以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態の搬送システムは、半導体装置の生産工場等で容器に収容された被処理物を搬送するのに適用されると好適であり、以下では半導体装置の生産工場に適用した例について説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態の搬送システム100は、処理設備1と、搬送装置2と、バッファ3と、マニュアル出庫口4と、搬送制御装置5と、ホストコントローラ6と、入力装置7とを備えている。
処理設備1は、複数の被処理物に対して所定の処理を行うものであり、例えば、熱処理装置、イオン注入装置、エッチング装置、成膜装置、洗浄装置、フォトレジスト塗布装置、露光装置、検査装置等の半導体装置を製造する際に用いられるものである。本実施形態の搬送システム100は処理設備1を複数備えており、被処理物であるロット200が各処理設備1を順に移動することにより、半導体装置の製造の各工程が実施される。
ロット200は、複数枚の半導体ウェハで構成されており、カセットに収容された状態で搬送装置2によって搬送される。カセットは、例えば、一面が開口している本体と、本体の開口を閉塞する蓋と、本体に備えられるフランジとを備えた一般的なSMIF(Standard of Mechanical Interface)やFOUP(Front Opening Unified Pod)等が用いられる。
搬送装置2は、ロット200を搬送するものであり、生産工場等の天井から吊り下げられたレール21と、レール21を走行するOHT(Overhead Hoist Transfer)である台車22とを備えている。なお、搬送装置2を、生産工場等の床に設置されたレールと、このレールを走行するRGV(Rail Guided Vehicle)とで構成してもよい。また、搬送装置2を、生産工場等の床に備えられたガイドテープと、このガイドテープを追従するAGV(Automated Guided Vehicle)とで構成してもよい。
バッファ3は、処理設備1において所定の処理が行われる前のロット200を一時的に保管する保管庫であり、搬送システム100は、複数のバッファ3を備えている。複数のバッファ3には、設備前バッファ31と、代替バッファ32とが含まれており、設備前バッファ31には、専用バッファ33と、共用バッファ34とが含まれている。
専用バッファ33は、1つの処理設備1のみに対応する保管庫であり、対応する処理設備1において所定の処理が行われる前のロット200を一時的に保管する。
共用バッファ34は、複数の処理設備1に対応する保管庫であり、対応する複数の処理設備1の中に専用バッファ33が満杯になった処理設備1があるときに、この処理設備1において所定の処理が行われる前のロット200を一時的に保管する。
代替バッファ32は、1つまたは複数の処理設備1に対応する保管庫である。代替バッファ32は、対応する処理設備1の中に、専用バッファ33および共用バッファ34の両方が満杯になった処理設備1があるときに、この処理設備1において所定の処理が行われる前のロット200を一時的に保管する。
本実施形態では、1つの処理設備1に対して、専用バッファ33、共用バッファ34、代替バッファ32がそれぞれ複数配置されている。
設備前バッファ31で保管されているロット200は、搬送装置2により、この設備前バッファ31が対応する処理設備1へ搬送される。また、代替バッファ32で保管されているロット200は、搬送装置2により、この代替バッファ32が対応する処理設備1、または、この処理設備1に対応する設備前バッファ31へ搬送される。
本実施形態では、レール21はループ状とされており、処理設備1、および、この処理設備1に対応するバッファ3は、レール21に沿って、代替バッファ32、共用バッファ34、専用バッファ33、処理設備1の順で配置されている。そして、台車22は、レール21を走行して、処理設備1およびバッファ3の付近を、代替バッファ32、共用バッファ34、専用バッファ33、処理設備1の順に繰り返し通過する。このような配置により、搬送装置2がロット200を設備前バッファ31から処理設備1へ搬送するときの搬送時間は、搬送装置2がロット200を代替バッファ32から処理設備1へ搬送するときの搬送時間よりも短くされている。本実施形態では、設備前バッファ31が第1保管庫に相当し、代替バッファ32が第2保管庫に相当する。
