実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
また、本明細書等において、可撓性とは、物体が柔軟であり、曲がることが可能である性質を指す。物体にかかる外力に応じて物体が変形することができる性質であり、弾性や変形前の形状への復元性の有無を問題にはしない。可撓性を有する蓄電装置は、外力に応じて変形することができる。可撓性を有する蓄電装置は、変形した状態で固定して使用することもでき、繰り返し変形させて使用してもよく、変形していない状態で使用することもできる。また、本明細書等において、外装体の内部とは、蓄電装置において外装体で囲われた領域を指し、正極、負極、活物質層、セパレータ等の構造物、及び電解質等が収納される領域である。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置について図1乃至図13を用いて説明する。
本発明の一態様の蓄電装置は、正極、負極、セパレータ、電解質及び外装体を有する。
蓄電装置の耐熱性を高めるには、電解質の耐熱性が高いことが求められる。電解質の耐熱性を高めるには、熱によって電解質が分解するのを抑制する、又は熱によって電解質が他の部材と反応して電解質が分解するのを抑制するのが効果的と考えられる。他の部材との反応として、例えば正極、負極、セパレータ又は外装体との反応が考えられる。
なお、本明細書等において、電解質とは電気伝導性を有する物質を指す。電解質は、液体に限られず、ゲルや固体であってもよい。液体の電解質を電解液と呼ぶ場合があり、電解液は溶質を溶媒に溶解させて作製できる。また、固体の電解質を固体電解質と呼ぶ場合がある。
例えば、電解質の溶質であるリチウム塩として、構造式(100)で表される六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)が普及している。しかし、六フッ化リン酸リチウムは化学的、熱的安定性に乏しい。例えば、微量の水分で加水分解してHFを発生し、蓄電装置の劣化の原因となることが考えられる。また、高温でLiFとPF5に分解し、PF5が溶媒の分解を引き起こすと言われており、溶質としては高温での安定性は低いと考えられる。六フッ化リン酸リチウムの熱分解温度は、154℃程度である。なお、熱分解温度は、粉末の状態で、熱分解により重量が5%減少したときの温度を示している。熱分解による重量変動は、熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)等を用いて確認できる。
本発明の一態様で用いるリチウム塩を一般式(G1)に示す。
一般式(G1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、フッ素又は直鎖、分岐若しくは環状の炭素数1乃至10のフルオロアルキル基を表す。
本明細書等において、フルオロアルキル基とは、アルキル基の一部又は全ての水素原子がフッ素原子に置換された基を指す。アルキル基の60%以上の水素原子が、フッ素原子に置換されていることが好ましい。フルオロアルキル基は酸素、硫黄、窒素などの炭素、水素、フッ素以外の原子を有しても良い。
一般式(G1)で表されるリチウム塩は化学的、熱的安定性が高い。分解温度が高く、耐熱性が高いことから、溶質として用いることで蓄電装置の耐熱性を高くすることができる。また、一般式(G1)で表されるリチウム塩は電気陰性度が高いフッ素を有することから、フルオロアルキルスルホニル基が強い電子吸引性を示し、リチウムイオン解離度が非常に高く、リチウムイオン二次電池などの蓄電装置において電解質の溶質として用いるのに適している。フルオロアルキル基が有するフッ素原子は多いほど好ましい。
一般式(G1)において、R1はフッ素又は直鎖、分岐若しくは環状の炭素数1乃至7のフルオロアルキル基がさらに好ましい。一般式(G1)において、R2はフッ素又は直鎖、分岐若しくは環状の炭素数1乃至7のフルオロアルキル基がさらに好ましい。このようなリチウム塩を電解質の溶質として用いることで、蓄電装置の耐熱性を高めることができる。
また、一般式(G1)において、R1はフッ素又は直鎖、分岐若しくは環状の炭素数1乃至5のフルオロアルキル基がさらに好ましい。一般式(G1)において、R2はフッ素又は直鎖、分岐若しくは環状の炭素数1乃至5のフルオロアルキル基がさらに好ましい。そうすることで、一般式(G1)で表されるリチウム塩の解離度が高くなり、イオン伝導率の高い電解質とすることができる。また、一般式(G1)で表されるリチウム塩の分子量が大きくならず、溶媒に溶解させる重量が少なくて済むため、電解質の粘度が増加するのを抑制でき、電池特性の悪化を抑制できる。また、コストを抑えられる。
一般式(G1)で表されるリチウム塩の具体的な構造式を下記に示す。構造式(101)で表されるリチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(Li(FSO2)2N、略称:LiFSA)、構造式(102)で表されるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Li(CF3SO2)2N、略称:LiTFSA)、構造式(103)で表されるリチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(Li(C2F5SO2)2N、略称:LiBETA)、構造式(104)で表されるリチウム(パーフルオロブタンスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiN(C4F9SO2)(CF3SO2))などを、溶質として用いることが好ましい。これらは、熱分解温度が高く、溶質として用いることで蓄電装置の耐熱性を高くすることができる。例えば、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミドの融点は140℃、熱分解温度は300℃程度である。リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドの融点は233℃、熱分解温度は380℃程度である。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミドの融点は328℃、熱分解温度は350℃程度である。
しかし、一般式(G1)で表されるリチウム塩は、集電体と反応し、集電体が腐食する場合がある。集電体が腐食すると、電池の容量が低下するなどの原因となりうる。
前述した、構造式(100)で表される六フッ化リン酸リチウムは、集電体と反応して集電体表面に不動態被膜を形成し、集電体の腐食を抑制する場合がある。
そこで、本発明の一態様では、電解質の溶質に、一般式(G1)で表されるリチウム塩及び構造式(100)で表される六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を有することが好ましい。六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)が集電体の表面に不動態被膜を形成し、集電体の腐食を抑制できる。六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)は、集電体の表面に不動態被膜を形成できる量を用いることが望ましい。また、一般式(G1)で表されるリチウム塩は、キャリアイオンとなるリチウムイオンを供給する役割を主に担い、また耐熱性が高い。さらに、一般式(G1)で表されるリチウム塩及び構造式(100)で表される六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用いることで、耐熱性が高い蓄電装置とすることができる。また、蓄電池の加熱処理を行っても、充放電を繰り返した後に容量及びエネルギー密度が低下しづらい蓄電装置とすることができる。
また、蓄電装置の耐熱性を高くするために、電解質に含まれる溶媒は沸点が高く、蒸気圧が低いことが好ましい。溶媒は誘電率が高く、溶質を溶解する力が大きいことが好ましい。このような溶媒として、カーボネートを用いることができる。カーボネートとは、分子構造に炭酸エステルを少なくとも一つ有する化合物を指し、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含む。また、鎖状とは、直鎖状または分岐鎖状の両方を含む。環状カーボネートとして、例えば、構造式(301)で表されるエチレンカーボネート(EC)、構造式(302)で表されるプロピレンカーボネート(PC)、構造式(303)で表されるビニレンカーボネート(VC)を用いることができる。エチレンカーボネート(EC)の沸点は243℃、プロピレンカーボネート(PC)の沸点は242℃、ビニレンカーボネート(VC)の沸点は162℃であり、これらは耐熱性が高くかつ蒸気圧が低いことから、溶媒として用いることが好ましい。
負極を黒鉛(層状黒鉛)とした場合に、プロピレンカーボネート(PC)は黒鉛表面に不動態被膜を形成せず、リチウムイオンと共に黒鉛層間に挿入されることで、黒鉛層の一部が黒鉛粒子から剥離してしまう場合がある。そこで、電解質に、黒鉛表面に不動態被膜を形成する機能を有する溶媒を混合して用いることが好ましい。黒鉛表面に不動態被膜を形成する機能を有する溶媒として、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。そこで、本発明の一態様では、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)及びビニレンカーボネート(VC)を電解質の溶媒として用いる。そうすることで、黒鉛層の一部が黒鉛粒子から剥離するのを抑制できる。
そこで、本発明の一態様では、電解質の溶媒としてエチレンカーボネート(EC)、プロプレンカーボネート(PC)及びビニレンカーボネート(VC)を有し、電解質の溶質として一般式(G1)で表されるリチウム塩、及び六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を有することが好ましい。
本発明の一態様の蓄電装置では、エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して作製した電解質を用いることが好ましい。
具体的には、ビニレンカーボネート(VC)は、電解質に対し、重量比で0.1wt%以上5.0wt%以下、好ましくは1.0wt%となる量を溶解する。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質に対し、モル濃度で0.1mol/L以上5.0mol/L以下、好ましくは1mol/Lとなる量を溶解するのが好ましい。六フッ化リン酸リチウムは、電解質に対し、重量比で0.01wt%以上1.9wt%以下が好ましい。また、六フッ化リン酸リチウムは、電解質に対し、重量比で0.05wt%以上1.2wt%以下がさらに好ましい。また、六フッ化リン酸リチウムは、電解質に対し、重量比で0.1wt%以上0.8wt%以下がさらには好ましい。
電解質の組成は、X線光電子分光分析法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC−MS:Gas Chromatography−Mass Spectrometry)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC−MS:Liquid Chromatography Mass Spectrometry)、イオンクロマトグラフ法(IC:Ion Chromatography)、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)、原子吸光分析法(AAS:Atomic Absorption Spectrometry)、グロー放電質量分析法(GD−MS:Glow Discharge Mass Spectrometry)、核磁気共鳴法(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy)等を用いて確認できる。
また、セパレータとして一般的に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン等は熱に弱い。高温下ではセパレータの微細孔が閉塞し、蓄電装置が動作しなくなる場合がある。
そこで、本発明の一態様の蓄電装置では、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylene sulfide)を含むセパレータ又はセルロース繊維を含むセパレータを用いることが好ましい。
ポリフェニレンサルファイドを含むセパレータ及びセルロース繊維を含むセパレータは、耐熱性や耐薬品性に優れる。
また、ポリフェニレンサルファイドを含むセパレータ及びセルロース繊維を含むセパレータは、高温下における電解液との反応性が低い。そのため、出力特性や充放電サイクル特性の低下を抑制できる。
<蓄電装置の構成例>
次に、本発明の一態様の蓄電装置の具体的な構成について説明する。
図1(A)に、本発明の一態様の蓄電装置である、蓄電装置500を示す。図1(A)では、蓄電装置500の一例として、薄型の蓄電装置の形態を示すが、本発明の一態様の蓄電装置はこれに限られない。
図1(A)に示すように、蓄電装置500は、正極503、負極506、第1のセパレータ507、第2のセパレータ520及び外装体509を有する。蓄電装置500は、正極リード510及び負極リード511を有してもよい。また接合部518は、外装体509の外周を熱圧着によって接合した部位である。
図1(B)に、正極503の外観図を示す。正極503は、正極集電体501及び正極活物質層502を有する。
図1(B)に示すように、正極503は、タブ領域281を有することが好ましい。タブ領域281の一部は、正極リード510と溶接されることが好ましい。タブ領域281は正極集電体501が露出する領域を有することが好ましく、正極集電体501が露出する領域に正極リード510を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることができる。また、図1(B)ではタブ領域281の全域において正極集電体501が露出している例を示すが、タブ領域281は、その一部に正極活物質層502を有してもよい。
図1(C)に、負極506の外観図を示す。負極506は、負極集電体504及び負極活物質層505を有する。
図1(C)に示すように、負極506は、タブ領域282を有することが好ましい。タブ領域282の一部は、負極リード511と溶接されることが好ましい。タブ領域282は負極集電体504が露出する領域を有することが好ましく、負極集電体504が露出する領域に負極リード511を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることができる。また、図1(C)ではタブ領域282の全域において負極集電体504が露出している例を示すが、タブ領域282は、その一部に負極活物質層505を有してもよい。
図1(A)に示すように、第1のセパレータ507は、正極503及び負極506と重なる領域を有する。第2のセパレータ520は、タブ領域281及びタブ領域282と重なる領域を有する。なお、第2のセパレータ520を設けない構造としてもよい。
図2(A)及び図2(B)に、図1(A)における一点鎖線A1−A2間の断面図の一例をそれぞれ示す。図2(A)及び図2(B)には、正極503と負極506を1組用いて作製した蓄電装置500の断面構造をそれぞれ示す。
図2(A)及び図2(B)に示すように、蓄電装置500は、正極503、負極506、第1のセパレータ507、第2のセパレータ520、電解質508及び外装体509を有する。第1のセパレータ507は、正極503と負極506の間に位置する。第2のセパレータ520は、正極503と外装体509の間、及び負極506と外装体509の間に位置する。外装体509内は、電解質508で満たされている。
正極503は、正極活物質層502と、正極集電体501とを含む。負極506は、負極活物質層505と、負極集電体504とを含む。活物質層は、集電体の片面又は両面に形成すればよい。第1のセパレータ507は、正極集電体501と負極集電体504の間に位置する。
蓄電装置は、正極及び負極をそれぞれ1つ以上有していればよい。例えば、蓄電装置は、複数の正極及び複数の負極からなる積層構造とすることもできる。
ここで、正極503及び負極506は、積層される複数の正極同士又は複数の負極同士を電気的に接続するために、タブ領域を有することが好ましい。また、タブ領域にはリードを電気的に接続することが好ましい。
図1(A)における一点鎖線B3−B4間の断面図の一例を図3(A)、一点鎖線B5−B6間の断面図の一例を図3(B)に示す。一点鎖線B3−B4間は、正極リード510及び正極503を有する領域の断面図である。一点鎖線B5−B6間は、負極リード511及び負極506を有する領域の断面図である。図3(A)及び図3(B)には、正極503と負極506を1組用いて作製した蓄電装置500の断面構造をそれぞれ示す。
図3(A)に示すように、第2のセパレータ520は、正極503と外装体509の間に設けられる。第2のセパレータ520は、正極が有するタブ領域281及び正極リード510と重なる領域を有することが好ましい。図3(B)に示すように、第2のセパレータ520は、負極506と外装体509の間に設けられる。第2のセパレータ520は、負極が有するタブ領域282及び負極リード511と重なる領域を有することが好ましい。
外装体509として、外装体の外面に導電性を有する材料を用い、外装体の内側(正極及び負極側)に絶縁性を有する樹脂を用いる場合、加熱処理により該樹脂が溶解し、外面の導電性を有する材料が露出する場合がある。外装体の導電性を有する材料が、正極リード510、負極リード511、正極集電体501又は負極集電体504と接触するとリークする原因となりうる。第2のセパレータ520を、正極503と外装体509の間、負極506と外装体509の間に設けることにより、前述のリークを抑制できる。なお、第2のセパレータ520を設けない構造としてもよい。
図4(A)に、図1(A)における一点鎖線A1−A2間の断面図の別の例を示す。また、図4(B)に図1(A)における一点鎖線B1−B2間の断面図を示す。
図4(A)及び図4(B)には、正極503と負極506を複数組用いて作製した蓄電装置500の断面構造を示す。蓄電装置500が有する電極層数に限定はない。電極層数が多い場合には、より多くの容量を有する蓄電装置とすることができる。また、電極層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた蓄電装置とすることができる。
図4(A)及び図4(B)では、正極集電体501の片面に正極活物質層502を有する正極503を2つと、正極集電体501の両面に正極活物質層502を有する正極503を2つと、負極集電体504の両面に負極活物質層505を有する負極506を3つ用いる例を示す。つまり、蓄電装置500は、6層の正極活物質層502と、6層の負極活物質層505を有する。なお、図4(A)及び図4(B)では、第1のセパレータ507が袋状の例を示すが、これに限定されず、第1のセパレータ507は短冊状であっても、蛇腹状であってもよい。
また、図4において、正極集電体501の両面に正極活物質層502を有する一の正極を、正極集電体501の片面に正極活物質層502を有する2つの正極に置き換えることが好ましい。同様に、負極集電体504の両面に負極活物質層505を有する一の負極を、負極集電体504の片面に負極活物質層505を有する2つの負極に置き換えることが好ましい。図5に示す蓄電装置500は、正極集電体501の正極活物質層502が付着していない面同士、ならびに負極集電体504の負極活物質層505が付着していない面同士が向かい合わせとなって接している。このような構成とすることで、蓄電装置500を湾曲させた場合に、2つの正極集電体501の界面および2つの負極集電体504の界面が滑り面となり、蓄電装置500内部に生じる応力を緩和できる。
なお、図1(A)では、正極503と負極506の端部が概略揃っている例を示すが、正極503は、負極506の端部よりも外側に位置する部分を有していてもよい。
蓄電装置500において、負極506の正極503と重ならない領域の面積は小さいほど好ましい。
図2(A)では、負極506の端部が、正極503の内側に位置する例を示す。このような構成とすることにより、負極506を全て正極503と重ねる、又は負極506の正極503と重ならない領域の面積を小さくすることができる。
または、蓄電装置500において、正極503と負極506の面積は概略同じであることが好ましい。例えば、第1のセパレータ507を挟んで向かい合う正極503と負極506の面積は、概略同じであることが好ましい。例えば、第1のセパレータ507を挟んで向かい合う正極活物質層502の面積と負極活物質層505の面積は概略同じであることが好ましい。
