JP2018095871A - フェノール樹脂発泡体及びフェノール樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂発泡体及びフェノール樹脂発泡体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変形を抑制したフェノール樹脂発泡体、及びその製造方法。
【解決手段】ハロゲン化不飽和炭化水素を含む発泡剤を含有するフェノール樹脂の発泡層を備え、前記発泡層の圧縮弾性率が3.0MPa以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。前記発泡層の厚さ方向を二等分した断面における平均気泡径が50μm以上150μm以下であることが好ましい。前記発泡層の厚さ方向を二等分した断面における気泡径の標準偏差が35μm以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂発泡体及びフェノール樹脂発泡体の製造方法に関する。
フェノール樹脂発泡体は、難燃性、耐熱性、耐薬品性、耐腐食性等に優れることから、断熱材として種々の分野で採用されている。例えば建築分野では、合成樹脂建材、特に壁板内装材として、フェノール樹脂発泡体が採用されている。
フェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂、発泡剤等を含むフェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてなる。発泡剤としては、地球温暖化係数(GWP)の小さいハロゲン化不飽和炭化水素が好ましく用いられる。しかし、ハロゲン化不飽和炭化水素は、フェノール樹脂と混合するとフェノール樹脂組成物の粘度が低下し、発泡時の気泡が粗大化したり、破泡したりしやすくなる。気泡が粗大化すると、フェノール樹脂発泡体の圧縮弾性率が低下し、断熱材として施工するときに、ビスがフェノール樹脂発泡体に沈み込んでしまい、しっかりと固定できない問題がある。
特許文献1には、中間発泡層の気泡の大きさの分布のバラツキを小さくすることで断熱特性の経時劣化を抑制した樹脂発泡体が提案されている。
特開2002−292651号公報
しかしながら、特許文献1では、樹脂発泡体の変形を抑制することについては考慮がなされていない。
そこで、本発明は、変形を抑制したフェノール樹脂発泡体、及びその製造方法を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1]ハロゲン化不飽和炭化水素を含む発泡剤を含有するフェノール樹脂の発泡層を備え、前記発泡層の圧縮弾性率が3.0MPa以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。
[2]前記発泡層の厚さ方向を二等分した断面における平均気泡径が50μm以上200μm以下であることを特徴とする、[1]に記載のフェノール樹脂発泡体。
[3]前記発泡層の厚さ方向を二等分した断面における気泡径の標準偏差が35μm以下であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のフェノール樹脂発泡体。
[4]前記発泡層の圧縮弾性率と、前記発泡層の厚さ方向を二等分した断面における平均気泡径と、前記断面における気泡径の標準偏差とが、下記式(1)を満たすことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体。
圧縮弾性率(MPa)÷平均気泡径(μm)÷気泡径標準偏差(μm)×10000 ≧ 10・・・(1)
[5][1]〜[4]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法であって、フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を加熱して、発泡し、硬化させる発泡硬化工程と、前記発泡硬化工程の後、前記発泡性フェノール樹脂組成物を乾燥し、さらに硬化させる養生工程と、を有し、前記発泡硬化工程と、前記養生工程との間に、前記発泡性フェノール樹脂組成物を冷却する冷却工程をさらに有することを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法。
[6]前記発泡硬化工程における雰囲気温度と、前記冷却工程における雰囲気温度との温度差が5℃以上であることを特徴とする、[5]に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
本発明によれば、変形を抑制したフェノール樹脂発泡体、及びその製造方法を提供できる。
[フェノール樹脂発泡体]
本発明のフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡し、硬化させてなるものである。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、前記発泡性フェノール樹脂組成物を発泡し、硬化させてなる発泡層を備える。
発泡性フェノール樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒以外の他の成分をさらに含んでもよい。
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂としては、レゾール型のものが好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノール及びこれらの変性物等が挙げられる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。
アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。ただしフェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されるものではない。フェノール樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
フェノール化合物とアルデヒドとの割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1〜1:3であり、より好ましくは1:1.3〜1:2.5である。
<発泡剤>
本発明のフェノール樹脂発泡体は、ハロゲン化不飽和炭化水素を含む発泡剤を含有する。
ハロゲン化不飽和炭化水素は、分子内に炭素−炭素二重結合とハロゲン原子を有する。
ハロゲン化不飽和炭化水素としては、フッ素化不飽和炭化水素、塩素化不飽和炭化水素、塩素化フッ素化不飽和炭化水素、臭素化フッ素化不飽和炭化水素、ヨウ素化フッ素化不飽和炭化水素等が挙げられる。
ハロゲン化不飽和炭化水素としては、発泡剤として公知のものを用いることができ、典型的には、沸点−28〜80℃のものが挙げられる。
ハロゲン化不飽和炭化水素の熱伝導率は、0.013W/m・K以下が好ましく、0.011W/m・K以下がより好ましい。
ハロゲン化不飽和炭化水素の炭素数は、2〜6が好ましく、2〜5がより好ましい。
ハロゲン化不飽和炭化水素としては、例えば、分子内に炭素−炭素二重結合とハロゲン原子を有しているフッ素化不飽和炭化水素、塩素化フッ素化不飽和炭化水素、臭素化フッ素化不飽和炭化水素等が挙げられ、中でも、ハロゲン化不飽和炭化水素としては、フッ素化不飽和炭化水素、塩素化フッ素化不飽和炭化水素等、フッ素原子を有するものが好ましい。ハロゲン化不飽和炭化水素は、水素の全てがハロゲンで置換されたものでもよいし、水素の一部がハロゲンで置換されたものでもよい。
これらのハロゲン化不飽和炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
フッ素化不飽和炭化水素としては、分子内にフッ素と炭素−炭素二重結合とを有するヒドロフルオロオレフィン(以下、「HFO」ともいう。)が挙げられる。HFOとしては、例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)(E及びZ異性体)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO1336mzz)(E及びZ異性体)(SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300−3−Z6)等の特表2009−513812号公報等に開示されるものが挙げられる。
これらのフッ素化不飽和炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
塩素化フッ素化不飽和炭化水素としては、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)(E及びZ異性体)(HoneyWell社製、商品名:SOLSTICE
LBA)、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yd)(E及びZ異性体)、1−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zb)(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xe)(E及びZ異性体)、2−クロロ−2,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xc)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)(SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300−7−09)、3−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233ye)(E及びZ異性体)、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yc)、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223xd)(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(E及びZ異性体)、及び2−クロロ−1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン(E及びZ異体)等が挙げられる。
これらの塩素化フッ素化不飽和炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、ハロゲン化不飽和炭化水素以外の他の発泡剤を含有してもよい。ハロゲン化不飽和炭化水素以外の他の発泡剤としては、例えば、ジクロロエタン、イソプロピルクロライド等のハロゲン化飽和炭化水素;プロパン、ノルマルブタン、イソペンタン、シクロペンタン等の飽和脂肪族炭化水素;ジメチルエーテル等のエーテル類;炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;アゾジカルボン酸アミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の化学発泡剤;多孔質固体材料等が挙げられる。これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡性フェノール樹脂組成物中の発泡剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、1質量部以上25質量部以下が好ましく、3質量部以上15質量部以下がより好ましく、5質量部以上12質量部以下がさらに好ましい。上記下限値以上であると、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡の程度が十分となり、フェノール樹脂発泡体の断熱性を高められやすい。上記上限値以下であると、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡の程度を抑制でき、フェノール樹脂発泡体の圧縮弾性率を高められやすい。
