JP2021063201A - フェノール樹脂発泡体組成物及びフェノール樹脂発泡体 - Google Patents

フェノール樹脂発泡体組成物及びフェノール樹脂発泡体 Download PDF

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啓仁 久保田
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Abstract

【課題】フェノール樹脂発泡体の気泡の分散状態を良好にして優れた断熱性を発揮し、且つ十分な強度を有するフェノール樹脂発泡体を得ることのできるフェノール樹脂発泡体組成物、及びこのようなフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体を提供する。【解決手段】本発明のフェノール樹脂発泡体組成物は、液体状レゾール型フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤及び酸硬化剤を含み、前記界面活性剤は、親水性のエチレンオキサイドと疎水性のプロピレンオキサイドとのトリブロック共重合型の非イオン界面活性剤であり、前記界面活性剤中の前記エチレンオキサイドの含有量が70質量%以上、且つ前記プロピレンオキサイドの平均分子量が1750以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂発泡体組成物、及びこのフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体に関する。
フェノール樹脂発泡体は、断熱性、難燃性に優れており、建築材の断熱用途に広く使用されている。とくに、レゾール型フェノール樹脂を原料とする酸硬化型フェノール樹脂発泡体は、上記要求特性がより優れていることから、内壁材、外壁材、天井材等、様々な用途で使用されている。
フェノール樹脂発泡体は、一般的には、レゾール型フェノール樹脂、発泡剤及び酸硬化剤を含むフェノール樹脂発泡体組成物を、合成繊維からなる不織布や織布もしくは各種紙製品等からなる面材で挟んだ状態で発泡、硬化させることによって製造される。
このようにして製造されるフェノール樹脂発泡体では、使用される用途に応じて、様々な特性が要求され、その要求される特性に応じて、様々の添加剤を加えたフェノール樹脂発泡体組成物やフェノール樹脂発泡体が各種提案されている。
例えば、特許文献1には、「フェノール樹脂、発泡剤、整泡剤及び硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂成形材料を発泡効硬化させてなる発泡体であって、前記発泡剤が、炭素数2〜5の塩素化脂肪族炭化水素を含むと共に、前記整泡剤が、ひまし油1モルに対し、エチレンオキサイドを20モル超、40モル未満付加してなる、ひまし油エチレンオキサイド付加物を含むフェノール樹脂発泡体。」が提案されている。
この技術は、フェノール樹脂成形材料に含ませる発泡剤及び整泡剤を適切に選ぶことによって、独立気泡の多い微細なセル構造及び気泡壁の柔軟性を有し、その結果、難燃・防火性に優れ、且つ気泡壁の亀裂などが抑制され、特に初期熱伝導率が低く、断熱性能に優れたフェノール樹脂発泡体を提供することを目的として開発されている。
特開2007−70503号公報
建築材の断熱材用途として用いられるフェノール樹脂発泡体は、基本的な特性としての断熱性、難燃性に優れていることが要求される。このうち難燃性については、レゾール型フェノール樹脂を用いることによって、優れた難燃性が実現できる。
これに対して、フェノール樹脂発泡体の断熱性に関しては、フェノール樹脂発泡体の独立気泡率等にも影響され、独立気泡率が高いほど、断熱性の評価基準となる熱伝導率を低くできることは知られている。しかしながら、いかにすればフェノール樹脂発泡体中の独立気泡率を高くできるかについては、様々な要因によって影響され、そのための技術は確立されているわけではない。またフェノール樹脂発泡体では、建築材の用途に使用される素材としては、十分な強度を有することも重要である。
これまで提案されているフェノール樹脂発泡体の技術は、用途に応じた要求特性を向上させるために、各種添加剤を加えている。上記特許文献1の技術では、用途に応じた要求特性を満足させるという観点からすれば極めて有用な技術である。
しかしながら、建築材の断熱材用途として用いられるフェノール樹脂発泡体として、その基本的な要求特性としての断熱性を発揮し、且つ十分な強度を有するという観点からすれば、希望する特性が発揮されているとは言えないのが実情である。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、フェノール樹脂発泡体の気泡の分散状態を良好にして優れた断熱性を発揮し、且つ十分な強度を有するフェノール樹脂発泡体を得ることのできるフェノール樹脂発泡体組成物、及びこのようなフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体を提供することを目的とする。
