JP2018097778A - センシング部を備えるハザードマップシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 センシング部2の閉域通信網14A〜14Cを構成する子機A−A〜C−Cは、水位センサと外部からの電源供給を必要としない独立電源部とを少なくとも有していると共に、任意の設置位置に設けられた取付手段に脱着可能に取り付けられる固定手段を備えている。これにより、冠水や浸水が発生する任意の場所に確実に水位センサを有する子機を設置することができる。
【選択図】 図1
Description
また、内水氾濫とは市街地に降った雨による水害のことであり、雨水の量が都市の処理能力を超えると内水氾濫が発生する。通常なら内水は下水道の雨水管やポンプ施設によって河川へと排水されるが、施設の能力が雨量に追い付かなかったり、外水の水位が上昇して排水できなかったりすると、内水の水はけが悪くなって建物や土地、道路などが水につかってしまう。とくに、最近はゲリラ豪雨のような局地的な豪雨が頻発し、内水氾濫による被害が増えている。
近年、集中豪雨の多発や都市化の進展に伴い、短時間に大量の雨水が流出し内水氾濫の被害リスクが増大している。
この従来のリアルタイム動的氾濫シミュレーションシステムでは、河川情報データベースと、氾濫原データベースと、流出解析手段と、河道水位予測手段と、破堤点流入量計算手段と、氾濫解析手段と、フィードバック補正手段と、シミュレーション表示手段と、地図情報、住所・ランドマーク情報、雨に関する河川情報及び洪水ハザードマップ関連情報を配信サーバより自動的に発信させるデータ配信手段とを組み合わせて、インターネット、パソコン通信、ネットワークが利用できるプラットフォームから自動的に配信するようにしている。
また、上記した本発明のセンシング部を備えるハザードマップシステムにおいて、前記センシング部における所定の前記閉域通信網では、少なくとも2つの前記親機が設けられており、前記閉域通信網を構成する前記複数の子機のそれぞれの子機は、前記親機のいずれにも接続可能とされ、前記子機は接続された前記親機に前記座標情報および前記水位情報を送出するようにしてもよい。
さらに、上記した本発明のセンシング部を備えるハザードマップシステムにおいて、前記複数の子機が、前記親機の前記通信エリア内における過去に冠水が発生したことがある冠水発生実績エリアにそれぞれ設置されており、前記ハザードマップ作成部は、前記通信エリアにおける降水量が所定の量を超えたと共に取得した前記冠水発生実績エリアにおけるいずれかの水位が冠水が発生した水位となった際に、冠水が発生していない前記冠水発生実績エリアにおいても冠水が発生している前記ハザードマップを作成するようにしてもよい。
また、センシング部を備えるハザードマップシステムにおいて、子機の設置位置を移動させた際に、親機のカバーする範囲を超えて設置されても、他の子機を介して親機に座標情報および水位情報を送出することから、閉域通信網のカバーする範囲を拡張することができる。
さらに、センシング部を備えるハザードマップシステムにおいて、子機の設置位置を移動させた際に、一の親機のカバーする範囲を超えて設置されても、接続された他の親機に座標情報および水位情報を送出することから、閉域通信網のカバーする範囲を拡張することができる。
本発明のセンシング部を備えるハザードマップシステム1の説明をするに当たり、住宅などが水に浸かることを「浸水」、田畑や道路などが水に浸ることを「冠水」と一般的に云われているが、本明細書においては、「浸水」と「冠水」とを住宅などや田畑や道路などが水に浸ることを意味する同義語として扱い、以下の説明においては特に断らない限り「冠水」というものとする。
図1に示すハザードマップシステム1は、端末群10と情報提供部12とセンシング部2とを備えており、各部の間は通信網で接続されている。すなわち、情報提供部12と端末群10とは不特定多数の利用者によって共有して利用される拠点間を結ぶ公衆通信網やインターネット通信網からなる通信網11で接続され、センシング部2と情報提供部12とは、インターネット通信網や公衆通信網からなる広域通信網13で接続される。
センシング部2は、例えば3つの閉域通信網14A,14B,14Cとを備えており、閉域通信網14A〜14Cは、ハザードマップシステム1が作成しようとするハザードマップの地域を分割して、分割した地域毎に設置されている。すなわち、作成しようとするハザードマップの全地域をカバーする閉域通信網14A〜14Cが設置される。閉域通信網は、専用の通信回線を利用する通信網であり、データを途中で傍受されたり改ざんされるおそれを防止できる通信網である。
