つの脈波センサ間の距離が比較的短く制限される。このため、特に脈波伝播時間の測定精度を高めることが要求され、動脈の上流側に位置する脈波センサの押圧力と、動脈の下流側に位置する脈波センサの押圧力とを適切に設定する必要がある。
そこで、この発明の課題は、脈波伝播時間の測定精度を高めることができる脈波測定装置および脈波測定方法を提供することにある。
また、この発明の課題は、そのような脈波測定装置を備えて、脈波伝播時間と血圧との間の対応式を用いて血圧を算出する血圧測定装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の脈波測定装置は、
被測定部位を取り巻いて装着されるべきベルトと、
上記ベルトに、このベルトの幅方向に関して互いに離間した状態で搭載され、上記被測定部位を通る動脈のうちそれぞれ対向する部分の脈波を検出する第1、第2の脈波センサと、
上記ベルトに搭載され、上記被測定部位に対する上記第1、第2の脈波センサの押圧力をそれぞれ可変して押圧し得る押圧部と、
上記第1、第2の脈波センサがそれぞれ時系列で出力する第1、第2の脈波信号を取得して、それらの第1、第2の脈波信号の波形を比較する波形比較部と、
上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記押圧部による押圧力をそれぞれ可変して設定する脈波センサ押圧力設定部と、
を備えたことを特徴とする。
本明細書で、「被測定部位」とは、動脈が通っている部位を指す。被測定部位は、例えば手首、上腕などの上肢であっても良いし、足首、大腿などの下肢であっても良い。また、本明細書で、ベルトの幅方向に「関して」とは、ベルトの幅方向における位置関係を示している。
また、「ベルト」とは、名称の如何を問わず、被測定部位を取り巻いて装着される帯状の部材を指す。例えば、ベルトに代えて、「バンド」、「カフ」などの名称であっても良い。
また、ベルトの「幅方向」とは、被測定部位の長手方向に相当する。
この発明の脈波測定装置では、ベルトに、このベルトの幅方向に関して互いに離間した状態で第1、第2の脈波センサが搭載されている。上記ベルトが被測定部位を取り巻いて装着された状態で、押圧部が被測定部位に対して上記第1、第2の脈波センサを、例えば或る押圧力で押圧する。この状態で、上記第1、第2の脈波センサが上記被測定部位を通る動脈のうちそれぞれ対向する部分の脈波を検出する。波形比較部は、上記第1、第2の脈波センサがそれぞれ時系列で出力する第1、第2の脈波信号を取得して、それらの第1、第2の脈波信号の波形を比較する。ここで、脈波センサ押圧力設定部は、上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記押圧部による押圧力をそれぞれ可変して設定する。これにより、適切な測定条件で上記第1、第2の脈波信号の測定を行うことができ、脈波伝播時間の測定精度を高めることができる。
一実施形態の脈波測定装置では、
上記押圧部は、上記第1、第2の脈波センサにそれぞれ対応して分割された第1、第2の押圧部材を備え、
上記脈波センサ押圧力設定部は、上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記第1、第2の押圧部材による押圧力をそれぞれ可変して設定することを特徴とする。
この一実施形態の脈波測定装置では、上記第1、第2の押圧部材により、上記第1、第2の脈波センサのそれぞれを適切な押圧力で押圧することができる。
一実施形態の脈波測定装置では、
上記第1、第2の脈波センサはそれぞれ上記対向する部分の電圧を検出する検出電極対からなり、
上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサを挟むように互いに離間した状態で上記ベルトに搭載され、被測定部位に電流を供給するための電流電極対と、
上記電流電極対にそれぞれ対応して分割された第3、第4の押圧部材と、
上記第1、第2の脈波センサがそれぞれ時系列で電圧信号として出力する第1、第2の脈波信号を取得して、それらの第1、第2の脈波信号のS/N特性が所定値以上となるように、上記第3、第4押圧部材による押圧力を可変して設定する電流電極押圧力設定部と、
を備えることを特徴とする。
この一実施形態の脈波測定装置では、上記電流電極押圧力設定部および上記第3、第4の押圧部材により、上記電流電極対のそれぞれを被測定部位に対して適切な押圧力で押圧することができ、上記第1、第2の脈波信号として信頼性の高い脈波信号を得ることができる。
一実施形態の脈波測定装置では、
上記押圧部は、上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサにまたがって配置された固形物と、この固形物における上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサよりも外側の部分をそれぞれ押圧する第5、第6の押圧部材とを備え、
上記脈波センサ押圧力設定部は、上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記第5、第6の押圧部材による押圧力をそれぞれ可変して設定することを特徴とする。
本発明者による実験によると、上記被測定部位に対する上記第1、第2の脈波センサの押圧力を、或る圧力勾配に沿うように異なる値に設定すると、上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になる状態が得やすいことが発見された。そこで、この一実施形態の脈波測定装置では、上記第1、第2の脈波センサにまたがって配置された固形物を、この固形物における上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサよりも外側の部分をそれぞれ押圧する第5、第6の押圧部材により押圧する。第5、第6の押圧部材の押圧力は、上記脈波センサ押圧力設定部により、上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように可変して設定される。したがって、上記第1、第2の脈波センサの押圧力は、或る圧力勾配に沿うように異なる値に設定され、上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になる状態を容易に得ることができる。その結果、適切な測定条件で上記第1、第2の脈波信号の測定を行うことができ、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。
一実施形態の脈波測定装置では、
上記押圧部は、上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサにまたがって配置された固形物と、この固形物に対向して配置され、上記固形物へ向かって押圧力を発生可能な第7の押圧部材と、上記固形物における上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサよりも外側の部分の一方の側と上記第7の押圧部材との間に介挿された第8の押圧部材と、上記固形物における上記外側の部分の他方の側と上記第7の押圧部材との間に介挿されたスペーサとを備え、
上記脈波センサ押圧力設定部は、上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記第7、第8の押圧部材による押圧力をそれぞれ可変して設定する、
ことを特徴とする。
この一実施形態の脈波測定装置では、上記第1、第2の脈波センサにまたがって配置された固形物に対向して配置され、上記固形物へ向かって押圧力を発生可能な第7の押圧部材が配置されている。ここで、上記固形物における上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサよりも外側の部分の一方の側と、上記第7の押圧部材との間には、第8の押圧部材が介挿されている。また、上記固形物における上記外側の部分の他方の側と、上記第7の押圧部材との間には、スペーサが介挿されている。上記第7、第8の押圧部材による押圧力は、上記脈波センサ押圧力設定部により、上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように可変して設定される。したがって、上記第1、第2の脈波センサの押圧力は、或る圧力勾配に沿うように異なる値に設定され、上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になる状態を容易に得ることができる。その結果、適切な測定条件で上記第1、第2の脈波信号の測定を行うことができ、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。
一実施形態の脈波測定装置では、上記脈波センサ押圧力設定部は、上記第1、第2の脈波信号の波形が同一であるか否かを、上記第1、第2の脈波信号の振幅に基づいて判断することを特徴とする。
この一実施形態の脈波測定装置では、上記第1、第2の脈波信号の振幅に基づいて上記第1、第2の脈波信号の波形が同一であるか否かが判断される。これにより、適切な測定条件で上記第1、第2の脈波信号の測定を行うことができ、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。
一実施形態の脈波測定装置では、上記脈波センサ押圧力設定部は、上記第1、第2の脈波信号の波形が同一であるか否かを、上記第1、第2の脈波信号のアップストローク時間に基づいて判断することを特徴とする。
この一実施形態の脈波測定装置では、上記第1、第2の脈波信号のアップストローク時間に基づいて上記第1、第2の脈波信号の波形が同一であるか否かが判断される。これにより、適切な測定条件で上記第1、第2の脈波信号の測定を行うことができ、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。
一実施形態の脈波測定装置では、上記脈波センサ押圧力設定部は、上記第1、第2の脈波信号の波形が同一であるか否かを、上記第1、第2の脈波信号の波形間の相互相関係数に基づいて判断することを特徴とする。
本明細書では、「相互相関係数」とは、標本相関係数(sample correlation coefficient)を意味する(ピアソン(Pearson)の積率相関係数とも呼ばれる。)。例えば、2組の数値からなるデータ列{x}、データ列{y}(ここで、i=1,2,…,nとする。)が与えられたとき、データ列{x}とデータ列{y}との間の相互相関係数rは、図36に示す式(Eq.1)によって定義される。式(Eq.1)中の、上バーが付されたx,yは、それぞれx,yの平均値を表している。
この一実施形態の脈波測定装置では、上記第1、第2の脈波信号の波形間の相互相関係数に基づいて上記第1、第2の脈波信号の波形が同一であるか否かが判断される。これにより、適切な測定条件で上記第1、第2の脈波信号の測定を行うことができ、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。
別の局面では、この発明の血圧測定装置は、
上記脈波測定装置と、
上記脈波センサ押圧力設定部により上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように設定された押圧力下で、記第1、第2の脈波信号の間の時間差を脈波伝播時間として取得する測定処理部と、
脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式を用いて、上記測定処理部によって取得された脈波伝播時間に基づいて血圧を算出する第1の血圧算出部と、
を備えたことを特徴とする。
この一実施形態の血圧測定装置では、上記測定処理部によって精度良く脈波伝播時間が取得される。第1の血圧算出部は、脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式を用いて、上記測定処理部によって取得された脈波伝播時間に基づいて血圧を算出(推定)する。したがって、血圧の測定精度を高めることができる。
さらに別の局面では、この発明の血圧測定装置は、
上記脈波センサ押圧力設定部により上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように設定された押圧力下で、記第1、第2の脈波信号の間の時間差を脈波伝播時間として取得する測定処理部と、
脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式を用いて、上記測定処理部によって取得された脈波伝播時間に基づいて血圧を算出する第1の血圧算出部とを備え、
上記各押圧部材は上記ベルトに沿って設けられた流体袋であり、
上記ベルトに対して一体に設けられた本体を備え、
この本体に、
上記測定処理部、および、上記第1の血圧算出部が搭載されるとともに、
オシロメトリック法による血圧測定のために、上記流体袋に空気を供給して圧力を制御する圧力制御部と、上記流体袋内の圧力に基づいて血圧を算出する第2の血圧算出部とが搭載されていることを特徴とする。
本明細書で、上記ベルトに対して本体が「一体に設けられ」ているとは、ベルトと本体とが例えば一体成形されていても良いし、それに代えて、ベルトと本体とが別々に形成され、上記ベルトに対して上記本体が係合部材(例えばヒンジなど)を介して一体に取り付けられていても良い。
この一実施形態の血圧測定装置では、脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)と、オシロメトリック法による血圧測定とが一体の装置で行われ得る。したがって、ユーザの利便性が高まる。
さらに別の局面では、この発明の血圧測定装置は、
上記脈波測定装置と、
上記脈波センサ押圧力設定部は、上記第1の押圧部材、上記第2の押圧部材、上記第3の押圧部材、および上記第4の押圧部材を非加圧状態に設定可能であり、
上記第1の押圧部材、上記第2の押圧部材、上記第3の押圧部材、および上記第4の押圧部材と、前記ベルトとの間に介挿され、上記被測定部位を取り巻いて装着可能であり、上記被測定部位を圧迫する加圧状態、または上記被測定部位の圧迫を開放する非加圧状態となる圧迫部材と、
上記圧迫部材を非加圧状態にして、上記脈波センサ押圧力設定部により上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように設定された押圧力下で、記第1、第2の脈波信号の間の時間差を脈波伝播時間として取得する測定処理部と、
脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式を用いて、上記測定処理部によって取得された脈波伝播時間に基づいて血圧を算出する第1の血圧算出部と、
上記第1の押圧部材、上記第2の押圧部材、上記第3の押圧部材、および上記第4の押圧部材を非加圧状態にして、オシロメトリック法による血圧測定のために、上記圧迫部材を加圧状態にして、上記圧迫部材の圧力に基づいて血圧を算出する第2の血圧算出部とが搭載されていることを特徴とする。
この一実施形態の血圧測定装置では、脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)と、オシロメトリック法による血圧測定とが一体の装置で行われ得る。したがって、ユーザの利便性が高まる。
また別の局面では、この発明の脈波測定方法は、
被測定部位を取り巻いて装着されるべきベルトと、
上記ベルトに、このベルトの幅方向に関して互いに離間した状態で搭載され、上記被測定部位を通る動脈のうちそれぞれ対向する部分の脈波を検出する第1、第2の脈波センサと、
上記ベルトに搭載され、上記被測定部位に対する上記第1、第2の脈波センサの押圧力をそれぞれ可変して押圧し得る押圧部と、
を備えて、脈波を測定する脈波測定方法であって、
上記第1、第2の脈波センサがそれぞれ時系列で出力する第1、第2の脈波信号を取得して、それらの第1、第2の脈波信号の波形を比較し、
比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記押圧部による押圧力をそれぞれ可変して設定することを特徴とする。
この発明の脈波測定方法によれば、適切な測定条件で上記第1、第2の脈波信号の測定を行うことができ、脈波伝播時間の測定精度を高めることができる。
以上より明らかなように、この発明の脈波測定装置および脈波測定方法によれば、適切な測定条件で上記第1、第2の脈波信号の測定を行うことができ、脈波伝播時間の測定精度を高めることができる。
また、この発明の血圧測定装置によれば、血圧の測定精度を高めることができる。
