JP2018102717A - 精製水供給システムおよびその運転方法 - Google Patents
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精製水を透析装置に供給する精製水供給システムとしては、精製水を製造する精製水製造装置と、精製水製造装置で製造された精製水を病院内等で循環させる精製水外部循環ラインと、精製水外部循環ラインの途中から分岐し、精製水を病室ごとまたはベットごとに配置された個人用透析装置に分配する精製水分配ラインとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。
・精製水供給システムの消毒後、精製水供給システムに薬液が残留する。
・薬液の残留を極力抑えるためにすすぎを十分に行う必要があり、精製水の供給を再開するまでに時間がかかる。特に緊急用での使用の場合、再開まで一刻を争うことも想定される。
・薬液の調製およびすすぎに用いた精製水はすべて廃棄する必要があり、再利用できない。
<1>精製水を製造する精製水製造装置と;前記精製水製造装置で製造された前記精製水を前記精製水製造装置の外部に循環させる精製水循環ラインと;前記精製水循環ラインの途中から分岐した精製水分配ラインとを備え;前記精製水製造装置には、前記精製水を加熱する加熱手段が設けられている、精製水供給システム。
<2>前記加熱手段の駆動および前記精製水分配ラインの開閉を制御する制御手段をさらに備える、前記<1>の精製水供給システム。
<3>前記<1>または<2>の精製水供給システムを運転する方法であり;精製水供給システムを運転する間は、前記精製水製造装置で製造された前記精製水を前記精製水循環ラインに常に循環させ;前記精製水循環ラインおよび前記精製水分配ラインを熱水消毒する際には、前記加熱手段によって前記精製水を加熱する、精製水供給システムの運転方法。
本発明の精製水供給システムの運転方法によれば、精製水製造装置で製造された精製水を分配供給でき、精製水供給システムの消毒を行った際には、薬液の残留がなく、短時間で精製水の供給を再開でき、消毒に用いた精製水を再利用できる。
図1は、本発明の精製水供給システムの一例を示す概略構成図である。
精製水供給システム1は、精製水を製造する精製水製造装置10と;精製水製造装置10で製造された精製水を精製水製造装置10の外部に循環させる精製水外部循環ライン100(精製水循環ライン)と;精製水外部循環ライン100の途中から分岐し、精製水を精製水供給対象に分配供給するための複数の精製水分配ライン102と;精製水外部循環ライン100とは別に設けられ、精製水供給システム1にて発生した排水を外部に排出するための主排水ライン104(排水ライン)と;精製水分配ライン102からの精製水および精製水供給対象からの排水を主排水ライン104に導入できるように、精製水分配ライン102および精製水供給対象ごとに主排水ライン104から分岐して設けられた、第1の排水導入ライン106(排水ライン)および第2の排水導入ライン108(排水ライン)と;第1の端部が精製水分配ライン102の末端に着脱可能に接続し、第2の端部が第1の排水導入ライン106の末端に着脱可能に接続し、精製水分配ライン102を通過した精製水を精製水供給対象を通さずに、第1の排水導入ライン106を介して主排水ライン104に直接送水するバイパスライン110とを備える。
図2は、精製水製造装置の一例を示す概略構成図である。
精製水製造装置10は、水道等から供給される原水を貯留する原水タンク12と;原水タンク12から送られる原水中の残留塩素を除去する活性炭が収納された活性炭濾過器14と;原水中のゴミおよび活性炭の微粉を除去するチェックフィルタ16と;原水を軟水化するナノろ過膜エレメントが収納されたナノろ過膜モジュール18と;軟水化された原水を逆浸透膜でろ過して精製水を得る逆浸透膜モジュール20と;精製水を貯留する精製水タンク22と;精製水タンク22内の精製水を殺菌する紫外線ランプ24と;精製水タンク22内の精製水を加熱するヒータ26(加熱手段)と;精製水タンク22内の精製水の温度を測定する温度センサ(図示略)とを備える。
精製水製造装置10は、さらに、第1の端部および第2の端部が精製水タンク22に接続した、上述の精製水外部循環ライン100の一部を備える。