なお、図1に示すハザードマップシステム1では第1の閉域通信網14A〜第3の閉域通信網14Cの3つの閉域通信網14しか備えていないが、ハザードマップシステム1が作成しようとするハザードマップの地域を分割して、分割した地域毎に閉域通信網14が設置されている。すなわち、図1に示すハザードマップシステム1は、4つ以上の数の閉域通信網14を備えることができる。
子機20は図11に示すように、マイクロコントローラ21、センサ22、位置測位装置23、閉域通信網通信I/F25とを備え、これらをバスにより接続している。また、各部へ電源を供給する発電手段を有する電源装置26を備えている。マイクロコントローラ21は、子機20の動作を統括制御する制御手段であり、時計機能を有している。具体的には、マイクロコントローラ21は、センサ22で検出した水位のセンサ情報を取得すると共に、取得した時刻情報を取り込んで、時刻情報を付したセンサ情報を内部のテンポラリメモリに書き込む。また、子機20が設置された地点の位置情報をテンポラリメモリに書き込む。この場合、子機20の位置情報は、子機20における位置測位装置23がGPS等を使用して測位した位置情報、あるいは、直接入力した子機20の位置情報とされる。また、図示しないスイッチがオンされて電源装置26から電源が投入された際には、子機20を初期化する。そして、位置情報の取得が終了した際に、テンポラリメモリに書き込まれている当該子機20の位置情報に、当該子機20に割り当てられている一意の子機IDを付加して、閉域通信網通信I/F25から親機30へ送信する。また、マイクロコントローラ21が、センサ22から取得した水位が規定水位を超えたと判断した場合は、マイクロコントローラ21は、そのセンサ情報と取得した時刻情報からなる水位情報に子機IDを付加して閉域通信網通信I/F25を介して所定時間毎に親機30へ送信する。なお、電源装置26は大容量キャパシタあるいは2次電池と、充電用の太陽光パネルとから構成された独立電源、あるいは、一次電池により構成された独立電源とされている。この独立電源は、外部からの電源供給を必要としない電源である。
親機30は図12に示すように、マイクロコントローラ31、広域通信網通信I/F32、閉域通信網通信I/F33とを備え、これらをバスにより接続している。また、各部へ電源を供給する電源装置34を備えている。マイクロコントローラ31は、前述した図13に示す構成と同様とされ、CPU41、ROM42、RAM43、I/O44を備え、これらをバス45で接続して構成されているが、ROM42には親機30用の制御プログラムが記憶されている。マイクロコントローラ31では、ROM42に記憶されている親機30用の制御プログラムをCPU41が実行することにより、親機30の動作を統括制御している。すなわち、マイクロコントローラ31におけるCPU41は、閉域通信網通信I/F33を介して子機20から送信された子機ID付きの位置情報、子機ID付きの水位情報を受信してRAM43の領域に設定したテンポラリメモリに書き込む。そして、CPU41は、子機20から受信した子機ID付きの位置情報および子機ID付きの水位情報を、広域通信網通信I/F32を介して情報提供部12へ送信する。なお、電源装置34は、商用電源を所定電圧の直流電圧に降圧する電源装置とされている。また、電源装置34は、商用電源に替えて使用電力容量に合わせた大容量キャパシタあるいは2次電池と、充電用の太陽光パネルとから構成するようにしてもよい。
図14(a)に示す構成の情報提供部12では、親機A,B,Cから広域通信網13を介して送られてきたデータが広域通信網通信I/F12dを介して受信されて、データ処理サーバー12bに渡される。データ処理サーバー12bは、受信したデータが子機ID付きの位置情報であった場合は、その位置情報を子機IDと関連付けてデータベース部12cのセンサ座標DB(DB:データベース)51に書き込む。この位置情報は、地図上の座標を示している。また、子機ID付きの水位情報(センサ情報+時刻情報)の場合は、現在時刻と共に子機ID付きの水位情報(センサ情報+時刻情報)を子機IDおよび取得時刻と関連付けてデータベース部12cのセンサ情報DB52に書き込む。これにより、親機A,B,Cから送出された子機A−A〜子機C−Cで検出された水位情報(センサ情報+時刻情報)が、子機IDと関連付けられてセンサ情報DB52に時々刻々と書き込まれていくようになる。