本発明者は、フェノール樹脂発泡体の特性を改善すべく、その要件について様々な角度から鋭意検討した。その結果、フェノール樹脂発泡体組成物に、親水性のエチレンオキサイドと疎水性のプロピレンオキサイドとのトリブロック共重合型の非イオン界面活性剤を含めて、下記の構成を有するフェノール樹脂発泡体組成物とすれば、フェノール樹脂発泡体の特性、特に断熱性の評価基準となる熱伝導率を低減することができ、且つ十分な強度が発揮されて、上記課題が解決できることを見出し、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって本発明を完成した。
すなわち、本発明の一態様に係るフェノール樹脂発泡体組成物は、
液体状レゾール型フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤及び酸硬化剤を含み、
前記界面活性剤は、親水性のエチレンオキサイドと疎水性のプロピレンオキサイドとのトリブロック共重合型の非イオン界面活性剤であり、
前記界面活性剤中の前記エチレンオキサイドの含有量が70質量%以上、且つ前記プロピレンオキサイドの平均分子量が1750以上であることを特徴とする。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物において、前記界面活性剤の含有量は、液体状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物における必須の成分は上記の通りであるが、必要によって、更に、可塑剤、有機アミノ基含有化合物及び金属炭酸塩よりなる群から選ばれる1種以上を含有することもできる。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、上記のようなフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体であって、熱伝導率が0.020W/m・K以下、平均圧縮強さが10.0N/cm2以上、発泡体中の平均独立気泡率が80%以上であることを特徴とし、優れた断熱性を発揮し、且つ十分な強度を有するフェノール樹脂発泡体となる。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物によれば、優れた断熱性を発揮し、且つ十分な強度を有するフェノール樹脂発泡体が得られ、このようなフェノール樹脂発泡体は、建築材の断熱材用途に使用される素材として極めて有用である。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物は、液体状レゾール型フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤及び酸硬化剤を基本成分として含む。以下に夫々の成分について説明する。
[液体状レゾール型フェノール樹脂]
液体状レゾール型フェノール樹脂は、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン等のフェノール類、若しくはそれらの誘導体と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等のアルデヒド類とを原料とし、それらをアルカリ触媒下で反応して得られる。
液体状レゾール型フェノール樹脂は、発泡及び硬化させることによって、フェノール樹脂発泡体の骨格となる。フェノール樹脂を骨格とするフェノール樹脂発泡体は、その骨格となるフェノール樹脂の特性が反映され、耐熱性に極めて優れている。また強固な樹脂骨格が形成されることによって、発泡体の気泡中のガスが外気と入れ替わることに起因する経年劣化を抑制し、他の樹脂を用いた発泡体と比べて耐久性の点でも優れている。
[界面活性剤]
界面活性剤は、発泡体の製造段階において気泡が潰れるのを抑制しつつ、均一な気泡を形成する作用を発揮すると考えられる。本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物に含有する界面活性剤は、親水性のエチレンオキサイドと疎水性のプロピレンオキサイドとのトリブロック共重合型の非イオン界面活性剤である。このような界面活性剤の最も一般的な合成法は、プロピレングリコールの重合により得られるポリプロピレングリコールに、エチレンオキサイドを付加する方法が挙げられる。
上記界面活性剤は、化学構造中の親水基であるエチレンオキサイド(以下、EOと記載することがある)と疎水基であるプロピレンオキサイド(以下、POと記載することがある)の重合度を変化することにより、様々な界面化学的特性を持つものが得られており、医薬品、化粧品、洗浄剤等、様々な分野で利用されている。この界面活性剤は、分子中のPOの分子量とEOの含有量(質量%)とで分類できる。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物に含有する界面活性剤は、界面活性剤中のEOの含有量を70質量%以上、且つ前記POの平均分子量を1750以上とする必要がある。こうした要件を満足させることによって、発泡体中の平均独立気泡率が80%以上とすることができ、優れた断熱性を発揮し、且つ十分な強度を有するフェノール樹脂発泡体を得ることができる。
界面活性剤中のEOの含有量は、好ましくは80質量%以上である。界面活性剤中のPOの平均分子量は、好ましくは2250以上である。POの平均分子量の上限は、概ね4000以下であるが、POの平均分子量が多くなってくると、発泡体中の平均独立気泡率が低下する傾向があるので、POの平均分子量は3250以下であることが好ましい。
