JP2018095988A - 芯鞘複合フッ素樹脂系繊維とその製造方法 - Google Patents

芯鞘複合フッ素樹脂系繊維とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温下においても一定の強度を保有し、摺動性に優れたフッ素樹脂系繊維とその製造方法を提供する。【解決手段】鞘部がポリテトラフルオロエチレン樹脂、芯部が4−フッ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体樹脂で構成されており、鞘部ポリテトラフルオロエチレン樹脂と芯部4−フッ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体樹脂との複合重量比率が50wt%/50wt%〜90wt%/10wt%である芯鞘複合フッ素樹脂系繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、高温領域における引張強度の低下を抑えた、摺動性に優れるフッ素樹脂系繊維に関するものである。
ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記載することがある。)繊維に代表されるフッ素樹脂系繊維は、その優れた耐熱性、耐薬品性、あるいは摩擦係数が低く摺動性に優れることなどから、ごみ焼却場のバグフィルターや、自動車部材やコピー機等の摺動部材などの産業資材用途に広く用いられている。フッ素樹脂系樹脂にはPTFE以外にも4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4−フッ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−オレフィン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などがあるが、最も摺動性に優れているのはPTFEである。
しかしながら、PTFEは材質の特性上、高温下では引張強度が低下してしまうため、PTFE繊維を高温下で使用すると、引張強度低下により破断してしまうという懸念点がある。
一方、PFAは高温下での強度はPTFEよりも優れているが、溶融紡糸を可能とすることを目的に、PTFEに別物質を共重合させているため、摩擦係数はPTFE対比で高くなってしまう。
また、特許文献1には、カーボンブラックを含有するPTFEの導電層と、PTFE非導電層からなり、導電層が一部露出した複合繊維構造を有する導電性PTFE繊維とすることで、低摩擦特性、耐熱性、耐薬品性、耐蒸熱性に優れると共に、導電性を有し、更に繊維強度が高い導電性PTFE繊維を得られることが特許文献1に記載されている。
特開2011−162928号公報
しかしながら特許文献1記載の導電性PTFE繊維は高温下での強度という点では未だ改良が望まれるものであった。
本発明の技術的課題は、上記従来技術における問題点を解消し、高温下においても一定の強度を保有している、摺動性に優れたフッ素樹脂系繊維とその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために、下記[1]〜[4]のいずれかの構成を有する。
[1]鞘部がPTFE樹脂で、芯部がPFA樹脂で構成されており、鞘部PTFE樹脂と芯部PFA樹脂との複合重量比率が50wt%/50wt%〜90wt%/10wt%であることを特徴とする芯鞘複合フッ素樹脂系繊維。
[2]単繊維繊度が1dtex以上20dtex以下である[1]記載の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維。
[3]強度が25℃で0.8〜3.0cN/dtexである[1]または[2]記載の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維。
[4]200℃の条件下での強度が0.5〜1.5cN/dtexである[1]〜[3]のいずれか記載の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維。
また、上述した目的を達成するために、本発明の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維の製造方法は、下記[5]の構成を有する。