情報配信サーバー12a内に設けられているデータ処理装置50は、閲覧要求を情報配信サーバー12aが受け付けた際に、閲覧要求された地点を含む所定のエリアのリアルタイムの本発明にかかるハザードマップを作成する。このハザードマップは、例えば第1レイヤーの表示情報と、第1にレイヤーに重ねられる第2レイヤーの表示情報とから構成される。第1レイヤーの表示情報として、所定のエリアの地図情報が地図情報DB54から読み出されて設定され、第2レイヤーの表示情報として、少なくとも、子機A−A〜子機C−Cで検出された水位情報の水位を示すアイコンが、水位情報を取得した地点の座標に配置されている表示情報が設定される。この第2レイヤーの表示情報に、避難所やアンダーパスの地点の座標に配置されている避難所やアンダーパスのアイコン、冠水した地点の座標に配置されている冠水したことを示すアイコンを含ませることができる。
以下の説明においては、子機A−A〜子機C−Cを総称して示すとき、あるいは、いずれかを示すときには子機20として説明するものとする。また、同様に、親機A,B,Cを総称して示すとき、あるいは、いずれかを示すときには親機30として説明するものとする。
また、データ処理装置50は、閲覧要求された現在の時刻のリアルタイムのハザードマップを含む、直近の過去から現在の時刻までのいくつかのハザードマップが作成されており、閲覧者は、閲覧者がいる位置情報あるいは閲覧者が指定した位置情報に応じたエリアの時々刻々と推移するリアルタイムのハザードマップを閲覧できる。
図2に示すマップは、ハザードマップではなく、子機が現実に設置された位置を示す地図であり、ブロックA−1〜ブロックA−9の9ブロックからなるエリアAには、海抜が低い区域や従来から冠水が発生している冠水が予見される区域である区域aが存在する場合の子機の設置例が図2に示されている。図2に示すように、エリアAを管轄する親機30がエリアAの中央のブロックA−5に設置されており、16台の子機20−1〜20−16がブロック間の道路および区域aを取り囲むように設置されている。区域aは冠水が予見される区域であることから、区域aの周囲に8台の子機20−7,20−8,20−10〜20−12,20−14〜20−16が重点的に設置される。
上記したように、水位を示すアイコンは、エリアA内に設置された子機20の内の規定水位を超えた有意な水位を検出した子機20が設置された地点の座標位置に表示されている。
図4に示す、ブロックA−1〜ブロックA−9の9ブロックからなるエリアAの地図は、図1に示すハザードマップシステム1における閉域通信網14Aがカバーする範囲に相当する地図である。エリアAには、ブロックA−1〜A−3にかけて電灯線100が敷設され、電灯線100は電柱101の間に張架されており、ブロックA−1,A−4,A−7とブロックA−2,A−5,A−8との間に河川102が流れている。親機Aは、ブロックA−2,A−3,A−5,A−6の間の交差点付近の道路に設置されており、親機A通信エリア110の範囲は図示する略円形の範囲となる。子機A−A,A−Bは、親機A通信エリア110内であって、ブロックA−5に子機A−Aが設置され、ブロックA−2に子機A−Bが設置されている。子機A−A,A−Bは、独立電源とされた電源装置26を備えていることから、電灯線100からの商用電源を利用できるエリアに限られることはなく、エリアA内の任意の場所に設置することができる。また、子機A−A,A−Bは、地面であるグランドに設置されたアンカーナットに螺着することで設置することができる。すなわち、子機A−A,A−Bは、アンカーナットに脱着可能に固着されていることから、子機A−A,A−Bのいずれにおいても、現在固着されているアンカーナットから取り外して、他の場所に設置されているアンカーナットに取り付けることにより、子機A−A,A−Bのいずれにおいても設置位置を移動することができる。
従来では、電源の問題や設置工事の問題等があり、子機を容易に移動することができなかったが、本発明のセンシング部を備えるハザードマップシステム1の第1実施例では、親機Aの親機A通信エリア110内であれば、子機を移動するだけで、冠水を検知したい地点を変更することが出来る。これにより、新たな子機を用意することなく、冠水発生場所を監視することができるようになる。
