まず、図1を用いて本発明の実施の形態に係るクラッチ装置が適用されたデファレンシャル装置の一例について説明する。
図1に示すように、デファレンシャル装置401は、デフケース3と、ピニオンシャフト403,405と、ピニオン407と、一対のサイドギヤ409,5とを有する差動機構411と、この差動機構411の差動を断続するクラッチ装置1とを備えている。
デフケース3は、軸方向の両側に設けられたボス部413,415の外周でそれぞれベアリング(不図示)を介してキャリアなどの静止系部材(不図示)に回転可能に支持されている。
このデフケース3には、リングギヤ(不図示)が固定されるフランジ部417が設けられ、リングギヤが入力側の機構からの駆動力を伝達する伝達ギヤ(不図示)と噛み合い、デフケース3に駆動力が伝達される。
このようなデフケース3には、ピニオンシャフト403,405と、ピニオン407と、一対のサイドギヤ409,5とが収容され、デフケース3に入力された駆動力が伝達される。
ピニオンシャフト403,405は、2つの短尺のピニオンシャフト403と長尺の1つのピニオンシャフト405とからなる。
2つの短尺のピニオンシャフト403は、外端部をデフケース3に係合してピン419で抜け止め及び回り止めされ、デフケース3と一体に回転駆動される。
長尺の1つのピニオンシャフト405は、中間に設けられた孔に2つの短尺のピニオンシャフト403の内端部が係合されて抜け止め及び回り止めがなされ、デフケース3と一体に回転駆動される。
このようなピニオンシャフト403,405のそれぞれの外端側には、複数のピニオン407がそれぞれ支承されている。
複数のピニオン407は、デフケース3の周方向等間隔に4つ配置される4ピニオンタイプとなっており、それぞれ短尺の2つのピニオンシャフト403の外端側と長尺のピニオンシャフト405の両端側に支承されてデフケース3の回転によって公転する。
このピニオン407の背面側とデフケース3との径方向間には、ピニオン407の公転時に発生する径方向への移動を受ける球面ワッシャ421が配置されている。
このようなピニオン407は、一対のサイドギヤ409,5に駆動力を伝達すると共に、噛み合っている一対のサイドギヤ409,5に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト403,405に自転可能に支持されている。
一対のサイドギヤ409,5は、それぞれに形成されたボス部でデフケース3に相対回転可能に支持され、ピニオン407と噛み合っている。
この一対のサイドギヤ409,5とデフケース3との軸方向間には、ピニオン407との噛み合い反力によるサイドギヤ409,5の軸方向への移動を受けるスラストワッシャ423,425がそれぞれ配置されている。
このような一対のサイドギヤ409,5は、内周側にスプライン形状の連結部427,429がそれぞれ設けられ、出力側の機構に一体回転可能に連結された駆動軸(不図示)がそれぞれサイドギヤ409,5と一体回転可能に連結され、デフケース3に入力された駆動力を駆動軸を介して出力側の機構に出力する。
このような差動機構411における一対のサイドギヤ409,5の差動は、クラッチ装置1の接続によってロック状態とされ、一対のサイドギヤ409,5に伝達された駆動力が左右の出力側の機構に均一に出力される。
このように差動機構411の差動を断続するクラッチ装置1を有するデファレンシャル装置401は、いわゆるデフロック機能を有するデファレンシャル装置となっている。以下、図1〜図10を用いて本発明の実施の形態に係るクラッチ装置について説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4を用いて第1実施形態について説明する。
本実施の形態に係るクラッチ装置1は、相対回転可能に配置された第1回転部材と第2回転部材としてのデフケース3とサイドギヤ5と、デフケース3に一体回転可能で軸方向移動可能に配置されサイドギヤ5との軸方向間に断続部7が設けられた環状のクラッチ部材9と、このクラッチ部材9と軸方向に一体移動可能に配置され環状の検出部11を有する作動位置検出部材13とを備えている。
そして、クラッチ部材9の外周には、作動位置検出部材13を支持する支持部15が設けられている。
また、支持部15は、クラッチ部材9における動力伝達部の軸方向の範囲内に配置されている。
さらに、作動位置検出部材13には、クラッチ部材9を軸方向両側から挟み込んでクラッチ部材9に固定させる係合部17,19が設けられている。