この発明の脈波測定装置を備えた血圧測定装置に係る第1実施形態の手首式血圧計の外観を示す斜視図である。 上記血圧計が左手首に装着された状態での手首の長手方向に対して垂直な断面を模式的に示す図である。 上記血圧計が左手首に装着された状態での、第1、第2の脈波センサを構成するインピーダンス測定用電極の平面レイアウトを示す図である。 上記血圧計の制御系のブロック構成を示す図である。 図5(A)は、上記血圧計が左手首に装着された状態での、手首の長手方向に沿った断面を模式的に示す図である。図5(B)は、第1、第2の脈波センサがそれぞれ出力する第1、第2の脈波信号の波形を示す図である。 上記血圧計がオシロメトリック法による血圧測定を行う際の動作フローを示す図である。 図6の動作フローによるカフ圧と脈波信号の変化を示す図である。 上記血圧計が一実施形態の脈波測定方法を実行して脈波伝播時間(Pulse Transit Time;PTT)を取得し、その脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)を行う際の動作フローを示す図である。 図8の動作フローに示す電流電極対用カフの制御を行う際の動作フローを示す図である。 図8の動作フローに示す検出電極対用カフの制御を行う際の動作フローの一例を示す図である。 図8の動作フローに示す検出電極対用カフの制御を行う際の動作フローの別の例を示す図である。 図8の動作フローに示す検出電極対用カフの制御を行う際の動作フローの別の例を示す図である。 上記検出電極対に対する押圧力と、第1、第2の脈波センサがそれぞれ出力する第1、第2の脈波信号の波形間の相互相関係数との間の関係を示す図である。 様々なユーザ(被験者)について、上記血圧計によって押圧力(カフ圧)が40mmHgに設定された条件下で取得された脈波伝播時間(PTT)と、オシロメトリック法による血圧測定で得られた収縮期血圧(SBP)との関係を示す散布図である。 上述の様々なユーザについて、上記血圧計によって押圧力(カフ圧)が130mmHgに設定された条件下で取得された脈波伝播時間(PTT)と、オシロメトリック法による血圧測定で得られた収縮期血圧(SBP)との関係を示す散布図である。 この発明の脈波測定装置を備えた血圧測定装置に係る第2実施形態の手首式血圧計の外観を示す斜視図である。 図15に示す上記血圧計が左手首に装着された状態での手首の長手方向に対して垂直な断面を模式的に示す図である。 図15に示す上記血圧計の制御系のブロック構成を示す図である。 図18(A)は、図15に示す上記血圧計が左手首に装着された状態での、手首の長手方向に沿った断面を模式的に示す図である。図18(B)は、第1、第2の脈波センサがそれぞれ出力する第1、第2の脈波信号の波形を示す図である。 上記血圧計が一実施形態の脈波測定方法を実行して脈波伝播時間(Pulse Transit Time;PTT)を取得し、その脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)を行う際の動作フローを示す図である。 図19の動作フローに示す検出電極対用カフの制御を行う際の動作フローの一例を示す図である。 図19の動作フローに示す検出電極対用カフの制御を行う際の動作フローの別の例を示す図である。 図19の動作フローに示す検出電極対用カフの制御を行う際の動作フローの別の例を示す図である。 この発明の脈波測定装置を備えた血圧測定装置に係る第3実施形態の手首式血圧計の外観を示す斜視図である。 図23に示す上記血圧計が左手首に装着された状態での手首の長手方向に対して垂直な断面を模式的に示す図である。 図23に示す上記血圧計の制御系のブロック構成を示す図である。 図26(A)は、図23に示す上記血圧計が左手首に装着された状態での、手首の長手方向に沿った断面を模式的に示す図である。図26(B)は、第1、第2の脈波センサがそれぞれ出力する第1、第2の脈波信号の波形を示す図である。 上記血圧計が一実施形態の脈波測定方法を実行して脈波伝播時間(Pulse Transit Time;PTT)を取得し、その脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)を行う際の動作フローを示す図である。 図27の動作フローに示す検出電極対用カフの制御を行う際の動作フローの一例を示す図である。 図27の動作フローに示す検出電極対用カフの制御を行う際の動作フローの別の例を示す図である。 図27の動作フローに示す検出電極対用カフの制御を行う際の動作フローの別の例を示す図である。 この発明の脈波測定装置を備えた血圧測定装置に係る第4実施形態の手首式血圧計の外観を示す斜視図である。 上記血圧計が左手首に装着された状態での手首の長手方向に対して垂直な断面を模式的に示す図である。 上記血圧計の制御系のブロック構成を示す図である。 上記血圧計が左手首に装着された状態での、オシロメトリック法による血圧測定を行う場合における手首の長手方向に沿った断面を模式的に示す図である。 上記血圧計が一実施形態の脈波測定方法を実行して脈波伝播時間(Pulse Transit Time;PTT)を取得し、その脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)を行う際の動作フローを示す図である。 データ列{x}とデータ列{y}との間の相互相関係数rを表す式を例示する図である。 脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式の一例を示す図である。 脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式の別の例を示す図である。 脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式のさらに別の例を示す図である。
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、この発明の脈波測定装置を備えた血圧測定装置に係る第1実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(血圧計の構成)
図1は、第1実施形態の手首式血圧計(全体を符号1で示す。)の外観を斜めから見たところ示している。また、図2は、血圧計1が被測定部位としての左手首90に装着された状態(以下「装着状態」と呼ぶ。)で、左手首90の長手方向に対して垂直な断面を模式的に示している。
これらの図に示すように、この血圧計1は、大別して、ユーザの左手首90を取り巻いて装着されるべきベルト20と、このベルト20に一体に取り付けられた本体10とを備えている。
図1によって良く分かるように、ベルト20は、左手首90を周方向に沿って取り巻くように、細長い帯状の形状を有している。ベルト20は、外周面20bをなす帯状体23と、この帯状体23の内周面23aに沿って取り付けられ、左手首90に接すべき内周面20aをなす押圧カフ群21Eとを含んでいる(図2参照)。押圧部として働く押圧カフ群21Eは、ベルト20の幅方向Yに関して分割されており、第3の押圧部材としての押圧カフ21a、第1の押圧部材としての押圧カフ21b、第2の押圧部材としての押圧カフ21c、および第4の押圧部材としての押圧カフ21dを備えている。押圧カフ群21Eについては後に詳述する。ベルト20の幅方向Yの寸法(幅寸法)は、この例では約30mmに設定されている。
本体10は、ベルト20のうち、周方向に関して一方の端部20eに、この例では一体成形により一体に設けられている。なお、ベルト20と本体10とを別々に形成し、ベルト20に対して本体10を係合部材(例えばヒンジなど)を介して一体に取り付けても良い。この例では、本体10が配置された部位は、装着状態で左手首90の背側面(手の甲側の面)90bに対応することが予定されている(図2参照)。図2中には、左手首90内で掌側面(手の平側の面)90a近傍を通る橈骨動脈91が示されている。
図1によって良く分かるように、本体10は、ベルト20の外周面20bに対して垂直な方向に厚さを有する立体的形状を有している。この本体10は、ユーザの日常活動の邪魔にならないように、小型で、薄厚に形成されている。この例では、本体10は、ベルト20から外向きに突起した四角錐台状の輪郭を有している。
本体10の頂面(被測定部位から最も遠い側の面)10aには、表示画面をなす表示器50が設けられている。また、本体10の側面(図1における左手前側の側面)10fに沿って、ユーザからの指示を入力するための操作部52が設けられている。
ベルト20のうち、周方向に関して一方の端部20eと他方の端部20fとの間の部位であって、ベルト20の内周面20aをなす押圧カフ群21Eの内周面20a上には、第1、第2の脈波センサを構成するインピーダンス測定部40が設けられている。ベルト20のうち、インピーダンス測定部40が配置された部位の内周面20aには、ベルト20の幅方向Yに関して互いに離間した状態で6個の板状(またはシート状)の電極41〜46(これらの全体を「電極群」と呼び、符号40Eで表す。)が配置されている(後に詳述する。)。この例では、電極群40Eが配置された部位は、装着状態で左手首90の橈骨動脈91に対応することが予定されている(図2参照)。
図1中に示すように、本体10の底面(被測定部位に最も近い側の面)10bとベルト20の端部20fとは、三つ折れバックル24によって接続されている。このバックル24は、外周側に配置された第1の板状部材25と、内周側に配置された第2の板状部材26とを含んでいる。第1の板状部材25の一方の端部25eは、幅方向Yに沿って延びる連結棒27を介して本体10に対して回動自在に取り付けられている。第1の板状部材25の他方の端部25fは、幅方向Yに沿って延びる連結棒28を介して第2の板状部材26の一方の端部26eに対して回動自在に取り付けられている。第2の板状部材26の他方の端部26fは、固定部29によってベルト20の端部20f近傍に固定されている。なお、ベルト20の周方向に関して固定部29の取り付け位置は、ユーザの左手首90の周囲長に合わせて予め可変して設定されている。これにより、この血圧計1(ベルト20)は、全体として略環状に構成されるとともに、本体10の底面10bとベルト20の端部20fとが、バックル24によって矢印B方向に開閉可能になっている。
この血圧計1を左手首90に装着する際には、バックル24を開いてベルト20の環の径を大きくした状態で、図1中に矢印Aで示す向きに、ユーザがベルト20に左手を通す。そして、図2に示すように、ユーザは、左手首90の周りのベルト20の角度位置を調節して、左手首90を通っている橈骨動脈91上にベルト20のインピーダンス測定部40を位置させる。これにより、インピーダンス測定部40の電極群40Eが左手首90の掌側面90aのうち橈骨動脈91に対応する部分90a1に当接する状態になる。この状態で、ユーザが、バックル24を閉じて固定する。このようにして、ユーザは血圧計1(ベルト20)を左手首90に装着する。
図2中に示すように、帯状体23は、この例では、厚さ方向に関して可撓性を有し、かつ、周方向(長手方向)に関して実質的に非伸縮性のプラスチック材料からなっている。押圧カフ群21Eは、この例では、伸縮可能な2枚のポリウレタンシートを厚さ方向に対向させ、それらの周縁部を溶着して、流体袋として構成されている。押圧カフ群21E(ベルト20)の内周面20aのうち、左手首90の橈骨動脈91に対応する部位には、既述のようにインピーダンス測定部40の電極群40Eが配置されている。
図3に示すように、装着状態では、インピーダンス測定部40の電極群40Eは、左手首90の橈骨動脈91に対応して、手首の長手方向(ベルト20の幅方向Yに相当)に沿って並んだ状態になる。電極群40Eは、幅方向Yに関して、両側に配置された通電用の電流電極対41,46と、これらの電流電極対41,46の間に配置された電圧検出用の、第1の脈波センサ40−1をなす第1の検出電極対42,43、および、第2の脈波センサ40−2をなす第2の検出電極対44,45とを含んでいる。第1の検出電極対42,43に対して、橈骨動脈91の血流のより下流側の部分に対応して、第2の検出電極対44,45が配置されている。幅方向Yに関して、第1の検出電極対42,43の中央と第2の検出電極対44,45の中央との間の距離D(図5(A)参照)は、この例では20mmに設定されている。この距離Dは、第1の脈波センサ40−1と第2の脈波センサ40−2との間の実質的な間隔に相当する。また、幅方向Yに関して、第1の検出電極対42,43間の間隔、第2の検出電極対44,45間の間隔は、この例ではいずれも2mmに設定されている。
このような電極群40Eは、偏平に構成され得る。したがって、この血圧計1では、ベルト20を全体として薄厚に構成できる。
図4は、血圧計1の制御系のブロック構成を示している。血圧計1の本体10には、既述の表示器50、操作部52に加えて、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)100、記憶部としてのメモリ51、および通信部59が搭載されている。また、本体10には、圧力センサ31a,31b,31c,31d、ポンプ32a,32b,32c,32d、弁33a,33b,33c,33dが搭載されている(なお、以下の説明では、これらをまとめて、圧力センサ31、ポンプ32、および弁33と称する場合もある)。さらに、本体10には、圧力センサ31a,31b,31c,31dのそれぞれからの出力を周波数に変換する発振回路310a,310b,310c,310d、ポンプ32a,32b,32c,32dのそれぞれを駆動するポンプ駆動回路320a,320b,320c,320d、弁33a,33b,33c,33dのそれぞれを駆動する弁駆動回路330a,330b,330c,330dが搭載されている(なお、以下の説明では、これらをまとめて、発振回路310、ポンプ駆動回路320、および弁駆動回路330と称する場合もある)。また、インピーダンス測定部40には、既述の電極群40Eに加えて、通電および電圧検出回路49が搭載されている。
表示器50は、この例では有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイからなり、CPU100からの制御信号に従って、血圧測定結果などの血圧測定に関する情報、その他の情報を表示する。なお、表示器50は、有機ELディスプレイに限られるものではなく、例えばLCD(Liquid Cristal Display)など、他のタイプの表示器からなっていてもよい。
操作部52は、この例ではプッシュ式スイッチからなり、ユーザによる血圧測定開始または停止の指示に応じた操作信号をCPU100に入力する。なお、操作部52は、プッシュ式スイッチに限られるものではなく、例えば感圧式(抵抗式)または近接式(静電容量式)のタッチパネル式スイッチなどであってもよい。また、図示しないマイクロフォンを備えて、ユーザの音声によって血圧測定開始の指示を入力するようにしてもよい。
メモリ51は、血圧計1を制御するためのプログラムのデータ、血圧計1を制御するために用いられるデータ、血圧計1の各種機能を設定するための設定データ、血圧値の測定結果のデータなどを非一時的に記憶する。また、メモリ51は、プログラムが実行されるときのワークメモリなどとして用いられる。
CPU100は、メモリ51に記憶された血圧計1を制御するためのプログラムに従って、制御部として各種機能を実行する。例えば、オシロメトリック法による血圧測定を実行する場合は、CPU100は、操作部52からの血圧測定開始の指示に応じて、圧力センサ31からの信号に基づいて、ポンプ32(および弁33)を駆動する制御を行う。また、CPU100は、この例では圧力センサ31からの信号に基づいて、血圧値を算出する制御を行う。
通信部59は、CPU100によって制御されて所定の情報を、ネットワーク900を介して外部の装置に送信したり、外部の装置からの情報を、ネットワーク900を介して受信してCPU100に受け渡したりする。このネットワーク900を介した通信は、無線、有線のいずれでも良い。この実施形態において、ネットワーク900は、インターネットであるが、これに限定されず、病院内LAN(Local Area Network)のような他の種類のネットワークであってもよいし、USBケーブルなどを用いた1対1の通信であってもよい。この通信部59は、マイクロUSBコネクタを含んでいてもよい。
ポンプ32は、この例では圧電ポンプからなり、押圧カフ群21E内の圧力(カフ圧)を加圧するために、押圧カフ群21Eに加圧用の流体としての空気を供給する。弁33は、押圧カフ群21Eの空気を排出し、または封入してカフ圧を制御するために開閉される。ポンプ駆動回路320は、ポンプ32をCPU100から与えられる制御信号に基づいて駆動する。弁駆動回路330は、弁33をCPU100から与えられる制御信号に基づいて開閉する。