図4では子機A−A、子機A−Bを図示する位置に設置したが、子機A−B付近に冠水発生エリア105が発生し、子機A−A付近にも、冠水発生エリア104が発生した。さらに、ブロックA−6内のエリアにも冠水発生エリア106が発生した。そこで、図6に示すように、独立電源とされた電源装置26を備えており、エリアA内の任意の場所に設置することができる子機A−Cを冠水発生エリア106に新たに設置する。この場合、冠水発生エリア106の地面であるグランドにアンカーナットを新設し、このアンカーナットに子機A−Cを固着する。冠水発生エリアが発生したことは、地域住民より情報提供を受けることで知ることができる。
従来であれば、道路外で、普段冠水が発生しない場所には子機を設置することは困難であったが、本発明のセンシング部を備えるハザードマップシステム1の第1実施例にかかる子機は、ソーラー等の発電手段と二次電池とを備えた独立電源とされていることから、電灯線100からの商用電源を利用できるエリアに限られることはなく、エリアA内の任意の場所に設置することができる。
上記したように地域住民等の視認や通行により得られた冠水情報を元に子機を配置可能とすることで、必要な所に必要なだけセンサを備える子機を設置することができるようになる。
図7に示す、ブロックB−1〜ブロックB−9の9ブロックからなるエリアBの地図は、図1に示すハザードマップシステム1における閉域通信網Bがカバーする範囲に相当する地図である。エリアBには、ブロックB−1〜B−3にかけて電灯線100が敷設され、電灯線100は電柱101の間に張架されており、ブロックB−1,B−4,B−7とブロックB−2,B−5,B−8との間に河川102が流れている。親機Bは、ブロックB−2,B−3,B−5,B−6の間の交差点付近の道路に設置されており、親機B通信エリア111の範囲は図示する略円形の範囲となる。子機B−A,B−Bは、親機B通信エリア111内であって、ブロックB−5に子機B−Aが設置され、ブロックB−2に子機B−Bが設置されている。ここで、図7に示すように、ブロックB−8に冠水が発生し、冠水発生エリア107が生じたとする。冠水発生エリア107に子機を設置することで、的確な冠水情報を得ることができる。しかし、冠水発生エリア107は親機B通信エリア111の範囲の外に位置している。そこで、子機B−Aの通信エリア112と新設する子機B−Cの通信エリア112が一部重なって相互に通信可能な位置であって、冠水発生エリア107内の位置に子機B−Cを設置する。これにより、閉域通信網14Bがカバーする範囲を拡張することができる。
従来では、親機の通信エリアを超えて子機を設置することができなかったが、本発明のセンシング部を備えるハザードマップシステム1の第2実施例では、子機間において閉域通信が可能な機能を備えていることから、地域住民等の視認や通行により得られた冠水情報が親機の通信エリアの外であっても、子機同士が通信可能なエリアであれば、必要な所に必要なだけセンサを備える子機を設置して、冠水発生場所を監視することができるようになる。
図8に示す、ブロックC−1〜ブロックC−9の9ブロックからなるエリアCの地図は、図1に示すハザードマップシステム1における閉域通信網Cがカバーする範囲に相当する地図である。エリアCには、ブロックC−1〜C−3にかけて電灯線100が敷設され、電灯線100は電柱101の間に張架されており、ブロックC−1,C−4,C−7とブロックC−2,C−5,C−8との間に河川102が流れている。エリアCには親機Cと親機Dとの2つの親機が設置されており、親機Cは、ブロックC−2,C−3,C−5,C−6の間の交差点付近の道路に設置されており、親機C通信エリア114の範囲は図示する略円形の範囲となる。また、親機Dは、ブロックC−4,C−5,C−7,C−8の間の交差点付近の道路に設置されており、親機D通信エリア115の範囲は図示する略円形の範囲となり、親機C通信エリア114と親機D通信エリア115とは一部重なっている。子機C−A,C−Bは、親機C通信エリア114内であって、ブロックC−5に子機C−Aが設置され、ブロックC−2に子機C−Bが設置されている。ここで、図8に示すように、ブロックC−4とブロックC−7との間に冠水が発生し、冠水発生エリア108が生じたとする。冠水発生エリア108に子機を設置することで、的確な冠水情報を得ることができる。冠水発生エリア107は親機C通信エリア114の範囲の外に位置しているが、親機D通信エリア115内であることから、冠水発生エリア108内の位置に子機C−Cを新設する設置する。これにより、閉域通信網14Cがカバーする範囲を拡張することができる。