また、支持部15は、クラッチ部材9の外周に軸方向に沿って複数箇所設けられ、検出部11は、支持部15に対して径方向外側に延設されている。
図1〜図4に示すように、クラッチ装置1は、上述したデフケース3とサイドギヤ5と、クラッチ部材9と、断続部7と、可動部材21と、電磁石23と、作動位置検出部材13とを備えている。
クラッチ部材9は、環状に形成され、周方向に連続する一部材で形成された基部25がデフケース3の壁部27とサイドギヤ5の背面側との軸方向間に軸方向移動可能に配置されている。
このクラッチ部材9のデフケース3の壁部27側には、デフケース3と一体回転可能に係合する係合部29が設けられ、クラッチ部材9のサイドギヤ5の背面側には、断続部7が設けられている。
係合部29は、クラッチ部材9の基部25に周方向等間隔に設けられた複数(ここでは4つ)の凸部31と、デフケース3の壁部27に周方向等間隔に軸方向に貫通して設けられた複数(ここでは4つ)の係合孔部33とからなる。
この凸部31と係合孔部33とが回転方向に係合することにより、クラッチ部材9がデフケース3に回り止めされ、クラッチ部材9とデフケース3とが一体回転可能となる。
この係合部29には、クラッチ部材9を断続部7の接続方向に移動させるカムが設けられている。詳細には、凸部31と係合孔部33との周方向両側の対向面には、同一傾斜のカム面がそれぞれ形成されている。
このため、クラッチ部材9が断続部7の接続方向に移動され、断続部7に回転方向の噛み合い作用が生じたときに、デフケース3の回転によってそれぞれのカム面が係合することにより、クラッチ部材9をさらに断続部7の噛み合い方向に移動させ、断続部7の接続を強化させる。
断続部7は、クラッチ部材9の基部25の係合部29と軸方向反対側の側面でクラッチ部材9とサイドギヤ5の背面側との軸方向間に設けられ、クラッチ部材9とサイドギヤ5とにそれぞれ周方向に複数形成されて互いに噛み合う噛み合い歯35,37となっている。
この断続部7は、互いの噛み合い歯35,37が噛み合うことにより、クラッチ部材9とサイドギヤ5とが一体可能に接続、すなわちデフケース3とサイドギヤ5とが一体回転可能に接続され、差動機構411の差動がロック状態となる。
一方、クラッチ部材9とサイドギヤ5の背面側との軸方向間で断続部7の径方向内側には、付勢部材39が設けられ、クラッチ部材9を断続部7の接続解除方向に付勢している。
この付勢部材39によって、クラッチ部材9が断続部7の接続解除方向に移動され、断続部7の接続が解除され、差動機構411の差動がアンロック状態となる。
この断続部7の断続状態は、可動部材21と電磁石23とからなるアクチュエータによって制御される。
可動部材21は、電磁石23の内径側でデフケース3のボス部415の外周に軸方向移動可能に配置され、環状のプランジャ41と、リング部材43とを備えている。
プランジャ41は、磁性材料から形成され、磁束が透過可能に設定された微小隙間であるエアギャップをもって電磁石23の内径側に配置されている。
リング部材43は、非磁性材料から形成され、プランジャ41の内径側に一体に固定され、プランジャ41の内周側からデフケース3側へ磁束が漏れることを防止している。
このリング部材43は、デフケース3のボス部415の外周に軸方向移動可能に配置され、デフケース3のボス部415の外周に圧入固定された非磁性材料からなる規制部材45によって軸方向外側への移動規制がなされている。
このようなリング部材43は、クラッチ部材9側の軸方向の端面に、クラッチ部材9の凸部31と当接可能な押圧部47が設けられ、電磁石23によって作動される可動部材21による軸方向の移動操作力を押圧部47を介してクラッチ部材9に伝達し、クラッチ部材9を断続部7の接続方向に押圧操作する。
電磁石23は、デフケース3のボス部415の外周側でデフケース3の壁部27に対して軸方向に隣接配置されると共に、キャリアなどの静止系部材に回り止めされ、電磁コイル49と、コア51とを備えている。
電磁コイル49は、環状に所定巻き数巻回されて樹脂でモールド成形されている。
この電磁コイル49には、外部に引き出されるリード線(不図示)が接続され、このリード線を介して通電を制御するコントローラ(不図示)に接続されている。
コア51は、電磁コイル49への通電により磁界が形成されるように磁性材料から形成され、所定の磁路断面積を有している。
このコア51は、電磁コイル49の内外周面及び電磁コイル49のデフケース3の壁部27と反対側に位置する軸方向一側端面を環状に覆っている。
