JP2018100238A - 歩行機能改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】歩行機能を改善することができる素材の提供。【解決手段】カテキン類を有効成分とする軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善剤、変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制剤、又は変形性膝関節症に伴う歩行機能障害の予防剤。【選択図】なし
Description
本発明は、歩行機能を改善することができる素材に関する。
超高齢社会を迎えるにあたり、健康寿命の延伸は喫緊の課題であるが、これを妨げる要因の1つとしてロコモティブシンドロームが挙げられる。ロコモティブシンドロームは、運動器の衰えや障害により、要介護になるリスクの高まる状態をいい、変形性関節症、骨粗鬆症や関節リウマチなどが代表的な関連疾患である。なかでも変形性膝関節症は、推定患者数は2000万人を超え、健康寿命の延伸のために取り組むべき重要疾患の1つである。変形性膝関節症は、膝関節軟骨の変性と摩耗により膝関節の形態と機能が障害され、歩行時痛などを引き起こす疾患である。初期は比較的無自覚であるものの、徐々に進行し、歩行障害や痛みを生じるようになる。変形性膝関節症の治療法としては、疼痛緩和療法や外科手術も用いられているが、継続的に行う運動療法も推奨されている。
緑茶等に含まれているカテキン類については、筋機能低下抑制(特許文献1)、筋力向上(特許文献2)、筋損傷抑制(特許文献3)、持久力向上(特許文献4)などの作用があることが報告されている。しかし変形性関節症患者への効果についての報告はない。
変形性関節症患者の症状を緩和し、歩行等の日常動作の遂行を容易にするための手段が求められている。
本発明者は、軽度変形性膝関節症患者に対してカテキン類を摂取させることにより、患者の歩行機能改善レベルが向上することを見出した。その一方で、本発明者は、当該カテキン類摂取による歩行機能改善効果が筋量の筋力や増加によるものではないことを見出した。
すなわち、本発明は、カテキン類を有効成分とする、軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善剤を提供する。
また本発明は、カテキン類を有効成分とする、変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制剤を提供する。
また本発明は、カテキン類を有効成分とする、変形性膝関節症に伴う歩行機能障害の予防剤を提供する。
また本発明は、カテキン類を有効成分とする、変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制剤を提供する。
また本発明は、カテキン類を有効成分とする、変形性膝関節症に伴う歩行機能障害の予防剤を提供する。
本発明のカテキン類を有効成分とする歩行機能改善剤は、軽度変形性膝関節症患者やそのリスクのある者の歩行機能を改善し、又は歩行機能の低下を抑制することができる。他方、本発明におけるカテキン類による歩行機能に対する効果は、筋力や筋量の増加によるものではなく、その点において、従来公知のカテキン類の効果(筋機能低下抑制等)とは区別される。
本明細書において、「軽度変形性膝関節症」とは、変形性膝関節症のKellgren−Laurence(KL)分類におけるグレード2以下に該当する状態、好ましくはグレード1又は2に該当する状態をいう。KL分類は、X線撮影像をもとにした、主に関節軟骨の減少程度と骨棘の形成程度に基づく重症度分類で、グレード0(none)1(doubtful)、2(minimal)、3(moderate)、4(severe)の5段階がある。
本明細書における「歩行機能」とは、日常的な歩行に関わる動作をいい、歩行のための起立、歩行中のロコモーション、歩行後の着座などの動作を含み得る。歩行機能は、歩行速度(一定距離の歩行に要する時間)などに基づいて、例えばTimed Up and Go(TUG)テスト(J Am Geriatr Soc,1991,39(2):142−8)などにより、評価することができる。
本明細書において、「非治療的」とは、医療行為を含まない、すなわち人間を手術、治治療又は診断する方法を含まない、より具体的には医師、又は医療従事者もしくは医師の指示を受けた者が、人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
本明細書において、「予防」とは、個体における疾患もしくは状態の発症の防止、抑制又は遅延、あるいは個体の疾患もしくは状態の発症の危険性を低下させることをいう。
また本明細書において、「改善」とは、疾患もしくは状態の好転、疾患もしくは状態の悪化の防止、抑制又は遅延、あるいは疾患もしくは状態の進行の逆転、防止、抑制又は遅延をいう。