紫外線ランプ24、ヒータ26、温度センサ、各電磁弁、各ポンプ等には、これらの制御を行う制御装置80が電気的に接続されている。
精製水外部循環ライン100は、精製水製造装置10で製造された精製水を、医療施設(病院等)、工場(医薬品工場、食品工場、半導体装置工場等)等の施設において精製水を必要とする設備、装置等の近くまで精製水を送水するためのラインである。
精製水外部循環ライン100は、施設の天井、床、壁、カウンター等の構造物の内側または外側に配設される。
また、精製水外部循環ライン100には、精製水外部循環ライン100を熱水消毒中かどうかを制御装置80の処理部において判定するための精製水外部循環ライン100を流れる精製水の温度情報(電気信号)を取得するための温度センサを設けてもよい。
精製水分配ライン102は、精製水外部循環ライン100の途中から分岐し、精製水を精製水供給対象に分配供給するためのラインである。なお、精製水を精製水供給対象に分配供給する必要がないときには、精製水分配ライン102の末端には、後述するバイパスライン110の第1の端部が着脱可能に接続される。
精製水分配ライン102の末端には、精製水供給対象が有する導水管、後述するバイパスライン110等を着脱可能に接続するためのコネクタが設けられている。
精製水分配ライン102の電磁弁112よりも上流側には、精製水供給対象への精製水の分配供給の有無を制御装置80の処理部において判定するための精製水分配ライン102を流れる精製水の流量情報(電気信号)を取得するための流量センサ122が設けられる。
主排水ライン104、第1の排水導入ライン106および第2の排水導入ライン108は、精製水供給システム1にて発生した排水を外部に排出するための排水ラインである。
第1の排水導入ライン106の末端には、後述するバイパスライン110の第2の端部が着脱可能に接続される。第2の排水導入ライン108の末端には、精製水供給対象が有する排水管の末端が着脱可能に接続される。なお、精製水を精製水供給対象に分配供給する必要がないときには、第2の排水導入ライン108の末端には、精製水供給対象が有する排水管の末端を接続しなくてもよい。
第1の排水導入ライン106の末端および第2の排水導入ライン108の末端には、精製水供給対象が有する排水管、後述するバイパスライン110等を着脱可能に接続するためのコネクタが設けられている。
バイパスライン110は、精製水を精製水供給対象に分配供給する必要がないときに、精製水分配ライン102を通過した精製水を精製水供給対象を通さずに、第1の排水導入ライン106を介して主排水ライン104に直接送水するためのラインである。
バイパスライン110の第1の端部には、精製水分配ライン102の末端が着脱可能に接続される。バイパスライン110の第2の端部には、第1の排水導入ライン106の末端が着脱可能に接続される。なお、精製水を精製水供給対象に分配供給する際には、バイパスライン110の第1の端部は、精製水分配ライン102の末端から取り外される。
バイパスライン110の第1の端部および第2の端部には、精製水分配ライン102の末端および第1の排水導入ライン106の末端を着脱可能に接続するためのコネクタが設けられている。
バイパスライン110には、必要に応じて、バイパスライン110の開閉を行う電磁弁等を設けてもよい。
制御装置80は、処理部(図示略)と、インターフェイス部(図示略)と、カレンダータイマ(図示略)とを有して概略構成される。
処理部は、精製水製造装置10において精製水を製造する際には、精製水製造装置10における電磁弁52、電磁弁56および電磁弁58を開き、原水ポンプ70、加圧ポンプ72および加圧ポンプ74を駆動させることによって、活性炭濾過器14、チェックフィルタ16、ナノろ過膜モジュール18および逆浸透膜モジュール20への原水の供給を開始するものである。
また、制御装置80には、周辺機器として、入力装置、表示装置等が接続されるものとする。ここで、入力装置とは、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボード等の入力デバイスのことをいい、表示装置とは、液晶表示装置、CRT等のことをいう。