図2(B)では、正極503の端部が、負極506の内側に位置する例を示す。このような構成とすることにより、正極503を全て負極506と重ねる、又は正極503の負極506と重ならない領域の面積を小さくすることができる。負極506の端部が正極503の端部よりも内側に位置すると、負極506の端部に電流が集中してしまう場合がある。例えば、負極506の一部に電流が集中することで、負極506上にリチウムが析出してしまうことがある。正極503の負極506と重ならない領域の面積を小さくすることで、負極506の一部に電流が集中することを抑制できる。これにより、例えば、負極506上へのリチウムの析出が抑制でき、好ましい。
図4(A)及び図4(B)に示すように、正極503と負極506を複数組用いる場合においても、正極503の端部が、負極506の内側に位置してもよい。また、正極503の端部と負極506の端部は概略揃うようにしてもよい。また、負極506の端部が、正極503の内側に位置してもよい。
図1(A)に示すように、正極リード510は、正極503に電気的に接続することが好ましい。同様に、負極リード511は、負極506に電気的に接続することが好ましい。正極リード510及び負極リード511は外装体509の外側に露出し、外部との電気的接触を得る端子として機能する。
または、正極集電体501及び負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役割を兼ねることもできる。その場合は、リードを用いずに、正極集電体501及び負極集電体504の一部を外装体509から外側に露出するように配置してもよい。
なお、外装体509の表面の一部が凹凸を有することが好ましい。外装体509が凹凸を有することで、蓄電装置500を湾曲させた場合に外装体509にかかる応力を緩和することができる。よって、蓄電装置500の可撓性を高めることができる。上記のような凹凸は、蓄電装置500を組み立てる前の外装体509に対してエンボス加工を行うことで形成できる。
ここで、プレス加工の一種であるエンボス加工の説明をする。
図6は、エンボス加工の一例を示す断面図である。なお、エンボス加工とは、表面に凹凸のあるエンボスロールをフィルムに圧接させ、エンボスロールの凹凸に対応する凹凸をフィルムに形成する処理のことを指している。エンボスロールは、表面に模様を彫刻したロールである。
図6(A)は、外装体509に用いるフィルム50の片方の面にエンボス加工を行う例である。
図6(A)において、フィルムの一方の面に接するエンボスロール53と、もう一方の面に接するロール54との間にフィルム50が挟まれ、フィルム50がフィルムの進行方向60に送り出されている途中を示している。圧力や熱によってフィルム表面に模様を形成している。
図6(A)は、片面エンボス加工とも呼ばれ、エンボスロール53とロール54(金属ロールまたは弾性ロール(ゴムロールなど))の組み合わせである。
また、図6(B)はエンボスロール53とロール54との間に、一度片面にエンボス加工を行ったフィルム51が挟まれ、進行方向60の方向に送り出されている途中を示している。エンボスロール53は、フィルム51のまだエンボス加工がされていない面に接して回転するため、フィルム51は両面にエンボス加工が行われる。この例のように、1枚のフィルムについて複数回エンボス加工を行うことも可能である。
また、図6(C)は両面にエンボス加工をしたフィルム52の断面の拡大図を示している。H1はフィルムの凹部または凸部におけるフィルムの膜厚を示している。また、H2は凹部とその凹部と隣り合う凸部の境界部分の膜厚、または、凸部とその凸部と隣り合う凹部の境界部分のフィルムの膜厚を示している。フィルムの膜厚は均一でなく、H2はH1よりも小さい。
また、図6(D)はフィルムの両面にエンボス加工を行う別の例である。
図6(D)において、フィルムの一方の面に接するエンボスロール53と、もう一方の面に接するエンボスロール55との間にフィルム50が挟まれ、フィルム50がフィルムの進行方向60に送り出されている途中を示している。
図6(D)は、雄柄のエンボスロールであるエンボスロール53と雌柄のエンボスロール55の組み合わせである。また、フィルム50の表面の一部を浮き上がらせるエンボスと、表面をへこませたデボスが連続している凸凹により、フィルム50の表面に模様を形成している。
図6(E)は図6(D)の一方のエンボスロール55に形成された突起のピッチを変えたエンボスロール56を使用している。ここで、突起のピッチあるいはエンボスのピッチとは、隣り合う突起の頂点間の距離のことをいう。たとえば、図6(E)における距離Pを突起のピッチあるいはエンボスのピッチという。図6(E)はエンボスロール53とエンボスロール56の間にフィルム50を挟み、進行方向60へ送り出される途中を示している。突起のピッチを変えることで、フィルムの両面にエンボスピッチの異なる加工を行うことができる。
図6(F)において、フィルムの一方の面に接するエンボスロール57と、もう一方の面に接するエンボスロール58との間にフィルム50が挟まれ、フィルム50がフィルムの進行方向60に送り出されている途中を示している。
図6(F)は、Tip to Tipの両面エンボス加工とも呼ばれ、エンボスロール57と、そのエンボスロール57と同じ柄のエンボスロール58の組み合わせである。同一のエンボスロールの凸部と凹部の位相を合わせたものであり、フィルム50の表裏に差のほとんど無い模様を形成することができる。また、図6(F)とは異なり、同一のエンボスロールの凸部と凹部の位相は合わせずにエンボス加工をすることも可能である。
また、エンボスロールを用いることに限定されず、エンボスプレートを用いてもよい。また、エンボス加工に限定されず、フィルムの一部に浮き彫り(レリーフ)を形成すればよい。
上記のエンボス加工を行って凹凸を形成した外装体529を用いた蓄電装置500の一例を図7(A)に示す。また、図7(B)に図7(A)における一点鎖線H1−H2間の断面図を示す。図7(B)の外装体529を除いた構成は、図4(B)と同様である。
外装体529が有する凹凸は、正極503、負極506と重なる領域を含むように形成されている。図7(A)では接合部518に凹凸が形成されていないが、接合部518に凹凸が形成されていてもよい。
また外装体529が有する凹凸は、蓄電装置500の長軸方向(図7(A)に示すY方向)に周期的に形成されている。言い換えると、一の凹および一の凸は、蓄電装置500の短軸方向(図7(A)に示すX方向)に延在するように形成されている。このような凹凸を有することで、蓄電装置500を長軸方向に湾曲させる場合にかかる応力を緩和できる。
なお、外装体529が有する凹凸が、二方向の斜めの線が交差した幾何学模様が視認できるように形成されていてもよい(図8参照)。このような凹凸を有することで、蓄電装置500の少なくとも二方向の湾曲において発生する応力を緩和できる。
また、図1(A)では、正極リード510と負極リード511は、蓄電装置500の同じ辺に配置されているが、図9に示すように、正極リード510と負極リード511を蓄電装置500の異なる辺に配置してもよい。このように、本発明の一態様の蓄電装置は、リードを自由に配置することができるため、設計自由度が高い。よって、本発明の一態様の蓄電装置を用いた製品の設計自由度を高めることができる。また、本発明の一態様の蓄電装置を用いた製品の生産性を高めることができる。
<蓄電装置の作製方法例>
次に、本発明の一態様の蓄電装置である蓄電装置500の作製方法の一例を、図10乃至図13を用いて説明する。
まず、正極503、負極506、及び第1のセパレータ507を積層する。具体的には、正極503の上に第1のセパレータ507を配置する。その後、第1のセパレータ507の上に負極506を配置する。正極と負極を2組以上用いる場合は、さらに負極506の上に第1のセパレータ507を配置した後、正極503を配置する。このように第1のセパレータ507を正極503と負極506の間に挟みながら正極503と負極506を交互に積層する。
あるいは、第1のセパレータ507を袋状にしてもよい。第1のセパレータ507で電極を包むことで、該電極が製造工程中に損傷しにくくなり、好ましい。
まず、第1のセパレータ507上に正極503を配置する。次いで、第1のセパレータ507を図10(A)の破線で示した部分で折り、第1のセパレータ507で正極503を挟む。なお、ここでは正極503を第1のセパレータ507で挟む例について説明したが、負極506を第1のセパレータ507で挟んでもよい。
ここで、正極503の外側の第1のセパレータ507の外周部分を接合して、第1のセパレータ507を袋状(又はエンベロープ状)とすることが好ましい。第1のセパレータ507の外周部分の接合は、接着剤などを用いて行ってもよいし、超音波溶接や、加熱による融着により行ってもよい。
次に、第1のセパレータ507の外周部分を加熱により接合する。図10(A)に接合部514を示す。このようにして、正極503を第1のセパレータ507で覆うことができる。
なお、接着剤などを用いて第1のセパレータ507の外周部を接合する場合、接着剤の量は少ないことが好ましい。第1のセパレータ507に挟み込む電極(図10(A)においては正極503)が第1のセパレータ507からはみ出ないように外周部を接合すればよいため、例えば図10(B)に示すように接合部514を形成することで、接着剤の量を減らすことができる。図10(B)では、第1のセパレータ507の外周部のうち、折り目が形成された辺と交わる2辺の折り目近傍部と、折り目が形成された辺と向かい合う辺の一部に接合部514が形成されている。
次に、図10(C)に示すように、負極506と、セパレータに覆われた正極503と、を交互に重ねる。また、封止層115を有する正極リード510及び負極リード511を準備する。封止層115には、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
次に、図11(A)に示すように、正極503のタブ領域281に、封止層115を有する正極リード510を接続する。図11(B)に接続部の拡大図を示す。接合部512に圧力を加えながら超音波を照射して、正極503のタブ領域281及び正極リード510を電気的に接続する(超音波溶接)。このとき、タブ領域281に湾曲部513を設けるとよい。
湾曲部513を設けることによって、蓄電装置500の作製後に外から力が加えられて生じる応力を緩和することができる。よって、蓄電装置500の信頼性を高めることができる。
同様の方法を用いて、負極506のタブ領域282と、負極リード511と、を電気的に接続することができる。
次に、第2のセパレータ520上に、正極503、負極506及び第1のセパレータ507を配置する。
次に、第2のセパレータ520を図11(C)の中央付近に破線で示した部分で折り、第2のセパレータ520で、正極503、負極506及び第1のセパレータ507を挟む。なお、第2のセパレータ520は、タブ領域281及びタブ領域282を覆うようにすると好ましい。
ここで、第2のセパレータ520の外周部分を接合して、第2のセパレータ520を袋状(又はエンベロープ状)とすることが好ましい。第2のセパレータ520の外周部分の接合は、接着剤などを用いて行ってもよいし、超音波溶接や、加熱による融着により行ってもよい。
次に、第2のセパレータ520の外周部分を加熱により接合する。図12(A)に接合部521を示す。このようにして、正極503、負極506及び第1のセパレータ507を第2のセパレータ520で覆うことができる。
なお、接着剤などを用いて第2のセパレータ520の外周部を接合する場合、接着剤の量は少ないことが好ましい。第2のセパレータ520に挟み込む正極503、負極506及び第1のセパレータ507が第2のセパレータ520からはみ出ないように外周部を接合すればよいため、例えば図12(B)に示すように接合部521を形成することで、接着剤の量を減らすことができる。図12(B)では、第2のセパレータ520の外周部のうち、折り目が形成された辺と交わる2辺の折り目近傍部と、タブ領域281及びタブ領域282の近傍に接合部521が形成されている。
なお、第2のセパレータ520を設けない構造としてもよい。第2のセパレータ520を設けない場合は、第2のセパレータ520に関わる工程を削除すればよい。
次に、外装体509上に、正極503、負極506、第1のセパレータ507及び第2のセパレータ520を配置する。
次に、外装体509を、図12(C)の外装体509の中央付近に破線で示した部分で折り曲げる。
図13に、外装体509の外周を熱圧着により接合した部位を、接合部118として示す。電解質508を入れるための導入口119以外の外装体509の外周部を、熱圧着により接合する。熱圧着の際、リードに設けられた封止層も溶けてリードと外装体509との間を固定することができる。また、外装体509とリードとの間の密着性を向上することができる。
そして、減圧雰囲気下、或いは不活性ガス雰囲気下で所望の量の電解質508を導入口119から外装体509の内側に入れる。そして、最後に、導入口119を熱圧着により接合する。このようにして、薄型の蓄電装置である蓄電装置500を作製することができる。
蓄電装置500を作製した後には、エージングを行ってもよい。エージング条件の一例について以下に説明する。まず初めに0.001C以上0.2C以下のレートで充電を行う。温度は例えば室温以上50℃以下とすればよい。このときに、電解質の分解が生じ、ガスが発生した場合には、そのガスが電極間にたまると、電解質が電極表面と接することができない領域が発生してしまう。つまり、電極の実効的な反応面積が減少し、実効的な抵抗が高くなることに相当する。
過度に抵抗が高くなると、負極電位が下がることによって、黒鉛へのリチウムの挿入が起こると同時に、黒鉛表面にリチウムが析出してしまう。このリチウムの析出は容量の低下を招く場合がある。例えば、リチウムが析出した後、表面に被膜等が成長してしまうと、表面に析出したリチウムが再溶出できなくなり、容量に寄与しないリチウムが生じてしまう。また、析出したリチウムが物理的に崩落し、電極との導通を失った場合にも、やはり容量に寄与しないリチウムが生じてしまう。よって、負極電位が充電電圧上昇によりリチウム電位まで到達しないように、ガスを抜くことが好ましい。
ガス抜きを行う場合には、例えば薄型の蓄電装置の外装体の一部を切断し、開封すればよい。ガスにより外装体が膨張している場合には、再度、外装体の形を整えることが好ましい。また、再封止の前に必要に応じて電解質を足してもよい。ガス抜きを実施できない場合は、セル内部にガス退避用の空間を設け、電極間に溜まったガスを電極間から退避させてもよい。先に説明したエンボス加工したラミネート外装を用いることで生まれる空間をガス退避用の空間として利用することも可能である。
また、ガス抜きを行った後に、室温よりも高い温度、好ましくは30℃以上60℃以下、より好ましくは35℃以上50℃以下において、例えば1時間以上100時間以下の間、充電状態で保持してもよい。初めに行う充電の際に、表面で分解した電解質は被膜を形成する。よって、例えばガス抜き後に室温よりも高い温度で保持することにより、形成された被膜が緻密化する場合も考えられる。
ここで充電及び放電のレートについて説明する。充電レートとは、電池容量に対する定電流充電時の電流の相対値、つまり充電時の電流値[A]÷電池の容量[Ah]の値を指し、Cレートとも呼ばれる。単位はCで表される。例えば、容量10Ahの電池を2Aの定電流で充電させた場合は、0.2Cのレートで充電させたと言う。1Cの充電レートとは、電池の全容量を1時間で充電させるだけの電流量となる。充電レートの値が高いほど、充電の速度が速いことを示す。また、放電レートとは、電池容量に対する定電流放電時の電流の相対値、つまり放電時の電流値[A]÷電池の容量[Ah]の値を指し、Cレートとも呼ばれる。単位はCで表される。例えば、容量10Ahの電池を2Aの定電流で放電させた場合は、0.2Cのレートで放電させたと言う。1Cの放電レートとは、電池の全容量を1時間で放電させるだけの電流量となる。放電レートの値が高いほど、放電の速度が速いことを示す。
<蓄電装置の各構成要素>
以下では、本発明の一態様の蓄電装置の構成要素について、詳述する。なお、本実施の形態にて示す各部材の材料から、可撓性を有する材料を選択して用いると、可撓性を有する蓄電装置を作製することができる。
≪電解質≫
電解質は、溶質および溶媒を含む。
電解質の溶媒としては、キャリアイオンが移動可能な材料を用いる。特に耐熱性が高く、かつ黒鉛負極との反応性が低い溶媒が好ましい。本発明の一態様の蓄電装置では、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びビニレンカーボネートを混合したものを溶媒として用いる。
溶媒としては非プロトン性有機溶媒が好ましく、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びビニレンカーボネートの他に、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルスルホキシド、メチルジグライム、ベンゾニトリル、スルホランの1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
また、電解質の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、蓄電装置の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等がある。
また、電解質の溶媒として、難燃性及び難蒸発性であるイオン液体(常温溶融塩ともいう)を一つまたは複数用いることで、蓄電装置の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電装置の破裂や発火などを防ぐことができる。これにより、蓄電装置の安全性を高めることができる。
溶質としては、キャリアイオンを移動することが可能であり、且つキャリアイオンを有する材料を用いることができる。キャリアイオンがリチウムイオンである場合、溶質はリチウム塩である。用いるリチウム塩としては、耐熱性の高いLiBETA、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Li(CF3SO2)2N、略称:LiTFSA)、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(Li(FSO2)2N、略称:LiFSA)、LiBF4、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiB(C2O4)2、略称:LiBOB)などが好ましい。
ところで、蓄電装置中の電池反応において、電解質が正極の集電体と反応し該集電体に含まれる金属が溶出すると、蓄電装置の容量の低下を生じ蓄電装置が劣化する。すなわち蓄電装置のサイクル特性試験を行うと充放電を重ねる毎に容量の低下が著しく、短寿命の蓄電装置となる。また、リードとの接続部の集電体の溶出が進行すると、断線に至る場合もある。そこで、本発明の一態様においては、電解質が有する溶質材料は、該集電体との反応が抑制され、かつ該集電体中の金属の溶出が抑制された材料を用いる。
正極の集電体材料中の金属としては、例えばアルミニウムまたはステンレスが挙げられる。本発明の一態様において、電解質に用いる溶質の材料は、これらの金属の正極集電体からの溶出が抑制される溶質を用いる。具体的には、本発明の一態様に用いることができる溶質には、リチウム塩として、前述の一般式(G1)で表されるリチウム塩、及び六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)が挙げられる。
本発明の一態様に係る蓄電装置は、正極集電体中の金属の電解質への溶出が抑制されるため、正極集電体の劣化が抑制され、また、負極表面での金属の析出も抑制されるため、容量の劣化が小さくサイクル寿命の良好な蓄電装置とすることができる。
また、上記の溶質以外には、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiAlCl4、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2)等のリチウム塩を1種以上、任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
なお、上記の溶質では、キャリアイオンがリチウムイオンである場合について説明したが、リチウムイオン以外のキャリアイオンも用いることができる。リチウムイオン以外のキャリアイオンとしては、アルカリ金属イオンや、アルカリ土類金属イオンの場合、溶質として、上記リチウム塩において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、またはマグネシウム等)を用いてもよい。
また、電解質にビニレンカーボネート(VC)、プロパンスルトン(PS)、tert−ブチルベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、又はスクシノニトリル、アジポニトリル等のジニトリル化合物などの添加剤を添加してもよい。添加剤の濃度は、例えば溶媒全体に対して0.1wt%以上5wt%以下とすればよい。
上述の溶媒及び溶質を用いると、本発明の一態様に係る蓄電装置の電解質を作製することができる。
≪集電体≫