マニュアル出庫口4は、処理設備1およびバッファ3のいずれにもロット200を搬送することができないときにロット200が搬送される場所であり、レール21の付近に配置されている。
マニュアル出庫口4に搬送されたロット200は、作業者によってバッファ3とは別の保管場所へ移される。そして、処理設備1のトラブル等が解消されて、処理設備1またはバッファ3への搬送が可能になると、このロット200は作業者によって再びマニュアル出庫口4に置かれ、搬送装置2によって処理設備1またはバッファ3へ搬送される。
搬送制御装置5は、搬送装置2の動作を制御するものであり、台車22と通信可能に構成されている。搬送制御装置5には、台車22の状態を示す情報、および、台車22による搬送時間を示す情報が記憶されている。また、搬送制御装置5は、ホストコントローラ6と通信可能とされている。
ホストコントローラ6は、原単位管理装置61、ロット/製造工程フロー管理装置62、設備管理装置63、在庫管理装置64を備えており、これらは互いに通信可能に構成されている。原単位管理装置61、ロット/製造工程フロー管理装置62、設備管理装置63、在庫管理装置64は、それぞれCPUや周辺機器、記憶手段を構成する各種メモリ等で構成されている。
原単位管理装置61は、各ロット200に対する複数の処理工程と、この複数の処理工程のそれぞれに用いる処理設備1との関係情報を記憶する。また、原単位管理装置61は、処理設備1とバッファ3との対応関係を示す情報を記憶する。
具体的には、各バッファ3には、バッファコードが割り当てられており、各処理設備1に対してバッファコードが設定されている。バッファコードが1つの処理設備1のみに対して設定されたバッファ3は専用バッファ33となり、バッファコードが複数の処理設備1に対して設定されたバッファ3は共用バッファ34となる。
また、専用バッファ33および共用バッファ34のいずれにも搬送できないときの代替搬送先を示すバッファコードが各処理設備1に対して設定されており、代替搬送先として設定されたバッファ3は代替バッファ32となる。
さらに、設備前バッファ31、代替バッファ32のいずれにも搬送できない場合の搬送先として、各処理設備1に対してマニュアル出庫口4が設定されている。
なお、原単位管理装置61には、原単位管理装置61に情報を入力するための入力装置7が接続されている。これにより、生産工場の稼働中においても、原単位管理装置61に記憶された処理設備1とバッファ3との対応関係を示す情報を書き換え、各処理設備1に対する設備前バッファ31、代替バッファ32の割り当てを変更することが可能となる。
ロット/製造工程フロー管理装置62は、各ロット200の処理状況を示す処理情報、および、各ロット200に対して設定されている処理設備1への仕掛優先度を示す情報を記憶する。設備管理装置63は、各処理設備1と接続されており、各処理設備1の不具合の有無などの状態を示す情報を記憶する。在庫管理装置64は、各バッファ3に保管されているロット200の有無などの在庫情報を記憶する。
搬送制御装置5は、搬送制御装置5と、原単位管理装置61と、ロット/製造工程フロー管理装置62と、設備管理装置63と、在庫管理装置64とに記憶された情報に基づいて、搬送装置2に搬送指示を送る。
搬送システム100の動作について図3〜図6を用いて説明する。搬送システム100では、ロット200が複数の処理設備1を順に移動することによって各工程が行われる。そして、ある処理設備1においてロット200に対する処理が終了すると、搬送制御装置5は、このロット200について図3に示すステップS101〜S118の処理を行い、次の搬送先を決定して、搬送装置2に搬送指示を送る。搬送制御装置5により搬送先を決定する処理が行われているロット200をロット200aとする。
ステップS101では、搬送制御装置5は、ロット/製造工程フロー管理装置62から、ロット200aを次に処理する処理設備1を示す搬送先処理設備情報を取得し、ステップS102へ進む。ロット200aを次に処理する処理設備1を処理設備1aとする。