また本明細書において、「改善」とは、疾患もしくは状態の好転、疾患もしくは状態の悪化の防止、抑制又は遅延、あるいは疾患もしくは状態の進行の逆転、防止、抑制又は遅延をいう。
本明細書における「カテキン類」は、カテキン、カテキンガレート、ガロカテキン及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、ならびに、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類の総称をいう。また「カテキン類」は、重合体であってもよい。好ましくは、本発明で用いられるカテキン類は、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)、およびエピガロカテキンガレート(EGCg)からなる群より選択される少なくとも1種である。
カテキン類は、Camellia属、例えばC. sinensis var. sinensis、C. sinensis var. assamica、やぶきた種、またはそれらの雑種から得られる葉から製造された茶葉から、水または熱水、場合によってはこれに抽出助剤を添加したもので抽出することができる。当該茶葉には、(1)煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜入り茶等の緑茶;(2)総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶などの半発酵茶;(3)紅茶と呼ばれるダージリン、ウバ、キーマン等の発酵茶の茶葉が含まれる。当該茶葉からのカテキン類の抽出は、撹拌抽出などの通常の方法により行うことができる。抽出用の水または熱水には、予めアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸または有機酸塩類を添加してもよい。必要に応じて、抽出には、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。
あるいは、カテキン類を茶葉から直接抽出するかわりに、茶抽出物の濃縮物または精製物が使用されてもよい。茶抽出物の濃縮物とは、例えば茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶剤により抽出された抽出物を濃縮したものであり、茶抽出物の精製物とは、例えば当該抽出物を溶剤やカラム等を用いて精製したものである。当該茶抽出物の濃縮物または精製物の例としては、特開昭59−219384号、特開平4−20589号、特開平5−260907号、特開平5−306279号等に詳細に例示されている方法で調製したものが挙げられる。茶抽出物、およびその濃縮物または精製物は市販品を使用してもよく、その例としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、(株)伊藤園「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。茶抽出物の濃縮物または精製物の形態としては、固体、液体、スラリー、ならびにそれらを水、炭酸水または通常の手順で抽出された茶類抽出液等に溶解または希釈したものが挙げられるが、特に限定されない。
さらに、本発明におけるカテキン類は、茶葉以外の他の原料起源、例えばブドウおよびその加工品(ワイン、ジュース類等)またはカカオ豆およびその加工品に由来するもの、あるいは化学合成品であってもよい。
本発明のカテキン類は、好ましくは茶抽出物の濃縮物または精製物の形態で使用され、より好ましくは緑茶抽出物の濃縮物または精製物の形態で使用される。
後述の実施例に示されるように、軽度変形性膝関節症患者に対してカテキン類を摂取させることにより、対照群と比べてより高い歩行機能改善効果が得られた(図1)。一方で、カテキン類摂取群の筋力及び筋量は、対照群と比べて有意な差がなかったことから、カテキン類摂取による歩行機能改善の程度の向上が、筋力や筋量の増加によるものではないこと、したがって、従来公知のカテキン類の効果(筋機能低下抑制等)とは異なる性質の効果であることが示された。
したがって、本発明において、カテキン類は、軽度変形性膝関節症患者又はそのリスクのある者における歩行機能改善、歩行機能低下抑制、又は歩行機能障害の予防に使用される。
好ましくは、本発明におけるカテキン類の使用は運動と併用される。本明細書における「運動」としては、好ましくは下肢の運動を伴う運動であって、より好ましくは変形性膝関節症の予防又は治療のための運動療法で推奨される運動、例えば、ウォーキング、歩行を伴う球技、軽度なサイクリング、大腿四頭筋トレーニング(例えば、大腿四頭筋セッティングもしくは枕つぶし運動、下肢伸展挙上、片脚立ち、スクワット等)等の下肢筋力トレーニング、膝周りもしくは膝下のストレッチ(例えば、膝の曲げ伸ばし、片脚上げ下げ、足首の曲げ伸ばし等)などが挙げられる。本明細書における「日常的に運動を実践している者」としては、変形性膝関節症の予防又は治療のための運動療法を受けている者、ウォーキングや、下肢筋力トレーニングなどの運動トレーニングを日常的に行っている者が挙げられる。また「日常的に運動を実践する」とは、週に2回以上、好ましくは週に3回以上、より好ましくは週に4回以上、さらに好ましくは毎日、上述した運動を行うことをいう。行われる「運動」の種類は、対象者の状態によって適宜選択され得る。好ましくは、本発明においてカテキン類が使用される対象者としては、運動療法を受けている軽度変形性膝関節症患者、又は変形性膝関節症のリスクのある者であって日常的な運動を実践している者が挙げられる。