圧力センサ31は、この例ではピエゾ抵抗式圧力センサであり、エア配管38(38a,38b,38c,38d)を介して、ポンプ32、弁33および押圧カフ群21Eに接続されている。圧力センサ31は、エア配管38を介して、ベルト20(押圧カフ群21E)の圧力、この例では大気圧を基準(ゼロ)とした圧力を検出して時系列の信号として出力する。発振回路310は、圧力センサ31からのピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化に基づく電気信号値に基づき発振して、圧力センサ31の電気信号値に応じた周波数を有する周波数信号をCPU100に出力する。この例では、圧力センサ31の出力は、押圧カフ群21Eの圧力を制御するため、および、オシロメトリック法によって血圧値(収縮期血圧(Systolic Blood Pressure;SBP)と拡張期血圧(Diastolic Blood Pressure;DBP)とを含む。)を算出するために用いられる。
一般的なオシロメトリック法に従って血圧を測定する場合、概ね、次のような動作が行なわれる。すなわち、被験者の被測定部位(腕など)に予めカフを巻き付けておき、測定時には、CPU100は、ポンプ32および弁33を制御して、カフ圧を最高血圧より高く加圧し、その後徐々に減圧していく。この減圧する過程において、カフ圧を圧力センサで検出し、被測定部位の動脈で発生する動脈容積の変動を脈波信号として取り出す。その時のカフ圧の変化に伴う脈波信号の振幅の変化(主に立ち上がりと立ち下がり)に基づいて、最高血圧(収縮期血圧:Systolic Blood Pressure)と最低血圧(拡張期血圧:Diastolic Blood Pressure)とを算出する。また、脈波伝播時間に基づく血圧測定のたに押圧カフ群21Eの圧力を制御する場合には、CPU100は、ポンプ32および弁33を制御して、種々の条件に応じてカフ圧の加圧と減圧を行う。詳しくは後述する。
電池53は、本体10に搭載された要素、この例では、CPU100、圧力センサ31、ポンプ32、弁33、表示器50、メモリ51、通信部59、発振回路310、ポンプ駆動回路320の各要素へ電力を供給する。また、電池53は、配線71を通して、インピーダンス測定部40の通電および電圧検出回路49へも電力を供給する。この配線71は、信号用の配線72とともに、ベルト20の帯状体23と押圧カフ群21Eとの間に挟まれた状態で、ベルト20の周方向に沿って本体10とインピーダンス測定部40との間に延在して設けられている。
図5(A)は、血圧計1が左手首90に装着された状態での、手首の長手方向に沿った断面を模式的に示している。図5(B)は、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2がそれぞれ出力する第1の脈波信号PS1、第2の脈波信号PS2の波形を示している。インピーダンス測定部40の通電および電圧検出回路49は、CPU100によって制御され、その動作時に、図5(A)中に示すように、手首の長手方向(ベルト20の幅方向Yに相当)に関して両側に配置された電流電極対41,46間に、この例では、周波数50kHz、電流値1mAの高周波定電流iを流す。この状態で、通電および電圧検出回路49は、第1の脈波センサ40−1をなす第1の検出電極対42,43間の電圧信号v1と、第2の脈波センサ40−2をなす第2の検出電極対44,45間の電圧信号v2とを検出する。これらの電圧信号v1,v2は、左手首90の掌側面90aのうち、それぞれ第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2が対向する部分における、橈骨動脈91の血流の脈波による電気インピーダンスの変化を表す(インピーダンス方式)。通電および電圧検出回路49は、これらの電圧信号v1,v2を整流、増幅および濾波して、図5(B)中に示すような山状の波形をもつ第1の脈波信号PS1,第2の脈波信号PS2を時系列で出力する。この例では、電圧信号v1,v2は、約1mV程度になっている。また、第1の脈波信号PS1,第2の脈波信号PS2のそれぞれのピークA1,A2は、この例では約1Vになっている。
なお、橈骨動脈91の血流の脈波伝播速度(Pulse Wave Velocity;PWV)が1000cm/s〜2000cm/sの範囲であるとすると、第1の脈波センサ40−1と第2の脈波センサ40−2との間の実質的な間隔D=20mmであることから、第1の脈波信号PS1,第2の脈波信号PS2間の時間差Δtは1.0ms〜2.0msの範囲となる。
図5(A)に示すように、押圧カフ21a,21dは、電流電極対41,46にそれぞれ対応して分割されており、この電流電極対41,46は、押圧カフ21a,21d(ベルト20)の内周面20aに配置されている。したがって、押圧カフ21a,21dは、ポンプ32a,32dにより加圧されると、電流電極対41,46を左手首90の掌側面90aに押圧する。また同様に、押圧カフ21b,21cは、第1の脈波センサ40−1および第2の脈波センサ40−2にそれぞれ対応して分割されており、この第1の脈波センサ40−1および第2の脈波センサ40−2は、押圧カフ21b,21c(ベルト20)の内周面20aに配置されている。したがって、押圧カフ21b,21cは、ポンプ32b,32cにより加圧されると、第1の脈波センサ40−1および第2の脈波センサ40−2のそれぞれを左手首90の掌側面90aに押圧する。この例では、ポンプ32a,32b,32c,32dは、CPU100の制御の下、押圧カフ21a,21b,21c,21dのそれぞれを独立して加圧することが可能となっている。したがって、左手首90の掌側面90aに対する、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2のそれぞれの押圧力は、適宜の値に設定することができる。
(オシロメトリック法による血圧測定の動作)
図6は、血圧計1がオシロメトリック法による血圧測定を行う際の動作フローを示している。
ユーザが本体10に設けられた操作部52としてのプッシュ式スイッチによってオシロメトリック法による血圧測定を指示すると(ステップS1)、CPU100は動作を開始して、処理用メモリ領域を初期化する(ステップS2)。また、CPU100は、弁駆動回路330に制御信号を出力する。弁駆動回路330は、制御信号に基づいて、弁33を開放して押圧カフ群20E内の空気を排気する。続いて、圧力センサ31の現時点の出力値を大気圧に相当する値として設定する制御を行う(0mmHg調整)。この例では、CPU100は、押圧カフ21a,21b,21c,21dの全てについてこの制御を行う。
続いて、CPU100は、圧力制御部として働いて、弁駆動回路330を介して弁33を閉鎖し、その後、ポンプ駆動回路320を介してポンプ32を駆動して、押圧カフ群21Eに空気を送る制御を行う。これにより、押圧カフ群21Eを膨張させるとともにカフ圧Pc(図7参照)を徐々に加圧していく(図6のステップS3)。この例では、CPU100は、押圧カフ21a,21b,21c,21dの全てについてこの制御を行う。
この加圧過程で、CPU100は、血圧値を算出するために、圧力センサ31によって、カフ圧Pcをモニタし、被測定部位としての左手首90の橈骨動脈91で発生する動脈容積の変動成分を、図7中に示すような脈波信号Pmとして取得する。なお、CPU100は、押圧カフ21a,21b,21c,21dの全てのカフ圧Pcをモニタして、平均を算出してもよいし、押圧カフ21a,21b,21c,21dのうちのいずれかのカフ圧Pcをモニタしてもよい。
次に、図6中のステップS4で、CPU100は、第2の血圧算出部として働いて、この時点で取得されている脈波信号Pmに基づいて、オシロメトリック法により公知のアルゴリズムを適用して血圧値(収縮期血圧SBPと拡張期血圧DBP)の算出を試みる。
この時点で、データ不足のために未だ血圧値を算出できない場合は(ステップS5でNO)、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS3〜S5の処理を繰り返す。
このようにして血圧値の算出ができたら(ステップS5でYES)、CPU100は、ポンプ駆動回路320を介してポンプ32を停止し、弁駆動回路330を介して弁33を開いて、押圧カフ群21E内の空気を排気する制御を行う(ステップS6)。そして最後に、血圧値の測定結果を表示器50に表示するとともに、メモリ51に記録する(ステップS7)。
なお、血圧値の算出は、加圧過程に限らず、減圧過程において行われてもよい。
(脈波伝播時間に基づく血圧測定の動作)
図8は、血圧計1が一実施形態の脈波測定方法を実行して脈波伝播時間(Pulse Transit Time;PTT)を取得し、その脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)を行う際の動作フローを示している。
ユーザが本体10に設けられた操作部52としてのプッシュ式スイッチによってPTTに基づく血圧測定を指示すると(図8のステップS10)、CPU100は電流電極対41,46に対応する押圧カフ21a,21dの制御を開始する(図8のステップS11)。図9は、血圧計1が押圧カフ21a,21dの制御を行う際の動作フローを示している。
図9に示す動作フローは、本発明者による実験結果に基づいて作成された。本実施形態のようにインピーダンス方式により脈波を測定する場合には、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2と、被測定部位である左手首90の皮膚との密着度合が悪いと、接触抵抗が大きくなるため、本来検出したい動脈のインピーダンス変化の割合が小さくなり、測定した脈波信号のS/N特性(Signal-to-Noise ratio)が悪くなる。そこで、本発明者は、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2の左手首90に対する押圧力と、脈波信号のS/N特性との関係について実験を行った。その結果、カフ圧Pcを40mmHg程度から上昇させてゆくと、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2がそれぞれ時系列で出力する第1、第2の脈波信号PS1,PS2のS/N特性が概ね良くなる傾向があり、カフ圧Pcが40mmHgよりも低くなるとS/N特性が30dBを下回る場合があることが発見された。また、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2のそれぞれのカフ圧Pcは、全て同一に設定するよりも、ユーザによって、動脈の上流側と下流側とで差を設けた方がS/N特性が良くなる傾向にあることが発見された。
この動作フローは、まず、全ての押圧カフ21a,21b,21c,21dのカフ圧Pcの初期値を40mmHgに設定し、次に、電流電極対41,46に対応する押圧カフ21a,21dのカフ圧Pcのバランスを取りながら調整した方が、第1、第2の脈波信号PS1,PS2のS/N特性として30dB以上の値を得やすいとの考え方に基づいている。なお、第1の脈波センサ40−1および第2の脈波センサ40−2のそれぞれのカフ圧Pcの調整については、電流電極対41,46の押圧力の設定後に行われる。
図9に示すように、電流電極対41,46に対応する押圧カフ21a,21dの制御が開始されると、CPU100は、電流電極押圧力設定部として働いて、弁駆動回路330を介して弁33を閉鎖し、その後、ポンプ駆動回路320を介してポンプ32をオンし、
押圧カフ群21Eに空気を送る制御を行う。これにより、押圧カフ群21Eを膨張させるとともにカフ圧Pc(図5(A)参照)を徐々に40mmHgまで加圧してゆく(図9のステップS20)。この例では、カフ圧Pcを一定速度(=5mmHg/s)で連続的に高くしてゆく。
この加圧過程で、CPU100は、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2がそれぞれ時系列で出力する第1、第2の脈波信号PS1,PS2を取得して、それらの第1、第2の脈波信号PS1,PS2のS/N特性をリアルタイムで算出する(図9のステップS21)。
それとともに、CPU100は、算出したS/N特性が30dB以上であるか否かを判断する(図9のステップS22)。なお、この例ではS/N特性の判断の基準値は、30dB以上の値を用いているが、必要に応じた所定値を用いることが可能である。ここで、S/N特性が30dBに満たない場合には(図9のステップS22でNO)、CPU100は、ポンプ駆動回路320a,320dを介してポンプ32a,32dを駆動または停止し、あるいは弁駆動回路330a,330dを介して弁33a,33dを開閉して、押圧カフ21a,21dの加圧または減圧を行う(図9のステップS23)。このように、この例では、電流電極対41,46に対応する押圧カフ21a,21dのカフ圧Pcのバランスを取りながら調整している。以下、S/N特性が30dB以上になるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS21〜S23の処理を繰り返す。
そして、S/N特性が30dB以上になると(図9のステップS22でYES)、CPU100は、ポンプ駆動回路320a,320dを介してポンプ32a,32dを停止し、(図9のステップS23)、カフ圧Pcをその時点、つまり、第1、第2の脈波信号PS1,PS2のS/N特性が30dB以上となった時点の値に設定する。以上のようにして、電流電極対41,46に対応する押圧カフ21a,21dの制御(図8のステップS11)を終了する。
この状態で、CPU100は、脈波センサ押圧力設定部として働いて、第1の脈波センサ40−1をなす第1の検出電極対42,43、および、第2の脈波センサ40−2をなす第2の検出電極対44,45に対応する押圧カフ21b,21cの制御を開始する(図8のステップS12)。図10は、血圧計1が押圧カフ21b,21cの制御を行う際の動作フローを示している。
図10に示す動作フローは、本発明者による実験結果に基づいて作成された。脈波伝播時間(PTT)の取得は、例えば、第1の脈波信号PS1のピークA1と、第2の脈波信号PS2のピークA2との間の時間差Δt(図5(B)参照)を計測することによって行われる。したがって、第1の脈波信号PS1の波形と、第2の脈波信号PS2の波形とは、同一であることが好ましい。本発明者による実験よると、動脈の上流側に位置する第1の脈波センサ40−1のカフ圧Pcと、動脈の下流側に位置する第2の脈波センサ40−2のカフ圧Pcとを同一とするよりも、それぞれのカフ圧Pcに差を設けた方が、第1の脈波信号PS1の波形および第2の脈波信号PS2の波形として、同一の波形が得られやすいことが発見された。また、同一の波形を得るために必要なそれぞれのカフ圧Pcの大小関係は、ユーザによって異なることが発見された。これは、被測定部位である左手首90の中の生体組織がユーザによって異なることに基づくと考えられる。この動作フローは、第1の脈波センサ40−1および第2の脈波センサ40−2に対応する押圧カフ21b,21cのそれぞれのカフ圧Pcを可変させて、第1の脈波信号PS1の波形および第2の脈波信号PS2の波形として、同一の波形を得るとの考え方に基づいている。
図10の動作フローに示す、第1の検出電極対42,43、第2の検出電極対44,45に対応する押圧カフ21b,21cの制御を開始する際には、電流電極対41,46に対応する押圧カフ21a,21dの制御の説明で述べたように、押圧カフ21a,21dのカフ圧Pcは、上述したようにS/N特性が30dB以上となった時点の値に設定されている(図9のステップS24)。図10に示すように、押圧カフ21b,21cの制御が開始されると、CPU100は、脈波センサ押圧力設定部として働いて、ポンプ駆動回路320bを介してポンプ32bを駆動して、第1の脈波センサ40−1に対応する押圧カフ21bの加圧を行う(図10のステップS30)。
この加圧過程で、CPU100は、第1の脈波センサ40−1が時系列で出力する第1の脈波信号PS1を取得して(図10のステップS31)、それとともに、CPU100は、取得した第1の脈波信号PS1の振幅が最大であるか否かを判断する(図10のステップS32)。
第1の脈波信号PS1の振幅が最大ではない場合には(図10のステップS32でNO)、CPU100は、ポンプ駆動回路320bを介してポンプ32bを駆動または停止し、あるいは弁駆動回路330bを介して弁33bを開閉して、押圧カフ21bの加圧または減圧を行う(図10のステップS30)。以下、第1の脈波信号PS1の振幅が最大になるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS30〜S32の処理を繰り返す。なお、押圧カフ21bの加圧だけでなく、減圧を行うのは、次のような理由による。第1の脈波センサ40−1の押圧力を上げてゆくと、第1の脈波信号PS1の振幅が次第に大きくなるが、第1の脈波信号PS1の振幅が極大値を示した後においても押圧力を上げてゆくと、血管が潰れて第1の脈波信号PS1の振幅が次第に低下する傾向にある。そこで、この例では、押圧カフ21bの加圧だけでなく、減圧を行って、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となるカフ圧Pcを求めている。