ステップS102では、搬送制御装置5は、処理設備1aによる処理を待つすべてのロット200について、仕掛優先度情報を取得し、ステップS103へ進む。ステップS103では、搬送制御装置5は、処理設備1aに空きポートがあるか否かを判定し、処理設備1aに空きポートがあると判定した場合、ステップS104へ進む。
ステップS104では、搬送制御装置5は、処理設備1aへ搬送中のロット200があるか否かを判定し、処理設備1aへ搬送中のロット200がないと判定した場合、ステップS105へ進む。
ステップS105では、搬送制御装置5は、ステップS102で取得した仕掛優先度情報に基づいて、処理設備1aによる処理を待つロット200の中にロット200aより仕掛優先度の高いものがあるか否かを判定する。ロット200aよりも仕掛優先度の高いロット200がないと判定した場合、搬送制御装置5は、ステップS106へ進む。
ステップS106では、搬送制御装置5は、処理設備1aのポートを搬送先に設定し、その後、ステップS107において、搬送装置2に搬送指示を出す。
ステップS103において処理設備1aに空きポートがないと判定した場合、搬送制御装置5は、ステップS108へ進む。また、ステップS104において処理設備1aへ搬送中のロット200があると判定した場合にも、搬送制御装置5は、ステップS108へ進む。また、ステップS105においてロット200aよりも仕掛優先度の高いロット200があると判定した場合にも、搬送制御装置5は、ステップS108へ進む。
ステップS108では、搬送制御装置5は、原単位管理装置61から、処理設備1aに対応する設備前バッファ31を示す情報を取得し、ステップS109へ進む。処理設備1aに対応する設備前バッファ31を設備前バッファ31aとする。ステップS109では、搬送制御装置5は、在庫管理装置64から設備前バッファ31aの在庫情報を取得し、ステップS110へ進む。
ステップS110では、搬送制御装置5は、設備前バッファ31aに空きがあるか否かを判定し、設備前バッファ31aに空きがあると判定した場合、ステップS111へ進む。ステップS111では、搬送制御装置5は、すでに設備前バッファ31aへの搬送が開始されているロット200の数を調べ、搬送中のロット200によって設備前バッファ31aが満杯になるか否かを判定する。
搬送中のロット200によって設備前バッファ31aが満杯にならないと判定した場合、搬送制御装置5は、ステップS112へ進む。ステップS112では、搬送制御装置5は、設備前バッファ31aを搬送先に設定して、ステップS107へ進む。
ステップS110において設備前バッファ31aに空きがないと判定した場合、または、ステップS111において搬送中のロット200によって設備前バッファ31aが満杯になると判定した場合、搬送制御装置5は、ステップS113へ進む。
ステップS113では、搬送制御装置5は、原単位管理装置61から、処理設備1aに対応する代替バッファ32を示す情報を取得し、ステップS114へ進む。処理設備1aに対応する代替バッファ32を代替バッファ32aとする。ステップS114では、搬送制御装置5は、在庫管理装置64から代替バッファ32aの在庫情報を取得し、ステップS115へ進む。
ステップS115では、搬送制御装置5は、代替バッファ32aに空きがあるか否かを判定し、代替バッファ32aに空きがあると判定した場合、ステップS116へ進む。
ステップS116では、搬送制御装置5は、すでに代替バッファ32aへの搬送が開始されているロット200の数を調べ、搬送中のロット200によって代替バッファ32aが満杯になるか否かを判定する。
搬送中のロット200によって代替バッファ32aが満杯にならないと判定した場合、搬送制御装置5は、ステップS117へ進み、代替バッファ32aを搬送先に設定して、ステップS107へ進む。
ステップS115において代替バッファ32aに空きがないと判定した場合、または、ステップS116において代替バッファ32aが満杯になると判定した場合、搬送制御装置5は、ステップS118へ進み、マニュアル出庫口4を搬送先に設定して、ステップS107へ進む。
以上の搬送先決定処理により、図4の矢印で示すように、ロット200aは処理設備1a、設備前バッファ31a、代替バッファ32a、マニュアル出庫口4のいずれかへ搬送される。