<酸触媒>
酸触媒は、フェノール樹脂の重合を開始させるために使用される。
酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡性フェノール樹脂組成物中の酸触媒の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、5質量部以上30質量部以下が好ましく、8質量部以上25質量部以下がより好ましく、10質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。上記上限値より多い量だと、フェノール樹脂の吸水量が悪化する。上記下限値未満であると、フェノール樹脂の重合反応が遅く、製造時間が長くなる。
<任意成分>
発泡性フェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒以外の成分(任意成分)を含有してもよい。任意成分としては、界面活性剤、発泡核剤、尿素、充填剤(充填材)、可塑剤、架橋剤、有機溶媒、アミノ基含有有機化合物、着色剤等が挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、気泡径(セル径)の微細化に寄与する。
界面活性剤としては、特に限定されず、整泡剤等として公知のものを使用できる。例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
界面活性剤は、気泡径の小さい気泡を形成しやすい点で、ひまし油アルキレンオキシド付加物及びシリコーン系界面活性剤のいずれか一方又は両方を含むことが好ましく、熱伝導率をより低く、難燃性をより高くできる点で、シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド(以下、「EO」と略記する。)、プロピレンオキシド(以下、「PO」と略記する。)がより好ましく、EOがさらに好ましい。ひまし油に付加するアルキレンオキシドは1種でもよく2種以上でもよい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物としては、ひまし油EO付加物、ひまし油PO付加物が好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドの付加モル数は、ひまし油1モルに対し、20モル超60モル未満が好ましく、21〜40モルがより好ましい。かかるひまし油アルキレンオキシド付加物においては、ひまし油の長鎖炭化水素基を主体とする疎水性基と、所定付加モルのアルキレンオキシド(EO等)によって形成されたポリオキシアルキレン基(ポリオキシエチレン基等)を主体とする親水性基とが、分子内でバランス良く配置されて、良好な界面活性能が発揮される。このため、フェノール樹脂発泡体の気泡径が小さくなる。また、フェノール樹脂発泡体の気泡壁に柔軟性が付与されて、亀裂の発生が防止される。
シリコーン系界面活性剤としては、例えばジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のオルガノポリシロキサン系化合物が挙げられる。中でも、より均一でより微細な気泡を得られる点で、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体が好ましい。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体の構造は、特に限定されず、例えば、シロキサン鎖の両方の末端にポリエーテル鎖が結合したABA型、複数のシロキサン鎖と複数のポリエーテル鎖が交互に結合した(AB)n型、分岐状のシロキサン鎖の末端のそれぞれにポリエーテル鎖が結合した枝分かれ型、シロキサン鎖に側基(末端以外の部分に結合する基)としてポリエーテル鎖が結合したペンダント型等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、例えば、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体が挙げられる。
ポリオキシアルキレンにおけるオキシアルキレン基の炭素数は、2又は3が好ましい。
ポリオキシアルキレンを構成するオキシアルキレン基は、1種でもよく2種以上でもよい。
ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体の具体例としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシプロピレン共重合体、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、末端が−OR(式中、Rは、水素原子又はアルキル基である。)であるポリエーテル鎖を有するものが好ましく、熱伝導率をより低くできる点で、Rが水素原子であるものが特に好ましい。
発泡性フェノール樹脂組成物中の界面活性剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、1質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上5質量部以下がより好ましい。界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、気泡径が均一かつ微細になりやすい。上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡体の吸水性が低くなり、また、製造コストも抑えられる。