冠水発生エリア108が発生したことは、地域住民より情報提供を受けることで知ることができる。従来では、親機の通信エリアを超えて子機を設置することができなかったが、本発明のセンシング部を備えるハザードマップシステム1の第3実施例では、2つの親機を備える閉域通信網としたことから、地域住民等の視認や通行により得られた冠水情報が一の親機の通信エリアの外であっても、他の親機の通信エリアであれば、必要な所に必要なだけセンサを備える子機を設置して、冠水発生場所を監視することができるようになる。
図9に示す、ブロックA−1〜ブロックA−9の9ブロックからなるエリアAの地図は、図1に示すハザードマップシステム1における閉域通信網14Aがカバーする範囲に相当する地図である。エリアAには、ブロックA−1〜A−3にかけて電灯線100が敷設され、電灯線100は電柱101の間に張架されており、ブロックA−1,A−4,A−7とブロックA−2,A−5,A−8との間に河川102が流れている。親機Aは、ブロックA−2,A−3,A−5,A−6の間の交差点付近の道路に設置されており、親機A通信エリア110の範囲は図示する略円形の範囲となる。親機A通信エリア110内には、過去に冠水が発生したことがある3つの冠水発生実績エリア120,121,122があり、それぞれの冠水発生実績エリア120,121,122に子機A−A,A−B,A−Cが設置されている。具体的には、親機A通信エリア110内であって、ブロックA−5の冠水発生実績エリア120内に子機A−Aが設置され、ブロックA−2の冠水発生実績エリア121内に子機A−Bが設置され、ブロックA−6の冠水発生実績エリア122内に子機A−Cが設置されている。
なお、冠水発生実績エリアの場所や冠水位などのを記憶する冠水実績情報DBが、図示していないがデータベース部12cに設けられている。
また、上述した本発明のセンシング部を備えるハザードマップシステム1の第1実施例ないし第4実施例の説明では、閉域通信網14を特定して説明したが、第1実施例ないし第4実施例はいずれの閉域通信網14にも適用することができる。
なお、子機処理は子機20の電源装置26がオンされている限り実行されており、電源装置26がオフされた際に子機処理は終了する。
図17に示すDB書込処理は、データ処理サーバー12bの電源が投入されたときに起動する。起動されるとステップS40でCPU71は、親機30からデータを受信する。受信できない場合は、受信できるまで待機する。受信するデータは、IDを付加した子機20の位置情報、あるいは、子機20が取得したセンサ情報とその取得時刻からなる水位情報である。次いで、ステップS41でCPU71は、受信したデータが、IDを付加した子機20の位置情報の場合は、I/O74を介してセンサ座標DB51にそのIDに関連つけて位置情報を書き込み、子機20が取得したセンサ情報の場合は、I/O74を介してセンサ情報DB52に取得時刻と水位情報を取得した子機20のIDに関連して書き込む。ステップS41の処理が終了するとステップS40にリターンして、ステップS40,S41の処理が繰り返し実行される。DB書込処理は、データ処理サーバー12bの電源がオフされた際に終了する。
メッセージ配信処理が起動されるとステップS50で、CPU61は前回配信した時から所定時間(例えば、1分)が経過したか否かを判断する。ここで、所定時間経過していないとCPU61が判断した場合(NO)は所定時間経過するまでステップS50で待機される。ステップS50で所定時間経過したとCPU61が判断した場合(YES)は、ステップS51に進み警告メッセージあるいは警告解除メッセージをCPU61が作成する。この場合、センサ情報DB52から子機20が検出した最新の時刻の水位情報を読み出して、冠水の危険が迫っているエリアがあるとCPU61が判断した場合に警告メッセージが作成され、冠水の危険が去ったエリアがあるとCPU61が判断した場合に警告解除メッセージが作成される。次いで、ステップS52でCPU61は、危険が迫っているエリアである警告領域が登録者情報DB55に登録されている登録者を抽出する。そして、ステップS53でCPU61は、作成したメッセージは配信済みか否かを判断する。ここで、配信済みでないとCPU61が判断した場合(NO)は、ステップS54に分岐してステップS52で抽出した登録者に作成したメッセージを配信する。また、配信済みとCPU61が判断した場合(YES)と、ステップS54の処理が終了した場合は、ステップS50にリターンしてステップS50ないしステップS54の処理が繰り返し実行される。このように、所定時間、例えば1分毎に警告/警告解除メッセージが作成されて、その領域にいる登録者にメッセージが配信されることから、登録者は遅滞なく危険が迫っている/危険が去ったことを理解することができる。