すなわち、搬送制御装置5は、平時にはステップS101〜S112の処理を行い、処理設備1により処理される前のロット200は、処理設備1または設備前バッファ31に搬送される。そして、設備前バッファ31に保管されたロット200は、仕掛優先度の高い順に処理設備1へ搬送される。
処理設備1に不具合が発生すると、処理設備1による処理が進まなくなり、設備前バッファ31がロット200で満杯になる。そして、搬送制御装置5はステップS113〜S117の処理を行い、ロット200は設備前バッファ31に加えて代替バッファ32でも保管される。
さらに、代替バッファ32が満杯になると、搬送制御装置5はステップS118の処理を行い、ロット200はマニュアル出庫口4へ搬送される。
処理設備1が復旧すると、設備前バッファ31、代替バッファ32、マニュアル出庫口4のいずれかへ搬送されたロット200は、仕掛優先度などに応じて、これらの場所から処理設備1へ順次搬送される。このとき、設備前バッファ31に保管されたロット200が搬出されることによって設備前バッファ31に空きが発生すると、搬送制御装置5は、図5に示すステップS201〜S213の処理を行う。図5に示す処理は、本来の搬送先である処理設備1、および、この処理設備1に対応する設備前バッファ31のいずれにも搬送されずに代替バッファ32へ搬送されたロット200を、状況に応じて設備前バッファ31へ搬送する呼び戻し搬送処理である。
ステップS201では、搬送制御装置5は、在庫管理装置64から、設備前バッファ31に空きが発生した処理設備1の在庫情報を取得し、ステップS202へ進む。この処理設備1を、処理設備1bとする。
ステップS202では、搬送制御装置5は、在庫管理装置64から処理設備1bに対応する設備前バッファ31の在庫情報を取得し、ステップS203へ進む。処理設備1bに対応する設備前バッファ31を、設備前バッファ31bとする。また、処理設備1bに対応する代替バッファ32を、代替バッファ32bとする。
ステップS203では、搬送制御装置5は、設備前バッファ31bへ搬送中のロット200の数を確認し、搬送中のロット200で設備前バッファ31bが満杯になるか否かを判定する。搬送制御装置5は、搬送中のロット200で設備前バッファ31bが満杯にならないと判定した場合、ステップS204へ進み、満杯になると判定した場合、呼び戻し搬送処理を終了する。
ステップS204では、搬送制御装置5は、処理設備1bに対応するバッファ3のうち、設備前バッファ31b以外の保管場所である代替バッファ32bにロット200があるか否かを判定する。搬送制御装置5は、代替バッファ32bにロット200があると判定した場合、ステップS205へ進み、代替バッファ32bにロット200がないと判定した場合、呼び戻し搬送処理を終了する。
ステップS205では、搬送制御装置5は、ロット/製造工程フロー管理装置62より、代替バッファ32bに保管されているロット200のロット情報を取得し、代替バッファ32bに保管されているすべてのロット200を搬送対象ロットとして、ステップS206へ進む。
ステップS206では、搬送制御装置5は、ロット/製造工程フロー管理装置62より、搬送対象ロットの仕掛優先度情報を取得し、ステップS207へ進む。
ステップS207では、搬送制御装置5は、搬送対象ロットがあるか否かを判定する。搬送制御装置5は、搬送対象ロットがあると判定した場合、ステップS208へ進み、搬送対象ロットがないと判定した場合、呼び戻し搬送処理を終了する。
ステップS208では、搬送制御装置5は、搬送対象ロットのうち、仕掛優先度の最も高いものを判定対象ロットとして、ステップS209へ進む。ステップS209では、搬送制御装置5は、判定対象ロットを代替バッファ32bから設備前バッファ31bへ搬送するときの搬送時間情報を取得し、ステップS210へ進む。
ステップS210では、搬送制御装置5は、判定対象ロットを代替バッファ32bから設備前バッファ31bへ搬送するときの搬送時間が所定の閾値以上であるか否かを判定する。搬送制御装置5は、搬送時間が閾値以上であると判定した場合、ステップS211へ進む。
ステップS211では、搬送制御装置5は、設備前バッファ31bを判定対象ロットの搬送先に設定して、ステップS212へ進み、搬送装置2に搬送指示を出して、呼び戻し搬送処理を終了する。