そして、振幅が最大になると(図10のステップS32でYES)、CPU100は、ポンプ駆動回路320bを介してポンプ32bを停止して(図10のステップS33)、押圧カフ21bのカフ圧Pcをその時点、つまり、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となった時点の値に設定する。
次に、CPU100は、ポンプ駆動回路320cを介してポンプ32cを駆動して、第2の脈波センサ40−2に対応する押圧カフ21cの加圧を行う(図10のステップS34)。
この加圧過程で、CPU100は、第2の脈波センサ40−2が時系列で出力する第2の脈波信号PS2を取得して(図10のステップS35)、それとともに、CPU100は、波形比較部として働いて、取得した第2の脈波信号PS2の振幅と、上述のように設定した第1の脈波信号PS1の最大の振幅とが同一であるか否かを判断する(図10のステップS36)。なお、この例では、「同一」であると判断する場合の許容範囲は、±10%の範囲としている。
第2の脈波信号PS2の振幅が最大ではない場合には(図10のステップS36でNO)、CPU100は、ポンプ駆動回路320cを介してポンプ32cを駆動または停止し、あるいは弁駆動回路330cを介して弁33cを開閉して、押圧カフ21cの加圧または減圧を行う(図10のステップS34)。以下、第2の脈波信号PS2の振幅が、第1の脈波信号PS1の最大振幅と同一になるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS34〜S36の処理を繰り返す。なお、押圧カフ21cの加圧だけでなく、減圧を行うのは、第2の脈波信号PS2の振幅と押圧力との関係についても、上述した第1の脈波信号PS1の振幅と押圧力との関係と同様であるためである。
そして、第2の脈波信号PS2の振幅が、第1の脈波信号PS1の最大振幅と同一になると(図10のステップS36でYES)、CPU100は、ポンプ駆動回路320cを介してポンプ32cを停止して(図10のステップS37)、押圧カフ21cのカフ圧Pcをその時点、つまり、第2の脈波信号PS2の振幅が、第1の脈波信号PS1の最大振幅と同一となった時点の値に設定する。以上のようにして、第1の脈波センサ40−1をなす第1の検出電極対42,43、および、第2の脈波センサ40−2をなす第2の検出電極対44,45に対応する押圧カフ21b,21cの制御(図8のステップS12)を終了する。
この状態で、CPU100は、測定処理部として働いて、第1、第2の脈波信号PS1,PS2の間の時間差Δt(図5(B)参照)を脈波伝播時間(PTT)として取得する(図8のステップS13)。より詳しくは、この例では、第1の脈波信号PS1のピークA1と第2の脈波信号PS2のピークA2との間の時間差Δtを脈波伝播時間(PTT)として取得する。
このようにした場合、S/N特性が30dB以上で、同一の波形である第1、第2の脈波信号PS1,PS2に基づいて脈波伝播時間を測定するので、脈波伝播時間の測定精度を高めることができる。また、カフ圧Pcを無用に大きくすることなく、脈波伝播時間を取得できる。これにより、ユーザの身体的負担を軽くすることができる。
次に、CPU100は第1の血圧算出部として働いて、脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式Eqを用いて、ステップS13で取得された脈波伝播時間(PTT)に基づいて、血圧を算出(推定)する(図8のステップS14)。ここで、脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式Eqは、それぞれ脈波伝播時間をDT、血圧をEBPと表すとき、例えば図32の式(Eq.2)で示すような、1/DTの項を含む公知の分数関数として提供される(例えば、特開平10−201724号公報参照)。式(Eq.2)において、α、βはそれぞれ既知の係数または定数を表している。
このようにして血圧を算出(推定)する場合、既述のように脈波伝播時間の測定精度を高めているので、血圧の測定精度を高めることができる。なお、血圧値の測定結果は、表示器50に表示されるとともに、メモリ51に記録される。
この例では、図8のステップS15において操作部52としてのプッシュ式スイッチによって測定停止が指示されていなければ(図8のステップS15でNO)、脈波伝播時間(PTT)の算出(図8のステップS13)と、血圧の算出(推定)(図8のステップS14)とを、脈波に応じて第1、第2の脈波信号PS1,PS2が入力されるごとに周期的に繰り返す。CPU100は、血圧値の測定結果を、表示器50に更新して表示するとともに、メモリ51に蓄積して記録する。そして、図8のステップS15において測定停止が指示されると(図8のステップS15でYES)、CPU100は、弁駆動回路330を介して弁33を開いて、押圧カフ群21E内の空気を排気する制御を行い。測定動作を終了する。
この血圧計1によれば、この脈波伝播時間(PTT)に基づく血圧測定によって、ユーザの身体的負担が軽い状態で、血圧を長期間にわたって連続的に測定することができる。
また、この血圧計1によれば、脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)と、オシロメトリック法による血圧測定とを一体の装置で行うことができる。したがって、ユーザの利便性を高めることができる。
(変形例1)
図11は、血圧計1が押圧カフ21b,21cの制御を行う際の動作フローの別の例を示している。図10に示す例では、ステップS36において、第2の脈波信号PS2の波形と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1の波形とが同一であるか否かを、それぞれの波形の振幅に基づいて判断した。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、図11のステップS40に示すように、第2の脈波信号PS2のアップストローク時間と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1のアップストローク時間とが同一であるか否かに基づいて、それぞれの波形が同一であると判断してもよい。ここで、アップストローク時間とは、例えば第1の脈波信号PS1の立ち上がり点からピークA1までの時間tuのことである(第2の脈波信号PS2についても同様。)(図5(B)参照)。
図11に示すように、この動作フローにおいても、図10の動作フローと同様に、CPU100は、第1の脈波センサ40−1に対応する押圧カフ21bの加圧または減圧を行いながら、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となるように、押圧カフ21bのカフ圧Pcを設定する(図11のステップS30〜S33)。この場合には、CPU100は、図11の動作フローにおいて、第1の脈波信号PS1の振幅が最大であると判断した際に(図11のステップS32のYES)、第1の脈波信号PS1のアップストローク時間tuをメモリ51に記録しておく。
次に、CPU100は、ポンプ駆動回路320cを介してポンプ32cを駆動し、第2の脈波センサ40−2に対応する押圧カフ21cの加圧を行う(図11のステップS34)。この加圧工程において、CPU100は、第2の脈波センサ40−2が時系列で出力する第2の脈波信号PS2を取得して(図11のステップS35)、それとともに、CPU100は、波形比較部として働いて、取得した第2の脈波信号PS2のアップストローク時間tuと、メモリ51に記録しておいた第1の脈波信号PS1のアップストローク時間tuとが同一であるか否かを判断する(図11のステップS40)。なお、この例では、アップストローク時間tuが「同一」であると判断する場合の許容範囲は、±1%の範囲としている。
ここで、第2の脈波信号PS2のアップストローク時間tuと、第1の脈波信号PS1のアップストローク時間tuとが同一でなければ(図11のステップS40でNO)、アップストローク時間tuが同一となるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS34〜S40の処理を繰り返す。そして、アップストローク時間tuが同一となったら(図11のステップS40でYES)、CPU100は、ポンプ32cを停止して(図11のステップS37)、押圧カフ21cのカフ圧Pcをその時点、つまり、アップストローク時間tuが同一となった時点の値に設定する。これにより、同一の波形である第1、第2の脈波信号PS1,PS2に基づいて脈波伝播時間を測定するので、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。
図12は、血圧計1が押圧カフ21b,21cの制御を行う際の動作フローのさらに別の例を示している。第2の脈波信号PS2の波形と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1の波形とが同一であるか否かは、図10の動作フローではそれぞれの波形の振幅に基づいて、また図11の動作フローではそれぞれのアップストローク時間に基づいて判断した。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、図12のステップS50に示すように、2波形間の相互相関係数r(図36の式Eq.1参照)が閾値を超えた場合に、2波形が同一である判断してもよい。
図12に示す動作フローは、本発明者による実験結果に基づいて作成された。すなわち、本発明者による実験よると、図13に示すように、被測定部位としての左手首90に対する第1の脈波センサ40−1(第1の検出電極対42,43を含む。)、第2の脈波センサ40−2(第2の検出電極対44,45を含む。)の押圧力(押圧カフ21b,21cによるカフ圧Pcに等しい。)がゼロから徐々に大きくなると、それに伴って第1、第2の脈波信号PS1,PS2の波形間の相互相関係数rが徐々に大きくなり、極大値rmaxを示し、それから徐々に小さくなることが発見された。この動作フローは、相互相関係数rが予め定められた閾値Th(この例では、Th=0.99)を超えている範囲が、押圧力の適正な範囲(これを「適正押圧範囲」と呼ぶ。)であるとの考え方に基づいている。この例では、適正押圧範囲は、押圧力(カフ圧Pc)が下限値P1≒72mmHgから上限値P2≒135mmHgまでの範囲になっている。
図12に示すように、この動作フローにおいても、図10および図11の動作フローと同様に、CPU100は、第1の脈波センサ40−1に対応する押圧カフ21bの加圧または減圧を行いながら、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となるように、押圧カフ21bのカフ圧Pcを設定する(図12のステップS30〜S33)。なお、この例においては、CPU100は、振幅が最大となった第1の脈波信号PS1について、相互相関係数rの算出に必要なデータをメモリ51に蓄積して記録しておく。
次に、CPU100は、ポンプ駆動回路320cを介してポンプ32cを駆動し、第2の脈波センサ40−2に対応する押圧カフ21cの加圧を行う(図12のステップS34)。この加圧過程で、CPU100は、第2の脈波センサ40−2が時系列で出力する第2の脈波信号PS2を取得して(図12のステップS35)、取得したデータと、メモリ51に蓄積して記録しておいた第1の脈波信号PS1のデータとに基づいて、第1、第2の脈波信号PS1,PS2の波形間の相互相関係数rをリアルタイムで算出し、算出した相互相関係数rが予め定められた閾値Th(=0.99)を超えているか否かを判断する(図12のステップS50)。
ここで、相互相関係数rが閾値Th以下であれば(図12のステップS50でNO)、相互相関係数rが閾値Thを超えるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS34〜S50の処理を繰り返す。そして、相互相関係数rが閾値Thを超えたら(図12のステップS50でYES)、CPU100は、ポンプ32cを停止して(図12のステップS37)、押圧カフ21cのカフ圧Pcをその時点、つまり、相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値に設定する。この例では、カフ圧Pcは、相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値、つまり、図13中に示すP1(≒72mmHg)に設定される。
このようにした場合、同一の波形である第1、第2の脈波信号PS1,PS2に基づいて脈波伝播時間を測定するので、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。また、カフ圧Pcを相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値に設定するので、カフ圧Pcを無用に大きくすることなく、脈波伝播時間を取得できる。これにより、ユーザの身体的負担を軽くすることができる。
(押圧力設定による効果の検証)
図14Aの散布図は、様々なユーザ(被験者)について、血圧計1によって押圧力(カフ圧Pc)が40mmHg(図13中に示した下限値P1未満である)に設定された条件下で取得された脈波伝播時間(PTT)と、オシロメトリック法による血圧測定(図6のステップS5)で得られた収縮期血圧(SBP)との関係を示している。その押圧力設定条件下での第1、第2の脈波信号PS1,PS2の波形間の相互相関係数rは、r=0.971であり、閾値Th(=0.99)を下回っていた。この図14Aから分かるように、脈波伝播時間(PTT)と収縮期血圧(SBP)との間の相関は殆ど無い。図32の式(Eq.2)でフィッティングを行って相関係数を算出したところ、相関係数は−0.07であった。
これに対して、図14Bの散布図は、上述の様々なユーザについて、血圧計1によって押圧力(カフ圧Pc)が130mmHg(図13中に示した下限値P1と上限値P2との間の適正押圧範囲内である)に設定された条件下で取得された脈波伝播時間(PTT)と、オシロメトリック法による血圧測定(図6のステップS5)で得られた収縮期血圧(SBP)との関係を示している。その押圧力設定条件下での第1、第2の脈波信号PS1,PS2の波形間の相互相関係数rは、r=0.9901であり、閾値Th(=0.99)を上回っていた。この図14Bから分かるように、脈波伝播時間(PTT)と収縮期血圧(SBP)との間の相関は強い。図32の式(Eq.2)でフィッティングを行って相関係数を算出したところ、相関係数は−0.90であった。
これらの図14A,図14Bの結果により、押圧力(カフ圧Pc)を相互相関係数rが閾値Th(=0.99)を超える値に設定して脈波伝播時間(PTT)を取得することにより、脈波伝播時間(PTT)と収縮期血圧(SBP)との間の相関を高められる、ということを検証できた。このように脈波伝播時間(PTT)と収縮期血圧(SBP)との間の相関を高められた理由は、本発明による押圧力の設定により、脈波伝播時間(PTT)の測定精度が高まったからであると考えられる。これにより、血圧の測定精度を高めることができる。
(第2実施形態)
次に、この発明の脈波測定装置を備えた血圧測定装置に係る第2実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、第1実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
(血圧計の構成)
図15は、第2実施形態の血圧計1の外観を斜めから見たところ示している。また、図16は、血圧計1が被測定部位としての左手首90に装着された状態で、左手首90の長手方向に対して垂直な断面を模式的に示している。
図15によって良く分かるように、第2実施形態において押圧部として働く押圧カフ群21Eは、ベルト20の幅方向Yに関して分割されており、第5の押圧部材としての押圧カフ21e、および第6の押圧部材としての押圧カフ21fを備えている。また、押圧カフ21e,21f(ベルト20)の内周面20aであって、インピーダンス測定部40に対応する位置には、固形物60が設けられている。固形物60は、この例では厚さ7mm程度の板状の樹脂(この例では、ABS)からなっている。そして、この固形物60の内周面に電極群40Eが設けられている。
押圧カフ群21Eは、この例においても、伸縮可能な2枚のポリウレタンシートを厚さ方向に対向させ、それらの周縁部を溶着して、流体袋として構成されている。図16に示すように、押圧カフ群21E(ベルト20)の内周面20aのうち、左手首90の橈骨動脈91に対応する部位には、固形物60が配置され、固形物60の内周面にインピーダンス測定部40の電極群40Eが配置されている。