本発明によるカテキン類の使用は、治療的使用および非治療的使用を含み得る。非治療的使用としては、例えば、軽度変形性膝関節症患者又はそのリスクのある者、好ましくは運動療法を受けている軽度変形性膝関節症患者、又は変形性膝関節症のリスクのある者であって日常的な運動を実践している者に、医療行為としてではなくカテキン類を摂取させるために、歩行機能改善、歩行機能低下抑制、歩行機能障害の予防などの効果を謳ってカテキン類を提供することが挙げられる。
したがって、一態様において、本発明は、カテキン類を有効成分とする、軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善剤を提供する。また本発明は、カテキン類を有効成分する、変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制剤を提供する。また本発明は、カテキン類を有効成分とする、変形性膝関節症に伴う歩行機能障害の予防剤を提供する。好ましくは、これらの剤は、運動と併用される。また本発明は、カテキン類を有効成分とする、軽度変形性膝関節症患者の運動療法の補助剤を提供する。以下、当該本発明の歩行機能改善剤、歩行機能低下の抑制剤、歩行機能障害の予防剤、及び軽度変形性膝関節症患者の運動療法の補助剤を、まとめて、本発明の剤と称する。好ましくは、本発明の剤は、筋力もしくは筋量の向上作用、又はそれによる筋機能低下抑制作用に基づいて効果を発揮するものではない。
一実施形態において、上述した本発明の剤は、カテキン類から本質的に構成され得る。別の一実施形態において、当該本発明の剤は、少なくともカテキン類を含有する組成物であり得る。当該組成物の例としては、後述する医薬品、医薬部外品、食品などが挙げられる。
別の一態様において、本発明は、軽度変形性膝関節症患者にカテキン類を摂取させることを含む、軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善のための非治療的方法を提供する。また本発明は、変形性膝関節症のリスクを有する者にカテキン類を摂取させることを含む、変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制もしくは歩行機能障害の予防のための非治療的方法を提供する。好ましくは、当該カテキン類の摂取は運動と併用される。
本発明において、カテキン類は、ヒトおよび非ヒト動物のいずれに対しても使用することができる。非ヒト動物としては、非ヒト哺乳動物、例えば類人猿、その他霊長類、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ハムスター、およびコンパニオン動物等が挙げられる。好ましくは、本発明におけるカテキン類を使用する対象は、ヒト、より好ましくは軽度変形性膝関節症患者又はそのリスクのある中高年者である。
本発明において、カテキン類は、医薬品、医薬部外品、食品(非ヒト動物用食品を含む)等に対して、軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善、又は変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制もしくは歩行機能障害の予防のための有効成分として、使用することができる。
本発明により提供される当該医薬品(医薬部外品も含む)は、軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善、又は変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制もしくは歩行機能障害の予防のための医薬品であり、カテキン類を当該機能のための有効成分として含有する。さらに、該医薬品は、該有効成分の機能が失われない限りにおいて、必要に応じて薬学的に許容される担体、または他の有効成分、薬理成分等を含有していてもよい。
当該医薬品(医薬部外品も含む)の投与形態は、経口投与が好ましい。該医薬品の剤形は、経口投与可能な剤形であれば特に限定されず、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤等の何れでもよい。このような種々の剤形の製剤は、カテキン類を、薬学的に許容される担体(例えば賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、希釈剤等)、他の薬効成分等と適宜組み合わせて、定法に従って調製することができる。