ステップS210において、搬送時間が閾値以上でないと判定した場合、搬送制御装置5は、ステップS213へ進む。ステップS213では、搬送制御装置5は、判定対象ロットを搬送対象ロットから除外して、ステップS207へ進む。
以上の呼び戻し搬送処理の後、搬送指示が出された台車22によって、図6の矢印で示すように、代替バッファ32bに保管されているロット200が設備前バッファ31bへ搬送される。
処理設備1に不具合が発生してロット200が代替バッファ32に保管された後、処理設備1が復旧し、ロット200の処理が再開されると、設備前バッファ31、代替バッファ32に保管されたロット200のうち、仕掛優先度の最も高いものが処理設備1へ搬送される。仕掛優先度の最も高いものが代替バッファ32に保管されている場合、処理設備1への搬送に長い時間がかかるため、処理設備1の空き時間が長くなる。
これに対して、設備前バッファ31に空きが発生した場合に呼び戻し搬送処理を行い、代替バッファ32に保管されているロット200を仕掛優先度などに応じて設備前バッファ31へあらかじめ搬送しておくことで、処理設備1の空き時間を短縮することができる。
処理設備1の空き時間の短縮については、例えば処理設備1がアライメント精度測定器などのタクトタイムが短いものであり、処理設備1のタクトタイムが設備前バッファ31から処理設備1への搬送時間よりも短い場合に、特に大きな効果が得られる。このことについて、図7、図8を用いて説明する。
以下、処理前の複数のロット200を、仕掛優先度の高い順にロット201、202、203、204、・・・とする。また、図8に示す処理の開始時には、図7に示すように、ロット201、202、204が設備前バッファ31に保管されており、ロット203が代替バッファ32に保管されているものとする。
また、図7、図8に示す例では、処理設備1のタクトタイムが3分とされ、設備前バッファ31から処理設備1への搬送時間が4分とされ、代替バッファ32から処理設備1への搬送時間が6分とされ、代替バッファ32から設備前バッファ31への搬送時間が3分とされている。また、ステップS210での判定に用いられる閾値は2分とされており、処理設備1から次の搬送先への搬送時間は4分とされている。また、処理設備1は2つのポートを備えており、図8に示す処理の開始時には処理設備1に2つの空きポートがあり、処理設備1に搬送中のロット200はないものとする。
まず、ステップS101〜S107の処理によりロット201の処理設備1への搬送が開始されると、設備前バッファ31に空きが発生する。また、代替バッファ32から設備前バッファ31への搬送時間が所定の閾値以上であるため、呼び戻し搬送処理により、ロット203が代替バッファ32から設備前バッファ31へ搬送される。ロット201の処理設備1への搬送が開始されてからの経過時間をtとすると、ここでは、t=2minのときにロット203の設備前バッファ32への搬送が開始される。
そして、ロット201が処理設備1へ到着し、ロット201の処理が開始されると、処理設備1に空きポートがあり、処理設備1へ搬送中のロット200がない状態となる。したがって、ステップS101〜S107の処理により、処理設備1による処理を待つロット200の中で最も仕掛優先度の高いロット202が処理設備1へ搬送される。
t=7minのときにロット201の処理が終了するので、t=8minのときにロット202が処理設備1へ到着すると、直ちにロット202の処理が開始される。また、ロット202が処理設備1へ到着すると、処理設備1に空きポートがあり、処理設備1へ搬送中のロット200がない状態となる。したがって、ステップS101〜S107の処理により、処理設備1による処理を待つロット200の中で最も仕掛優先度の高いロット203が設備前バッファ31から処理設備1へ搬送される。
t=11minのときにロット202の処理が終了するので、t=12minのときにロット203が処理設備1へ到着すると、直ちにロット203の処理が開始される。このとき、処理設備1の空き時間は1分である。また、ロット203が処理設備1へ到着すると、処理設備1に空きポートがあり、処理設備1へ搬送中のロット200がない状態となる。したがって、ステップS101〜S107の処理により、処理設備1による処理を待つロット200の中で最も仕掛優先度の高いロット204が処理設備1へ搬送される。