集電体は、蓄電装置内で顕著な化学変化を引き起こさずに高い導電性を示す限り、特別な制限はない。正極集電体及び負極集電体には、例えば、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、マンガン等の金属、これらの合金、又は焼結した炭素などをそれぞれ用いることができる。または、銅もしくはステンレス鋼を炭素、ニッケルもしくはチタン等で被覆して用いてもよい。または、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。または、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で集電体を形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
正極集電体の表面や、負極集電体の表面では、電解質との不可逆な反応が生じる場合がある。よって、正極集電体や負極集電体は、電解質との反応性が低いことが好ましい。
また、正極集電体及び負極集電体には、それぞれ、箔状、板状(シート状)、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状、多孔質状、及び不織布を包括する様々な形態の形状を適宜用いることができる。さらに、活物質層との密着性を上げるために、正極集電体及び負極集電体は、それぞれ、表面に細かい凹凸を有していてもよい。また、正極集電体及び負極集電体は、それぞれ、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
また、集電体の表面の一部にアンダーコート層を設けてもよい。ここでアンダーコート層とは、集電体と活物質層との接触抵抗の低減や、集電体と活物質層との密着性向上のための被覆層をいう。なお、アンダーコート層は、集電体の一面全体に形成されていなくてもよく、島状に(部分的に)形成されていてもよい。また、アンダーコート層が活物質として容量を発現しても構わない。アンダーコート層としては、例えば炭素材料を用いることができる。炭素材料としては、例えば、黒鉛や、アセチレンブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブなどを用いることができる。また、アンダーコート層として、金属層、炭素及び高分子を含む層、並びに金属及び高分子を含む層を用いることもできる。
≪活物質層≫
活物質層は、活物質を含む。活物質とは、キャリアであるイオンの挿入・脱離に関わる物質のみを指し、本明細書等では、活物質が含まれている層を活物質層と呼ぶ。活物質層には活物質に加えて導電助剤および結着剤(バインダー)が含まれていても良い。
正極活物質層は、1種類以上の正極活物質を有する。負極活物質層は、1種類以上の負極活物質を有する。
正極活物質及び負極活物質は、蓄電装置の電池反応の中心的役割を担いキャリアイオンの放出及び吸収を行う物質である。蓄電装置の寿命を高めるためには、活物質が、電池反応の不可逆反応に係る容量が小さい材料であることが好ましく、充放電効率の高い材料であることが好ましい。
正極活物質として例えば、層状岩塩型の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等を用いることができる。また、正極活物質として例えば、ポリアニオン系の正極材料を用いることができる。ポリアニオン系の正極材料として例えば、オリビン型の結晶構造を有する材料、ナシコン型の材料、等が挙げられる。また、正極活物質として例えば、硫黄を有する正極材料を用いることができる。
正極活物質として、様々な複合酸化物を用いることができる。例えば、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li2MnO3、V2O5、Cr2O5、MnO2等の化合物を用いることができる。
層状岩塩型の結晶構造を有する材料として例えば、LiMO2で表される複合酸化物を用いることができる。元素Mは、CoまたはNiより選ばれる一以上であることが好ましい。LiCoO2は、容量が大きいこと、大気中で安定であること、熱的に比較的安定であること等の利点があるため、好ましい。また、元素Mとして、CoおよびNiより選ばれる一以上に加えて、AlおよびMnより選ばれる一以上を有してもよい。
例えば、LiNixMnyCozOw(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=y=z=1/3またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。また、例えば、LiNixMnyCozOw(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=0.8またはその近傍、y=0.1またはその近傍、z=0.1またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。また、例えば、LiNixMnyCozOw(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=0.5またはその近傍、y=0.3またはその近傍、z=0.2またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。また、例えば、LiNixMnyCozOw(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=0.6またはその近傍、y=0.2またはその近傍、z=0.2またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。また、例えば、LiNixMnyCozOw(x、y、zおよびwはそれぞれ例えばx=0.4またはその近傍、y=0.4またはその近傍、z=0.2またはその近傍、w=2またはその近傍)を用いることができる。
近傍とは例えば、その値の0.9倍より大きく1.1倍より小さい値である。
正極活物質が有する遷移金属やリチウムの一部をFe、Co、Ni、Cr、Al、Mgなどから選ばれる一以上の元素で置換した材料や、正極活物質にFe、Co、Ni、Cr、Al、Mgなどから選ばれる一以上の元素をドープした材料を正極活物質として使用してもよい。
また、正極活物質として例えば、複合酸化物を複数組み合わせた固溶体を正極活物質として用いることができる。例えば、LiNixMnyCozO2(x、y、z>0、x+y+z=1)とLi2MnO3の固溶体を正極活物質として用いることができる。
スピネル型の結晶構造を有する材料として例えば、LiM2O4で表される複合酸化物を用いることができる。元素MとしてMnを有することが好ましい。例えば、LiMn2O4を用いることができる。また元素Mとして、Mnに加えてNiを有することにより、二次電池の放電電圧が向上し、エネルギー密度が向上する場合があり、好ましい。また、LiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有材料に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiO2やLiNi1−xMxO2(M=Co、Al等))を混合することにより、二次電池の特性を向上させることができ好ましい。
正極活物質は例えば、一次粒子の平均粒子径が、1nm以上100μm以下であることが好ましく、50nm以上50μm以下であることがより好ましく、1μm以上30μm以下であることがより好ましい。また比表面積が1m2/g以上20m2/g以下であることが好ましい。また、二次粒子の平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。なお平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)またはTEMによる観察、またはレーザ回折・散乱法を用いた粒度分布計等によって測定することができる。また比表面積は、ガス吸着法により測定することができる。
正極活物質の表面に炭素層などの導電性材料を設けてもよい。炭素層などの導電性材料を設けることで、電極の導電性を向上させることができる。例えば、正極活物質への炭素層の被覆は、正極活物質の焼成時にグルコース等の炭水化物を混合することで形成することができる。また、導電性材料として、グラフェン、マルチグラフェン、酸化グラフェン(GO:Graphene Oxide)又はRGO(Reduced Graphene Oxide)を用いることができる。ここで、RGOは例えば、酸化グラフェン(GO)を還元して得られる化合物を指す。
正極活物質の表面に酸化物又はフッ化物の一以上を有する層を設けてもよい。酸化物は、正極活物質と異なる組成を有してもよい。また、酸化物は、正極活物質と同じ組成を有してもよい。
ポリアニオン系の正極材料として例えば、酸素と、元素Xと、金属Aと、金属Mと、を有する複合酸化物を用いることができる。金属MはFe、Mn、Co、Ni、Ti、V、Nbの一以上であり、金属AはLi、Na、Mgの一以上であり、元素XはS、P、Mo、W、As、Siの一以上である。
オリビン型の結晶構造を有する材料として例えば、複合材料(一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPO4の代表例としては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFeaNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCobPO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMnePO4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNigCohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を用いることができる。
特にLiFePO4は、安全性、安定性、高容量密度、初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事項をバランスよく満たしているため、好ましい。
オリビン型の結晶構造を有する正極活物質は例えば、一次粒子の平均粒子径が、1nm以上20μm以下であることが好ましく、10nm以上5μm以下であることがより好ましく、50nm以上2μm以下であることがより好ましい。また比表面積が1m2/g以上20m2/g以下であることが好ましい。また、二次粒子の平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。
また、一般式Li(2−j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiO4の代表例としては、Li(2−j)FeSiO4、Li(2−j)NiSiO4、Li(2−j)CoSiO4、Li(2−j)MnSiO4、Li(2−j)FekNilSiO4、Li(2−j)FekColSiO4、Li(2−j)FekMnlSiO4、Li(2−j)NikColSiO4、Li(2−j)NikMnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FemNinCoqSiO4、Li(2−j)FemNinMnqSiO4、Li(2−j)NimConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
また、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe2(MnO4)3、Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等がある。また、正極活物質として、Li2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物を用いることができる。
また、Vを有するポリアニオン系正極材料を用いることができる。代表例として、α−LiVOPO4、β−LiVOPO4、α1−LiVOPO4、LiVPO4F、LiVPO4O、LiVP2O7、LiVOSO4、Li2VOSiO4、LiVMoO6、等が挙げられる。
また、正極活物質として、NaFeF3、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、MoS2等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO4等の逆スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V2O5、V6O13、LiV3O8等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
また、正極活物質として、一般式LiMBO3(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II))で表されるホウ酸塩系正極材料を用いることができる。
また、正極活物質として、組成式LiaMnbMcOdで表すことができるリチウムマンガン複合酸化物を用いることができる。ここで、元素Mは、リチウム、マンガン以外から選ばれた金属元素、またはシリコン、リンを用いることが好ましく、ニッケルであることがさらに好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体を測定する場合、放電時に0<a/(b+c)<2、かつc>0、かつ0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。なお、高容量を発現させるために、表層部と中心部で、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物とすることが好ましい。このようなリチウムマンガン複合酸化物とするためには例えば、1.6≦a≦1.848、0.19≦c/b≦0.935、2.5≦d≦3とすることが好ましい。さらに、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物を用いることが特に好ましい。本明細書等において、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物とは、原料材料の量の割合(モル比)を、Li2CO3:MnCO3:NiO=0.84:0.8062:0.318とすることにより形成したリチウムマンガン複合酸化物をいう。そのため該リチウムマンガン複合酸化物は、組成式Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3で表されるが、この組成からずれることもある。
なお、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の金属、シリコン、リン等の組成は、例えばICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)を用いて測定することができる。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の酸素の組成は、例えばEDX(エネルギー分散型X線分析法)を用いて測定することが可能である。また、ICP−MS分析と併用して、融解ガス分析、XAFS(X線吸収微細構造)分析の価数評価を用いることで求めることができる。なお、リチウムマンガン複合酸化物とは、少なくともリチウムとマンガンとを含む酸化物をいい、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、およびリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。例えばナトリウム含有層状酸化物を用いることができる。
ナトリウムを有する材料として例えば、NaFeO2や、Na2/3[Fe1/2Mn1/2]O2、Na2/3[Ni1/3Mn2/3]O2、Na2Fe2(SO4)3、Na3V2(PO4)3、Na2FePO4F、NaVPO4F、NaMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II))、Na2FePO4F、Na4Co3(PO4)2P2O7、などのナトリウム含有酸化物を正極活物質として用いることができる。
また、正極活物質として、リチウム含有金属硫化物を用いることができる。例えば、Li2TiS3、Li3NbS4などが挙げられる。
負極活物質としては、例えば炭素系材料、合金系材料等を用いることができる。
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。また、黒鉛の形状としては鱗片状のものや球状のものなどがある。
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム−黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に卑な電位を示す。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。前述の通り、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
ここで、黒鉛材料について説明する。黒鉛とは複数のグラフェン層が、ファンデルワールス力によって互いに平行に積層した層状化合物である。黒鉛材料の表面は、グラフェン層に平行な面(ベーサル面、基底面ともいう。)と、複数のグラフェン層の端部が配列して形成される面(エッジ面、端面ともいう。)と、を含んでいる。ベーサル面では黒鉛を構成するグラフェン層のうち最外層に位置するグラフェン層の一方の面が露出しており、エッジ面では複数のグラフェン層の端部が露出している。二次電池の充放電に際しては、リチウムの挿入脱離は黒鉛材料のエッジ面が黒鉛材料への主たる出入り口となる。
負極活物質として黒鉛を用いる場合、エッジ面が露出した箇所においてPCを含む電解質が触れると、充放電時に黒鉛とPCとの副反応が生じる場合がある。本発明の一態様の蓄電装置が有する負極活物質として用いる球状化天然黒鉛は、上記エッジ面に接して、黒鉛層よりも結晶性の低い層が形成されているため、黒鉛とPCとの副反応を抑制できる場合がある。
キャリアイオンがリチウムイオンである場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca、Ga、Si、Al、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、In等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は炭素と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと高いため、蓄電装置の容量を高めることができる。このような元素を用いた合金系材料(化合物系材料)としては、例えば、Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Sn、SnS2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb3、InSb、SbSn等がある。
また、負極活物質として、SiO、SnO、SnO2、二酸化チタン(TiO2)、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、リチウム−黒鉛層間化合物(LixC6)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(MoO2)等の酸化物を用いることができる。ここで、SiOとは、珪素と酸素を有する化合物であり、珪素と酸素の原子数比を珪素:酸素=α:βとすると、αは、βの近傍の値を有することが好ましい。ここで近傍の値を有するとは、例えばαとβの差の絶対値は、βの値に対して好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下であればよい。
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をもつLi3−xMxN(MはCo、Ni又はCu)を用いることができる。例えば、Li2.6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm3)を示し好ましい。
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせることができる。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させることで、負極活物質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウムと合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2O3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、Ge3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF3等のフッ化物が挙げられる。