[5]PTFE樹脂分散液及びマトリックスポリマーの混合紡糸原液[a]と、PFA樹脂分散液及びマトリックスポリマーの混合紡糸原液[b]とを、芯鞘複合紡糸口金を用い、前記PTFE樹脂混合紡糸原液[a]を鞘部、前記PFA樹脂混合紡糸原液[b]を芯部として複合紡糸した後、焼成、延伸を行うマトリックス紡糸法により、上記[1]記載の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維を製造することを特徴とする芯鞘複合フッ素樹脂系繊維の製造方法。
本発明によれば、低摩擦特性、耐熱性、耐薬品性に優れるとともに、高温下においても強度を保持したPTFE/PFAで構成された芯鞘複合フッ素樹脂系繊維が得られる。かかる芯鞘複合フッ素樹脂系繊維はマトリックス紡糸法によって工業的に製造することができる。
以下に本発明の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維とその製造方法の詳細について説明する。
本発明において、芯鞘複合フッ素樹脂系繊維は芯鞘構造を有しており、鞘部にポリマー鎖が実質的にテトラフルオロエチレン単位のみで構成されているPTFE樹脂を用いることで、繊維表面の摩擦係数は低くなり、摺動材として優れた性能を発揮する。また、芯部にはテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシビニルエーテルの共重合体であるPFA樹脂を用いることにより、高温下においても引張強度の低下が抑えられるため、高温下でも破断する懸念がない。
本発明の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維は、マトリックス紡糸法により製造されることが好ましい。PTFE繊維の製造方法には、マトリックス紡糸法以外に、スプリット剥離法、ペースト押出し法などが知られているが、スプリット剥離法あるいはペースト押出し法によって得られる繊維では、細かく切り裂いて繊維を製造するために断面は扁平形状となる。しかも繊度がランダムであって均一性に劣り、安定した繊維物性を得ることが難しく、また、芯鞘複合形態を得ることも工業的には極めて困難であるため、本発明に係るフッ素樹脂系繊維を得るには、マトリックス紡糸法が好ましく用いられる。
マトリックス紡糸法は、ビスコースなどをマトリックスとして用い、マトリックスとフッ素樹脂の水分散液との混合液を凝固浴中に吐出して繊維化し、次いで精練した後、焼成を行う製法である。フッ素樹脂の融点以上で焼成することで、マトリックスポリマーの大部分を焼成飛散させながら、フッ素樹脂を溶融し、粒子間を融着することではじめてその後の延伸性が付与される。上記の焼成後、得られた未延伸糸は直接1ステップもしくは2ステップに分けて延伸される。また、この製法により得られるフッ素樹脂系繊維は物性が均一な繊維が得られる。
本発明において、PTFE樹脂を含有する紡糸原液[a]とPFA樹脂を含有する紡糸原液[b]にて芯鞘構造を形成して凝固浴中に吐出される。その際PTFE層[A]は鞘部、PFA層[B]は芯部となる。
本発明におけるPTFE層[A]とPFA層[B]との複合重量比率は、繊維全体の重量を100wt%とした場合、[A]/[B]は50wt%/50wt%〜90wt%/10wt%が好ましく、さらには50wt%/50wt%〜70wt%/30wt%が好ましい。主として[B]は高温下での繊維強度の付与を目的とし、かつ、[A]は室温での繊維強度を付与することを目的としているため、上記した複合比率が好ましい。[A]の複合重量比率が50%未満であると強度が低くなり、一般に0.8cN/dtex以上のレベルの繊維強度を得ることが難しくなる。また[B]の複合比率が10%未満であると、高温下での強度が0.5cN/dtex未満となるため好ましくない。
本発明の高分子量フッ素樹脂系繊維の単糸繊度は、1〜20dtexの範囲であることが好ましい。単糸繊度が1dtex未満の細繊度品は、細すぎるため糸の強力が弱くなり、フェルトや織物などの加工が困難となる。一方、単糸繊度が20dtex以上の太繊度品は、マトリックス紡糸法において、マトリックス材を焼き飛ばしPTFE粒子を焼結させるための焼成工程の効率が悪化する傾向がある。
本発明のフッ素樹脂系繊維は、25℃での強度が0.8〜3.0cN/dtexの範囲であることが好ましい。強度が0.8cN/dtexより低いと、フェルトや織物を生産する際に糸切れが多くなり加工性が悪くなることや、摺動材として用いる際に布帛が破れやすくなる傾向がある。また強度が3.0cN/dtexを上回ることについて品質面での問題はないが、焼成工程での長時間の熱処理が必要となることや、通常より高倍率での延伸が必要になること、延伸温度の多少の変動によっても糸切れが多発しやすくなるなど、製造プロセス上の問題が多くなることがある。