t=15minのときにロット203の処理が終了するので、t=16minのときにロット204が処理設備1へ到着すると、直ちにロット204の処理が開始される。そして、t=19minのときにロット204の処理が終了する。
呼び戻し搬送処理を行わない場合、図9に示すように、処理設備1の空き時間が長くなる。すなわち、t=8minのときにロット203の代替バッファ32から処理設備1への搬送が開始され、t=14minのときにロット203が処理設備1へ到着し、ロット203の処理が開始される。このとき、処理設備1の空き時間は3分である。そして、ロット203の処理の終了後にロット204の処理が開始され、t=21minのときにロット204の処理が終了する。
このように、処理設備1のタクトタイムが短い場合、処理設備1のポートに空きが発生したタイミングで代替バッファ32から処理設備1へのロット200の搬送を開始すると、処理設備1の空き時間が長くなる。そして、処理設備1の稼働率が低下するおそれがある。これに対して、前述したように設備前バッファ31への呼び戻し搬送を行うことにより、処理設備1の空き時間を短縮し、処理設備1の稼働率を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態では、設備前バッファ31に空きが発生したときに代替バッファ32から設備前バッファ31へのロット200の搬送を行うことで、処理設備1への搬送効率を向上させ、処理設備1の稼働率を向上させることができる。また、設備前バッファ31や代替バッファ32の有効活用が可能である。
また、本実施形態では、ステップS210によって、代替バッファ32から設備前バッファ31への搬送時間がある程度長いときにのみ呼び戻し搬送を行っている。すなわち、設備前バッファ31から処理設備1への搬送時間と、代替バッファ32から処理設備1への搬送時間との差がある程度大きく、処理設備1の空き時間を短縮する効果が大きい場合にのみ呼び戻し搬送を行っている。これにより、搬送効率をさらに向上させることができる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記第1実施形態では、設備前バッファ31を第1保管庫として用い、代替バッファ32を第2保管庫として用いたが、第1保管庫および第2保管庫の組み合わせを変更してもよい。例えば、専用バッファ33を第1保管庫とし、共用バッファ34を第2保管庫としてもよい。また、複数の専用バッファ33の一部を第1保管庫とし、他の専用バッファ33または共用バッファ34を第2保管庫としてもよい。また、複数の共用バッファ34の一部を第1保管庫とし、他の共用バッファ34を第2保管庫としてもよい。また、共用バッファ34から処理設備1への搬送時間を専用バッファ33から処理設備1への搬送時間よりも短くして、共用バッファ34を第1保管庫とし、専用バッファ33を第2保管庫としてもよい。また、代替バッファ32の一部を第1保管庫とし、他の代替バッファ32を第2保管庫としてもよい。
また、上記第1実施形態では、設備前バッファ31に空きが発生したタイミングで図5に示す呼び戻し搬送処理を行っているが、定期的に設備前バッファ31の在庫状況を確認し、空きが発見されたタイミングで呼び戻し搬送処理を行ってもよい。
また、上記第1実施形態では、代替バッファ32から設備前バッファ31への搬送時間がある程度長いときにのみ呼び戻し搬送を行っているが、代替バッファ32から設備前バッファ31への搬送時間に関わらず呼び戻し搬送を行ってもよい。
また、上記第1実施形態では、各処理設備1に対してバッファコードを設定したが、1つまたは複数の処理設備1によって行われる各工程に対してバッファコードを設定し、各工程に対して専用バッファ33、共用バッファ34を設けてもよい。
また、設備前バッファ31が専用バッファ33または共用バッファ34のいずれか一方を備えていなくてもよい。また、本発明を処理設備1のタクトタイムがバッファ3から処理設備1への搬送時間より長い生産工場に適用してもよい。
また、本発明を半導体装置以外のものを製造する生産工場に適用してもよい。また、本発明を半導体装置または半導体装置以外のものを試作する生産工場に適用してもよい。