図17は、第2実施形態における血圧計1の制御系のブロック構成を示している。血圧計1の本体10には、第1実施形態の血圧計1と同様に、表示器50、操作部52に加えて、制御部としてのCPU100、記憶部としてのメモリ51、および通信部59が搭載されている。また、本体10には、圧力センサ31e,31f、ポンプ32e,32f、弁33e,33fが搭載されている(なお、以下の説明では、これらをまとめて、圧力センサ31、ポンプ32、および弁33と称する場合もある)。さらに、本体10には、圧力センサ31e,31fのそれぞれからの出力を周波数に変換する発振回路310e,310f、ポンプ32e,32fのそれぞれを駆動するポンプ駆動回路320e,320f、および弁33e,33fのそれぞれを駆動する弁駆動回路330e,330fが搭載されている(なお、以下の説明では、これらをまとめて、発振回路310、ポンプ駆動回路320、および弁駆動回路330と称する場合もある)。この例においては、圧力センサ31は、この例においてもピエゾ抵抗式圧力センサが用いられており、エア配管38(38e,38f)を介して、ポンプ32、弁33および押圧カフ群21Eに接続されている。
図18(A)は、血圧計1が左手首90に装着された状態での、手首の長手方向に沿った断面を模式的に示している。図18(B)は、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2がそれぞれ出力する第1の脈波信号PS1、第2の脈波信号PS2の波形を示している。図18(A)に示すように、固形物としての固形物60は、橈骨動脈91の動脈方向に関して、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2にまたがって配置されている。第5の押圧部材をなす押圧カフ21eと、第6の押圧部材をなす押圧カフ21fは、固形物60における動脈方向に関して、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2よりも外側の部分をそれぞれ押圧する位置に設けられている。この例では、押圧カフ21e,21fは、電流電極対41,46に対応する位置に設けられている。したがって、押圧カフ21e,21fは、ポンプ32e,32fにより加圧されると、固形物60を押圧し、固形物60は、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2を左手首90の掌側面90aに押圧する。この例では、ポンプ32e,32fは、CPU100の制御の下、押圧カフ21e,21fのそれぞれを独立して加圧することが可能となっている。したがって、左手首90の掌側面90aに対する、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2のそれぞれの押圧力は、或る圧力勾配に沿って、適宜の値に設定することができる。
(オシロメトリック法による血圧測定の動作)
第2実施形態の血圧計1におけるオシロメトリック法による血圧測定は、第1実施形態と同様に、図6に示す動作フローに従って行われる。
CPU100が押圧カフ群21E内の空気を排気する際には(図6のステップS2)、押圧カフ21e,21fについて排気の制御を行う。また、CPU100が押圧カフ群21Eのカフ圧Pcを徐々に加圧してゆく際には、押圧カフ21e,21fについて加圧の制御を行う。さらに、CPU100が血圧値を算出する際には(図6のステップS3〜S5)、押圧カフ21e,21fの両方のカフ圧Pcをモニタして、平均を算出してもよいし、押圧カフ21e,21fのいずれかのカフ圧Pcをモニタしてもよい。図6の動作フローにおける他の制御は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。なお、この例においても、血圧値の算出は、加圧過程に限らず、減圧過程において行われてもよい。
(脈波伝播時間に基づく血圧測定の動作)
図19は、第2実施形態の血圧計1が脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)を行う際の動作フローを示している。
第2実施形態においては、図19に示すように、ユーザが本体10に設けられた操作部52としてのプッシュ式スイッチによってPTTに基づく血圧測定を指示すると(図19のステップS10)、CPU100は、脈波センサ押圧力設定部として働いて、押圧カフ21e,21fの制御を開始する(図19のステップS60)。図20は、血圧計1が押圧カフ21e,21fの制御を行う際の動作フローを示している。
図20に示す動作フローは、本発明者による実験結果に基づいて作成された。本発明者による実験よると、被測定部位である左手首90に対する第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2の押圧力を、或る圧力勾配に沿うように異なる値に設定すると、第1の脈波信号PS1、第2の脈波信号PS2の波形が同一になる状態が得やすいことが発見された。また、上記圧力勾配は、ユーザによって異なることが発見された。これは、被測定部位である左手首90の中の生体組織がユーザによって異なることに基づくと考えられる。この動作フローは、押圧カフ21e,21fのそれぞれのカフ圧Pcを可変させて固形物60を介して第1の脈波センサ40−1および第2の脈波センサ40−2を押圧することにより、第1の脈波センサ40−1および第2の脈波センサ40−2の押圧力を、或る圧力勾配に沿うように異なる値に設定し、第1の脈波信号PS1の波形および第2の脈波信号PS2の波形として同一の波形を得るという考え方に基づいている。
図20に示すように、押圧カフ21e,21fの制御が開始されると、CPU100は、脈波センサ押圧力設定部として働いて、弁駆動回路330eを介して弁33eを閉鎖し、ポンプ駆動回路320eを介してポンプ32eを駆動し、押圧カフ21eの加圧を行う(図20のステップS70)。この例では、押圧カフ21eのカフ圧Pcを一定速度(=5mmHg/s)で連続的に高くしてゆく。その結果、押圧カフ21eが固形物60を押圧してゆき、固形物60が電流電極41および第1の脈波センサ40−1を押圧してゆく。
この加圧過程で、CPU100は、第1の脈波センサ40−1が時系列で出力する第1の脈波信号PS1を取得して(図20のステップS71)、それとともに、CPU100は、取得した第1の脈波信号PS1の振幅が最大であるか否かを判断する(図20のステップS72)。
第1の脈波信号PS1の振幅が最大ではない場合には(図20のステップS72でNO)、CPU100は、ポンプ駆動回路320eを介してポンプ32eを駆動または停止し、あるいは弁駆動回路330eを介して弁33eを開閉して、押圧カフ21eの加圧または減圧を行う(図20のステップS70)。以下、第1の脈波信号PS1の振幅が最大になるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS70〜S72の処理を繰り返す。なお、押圧カフ21eの加圧だけでなく、減圧を行うのは、第1実施形態の場合と同様に、第1の脈波信号PS1の振幅が極大値を示した後においても押圧力を上げてゆくと、血管が潰れて第1の脈波信号PS1の振幅が次第に低下する傾向にあるためである。そこで、この例では、押圧カフ21eの加圧だけでなく、減圧を行って、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となるカフ圧Pcを求めている。
そして、振幅が最大になると(図20のステップS72でYES)、CPU100は、ポンプ32eを停止して(図20のステップ733)、押圧カフ21eのカフ圧Pcをその時点、つまり、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となった時点の値に設定する。
次に、CPU100は、弁駆動回路330fを介して弁33fを閉鎖し、ポンプ駆動回路320fを介してポンプ32fを駆動して、押圧カフ21fの加圧を行う(図20のステップS74)。この例では、押圧カフ21fのカフ圧Pcを一定速度(=5mmHg/s)で連続的に高くしてゆく。その結果、押圧カフ21fが固形物60を押圧してゆき、固形物60が電流電極46および第2の脈波センサ40−2を押圧してゆく。また、固形物60は、電流電極41および第1の脈波センサ40−1についても押圧してゆくことになるため、第1の脈波センサ40−1の押圧力と第2の脈波センサ40−2の押圧力との間には、圧力勾配が生じることになる。
この加圧過程で、CPU100は、第2の脈波センサ40−2が時系列で出力する第2の脈波信号PS2を取得して(図20のステップS75)、それとともに、CPU100は、波形比較部として働いて、取得した第2の脈波信号PS2の振幅と、上述のように設定した第1の脈波信号PS1の最大の振幅とが同一であるか否かを判断する(図20のステップS37)。なお、この例では、「同一」であると判断する場合の許容範囲は、±10%の範囲としている。
第2の脈波信号PS2の振幅が最大ではない場合には(図20のステップS76でNO)、CPU100は、ポンプ駆動回路320fを介してポンプ32fを駆動または停止し、あるいは弁駆動回路330fを介して弁33fを開閉して、押圧カフ21fの加圧または減圧を行う(図20のステップS74)。以下、第2の脈波信号PS2の振幅が、第1の脈波信号PS1の最大振幅と同一になるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS74〜S76の処理を繰り返す。なお、押圧カフ21fの加圧だけでなく、減圧を行うのは、第2の脈波信号PS2の振幅と押圧力との関係についても、上述した第1の脈波信号PS1の振幅と押圧力との関係と同様であるためである。
そして、第2の脈波信号PS2の振幅が、第1の脈波信号PS1の最大振幅と同一になると(図20のステップS76でYES)、CPU100は、ポンプ32fを停止して(図20のステップS77)、押圧カフ21fのカフ圧Pcをその時点、つまり、第2の脈波信号PS2の振幅が、第1の脈波信号PS1の最大振幅と同一となった時点の値に設定する。以上のようにして、押圧カフ21e,21fの制御(図19のステップS60)を終了する。
この状態で、CPU100は、測定処理部として働いて、第1、第2の脈波信号PS1,PS2の間の時間差Δt(図5(B)参照)を脈波伝播時間(PTT)として取得する(図19のステップS14)。より詳しくは、この例では、第1の脈波信号PS1のピークA1と第2の脈波信号PS2のピークA2との間の時間差Δtを脈波伝播時間(PTT)として取得する。
このようにした場合、同一の波形である第1、第2の脈波信号PS1,PS2に基づいて脈波伝播時間を測定するので、脈波伝播時間の測定精度を高めることができる。また、カフ圧Pcを無用に大きくすることなく、脈波伝播時間を取得できる。これにより、ユーザの身体的負担を軽くすることができる。
次に、CPU100は第1の血圧算出部として働いて、脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式Eqを用いて、ステップS13で取得された脈波伝播時間(PTT)に基づいて、血圧を算出(推定)する(図19のステップS14)。ここで、脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式Eqは、第1実施形態と同様に、例えば図32の式(Eq.2)で示すような、1/DTの項を含む公知の分数関数として提供される。
このようにして血圧を算出(推定)する場合、既述のように脈波伝播時間の測定精度を高めているので、血圧の測定精度を高めることができる。なお、血圧値の測定結果は、表示器50に表示されるとともに、メモリ51に記録される。
この例では、図19のステップS15において操作部52としてのプッシュ式スイッチによって測定停止が指示されていなければ(図19のステップS15でNO)、脈波伝播時間(PTT)の算出(図19のステップS13)と、血圧の算出(推定)(図19のステップS14)とを、脈波に応じて第1、第2の脈波信号PS1,PS2が入力されるごとに周期的に繰り返す。CPU100は、血圧値の測定結果を、表示器50に更新して表示するとともに、メモリ51に蓄積して記録する。そして、図19のステップS15において測定停止が指示されると(図19のステップS15でYES)、CPU100は、弁駆動回路330e,330fを介して弁33e,33fを開いて、押圧カフ21e,21f内の空気を排気する制御を行い。測定動作を終了する。
この血圧計1によれば、この脈波伝播時間(PTT)に基づく血圧測定によって、ユーザの身体的負担が軽い状態で、血圧を長期間にわたって連続的に測定することができる。
また、この血圧計1によれば、脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)と、オシロメトリック法による血圧測定とを一体の装置で行うことができる。したがって、ユーザの利便性を高めることができる。
さらに、この血圧計1によれば、第1実施形態と比較して、押圧カフ、圧力センサ、発振回路、ポンプ、ポンプ駆動回路、弁、および弁駆動回路を減らすことができるので、構成の簡略化を図ることができる。
(変形例2)
図21は、血圧計1が押圧カフ21e,21fの制御を行う際の動作フローの別の例を示している。図20に示す例では、ステップS76において、第2の脈波信号PS2の波形と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1の波形とが同一であるか否かを、それぞれの波形の振幅に基づいて判断した。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、図21のステップS80に示すように、第2の脈波信号PS2のアップストローク時間と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1のアップストローク時間とが同一であるか否かに基づいて、それぞれの波形が同一であると判断してもよい。
図21に示すように、この動作フローにおいても、図20の動作フローと同様に、CPU100は、押圧カフ21eの加圧または減圧を行いながら、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となるように、押圧カフ21eのカフ圧Pcを設定する(図21のステップS70〜S72)。この場合には、CPU100は、図21の動作フローにおいて、第1の脈波信号PS1の振幅が最大であると判断した際に(図21のステップS72のYES)、第1の脈波信号PS1のアップストローク時間tuをメモリ51に記録しておく。なお、この例においては、アップストローク時間が「同一」であると判断する場合の許容範囲は、±1%の範囲としている。
次に、CPU100は、弁駆動回路330fを介して弁33fを閉鎖し、ポンプ駆動回路320fを介してポンプ32fを駆動して、第2の脈波センサ40−2に対応する押圧カフ21fの加圧を行う(図21のステップS74)。この加圧工程において、CPU100は、第2の脈波センサ40−2が時系列で出力する第2の脈波信号PS2を取得して(図21のステップS75)、それとともに、CPU100は、波形比較部として働いて、取得した第2の脈波信号PS2のアップストローク時間tuと、メモリ51に記録しておいた第1の脈波信号PS1のアップストローク時間tuとが同一であるか否かを判断する(図21のステップS80)。なお、この例では、アップストローク時間tuが「同一」であると判断する場合の許容範囲は、±1%の範囲としている。
ここで、第2の脈波信号PS2のアップストローク時間tuと、第1の脈波信号PS1のアップストローク時間tuとが同一でなければ(図21のステップS80でNO)、アップストローク時間tuが同一となるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS74〜S80の処理を繰り返す。そして、アップストローク時間tuが同一となったら(図21のステップS80でYES)、CPU100は、ポンプ32fを停止して(図21のステップS77)、押圧カフ21fのカフ圧Pcをその時点、つまり、アップストローク時間tuが同一となった時点の値に設定する。これにより、同一の波形である第1、第2の脈波信号PS1,PS2に基づいて脈波伝播時間を測定するので、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。