メッセージ配信処理が起動されるとステップS60でCPU61は、センサ情報DB52から子機20が検出した同じ時刻とされる水位情報を読み出して、警告あるいは警告解除に相当する程度だけ、取得した子機20のセンサ情報の水位が変化したか否かを判断する。ここで、水位が変化していないとCPU61が判断した場合(NO)は、水位が変化するまでステップS60で待機される。また、ステップS60で水位が変化したとCPU61が判断した場合(YES)はステップS61に進み、警告メッセージあるいは警告解除メッセージをCPU61が作成する。この場合、冠水の危険が迫っている程度の水位が変化したとCPU61が判断した場合に警告メッセージが作成され、冠水の危険が去った程度の水位が変化したとCPU61が判断した場合に警告解除メッセージが作成される。次いで、ステップS62でCPU61は、危険が迫っているエリアとされる警告領域内の携帯電話基地局を指定する。そして、ステップS63でCPU61は、作成したメッセージは配信済みか否かを判断する。ここで、配信済みでないとCPU61が判断した場合(NO)は、ステップS64に分岐してステップS62で指定した携帯電話基地局から作成したメッセージを登録者情報DB55に登録されている登録者に配信する。また、配信済みとCPU61が判断した場合(YES)と、ステップS64の処理が終了した場合は、ステップS60にリターンしてステップS60ないしステップS64の処理が繰り返し実行される。このように、冠水の危険が迫っている程度の水位が変化した際に警告メッセージが作成されて、その領域にいる登録者に警告メッセージが配信されることから、登録者は遅滞なく危険が迫っていることを理解することができる。
閲覧要求処理が起動されるとステップS70で、CPU61はハザードマップの閲覧要求があったか否かを判断する。ここで、閲覧要求がないとCPU61が判断した場合(NO)は、閲覧要求があるまでステップS70で待機される。閲覧者が自身の携帯電話10aあるいはPC10bから閲覧要求を行い、ステップS70で閲覧要求があったとCPU61が判断した場合(YES)は、ステップS71に進みハザードマップをCPU61が作成する。次いで、ステップS72でCPU61は、作成したハザードマップを閲覧要求した閲覧者に配信する。ステップS72の処理が終了するとステップS70にリターンして、ステップS70ないしステップS72の処理が繰り返し実行されることから、閲覧要求がある毎にハザードマップが作成されて、閲覧要求した閲覧者に配信されるようになる。閲覧要求処理は、情報配信サーバー12aの電源がオフされた際に終了する。
閲覧要求処理のステップS71の処理が開始されると、ハザードマップを作成処理が開始され、ステップS80で、閲覧者のいる地点、あるいは、閲覧者が指定した地点の座標と閲覧要求の現在の時刻とをCPU71が検出する。そして、ステップS81でCPU71は、検出した座標の地点を含む所定範囲のエリアを設定し、当該エリアの地図を地図情報DB54から取得して該地図をハザードマップの第1レイヤーの表示情報として設定する。次いで、ステップS82でCPU71は、センサ情報DB52から、設定したエリアの各子機20の取得時刻が同時刻の水位情報を取得する。この場合、センサ情報DB52から読み出される同時刻の水位情報は、閲覧要求された現在の時刻と、その時刻より過去の直近のいくつかの過去の時刻との水位情報とされ、読み出された水位情報は時刻毎にまとめられる。そして、ステップS83でCPU71は、センサ座標DB51から、設定したエリアの各子機20の座標を取得し、各子機20の座標位置に、取得した時刻毎にまとめられた各子機20の水位を表すアイコンを配置し、時刻毎の第2レイヤーの表示情報として設定する。