負極活物質の一次粒子の平均粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。
正極活物質層及び負極活物質層は、それぞれ、導電助剤を有してもよい。
導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤により、負極活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、酸化グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
薄片状のグラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機械的強度という優れた物理特性を有する。そのため、グラフェンを、導電助剤として用いることにより、活物質同士の接触点や、接触面積を増大させることができる。
グラフェンは、接触抵抗の低い面接触を可能とするものであり、また、薄くても導電性が非常に高く、少ない量でも効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。
平均粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このような場合には、導電性が非常に高く少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェンを用いることが、特に好ましい。
正極活物質層及び負極活物質層は、それぞれ、結着剤を有してもよい。
本明細書中において、結着剤は、活物質と活物質を結着もしくは接着させる機能、及び/又は、活物質層と集電体を結着もしくは接着させる機能を有する。また、結着剤は、電極又は電池の作製中に、その状態が変化する場合がある。例えば、結着剤は、液体、固体、又はゲル等の少なくともいずれか一の状態をとることがある。また、結着剤は、電極又は電池の作製中に、単量体(モノマー)から重合体(ポリマー)に変化する場合がある。
例えば、結着剤として水溶性の高分子を用いることができる。水溶性の高分子としては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉などを用いることができる。
また、結着剤として、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などのゴム材料を用いることができる。これらのゴム材料は、前述の水溶性の高分子と併用して用いてもよい。これらのゴム材料は、ゴム弾性を有し、伸び縮みしやすいため、充放電に伴う活物質の膨張収縮や、電極の曲げなどに伴うストレスに強く、信頼性の高い電極を得ることができる一方で、疎水基を有し水に溶けにくい場合がある。このような場合には、水溶液中で粒子が水に溶解しない状態で分散するので、活物質層の形成に使用する溶剤を含む組成物(電極合剤組成物ともいう)を、塗布するために適した粘度にまで高めることが難しいことがある。この際に、粘度調整機能の高い水溶性高分子、例えば多糖類を用いると、溶液の粘度を適度に高める効果が期待できるうえに、ゴム材料と互いに均一に分散し、均一性の高い良好な電極、例えば電極膜厚や電極抵抗の均一性が高い電極を得ることができる。
または、結着剤として、PVDF、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース等の材料を用いることができる。
結着剤は上記のうち二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
活物質層の総量に対する結着剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、2wt%以上8wt%以下がより好ましく、2wt%以上5wt%以下がさらに好ましい。
≪セパレータ≫
本発明の一態様の蓄電装置では、ポリフェニレンサルファイド(PPS)またはセルロース繊維を含むセパレータを用いる。セパレータは、単層構造であっても積層構造であってもよい。例えば、セルロース繊維を含むセパレータと、他のセパレータと、の積層構造であってもよい。
セパレータに用いることができる材料として、ポリフェニレンサルファイドやセルロース繊維の他に、ポリプロピレンサルファイド、フッ素系ポリマー、セルロース、紙、不織布、ガラス繊維、セラミックス、あるいは、ナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンといった合成繊維等から選ばれる一種以上を用いることができる。
≪外装体≫
外装体509は、電解質508と接する面、すなわち内側の面が電解質508と顕著な反応を生じないことが好ましい。また、蓄電装置500の外部から蓄電装置500内に水分が混入すると、電解質508の成分等と水との反応が生じる場合がある。よって外装体509は、水分の透過性が低いことが好ましい。
外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等を用いた膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることができる。このような三層構造とすることで、電解質や気体の透過を遮断するとともに、絶縁性を確保し、併せて耐電解質性を有する。外装体を内側に折り曲げて重ねて、又は、2つの外装体それぞれの内面を向かい合わせて重ねて熱を加えることにより、内面の材料が融け2つの外装体を融着することができ、封止構造を作製することができる。
外装体が融着等され封止構造が形成されている箇所を封止部とすると、外装体を内側に折り曲げて重ねた場合は、折り目以外の個所に封止部が形成され、外装体の第1の領域と、該第1の領域と重なる第2の領域とが融着等された構造となる。また、2枚の外装体を重ねた場合は熱融着等の方法で外周全てに封止部が形成される。
蓄電装置500は、可撓性を有する外装体509を用いることで、可撓性を有する構成とすることができる。可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部有する電子機器に実装することができ、電子機器の変形に合わせて蓄電装置500も曲げることもできる。
なお、本発明の一態様において、蓄電装置を構成する各部材にグラフェン化合物を用いることができる。グラフェン化合物は後述の通り、修飾により構造及び特性を幅広く選択することができため、グラフェン化合物を適用しようとする部材に応じて、好ましい性質を発現させることができる。また、グラフェン化合物は機械的強度が高いため、グラフェン化合物は可撓性を有する蓄電装置を構成する各部材にも適用することができる。以下、グラフェン化合物について説明する。
グラフェンは、炭素原子が1原子層配列したものであり、炭素原子間にπ結合を有する。グラフェンが2層以上100層以下重なったものを、マルチグラフェンと呼ぶ場合がある。グラフェンおよびマルチグラフェンは、例えば、長手方向、あるいは面における長軸の長さが50nm以上100μm以下または800nm以上50μm以下である。
本明細書等において、グラフェンまたはマルチグラフェンを基本骨格として有する化合物をグラフェン化合物(グラフェンコンパウンド:Graphene Compoundともいう)と呼ぶ。グラフェン化合物には、グラフェンとマルチグラフェンを含む。
以下に、グラフェン化合物について詳細を説明する。
グラフェン化合物は例えば、グラフェンまたはマルチグラフェンが、炭素以外の原子、または炭素以外の原子を有する原子団に修飾された化合物である。また、グラフェンまたはマルチグラフェンが、アルキル基、アルキレン等の炭素を主とした原子団に修飾された化合物であってもよい。なお、グラフェンまたはマルチグラフェンを修飾する原子団を、置換基、官能基、または特性基等と呼ぶ場合がある。ここで、本明細書等において修飾とは、置換反応、付加反応またはその他の反応により、グラフェン、マルチグラフェン、グラフェン化合物、または酸化グラフェン(後述)に、炭素以外の原子、炭素以外の原子を有する原子団、または炭素を主とした原子団を導入することをいう。
なお、グラフェンの表面と裏面は、それぞれ異なる原子や原子団により修飾されていてもよい。また、マルチグラフェンにおいては、それぞれの層が異なる原子や原子団に修飾されていてもよい。
上述の原子または原子団により修飾されたグラフェンの一例として、酸素または酸素を含む官能基に修飾されたグラフェンまたはマルチグラフェンが挙げられる。ここで酸素を含む官能基として例えば、エポキシ基、カルボキシル基などのカルボニル基、または水酸基等が挙げられる。酸素または酸素を有する官能基により修飾されたグラフェン化合物を、酸化グラフェンと呼ぶ場合がある。また、本明細書においては、酸化グラフェンは多層の酸化グラフェンをも含むものとする。
酸化グラフェンにおける修飾の一例として、酸化グラフェンのシリル化について説明する。まず、窒素雰囲気中において、容器内に酸化グラフェンを入れ、容器にn−ブチルアミン(C4H9NH2)を加え、60℃に保ち1時間撹拌する。次に、容器にトルエンを加え、シリル化剤として、アルキルトリクロロシランをさらに加えて、窒素雰囲気中において、60℃に保ち5時間撹拌する。次に、容器にさらにトルエンを加え、吸引濾過して固体粉末を得て、これをエタノール中に分散させる。さらにこれを吸引濾過して固体粉末を得て、アセトンに分散させる。さらに、これを吸引濾過して固体粉末を得て、液体成分を気化してシリル化された酸化グラフェンが得られる。
なお修飾は、シリル化に限定されず、シリル化も上述の方法に限定されない。また、1種類の原子または原子団を導入するだけでなく、複数の種類の修飾を施し、複数の種類の原子または原子団を導入してもよい。グラフェン化合物に特定の原子団を導入することで、グラフェン化合物の物性を変化させることができる。従って、グラフェン化合物の用途に応じて望ましい修飾を施すことにより、グラフェン化合物に所望の性質を意図的に発現させることができる。
次に、酸化グラフェンの作製方法の一例を説明する。酸化グラフェンは、上記グラフェンまたはマルチグラフェンを酸化して得ることができる。または、酸化グラフェンは、酸化グラファイトを分離して得ることができる。酸化グラファイトは、グラファイトを酸化して得ることができる。ここで、酸化グラフェンに、さらに上述の原子または原子団を修飾してもよい。
酸化グラフェンを還元して得られる化合物を、RGO(Reduced Graphene Oxide)と呼ぶ場合がある。なお、RGOには、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素または酸素を含む原子団が炭素に結合した状態で残存する場合がある。例えばRGOは、エポキシ基、カルボキシル基などのカルボニル基、または水酸基等の官能基を有する場合がある。
グラフェン化合物は、複数のグラフェン化合物が部分的に重なりながら1枚のシート状となっていてもよい。このようなグラフェン化合物を、グラフェン化合物シートと呼ぶ場合がある。グラフェン化合物シートは例えば、厚さが0.33nm以上10mm以下、より好ましくは0.34nmより大きく10μm以下の領域を有する。グラフェン化合物シートは、炭素以外の原子、炭素以外の原子を有する原子団、またはアルキル基等の炭素を主とした原子団等により修飾されていてもよい。また、グラフェン化合物シートが有する複数の層のそれぞれにおいて、異なる原子または原子団により修飾されていてもよい。
グラフェン化合物は、炭素で構成される六員環の他に、炭素で構成される五員環や、炭素で構成される七員環以上の多員環を有してもよい。ここで、七員環以上の多員環の近傍では、リチウムイオンが通過可能な領域が生じる場合がある。
また例えば、複数のグラフェン化合物が集まって、シート状の形状となっていてもよい。
グラフェン化合物は平面的な形状を有するため、面接触を可能とする。
グラフェン化合物は薄くても導電性が高い場合があり、また面接触によりグラフェン化合物同士、あるいはグラフェン化合物と活物質との間の接触面積を増加させることができる。よって、体積あたりの量が少なくても効率よく導電パスを形成することができる。
一方で、グラフェン化合物を絶縁体として用いることもできる。例えばグラフェン化合物シートをシート状の絶縁体として用いることができる。ここで例えば、酸化グラフェンは酸化されていないグラフェン化合物と比較して絶縁性が高い場合がある。また、原子団に修飾されたグラフェン化合物は、修飾する原子団の種類により、絶縁性を高めることができる場合がある。
ここで、本明細書等においてグラフェン化合物は、グラフェン前駆体を有してもよい。グラフェン前駆体とは、グラフェンを製造するために用いられる物質のことをいい、グラフェン前駆体には例えば、上述の酸化グラフェンや、酸化グラファイトなどを含んでもよい。
なお、アルカリ金属を有するグラフェンや、酸素等の炭素以外の元素を有するグラフェンを、グラフェン類似体と呼ぶ場合がある。本明細書等においてグラフェン化合物には、グラフェン類似体も含まれる。
また、本明細書等におけるグラフェン化合物は、層間に原子、原子団、およびそれらのイオンを有してもよい。なお、グラフェン化合物が層間に原子、原子団、およびそれらのイオンを有することにより、グラフェン化合物の物性、例えば電気伝導性やイオン伝導性が変化する場合がある。また、層間距離が大きくなる場合がある。
グラフェン化合物は、高い導電性を有するという優れた電気特性と、高い柔軟性および高い機械的強度を有するという優れた物理特性と、を有する場合がある。また、グラフェン化合物は、修飾の種類に応じて、導電性を極めて低くし絶縁体とすることができる場合がある。また、グラフェン化合物は平面的な形状を有する。グラフェン化合物は、接触抵抗の低い面接触を可能とする。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図14乃至図17を用いて説明する。
<スマートウォッチの構成例1>
図14(A)に、腕時計型の携帯情報端末(スマートウォッチとも呼ぶ)700の斜視図を示す。携帯情報端末700は、筐体701、表示パネル702、留め金703、バンド705A、705B、操作ボタン711、712を有する。
ベゼル部を兼ねる筐体701に搭載された表示パネル702は、矩形状の表示領域を有している。また、該表示領域は曲面を構成している。表示パネル702は可撓性を有することが好ましい。なお、表示領域は非矩形状であってもよい。
バンド705Aおよびバンド705Bは、筐体701と接続される。留め金703は、バンド705Aと接続される。バンド705Aと筐体701とは、例えば接続部でピンを軸にして動かせるように接続される。バンド705Bと筐体701、ならびにバンド705Aと留め金703の接続についても同様である。
図14(B)及び図14(C)にそれぞれ、バンド705Aおよび蓄電装置750の斜視図を示す。バンド705Aは蓄電装置750を有する。蓄電装置750には、例えば実施の形態1で説明した蓄電装置500を用いることができる。蓄電装置750はバンド705Aの内部に埋め込まれ、正極リード751および負極リード752はそれぞれ一部がバンド705Aから突出している(図14(B)参照)。正極リード751および負極リード752は、表示パネル702と電気的に接続される。また蓄電装置750の表面は外装体753で覆われている(図14(C)参照)。なお、上記のピンが電極の機能を有していてもよい。具体的には、正極リード751および表示パネル702、ならびに負極リード752および表示パネル702が、それぞれバンド705Aと筐体701とを接続するピンを介して電気的に接続されていてもよい。このようにすることで、バンド705Aおよび筐体701の接続部における構成を簡略化できる。
蓄電装置750は可撓性を有する。具体的には、外装体753の表面には実施の形態1で説明したエンボス加工によって形成された凹凸を有することが好ましい。また、蓄電装置750は、図5に示す蓄電装置500が有する滑り面を有することが好ましい。
バンド705Aは、蓄電装置750と一体形成することで作製できる。例えば、バンド705Aの外形に対応する金型に蓄電装置750をセットし、バンド705Aの材料を該金型に流し込み、該材料を硬化させることで図14(B)に示すバンド705Aを作製できる。
バンド705Aの材料としてゴム材料を用いる場合、加熱処理によってゴムを硬化させる。例えばゴム材料としてフッ素ゴムを用いる場合、170℃、10分の加熱処理によって硬化させる。また、ゴム材料としてシリコーンゴムを用いる場合、150℃、10分の加熱処理によって硬化させる。本発明の一態様の蓄電装置は耐熱性が高いため、ゴム材料との一体形成に伴う加熱処理における破壊や充放電特性の劣化を抑制できる。
バンド705Aに用いる材料としては、フッ素ゴム、シリコーンゴムのほか、フロロシリコーンゴム、ウレタンゴムが挙げられる。
なお、エージングを含む蓄電装置750への通電は、上記のバンド705Aとの一体形成後に行うことが好ましい。換言すると、実施の形態1で説明した蓄電装置500は、蓄電装置500の通電前に、加熱処理を行うことが好ましい。該加熱処理は、110℃以上190℃以下において、上記ゴム材料に対する適切な加硫時間、たとえば170℃において10分行うことが好ましい。このようにすることで、加熱処理による蓄電装置500の充放電特性の劣化を抑制できる。
なお、図14(A)に示す携帯情報端末700は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示領域に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示領域に表示する機能、等を有することができる。
また、筐体701の内部に、スピーカ、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン等を有することができる。なお、携帯情報端末700は、発光素子をその表示パネル702に用いることにより作製することができる。
なお、図14では蓄電装置750がバンド705Aに含まれる例を示したが、蓄電装置750がバンド705Bに含まれていてもよい。バンド705Bとしてはバンド705Aと同様の材料を用いることができる。
バンド705Aに用いるゴム材料は、耐薬品性が高いことが好ましい。具体的には、蓄電装置750に含まれる電解質に対する反応性が低いことが好ましい。
ここで、バンド705Aが耐薬品性に優れていても、バンド705Aに亀裂や剥落が生じた場合、蓄電装置750から漏れた電解質に携帯情報端末700の使用者が触れてしまう可能性がある。携帯情報端末700が電解質の漏れを検出する機能を有していると、電解質の漏れを検出した時点で使用者が携帯情報端末700の操作を止め、取り外すことができる。よって、安全性の高い携帯情報端末700とすることができる。
<スマートウォッチの構成例2>
図15(A)は、図14(B)に示すバンド705Aとは異なる構成のバンド735Aの斜視図である。バンド735Aと接続される筐体731は、蓄電装置の電解質の漏れを検出する機能を有する漏液検知回路(図示しない)を備える(図14(A)参照)。なお、漏液検知回路を有する携帯情報端末730の斜視図は、携帯情報端末700と同様である。
バンド735Aは蓄電装置760を有する。蓄電装置760はバンド735Aの内部に埋め込まれ、正極リード751、負極リード752、端子761および端子762がバンド735Aから突出している。正極リード751および負極リード752は、表示パネル702と電気的に接続される。端子761および端子762は、例えば、上記の漏液検知回路と電気的に接続される。
図15(B)に、蓄電装置760の斜視図を示す。図15(B)は明確化のため図15(A)よりも拡大して示している。蓄電装置760は、端子761、端子762、配線771および配線772を有する点が、図14(C)に示す蓄電装置750と異なる。端子761と配線771は電気的に接続される。また端子762と配線772は電気的に接続される。
なお、明示化のため図15(B)において配線771と配線772は異なるハッチングで示しているが、配線771と配線772は同じ材料で形成することで作製コストを削減できるため好ましい。また端子761と配線771、ならびに端子762と配線772はそれぞれ同じハッチングで示しているが、端子761と配線771、ならびに端子762と配線772がそれぞれ異なる材料で形成されていてもよい。
配線771および配線772は、所定の間隔をあけて外装体753の表面に敷設されている(図15(B)参照)。電解質が外装体753の表面に漏出した場合、配線771と配線772が電解質を介して導通することで漏液検知回路が電解質の漏れを検知できる。
図15(B)では配線771および配線772が蓄電装置760の長軸方向に直線状に設けられた配置を示しているが、これに限られない。例えば、図15(C)に示すように、配線771および配線772を、櫛歯状に間隔をあけてかみ合うように設けてもよい。
また、図15(C)は配線771、772が外装体753の上面にのみ設けられた例であるが、図16(A)に示すように外装体753の全面にわたって設けられていることが好ましい。図16(B)は、図16(A)に示す蓄電装置760の背面斜視図である。