図22は、血圧計1が押圧カフ21e,21fの制御を行う際の動作フローのさらに別の例を示している。第2の脈波信号PS2の波形と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1の波形とが同一であるか否かは、図20の動作フローではそれぞれの波形の振幅に基づいて、また図21の動作フローではそれぞれのアップストローク時間に基づいて判断した。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、図22のステップS90に示すように、2波形間の相互相関係数r(図36の式Eq.1参照)が閾値を超えた場合に、2波形が同一である判断してもよい。
図22に示す動作フローにおいても、相互相関係数rが予め定められた閾値Th(この例では、Th=0.99)を超えている範囲が、適正押圧範囲であるとの考え方に基づいている。この例では、適正押圧範囲は、押圧力(カフ圧Pc)が下限値P1≒72mmHgから上限値P2≒135mmHgまでの範囲になっている。
図22に示すように、この動作フローにおいても、図20および図21の動作フローと同様に、CPU100は、第1の脈波センサ40−1に対応する押圧カフ21eの加圧または減圧を行いながら、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となるように、押圧カフ21eのカフ圧Pcを設定する(図22のステップS70〜S73)。なお、この例においては、CPU100は、振幅が最大となった第1の脈波信号PS1について、相互相関係数rの算出に必要なデータをメモリ51に蓄積して記録しておく。
次に、CPU100は、弁駆動回路330fを介して弁33fを閉鎖し、ポンプ駆動回路320fを介してポンプ32fを駆動して、第2の脈波センサ40−2に対応する押圧カフ21fの加圧を行う(図22のステップS74)。この加圧過程で、CPU100は、第2の脈波センサ40−2が時系列で出力する第2の脈波信号PS2を取得して(図22のステップS75)、取得したデータと、メモリ51に蓄積して記録しておいた第1の脈波信号PS1のデータとに基づいて、第1、第2の脈波信号PS1,PS2の波形間の相互相関係数rをリアルタイムで算出し、算出した相互相関係数rが予め定められた閾値Th(=0.99)を超えているか否かを判断する(図22のステップS90)。
ここで、相互相関係数rが閾値Th以下であれば(図22のステップS90でNO)、相互相関係数rが閾値Thを超えるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS74〜S90の処理を繰り返す。そして、相互相関係数rが閾値Thを超えたら(図22のステップS90でYES)、CPU100は、ポンプ32cを停止して(図22のステップS77)、押圧カフ21cのカフ圧Pcをその時点、つまり、相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値に設定する。この例では、カフ圧Pcは、相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値、つまり、図13中に示すP1(≒72mmHg)に設定される。
このようにした場合、同一の波形である第1、第2の脈波信号PS1,PS2に基づいて脈波伝播時間を測定するので、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。また、カフ圧Pcを相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値に設定するので、カフ圧Pcを無用に大きくすることなく、脈波伝播時間を取得できる。これにより、ユーザの身体的負担を軽くすることができる。
(第3実施形態)
次に、この発明の脈波測定装置を備えた血圧測定装置に係る第3実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、第1実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
(血圧計の構成)
図23は、第3実施形態の血圧計1の外観を斜めから見たところ示している。また、図24は、血圧計1が被測定部位としての左手首90に装着された状態で、左手首90の長手方向に対して垂直な断面を模式的に示している。
図23によって良く分かるように、第3実施形態において押圧部として働く押圧カフ群21Eは、第7の押圧部材としての押圧カフ21g、および第8の押圧部材としての押圧カフ21hを備えている。押圧カフ21gは、ベルト20の幅方向Yにおける幅が、インピーダンス測定部40の全体を覆う幅となっている。押圧カフ21hは、押圧カフ21g(ベルト20)の内周面20aであって、インピーダンス測定部40の電流電極46に対応する位置に設けられている。押圧カフ21hの幅方向Yにおける幅は、インピーダンス測定部40のうちの電流電極46に対応する幅となっている。さらに、押圧カフ21h(ベルト20)の内周面20aであって、インピーダンス測定部40の電流電極41に対応する位置には、スペーサ70が設けられている。スペーサ70は、この例では厚さ1〜2mm程度の板状の樹脂(この例では、ポリプロピレン)からなっている。また、インピーダンス測定部40に対応する位置には、スペーサ70(ベルト20)の内周面a、押圧カフ21g(ベルト20)の内周面20a、および押圧カフ21h(ベルト20)の内周面20aに、固形物としての固形物60が設けられている。固形物60は、この例では厚さ7mm程度の板状の樹脂(この例では、ABS)からなっている。そして、この固形物60の内周面に電極群40Eが設けられている。
押圧カフ群21Eは、この例においても、伸縮可能な2枚のポリウレタンシートを厚さ方向に対向させ、それらの周縁部を溶着して、流体袋として構成されている。図24に示すように、押圧カフ21h(ベルト20)の内周面20aのうち、左手首90の橈骨動脈91に対応する部位には、固形物60が配置され、固形物60の内周面にインピーダンス測定部40の電極群40Eが配置されている。また、ベルト20の幅方向Yにおいて押圧カフ21hおよびスペーサ70が設けられていない領域では、押圧カフ21g(ベルト20)の内周面20aのうち、左手首90の橈骨動脈91に対応する部位に、固形物60が配置される。さらに、ベルト20の幅方向Yにおいてスペーサ70が設けられている領域では、スペーサ70(ベルト20)の内周面20aのうち、左手首90の橈骨動脈91に対応する部位に、固形物60が配置される。
図25は、第3実施形態における血圧計1の制御系のブロック構成を示している。血圧計1の本体10には、第1実施形態の血圧計1と同様に、表示器50、操作部52に加えて、制御部としてのCPU100、記憶部としてのメモリ51、および通信部59が搭載されている。また、本体10には、圧力センサ31g,31h、ポンプ32g,32h、弁33g,33hが搭載されている(なお、以下の説明では、これらをまとめて、圧力センサ31、ポンプ32、および弁33と称する場合もある)。さらに、本体10には、圧力センサ31g,31hのそれぞれからの出力を周波数に変換する発振回路310g,310h、ポンプ32e,32fのそれぞれを駆動するポンプ駆動回路320g,320h、弁33e,33fのそれぞれを駆動するポンプ駆動回路330g,330hが搭載されている(なお、以下の説明では、これらをまとめて、発振回路310、ポンプ駆動回路320、および弁駆動回路330と称する場合もある)。この例においては、圧力センサ31は、この例においてもピエゾ抵抗式圧力センサが用いられており、エア配管38(38g,38h)を介して、ポンプ32、弁33および押圧カフ群21Eに接続されている。
図26(A)は、血圧計1が左手首90に装着された状態での、手首の長手方向に沿った断面を模式的に示している。図26(B)は、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2がそれぞれ出力する第1の脈波信号PS1、第2の脈波信号PS2の波形を示している。図26(A)に示すように、固形物としての固形物60は、橈骨動脈91の動脈方向に関して、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2にまたがって配置されている。第7の押圧部材をなす押圧カフ21gは、固形物60に対向して配置されている。この例では、押圧カフ21gは、動脈方向(幅方向Y)における幅が、動脈方向(幅方向Y)において固形物60の全域を覆う幅を有しており、固形物60の全域に向かって押圧力を発生可能な位置に設けられている。
第8の押圧部材をなす押圧カフ21hは、固形物60における動脈方向に関して、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2よりも外側の部分の一方の側と、押圧カフ21gとの間に介挿されている。この例では、電流電極46に対応する位置に設けられている。スペーサ70は、固形物60における上記外側の部分の他方の側と、押圧カフ21gとの間に介挿されている。この例では、電流電極41に対応する位置に設けられている。したがって、押圧カフ21hがポンプ32hにより加圧された状態においては、押圧カフ21gがポンプ32gにより加圧されると、押圧カフ21gは、固形物60の全域へ向かって押圧力を発生してスペーサ70と押圧カフ21hとを押圧し、スペーサ70と押圧カフ21hは、固形物60を押圧する。そして、固形物60は、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2を左手首90の掌側面90aに押圧する。また、この状態で、押圧カフ21hをポンプ32hまたは弁33hにより加圧または減圧すると、固形物60に対する押圧力は、電流電極46に対応する側だけが変化することになるので、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2の左手首90に対する押圧力は、動脈方向において或る圧力勾配に沿って異なることになる。この例では、ポンプ32g,32hは、CPU100の制御の下、押圧カフ21g,21hのそれぞれを独立して加圧することが可能となっている。したがって、左手首90の掌側面90aに対する、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2のそれぞれの押圧力は、或る圧力勾配に沿って、適宜の値に設定することができる。
(オシロメトリック法による血圧測定の動作)
第2実施形態の血圧計1におけるオシロメトリック法による血圧測定は、第1実施形態と同様に、図6に示す動作フローに従って行われる。
CPU100が押圧カフ群21E内の空気を排気する際には(図6のステップS2)、押圧カフ21g,21hについて排気の制御を行う。また、CPU100が押圧カフ群21Eのカフ圧Pcを徐々に加圧してゆく際には、押圧カフ21g,21hについて加圧の制御を行う。順序としては、まず、押圧カフ21gのカフ圧Pcを徐々に加圧してゆき、押圧カフ21gのカフ圧Pcが一定のカフ圧Pcになったところで、押圧カフ21hのカフ圧Pcを徐々に加圧してゆけばよい。あるいは、押圧カフ21gと押圧カフ21hのカフ圧Pcを同時に徐々に加圧してゆくこともできる。さらに、CPU100が血圧値を算出する際には(図6のステップS3〜S5)、押圧カフ21g,21hの両方のカフ圧Pcをモニタしてもよいし、押圧カフ21g,21hのいずれかのカフ圧Pcをモニタしてもよい。図6の動作フローにおける他の制御は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。なお、この例においても、血圧値の算出は、加圧過程に限らず、減圧過程において行われてもよい。
(脈波伝播時間に基づく血圧測定の動作)
図27は、第2実施形態の血圧計1が脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)を行う際の動作フローを示している。
第3実施形態においては、図27に示すように、ユーザが本体10に設けられた操作部52としてのプッシュ式スイッチによってPTTに基づく血圧測定を指示すると(図27のステップS10)、CPU100は、脈波センサ押圧力設定部として働いて、押圧カフ21g,21hの制御を開始する(図27のステップS100)。図28は、血圧計1が押圧カフ21g,21hの制御を行う際の動作フローを示している。
図28に示す動作フローは、第2実施形態と同様に、第1の脈波センサ40−1および第2の脈波センサ40−2の押圧力を、或る圧力勾配に沿うように異なる値に設定し、第1の脈波信号PS1の波形および第2の脈波信号PS2の波形として同一の波形を得るという考え方に基づいている。この例では、押圧カフ21g,21hのそれぞれのカフ圧Pcを可変させて固形物60を介して第1の脈波センサ40−1および第2の脈波センサ40−2の押圧力を、或る圧力勾配に沿うように異なる値に設定している。
図28に示すように、押圧カフ21g,21hの制御が開始されると、CPU100は、脈波センサ押圧力設定部として働いて、弁駆動回路330g,330hを介して弁33g,33hを閉鎖し、ポンプ駆動回路320g,320hを介してポンプ32g,32hを駆動し、押圧カフ21g,21hを40mmHgまで加圧する(図28のステップS110)。この例では、押圧カフ21g,21hのカフ圧Pcを一定速度(=5mmHg/s)で連続的に高くし、押圧カフ21g,21hのカフ圧Pcを40mmHgとする。
次に、CPU100は、ポンプ駆動回路320gを介してポンプ32gを駆動し、押圧カフ21gを加圧する(図28のステップS111)。この例では、押圧カフ21gのカフ圧Pcを一定速度(=5mmHg/s)で連続的に高くてゆく。その結果、押圧カフ21gがスペーサ70を介して固形物60を押圧し、固形物60が第1の電流電極41および脈波センサ40−1を左手首90に押圧する。
この加圧過程で、CPU100は、第1の脈波センサ40−1が時系列で出力する第1の脈波信号PS1を取得して(図28のステップS112)、それとともに、CPU100は、取得した第1の脈波信号PS1の振幅が最大であるか否かを判断する(図28のステップS113)。
第1の脈波信号PS1の振幅が最大ではない場合には(図28のステップS113でNO)、CPU100は、ポンプ駆動回路320gを介してポンプ32gを駆動または停止し、あるいは弁駆動回路330gを介して弁33gを開閉して、押圧カフ21gの加圧または減圧を行う(図28のステップS111)。以下、第1の脈波信号PS1の振幅が最大になるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS111〜S113の処理を繰り返す。なお、押圧カフ21gの加圧だけでなく、減圧を行うのは、第1実施形態の場合と同様に、第1の脈波信号PS1の振幅が極大値を示した後においても押圧力を上げてゆくと、血管が潰れて第1の脈波信号PS1の振幅が次第に低下する傾向にあるためである。そこで、この例では、押圧カフ21gの加圧だけでなく、減圧を行って、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となるカフ圧Pcを求めている。
そして、振幅が最大になると(図28のステップS113でYES)、CPU100は、ポンプ32gを停止して(図28のステップ114)、押圧カフ21gのカフ圧Pcをその時点、つまり、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となった時点の値に設定する。
次に、CPU100は、ポンプ駆動回路320hを介してポンプ32hを駆動し、押圧カフ21hの加圧を行う(図28のステップS115)。この例では、押圧カフ21hのカフ圧Pcを一定速度(=5mmHg/s)で連続的に高くしてゆく。その結果、押圧カフ21hが固形物60を押圧してゆき、固形物60が電流電極46および第2の脈波センサ40−2を押圧してゆく。また、固形物60は、電流電極41および第1の脈波センサ40−1についても押圧してゆくことになるため、第1の脈波センサ40−1の押圧力と第2の脈波センサ40−2の押圧力との間には、圧力勾配が生じることになる。
この加圧過程で、CPU100は、第2の脈波センサ40−2が時系列で出力する第2の脈波信号PS2を取得して(図28のステップS116)、それとともに、CPU100は、波形比較部として働いて、取得した第2の脈波信号PS2の振幅と、上述のように設定した第1の脈波信号PS1の最大の振幅とが同一であるか否かを判断する(図28のステップS117)。なお、この例では、「同一」であると判断する場合の許容範囲は、±10%の範囲としている。
第2の脈波信号PS2の振幅が最大ではない場合には(図28のステップS117でNO)、CPU100は、ポンプ駆動回路320hを介してポンプ32hを駆動または停止し、あるいは弁駆動回路330hを介して弁33hを開閉して、押圧カフ21hの加圧または減圧を行う(図28のステップS115)。以下、第2の脈波信号PS2の振幅が、第1の脈波信号PS1の最大振幅と同一になるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS115〜S117の処理を繰り返す。なお、押圧カフ21hの加圧だけでなく、減圧を行うのは、第2の脈波信号PS2の振幅と押圧力との関係についても、上述した第1の脈波信号PS1の振幅と押圧力との関係と同様であるためである。