界面活性剤は、上記要件を満足するものであれば、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量については、何ら限定するものではないが、液体状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1〜10質量部程度が好ましく、より好ましくは3〜7質量部程度である。界面活性剤の含有量が、1質量部よりも少なくなると、上記効果が発揮されにくくなり、10質量部よりも過剰になるとフェノール樹脂発泡体の吸水性が高くなるとともに、製造コストが上昇する。
[発泡剤]
発泡剤は、構成成分として炭化水素を含む。炭化水素としては、炭素数が3〜7の環状又は鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、具体的には、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、シクロヘキサン等を挙げることができる。その中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン等のペンタン類及びノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン等のブタン類が好適に用いられる。これら炭化水素は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また塩素化脂肪族炭化水素等の塩素化炭化水素を使用することもできる。塩素化脂肪族炭化水素としては、炭素数が2〜5の直鎖状または分岐状のものが用いられる。結合している塩素原子の数は限定されるものではないが、1〜4が好ましく、例えばジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。これらのうち、クロロプロパンであるプロピルクロリド、イソプロピルクロリドがより好ましく用いられる。これら塩素化脂肪族炭化水素は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
更に、含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素を使用することもできる。含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素としては、フッ素化不飽和炭化水素(但し、フッ素原子以外のハロゲン原子を含まない。)、塩素化フッ素化不飽和炭化水素、臭素化フッ素化不飽和炭化水素、ヨウ素化フッ素化不飽和炭化水素等が挙げられる。これらの含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
含フッ素ハロゲン化不飽和炭化水素は、水素原子の全てがハロゲン原子で置換された不飽和炭化水素でもよいし、水素原子の一部がハロゲン原子で置換された不飽和炭化水素でもよい。
フッ素化不飽和炭化水素としては、分子内に炭素−炭素二重結合とフッ素原子と水素原子とを有するヒドロフルオロオレフィン(以下、「HFO」ともいう。)が挙げられる。HFOとしては、例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)(E及びZ異性体)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz)(E及びZ異性体)(SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300−3−Z6)等が挙げられる。
前記塩素化フッ素化不飽和炭化水素としては、分子内に炭素−炭素二重結合とフッ素原子と塩素原子と水素原子を有するヒドロクロロフルオロオレフィン(以下、「HCFO」ともいう。)、分子内に炭素−炭素二重結合とフッ素原子と塩素原子とを有し、水素原子を有しないクロロフルオロオレフィン等が挙げられる。HCFOとしては、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)(E及びZ異性体)、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yd)(E及びZ異性体)、1−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zb)(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xe)(E及びZ異性体)、2−クロロ−2,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xc)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233ye)(E及びZ異性体)、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yc)、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223xd)(E及びZ異性体)、及び2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(E及びZ異性体)等が挙げられる。クロロフルオロオレフィンとしては、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、及び2−クロロ−1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン(E及びZ異体体)等が挙げられる。