このようなコア51の外径側には、デフケース3の壁部27から軸方向に延設された延設部53が磁束が透過可能に設定された摺動接触面をもって覆うように配置され、この延設部53の軸方向端面に対して、コア51に設けられた規制凸部55が軸方向に対向することによって電磁石23の軸方向内側への位置決めがなされている。
ここで、電磁石23が励磁されると、コア51とプランジャ41とデフケース3の壁部27とを透過する磁束で磁束ループが形成される。
このとき、規制凸部55がコア51と連続する一部材で形成されていると、規制凸部55が磁性材料からなるので、規制凸部55と延設部53との軸方向間で磁束の受け渡しが可能となってしまう。
このような規制凸部55と延設部53との軸方向間で磁束の受け渡しが発生すると、デフケース3と電磁石23との摺動が大きくなり、装置のフリクションが増大していた。
そこで、規制凸部55は、コア51と別体で形成された非磁性材料からなり、コア51の外周に圧入、或いは溶接などの固定手段によってコア51と一体に固定されている。
このように規制凸部55を非磁性材料で形成することにより、電磁石23を励磁させても、規制凸部55と延設部53との間で磁束の受け渡しが発生することがなく、デフケース3と電磁石23との摺動を低減でき、装置のフリクションを低減することができる。
なお、コア51の軸方向外側の端面は、可動部材21の軸方向外側への移動を規制する規制部材45によって、可動部材21と共に電磁石23の軸方向外側への位置決めがなされている。
このように構成されたクラッチ装置1では、電磁石23の励磁により、図1の矢印で示すように、コア51とプランジャ41とデフケース3の壁部27とを透過する磁束で形成される最短の磁束ループを有効に用いることによって、プランジャ41がクラッチ部材9側に移動操作され、リング部材43が押圧部47を介してクラッチ部材9を押圧する。
この可動部材21によるクラッチ部材9の押圧操作により、クラッチ部材9が付勢部材39の付勢力に抗して断続部7の接続方向に移動され、断続部7が接続される。
この断続部7の接続により、サイドギヤ5とクラッチ部材9とが一体回転可能に接続され、サイドギヤ5とデフケース3とが接続されて差動機構411がロック状態となる。
一方、断続部7の接続解除では、電磁石23への通電を停止することにより、クラッチ部材9が付勢部材39の付勢力によって断続部7の接続解除方向に移動され、断続部7の接続が解除される。
この断続部7の接続解除により、サイドギヤ5とクラッチ部材9とが相対回転可能となり、サイドギヤ5とデフケース3とが相対回転可能となって差動機構411のロック状態が解除される。
このようなクラッチ装置1において、クラッチ部材9は、軸方向に移動することにより、断続部7を断続させているので、断続部7の接続状態と、接続解除状態とで、軸方向の配置位置が異なる。
このため、クラッチ部材9の軸方向位置を検出することにより、断続部7の断続状態を検出することができ、本実施の形態においては、デファレンシャル装置401のロック状態とアンロック状態とを検出することができる。
そこで、クラッチ部材9には、軸方向に一体移動可能に作動位置検出部材13が組付けられている。
作動位置検出部材13は、検出部11と、この検出部11と連続する一部材で形成された複数(ここでは4つ)の突出部57とを備えている。
検出部11は、デフケース3の外周から突出する位置に配置されるように周方向に連続して環状に形成されている。
この検出部11は、コントローラに接続されたポジションスイッチ(不図示)のスイッチ部(不図示)に係合され、クラッチ部材9の軸方向移動によりスイッチ部を断続操作し、クラッチ部材9の軸方向位置を検出する。
複数の突出部57は、検出部11の周方向等間隔に検出部11の内径側から連続する一部材で径方向内側に向けて延設されている。
この複数の突出部57は、デフケース3に軸方向及び径方向に開口された複数(ここでは4つ)の凹部59内に配置されている。
このような複数の突出部57には、被支持部61と、係合部17,19とがそれぞれ設けられている。
被支持部61は、突出部57の幅方向の中央部の先端部分をクラッチ部材9側に向けて屈曲させることにより、径方向に弾性変形可能で軸方向に向けて延設されている。
この被支持部61は、クラッチ部材9の外周に形成された複数(ここでは4つ)の支持部15に配置され、作動位置検出部材13がクラッチ部材9に支持される。
