JP2018091906A - 反射防止膜、反射防止部材、偏光板、表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射防止性およびスチールウール耐擦傷性に優れる反射防止膜、反射防止部材、偏光板および表示装置を提供する。【解決手段】少なくとも2層以上の相互に屈折率が異なる層が積層されてなる反射防止膜であって、最上層が、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、少なくとも1つ以上の水酸基と2つ以上の光反応性官能基とを持つモノマーBからなる重合体とが、相互に架橋されてなる架橋体を含むバインダーと、前記バインダー中に分散された中空シリカ粒子と、前記最上層の表面側に分布する、光反応性含フッ素ポリマーおよびシロキサン結合による主骨格aを持つポリマーと、を含有する反射防止膜。【選択図】図1
Description
本発明は、反射防止膜、反射防止部材、偏光板、表示装置に関する。
従来、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ等の表示装置では、外光の反射によるコントラストの低下や像の写り込みを防止している。そのために、表示装置の最表面に低反射膜が設けられている。
しかし、従来の視感反射率が1%を超える低反射膜は、より高コントラストが求められる用途に用いる場合には、反射率が高過ぎて、反射防止性が不十分であった。
例えば、特許文献1に記載されているシート状、板状の低反射部材は、スチールウール耐擦傷性の指標であるスチールウール耐荷重値が500g/cm2と高い値である。しかし、その低反射部材は、視感反射率が1%を超えるため、反射防止性が十分ではないという課題があった。
例えば、特許文献1に記載されているシート状、板状の低反射部材は、スチールウール耐擦傷性の指標であるスチールウール耐荷重値が500g/cm2と高い値である。しかし、その低反射部材は、視感反射率が1%を超えるため、反射防止性が十分ではないという課題があった。
一方、従来の視感反射率が0.3%未満の低反射膜は、スチールウール耐擦傷性が、上記の視感反射率が1%を超える低反射膜よりも劣るという課題があった。特許文献2に記載されている反射防止部材は、屈折率の異なる3層の積層膜を形成することにより、視感反射率を0.3%未満としている。しかし、この反射防止部材は、スチールウール耐荷重値が200g/cm2とやや低い値となっている。このように従来の反射防止部材では、視感反射率とスチールウール耐擦傷性がトレードオフの関係になっており、それら2つの性能を両立することができなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、反射防止性およびスチールウール耐擦傷性に優れる反射防止膜、反射防止部材、偏光板および表示装置を提供することである。
本発明の一態様は、少なくとも2層以上の相互に屈折率が異なる層が積層されてなる反射防止膜であって、最上層が、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、少なくとも1つ以上の水酸基と2つ以上の光反応性官能基とを持つモノマーBからなる重合体とが、相互に架橋されてなる架橋体を含むバインダーと、前記バインダー中に分散された中空シリカ粒子と、前記最上層の表面側に分布する、光反応性含フッ素ポリマーおよびシロキサン結合による主骨格aを持つポリマーと、を含有する反射防止膜である。
また、本発明の一態様は、上述の反射防止膜であって、前記シロキサン結合による主骨格aを持つポリマーが光反応性変性シリコーンポリマーである。
また、本発明の一態様は、上述の反射防止膜であって、前記バインダーは、下記式(1)で表わされるシロキサン結合による主骨格bを持つ重合体Cを含み、前記シロキサン結合による主骨格bを構成するユニットが、珪素原子に直接結合する1つのメトキシ基と、前記珪素原子に直接結合する1つのメチル基とを持ち、前記重合体Cが前記シロキサン結合による主骨格aを持つポリマーである。
また、本発明の一態様は、上述の反射防止膜であって、前記最上層の屈折率が1.310未満である。
また、本発明の一態様は、上述の反射防止膜であって、前記最上層の表面の視感反射率が0.20%未満である。