発泡剤は、発泡体の製造段階において気泡を形成すると考えられる。発泡剤の含有量については、その種類によっても異なり、何ら限定するものではないが、液体状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、5〜15質量部程度が好ましく、より好ましくは8〜12質量部程度である。発泡剤の含有量が、5質量部よりも少なくなると、上記効果が発揮されず、15質量部よりも過剰になると断熱性能が低下するとともに、製造コストが上昇する。
[酸硬化剤]
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物で用いる酸硬化剤としては、液体状レゾール型フェノール樹脂を硬化できる酸性の硬化剤であればよい。例えば、硫酸、リン酸等の無機酸の他、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、等が非限定的に挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸硬化剤の含有量については、その種類によっても異なり、何ら限定するものではないが、液体状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、5〜25質量部程度が好ましく、より好ましくは10〜20質量部程度である。酸硬化剤の含有量が、5質量部よりも少なくなると、液体状レゾール型フェノール樹脂の硬化が遅く、25質量部よりも過剰になると硬化が速くなり、均一な発泡体が得られない。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物には、必要によって、可塑剤、有機アミノ基含有化合物及び金属炭酸塩よりなる群から選ばれる1種以上を含有することもできる。
[可塑剤]
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物で用いることのできる可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル等、従来から知られているフタル酸系化合物や、フタル酸とジエチレングリコールの反応生成物であるポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。
可塑剤は、フェノール樹脂発泡体組成物における各原料の相溶性を良好にし、発泡体製造時の発泡効率を高めると考えられる。可塑剤を含有させるときの量については、何ら限定するものではないが、液体状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部程度であることが好ましい。可塑剤の含有量が、0.01質量部よりも少なくなると可塑化効果が発揮されにくくなり、5質量部を超えると発泡が過度に進行し得られる発泡体の強度が低下する。
[有機アミノ基含有化合物]
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物で用いることのできる有機アミノ基含有化合物としては、代表的には尿素が挙げられる。有機アミノ基含有化合物は、フェノール樹脂発泡体からのホルムアルデヒド放散を抑制し、発泡体の強度を増大させると考えられる。
こうした効果を発揮させるためには、有機アミノ基含有化合物の含有量は、液体状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましい。しかしながら、有機アミノ基含有化合物の含有量が過剰になってもその効果が飽和するので、10質量部以下であることが好ましい。
[金属炭酸塩]
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物においては、必要によって金属炭酸塩を含有させてもよい。この金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等が挙げられる。
フェノール樹脂発泡体中には酸硬化剤が含まれ、これが水で抽出されると、発泡体近傍に存在する金属部材が腐食しやすいという問題が生じる。こうした問題を解決するために、金属炭酸塩をフェノール樹脂発泡体組成物に含有させることによって、酸硬化剤と中和させてフェノール樹脂発泡体のpHの上昇を図り、発泡体近傍に存在する金属部材の腐食が進行することを防止できると考えられる。
金属炭酸塩を含有させるときの量については、何ら限定するものではないが、液体状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1〜5質量部程度であることが好ましい。金属炭酸塩の含有量が、1質量部よりも少なくなるとpH上昇効果が発揮されにくくなり、5質量部を超えても整泡を阻害し均一な発泡体が得られにくくなる。
[フェノール樹脂発泡体]