当該医薬品(医薬部外品も含む)におけるカテキン類の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、かつ好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。さらに、当該含有量の例として、0.01〜55質量%、0.01〜50質量%、0.01〜40質量%、0.01〜30質量%、0.01〜20質量%、0.01〜10質量%、0.01〜5質量%、0.01〜2.5質量%、0.01〜1質量%、0.05〜55質量%、0.05〜50質量%、0.05〜40質量%、0.05〜30質量%、0.05〜20質量%、0.05〜10質量%、0.05〜5質量%、0.05〜2.5質量%、0.05〜1質量%、0.1〜55質量%、0.1〜50質量%、0.1〜40質量%、0.1〜30質量%、0.1〜20質量%、0.1〜10質量%、0.1〜5質量%、0.1〜2.5質量%、及び0.1〜1質量%が挙げられる。
本発明により提供される当該食品は、軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善、又は変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制もしくは歩行機能障害の予防などの機能を提供するための食品であり、カテキン類を当該機能のための有効成分として含有する。これらの食品は、例えば「歩行能力の改善に役立つ」、「滑らかな歩行を助ける」、「関節が気になる方の歩行に役立つ」、「関節が気になる方の歩行を助ける」、「膝痛が気になる方の歩行に役立つ」、「膝痛が気になる方の歩行を助ける」などの機能表示と共に提供されてもよい。該食品には、上述した機能のいずれかを提供するための、必要に応じてその旨を表示した病者用食品、及び栄養機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品等の保健機能食品が包含される。
当該食品の形態は、固形、半固形又は液状(例えば飲料)であり得る。食品の例としては、パン類、麺類、飯類、クッキー等の菓子類、ゼリー類、乳製品、スープ類、冷凍食品、インスタント食品、加工食品、調味料、栄養補助食品、及び茶飲料、コーヒー飲料、果実飲料、炭酸飲料、ゼリー状飲料、その他ソフトドリンク等の飲料、ならびにそれらの原料が挙げられる。あるいは、該食品は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、液剤、シロップなどの経口投与製剤の形態を有するサプリメントであってもよい。
当該食品は、カテキン類を、任意の食品材料又は食品に許容される添加物(例えば溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、甘味料、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、固着剤、分散剤、湿潤剤等)と適宜組み合わせて、定法に従って調製することができる。
当該食品中におけるカテキン類の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、かつ好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。さらに、当該含有量の例として、0.01〜55質量%、0.01〜50質量%、0.01〜40質量%、0.01〜30質量%、0.01〜20質量%、0.01〜10質量%、0.01〜5質量%、0.01〜2.5質量%、0.01〜1質量%、0.05〜55質量%、0.05〜50質量%、0.05〜40質量%、0.05〜30質量%、0.05〜20質量%、0.05〜10質量%、0.05〜5質量%、0.05〜2.5質量%、0.05〜1質量%、0.1〜55質量%、0.1〜50質量%、0.1〜40質量%、0.1〜30質量%、0.1〜20質量%、0.1〜10質量%、0.1〜5質量%、0.1〜2.5質量%、及び0.1〜1質量%が挙げられる。
本発明において、カテキン類の投与量および投与計画は、対象の種、体重、性別、年齢、状態、またはその他の要因に従って当業者により適宜決定されればよい。例えば、本発明によるカテキン類の成人1人1日当たりの服用量は、好ましくは100〜3000mg/60kg体重、より好ましくは250〜2000mg/60kg体重、さらに好ましくは250〜1000mg/60kg体重である。服用の頻度は、好ましくは1週間に数回、2日に1回、1日1回、またはそれ以上であり、より好ましくは1日1回以上であり、さらに好ましくは1日1回である。好ましくは本発明において、カテキン類は運動後、好ましくは3時間以内、より好ましくは1時間以内に服用される。服用の期間は、長期的または持続的に服用することが望ましく、好ましくは4週間以上、より好ましくは8週間以上、さらに好ましくは12週間以上である。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