発泡性フェノール樹脂組成物中、発泡剤:界面活性剤で表される質量比は、例えば、1:1〜6:1が好ましい。発泡剤と界面活性剤との質量比が上記範囲内であれば、発泡剤をフェノール樹脂中に均一に分散して、微細な気泡を形成できる。発泡剤の比率が上記下限値以上であると、発泡性フェノール樹脂組成物を十分に発泡しやすい。発泡剤の比率が上記上限値以下であると、発泡性フェノール樹脂組成物中の発泡剤を十分に分散しやすい。
(発泡核剤)
発泡核剤としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等の低沸点物質が挙げられる。発泡核剤を用いることで、フェノール樹脂発泡体中の気泡をより均一かつ微細にできる。
発泡性フェノール樹脂組成物中の発泡核剤の含有量は、発泡剤に対して、0.05mol%以上5mol%以下が好ましい。
(尿素)
尿素は、発泡性フェノール樹脂組成物を発泡成形して発泡体を製造する際、ホルムアルデヒドを捕捉するホルムアルデヒドキャッチャー剤として用いられる。
(充填剤)
充填剤としては、熱伝導率及び酸性度が低く、かつ防火性が高められたフェノール樹脂発泡体を得られる点で、無機フィラーが好ましい。
無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン等の金属の水酸化物や酸化物、亜鉛等の金属粉末;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、マイカ、タルク、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。これらの無機フィラーは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡性フェノール樹脂組成物中の充填剤の含有量は、pHが3以上7未満となる量が好ましく、4以上6未満となる量がより好ましく、5以上6未満となる量がさらに好ましい。例えば、充填剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、1質量部以上20質量部以下がより好ましく、3質量部以上15質量部以下がさらに好ましく、5質量部以上10質量部以下が特に好ましい。充填剤の含有量が上記下限値以上であると、フェノール樹脂発泡体のpHが低くなることを抑制しやすい。pHが低くなることを抑制すると、酸性度を抑制できるため、フェノール樹脂発泡体と接触する資材の腐食を抑制しやすい。充填剤の含有量が上記上限値以下、若しくはpHが7未満となる量では、酸触媒による硬化反応が進行しやすく、生産性を向上しやすい。
[発泡性フェノール樹脂組成物の製造方法]
発泡性フェノール樹脂組成物は、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒及び必要に応じて任意成分を混合することにより調製される。
各成分の混合順序は特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂に必要に応じて任意成分を加え混合し、得られた混合物に、発泡剤、酸触媒を添加し、この組成物をミキサーに供給して攪拌して、発泡性フェノール樹脂組成物を調製する。
[フェノール樹脂発泡体の製造方法]
発泡性フェノール樹脂組成物を発泡し、硬化させることにより、本発明のフェノール樹脂発泡体を製造できる。
フェノール樹脂発泡体は、公知の製造方法により製造される。例えば、フェノール樹脂発泡体は、発泡性フェノール樹脂組成物を加熱して、発泡し、硬化させる発泡硬化工程と、前記発泡硬化工程の後、前記発泡性フェノール樹脂組成物を乾燥し、さらに硬化させる養生工程とを有するフェノール樹脂発泡体の製造方法で製造することができる。さらに、前記発泡硬化工程と、前記養生工程との間に、前記発泡性フェノール樹脂組成物を冷却する冷却工程を有する。
なお、本実施形態において、発泡硬化工程は、発泡性フェノール樹脂組成物の過度の発泡を抑制するために、加熱時間を短めに設定している。発泡硬化工程後の発泡性フェノール樹脂組成物は、十分に硬化していない可能性がある。そこで、養生工程を設けて、発泡性フェノール樹脂組成物を硬化させている。
<発泡硬化工程>
発泡硬化工程は、発泡性フェノール樹脂組成物を加熱して、発泡し、硬化させる工程である。発泡硬化工程は、例えば、発泡炉で行われる。
発泡硬化工程における雰囲気温度は、30℃以上95℃以下が好ましく、40℃以上90℃以下がより好ましく、50℃以上85℃以下がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡を適度に進行しやすくできる。上記上限値以下とすることで、発泡性フェノール樹脂組成物の過度の発泡を抑制できる。
このとき発泡性フェノール樹脂組成物の表面温度を30℃以上90℃以下にすることが好ましく、40℃以上85℃以下にすることがより好ましく、50℃以上80℃以下にすることがさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡を適度に進行しやすくできる。上記上限値以下とすることで、発泡性フェノール樹脂組成物の過度の発泡を抑制できる。
また、このとき発泡性フェノール樹脂組成物の中央部(厚さ方向中心付近)の温度を35℃以上90℃以下にすることが好ましく、45℃以上85℃以下にすることがより好ましく、55℃以上80℃以下にすることがさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡を適度に進行しやすくできる。上記上限値以下とすることで、中央部のセルの気泡径の粗大化を抑制できる。
なお、中央部の温度と表面温度との温度差は、10℃以下が好ましく、8℃以下がより好ましく、5℃以下がさらに好ましく、最も好ましくは0℃である。温度差が上記範囲内であれば、セルの気泡径を均一にしやすい。セルの気泡径が均一であると、フェノール樹脂発泡体の圧縮弾性率が高められやすい。