フェノール樹脂発泡体組成物からフェノール樹脂発泡体を得るには、例えば次のような方法が採用できる。すなわち、送給コンベアの上方と下方に面材を連続的に供給し、両面材の間にフェノール樹脂発泡体組成物を挟み込んだ状態で加熱炉に導き、この加熱炉内でフェノール樹脂発泡体組成物を加熱しつつ発泡及び硬化させ、フェノール樹脂発泡体を得ることができる。また加熱炉内には、複数対の抑えローラが配置されており、この抑えローラによって面材の両外側から加圧され、過剰な発泡を抑えながら、フェノール樹脂発泡体の厚さを調整する。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体では、発泡体の熱伝導率が0.020W/m・K以下、平均圧縮強さが10.0N/cm2以上、発泡体中の平均独立気泡率が80%以上であるような優れた特性を発揮できる。特に、フェノール樹脂発泡体の熱伝導率を低くでき、平均圧縮強さを高くできることは、強度が要求される建築材の断熱用途にフェノール樹脂発泡体を使用したときに、素材厚さを薄く設計できるという特有の効果が発揮される。発泡体の平均圧縮強さは、好ましくは12.0N/cm2以上であり、発泡体中の平均独立気泡率は好ましくは85%以上である。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下にまとめる。
本発明の一態様に係るフェノール樹脂発泡体組成物は、液体状レゾール型フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤及び酸硬化剤を含み、前記界面活性剤は、親水性のエチレンオキサイドと疎水性のプロピレンオキサイドとのトリブロック共重合型の非イオン界面活性剤であり、前記界面活性剤中の前記エチレンオキサイドの含有量が70質量%以上、且つ前記プロピレンオキサイドの平均分子量が1750以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体組成物である。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物を用いることによって、優れた断熱性を発揮し、且つ十分な強度を有するフェノール樹脂発泡体が得られ、このようなフェノール樹脂発泡体は、建築材の断熱材用途に使用される素材として極めて有用である。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物において、前記界面活性剤の含有量は、液体状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。
こうした要件を満足させることによって、フェノール樹脂発泡体における断熱性、強度等の特性がより有効に発現できる。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物においては、必要によって、更に、可塑剤、有機アミノ基含有化合物及び金属炭酸塩よりなる群から選ばれる1種以上を含有することも有用である。
これらの成分を含有させることによって、各成分に応じて、(a)フェノール樹脂発泡体組成物の各原料の相溶性を良好にする、(b)フェノール樹脂発泡体からのホルムアルデヒド放散を抑制し、発泡体の強度を増大させる、(c)フェノール樹脂発泡体のpHの上昇を図り、発泡体近傍に存在する金属部材の腐食が進行することを防止する、等の効果が発揮される。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体では、熱伝導率が0.020W/m・K(W:ワット、m:メートル、K:ケルビン)以下、平均圧縮強さが10.0N/cm2以上、発泡体中の独立気泡率が80%以上であるような優れた特性を発揮できる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
なお、本実施例で使用した各成分の詳細は以下の通りである。
(1)液体状レゾール型フェノール樹脂:品番PF−339(旭有機材工業株式会社製)
(2)界面活性剤
(a)アデカプルロニックF−68:商品名(EO含有量:80質量%、PO平均分子量:1750、ADEKA社製)
(b)アデカプルロニックF−88:商品名(EO含有量:80質量%、PO平均分子量:2250、ADEKA社製)
(c)アデカプルロニックF−108:商品名(EO含有量:80質量%、PO平均分子量:3250、ADEKA社製)
(d)ユニループ70DP−950B:商品名(EO含有量:70質量%、PO平均分子量:4000、日油株式会社製)
(e)アデカプルロニックL−44:商品名(EO含有量:40質量%、PO平均分子量:1200、ADEKA社製)
(f)アデカプルロニックL−64:商品名(EO含有量:40質量%、PO平均分子量:1750、ADEKA社製)
(g)アデカプルロニックP−85:商品名(EO含有量:50質量%、PO平均分子量:2250、ADEKA社製)
(h)プロノン♯204:商品名(EO含有量:40質量%、PO平均分子量:2050、日油株式会社製
(i)エパンU−103:商品名(EO含有量:30質量%、PO平均分子量:3250、第一工業薬品株式会社製)
(3)酸硬化剤:パラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸の混合物(パラトルエンスルホン酸:キシレンスルホン酸=2:1(質量比))
(4)発泡剤:イソプロピルクロリドとイソペンタンの混合物
(5)可塑剤:フタル酸とジエチレングリコールをモル比1:2で反応してなるポリエステルポリオール
(6)有機アミノ基含有化合物(ホルムアルデヒドキャッチャー剤):尿素
(7)金属炭酸塩:炭酸カルシウム