また高温下(200℃)での強度としては0.5〜1.5cN/dtexの範囲であることが好ましい。強度が0.5cN/dtexより低いと、フェルトや織物を高温下にさらすことで破れやすくなる傾向がある。また強度が1.5cN/dtexを上回ることについて品質面での問題はないが、上記と同様に焼成工程での長時間の熱処理が必要となるなど、製造プロセス上の問題が多くなることがある。
本発明の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維は、例えば、紡糸原液[a]としてビスコースとPTFE水分散液との混合液を準備し、また、紡糸原液[b]としてビスコースとPFA水分散液との混合液を準備し、これら紡糸原液[a]、[b]とを硫酸濃度7〜13%、硫酸ソーダ濃度7〜15%を含有する凝固浴中に複数の複合紡糸口金から吐出し、紡糸、精錬した後、1〜5%のリラックスを与えながら80℃以上320℃未満の温度で半焼成した後、320〜380℃の温度で焼成を行い、いったん巻き取るか、もしくはそのまま延伸することにより製造することが好ましい。
マトリックスポリマーとして用いるビスコースは、通常、レーヨンの製造に用いられているものであればよい。すなわちセルロース濃度5〜10wt%、アルカリ濃度4〜10wt%、二硫化炭素27〜32wt%(セルロースに対し)であるビスコースを使用することが好ましい。
本発明で紡糸原液を調製する際に用いるPTFEおよびPFA水分散液は、フッ素樹脂濃度が50〜70wt%であり、かつ、安定剤として非イオン活性剤またはアニオン活性剤をフッ素樹脂に対して3〜10wt%含有するものが好ましい。また、フッ素樹脂水分散液の分散粒子の大きさは0.5μm以下であるものが好ましく、より好ましくは0.3μm以下のものである。
この紡糸原液[a]および[b]は、脱泡された後に複合紡糸に供されるが、脱泡時の温度が高すぎるとビスコースが凝固してしまう懸念、また水分が蒸発しフッ素樹脂が凝集してしまう懸念がある。そのため、脱泡時は15℃以下の低温に制御することが好ましい。その際の真空度は約1300Pa程度が好ましい。 次に、これらの紡糸原液[a]および[b]は、複合紡糸口金中で芯鞘複合構造に複合され、凝固浴中に浸漬した複数の複合口金より吐出され、凝固浴中で凝固される。
凝固浴としては、無機鉱酸または無機塩の水溶液が用いられるが、本発明では硫酸と硫酸ソーダとを含有する混合水溶液を用いるのが好ましい。
このとき硫酸濃度は7〜13wt%が好ましい。硫酸濃度が7wt%未満であると凝固浴中で糸条が凝固する速度が非常に遅くなるため、製造能力の低下または浸漬ラインを長くする必要があり好ましくない。一方、硫酸濃度が13wt%を超えると繊維表面に付着した硫酸が脱酸されにくく焼成工程で糸切れが多発する。
硫酸ソーダ濃度は7〜15wt%に調整することが好ましい。硫酸ソーダはセルロースの急激な凝固を抑制する。硫酸ソーダ濃度が7wt%未満の場合、凝固浴中で糸条が凝固する速度が非常に速くなり、繊維断面のコントロールが困難となるので好ましくない。一方、硫酸ソーダ濃度が15wt%を越えると、凝固浴中で糸条が凝固する速度が非常に遅くなるため、繊維断面のコントロールが困難となるので好ましくない。凝固浴として、上記した硫酸濃度および硫酸ソーダ濃度の両方を上記した特定の範囲内で含有する混合水溶液を用いることは、均一なフッ素樹脂系繊維を製造するために効果的である。
凝固された繊維は、次いで、精練された後、半焼成、焼成を行われる。精練としては、アルカリ塩を含有するアルカリ水溶液による洗浄を行うことが好ましい。かかるアルカリ洗浄浴には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩から選ばれた化合物の水溶液が用いられるが、一般にはアルカリ金属塩の水溶液、中でも苛性ソーダ水溶液が好適に用いられる。これらアルカリ塩の濃度は0.08wt%以上0.18wt%以下が好ましい。より好ましくは、0.10wt%以上0.16wt%以下である。0.08wt%未満であると焼成時にセルロースが分解しにくく、その結果、焼成後の繊維に分解しきれないセルロース分が多く残存し、その後の延伸がしにくくなり、延伸工程で糸切れが頻発する傾向となる。一方、0.18wt%を超えるとアルカリ洗浄時にセルロースが溶けだし、アルカリ浴中やガイドにカスが溜まりやすくなる。また、半焼成・焼成工程に入る際の未延伸糸強度が低くなり、工程通過トラブルが発生しやすくなるので好ましくない。
更にアルカリ浴の温度は20℃以下が好ましい。より好ましくは15℃以下である。アルカリ浴温度が20℃を超えた場合もアルカリ濃度が高すぎる場合と同様にアルカリ洗浄にセルロースが溶け出し、アルカリ浴中やガイドにカスが溜まりやすくなる他、半焼成・焼成工程に入る際の未延伸糸強度が低くなり、工程通過トラブルが発生しやすくなるので好ましくない。