発泡硬化工程における発泡性フェノール樹脂組成物の加熱時間は、200秒以上400秒以下が好ましく、250秒以上350秒以下がより好ましい。上記下限値以上とすることで、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡を適度に進行しやすくできる。上記上限値以下とすることで、発泡性フェノール樹脂組成物の過度の発泡を抑制できる。
発泡性フェノール樹脂組成物の表面及び中央部の温度は以下のように測定される。
発泡性フェノール樹脂組成物を吐出するときに、ボタン型温度ロガー(KNラボラトリーズ社製 スーパーサーモクロン)をそれぞれ、上部、中央部、下部に設置する。上部は、上側の面材に両面テープで貼り付け、下部は、下側の面材に両面テープで貼り付ける。中央部は、発泡性フェノール樹脂組成物の厚さの中央になるように架台を設置し、その架台にロガーを両面テープで貼り付け、架台の脚部を下側の面材の上面(樹脂組成物と接する面)に固定する。発泡硬化工程における、発泡性フェノール樹脂組成物の各部位の最高温度をボタン型温度ロガーで測定する。測定間隔は2秒とする。
発泡成形してフェノール樹脂発泡体を製造する際、面材を設けてもよい。
面材としては、特に制限されず、ガラス繊維不織布、ガラス繊維混抄紙、ポリエステル・ポリプロピレン・ナイロン等からなる合成繊維不織布、スパンボンド不織布、アルミニウム箔張不織布、金属板、金属箔、合板、珪酸カルシウム板、石膏ボードおよび木質系セメント板の中から選ばれる少なくとも1種が好適である。
面材の厚さは、特に限定されないが、例えば、ポリエステル不織布等の合成繊維不織布の場合には0.1mm以上0.25mm以下が好ましい。ガラス繊維混抄紙等の紙類の場合には0.1mm以上1.0mm以下が好ましい。ガラス繊維不織布の場合には0.1mm以上1.0mm以下が好ましい。
面材の目付は、特に限定されないが、合成繊維不織布を用いる場合には、15g/m以上200g/m以下であることが好ましく、15g/m以上150g/m以下であることがより好ましく、15g/m以上100g/m以下であることがさらに好ましく、15g/m以上80g/m以下であることが特に好ましく、15g/m以上60g/m以下であることが最も好ましい。
ガラス繊維混抄紙を用いる場合には、目付は30g/m以上300g/m以下であることが好ましく、50g/m以上250g/m以下であることがより好ましく、60g/m以上200g/m以下であることがさらに好ましく、70g/m以上150g/m以下であることが特に好ましい。
ガラス繊維不織布を用いる場合には、目付は15g/m以上300g/m以下であることが好ましく、20g/m以上200g/m以下であることがより好ましく、30g/m以上150g/m以下であることがさらに好ましい。
面材がガラス繊維混抄紙である場合には、面材の目付に対するガラス繊維の含有量は10質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましい。ガラス繊維の含有量が上記下限値以上であると、フェノール樹脂発泡体の難燃性のさらなる向上を図れる。ガラス繊維の含有量が上記上限値以下であると、フェノール樹脂発泡体と面材との剥離強度を十分に高められる。
なお、ガラス繊維混抄紙の残りの主成分はセルロース繊維であり、そのほかに結合剤、無機充填剤、着色剤などを含んでいても良い。
面材が合成繊維不織布である場合には、凹凸形状のいわゆるエンボス(熱圧着固定部分)が形成されることが好ましい。エンボスが形成された面材を用いることで、面材と発泡性樹脂組成物の接着性がより高められる。
エンボスのパターン(柄)としては、特に限定されないが、例えば、マイナス柄、ポイント柄、織り目柄等が挙げられる。エンボスによる凹凸形状が大きく、発泡層との接着性をより高められる点から織り目柄またはマイナス柄が好ましい。
合成繊維不織布にエンボス加工を施すには、例えば、公知のスパンボンド法で、紡口直下の冷却条件により発現させた捲縮長繊維ウェブを熱エンボスロールで部分熱圧着させる製造方法や、潜在捲縮長繊維ウェブを熱処理により捲縮させて熱エンボスロールで部分熱圧着させる製造方法が挙げられる。
エンボス加工の際に形成された熱圧着固定部分において、熱圧着固定部分1箇所当たりの面積は0.05mm以上5.0mm以下が好ましく、0.07mm以上3.0mm以下がより好ましい。この範囲内の面材を用いることで、熱圧着固定部分により発泡性樹脂組成物の滲み出しを抑えつつ、発泡性樹脂組成物と面材との接着性を向上させることができる。上記面積が0.05mm未満である場合、繊維同士の結合が少なく、摩擦強度等の物理強度が低く発泡性樹脂組成物が滲み出しやすい傾向がある。5.0mmを超える場合、熱圧着固定部分の面積が多く、風合いが硬く、発泡樹脂層と面材の繊維との接着性が悪くなる。さらに、後述するフラジール通気度が低くなり、養生時間が長くなったり、独立気泡率が低下したりするおそれがある。
なお、熱圧着固定部分は一般的に目視又は光学顕微鏡等により簡単に見つけることができる。個々の熱圧着固定部分の面積は、以下の方法により測定することができる。
<繊維固定部分の面積の総和の割合>
不織布の表面を光学顕微鏡で10倍に拡大した画像を得た。画像処理ソフトウェア(商品名「Photoshop(登録商標)」、アドビシステムズインコーポレーテッド社製)を用いて、不織布表面の縦100mm、横100mmの正方形(単位面積)に含まれる、熱圧着固定部分の合計面積を測定した。
熱圧着固定部分同士の最小間隔は0.05mm以上5mm以下が好ましく、0.08mm以上2mm以下がより好ましい。この範囲内の面材を用いることで、フェノール樹脂の滲み出しを抑えつつ、発泡樹脂層と面材との接着性を向上させることができる。上記最小間隔が0.05mm未満である場合、熱圧着固定部分が多く、風合いが硬く、発泡層10と面材の繊維との接着性が悪い傾向がある。5mmを超える場合、繊維同士の結合が少なく、摩擦強度等の物理強度が低く、発泡性樹脂組成物が滲み出しやすい。また熱圧着固定部分は、不織布表面の全面に均等に分布させることが好ましい。