これらの原料を用い、表1に示す割合(表中の各成分の配合値はすべて質量部を示す)で混合してフェノール樹脂発泡体組成物を調製し、これを一対の面材(パルプとガラスの混抄紙製)で挟みつつ発泡、硬化させて発泡体を作製した。
具体的には、液状レゾール型フェノール樹脂に、可塑剤としてフタル酸とジエチレングリコールをモル比1:2で反応してなるポリエステルポリオール、上記界面活性剤、ホルムアルデヒドキャッチャー剤として尿素を加えて、全体を混合し、20℃で8時間放置した。
このフェノール樹脂混合物に対し、金属炭酸塩として炭酸カルシウム、発泡剤としてイソプロピルクロリドとイソペンタン(質量比で5.5:1)、酸硬化剤としてパラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸の混合物を攪拌機に供給し、全体を攪拌・混合して発泡性フェノール樹脂成形材料を調製した。
続いて、この成形材料を予め75℃に調整した型枠(W300×D300×H45mm
)に吐出し、これを75℃の乾燥機に入れ、樹脂温度が下がり始めるまで硬化させて成形
し、成型物を型枠から取り出した後85℃の乾燥機に入れ、4.5時間養生させてフェノール樹脂発泡体を作製した。
Figure 2021063201
上述のようにして得られた各フェノール樹脂発泡体(実施例1〜4及び比較例1〜5)について、以下の方法に従って、熱伝導率、平均圧縮強さ及び平均気泡径を測定した。
[熱伝導率]
フェノール樹脂発泡体の熱伝導率は、JIS A 1412−2に従い測定した。熱伝導率は、断熱性の評価基準となるものであり、熱伝導率の低い方が良好な断熱性を示していることを意味する。この熱伝導率が0.020W/m・K以下であれば、極めて優れた断熱性を示している。
[平均圧縮強さ]
JIS A 9511:2017、6.9に準じて、変形率10%時の圧縮応力を3点測定し、その平均値を圧縮強さとした。
[平均独立気泡率]
フェノール樹脂発泡体中の平均独立気泡率は、JIS K 7138:2006に従い測定した。このとき、フェノール樹脂発泡体の厚さ方向で3等分し、夫々の箇所(上層、中層、下層)で独立気泡率を測定し、その平均値を求めた。
これらの評価結果を、表2に示す。
Figure 2021063201
この結果から次のように考察できる。すなわち、本発明で規定する要件を満足するフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体(実施例1〜4)は、熱伝導率が0.020W/m・K以下、平均圧縮強さが10.0N/cm2以上、平均独立気泡率が80%以上であるような優れた特性を発揮していることが分かる。
これに対し、本発明で規定するいずれかの要件を満足しないフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体(比較例1〜5)では、いずれかの特性で劣っている。
具体的には、比較例1は、界面活性剤中のエチレンオキサイドの含有量が低く、且つプロピレンオキサイドの平均分子量が低い界面活性剤を用いてフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体であり、平均独立発泡率が低くなって熱伝導率が高くなっており、また平均圧縮強さも低くなっている。
比較例2〜5は、界面活性剤中のプロピレンオキサイドの平均分子量は本発明で規定する要件を満足しているが、エチレンオキサイドの含有量が低い界面活性剤を用いたフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体であり、平均独立発泡率が低くなって熱伝導率が高くなっており、また平均圧縮強さも低くなっている。

Claims (4)

  1. 液体状レゾール型フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤及び酸硬化剤を含み、
    前記界面活性剤は、親水性のエチレンオキサイドと疎水性のプロピレンオキサイドとのトリブロック共重合型の非イオン界面活性剤であり、
    前記界面活性剤中の前記エチレンオキサイドの含有量が70質量%以上、且つ前記プロピレンオキサイドの平均分子量が1750以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体組成物。
  2. 前記界面活性剤の含有量は、液体状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して1〜10質量部である請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体組成物。
  3. 更に、可塑剤、有機アミノ基含有化合物及び金属炭酸塩よりなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1または2に記載のフェノール樹脂発泡体組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体組成物からなるフェノール樹脂発泡体であって、熱伝導率が0.020W/m・K以下、平均圧縮強さが10.0N/cm2以上、発泡体中の平均独立気泡率が80%以上であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。
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