1.以上説明した精製水供給システム1にあっては、精製水を製造する精製水製造装置10と、精製水製造装置10で製造された精製水を精製水製造装置10の外部に循環させる精製水外部循環ライン100と、精製水外部循環ライン100の途中から分岐した精製水分配ライン102とを備えているため、精製水製造装置で製造された精製水を精製水供給対象に分配供給できる。また、精製水製造装置10には、精製水を加熱する加熱手段(ヒータ26)が設けられているため、精製水を加熱して得られた熱水を精製水外部循環ライン100等に循環させることによって精製水供給システム1の熱水消毒を行うことができる。そして、精製水供給システム1の消毒を薬液ではなく、熱水で行うことができるため、精製水供給システム1の消毒を行った際には、薬液の残留がなく、すすぎが不要となって短時間で精製水の供給を再開でき、消毒に用いた精製水を再利用できる。また、精製水供給時以外は、常時、熱水消毒が可能であり、精製水供給システム1の消毒を容易に行うことができる。
なお、本発明の精製水供給システムは、精製水を製造する精製水製造装置と;精製水製造装置で製造された精製水を精製水製造装置の外部に循環させる精製水循環ラインと;精製水循環ラインの途中から分岐した精製水分配ラインとを備え;精製水製造装置には、精製水を加熱する加熱手段が設けられているものであればよく、図示例の精製水供給システム1に限定はされない。
また、本発明の精製水供給システムにおいては、加熱手段の駆動および精製水分配ラインの開閉を制御する制御手段は必ずしも設ける必要はない。
また、本発明の精製水供給システムにおいては、主排水ラインに排水を導入するための排水導入ラインは、精製水分配ラインおよび精製水供給対象ごとに1つのみであってもよい。
また、本発明の精製水供給システムにおいては、限外ろ過膜フィルタ90は必ずしも設ける必要はない。
また、本発明の精製水供給システムにおいては、1つの精製水製造装置に対して2系統以上の精製水循環ラインを設けてもよく、2つ以上の精製水製造装置と2系統以上の精製水循環ラインとを設けてもよい。
また、本発明の精製水供給システムにおいては、必要に応じて、精製水タンクに薬液を供給する薬液タンクを設けてもよい。
また、精製水製造装置としては、特許第4990710号公報に記載の精製水製造装置、特許第5425527号公報に記載の精製水製造装置、特許第5582847号公報に記載の精製水製造装置等の公知の精製水製造装置を用いてもよい。
また、精製水製造装置における逆浸透膜モジュールは、図示例では1本のみであるが、必要な水量に応じて2本以上を並列にして用いてもよい。
また、精製水製造装置における精製水タンクは、図示例では1つのみであるが、必要な水量に応じて2つ以上を用いてもよい。
また、本発明の精製水供給システムには、熱水消毒中を知らせる報知手段を設けてもよい。報知手段としては、制御装置80の表示装置の画面への表示、遠隔操作用のパネルの画面への表示、ランプ等が挙げられる。
本発明の精製水供給システムを運転する間は、精製水循環ラインにおける精製水の滞留を抑えるために、精製水製造装置で製造された精製水を精製水循環ラインに常に循環させる。精製水を精製水循環ラインに循環させつつ、精製水分配ライン102内の滞留水の排出、精製水供給システム1の熱水消毒、精製水供給対象への精製水の分配供給を行う。
以下、精製水供給システム1の運転方法について具体的に説明する。
精製水製造装置10において精製水を製造する際には、制御装置80の処理部によって、精製水製造装置10における電磁弁52、電磁弁56および電磁弁58を開き、原水ポンプ70、加圧ポンプ72および加圧ポンプ74を駆動させる。これによって、活性炭濾過器14、チェックフィルタ16、ナノろ過膜モジュール18および逆浸透膜モジュール20への原水の供給が開始される。
精製水製造装置10内で精製水を循環しつつ殺菌する際には、制御装置80の処理部によって、精製水製造装置10における内部循環ポンプ76を駆動させることによって、精製水内部循環ライン40、軟水移送ライン36および精製水移送ライン38への精製水の循環を開始する。また、精製水製造装置10における紫外線ランプ24を駆動させる。
精製水供給対象への精製水の分配供給を行わないときであっても、精製水外部循環ライン100における精製水の滞留を抑えるために、精製水製造装置10で製造された精製水を精製水外部循環ライン100に常に循環させる。