ここで、支持部15は、クラッチ部材9の外周に周方向等間隔に複数設けられ、クラッチ部材9の外径より内径側で、噛み合い歯35の外径より外径側に位置され、軸方向に延設された平面となっている。
このように支持部15をクラッチ部材9の外周に設けることにより、クラッチ部材9の内径側に加工を施す必要がなく、支持部15の形成を容易に行うことができ、クラッチ部材9に対する作動位置検出部材13の支持安定性を向上することができる。
加えて、作動位置検出部材13をクラッチ部材9の軸方向端面で支持したときのように、固定部材としてのボルトが軸方向に張り出すことがないと共に、ボルトを締結するためにクラッチ部材9の軸方向肉厚を確保する必要がなく、クラッチ部材9を軸方向に小型化することができる。
この支持部15の軸方向長さは、クラッチ部材9における動力伝達部の軸方向の範囲内、すなわち噛み合い歯35や凸部31から軸方向外側に張り出さないように設定されている。
このように支持部15を設定することにより、クラッチ部材9の動力伝達機能を保持しつつ、クラッチ部材9を軸方向に最小限に小型化することができ、装置を小型化することができる。
このような支持部15に支持される被支持部61を有する作動位置検出部材13には、係合部17,19が設けられている。
係合部17は、被支持部61の自由端側に設けられ、内径側に向けて屈曲された係合爪となっている。
この係合部17は、被支持部61が支持部15に配置された状態で、クラッチ部材9の噛み合い歯35の外径から支持部15に向けて連続して傾斜された被係合部63に係合される。
係合部19は、突出部57の幅方向の両側の先端からそれぞれ内径側に向けて延設されている。
この係合部19は、被支持部61が支持部15に配置された状態で、クラッチ部材9の凸部31の軸方向端面に形成された被係合部64に係合される。
これら係合部17,19は、被支持部61が支持部15に配置された状態で、クラッチ部材9を軸方向両側から挟み込み、作動位置検出部材13をクラッチ部材9と軸方向に一体移動可能に固定させる。
このように係合部17,19で作動位置検出部材13をクラッチ部材9に固定することにより、作動位置検出部材13を固定するためのボルトなどの固定部材を用いる必要がなく、部品点数を削減することができる。
このような作動位置検出部材13は、クラッチ部材9をデフケース3に収容した状態で、突出部57とデフケース3の凹部59との位置を合わせるようにデフケース3に組付けられる。
この状態から、作動位置検出部材13をクラッチ部材9側に押し込むことにより、被支持部61が撓んで支持部15に配置され、被支持部61が復元することによって、係合部17が被係合部63に係合され、係合部17,19がクラッチ部材9を軸方向両側から挟み込み、作動位置検出部材13がクラッチ部材9に固定される。
このようなクラッチ装置1では、クラッチ部材9の外周に、作動位置検出部材13を支持する支持部15が設けられているので、クラッチ部材9に対する支持部15の形成を行い易く、クラッチ部材9の生産性を向上することができる。
また、クラッチ部材9の軸方向の肉厚を最小限に抑えることができ、クラッチ部材9の軸方向に張り出す部分もなく、クラッチ装置1を軸方向に小型化することができる。
従って、このようなクラッチ装置1では、クラッチ部材9の生産性を向上することができ、小型化することができる。
また、支持部15は、クラッチ部材9における動力伝達部の軸方向の範囲内に配置されているので、クラッチ部材9に支持部15を設けることによって支持部15が軸方向に張り出すことがなく、クラッチ部材9が大型化することがない。
さらに、作動位置検出部材13には、クラッチ部材9を軸方向両側から挟み込んでクラッチ部材9に固定させる係合部17,19が設けられているので、別体のボルトなどの固定部材を用いる必要がなく、部品点数を増大させることなくクラッチ部材9に作動位置検出部材13を固定することができる。
また、支持部15は、クラッチ部材9の外周に軸方向に沿って複数箇所設けられ、検出部11は、支持部15に対して径方向外側に延設されているので、支持部15によって作動位置検出部材13を安定して支持しつつ、検出部11によってクラッチ部材9の位置を確実に検出することができる。
(第2実施形態)
図5〜図7を用いて第2実施形態について説明する。
本実施の形態に係るクラッチ装置101は、作動位置検出部材13が、クラッチ部材9の支持部15に対して、固定部材103によって径方向から固定されている。
なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
図5〜図7に示すように、クラッチ部材9の支持部15は、クラッチ部材9の外周に周方向等間隔に複数(ここでは4つ)設けられ、クラッチ部材9の外径より内径側に位置され、軸方向に延設された平面となっている。
この支持部15には、径方向外側に向けて開口されたねじ穴からなる固定部105が設けられ、作動位置検出部材13の被支持部61が配置される。
作動位置検出部材13の被支持部61には、被支持部61が支持部15に配置された状態で、支持部15の固定部105と一致する位置に、被支持部61を貫通する穴部107が設けられている。
このような固定部105と穴部107とには、被支持部61が支持部15に配置された状態で、径方向外側からボルトからなる固定部材103が穴部107を挿通して固定部105に締結され、作動位置検出部材13がクラッチ部材9に固定される。
このような作動位置検出部材13は、クラッチ部材9をデフケース3に収容した状態で、突出部57とデフケース3の凹部59との位置を合わせるようにデフケース3に組付けられ、被支持部61が支持部15に配置される。
この状態から、デフケース3の凹部59の径方向外側から固定部材103を穴部107と固定部105とに向けて締結することにより、作動位置検出部材13がクラッチ部材9に固定される。
このようなクラッチ装置101では、作動位置検出部材13が、クラッチ部材9の支持部15に対して、固定部材103によって径方向から固定されているので、固定部材103の頭部が軸方向に張り出すことがなく、軸方向に小型化することができる。
(第3実施形態)
図8〜図10を用いて第3実施形態について説明する。
本実施の形態に係るクラッチ装置201は、デフケース3に、内部と外部とを連通する孔部203が設けられ、固定部材103が、孔部203に臨んで配置されている。
なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
図8〜図10に示すように、デフケース3には、内部の摺動部やギヤの噛み合い部などを潤滑・冷却するための潤滑油が流入される内部と外部とを連通する孔部203が設けられている。
この孔部203に対して、クラッチ部材9の固定部105は、クラッチ部材9の凸部31をデフケース3の係合孔部33に僅かに係合させた状態、詳細には、クラッチ部材9の凸部31の軸方向端面がデフケース3の係合孔部33の開口に位置した状態で、径方向から見たときに、一致するように支持部15に設けられている。
なお、作動位置検出部材13の被支持部61の穴部107は、被支持部61が支持部15に配置された状態で、固定部105と一致する位置に設けられている。
このような固定部105と穴部107とには、被支持部61が支持部15に配置された状態で、デフケース3の孔部203の径方向外側から固定部材103が挿入され、固定部材103が穴部107を挿通して固定部105に締結され、作動位置検出部材13がクラッチ部材9に固定される。
このような作動位置検出部材13は、クラッチ部材9をデフケース3に収容し、クラッチ部材9の凸部31の軸方向端面がデフケース3の係合孔部33の開口に位置した状態で、突出部57(図7参照)とデフケース3の凹部59との位置を合わせ、被支持部61がデフケース3の係合孔部33を挿通するようにデフケース3に組付けられ、被支持部61が支持部15に配置される。
この状態から、デフケース3の孔部203の径方向外側から固定部材103を穴部107と固定部105とに向けて締結することにより、作動位置検出部材13がクラッチ部材9に固定される。
このようなクラッチ装置201では、デフケース3に、内部と外部とを連通する孔部203が設けられ、固定部材103が、孔部203に臨んで配置されているので、クラッチ部材9に対する作動位置検出部材13の組付けの自由度が向上し、組付性を向上することができる。
なお、本発明の実施の形態に係るクラッチ装置では、デフロック機能を有するデファレンシャル装置に適用されているが、これに限らず、アウタケースとデフケースとを有するフリーランニングデフなど、相対回転可能な一対の回転部材間の動力伝達を断続する構成であれば、どのような形態にも適用することができる。
また、クラッチ部材を作動させるアクチュエータは、電磁式アクチュエータとなっているが、これに限らず、モータ・ギヤ・カム機構、油圧シリンダ・ピストン機構、モータ・シフトロッド機構、エアダイアフラムなど、種々のアクチュエータを利用可能である。