〔試験設計〕
運動トレーニング条件下において、プラセボ飲料摂取群を対照群とし、カテキン含有飲料(被験飲料)摂取群を試験群としたダブルブラインドパラレル比較試験を設計した。変形性膝関節症者を被験者とし、試験期間は12週間とした。試験期間中、被験者には毎日、運動トレーニングと被験飲料の摂取を実施させ、定期的に被験者の身体的な痛みや機能について測定した。詳細な試験内容は以下に示す。
運動トレーニング条件下において、プラセボ飲料摂取群を対照群とし、カテキン含有飲料(被験飲料)摂取群を試験群としたダブルブラインドパラレル比較試験を設計した。変形性膝関節症者を被験者とし、試験期間は12週間とした。試験期間中、被験者には毎日、運動トレーニングと被験飲料の摂取を実施させ、定期的に被験者の身体的な痛みや機能について測定した。詳細な試験内容は以下に示す。
1)被験者
変形性膝関節症(Kellgren−Lawrence分類[K−Lグレード]:1−4)を有する40歳以上の男女27名(男/女=9/18)を被験者とした。対照群と試験群は、K−Lグレード(表1)、男女比、年齢及び体重において群間に隔たりが生じないよう群分けした。被験者背景を表2に示す。
変形性膝関節症(Kellgren−Lawrence分類[K−Lグレード]:1−4)を有する40歳以上の男女27名(男/女=9/18)を被験者とした。対照群と試験群は、K−Lグレード(表1)、男女比、年齢及び体重において群間に隔たりが生じないよう群分けした。被験者背景を表2に示す。
2)実施時期
試験は、第1クール(3−5月)9名(男/女=3/6)、第2クール(6−8月)7名(男/女=3/4)、及び第3クール(9−11月)11名(男/女=3/8)の3回に分けて実施された。
試験は、第1クール(3−5月)9名(男/女=3/6)、第2クール(6−8月)7名(男/女=3/4)、及び第3クール(9−11月)11名(男/女=3/8)の3回に分けて実施された。
3)運動トレーニング及び被験飲料の摂取
被験者は、専門家の指導に基づいて、1日1回、ロコモスキャン(アルケア社製)を用いて自宅もしくは被験者の都合のいい場所にて下肢筋力トレーニングを行った。ロコモスキャンは、大腿四頭筋の筋力増強訓練の一種である枕つぶし運動(膝の下に枕やクッションなどを置き、つま先をやや上方に向けた状態で枕をつぶすようにして膝を伸ばす運動)を応用した筋力測定や筋力トレーニングに用いられる機器である。トレーニングでは、最大筋力の60%の筋力負荷で10秒×10回を2セット実施した。
被験者は、専門家の指導に基づいて、1日1回、ロコモスキャン(アルケア社製)を用いて自宅もしくは被験者の都合のいい場所にて下肢筋力トレーニングを行った。ロコモスキャンは、大腿四頭筋の筋力増強訓練の一種である枕つぶし運動(膝の下に枕やクッションなどを置き、つま先をやや上方に向けた状態で枕をつぶすようにして膝を伸ばす運動)を応用した筋力測定や筋力トレーニングに用いられる機器である。トレーニングでは、最大筋力の60%の筋力負荷で10秒×10回を2セット実施した。
被験飲料には、カテキン含有飲料(ヘルシア緑茶;花王株式会社製、350mL中カテキン類540mg含有)(カテキン群)を、対照飲料には、むぎ茶(市販品、350mL中カテキン類0mg含有)](プラセボ群)を用いた。被験者は、運動後1時間以内にいずれかの飲料350mLを摂取した。
被験者には下肢筋力トレーニングの実施状況、被験飲料の摂取状況及び体調の変化の有無を記入項目とした生活日誌を毎日記載するよう設定した。体調がすぐれない場合は、下肢筋力トレーニングや被験飲料において、無理な実施・摂取は控えるように指導した。
4)測定項目
試験開始時(0週)、ならびに4、8及び12週目に、被験者の歩行機能及び下肢筋力を評価した。また0週と12週目に、血液分析のため被験者から採血した。さらに0週と12週目に、体組成計(InBody370、株式会社インボディ・ジャパン)にて体重及び筋肉重量を測定した。
試験開始時(0週)、ならびに4、8及び12週目に、被験者の歩行機能及び下肢筋力を評価した。また0週と12週目に、血液分析のため被験者から採血した。さらに0週と12週目に、体組成計(InBody370、株式会社インボディ・ジャパン)にて体重及び筋肉重量を測定した。
歩行機能はTime Up and Go(TUG)テストを採用し、椅子に座った状態から立ち上って3m前の目標地点に向かって歩きで往復し着座するまでの時間(2回繰り返しの平均値)にて評価した。下肢筋力は、ロコモスキャンを用いて、枕つぶし運動にかけることができた力を測定した。血液分析では、タンパク質酸化損傷のマーカーである血中のカルボニル化蛋白質を測定した。
5)統計解析