配線771、772の膜厚が薄く、かつ幅が小さいと、蓄電装置760が有する可撓性を維持できるため好ましい。例えば、蓄電装置760が、配線771、772の膜厚が5μm以上500μm以下となる領域を有することが好ましい。また、配線771と配線772の間隔が小さく、それらの幅が小さいことで、電解質の漏れが少量であっても検出できるため好ましい。例えば、蓄電装置760が、配線771と配線772の間隔が0.5mm以上20mm以下となる領域を有することが好ましい。また、蓄電装置760が、配線771、772の幅が0.5mm以上5mm以下となる領域を有することが好ましい。また、外装体753の表面に占める配線771、772の面積が小さすぎると電解質の漏れに対して外装体753表面の全体をカバーできず、該面積が大きすぎると蓄電装置760が有する可撓性が低下する場合がある。蓄電装置760において、外装体753の表面積に対する、配線771、772の側面(外装体753と接する面)を除く表面積の割合が5%以上50%以下であることが好ましい。
配線771、772としては、延性または展性の高い材料を含むことが好ましい。特に、延性と展性のいずれも高い材料を用いることで、蓄電装置760の湾曲に伴う配線771、772の断線を抑制できる。延性及び展性の高い材料としては、金、銀、白金、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、亜鉛、スズなどの金属材料や、当該金属材料を含む合金などが挙げられる。
≪漏液を検出する方法≫
以下より、携帯情報端末730における電解質の漏れを検出する方法の一例について説明する。図17(A)に、電解質736が漏出した状態における、携帯情報端末730が有する構成のブロック図を示す。図17(A)において、矢印を含む線は矢印の向きによって有線信号または無線信号の伝達方向を示す。よって、該線で結ばれた各要素は電気的に接続される場合がある。また矢印を含まない線は配線を示し、該線で結ばれた各要素は電気的に接続される。
携帯情報端末730は、漏液検知回路732と、電源733と、電流計734と、配線771と、配線772と、を有する(図17(A)参照)。漏液検知回路732、電源733および電流計734は、筐体731に含まれる。電源733および電流計734が、漏液検知回路732に含まれる構成としてもよい。また、携帯情報端末730は機能回路739を有する。機能回路739は、上記のスピーカ、センサ、マイクロフォン等を含む。機能回路739は、筐体731に含まれる。
配線771、772は電源733と電気的に接続され、配線771と配線772の間には任意の電圧が印加されている(図17(A)参照)。電源733のオンオフは漏液検知回路732によって制御される。
図17(B)は携帯情報端末730において電解質の漏れを検出する流れを示すフローチャートである。例えば、携帯情報端末730において電解質の漏れを検出する方法は以下の4つのステップを有する。
蓄電装置760の電解質736が漏れた場合、電解質736は外装体753の表面に付着する(図17(A)及び図17(B)S1参照)。外装体753の表面に付着する電解質736が配線771および配線772と接触することで、配線771および配線772に電流が流れる(図17(B)S2参照)。該電流を、配線772に並列接続された電流計734が検知すると、電流計734は検知信号を漏液検知回路732に出力する(図17(B)S3参照)。漏液検知回路732は該検知信号に従って、表示パネル702または/および機能回路739の動作を停止する(図17(B)S4参照)。
なお、図17(A)では電流計734が配線772に接続された例を示すが、電流計734が配線771に接続されていてもよい。また、電源733および電流計734が漏液検知回路732に含まれ、漏液検知回路732が配線771、772と電気的に接続されていてもよい(図17(C)参照)。この場合、漏液検知回路732は配線771、772に所定の電圧を負荷する機能および配線771、772に流れる電流を検知する機能を有する。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である、可撓性を有する蓄電装置について、図18乃至図25を用いて説明する。本発明の一態様の蓄電装置は、湾曲した形状であってもよい。また、本発明の一態様の蓄電装置は、可撓性を有し、湾曲した状態と湾曲していない状態の双方の状態において使用できてもよい。
〈構成例1〉
図18(A)に二次電池200の斜視図を示し、図18(B)に二次電池200の上面図を示す。
図19(A)に、図18(B)における一点鎖線C1−C2間の断面図を示し、図19(B)に、図18(B)における一点鎖線C3−C4間の断面図を示す。なお、図19(A)及び図19(B)では図を明瞭にするため、一部の構成要素を抜粋して示す。
二次電池200は、正極211、負極215、及びセパレータ203を有する。二次電池200は、さらに、正極リード221、負極リード225、及び外装体207を有する。
正極211及び負極215は、それぞれ、集電体及び活物質層を有する。正極211及び負極215は、セパレータ203を介して、活物質層が互いに対向するように配置されている。
二次電池200が有する電極(正極211及び負極215)は、湾曲の内径側に位置するものより、外径側に位置するものの方が、湾曲の方向について長いことが好ましい。このような構成とすることで、二次電池200をある曲率で湾曲させた際、正極211及び負極215の端部を揃えることができる。すなわち、正極211が有する正極活物質層のすべての領域を、負極215の有する負極活物質層と対向して配置することができる。そのため正極211が有する正極活物質を無駄なく電池反応に寄与させることができる。そのため、二次電池200の体積当たりの容量を大きくすることができる。この構成は、二次電池200を使用する際に二次電池200の曲率が固定される場合に特に有効である。
正極リード221は、複数の正極211と電気的に接続されている。負極リード225は、複数の負極215と電気的に接続されている。正極リード221及び負極リード225は、それぞれ封止層220を有する。
外装体207は、複数の正極211、複数の負極215、及び複数のセパレータ203を覆う。二次電池200は、外装体207で覆われた領域に電解質(図示しない)を有する。二次電池200は、外装体207の3辺を接着することで封止されている。
図19(A)及び図19(B)では、短冊状のセパレータ203を複数用い、正極211と負極215の間にそれぞれ1つずつセパレータ203を配置する例を示したが、本発明の一態様はこれに限られない。1枚のシート状のセパレータをつづら折りにする(蛇腹型にする、ともいえる)、又は捲回することで、正極と負極の間にセパレータが位置するようにしてもよい。
例えば、図21(A)、図21(B)、図21(C)及び図21(D)に二次電池200の作製方法を示す。この作製方法を用いる場合の図18(B)における一点鎖線C1−C2間の断面図を、図20に示す。
まず、セパレータ203上に、負極215を配置する(図21(A))。このとき、負極215が有する負極活物質層が、セパレータ203と重畳するように配置する。
次に、セパレータ203を折り曲げ、負極215の上にセパレータ203を重ねる。次に、セパレータ203の上に、正極211を重ねる(図21(B))。このとき、正極211が有する正極活物質層が、セパレータ203及び負極活物質層と重畳するように配置する。なお、集電体の片面に活物質層が形成されている電極を用いる場合は、正極211の正極活物質層と、負極215の負極活物質層がセパレータ203を介して対向するように配置する。
セパレータ203にポリプロピレン等の熱溶着が可能な材料を用いている場合は、セパレータ203同士が重畳している領域を熱溶着してから次の電極を重ねることで、作製工程中に電極がずれることを抑制できる。具体的には、負極215又は正極211と重畳しておらず、セパレータ203同士が重畳している領域、たとえば図21(B)の領域203aで示す領域を熱溶着することが好ましい。
この工程を繰り返すことで、図21(C)に示すように、セパレータ203を挟んで正極211及び負極215を積み重ねることができる。
なお、あらかじめ繰り返し折り曲げたセパレータ203に、複数の負極215及び複数の正極211を交互に挟むように配置してもよい。
次に、図21(C)に示すように、セパレータ203で複数の正極211及び複数の負極215を覆う。
さらに、図21(D)に示すように、セパレータ203同士が重畳している領域、例えば図21(D)に示す領域203bを熱溶着することで、複数の正極211と複数の負極215を、セパレータ203によって覆い、結束する。
なお、複数の正極211、複数の負極215及びセパレータ203を、結束材を用いて結束してもよい。
このような工程で正極211及び負極215を積み重ねるため、セパレータ203は、1枚のセパレータ203の中で、複数の正極211と複数の負極215に挟まれている領域と、複数の正極211と複数の負極215を覆うように配置されている領域とを有する。
換言すれば、図20及び図21(D)に示す二次電池200が有するセパレータ203は、一部が折りたたまれた1枚のセパレータである。セパレータ203の折りたたまれた領域に、複数の正極211と、複数の負極215が挟まれている。
〈構成例2〉
図22(A)に二次電池250の斜視図を示し、図22(B)に二次電池250の上面図を示す。また、図22(C1)に第1の電極組立体230の断面図を示し、図22(C2)に第2の電極組立体231の断面図を示す。
二次電池250は、第1の電極組立体230、第2の電極組立体231、及びセパレータ203を有する。二次電池250は、さらに、正極リード221、負極リード225、及び外装体207を有する。
図22(C1)に示すように、第1の電極組立体230は、正極211a、セパレータ203、負極215a、セパレータ203、及び正極211aがこの順で積層されている。正極211a及び負極215aは、それぞれ、集電体の両面に活物質層を有する構成である。
図22(C2)に示すように、第2の電極組立体231は、負極215a、セパレータ203、正極211a、セパレータ203、及び負極215aがこの順で積層されている。正極211a及び負極215aは、それぞれ、集電体の両面に活物質層を有する構成である。
つまり、第1の電極組立体230及び第2の電極組立体231において、正極及び負極は、セパレータ203を介して、活物質層が互いに対向するように配置されている。
正極リード221は、複数の正極211と電気的に接続されている。負極リード225は、複数の負極215と電気的に接続されている。正極リード221及び負極リード225は、それぞれ封止層220を有する。
図23に、図22(B)における一点鎖線D1−D2間の断面図の一例を示す。なお、図23では図を明瞭にするため、一部の構成要素を抜粋して示す。
図23に示すように、二次電池250は、複数の第1の電極組立体230及び複数の第2の電極組立体231が、捲回したセパレータ203によって覆われている構成を有する。
外装体207は、複数の第1の電極組立体230、複数の第2の電極組立体231、及びセパレータ203を覆う。二次電池200は、外装体207で覆われた領域に電解質(図示しない)を有する。二次電池200は、外装体207の3辺を接着することで封止されている。
例えば、図24(A)、図24(B)、図24(C)及び図24(D)に二次電池250の作製方法を示す。
まずセパレータ203上に、第1の電極組立体230を配置する(図24(A))。
次に、セパレータ203を折り曲げ、第1の電極組立体230の上にセパレータ203を重ねる。次に、第1の電極組立体230の上下に、セパレータ203を介して、2組の第2の電極組立体231を重ねる(図24(B))。
次に、セパレータ203を、2組の第2の電極組立体231を覆うように捲回させる。さらに、2組の第2の電極組立体231の上下に、セパレータ203を介して、2組の第1の電極組立体230を重ねる(図24(C))。
次に、セパレータ203を、2組の第1の電極組立体230を覆うように捲回させる(図24(D))。
このような工程で複数の第1の電極組立体230及び複数の第2の電極組立体231を積み重ねるため、これらの電極組立体は、渦巻き状に捲回されたセパレータ203の間に配置される。
なお、最も外側に配置される電極は、外側に活物質層を有さないことが好ましい。
また図22(C1)及び図22(C2)では、電極組立体が電極3枚とセパレータ2枚を有する構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。電極を4枚以上、セパレータを3枚以上有する構成としてもよい。電極を増やすことで、二次電池250の容量をより向上させることができる。また電極を2枚、セパレータを1枚有する構成としてもよい。電極が少ない場合、より湾曲に強い二次電池とすることができる。また、図23では、二次電池250が第1の電極組立体230を3組、第2の電極組立体231を2組有する構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。さらに多くの電極組立体を有する構成としてもよい。電極組立体を増やすことで、二次電池250の容量をより向上させることができる。また、より少ない電極組立体を有する構成としてもよい。電極組立体が少ない場合、より湾曲に強い二次電池とすることができる。
また、図25に、図22(B)における一点鎖線D1−D2間の断面図の別の例を示す。図25に示すように、セパレータ203を蛇腹状に折りたたむことで、第1の電極組立体230と第2の電極組立体231の間にセパレータ203を配置してもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置の使用例について図26乃至図30を用いて説明する。
本発明の一態様の蓄電装置は、例えば、電子機器や照明装置に用いることができる。本発明の一態様の蓄電装置は、充放電特性に優れる。したがって、電子機器や照明装置を、一度の充電で長時間使用することができる。また、充放電サイクルに伴う容量の減少が抑制されているため、充電を繰り返しても、使用可能な時間が短くなりにくい。また、本発明の一態様の蓄電装置は、高温環境を含む、広い温度範囲で、優れた充放電特性を示し、長期信頼性や安全性が高いため、電子機器や照明装置の安全性や信頼性を高めることができる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
本発明の一態様の蓄電装置は可撓性を有するため、当該蓄電装置自体、又は、当該蓄電装置を用いた電子機器もしくは照明装置を、家屋やビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図26(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄電装置7407を有している。
図26(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電装置7407も湾曲する。蓄電装置7407は薄型の蓄電装置である。蓄電装置7407は曲げられた状態で固定されている。湾曲した状態の蓄電装置7407を図26(C)に示す。
図26(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電装置7104を備える。図26(E)に曲げられた蓄電装置7104の状態を示す。
図26(F)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の蓄電装置を有している。例えば、図26(E)に示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態で、又はバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
図27(A)は、手首装着型の活動量計の一例を示している。活動量計7250は、筐体7251、バンド7203、バックル7204などを備える。また筐体7251の内部に無線通信器、脈拍センサ、加速度センサ、温度センサなどを備える。活動量計7250は、脈拍センサ、加速度センサにより装着者の脈拍推移、活動量などの情報を取得し、無線通信器によって外部の携帯情報端末に該情報を送信する機能を有する。また、活動量計7250は、装着者の消費カロリー、摂取カロリーを計測する機能、歩数を取得する機能、睡眠状態を計測する機能などを有していてもよい。なお、活動量計7250が表示部を有し、上記の機能により取得した情報を表示できるようにしてもよい。
活動量計7250は、本発明の一態様の蓄電装置を有している。例えば、図26(E)に示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態で、又はバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
図27(B)は、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部7304を有し、本発明の一態様の蓄電装置を有している。また、表示装置7300は、表示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させることもできる。
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状況を変更することができる。
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
図27(C)は、メガネ型の表示装置の一例を示している。表示装置7350は、レンズ7351、フレーム7352などを有する。また、フレーム7352の内部またはフレーム7352と接して、レンズ7351に画像または映像を投影する投影部(図示しない)を有する。表示装置7350は、レンズ7351の全体に画像7351Aを装着者が視認できる向きに表示する機能を有する。または、レンズ7351の一部に画像7351Bを装着者が視認できる向きに表示する機能を有する。
表示装置7350は、本発明の一態様の蓄電装置を有している。図27(D)に、フレーム7352の先端部7355を拡大した図を示す。先端部7355はフッ素ゴム、シリコーンゴム等のゴム材料で形成できる。先端部7355の内部には本発明の一態様の蓄電装置7360が埋め込まれ、正極リード7361および負極リード7362が先端部7355から突出している。正極リード7361および負極リード7362は、フレーム7352の内部に設けられ投影部等と接続される配線と電気的に接続される。なお、先端部7355は蓄電装置7360とともに、実施の形態2で説明した一体形成によって作製することができる。
先端部7355および蓄電装置7360は可撓性を有する。よって、表示装置7350は使用者の頭部形状に合わせて密着するように装着できる。
図28(A)及び図28(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図28(A)及び図28(B)に示すタブレット型端末9600は、一対の筐体9630、一対の筐体9630を接続する可動部9640、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629、操作スイッチ9628を有する。図28(A)は、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、図28(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
また、タブレット型端末9600は、筐体9630の内部に蓄電体9635を有する。蓄電体9635は、可動部9640を通り、一方の筐体9630から他方の筐体9630に渡って設けられている。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、残りの半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図28(A)では表示部9631aと表示部9631bの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方の表示部のサイズと他方の表示部のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図28(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634を有する。また、蓄電体9635として、本発明の一態様の蓄電装置を用いる。