そして、第2の脈波信号PS2の振幅が、第1の脈波信号PS1の最大振幅と同一になると(図28のステップS117でYES)、CPU100は、ポンプ32hを停止して(図28のステップS118)、押圧カフ21hのカフ圧Pcをその時点、つまり、第2の脈波信号PS2の振幅が、第1の脈波信号PS1の最大振幅と同一となった時点の値に設定する。以上のようにして、押圧カフ21g,21hの制御(図27のステップS100)を終了する。
この状態で、CPU100は、測定処理部として働いて、第1、第2の脈波信号PS1,PS2の間の時間差Δt(図26(B)参照)を脈波伝播時間(PTT)として取得する(図27のステップS14)。より詳しくは、この例では、第1の脈波信号PS1のピークA1と第2の脈波信号PS2のピークA2との間の時間差Δtを脈波伝播時間(PTT)として取得する。
このようにした場合、同一の波形である第1、第2の脈波信号PS1,PS2に基づいて脈波伝播時間を測定するので、脈波伝播時間の測定精度を高めることができる。また、カフ圧Pcを無用に大きくすることなく、脈波伝播時間を取得できる。これにより、ユーザの身体的負担を軽くすることができる。
次に、CPU100は第1の血圧算出部として働いて、脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式Eqを用いて、ステップS13で取得された脈波伝播時間(PTT)に基づいて、血圧を算出(推定)する(図27のステップS14)。ここで、脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式Eqは、第1実施形態と同様に、例えば図32の式(Eq.2)で示すような、1/DTの項を含む公知の分数関数として提供される。
このようにして血圧を算出(推定)する場合、既述のように脈波伝播時間の測定精度を高めているので、血圧の測定精度を高めることができる。なお、血圧値の測定結果は、表示器50に表示されるとともに、メモリ51に記録される。
この例では、図27のステップS15において操作部52としてのプッシュ式スイッチによって測定停止が指示されていなければ(図27のステップS15でNO)、脈波伝播時間(PTT)の算出(図27のステップS13)と、血圧の算出(推定)(図27のステップS14)とを、脈波に応じて第1、第2の脈波信号PS1,PS2が入力されるごとに周期的に繰り返す。CPU100は、血圧値の測定結果を、表示器50に更新して表示するとともに、メモリ51に蓄積して記録する。そして、図27のステップS15において測定停止が指示されると(図27のステップS15でYES)、CPU100は、弁駆動回路330g,330hを介して弁33g,33hを開いて、押圧カフ21g,21h内の空気を排気する制御を行い。測定動作を終了する。
この血圧計1によれば、この脈波伝播時間(PTT)に基づく血圧測定によって、ユーザの身体的負担が軽い状態で、血圧を長期間にわたって連続的に測定することができる。
また、この血圧計1によれば、脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)と、オシロメトリック法による血圧測定とを一体の装置で行うことができる。したがって、ユーザの利便性を高めることができる。
さらに、この血圧計1によれば、第1実施形態と比較して、押圧カフ、圧力センサ、発振回路、ポンプ、ポンプ駆動回路、弁、および弁駆動回路を減らすことができるので、構成の簡略化を図ることができる。
(変形例3)
図29は、血圧計1が押圧カフ21g,21hの制御を行う際の動作フローの別の例を示している。図28に示す例では、ステップS117において、第2の脈波信号PS2の波形と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1の波形とが同一であるか否かを、それぞれの波形の振幅に基づいて判断した。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、図29のステップS120に示すように、第2の脈波信号PS2のアップストローク時間と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1のアップストローク時間とが同一であるか否かに基づいて、それぞれの波形が同一であると判断してもよい。
図29に示すように、この動作フローにおいても、図28の動作フローと同様に、CPU100は、押圧カフ21gの加圧または減圧を行いながら、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となるように、押圧カフ21gのカフ圧Pcを設定する(図29のステップS111〜S113)。この場合には、CPU100は、図29の動作フローにおいて、第1の脈波信号PS1の振幅が最大であると判断した際に(図29のステップS113でYES)、第1の脈波信号PS1のアップストローク時間をメモリ51に記録しておく。なお、この例においては、アップストローク時間が「同一」であると判断する場合の許容範囲は、±1%の範囲としている。
次に、CPU100は、ポンプ駆動回路320hを介してポンプ32hを駆動して、第2の脈波センサ40−2に対応する押圧カフ21hの加圧を行う(図29のステップS115)。この加圧工程において、CPU100は、第2の脈波センサ40−2が時系列で出力する第2の脈波信号PS2を取得して(図29のステップS115)、それとともに、CPU100は、波形比較部として働いて、取得した第2の脈波信号PS2のアップストローク時間tuと、メモリ51に記録しておいた第1の脈波信号PS1のアップストローク時間tuとが同一であるか否かを判断する(図29のステップS120)。なお、この例では、アップストローク時間tuが「同一」であると判断する場合の許容範囲は、±1%の範囲としている。
ここで、第2の脈波信号PS2のアップストローク時間tuと、第1の脈波信号PS1のアップストローク時間tuとが同一でなければ(図29のステップS120でNO)、アップストローク時間tuが同一となるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS115〜S120の処理を繰り返す。そして、アップストローク時間tuが同一となったら(図29のステップS120でYES)、CPU100は、ポンプ32hを停止して(図29のステップS118)、押圧カフ21hのカフ圧Pcをその時点、つまり、アップストローク時間tuが同一となった時点の値に設定する。これにより、同一の波形である第1、第2の脈波信号PS1,PS2に基づいて脈波伝播時間を測定するので、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。
図30は、血圧計1が押圧カフ21g,21hの制御を行う際の動作フローのさらに別の例を示している。第2の脈波信号PS2の波形と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1の波形とが同一であるか否かは、図28の動作フローではそれぞれの波形の振幅に基づいて、また図29の動作フローではそれぞれのアップストローク時間に基づいて判断した。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、図30のステップS130に示すように、2波形間の相互相関係数r(図36の式Eq.1参照)が閾値を超えた場合に、2波形が同一である判断してもよい。
図30に示す動作フローにおいても、相互相関係数rが予め定められた閾値Th(この例では、Th=0.99)を超えている範囲が、適正押圧範囲であるとの考え方に基づいている。この例では、適正押圧範囲は、押圧力(カフ圧Pc)が下限値P1≒72mmHgから上限値P2≒135mmHgまでの範囲になっている。
図30に示すように、この動作フローにおいても、図28および図29の動作フローと同様に、CPU100は、押圧カフ21gの加圧または減圧を行いながら、第1の脈波信号PS1の振幅が最大となるように、押圧カフ21gのカフ圧Pcを設定する(図30のステップS111〜S113)。なお、この例においては、CPU100は、振幅が最大となった第1の脈波信号PS1について、相互相関係数rの算出に必要なデータをメモリ51に蓄積して記録しておく。
次に、CPU100は、ポンプ駆動回路320hを介してポンプ32hを駆動し、第2の脈波センサ40−2に対応する押圧カフ21hの加圧を行う(図30のステップS115)。この加圧過程で、CPU100は、第2の脈波センサ40−2が時系列で出力する第2の脈波信号PS2を取得して(図30のステップS116)、取得したデータと、メモリ51に蓄積して記録しておいた第1の脈波信号PS1のデータとに基づいて、第1、第2の脈波信号PS1,PS2の波形間の相互相関係数rをリアルタイムで算出し、算出した相互相関係数rが予め定められた閾値Th(=0.99)を超えているか否かを判断する(図30のステップS130)。
ここで、相互相関係数rが閾値Th以下であれば(図30のステップS130でNO)、相互相関係数rが閾値Thを超えるまで、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS115〜S130の処理を繰り返す。そして、相互相関係数rが閾値Thを超えたら(図30のステップS113でYES)、CPU100は、ポンプ32hを停止して(図30のステップS118)、押圧カフ21hのカフ圧Pcをその時点、つまり、相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値に設定する。この例では、カフ圧Pcは、相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値、つまり、図13中に示すP1(≒72mmHg)に設定される。
このようにした場合、同一の波形である第1、第2の脈波信号PS1,PS2に基づいて脈波伝播時間を測定するので、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。また、カフ圧Pcを相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値に設定するので、カフ圧Pcを無用に大きくすることなく、脈波伝播時間を取得できる。これにより、ユーザの身体的負担を軽くすることができる。
(第4実施形態)
次に、この発明の脈波測定装置を備えた血圧測定装置に係る第4実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(血圧計の構成)
図31は、第4実施形態の血圧計1の外観を斜めから見たところ示している。また、図32は、血圧計1が被測定部位としての左手首90に装着された状態で、オシロメトリック法による血圧測定を行う場合における左手首90の長手方向に対して垂直な断面を模式的に示している。
図31に示すように、第4実施形態の血圧計1は、押圧カフ群21Eと、ベルト20の帯状体23との間に、圧迫部材として働く押圧カフ21iが介挿されている。押圧カフ群21Eは、第1実施形態と同様に、ベルト20の幅方向Yに関して分割されており、第3の押圧部材としての押圧カフ21a、第1の押圧部材としての押圧カフ21b、第2の押圧部材としての押圧カフ21c、および第4の押圧部材としての押圧カフ21dを備えている。押圧カフ21a,21dは、第1実施形態と同様に、電流電極対41,46にそれぞれ対応して分割されている。押圧カフ21b,21cは、第1の脈波センサ40−1をなす第1の検出電極対42,43、および第2の脈波センサ40−2をなす第2の検出電極対44,45にそれぞれ対応して分割されている。押圧カフ21a、押圧カフ21b、押圧カフ21c、および押圧カフ21dの帯状体23の周方向(長手方向)における長さは、電流電極対41,46、第1の脈波センサ40−1、および第2の脈波センサ40−2のそれぞれを局所的に押圧可能な長さに設定されているところが第1実施形態と異なっている。
押圧カフ21iは、他の押圧カフと同様、伸縮可能な2枚のポリウレタンシートを厚さ方向に対向させ、それらの周縁部を溶着して、流体袋として構成されている。図32に示すように、押圧カフ21iは、帯状体23に沿った周方向(長手方向)の長さを有しており、被測定部位としての左手首90を取り巻いて装着可能になっている。押圧カフ21iは、流体を供給することにより左手首90を圧迫する加圧状態となり、流体を排出することにより、左手首90の圧迫を開放する非加圧状態となる。図32は、押圧カフ21iを加圧状態とし、押圧カフ21a、押圧カフ21b、押圧カフ21c、および押圧カフ21dを非加圧状態とした場合における、血圧計1の左手首90の長手方向に対して垂直な断面を模式的に示している。
図33は、第4実施形態における血圧計1の制御系のブロック構成を示している。図33に示すように、第4実施形態における血圧計1の本体10には、圧力センサ31i、ポンプ32i,弁33iが搭載されているところが第1実施形態と異なる。さらに、本体10には、圧力センサ31iからの出力を周波数に変換する発振回路310i、ポンプ32iを駆動するポンプ駆動回路320i,弁33iを駆動するポンプ駆動回路330iが搭載されているところが、第1実施形態と異なる。この例においても、圧力センサ31iは、ピエゾ抵抗式圧力センサが用いられており、エア配管38iを介して、ポンプ32i、弁33iおよび押圧カフ21iに接続されている。
図34は、オシロメトリック法による血圧測定を行う場合における、血圧計1が左手首90に装着された状態での、手首の長手方向に沿った断面を模式的に示している。図34に示すように、押圧カフ21iは、橈骨動脈91の動脈方向(幅方向Y)において、押圧カフ21a、押圧カフ21b、押圧カフ21c、および押圧カフ21dの全域を覆う幅を有しており、加圧状態にある場合には、左手首90を圧迫して、橈骨動脈91を充分に閉じることができる位置に設けられている。なお、第4実施形態において脈波伝播時間に基づく血圧測定が行われる場合には、押圧カフ21iを非加圧状態にして、押圧カフ21a、押圧カフ21b、押圧カフ21c、および押圧カフ21dを加圧状態にする。この場合には、図5(A)に示す第1実施形態の血圧計1と同様な状態となる。第4実施形態の血圧計1は、帯状体23と、押圧カフ21a、押圧カフ21b、押圧カフ21c、および押圧カフ21dの外周側との間に、非加圧状態にした押圧カフ21iが存在するというところが、第1実施形態と異なる。
(オシロメトリック法による血圧測定の動作)
第4実施形態の血圧計1におけるオシロメトリック法による血圧測定は、第1実施形態と同様に、図6に示す動作フローに従って行われる。第4実施形態においては、ステップS2の初期化工程における押圧カフ21a、押圧カフ21b、押圧カフ21c、押圧カフ21d、および押圧カフ21iの制御が第1実施形態と異なる。第4実施形態では、ステップS2の初期化工程において、CPU100は、弁駆動回路330a,330b,330c,330d,330iに制御信号を出力して弁33a,33b,33c,33d,33iを開放して押圧カフ21a、押圧カフ21b、押圧カフ21c、押圧カフ21d、および押圧カフ21i内の空気を排気する。その後、CPU100は、弁駆動回路330a,330b,330c,330dに制御信号を出力して弁33a,33b,33c,33dを開放したままにし、押圧カフ21a、押圧カフ21b、押圧カフ21c、および押圧カフ21dの非加圧状態を維持する。このように、第4実施形態においては、オシロメトリック法による血圧測定を行う際に、押圧カフ21a、押圧カフ21b、押圧カフ21c、および押圧カフ21dの非加圧状態を維持するところが第1実施形態と異なる。
また、第4実施形態においては、ステップS3のカフ圧制御を、押圧カフ21iに対して行うところが第1実施形態と異なる。CPU100は、弁駆動回路330iを介して弁33iを閉鎖し、その後、ポンプ駆動回路320iを介してポンプ32iを駆動して、押圧カフ21iに空気を送る制御を行う。これにより、押圧カフ21iを膨張させるとともにカフ圧Pc(図34参照)を徐々に加圧していく(図6のステップS3)。
この加圧過程で、CPU100は、血圧値を算出するために、圧力センサ31iによって、カフ圧Pcをモニタし、被測定部位としての左手首90の橈骨動脈91で発生する動脈容積の変動成分を、図7中に示すような脈波信号Pmとして取得する。
次に、図6中のステップS4で、CPU100は、第2の血圧算出部として働いて、この時点で取得されている脈波信号Pmに基づいて、オシロメトリック法により公知のアルゴリズムを適用して血圧値(収縮期血圧SBPと拡張期血圧DBP)の算出を試みる。