各データについて平均値(MEAN)及び標準偏差(SD)を求めた。群内比較では、0週を対照として、4、8及び12週のデータにつきDunnettの多重比較検定を行った。ただしデータが0週及び12週のみの場合は、対応のあるt検定を行った。群間比較では、各測定時点ごとに対応のないt検定にて解析を行った。連続して群間差の認められた歩行機能データ(対象:K−Lグレード=1−2)では、0週を共変量とした反復ANCOVAにて推移の検定を行った。
各データについて平均値(MEAN)及び標準偏差(SD)を求めた。群内比較では、0週を対照として、4、8及び12週のデータにつきDunnettの多重比較検定を行った。ただしデータが0週及び12週のみの場合は、対応のあるt検定を行った。群間比較では、各測定時点ごとに対応のないt検定にて解析を行った。連続して群間差の認められた歩行機能データ(対象:K−Lグレード=1−2)では、0週を共変量とした反復ANCOVAにて推移の検定を行った。
〔結果〕
試験1 歩行機能
K−Lグレード:1−2の被験者からのTUGの測定結果を図1に示す。統計解析では、群間比較において、試験8週目以降、カテキン群はプラセボ群に対して有意な低値を示した。さらに反復ANCOVA解析の結果、試験期間4週以降、カテキン群はプラセボ群に対して有意に低く推移することが確認された。また群内比較では、カテキン群で試験8週目以降に試験開始時(0週)に対してTUGが有意に低下し、歩行機能の向上が認められた。一方、K−Lグレード:3−4の被験者を対象とした統計解析では、群間比較及び群内比較共に有意差は認められなかった(図は示さず)。
試験1 歩行機能
K−Lグレード:1−2の被験者からのTUGの測定結果を図1に示す。統計解析では、群間比較において、試験8週目以降、カテキン群はプラセボ群に対して有意な低値を示した。さらに反復ANCOVA解析の結果、試験期間4週以降、カテキン群はプラセボ群に対して有意に低く推移することが確認された。また群内比較では、カテキン群で試験8週目以降に試験開始時(0週)に対してTUGが有意に低下し、歩行機能の向上が認められた。一方、K−Lグレード:3−4の被験者を対象とした統計解析では、群間比較及び群内比較共に有意差は認められなかった(図は示さず)。
試験2 筋力・筋量
下肢筋力の測定結果を図2に示す。統計解析の結果、群内比較ではプラセボ群及びカテキン群共に、試験8週目以降に、試験開始時(0週)に対する有意な筋力向上が認められた。一方、試験期間中のいずれの時点においても、プラセボ群とカテキン群との群間差は認められなかった。K−Lグレード別の統計解析でも、グレード:1−2、グレード:3−4ともにプラセボ群とカテキン群とで有意な群間差は認められなかった。さらに、体重、筋肉重量及びタンパク質酸化損傷マーカーについても、プラセボ群とカテキン群との間に有意差はなかった。この結果から、試験1で見出されたカテキン類摂取による患者の歩行機能の改善が、筋力や筋量の増加によるものではないことが示唆された。
下肢筋力の測定結果を図2に示す。統計解析の結果、群内比較ではプラセボ群及びカテキン群共に、試験8週目以降に、試験開始時(0週)に対する有意な筋力向上が認められた。一方、試験期間中のいずれの時点においても、プラセボ群とカテキン群との群間差は認められなかった。K−Lグレード別の統計解析でも、グレード:1−2、グレード:3−4ともにプラセボ群とカテキン群とで有意な群間差は認められなかった。さらに、体重、筋肉重量及びタンパク質酸化損傷マーカーについても、プラセボ群とカテキン群との間に有意差はなかった。この結果から、試験1で見出されたカテキン類摂取による患者の歩行機能の改善が、筋力や筋量の増加によるものではないことが示唆された。
Claims (8)
- カテキン類を有効成分とする、軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善剤。
- カテキン類を有効成分とする、変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制剤。
- カテキン類を有効成分とする、変形性膝関節症に伴う歩行機能障害の予防剤。
- カテキン類を有効成分とする、軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善用食品組成物。
- カテキン類を有効成分とする、変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制用食品組成物。
- カテキン類を有効成分とする、変形性膝関節症に伴う歩行機能障害の予防用食品組成物。
- 軽度変形性膝関節症患者にカテキン類を摂取させることを含む、軽度変形性膝関節症患者の歩行機能改善のための非治療的方法。
- 変形性膝関節症のリスクを有する者にカテキン類を摂取させることを含む、変形性膝関節症に伴う歩行機能低下の抑制もしくは歩行機能障害の予防のための非治療的方法。
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