熱圧着固定部分密度は5個/cm以上150個/cm以下が好ましく、5個/cm以上50個/cm以下がより好ましく、5個/cm以上30個/cm以下がさらに好ましい。熱圧着固定部分密度は単位面積あたりの熱圧着固定部分の個数を意味しており、下記式(2)で表される。
熱圧着固定部分密度(個/cm)=[熱圧着固定部分の数(個)]/[面材の表面積(cm)]・・・(2)
熱圧着固定部分密度が上記下限値以上であると、発泡性樹脂組成物の滲み出しを良好に抑制できる。熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であると、発泡樹脂層と面材との接着性をより向上させることができ、吸水量を低くすることができる。また、熱圧着固定部分密度が上記上限値以下であると、後述するフラジール通気度を高くでき、養生時間を短縮できる。加えて、より長期にわたって低い熱伝導率を維持できる。
面材のフラジール通気度は、60cm/cm・sec以上900cm/cm・sec以下であることが好ましく、100cm/cm・sec以上700cm/cm・sec以下であることがより好ましく、200cm/cm・sec以上500cm/cm・sec以下であることがさらに好ましい。
面材のフラジール通気度が60cm/cm・sec未満であると、養生工程における養生時間が長くなり、硬化工程で生成した水分が発泡層中に残留し、残留した水分が養生工程で除去されるときに孔となって独立気泡率が低下するおそれがある。その結果、圧縮弾性率が低下するおそれがある。
面材のフラジール通気度が900cm/cm・secを超えるような面材は目付が著しく小さいか、熱圧着固定部分密度が著しく小さい。このため、面材上に吐出されたフェノール樹脂組成物が発泡、硬化する過程において面材から滲み出してしまい、製造設備を汚してしまう。また、外部からの水分が発泡層に到達しやすくなり吸水量が増大する。
なお、フラジール通気度は、JIS L 1096に準じてフラジール形試験機を用いて面材を通過する空気量を測定して算出した値であり、発泡層に積層される前の面材について測定される。
面材は、発泡層の片面に設けてもよく、両面に設けてもよい。両面に設ける場合、各面材は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
フェノール樹脂発泡体を製造する際に面材を設ける方法としては、例えば、連続走行するコンベアベルト上に面材を配置し、該面材上に発泡性フェノール樹脂組成物を吐出し、その上に他の面材を積層した後、発泡炉を通過させて発泡成形する方法が挙げられる。これにより、板状の発泡層の両面に面材が積層した面材付きフェノール樹脂発泡体が得られる。
面材は、発泡成形の後、接着剤を用いて発泡層に貼り合わせて設けられてもよい。
<養生工程>
養生工程は、発泡硬化工程の後、発泡性フェノール樹脂組成物を乾燥し、さらに硬化させる工程である。養生工程は、例えば、養生庫で行われる。
本実施形態において、発泡硬化工程における加熱を停止した後、再度加熱する時以降を養生工程という。あるいは、本実施形態において、発泡性フェノール樹脂組成物が、所望の発泡倍率、重合度に到達した後の工程を養生工程という。
本明細書では、養生工程が終了して、硬化した発泡性フェノール樹脂組成物を、フェノール樹脂発泡体という。
養生工程における雰囲気温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、55℃以上105℃以下がより好ましく、60℃以上100℃以下がさらに好ましい。養生工程における雰囲気温度を上記範囲内とすることで、所望の密度、平均気泡径のフェノール樹脂発泡体が得られやすい。
養生工程では、養生の時間は、2時間以上18時間以下が好ましく、2時間以上15時間以下がより好ましく、2時間以上12時間以下がさらに好ましい。上記下限値以上とすることで、十分に硬化したフェノール樹脂発泡体が得られやすい。上記上限値以下とすることで、フェノール樹脂発泡体の生産性を高めることができる。
<冷却工程>
冷却工程は、発泡性フェノール樹脂組成物を冷却して、発泡を抑制する工程である。
本実施形態において、発泡硬化工程における加熱を停止し、冷却を開始する時以降、再度加熱する時前までを冷却工程という。あるいは、本実施形態において、所望の発泡倍率、重合度に到達した後、再度加熱する時前までを冷却工程という。
冷却工程では、発泡した発泡性フェノール樹脂組成物を60〜300秒かけて、発泡性フェノール樹脂組成物の表面温度が30〜65℃になるまで冷却することが好ましい。
冷却することにより、中央部のセルの気泡径の粗大化を抑制できるため、気泡径を均一にしやすくなる。気泡径を均一にすることで、気泡径のバラツキを小さくしやすい。
冷却工程は、発泡炉内に設けられてもよいし、養生庫内に設けられてもよい。また、発泡炉及び養生庫とは異なる場所に設けられてもよい。
冷却工程の後、発泡性フェノール樹脂組成物を養生工程に送り、乾燥し、さらに硬化させることでフェノール樹脂発泡体を得る。
発泡硬化工程における雰囲気温度と、冷却工程における雰囲気温度との温度差が5℃以上であると、発泡性フェノール樹脂組成物の中央部と表面部の温度差を小さくしやすく、所望の密度、平均気泡径のフェノール樹脂発泡体が得られやすいため、好ましい。
本発明のフェノール樹脂発泡体の発泡層の圧縮弾性率は、3.0MPa以上であり、3.5MPa以上が好ましく、4.0MPa以上がより好ましい。圧縮弾性率が上記下限値以上であれば、断熱材施工時のフェノール樹脂発泡体の変形を抑制しやすい。
圧縮弾性率は、JIS K 7220:2006に従い測定することができる。
フェノール樹脂発泡体の圧縮弾性率は、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)、面材の種類等により調整できる。