精製水分配ライン102内の滞留水を排出する際には、精製水外部循環ライン100への精製水の循環を行いつつ、制御装置80の処理部によって、第1の排水導入ライン106における電磁弁116を開くことによって、精製水分配ライン102内の滞留水の排出を開始する。これによって、精製水分配ライン102内の滞留水が、バイパスライン110を介して主排水ライン104に排出される。所定時間経過後、制御装置80の処理部によって、第1の排水導入ライン106における電磁弁116を閉じることによって、精製水分配ライン102内の滞留水の排出を停止する。
精製水分配ライン102内の滞留水を排出する頻度は、30〜180分間に1回が好ましい。精製水分配ライン102内の滞留水を排出する時間は、1回あたり2〜10分間が好ましい。
精製水外部循環ライン100を熱水消毒する際には、まず、制御装置80の処理部において、精製水外部循環ライン100または精製水分配ライン102に設けられた流量センサ等から送られてくる精製水外部循環ライン100を流れる精製水の流量情報(電気信号)に基づき、精製水供給対象への精製水の分配供給の有無を判定する。精製水供給対象に精製水が分配供給されていることは、分配供給されていない状態の流量と比較することによって判定できる。精製水供給対象に精製水が分配供給されている場合は、精製水外部循環ライン100に熱水を流すことはできないため、精製水供給対象への精製水の分配供給が終了するまで、制御装置80の処理部によって、精製水外部循環ライン100の熱水消毒の実施を保留する。
精製水外部循環ライン100を熱水消毒する頻度は、2〜7日間に1回が好ましい。精製水外部循環ライン100に熱水を循環させる時間は、1回あたり30〜180分間が好ましい。
精製水外部循環ライン100に循環させる精製水タンク22内の熱水の温度は、80〜97℃が好ましい。
図3は、図1の精製水供給システムに精製水供給対象として個人用透析装置を接続した様子を示す概略構成図である。
精製水を精製水供給対象に分配供給する際には、バイパスライン110の第1の端部は、精製水分配ライン102の末端から取り外される。そして、精製水分配ライン102の末端に、個人用透析装置200が有する導水管202の末端を接続し、第2の排水導入ライン108の末端に、個人用透析装置200が有する排水管204の末端を接続する。
以上説明した精製水供給システム1の運転方法にあっては、精製水供給システム1を運転する間は、精製水製造装置10で製造された精製水を精製水外部循環ライン100に常に循環させているため、精製水製造装置で製造された精製水を精製水供給対象に分配供給できる。また、精製水外部循環ライン100および精製水分配ライン102を熱水消毒する際には、加熱手段(ヒータ26)によって精製水を加熱するため、精製水を加熱して得られた熱水が精製水外部循環ライン100等に循環させられ、精製水供給システム1の熱水消毒を行うことができる。そして、精製水供給システム1の消毒を薬液ではなく、熱水で行うことができるため、精製水供給システム1の消毒を行った際には、薬液の残留がなく、すすぎが不要となって短時間で精製水の供給を再開でき、消毒に用いた精製水を再利用できる。
Claims (3)
- 精製水を製造する精製水製造装置と、
前記精製水製造装置で製造された前記精製水を前記精製水製造装置の外部に循環させる精製水循環ラインと、
前記精製水循環ラインの途中から分岐した精製水分配ラインと
を備え、
前記精製水製造装置には、前記精製水を加熱する加熱手段が設けられている、精製水供給システム。 - 前記加熱手段の駆動および前記精製水分配ラインの開閉を制御する制御手段をさらに備える、請求項1に記載の精製水供給システム。
- 請求項1または2に記載の精製水供給システムを運転する方法であり、
精製水供給システムを運転する間は、前記精製水製造装置で製造された前記精製水を前記精製水循環ラインに常に循環させ、
前記精製水循環ラインおよび前記精製水分配ラインを熱水消毒する際には、前記加熱手段によって前記精製水を加熱する、精製水供給システムの運転方法。
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