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に一対の筐体9630を重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。また、本発明の一態様の蓄電体を用いた蓄電体9635は可撓性を有し、曲げ伸ばしを繰り返しても充放電容量が低下しにくい。よって、信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図28(A)及び図28(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面又は両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う構成とすることができるため好適である。なお、蓄電体9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図28(B)に示す充放電制御回路9634の構成及び動作について、図28(C)にブロック図を示し説明する。図28(C)には、太陽電池9633、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図28(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず、外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、蓄電体9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにして蓄電体9635の充電を行う構成とすればよい。
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による蓄電体9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
図29に、他の電子機器の例を示す。図29において、表示装置8000は、本発明の一態様に係る蓄電装置8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置8000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部8003、蓄電装置8004等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置8004は、筐体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能となる。
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図29において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る蓄電装置8103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光源8102、蓄電装置8103等を有する。図29では、蓄電装置8103が、筐体8101及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8103を無停電電源として用いることで、照明装置8100の利用が可能となる。
なお、図29では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示しているが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図29において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、蓄電装置8203等を有する。図29では、蓄電装置8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、蓄電装置8203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に蓄電装置8203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
なお、図29では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
図29において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、蓄電装置8304等を有する。図29では、蓄電装置8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
なお、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電子機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電子機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置8304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われる昼間において、蓄電装置8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
また、本発明の一態様の蓄電装置は、車両に搭載することもできる。
蓄電装置を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
図30(A)及び図30(B)に、本発明の一態様の蓄電装置を用いた車両を例示する。図30(A)に示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は蓄電装置を有する。蓄電装置は電気モーターを駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
また、蓄電装置は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、蓄電装置は、自動車8400が有するナビゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
図30(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する蓄電装置にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図30(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された蓄電装置に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された蓄電装置8024を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両同士で電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電装置の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
本発明の一態様によれば、蓄電装置のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様によれば、蓄電装置の特性を向上することができ、よって、蓄電装置自体を小型軽量化することができる。蓄電装置自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した蓄電装置を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、実施の形態1に基づき、本発明の一態様に係る蓄電装置を作製し、比較用の蓄電装置と共に25℃でサイクル試験を行った。
<試料の作製方法>
本実施例では、図1(A)に示す蓄電装置500を作製した。試料の作製方法について説明する。
本発明の一態様を適用した試料は、試料A1、試料A2、試料B1、試料B2、試料C1、試料C2、試料D1、試料D2、試料E1、試料E2、試料F1、試料F2、試料B3及び試料B4の計14試料である。比較用として作製した試料は、比較試料a1及び比較試料a2の計2試料である。
試料A1、試料A2、試料B1、試料B2、試料C1、試料C2、試料D1、試料D2、試料E1、試料E2、試料F1、試料F2、試料B3及び試料B4は、溶質にリチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを用いた。試料A1、試料A2、試料B1、試料B2、試料C1、試料C2、試料D1、試料D2、試料E1、試料E2、試料F1、試料F2、試料B3及び試料B4は、六フッ化リン酸リチウムの濃度が異なる。また、比較試料a1、比較試料a2は、溶質にリチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)を用い、六フッ化リン酸リチウムを用いなかった。
試料A1、試料A2、試料B1、試料B2、試料C1、試料C2、試料D1、試料D2、試料E1、試料E2、試料F1、試料F2、比較試料a1及び比較試料a2は、セパレータとして、セルロース繊維を用いた。試料B3及び試料B4は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いた。
また、蓄電装置500を作製した後に、試料A2、試料B2、試料C2、試料D2、試料E2、試料F2、試料B4及び比較試料a2は、170℃、15分の加熱処理を行った。この加熱処理は、実施の形態2で説明したフッ素ゴムとの一体形成を想定した処理である。なお、試料A1、試料B1、試料C1、試料D1、試料E1、試料F1、試料B3及び比較試料a1は、加熱処理を行わなかった。
各試料の電解質、セパレータ及び加熱処理の条件を表1に示す。
電解質の作製方法について、説明する。
比較試料a1及び比較試料a2に用いた、電解質aについて説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)を溶解して電解質aを作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質aに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質aに対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。
試料A1及び試料A2に用いた、電解質Aについて説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して電解質Aを作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質Aに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質Aに対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。六フッ化リン酸リチウムは、電解質Aに対し、重量比で0.18wt%となる量を溶解した。
試料B1、試料B2、試料B3及び試料B4に用いた、電解質Bについて説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して電解質Bを作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質Bに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質Bに対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。六フッ化リン酸リチウムは、電解質Bに対し、重量比で0.27wt%となる量を溶解した。
試料C1及び試料C2に用いた、電解質Cについて説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して電解質Cを作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質Cに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質Cに対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。六フッ化リン酸リチウムは、電解質Cに対し、重量比で0.51wt%となる量を溶解した。
試料D1及び試料D2に用いた、電解質Dについて説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して電解質Dを作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質Dに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質Dに対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。六フッ化リン酸リチウムは、電解質Dに対し、重量比で1.1wt%となる量を溶解した。
試料E1及び試料E2に用いた、電解質Eについて説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して電解質Eを作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質Eに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質Eに対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。六フッ化リン酸リチウムは、電解質Eに対し、重量比で2.0wt%となる量を溶解した。
試料F1及び試料F2に用いた、電解質Fについて説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して電解質Fを作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質Fに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質Fに対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。六フッ化リン酸リチウムは、電解質Fに対し、重量比で3.0wt%となる量を溶解した。
エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液は、キシダ化学製のリチウムバッテリーグレード(製品コード番号LBG−00798)を用いた。ビニレンカーボネート(VC)は、キシダ化学製のリチウムバッテリーグレード(製品コード番号LBG−84923)を用いた。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、IoLiTec Ionic Liquids Technologies Inc.製(製品番号KI−0016−HP)を用いた。六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)は、キシダ化学製のリチウムバッテリーグレード(製品コード番号LBG−45860)を用いた。
負極の作製方法について、説明する。負極の作製方法は、試料A1、試料A2、試料B1、試料B2、試料C1、試料C2、試料D1、試料D2、試料E1、試料E2、試料F1、試料F2、試料B3、試料B4、比較試料a1及び比較試料a2のいずれも共通である。
負極活物質には比表面積6.3m2/g、平均粒径15μmの球状化天然黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製CGB−15)を用いた。また、結着剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)及びSBRを用いた。用いたCMC−Naの重合度は600以上800以下、1wt%水溶液として用いた場合の水溶液粘度は300mPa・s以上500mPa・s以下の範囲の値であった。黒鉛、CMC−Na、及びSBRの配合は、黒鉛:CMC−Na:SBR=97:1.5:1.5(wt%)とした。
まず、CMC−Naの粉末と活物質とを混合し、混練機で混練し、第1の混合物を得た。
次に、第1の混合物に少量の水を添加し、固練りを行い、第2の混合物を得た。ここで、固練りとは、高粘度による混練のことである。
次に、水をさらに添加し、混練機を用いて混練し、第3の混合物を得た。
次に、SBRの50wt%水分散液を添加し、混練機を用いて混練した。その後、減圧下での脱泡を行い、スラリーを得た。
次に、連続塗工機を用いて、負極集電体にスラリーの塗布を行った。負極集電体には膜厚18μmの圧延銅箔を用いた。塗工速度は、0.75m/minとした。
次に、負極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。まず、大気雰囲気下で、50℃、120秒間の処理を行った後に、80℃で120秒間の処理を行った。さらに、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で、100℃、10時間の処理を行った。
以上の工程により、負極集電体の片面に負極活物質層を作製し、負極を作製した。
正極の作製方法について、説明する。正極の作製方法は、試料A1、試料A2、試料B1、試料B2、試料C1、試料C2、試料D1、試料D2、試料E1、試料E2、試料F1、試料F2、試料B3、試料B4、比較試料a1及び比較試料a2のいずれも共通である。
正極活物質には、LiCoO2を用い、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用い、導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。LiCoO2は、比表面積0.55m2/g、平均粒径6.3μmの日本化学工業製(C−5hV)を用いた。LiCoO2、PVDF、及びアセチレンブラックの配合は、LiCoO2:アセチレンブラック:PVDF=95:3:2(wt%)とした。
なお、本明細書等において、平均粒径とは、体積基準で累積50%の値(D50)を指す。
初めに、アセチレンブラックとPVDFとを混合し、混練機で混練し、第3の混合物を得た。
次に、第3の混合物に活物質を添加し、第4の混合物を得た。
次に、第4の混合物に溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練機を用いて混練した。以上の工程により、スラリーを作製した。
次に、大型の混練機で混練を行った。
次に、連続塗工機を用いて、正極集電体にスラリーの塗布を行った。正極集電体には、アルミニウム集電体(膜厚20μm)を用いた。塗工速度は0.2m/minとした。
その後、正極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。溶媒の気化は、大気雰囲気下で行い、70℃で7.5分間の処理を行った後に90℃で7.5分間の処理を行った。
次に、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で、170℃、10時間の加熱処理を行った。その後、正極活物質層を、ロールプレス法によりプレスして圧密化した。
以上の工程により、正極集電体の片面に正極活物質層を作製し、正極を作製した。
作製した正極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表2、負極活物質層を表3に示す。なお、本明細書中で示すこれらの値は、試料を作製する際に用いた電極の各測定値の平均値である。集電体の両面に活物質層を有する場合、これらの値は、片面の活物質層における活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値に相当する。
電極の面積、電子天秤で測定した重量から、担持量を算出した。また、マイクロメータで測定した膜厚から、密度を算出した。
次に、蓄電装置の作製方法について説明する。本実施例で作製した各試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を1つと、負極集電体の片面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の各試料は、1層の正極活物質層と、1層の負極活物質層を有する構成である。
まず、正極、負極及び第1のセパレータをそれぞれ切断した。正極の大きさは20.49cm2、負極の大きさは23.84cm2、第1のセパレータの大きさは24.75cm2とした。
セパレータとして、試料A1、試料A2、試料B1、試料B2、試料C1、試料C2、試料D1、試料D2、試料E1、試料E2、試料F1、試料F2、比較試料a1及び比較試料a2は、セルロース繊維を用いた。具体的には、厚さ30μmの日本高度紙工業製の溶剤紡糸再生セルロース繊維(製品番号TF40)を用いた。試料B3及び試料B4は、ポリフェニレンサルファイドを用いた。具体的には、厚さ46μmの東レ製のポリフェニレンサルファイドペーパー(製品番号PS0020)を2枚重ねたものを用いた。
次に、タブ領域上の正極活物質及び負極活物質を剥がして、集電体を露出させた。
次に、第1のセパレータを挟んで正極および負極を積層した。このとき、正極および負極は、正極活物質層と、負極活物質層が向かい合うように積層した。
次に、正極及び負極にリードを超音波溶接によって接合した。
次に、積層した電極及びリードを接合した領域を、さらに第2のセパレータで包んだ。そうすることにより、外装体が有する樹脂層が後の加熱処理により溶解し、外装体が有するアルミニウムと電極が接触するのを防止できる。第2のセパレータの大きさは104cm2とした。
次に、外装体の4辺のうち2辺を残して、外装体を加熱により接合した。