精練に次いで、半焼成を行う。半焼成には接触タイプの焼成ローラまたは非接触タイプの焼成ヒーターを用いることができるが、好ましくは、接触タイプの焼成ローラを用いる。精練浴やアルカリ浴から導出された未延伸糸をそのままもしくはニップローラなどで絞った後、焼成ローラ間で1〜5%のリラックスを与えながら80℃以上320℃未満の温度に保った接触タイプの半焼成工程を通過させることにより半焼成を行えばよい。80℃以上320℃未満の温度に保った接触タイプの半焼成工程においてローラに導かれた未延伸糸はローラ上で急速に収縮し張力を増す。リラックス率が1%未満であれば張力が高くなりすぎて均一な繊維断面を保つことが困難となり、また、収縮による糸切れが多発しやすい。リラックス率が5%を超えるほどに高すぎると糸が弛み工程通過性に問題が生じやすい。ただし、そのリラックスは、半焼成に入った直後のローラ間に1回だけ与えるのでもよいし、さらに、半焼成工程のローラ間や焼成工程のローラ間においても与えることでもよい。半焼成工程は、次いで行う焼成工程に入る前に行われる。半焼成工程のローラ温度が80℃より低い場合は、次いで行う焼成工程で一気に繊維に熱がかかるため繊維断面が変形もしくは単糸間で融着が発生する。一方、320℃より高い場合は、半焼成工程で一気に繊維に熱がかかるため、繊維断面が変形もしくは単糸間での融着が発生しやすい。従って、半焼成工程のローラは80℃以上320℃未満の温度、より好ましくは150℃以上320℃未満である。このとき、各ローラ温度は単独で変更してもよい。また、焼成ローラの温度は上記範囲内で個々に異ならせてもよい。
次いで、半焼成された糸は320℃以上380℃以下の温度で焼成される。この段階で
セルロースの大部分は分解されて気化飛散するので、セルロース中に分散していたフッ素樹脂粒子は熱融着して繊維状となりフッ素樹脂未延伸糸が得られる。焼成温度が320℃より低いと繊維内のフッ素樹脂粒子同士の融着が不十分で、焼成後の延伸時に糸切れが頻発し、繊維強度も低くなり、好ましくない。一方、焼成温度が380℃を超えると繊維断面形状が変形し、均一な断面形状が得られないし、単糸間の融着が生じ製品の開繊性に悪影響を及ぼす。さらには、フッ素樹脂が熱分解し、焼成後の延伸時に糸切れが頻発し、繊維強度も低くなり好ましくない。焼成時の各ローラ温度は単独で変更してもよい。また、上記範囲内であれば特に限定なく設定できる。
焼成して得られるフッ素樹脂未延伸糸は、いったん巻き取った後に延伸してもよいし、また、巻き取ることなく続けて延伸してもよい。延伸は300℃以上400℃以下の温度での熱延伸により行われ、フッ素樹脂延伸糸が得られる。
フッ素樹脂延伸糸は、必要に応じ、通常の捲縮付与方法、例えばスタッフィングボックスで捲縮付与され、その後、所望の長さに切断されフッ素樹脂短繊維が製造される。
本発明のフッ素樹脂系繊維は、布帛、織編物、不織布、フェルト、あるいはマットなどのいずれにでも加工することができ特に限定されないが、本発明のフッ素樹脂系繊維は従来のフッ素樹脂系繊維製品と同等の低摩擦特性を保ちながら、高温下でも強度低下することがないため、特に高温下で使用するバグフィルターや、摩擦熱が多く発生する摺動部材に好適に使用することが期待できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、繊維の各物性はJIS L 1013:2010「化学繊維フィラメント糸試験方法」に準じて測定した。マルチフィラメントの繊度測定についてはB法(簡便法)を適用し、単繊維繊度についてはマルチフィラメントの繊度をフィラメント数で割ることで算出した。強度測定については標準時試験方法を適用し、恒温試験装置内にて25℃および200℃での測定を実施した。
[実施例1]
ビスコース(セルロース濃度8wt%、アルカリ濃度6wt%)を用い、PTFE水分散体(PTFE濃度60wt%)と50wt%/50wt%の重量比で混合させた紡糸原液[a]と、PFA水分散体(PFA濃度50wt%)と40wt%/60wt%の重量比で混合させた紡糸原液[b]を準備し、芯鞘型複合口金を用い、紡糸原液[a]を鞘、紡糸原液[b]を芯として、複合割合50wt%/50wt%(重量比)で複合紡糸した。複合紡糸された紡出糸を、硫酸濃度9%、硫酸ソーダ濃度11%の浴中で精練した後、3%のリラックスを与えながら250℃の温度で半焼成し、次いで、350℃の温度で焼成を行った。いったん巻き取った後、7倍の延伸倍率で延伸し、単糸繊度8dtex(900dtex−120フィラメント)である複合マルチフィラメントを作製した。得られた繊維の強度は25℃で1.0cN/dtexであり、200℃では0.7cN/dtexであった。