この場合、例えば、現在の時刻が10:03の場合は、時刻が10:00,10:01,10:02,10:03の時刻毎の第2レイヤーの表示情報が設定される。次いで、ステップS84でCPU71は、データベース部12cが備えている図示しない避難情報DBから、設定したエリアの避難所、アンダーパスの座標を取得し、各座標位置に避難所、アンダーパスのアイコンを配置し、第2レイヤーの表示情報として設定する。次に、ステップS85でCPU71は、取得した時刻毎にまとめられた各子機20の水位に応じて冠水している領域を割り出し、該領域にある道路やアンダーパスに冠水注意のアイコンを配置して、時刻毎の第2レイヤーの表示情報として設定する。この場合、CPU71が、取得した各子機20の水位に応じて冠水した領域を割り出し、割り出した冠水領域に避難所がある場合には、避難所のアイコンの表示態様を点滅あるいは点灯表示もしくは色調を変更する。さらに、ステップS86でCPU71は、第1レイヤーの表示情報に、第2レイヤーの表示情報および時刻毎の第2レイヤーの表示情報を重ねた画像データを時刻毎に分けて作成し、設定したエリアの時刻毎のハザードマップを作成する。ステップS86の処理が終了すると、ハザードマップ作成処理は終了し、閲覧請求処理のステップS72にリターンする。
図22は視線誘導標200の構成を示す斜視図であり、視線誘導標200は、子機20の機能を実現する端末装置001を内蔵している。すなわち、図22に示す視線誘導標200は、円筒状の縦に細長い樹脂製の円筒状ケース210と、円筒状ケース210の下端に装着される樹脂製あるいは金属製の基部213とから構成され、円筒状ケース210と基部213からなるケース内に端末装置001が内蔵されている。視線誘導標200の基部213の下面からは固定用のボルトが突出して設けられており、このボルトを道路等に設けられたアンカーナットに螺着することにより、視線誘導標200を設置することができる。また、基部213の内部に水や砂をつめて設置することも可能であり、この場合は、視線誘導標200を道路や道路以外の地面上に置くだけで子機20として利用することができる。これにより、視線誘導標200は設置位置を移動させたり、必要な時だけ(例えば、大雨警報時)設置して、その後は撤去する等柔軟に対応できるようになる。視線誘導標200の縦方向の長さL1は約300mm〜1200mmとされ、基部213の外径R1は約200mmとされる。
なお、子機20は視線誘導標に限らず、道路付属物一般と兼用することができる。この道路付属物は、視線誘導標、境界ブロック、縁石、支持柱、防護柵、壁構造物、標識、デリニエータ、道路鋲などとされ、道路付属物に端末装置を一体化あるいは装着することにより兼用することができる。
子機20の機能を兼用する視線誘導標200を道路や道路以外の地面に新設する際には、道路や道路以外の地面を直方体状に切り出して示すグランド80に断面が略円形の取付孔80aを穿ち、この取付孔80a内に樹脂製あるいは金属製のアンカーナット81を固着する。視線誘導標200の基部213の下面からはボルト213aが突出するよう設けられており、このボルト213aをアンカーナット81に螺着する。これにより、グランドに視線誘導標200を設置することができる。
このように、視線誘導標200は自立可能とされ、閉域通信網はワイヤレスとされると共に、外部からの電源供給を必要としない独立電源部を備えていることから、外部電源が確保できない道路以外の地面などに直接おいて設置可能となり、公園や避難所、広場、田んぼの中や畦、住宅の庭、河川敷内などの地面にも設置可能となる。
道路や道路以外の地面に設置された子機20の機能を兼用する視線誘導標200を取り外す際には、視線誘導標200をアンカーナット81に螺着した回転方向を逆方向に回転させる。これにより、視線誘導標200をグランド80から取り外すことができる。そして、取り外した視線誘導標200を他の設置位置に固定されているアンカーナット81に螺着して設置することで、視線誘導標200の移動、すなわち、子機20の設置位置を移動させることができる。
本発明の実施例にかかるセンシング部を備えるハザードマップシステムでは、閲覧要求があった際にハザードマップを作成して、閲覧要求した閲覧者に配信していたが、子機が検出した水位情報を情報提供部が取得した際に、ハザードマップの表示情報を作成してデータベース部に格納し、閲覧者からの閲覧要求があった際に、情報配信サーバーが閲覧者がいる位置情報あるいは閲覧者が指定した位置情報に対応するエリアの地図を地図情報DBから読み出すと共に、データベース部から閲覧者がいる位置情報あるいは閲覧者が指定した位置情報に対応するエリアの表示情報を読み出してハザードマップを作成して閲覧者に配信するようにしても良い。