外装体には、アルミニウムの両面に樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
次に、リードに設けられた封止層と外装体の封止層が重なるように配置し、加熱により接合した。この時、電解質を注入する辺以外を接合した。
次に、外装体と、外装体で包まれた正極、セパレータ及び負極を乾燥させるための加熱処理を行った。加熱条件は、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で80℃、10時間とした。
次に、アルゴンガス雰囲気下で、封止されていない1辺から約600μLの電解質を注入した。比較試料a1及び比較試料a2は、前述の電解質aを注入した。試料A1及び試料A2は、前述の電解質Aを注入した。試料B1、試料B2、試料B3及び試料B4は、前述の電解質Bを注入した。試料C1及び試料C2は、前述の電解質Cを注入した。試料D1及び試料D2は、前述の電解質Dを注入した。試料E1及び試料E2は、前述の電解質Eを注入した。試料F1及び試料F2は、前述の電解質Fを注入した。
その後、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で、加熱により外装体の1辺を封止した。以上の工程により、薄型の蓄電装置を作製した。
次に、試料A2、試料B2、試料C2、試料D2、試料E2、試料F2、試料B4及び比較試料a2の加熱処理を行った。加熱条件は、実施の形態2で説明したフッ素ゴムとの一体形成を想定して大気圧雰囲気下で170℃、15分とした。具体的には、恒温槽を約170℃まで昇温後、各試料を恒温槽に投入し、15分後に各試料を取り出した。該加熱処理において、各試料の外装体内部における膨張は見られなかった。
以上により、試料A1、試料A2、試料B1、試料B2、試料C1、試料C2、試料D1、試料D2、試料E1、試料E2、試料F1、試料F2、試料B3、試料B4、比較試料a1及び比較試料a2を作製した。
<充放電特性の測定>
次に、本実施例の各試料の25℃における充放電特性を評価した。該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.3Vを上限として定電流−定電圧充電を行い、2.5Vを下限として定電流放電を行った。充放電は0.1Cのレートで3サイクル行った後、0.3Cのレートで長期サイクル試験を行った。充放電後に各10分の休止時間を設けた。
なお、正極活物質であるLiCoO2の充電上限電圧を4.3Vとした時に得られる容量である170mAh/gを基準として、レートを算出した。
比較試料a1の充電及び放電カーブを図31(A)、比較試料a2を図31(B)、試料A1を図31(C)、試料A2を図31(D)、試料B1を図32(A)、試料B2を図32(B)、試料C1を図32(C)、試料C2を図32(D)、試料D1を図33(A)、試料D2を図33(B)、試料E1を図33(C)、試料E2を図33(D)、試料F1を図34(A)、試料F2を図34(B)、試料B3を図34(C)、試料B4を図34(D)に示す。図31(A)、図31(B)、図31(C)、図31(D)、図32(A)、図32(B)、図32(C)、図32(D)、図33(A)、図33(B)、図33(C)、図33(D)、図34(A)、図34(B)、図34(C)及び図34(D)は、横軸が容量(Capacity)[mAh/g]を示し、縦軸が電圧(Voltage)[V]を示す。また、各試料それぞれ、1サイクル目(1st)及び300サイクル目(300th)の、充電(charge)及び放電(discharge)の特性を示している。容量は、正極活物質の重量当たりの容量を示している。
170℃、15分の加熱処理を行った試料において、充放電を繰り返すと容量が減少するのを確認できた。六フッ化リン酸リチウムを有さない比較試料a2と比較して、六フッ化リン酸リチウムを有する本発明の一態様である試料A2、試料B2、試料C2、試料D2及び試料B4は、充放電を繰り返した後の容量の減少が抑制されているのを確認できた。
比較試料a1及び比較試料a2の放電容量のサイクル特性を図35(A)、試料A1及び試料A2を図35(B)、試料B1及び試料B2を図35(C)、試料C1及び試料C2を図35(D)、試料D1及び試料D2を図36(A)、試料E1及び試料E2を図36(B)、試料F1及び試料F2を図36(C)、試料B3及び試料B4を図36(D)に示す。図35(A)、図35(B)、図35(C)、図35(D)、図36(A)、図36(B)、図36(C)及び図36(D)は、横軸がサイクル(Cycles)[times]を示し、縦軸が容量(Capacity)[mAh/g]を示す。
比較試料a1及び比較試料a2の放電容量維持率のサイクル特性を図37(A)、試料A1及び試料A2を図37(B)、試料B1及び試料B2を図37(C)、試料C1及び試料C2を図37(D)、試料D1及び試料D2を図38(A)、試料E1及び試料E2を図38(B)、試料F1及び試料F2を図38(C)、試料B3及び試料B4を図38(D)に示す。図37(A)、図37(B)、図37(C)、図37(D)、図38(A)、図38(B)、図38(C)及び図38(D)は、横軸がサイクル(Cycles)[times]を示し、縦軸が容量維持率(Capacity retention)[%]を示す。容量維持率は、各試料における放電容量の最大値に対する、各サイクルでの放電容量の比率を示している。
170℃、15分の加熱処理を行った試料において、充放電を繰り返すと容量が減少するのを確認できた。六フッ化リン酸リチウムを有さない比較試料a2と比較して、六フッ化リン酸リチウムを有する本発明の一態様である試料A2、試料B2、試料C2、試料D2及び試料B4は、充放電を繰り返した後の容量の減少が抑制されているのを確認できた。
本発明の一態様では、耐熱性の高いリチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)がキャリアイオンとなるリチウムイオンを供給する役割を主に担うことで、加熱処理を行っても、放電を繰り返した後の容量の減少が抑制できることが分かった。さらに、六フッ化リン酸リチウムを有することにより、正極集電体として用いたアルミニウムの表面に170℃加熱処理時又は充放電時に不動態被膜が形成され、サイクル特性が良好な状態を保持できたと考えられる。なお、試料E2及び試料F2は、比較試料a2より容量の減少が大きくなった。試料E2及び試料F2は、六フッ化リン酸リチウム濃度が高い条件であることから、170℃加熱処理で六フッ化リン酸リチウムがLiFとPF5に分解し、PF5が溶媒を分解したため、容量が減少するなどの電池特性の劣化が発生したと考えられる。つまり、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)が集電体の表面に不動態被膜を形成できる量を用いることが望ましいことが分かった。
本発明の一態様では、溶質に、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用いることで、蓄電池の加熱処理を行っても、充放電を繰り返した後に容量が低下しづらくなることが分かった。
比較試料a1及び比較試料a2のエネルギー密度のサイクル特性を図39(A)、試料A1及び試料A2を図39(B)、試料B1及び試料B2を図39(C)、試料C1及び試料C2を図39(D)、試料D1及び試料D2を図40(A)、試料E1及び試料E2を図40(B)、試料F1及び試料F2を図40(C)、試料B3及び試料B4を図40(D)に示す。図39(A)、図39(B)、図39(C)、図39(D)、図40(A)、図40(B)、図40(C)及び図40(D)は、横軸がサイクル(Cycles)[times]を示し、縦軸がエネルギー密度(Energy density)[mWh/g]を示す。エネルギー密度とは、図31(A)、図31(B)、図31(C)、図31(D)、図32(A)、図32(B)、図32(C)、図32(D)、図33(A)、図33(B)、図33(C)、図33(D)、図34(A)、図34(B)、図34(C)及び図34(D)の放電カーブに示す、放電容量及び電圧の積の値である。
比較試料a1及び比較試料a2のエネルギー密度維持率のサイクル特性を図41(A)、試料A1及び試料A2を図41(B)、試料B1及び試料B2を図41(C)、試料C1及び試料C2を図41(D)、試料D1及び試料D2を図42(A)、試料E1及び試料E2を図42(B)、試料F1及び試料F2を図42(C)、試料B3及び試料B4を図42(D)に示す。図41(A)、図41(B)、図41(C)、図41(D)、図42(A)、図42(B)、図42(C)及び図42(D)は、横軸がサイクル(Cycles)[times]を示し、縦軸がエネルギー密度維持率(Energy density retention)[%]を示す。エネルギー密度維持率は、各試料におけるエネルギー密度の最大値に対する、各サイクルでのエネルギー密度の比率を示している。
170℃15分の加熱処理を行った試料において、充放電を繰り返すとエネルギー密度が減少するのを確認できた。六フッ化リン酸リチウムを有さない比較試料a2と比較して、六フッ化リン酸リチウムを有する本発明の一態様である試料A2、試料B2、試料C2、試料D2及び試料B4は、充放電を繰り返した後のエネルギー密度の減少が抑制されているのを確認できた。
本発明の一態様では、耐熱性の高いリチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)がキャリアイオンとなるリチウムイオンを供給する役割を主に担うことで、加熱処理を行っても、放電を繰り返した後のエネルギー密度の減少が抑制できることが分かった。さらに、六フッ化リン酸リチウムを有することにより、正極集電体として用いたアルミニウムの表面に170℃加熱処理時又は充放電時に不動態被膜が形成され、サイクル特性が良好な状態を保持できたと考えられる。なお、試料E2及び試料F2は、比較試料a2よりエネルギー密度の減少が大きくなった。試料E2及び試料F2は、六フッ化リン酸リチウム濃度が高い条件であることから、170℃加熱処理で六フッ化リン酸リチウムがLiFとPF5に分解し、PF5が溶媒を分解したため、エネルギー密度が減少するなどの電池特性の劣化が発生したと考えられる。つまり、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)が集電体の表面に不動態被膜を形成できる量を用いることが望ましいことが分かった。
本発明の一態様では、溶質に、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用いることで、蓄電池の加熱処理を行っても、充放電を繰り返した後にエネルギー密度が低下しづらくなることが分かった。
170℃の加熱処理を行った比較試料a2、試料A2、試料B2、試料C2、試料D2、試料E2、試料F2及び試料B4について、電解質に対する六フッ化リン酸リチウムの濃度と、容量維持率の関係を、表3及び図43(A)に示す。図43(A)は、横軸が六フッ化リン酸リチウムの濃度(LiPF6 concentration)[wt%]を示し、縦軸が容量維持率(Capacity retention)[%]を示す。図43(A)において、黒丸印はセパレータにセルロース繊維を用いた比較試料a2、試料A2、試料B2、試料C2、試料D2、試料E2及び試料F2のデータを示し、バツ印はセパレータにポリフェニレンサルファイドを用いた試料B4のデータを示す。容量維持率は、図37(A)、図37(B)、図37(C)、図37(D)、図38(A)、図38(B)、図38(C)及び図38(D)に示した各試料の300サイクル目の値を示している。
170℃、15分の加熱処理を行った比較試料a2、試料A2、試料B2、試料C2、試料D2、試料E2、試料F2及び試料B4について、電解質に対する六フッ化リン酸リチウムの濃度と、エネルギー密度維持率の関係を、表4及び図43(B)に示す。図43(B)は、横軸が六フッ化リン酸リチウムの濃度(LiPF6 concentration)[wt%]を示し、縦軸がエネルギー密度維持率(Energy density retention)[%]を示す。図43(B)において、黒丸印はセパレータにセルロース繊維を用いた比較試料a2、試料A2、試料B2、試料C2、試料D2、試料E2及び試料F2のデータを示し、バツ印はセパレータにポリフェニレンサルファイドを用いた試料B4のデータを示す。エネルギー密度維持率は、図41(A)、図41(B)、図41(C)、図41(D)、図42(A)、図42(B)、図42(C)、図42(D)に示した各試料の300サイクル目の値を示している。
表4、図43(A)及び図43(B)に示すように、六フッ化リン酸リチウムを用いない比較試料a2と比較し、本発明の一態様である試料A2、試料B2、試料C2、試料D2及び試料B4は、充放電を繰り返した後の容量維持率及びエネルギー維持率が高い結果が得られた。一方、六フッ化リン酸リチウムの濃度が高い試料E2及び試料F2は、容量維持率及びエネルギー維持率が低くなった。
これらの結果から、電解質として、エチレンカーボネート(EC)、プロプレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを有し、六フッ化リン酸リチウムは、電解質に対し、重量比で0.01wt%以上1.9wt%以下が好ましいことが分かった。また、六フッ化リン酸リチウムは、電解質に対し、重量比で0.05wt%以上1.2wt%以下がさらに好ましいことが分かった。また、六フッ化リン酸リチウムは、電解質に対し、重量比で0.1wt%以上0.8wt%以下がさらには好ましいことが分かった。
電解質の溶質として、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを用いることにより、耐熱性の高い蓄電池を得られることが分かった。
本実施例では、実施の形態1に基づき、本発明の一態様に係る蓄電装置を作製し、比較用の蓄電装置と共に45℃でサイクル試験を行った。
<試料の作製方法>
本実施例では、図1(A)に示す蓄電装置500を作製した。試料の作製方法について説明する。
本発明の一態様を適用した試料は、試料G1、試料G2、試料H1及び試料H2の計4試料である。比較用として作製した試料は、比較試料a3及び比較試料a4の計2試料である。
試料G1、試料G2、試料H1及び試料H2は、溶質にリチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを用いた。試料G1、試料G2、試料H1及び試料H2は、六フッ化リン酸リチウムの濃度が異なる。また、比較試料a3、比較試料a4は、溶質にリチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)を用い、六フッ化リン酸リチウムを用いなかった。
試料G1、試料G2、試料H1、試料H2、比較試料a3及び比較試料a4は、セパレータとして、セルロース繊維を用いた。
また、蓄電装置500を作製した後に、試料G2、試料H2及び比較試料a4は、170℃、15分の加熱処理を行った。この加熱処理は、実施の形態2で説明したフッ素ゴムとの一体形成を想定した処理である。なお、試料AG、試料H1及び比較試料a3は、加熱処理を行わなかった。
各試料の電解質、セパレータ及び加熱処理の条件を表5に示す。
電解質の作製方法について、説明する。
比較試料a3及び比較試料a4の電解質として、電解質aを用いた。電解質aに関しては、先の実施例1を参照できるため説明を省略する。
試料G1及び試料G2に用いた、電解質Gについて説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して電解質Gを作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質Gに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質Gに対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。六フッ化リン酸リチウムは、電解質Gに対し、重量比で0.26wt%となる量を溶解した。
試料H1及び試料H2に用いた、電解質Hについて説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して電解質Hを作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質Hに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質Hに対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。六フッ化リン酸リチウムは、電解質Hに対し、重量比で0.51wt%となる量を溶解した。
エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液は、キシダ化学製のリチウムバッテリーグレード(製品コード番号LBG−00798)を用いた。ビニレンカーボネート(VC)は、キシダ化学製のリチウムバッテリーグレード(製品コード番号LBG−84923)を用いた。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、IoLiTec Ionic Liquids Technologies Inc.製(製品番号KI−0016−HP)を用いた。六フッ化リン酸リチウムは、キシダ化学製のリチウムバッテリーグレード(製品コード番号LBG−45860)を用いた。
次に、負極を作製した。負極の作製方法に関しては、先の実施例1を参照できるため説明を省略する。
次に、正極を作製した。正極の作製方法に関しては、先の実施例1を参照できるため説明を省略する。
作製した正極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表6、負極活物質層を表7に示す。
次に、蓄電装置の作製方法について説明する。本実施例で作製した各試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を1つと、負極集電体の片面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の各試料は、1層の正極活物質層と、1層の負極活物質層を有する構成である。
まず、正極、負極及び第1のセパレータをそれぞれ切断した。正極の大きさは20.49cm2、負極の大きさは23.84cm2、第1のセパレータの大きさは24.75cm2とした。
セパレータとして、試料G1、試料G2、試料H1、試料H2、比較試料a3及び比較試料a4は、セルロース繊維を用いた。具体的には、厚さ30μmの日本高度紙工業製の溶剤紡糸再生セルロース繊維(製品番号TF40)を用いた。
次に、タブ領域上の正極活物質及び負極活物質を剥がして、集電体を露出させた。
次に、第1のセパレータを挟んで正極および負極を積層した。このとき、正極および負極は、正極活物質層と、負極活物質層が向かい合うように積層した。
次に、正極及び負極にリードを超音波溶接によって接合した。
次に、積層した電極及びリードを接合した領域を、さらに第2のセパレータで包んだ。そうすることにより、外装体が有する樹脂層が後の加熱処理により溶解し、外装体が有するアルミニウムと電極が接触するのを防止できる。第2のセパレータの大きさは104cm2とした。
次に、外装体の4辺のうち2辺を残して、外装体を加熱により接合した。
外装体には、アルミニウムの両面に樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
次に、リードに設けられた封止層と外装体の封止層が重なるように配置し、加熱により接合した。この時、電解質を注入する辺以外を接合した。
次に、外装体と、外装体で包まれた正極、セパレータ及び負極を乾燥させるための加熱処理を行った。加熱条件は、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で80℃、10時間とした。
次に、アルゴンガス雰囲気下で、封止されていない1辺から約600μLの電解質を注入した。比較試料a3及び比較試料a4は、前述の電解質aを注入した。試料G1及び試料G2は、前述の電解質Gを注入した。試料H1及び試料H2は、前述の電解質Hを注入した。
その後、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で、加熱により外装体の1辺を封止した。以上の工程により、薄型の蓄電装置を作製した。
次に、試料G2、試料H2及び比較試料a4の加熱処理を行った。加熱条件は、実施の形態2で説明したフッ素ゴムとの一体形成を想定して大気圧雰囲気下で170℃、15分とした。具体的には、恒温槽を約170℃まで昇温後、各試料を恒温槽に投入し、15分後に各試料を取り出した。該加熱処理において、各試料の外装体内部における膨張は見られなかった。
以上により、試料G1、試料G2、試料H1、試料H2、比較試料a3及び比較試料a4を作製した。
<充放電特性の測定>