本発明のフェノール樹脂発泡体の密度は、15kg/m以上50kg/m以下が好ましく、20kg/m以上40kg/m以下がより好ましく、25kg/m以上35kg/m以下がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡体の圧縮弾性率のさらなる向上を図りやすく、上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡体の軽量化を図りやすい。
密度は、JIS A 9511:2009に従い測定することができる。
フェノール樹脂発泡体の密度は、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)、面材の種類等により調整できる。
本発明のフェノール樹脂発泡体の厚さは、10mm以上200mm以下が好ましく、20mm以上150mm以下がより好ましく、35mm以上120mm以下がさらに好ましく、45mm以上100mm以下が特に好ましい。厚さが上記下限値以上であると、断熱性をより高められる。厚さが上記上限値以下であると、フェノール樹脂発泡体の厚さが大きくなりすぎず、製造および取り扱いが容易である。
断熱材であるフェノール樹脂発泡体はその厚さが大きくなると、フェノール樹脂発泡体自身がより冷却されにくくなるため、気泡径のバラツキが大きくなり圧縮強度および圧縮弾性率が低下しやすい。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、冷却工程を設けたことにより、厚さが45mm以上であっても圧縮強度および圧縮弾性率が低下しにくい。
フェノール樹脂発泡体の厚さは、ノギスにより測定できる。
発泡層の厚さ方向を二等分した断面における平均気泡径は、50μm以上200μm以下が好ましく、50μm以上150μm以下がより好ましく、60μm以上110μm以下がさらに好ましい。平均気泡径が上記下限値以上であれば、低い熱伝導率を長期に亘って保つことができる。平均気泡径が上記上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡体の圧縮弾性率が高められやすい。
なお、本発明において、発泡層の厚さ方向を二等分した断面は、二等分した上側の発泡層の断面であってもよいし、二等分した下側の発泡層の断面であってもよい。
平均気泡径は、以下の方法で測定できる。
<平均気泡径の測定方法>
フェノール樹脂発泡体の発泡層の厚さ方向を二等分にする。その切断面を50倍拡大で撮影する。撮影された画像に、長さ9cmの直線を4本引く。この際、ボイド(2mm以上の空隙)を避けるように直線を引く。各直線が横切った気泡の数(JIS K 6400−1:2004に準じて測定したセル数)を直線毎に計数し、直線1本当りの平均値を求める。気泡の数の平均値で1800μmを除し、求められた値を平均気泡径とする。
フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)、面材の種類等により調整できる。
発泡層の厚さ方向を二等分した断面における気泡径の標準偏差は、35μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。気泡径の標準偏差は実質的に0μmであることが理想であるが、そのように安定的に製造することは難しく、経済的でない。標準偏差が上記の範囲内であると、フェノール樹脂発泡体の圧縮弾性率が高められやすい。上述した通り、フェノール樹脂発泡体の中心に近い部分の平均気泡径の方が、表層の平均気泡径よりも大きいため、気泡径の標準偏差は、表層よりも中心に近い部分の方が大きくなる。
気泡径の標準偏差は、次のようにして算出した。
<気泡径の標準偏差の算出方法>
フェノール樹脂発泡体の発泡層の厚さ方向を二等分にする。その切断面を100倍拡大で撮影する。撮影された画像のうち、任意の10cm角内の気泡を円近似する。円近似された気泡の気泡径をそれぞれ測定し、その結果を統計計算して標準偏差を算出する。
フェノール樹脂発泡体の気泡径の標準偏差は、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)、面材の種類等により調整できる。
発泡層の圧縮弾性率と、発泡層の厚さ方向を二等分した断面における平均気泡径と、前記断面における気泡径の標準偏差とは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
圧縮弾性率(MPa)÷平均気泡径(μm)÷気泡径標準偏差(μm)×10000 ≧ 10・・・(1)
本発明において、(1)式の左辺の値が10以上であると、フェノール樹脂発泡体の圧縮弾性率が良好であり、断熱材施工時の凹みの発生を抑制しやすい。
本発明のフェノール樹脂発泡体中には、複数の気泡が形成されており、気泡壁には実質的に孔が存在せず、複数の気泡の少なくとも一部は、相互に連通していない独立気泡になっている。独立気泡中には、発泡剤として用いたハロゲン化不飽和炭化水素のガスが保持されている。独立気泡率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。上限値は、特に限定されないが、実質的には99%以下とされる。上記数値範囲内であれば、低い熱伝導率を長期に亘って保つことができる。
独立気泡率は、JIS K 7138:2006に準拠して測定される。
フェノール樹脂発泡体の熱伝導率は、0.0190W/m・K以下が好ましく、0.0185W/m・K以下がより好ましく、0.0180W/m・K以下がさらに好ましい。熱伝導率が0.0190W/m・K以下であると、断熱性に優れる。
熱伝導率は、JIS A 1412−2に従い測定することができる。
フェノール樹脂発泡体の熱伝導率は、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)、面材の種類等により調整できる。