また、以上説明した本発明の実施例にかかるセンシング部を備えるハザードマップシステムにおける位置測位装置を備える子機においては、GPSに限らず、設置された位置の座標を位置測位装置が、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムを使用して測位するようにしてもよい。また、子機はアンカーナットに対して螺着することで移動可能としているが、着脱可能な両面テープや、アンカーなどを用いて移動可能としてもよい。そして独立電源化の手法としては、容量を満足する一次電池を内蔵させることにより、発電装置を除外することも可能である。
さらに、水位を示すアイコンは第2レイヤーの表示情報とされており、形状が円筒状とされて、円筒状のアイコンの高さで水位を示しているが、アイコンの図形は水位を示す図形であればどのような図形でもよい。また、冠水した道路および冠水地点に隣接する道路が冠水により通行が危険となるおそれがある場合は、冠水した道路および冠水地点に隣接する道路に重なるアイコンを表示して、そのアイコンの表示色や図形などにより冠水により通行が危険であることを表示しても良い。
Claims (5)
- 水位センサと外部からの電源供給を必要としない独立電源部とを少なくとも有し、設置された地点の座標情報を送出すると共に、前記水位センサで検出した水位が有意な水位となった時に、取得された水位と取得された時刻とを含む水位情報を送出する複数の子機と、
所定の範囲の通信エリアを有し、該通信エリア内に設置された前記複数の子機から送出された前記座標情報および前記水位情報を受信して、ハザードマップ作成部に送信する複数の親機と、
からなる閉域通信網を少なくとも1つ備えるセンシング部と、
前記複数の親機から送信された前記座標情報および前記水位情報を受信して、前記座標情報に対応するマップの位置に、前記水位情報に応じた水位を示すアイコンが表示されるハザードマップを作成し、該ハザードマップをウェブ上において閲覧可能とする前記ハザードマップ作成部とを備え、
前記複数の子機は、任意の設置位置に設けられた取付手段に脱着可能に取り付けられる固定手段を備えており、前記子機の設置位置を移動可能とできることを特徴とするセンシング部を備えるハザードマップシステム。 - 前記センシング部における所定の前記閉域通信網では、前記親機の前記通信エリアの外に設置された子機が、当該親機の前記通信エリア内に設置された他の子機を介して、当該親機に前記座標情報および前記水位情報を送出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のセンシング部を備えるハザードマップシステム。
- 前記センシング部における所定の前記閉域通信網では、少なくとも2つの前記親機が設けられており、前記閉域通信網を構成する前記複数の子機のそれぞれの子機は、前記親機のいずれにも接続可能とされ、前記子機は接続された前記親機に前記座標情報および前記水位情報を送出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のセンシング部を備えるハザードマップシステム。
- 前記複数の子機が、前記親機の前記通信エリア内における過去に冠水が発生したことがある冠水発生実績エリアにそれぞれ設置されており、前記ハザードマップ作成部は、前記通信エリアにおける降水量が所定の量を超えたと共に取得した前記冠水発生実績エリアにおけるいずれかの水位が冠水が発生した水位となった際に、冠水が発生していない前記冠水発生実績エリアにおいても冠水が発生している前記ハザードマップを作成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のセンシング部を備えるハザードマップシステム。
- 前記独立電源部は、発電手段と、該発電手段により充電される二次電池とから構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のセンシング部を備えるハザードマップシステム。
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