また、本発明の一態様は、上述の反射防止膜であって、前記最上層のスチールウール耐荷重値が300g/cm2以上である。
また、本発明の一態様は、上述の反射防止膜であって、前記最上層がハードコート層上に積層されてなり、前記ハードコート層の屈折率が1.500〜1.650である。
また、本発明の一態様は、透明基材と、前記透明基材上に設けられた、上述の反射防止膜と、を備え、前記反射防止膜は、前記透明基材側から順に、前記ハードコート層と、前記最上層とからなる反射防止部材である。
また、本発明の一態様は、上述の反射防止膜または上述の反射防止部材が最表面に設けられた偏光板である。
また、本発明の一態様は、上述の偏光板を備えた表示装置である。
以上説明したように、本発明によれば、反射防止性およびスチールウール耐擦傷性に優れる反射防止膜、反射防止部材、偏光板および表示装置を提供することができる。
以下に、実施形態における反射防止膜、反射防止部材、偏光板および表示装置を、図面を用いて説明する。
[第1の実施形態]
(反射防止膜)
以下、第1の実施形態における反射防止膜1について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における反射防止膜1の構成例を示す断面図である。
(反射防止膜)
以下、第1の実施形態における反射防止膜1について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における反射防止膜1の構成例を示す断面図である。
図1に示すように、反射防止膜1は、相互に屈折率が異なるハードコート層(高屈折率層)2と、低屈折率層3とが、この順に積層されてなる。また、反射防止膜1では、低屈折率層3が最上層をなしている。
最上層をなす低屈折率層3は、バインダー4と、中空シリカ粒子5と、光反応性含フッ素ポリマー6と、光反応性変性シリコーンポリマー7と、を含有する。
中空シリカ粒子5は、バインダー4中に分散されている。光反応性含フッ素ポリマー6および光反応性変性シリコーンポリマー7は、低屈折率層3の表面(最表面)3aに分布する。
最上層をなす低屈折率層3は、バインダー4と、中空シリカ粒子5と、光反応性含フッ素ポリマー6と、光反応性変性シリコーンポリマー7と、を含有する。
中空シリカ粒子5は、バインダー4中に分散されている。光反応性含フッ素ポリマー6および光反応性変性シリコーンポリマー7は、低屈折率層3の表面(最表面)3aに分布する。
低屈折率層3を構成するバインダー4は、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、モノマーBからなる重合体とが、相互に架橋されてなる架橋体を含む。モノマーBは、少なくとも1つ以上の水酸基と2つ以上の光反応性官能基とを持つ。
光反応性含フッ素ポリマー6は、一端がバインダー4と結合し、バインダー4を基端として、他端側が低屈折率層3の外部に延在している。また、光反応性変性シリコーンポリマー7は、一端がバインダー4と結合し、バインダー4を基端として、他端側が低屈折率層3の外部に延在している。より詳細には、光反応性含フッ素ポリマー6は、フッ素(F)が低屈折率層3の表面3aよりも外側に存在するように、低屈折率層3の表面3aに分布している。同様に、光反応性変性シリコーンポリマー7は、ケイ素(Si)が低屈折率層3の表面3aよりも外側に存在するように、低屈折率層3の表面3aに分布している。また、光反応性含フッ素ポリマー6および光反応性変性シリコーンポリマー7は、低屈折率層3の表面3a全面にほぼ均一に分布している。なお、低屈折率層3の表面3aにおける光反応性含フッ素ポリマー6の存在割合は、低屈折率層3における、光反応性含フッ素ポリマー6の含有量によって適宜調整される。また、低屈折率層3の表面3aにおける光反応性変性シリコーンポリマー7の存在割合は、低屈折率層3における、光反応性変性シリコーンポリマー7の含有量によって適宜調整される。