上述の通り、本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、特定の発泡剤が用いられることで、断熱性により優れる。このため、本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、集合住宅、戸建住宅、倉庫等、高い断熱性を求められる建造物用の断熱材として特に有用である。
加えて、本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、変形を抑制することができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF−339)100質量部と、界面活性剤(ひまし油EO付加物(付加モル数30))4質量部と、ホルムアルデヒドキャッチャー剤(尿素)4質量部とを混合した後、20℃で8時間放置した。
得られた混合物108質量部と、表1の組成の発泡剤15質量部と、酸触媒(パラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸の混合物)17質量部とを混合して発泡性フェノール樹脂組成物を調製した。
この発泡性フェノール樹脂組成物を、幅方向等間隔に16本配置されたノズルから、連続的に走行させている第一の面材(材質:ポリエステル不織布、目付:30g/m、熱圧着固定部分密度:8個/cm、フラジール通気度:300cm/cm・sec)上に吐出させ、その上に第二の面材(材質:第一の面材と同じ)を重ねて、スラット型ダブルコンベアに導入し、75℃で260秒間加熱して発泡成形した(発泡硬化工程)。発泡硬化工程の後、40℃で180秒間冷却し(冷却工程)、その後80℃で6時間乾燥し(養生工程)、フェノール樹脂発泡体を作製した。得られたフェノール樹脂発泡体を幅910mm、長さ1820mmに切断して、厚さ45mmのフェノール樹脂発泡体を作製した。
[実施例2〜8]
表1に記載の発泡剤組成、各工程の温度、時間にて、実施例1と同様にフェノール樹脂発泡体を作製した。
[比較例1〜3]
表2に記載の発泡剤組成、各工程の温度、時間にて、実施例1と同様にフェノール樹脂発泡体を作製した。
[比較例4]
第一、第二の面材として実施例1と異なるポリエステル不織布(目付:130g/m、熱圧着固定部分密度:250個/cm、フラジール通気度:36cm/cm・sec)を使用し、表2に記載の発泡剤組成、各工程の温度、時間にて、実施例1と同様にフェノール樹脂発泡体を作製した。
各例のフェノール樹脂発泡体について、密度、平均気泡径、気泡径の標準偏差、独立気泡率、熱伝導率、圧縮弾性率、圧縮弾性率(MPa)÷平均気泡径(μm)÷気泡径の標準偏差(μm)×10000の値を測定あるいは算出し、ビス留めによる異常の発生の有無を評価した。結果を表1〜2に示す。
<ビス留め試験>
木桟にフェノール樹脂発泡体を置きM6のビス(座面はφ16)で固定した。座面がフェノール樹脂発泡体の表面から1mm沈み込むまでビスをねじ込んだ。以下の評価基準に従って、発泡体の表面の状態を評価した。
<評価基準>
○:発泡体の表面に亀裂などの異常が生じていない。
×:発泡体の表面に亀裂などの異常が生じている。
Figure 2018095871
Figure 2018095871
本発明を適用した実施例1〜8は、ビス留め試験において、いずれも○であり、フェノール樹脂発泡体の変形を抑制しやすいことがわかった。
一方、比較例1〜4では、本発明を適用した実施例に比べて、フェノール樹脂発泡体の変形を抑制できていないことがわかった。
本発明によれば、変形を抑制したフェノール樹脂発泡体、及びその製造方法を提供できることがわかった。

Claims (6)

  1. ハロゲン化不飽和炭化水素を含む発泡剤を含有するフェノール樹脂の発泡層を備え、
    前記発泡層の圧縮弾性率が3.0MPa以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。
  2. 前記発泡層の厚さ方向を二等分した断面における平均気泡径が50μm以上150μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体。
  3. 前記発泡層の厚さ方向を二等分した断面における気泡径の標準偏差が35μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のフェノール樹脂発泡体。
  4. 前記発泡層の圧縮弾性率と、
    前記発泡層の厚さ方向を二等分した断面における平均気泡径と、
    前記断面における気泡径の標準偏差とが、下記式(1)を満たすことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体。
    圧縮弾性率(MPa)÷平均気泡径(μm)÷気泡径の標準偏差(μm)×10000 ≧ 10・・・(1)
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法であって、
    フェノール樹脂、発泡剤及び酸触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を加熱して、発泡し、硬化させる発泡硬化工程と、
    前記発泡硬化工程の後、前記発泡性フェノール樹脂組成物を乾燥し、さらに硬化させる養生工程とを有し、
    前記発泡硬化工程と、前記養生工程との間に、前記発泡性フェノール樹脂組成物を冷却する冷却工程をさらに有することを特徴とするフェノール樹脂発泡体の製造方法。
  6. 前記発泡硬化工程における雰囲気温度と、
    前記冷却工程における雰囲気温度との温度差が5℃以上であることを特徴とする、請求項5に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
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