この時点で、データ不足のために未だ血圧値を算出できない場合は(ステップS5でNO)、カフ圧Pcが上限圧力(安全のために、例えば300mmHgというように予め定められている。)に達していない限り、ステップS3〜S5の処理を繰り返す。
このようにして血圧値の算出ができたら(ステップS5でYES)、CPU100は、ポンプ駆動回路320iを介してポンプ32iを停止し、弁駆動回路330iを介して弁33iを開いて、押圧カフ21i内の空気を排気する制御を行う(ステップS6)。そして最後に、血圧値の測定結果を表示器50に表示するとともに、メモリ51に記録する(ステップS7)。
なお、血圧値の算出は、加圧過程に限らず、減圧過程において行われてもよい。
第4実施形態においては、動脈方向(幅方向Y)における被測定部位の全域を押圧カフ21iによって圧迫することができるので、精度良くオシロメトリック法による血圧測定を行うことができる。
(脈波伝播時間に基づく血圧測定の動作)
図35は、第4実施形態の血圧計1が脈波伝播時間(Pulse Transit Time;PTT)に基づく血圧測定(推定)を行う際の動作フローを示している。図35に示す第4実施形態の動作フローが、図8に示す第1実施形態におけるPTTに基づく血圧測定(推定)を行う際の動作フローと異なるのは、押圧カフ21iの排気制御を行うところである。第4実施形態においては、ユーザが本体10に設けられた操作部52としてのプッシュ式スイッチによってPTTに基づく血圧測定を指示すると(図35のステップS10)、CPU100は、弁駆動回路330iに制御信号を出力して弁33iを開放して押圧カフ21i内の空気を排気する(図35のステップS200)。その後、CPU100は、弁駆動回路330iに制御信号を出力して弁33iを開放したままにし、押圧カフ21iの非加圧状態を維持する。ステップS11以降の処理については、第1実施形態と同様である。
つまり、CPU100は、電流電極押圧力設定部、脈波センサ押圧力設定部、波形比較部、測定処理部、および第1の血圧算出部として働いて、第1実施形態と同様にPTTに基づく血圧測定(推定)を行う。
なお、変形例1で説明した第2の脈波信号PS2の波形と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1の波形とが同一であるか否の判断の態様は、第4実施形態においても同様に適用可能である。
この血圧計1によれば、この脈波伝播時間(PTT)に基づく血圧測定によって、ユーザの身体的負担が軽い状態で、血圧を長期間にわたって連続的に測定することができる。
また、この血圧計1によれば、脈波伝播時間に基づく血圧測定(推定)と、オシロメトリック法による血圧測定とを一体の装置で行うことができる。したがって、ユーザの利便性を高めることができる。
(変形例4)
上述の各実施形態では、図12のステップS50、図22のステップS90、および図30のステップS130において、押圧力(カフ圧Pc)を第1、第2の脈波信号PS1,PS2の波形間の相互相関係数rが閾値Thを超えた時点の値(図9中に示す適正押圧範囲の下限値P1)で、第2の脈波信号PS2の波形と、最大の振幅を有する第1の脈波信号PS1の波形とが同一であると判断した。しかしながら、これに限られるものではない。CPU100がさらに制御を行って、押圧力(カフ圧Pc)を上記相互相関係数rが極大値rmaxを示す値(図13中に示すP3)に設定してもよい。図13の例では、この値はP3≒106mmHgになっている。これにより、脈波伝播時間の測定精度をさらに高めることができる。
また、上述した各実施形態では、図8のステップS14において、脈波伝播時間(PTT)に基づいて血圧を算出(推定)するために、脈波伝播時間と血圧との間の対応式Eqとして、図37の式(Eq.2)を用いた。しかしながら、これに限られるものではない。脈波伝播時間と血圧との間の対応式Eqとしては、それぞれ脈波伝播時間をDT、血圧をEBPと表すとき、例えば図38の式(Eq.3)に示すように、1/DTの項に加えて、1/DTの項と、DTの項とを含む式を用いてもよい。式(Eq.3)において、α、β、γ、δはそれぞれ既知の係数または定数を表している。
さらに、例えば図39の式(Eq.4)に示すように、1/DTの項と、心拍周期RRの項と、容積脈波面積比VRの項とを含む式を用いてもよい(例えば、特開2000−33078公報参照)。式(Eq.4)において、α、β、γ、δはそれぞれ既知の係数または定数を表している。なお、この場合、心拍周期RR、容積脈波面積比VRは、脈波信号PS1,PS2に基づいて、CPU100が算出する。
脈波伝播時間と血圧との間の対応式Eqとして、これらの式(Eq.3)、式(Eq.4)を用いる場合も、式(Eq.2)を用いる場合と同様に、血圧の測定精度を高めることができる。当然ながら、これらの式(Eq.2)、(Eq.3)、(Eq.4)以外の対応式を用いてもよい。
上述の各実施形態では、第1の脈波センサ40−1、第2の脈波センサ40−2は、被測定部位(左手首90)を通る動脈(橈骨動脈91)の脈波をインピーダンスの変化として検出した(インピーダンス方式)。しかしながら、これに限られるものではない。第1、第2の脈波センサは、それぞれ、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて光を照射する発光素子と、その光の反射光(または透過光)を受光する受光素子とを備えて、動脈の脈波を容積の変化として検出してもよい(光電方式)。または、第1、第2の脈波センサは、それぞれ、被測定部位に当接された圧電センサを備えて、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈の圧力による歪みを電気抵抗の変化として検出してもよい(圧電方式)。さらに、第1、第2の脈波センサは、それぞれ、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて電波(送信波)を送る送信素子と、その電波の反射波を受信する受信素子とを備えて、動脈の脈波による動脈とセンサとの間の距離の変化を送信波と反射波との間の位相のずれとして検出してもよい(電波照射方式)。
また、上述の各実施形態では、血圧計1は、被測定部位として左手首90に装着されることが予定されているものとした。しかしながら、これに限られるものではない。被測定部位は、動脈が通っていれば良く、手首以外の上腕などの上肢であっても良いし、足首、大腿などの下肢であっても良い。
また、上述の実施形態では、血圧計1に搭載されたCPU100が波形比較部、脈波センサ押圧力設定部、電流電極押圧力設定部、測定処理部、第1および第2の血圧算出部として働いて、オシロメトリック法による血圧測定(図6の動作フロー)およびPTTに基づく血圧測定(推定)(図8、図19、図27、図35の動作フロー)を実行するものとした。しかしながら、これに限られるものではない。例えば、血圧計1の外部に設けられたスマートフォンなどの実質的なコンピュータ装置が、波形比較部、脈波センサ押圧力設定部、電流電極押圧力設定部、測定処理部、第1および第2の血圧算出部として働いて、ネットワーク900を介して、血圧計1にオシロメトリック法による血圧測定(図6の動作フロー)およびPTTに基づく血圧測定(推定)(図8、図19、図27、図35の動作フロー)を実行させるようにしてもよい。
以上の各実施形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。上述した複数の実施の形態は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、実施の形態同士の組みあわせも可能である。また、異なる実施の形態の中の種々の特徴も、それぞれ単独で成立し得るものであるが、異なる実施の形態の中の特徴同士の組みあわせも可能である。
1 血圧計
10 本体
20 ベルト
21a,21b,21c,21d,21e,21f,21g,21h 押圧カフ
21E 押圧カフ群
23 帯状体
40 インピーダンス測定部
40E 電極群
49 通電および電圧検出回路
60 固形物
70 スペーサ
100 CPU

Claims (12)

  1. 被測定部位を取り巻いて装着されるべきベルトと、
    上記ベルトに、このベルトの幅方向に関して互いに離間した状態で搭載され、上記被測定部位を通る動脈のうちそれぞれ対向する部分の脈波を検出する第1、第2の脈波センサと、
    上記ベルトに搭載され、上記被測定部位に対する上記第1、第2の脈波センサの押圧力をそれぞれ可変して押圧し得る押圧部と、
    上記第1、第2の脈波センサがそれぞれ時系列で出力する第1、第2の脈波信号を取得して、それらの第1、第2の脈波信号の波形を比較する波形比較部と、
    上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記押圧部による押圧力をそれぞれ可変して設定する脈波センサ押圧力設定部と、
    を備えたことを特徴とする脈波測定装置。
  2. 請求項1に記載の脈波測定装置において、
    上記押圧部は、上記第1、第2の脈波センサにそれぞれ対応して分割された第1、第2の押圧部材を備え、
    上記脈波センサ押圧力設定部は、上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記第1、第2の押圧部材による押圧力をそれぞれ可変して設定する、
    ことを特徴とする脈波測定装置。
  3. 請求項2に記載の脈波測定装置において、
    上記第1、第2の脈波センサはそれぞれ上記対向する部分の電圧を検出する検出電極対からなり、
    上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサを挟むように互いに離間した状態で上記ベルトに搭載され、被測定部位に電流を供給するための電流電極対と、
    上記電流電極対にそれぞれ対応して分割された第3、第4の押圧部材と、
    上記第1、第2の脈波センサがそれぞれ時系列で電圧信号として出力する第1、第2の脈波信号を取得して、それらの第1、第2の脈波信号のS/N特性が所定値以上となるように、上記第3、第4の押圧部材による押圧力を可変して設定する電流電極押圧力設定部と、
    を備えたことを特徴とする脈波測定装置。
  4. 請求項1に記載の脈波測定装置において、
    上記押圧部は、上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサにまたがって配置された固形物と、この固形物における上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサよりも外側の部分をそれぞれ押圧する第5、第6の押圧部材とを備え、
    上記脈波センサ押圧力設定部は、上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記第5、第6の押圧部材による押圧力をそれぞれ可変して設定する、
    ことを特徴とする脈波測定装置。
  5. 請求項1に記載の脈波測定装置において、
    上記押圧部は、上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサにまたがって配置された固形物と、この固形物に対向して配置され、上記固形物へ向かって押圧力を発生可能な第7の押圧部材と、上記固形物における上記ベルトの幅方向に関して上記第1、第2の脈波センサよりも外側の部分の一方の側と上記第7の押圧部材との間に介挿された第8の押圧部材と、上記固形物における上記外側の部分の他方の側と上記第7の押圧部材との間に介挿されたスペーサとを備え、
    上記脈波センサ押圧力設定部は、上記波形比較部により比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記第7、第8の押圧部材による押圧力をそれぞれ可変して設定する、
    ことを特徴とする脈波測定装置。
  6. 請求項1から5までのいずれか一つに記載の脈波測定装置において、
    上記脈波センサ押圧力設定部は、上記第1、第2の脈波信号の波形が同一であるか否かを、上記第1、第2の脈波信号の振幅に基づいて判断する、
    ことを特徴とする脈波測定装置。
  7. 請求項1から5までのいずれか一つに記載の脈波測定装置において、
    上記脈波センサ押圧力設定部は、上記第1、第2の脈波信号の波形が同一であるか否かを、上記第1、第2の脈波信号のアップストローク時間に基づいて判断する、
    ことを特徴とする脈波測定装置。
  8. 請求項1から5までのいずれか一つに記載の脈波測定装置において、
    上記脈波センサ押圧力設定部は、上記第1、第2の脈波信号の波形が同一であるか否かを、上記第1、第2の脈波信号の波形間の相互相関係数に基づいて判断する、
    ことを特徴とする脈波測定装置。
  9. 請求項1から8までのいずれか一つに記載の脈波測定装置と、
    上記脈波センサ押圧力設定部により上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように設定された押圧力下で、記第1、第2の脈波信号の間の時間差を脈波伝播時間として取得する測定処理部と、
    脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式を用いて、上記測定処理部によって取得された脈波伝播時間に基づいて血圧を算出する第1の血圧算出部と、
    を備えたことを特徴とする血圧測定装置。
  10. 請求項2から5までのいずれか一つに記載の脈波測定装置と、
    上記脈波センサ押圧力設定部により上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように設定された押圧力下で、記第1、第2の脈波信号の間の時間差を脈波伝播時間として取得する測定処理部と、
    脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式を用いて、上記測定処理部によって取得された脈波伝播時間に基づいて血圧を算出する第1の血圧算出部とを備え、
    上記各押圧部材は上記ベルトに沿って設けられた流体袋であり、
    上記ベルトに対して一体に設けられた本体を備え、
    この本体に、
    上記測定処理部、および、上記第1の血圧算出部が搭載されるとともに、
    オシロメトリック法による血圧測定のために、上記流体袋に空気を供給して圧力を制御する圧力制御部と、上記流体袋内の圧力に基づいて血圧を算出する第2の血圧算出部とが搭載されていることを特徴とする血圧測定装置。
  11. 請求項3に記載の脈波測定装置を備え、
    上記脈波センサ押圧力設定部は、上記第1の押圧部材、上記第2の押圧部材、上記第3の押圧部材、および上記第4の押圧部材を非加圧状態に設定可能であり、
    上記第1の押圧部材、上記第2の押圧部材、上記第3の押圧部材、および上記第4の押圧部材と、前記ベルトとの間に介挿され、上記被測定部位を取り巻いて装着可能であり、上記被測定部位を圧迫する加圧状態、または上記被測定部位の圧迫を開放する非加圧状態となる圧迫部材と、
    上記圧迫部材を非加圧状態にして、上記脈波センサ押圧力設定部により上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように設定された押圧力下で、記第1、第2の脈波信号の間の時間差を脈波伝播時間として取得する測定処理部と、
    脈波伝播時間と血圧との間の予め定められた対応式を用いて、上記測定処理部によって取得された脈波伝播時間に基づいて血圧を算出する第1の血圧算出部と、
    上記第1の押圧部材、上記第2の押圧部材、上記第3の押圧部材、および上記第4の押圧部材を非加圧状態にして、オシロメトリック法による血圧測定のために、上記圧迫部材を加圧状態にして、上記圧迫部材の圧力に基づいて血圧を算出する第2の血圧算出部とが搭載されていることを特徴とする血圧測定装置。
  12. 被測定部位を取り巻いて装着されるべきベルトと、
    上記ベルトに、このベルトの幅方向に関して互いに離間した状態で搭載され、上記被測定部位を通る動脈のうちそれぞれ対向する部分の脈波を検出する第1、第2の脈波センサと、
    上記ベルトに搭載され、上記被測定部位に対する上記第1、第2の脈波センサの押圧力をそれぞれ可変して押圧し得る押圧部と、
    を備えて、脈波を測定する脈波測定方法であって、
    上記第1、第2の脈波センサがそれぞれ時系列で出力する第1、第2の脈波信号を取得して、それらの第1、第2の脈波信号の波形を比較し、
    比較した上記第1、第2の脈波信号の波形が同一になるように、上記押圧部による押圧力をそれぞれ可変して設定する、
    ことを特徴とする脈波測定方法。
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