低屈折率層3の表面3aにおいて、光反応性含フッ素ポリマー6および光反応性変性シリコーンポリマー7の分布を確認する方法としては、次のような方法が用いられる。例えば、オージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy、AES)と、アルゴン(Ar)イオンを用いたイオンエッチングとを併用する方法が用いられる。具体的には、アルゴンイオンを用いたイオンエッチングにより、低屈折率層3を、その表面3a側からハードコート層2に向かって(厚み方向に)削る。低屈折率層3を削りながら、オージェ電子分光法により低屈折率層3の厚み方向におけるフッ素およびケイ素の元素分布を分析する。この分析で、後述する分布が確認されれば、低屈折率層3の表面3aに、光反応性含フッ素ポリマー6および光反応性変性シリコーンポリマー7が分布しているものと判断する。その分布とは、低屈折率層3の表面3a側にてフッ素およびケイ素の分布が多く、ハードコート層2側に向かってフッ素およびケイ素の分布が少なくなるという分布である。
低屈折率層3の屈折率は、1.310未満であることが好ましく、1.300以下であることがより好ましい。低屈折率層3の屈折率が1.310未満であれば、反射防止膜1は、高コントラストが求められる表示装置に適用するために十分な反射防止性を有する。
低屈折率層3の屈折率の測定方法は、次のように行う。
1)反射防止膜1が形成された基材(反射防止部材)の裏面(反射防止膜1が形成されていない面)に黒色インクを塗り、その反射防止部材の裏面からの反射光を除去する。黒色の部材を、透明接着剤等を介して、反射防止部材の裏面に貼り合わせてもよい。
2)市販の分光測色計を用いて8度入射拡散照明を反射防止部材の表面に当てて、8度受光光を測定し、380nm〜740nmの正反射率および拡散反射率を得る。
3)市販の分光測色計としては、例えば、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−2600dやCM−3600Aを用いることができる。これにより、D光源、2度視野相当の全反射率Y値(SCI)および拡散反射率Y値(SCE)がそれぞれ測定値として得られ、Y=SCI−SCEで求められる値を視感反射率と定義する。
4)視感反射率のスペクトルと薄膜光学で計算される反射スペクトルの曲率が一致するように調整された薄膜層の膜厚と屈折率を求め、これを低屈折率層3の屈折率とする。
1)反射防止膜1が形成された基材(反射防止部材)の裏面(反射防止膜1が形成されていない面)に黒色インクを塗り、その反射防止部材の裏面からの反射光を除去する。黒色の部材を、透明接着剤等を介して、反射防止部材の裏面に貼り合わせてもよい。
2)市販の分光測色計を用いて8度入射拡散照明を反射防止部材の表面に当てて、8度受光光を測定し、380nm〜740nmの正反射率および拡散反射率を得る。
3)市販の分光測色計としては、例えば、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−2600dやCM−3600Aを用いることができる。これにより、D光源、2度視野相当の全反射率Y値(SCI)および拡散反射率Y値(SCE)がそれぞれ測定値として得られ、Y=SCI−SCEで求められる値を視感反射率と定義する。
4)視感反射率のスペクトルと薄膜光学で計算される反射スペクトルの曲率が一致するように調整された薄膜層の膜厚と屈折率を求め、これを低屈折率層3の屈折率とする。
低屈折率層3の表面3aの視感反射率は、0.20%未満であることが好ましく、0.19%以下であることがより好ましく、0.17%以下であることがさらに好ましい。
視感反射率とは、XYZ表色系において、物体色の明度(Y)に対応する反射率である。また、低屈折率層3の表面3aの視感反射率は、反射防止膜1の表面1aの視感反射率のことである。低屈折率層3の視感反射率が0.20%未満であれば、反射防止膜1は、高コントラストが求められる表示装置に適用するために十分な反射防止性を有する。
視感反射率とは、XYZ表色系において、物体色の明度(Y)に対応する反射率である。また、低屈折率層3の表面3aの視感反射率は、反射防止膜1の表面1aの視感反射率のことである。低屈折率層3の視感反射率が0.20%未満であれば、反射防止膜1は、高コントラストが求められる表示装置に適用するために十分な反射防止性を有する。
低屈折率層3の表面3aの視感反射率の測定方法は、次のように行う。
1)反射防止膜1が形成された基材(反射防止部材)の裏面(反射防止膜1が形成されていない面)に黒色インクを塗り、その反射防止部材の裏面からの反射光を除去する。黒色の部材を、透明接着剤等を介して、反射防止部材の裏面に貼り合わせてもよい。