次に、本実施例の各試料の45℃における充放電特性を評価した。該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.3Vを上限として定電流−定電圧充電を行い、2.5Vを下限として定電圧放電を行った。充放電は0.1Cのレートで行い、充電後に10分の休止時間を設けた。充放電は2サイクル行った。
なお、正極活物質であるLiCoO2の充電上限電圧を4.3Vとした時に得られる容量である170mAh/gを基準として、レートを算出した。
比較試料a3の充電及び放電カーブを図44(A)、比較試料a4を図44(B)、試料G1を図44(C)、試料G2を図44(D)、試料H1を図45(A)、試料H2を図45(B)に示す。図44(A)、図44(B)、図44(C)、図44(D)、図45(A)及び図45(B)は、横軸が容量(Capacity)[mAh/g]を示し、縦軸が電圧(Voltage)[V]を示す。また、各試料それぞれ、1サイクル目(1st)及び300サイクル目(300th)の、充電(charge)及び放電(discharge)の特性を示している。容量は、正極活物質の重量当たりの容量を示している。
なお、六フッ化リン酸リチウムを有さない比較試料a3及び比較試料a4において、300サイクル目は容量がゼロに近い値であった。
比較試料a3及び比較試料a4の放電容量のサイクル特性を図46(A)、試料G1及び試料G2を図46(B)、試料H1及び試料H2を図46(C)に示す。図46(A)、図46(B)及び図46(C)は、横軸がサイクル(Cycles)[times]を示し、縦軸が容量(Capacity)[mAh/g]を示す。
比較試料a3及び比較試料a4の放電容量維持率のサイクル特性を図47(A)、試料G1及び試料G2を図47(B)、試料H1及び試料H2を図47(C)に示す。図47(A)、図47(B)及び図47(C)は、横軸がサイクル(Cycles)[times]を示し、縦軸が容量維持率(Capacity retention)[%]を示す。容量維持率は、各試料における放電容量の最大値に対する、各サイクルでの放電容量の比率を示している。
六フッ化リン酸リチウムを有さない比較試料a3及び比較試料a4は、150サイクル程度で、容量がゼロに近い値となった。45℃で充放電を繰り返したことにより、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)が、正極集電体として用いたアルミニウムを腐食したと考えられる。比較試料a3及び比較試料a4と比較して、本発明の一態様である試料G1、試料G2、試料H1及び試料H2は、充放電サイクルを繰り返した後でも容量の低下が小さい結果となった。特に、試料H2は170℃、15分の加熱処理を行っているにも関わらず、容量維持率が高い結果となった。六フッ化リン酸リチウムによりアルミニウムの表面に不動態被膜が形成され、加熱処理を行ってもアルミニウムの腐食が抑制できたと考えられる。
比較試料a3及び比較試料a4のエネルギー密度のサイクル特性を図48(A)、試料G1及び試料G2を図48(B)、試料H1及び試料H2を図48(C)に示す。図48(A)、図48(B)及び図48(C)は、横軸がサイクル(Cycles)[times]を示し、縦軸がエネルギー密度(Energy density)[mWh/g]を示す。エネルギー密度とは、図44(A)、図44(B)、図44(C)、図44(D)、図45(A)及び45(B)の放電カーブに示す、放電容量及び電圧の積の値である。
比較試料a3及び比較試料a4のエネルギー密度維持率のサイクル特性を図49(A)、試料G1及び試料G2を図49(B)、試料H1及び試料H2を図49(C)に示す。図49(A)、図49(B)及び図49(C)は、横軸がサイクル(Cycles)[times]を示し、縦軸がエネルギー密度維持率(Energy density retention)[%]を示す。エネルギー密度維持率は、各試料におけるエネルギー密度の最大値に対する、各サイクルでのエネルギー密度の比率を示している。
六フッ化リン酸リチウムを有さない比較試料a3及び比較試料a4は、150サイクル程度で、エネルギー密度がゼロに近い値となった。比較試料a3及び比較試料a4と比較して、本発明の一態様である試料G1、試料G2、試料H1及び試料H2は、充放電サイクルを繰り返した後でも容量の低下が小さい結果となった。特に、試料H2は170℃、15分の加熱処理を行っているにも関わらず、エネルギー密度維持率が高い結果となった。
170℃の加熱処理を行った比較試料a3、試料G2及び試料H2について、電解質に対する六フッ化リン酸リチウムの濃度と、容量維持率の関係を、表5及び図50(A)に示す。図50(A)は、横軸が六フッ化リン酸リチウムの濃度(LiPF6 concentration)[wt%]を示し、縦軸が容量維持率(Capacity retention)[%]を示す。容量維持率は、図47(A)、図47(B)及び図47(C)に示した各試料の300サイクル目の値を示している。
170℃15分の加熱処理を行った比較試料a4、試料G2及び試料H4について、電解質に対する六フッ化リン酸リチウムの濃度と、エネルギー密度維持率の関係を、表8及び図50(B)に示す。図50(B)は、横軸が六フッ化リン酸リチウムの濃度(LiPF6 concentration)[wt%]を示し、縦軸がエネルギー密度維持率(Energy density retention)[%]を示す。エネルギー密度維持率は、図49(A)、図49(B)及び図49(C)に示した各試料の300サイクル目の値を示している。
表8、図50(A)及び図50(B)に示すように、六フッ化リン酸リチウムを用いない比較試料a4と比較し、本発明の一態様である試料G2及び試料H2は、充放電を繰り返した後の容量維持率及びエネルギー維持率が高い結果が得られた。
これらの結果から、電解質として、エチレンカーボネート(EC)、プロプレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを有し、六フッ化リン酸リチウムは、電解質に対し、重量比で0.01wt%以上1.9wt%以下が好ましいことが分かった。また、六フッ化リン酸リチウムは、電解質に対し、重量比で0.05wt%以上1.2wt%以下がさらに好ましいことが分かった。また、六フッ化リン酸リチウムは、電解質に対し、重量比で0.1wt%以上0.8wt%以下がさらには好ましいことが分かった。
電解質の溶質として、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを用いることにより、45℃の高温環境下においても充放電特性が良好で、耐熱性の高い蓄電池を得られることが分かった。
本実施例では、正極集電体として用いられるアルミニウムと、電解質の反応を確認した結果について説明する。
<試料の作製方法>
本実施例では、本発明の一態様である蓄電池を作製し、170℃、15分の加熱処理後に蓄電池から正極を取り出し、正極のアルミニウム表面をXPS測定により組成分析を行った。170℃、15分の加熱処理を行った蓄電池を蓄電池1とし、蓄電池1から取り出した正極を正極1とする。また、比較として、正極を作製した後、蓄電池の組み立てや加熱処理を行わなかった試料(比較正極1)のXPS分析も行った。
正極の作製方法について、説明する。正極の作製方法は、比較正極1及び蓄電池1(正極1)で共通である。
正極活物質には比表面積0.21m2/g、平均粒径10μmのLiCoO2を用い、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用い、導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。LiCoO2、PVDF、及びアセチレンブラックの配合は、LiCoO2:アセチレンブラック:PVDF=95:3:2(wt%)とした。
初めに、アセチレンブラックとPVDFとを混合し、混練機で混練し、第5の混合物を得た。
次に、第5の混合物に活物質を添加し、第6の混合物を得た。
次に、第4の混合物に溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練機を用いて混練した。以上の工程により、スラリーを作製した。
次に、大型の混練機で混練を行った。
次に、連続塗工機を用いて、正極集電体にスラリーの塗布を行った。正極集電体には、アルミニウム集電体(膜厚20μm)を用いた。塗工速度は0.2m/minとした。
その後、正極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。溶媒の気化は、大気雰囲気下で行い、70℃で7.5分間の処理を行った後に90℃で7.5分間の処理を行った。
次に、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で、170℃、10時間の加熱処理を行った。その後、正極活物質層を、ロールプレス法によりプレスして圧密化した。
以上の工程により、正極集電体の片面に正極活物質層を作製した。
ここまでの工程で作製した試料を比較正極1とする。
さらに、蓄電池1について作製方法を説明する。
負極の作製方法について、説明する。
負極活物質には比表面積6.3m2/g、平均粒径15μmの球状化天然黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製CGB−15)を用いた。また、結着剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)及びSBRを用いた。用いたCMC−Naの重合度は600以上800以下、1wt%水溶液として用いた場合の水溶液粘度は300mPa・s以上500mPa・s以下の範囲の値であった。黒鉛、CMC−Na、及びSBRの配合は、黒鉛:CMC−Na:SBR=97:1.5:1.5(wt%)とした。
まず、CMC−Naの粉末と活物質とを混合し、混練機で混練し、第7の混合物を得た。
次に、第7の混合物に少量の水を添加し、固練りを行い、第8の混合物を得た。ここで、固練りとは、高粘度による混練のことである。
次に、水をさらに添加し、混練機を用いて混練し、第9の混合物を得た。
次に、SBRの50wt%水分散液を添加し、混練機を用いて混練した。その後、減圧下での脱泡を行い、スラリーを得た。
次に、連続塗工機を用いて、負極集電体にスラリーの塗布を行った。負極集電体には膜厚18μmの圧延銅箔を用いた。塗工速度は、0.75m/minとした。
次に、負極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。まず、大気雰囲気下で、50℃、120秒間の処理を行った後に、80℃で120秒間の処理を行った。さらに、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で、100℃、10時間の処理を行った。
以上の工程により、負極集電体の片面に負極活物質層を作製し、負極を作製した。
蓄電池1の電解質の作製方法について、説明する。
エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、ビニレンカーボネート(VC)を混合し、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)及び六フッ化リン酸リチウムを溶解して電解質B2を作製した。ビニレンカーボネート(VC)は、電解質Aに対し、重量比で1wt%となる量を溶解した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、電解質B2に対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。六フッ化リン酸リチウムは、電解質B2に対し、重量比で0.27wt%となる量を溶解した。本実施例で用いた電解質B2は、前述の実施例1に示した電解質Bと同じ作製方法である。
次に、正極、負極及び第1のセパレータをそれぞれ切断した。正極の大きさは20.49cm2、負極の大きさは23.84cm2、第1のセパレータの大きさは24.75cm2とした。とした。
セパレータとして、セルロース繊維を用いた。具体的には、厚さ30μmの日本高度紙工業製の溶剤紡糸再生セルロース繊維(製品番号TF40)を用いた。
次に、タブ領域上の正極活物質及び負極活物質を剥がして、集電体を露出させた。
次に、セパレータを挟んで正極および負極を積層した。このとき、正極および負極は、正極活物質層と、負極活物質層が向かい合うように積層した。
次に、正極及び負極にリードを超音波溶接によって取り付けた。
次に、積層した電極及びリードを溶接した領域を、セパレータで包んだ。そうすることにより、外装体が有する樹脂層が後の加熱処理により溶解し、外装体が有するアルミニウムと電極が接触するのを防止できる。第2のセパレータの大きさは104cm2とした。
次に、外装体の4辺のうち2辺を残して、外装体を加熱により接合した。
外装体には、アルミニウムの両面に樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
次に、リードに設けられた封止層と外装体の封止層が重なるように配置し、加熱により接合した。この時、電解質を注入する辺以外を接合した。
次に、外装体と、外装体で包まれた正極、セパレータ及び負極を乾燥させるための加熱処理を行った。加熱条件は、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で80℃、10時間とした。
次に、アルゴンガス雰囲気下で、封止されていない1辺から約600μLの電解質B2を注入した。
その後、減圧雰囲気下(ゲージ圧で−100kPa)で、加熱により外装体の1辺を封止した。
以上により、蓄電池1を作製した。
次に、蓄電池1の加熱処理を行った。加熱条件は、実施の形態2で説明したフッ素ゴムとの一体形成を想定して大気圧雰囲気下で170℃、15分とした。具体的には、恒温槽を約170℃まで昇温後、各試料を恒温槽に投入し、15分後に蓄電池1を取り出した。
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内で蓄電池1を解体し、蓄電池1の正極である正極1を取り出した。正極1をジメチルカーボネート(DMC:DimethylCarbonate)で洗浄し、乾燥させた。
以上により、正極1を作製した。
<X線光電子分光法>
次に、比較正極1及び正極1のX線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)を行った。X線は、アルミニウムの正極活物質を塗工していない面に照射した。XPS測定を行った位置を図51に示す。図51において、矢印はX線の照射方向を示す。
XPS測定は、PHYSICAL ELECTRONICS社製のQuantera SXMを用いた。X線源には単色化したAl Kα線(1486.6eV)を用いた。検出領域は100μmφとした。取出角は45°とした。検出深さは約4nmから5nm程度と考えられる。
XPS測定で得られたAl2pのスペクトルを図52(A)に、C1sを図52(B)に、O1sを図52(C)に、S2pを図53(A)に、Li1sを図53(B)に、F1sを図53(C)に、P2sを図54(A)に、N1sを図54(B)に、Si2sを図54(C)に、Na1sを図55(A)に、Ca2pを図55(B)に示す。図52(A)、図52(B)、図52(C)、図53(A)、図53(B)、図53(C)、図54(A)、図54(B)、図54(C)、図55(A)及び図55(B)は、横軸に結合エネルギー(Binding Energy)[eV]を示し、縦軸に光電子の強度(Intensity)(任意単位)を示す。
加熱処理を行わなかった比較正極1においては、Al、O、C及び微量のF、Siが検出された。加熱処理を行った正極1においては、Al、F、O、Li、C及び微量のP、N、Na、Caが検出された。
XPSのスペクトルから得られた、各元素の定量値を表9に示す。なお、定量精度は±1atomic%程度、検出下限は元素で差はあるが1atomic%程度である。
比較正極1と比較して、正極1はOが少なく、Fが多い傾向となった。比較正極1のAlは酸化状態及び金属状態であったのに対し、正極1のAlはフッ化状態及び金属状態で存在することが分かった。また、正極1で検出されたLiは、主にLiPFx、LiF等の状態で存在する結果となった。なお、正極1で検出されたSiは、主に酸化状態で存在していると考えられる。Cは、主にC−C、C−H状態で存在していると考えられる。
以上の結果から、本発明の一態様である電解質とともに加熱したアルミニウムは、表面にフッ化アルミニウムを有する被膜が形成されていることが分かった。つまり、電解液に六フッ化リン酸リチウムを有する二次電池は、製造工程において加熱工程を経ると、正極集電体に被膜を形成し、該被膜により充放電サイクル劣化の抑制に寄与していることが示唆された。
本実施例では、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)の耐熱性を確認した結果について説明する。
<試料の作製方法>
本実施例で用いた試料は、試料1、試料2及び試料3の計3試料である。
試料1について説明する。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)を、試料1とした。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、IoLiTec Ionic Liquids Technologies Inc.製(製品番号KI−0016−HP)を用い、粉末の状態で測定を行った。
試料2について説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液を、試料2とした。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液は、キシダ化学製のリチウムバッテリーグレード(製品コード番号LBG−00798)を用いた。
試料3について説明する。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液に、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)溶解して試料3を作製した。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、試料3に対し、モル濃度で1mol/Lとなる量を溶解した。以上により、試料3を作製した。エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)を体積比1:1で混合した混合液は、キシダ化学製のリチウムバッテリーグレード(製品コード番号LBG−00798)を用いた。リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は、IoLiTec Ionic Liquids Technologies Inc.製(製品番号KI−0016−HP)を用いた。
<熱重量測定−示差熱分析>
次に、熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。TG−DTA測定には、リガク社製Thermo Mass Photoを用い、ヘリウム気流下(流量:300ml/min)で、昇温速度10℃/min、室温から600℃まで測定を行った。
試料1のTG−DTA測定結果を図56(A)、試料2を図56(B)、試料3を図57に示す。図56(A)、図56(B)及び図57は、横軸が温度(Temperature)[℃]を示し、左の縦軸が重量変化率ΔW[%]を示し、右の縦軸が熱量(Heat flow)[μV]を示す。重量変化率ΔWは、初期(加熱前)の重量に対する加熱中の重量の変化率を示し、負の値は加熱により重量が減少したことを示す。
試料1は、330℃付近から重量が減少し始め、420℃付近で初期重量に対して約−95%の重量となった。また、327.4℃付近及び416.7℃付近に、吸熱反応が観察された。327.4℃付近の吸熱反応は、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)の融解によるものと考えられる。したがって、室温から300℃付近において、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は安定であることが分かった。
試料2は、150℃付近か重量が減少し始め、235℃付近で初期重量に対して約−96%の重量となった。また、232.5℃付近に、吸熱反応が観察された。232.5℃付近の吸熱反応は、エチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)の蒸発に起因するものと考えられる。
試料3は、150℃付近か重量が減少し始め、300℃付近で初期重量に対して約−78%、450℃付近で約−100%となった。室温から300℃付近までの重量変化は前述の試料2と挙動がほぼ一致しており、この温度範囲における変化はほぼエチレンカーボネート(EC)及びプロプレンカーボネート(PC)に起因していると考えられる。したがって、300℃以下では、溶媒中においてもリチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)アミド(LiBETA)は熱的に安定であることが分かった。