得られたマルチフィラメントについては、縦:20本/インチ(2.54cm)、横:20本/インチ(2.54cm)の織密度にて平織りして、目付け250g/mの織物とした後、CUSTOM摩耗試験機にて耐摩耗性を測定した。その際恒温試験装置を用いて、測定環境温度を200℃とし、JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験法」の、8.19 A−1法にもとづいて7mmの穴が開くまでの摩耗回数を測定した結果、摩耗回数は115回であった。
[実施例2]
紡糸原液[a]を鞘、紡糸原液[b]を芯として、複合割合90wt%/10wt%(重量比)で複合紡糸した以外は、実施例1と同様にして単糸繊度8dtex(950dtex−120フィラメント)である複合マルチフィラメントを作製した。得られた繊維の強度は25℃で1.2cN/dtexであり、200℃では0.5cN/dtexであった。
得られたマルチフィラメントについては、実施例1と同様に200℃での耐摩耗性を測定した結果、摩耗回数は94回であった。
[比較例1]
紡糸原液[a]を鞘、紡糸原液[b]を芯として、複合割合95wt%/5wt%(重量比)で複合紡糸した以外は、実施例1と同様にして単糸繊度8dtex(1000dtex−120フィラメント)である複合マルチフィラメントを作製した。得られた繊維の強度は25℃で1.3cN/dtexであったが、200℃では0.4cN/dtexと大きな強度低下が認められた。
得られたマルチフィラメントについては、実施例1と同様に200℃での耐摩耗性を測定した結果、摩耗回数は57回であった。
[比較例2]
紡糸原液[a]を鞘、紡糸原液[b]を芯として、複合割合40wt%/60wt%(重量比)で複合紡糸した以外は、実施例1と同様にして単糸繊度7dtex(790dtex−120フィラメント)である複合マルチフィラメントの作製を試みたが、強度低下と考えられる延伸での糸切れが多発したため、複合マルチフィラメントは得られなかった。
本発明の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維は低摩擦特性を有し、かつ、高温下でも強度低下することがないため、バグフィルターや摺動部材としての幅広い展開が期待できる。

Claims (5)

  1. 鞘部がポリテトラフルオロエチレン樹脂、芯部が4−フッ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体樹脂で構成されており、鞘部ポリテトラフルオロエチレン樹脂と芯部4−フッ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体樹脂との複合重量比率が50wt%/50wt%〜90wt%/10wt%である芯鞘複合フッ素樹脂系繊維。
  2. 単繊維繊度が1dtex以上20dtex以下である請求項1記載の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維。
  3. 強度が25℃で0.8〜3.0cN/dtexである請求項1または2記載の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維。
  4. 200℃の条件下での強度が0.5〜1.5cN/dtexである請求項1〜3のいずれか記載の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維。
  5. ポリテトラフルオロエチレン樹脂分散液及びマトリックスポリマーの混合紡糸原液[a]と、4−フッ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体樹脂分散液及びマトリックスポリマーの混合紡糸原液[b]とを、芯鞘複合紡糸口金を用い、前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂混合紡糸原液[a]を鞘部、前記4−フッ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体樹脂混合紡糸原液[b]を芯部として複合紡糸した後、焼成、延伸を行うマトリックス紡糸法により、請求項1〜4のいずれか記載の芯鞘複合フッ素樹脂系繊維を製造することを特徴とする芯鞘複合フッ素樹脂系繊維の製造方法。
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