2)市販の分光測色計を用いて8度入射拡散照明を反射防止部材の表面に当てて、8度受光光を測定し、380nm〜740nmの正反射率および拡散反射率を得る。
3)市販の分光測色計としては、例えば、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−2600dやCM−3600Aを用いることができる。これにより、D光源、2度視野相当の全反射率Y値(SCI)および拡散反射率Y値(SCE)がそれぞれ測定値として得られ、Y=SCI−SCEで求められる値を視感反射率と定義する。
1)反射防止膜1が形成された基材(反射防止部材)の裏面(反射防止膜1が形成されていない面)に黒色インクを塗り、その反射防止部材の裏面からの反射光を除去する。黒色の部材を、透明接着剤等を介して、反射防止部材の裏面に貼り合わせてもよい。
2)市販の分光測色計を用いて8度入射拡散照明を反射防止部材の表面に当てて、8度受光光を測定し、380nm〜740nmの正反射率および拡散反射率を得る。
3)市販の分光測色計としては、例えば、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−2600dやCM−3600Aを用いることができる。これにより、D光源、2度視野相当の全反射率Y値(SCI)および拡散反射率Y値(SCE)がそれぞれ測定値として得られ、Y=SCI−SCEで求められる値を視感反射率と定義する。
低屈折率層3のスチールウール耐荷重値は、300g/cm2以上であることが好ましい。低屈折率層3のスチールウール耐荷重値が300g/cm2以上であれば、反射防止膜1を表示装置に適用した場合に、表示装置の表示面を十分に保護することができる。
低屈折率層3のスチールウール耐荷重値の測定方法を説明する。低屈折率層3上で、#0000のスチールウールを、接触面積1cm2、移動速度100mm/sec、移動距離100mmで10往復摺動させる。そして、往復後の低屈折率層3の表面を目視により観察した場合に、確認できる傷の数が10本未満のときの最大加重をスチールウール耐荷重値とする。
中空シリカ粒子5としては、アクリル樹脂や溶剤との相溶性を良好にする表面処理が施されているものが用いられる。
中空シリカ粒子5の平均一次粒子径は、50nm〜100nmであることが好ましく、60nm〜90nmであることがより好ましい。中空シリカ粒子5の平均一次粒子径が50nm以上であれば、中空シリカ粒子5の屈折率が高くなり過ぎることがなく、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。一方、中空シリカ粒子5の平均一次粒子径が100nm以下であれば、中空シリカ粒子5の強度が低くなり過ぎることがない。したがって、低屈折率層3のスチールウール耐擦傷性や鉛筆硬度が低下することがない。そのため、低屈折率層3の厚みを100nm程度にすることができる。
中空シリカ粒子5の平均一次粒子径は、50nm〜100nmであることが好ましく、60nm〜90nmであることがより好ましい。中空シリカ粒子5の平均一次粒子径が50nm以上であれば、中空シリカ粒子5の屈折率が高くなり過ぎることがなく、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。一方、中空シリカ粒子5の平均一次粒子径が100nm以下であれば、中空シリカ粒子5の強度が低くなり過ぎることがない。したがって、低屈折率層3のスチールウール耐擦傷性や鉛筆硬度が低下することがない。そのため、低屈折率層3の厚みを100nm程度にすることができる。
中空シリカ粒子5の平均一次粒子径は、例えば、中空シリカ粒子5を、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、得られた走査型電子顕微鏡像から得ることができる。
低屈折率層3における中空シリカ粒子5の含有量(含有率)は、45質量部〜56質量部であることが好ましい。
中空シリカ粒子5の含有量が45質量部以上であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができ、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。一方、中空シリカ粒子5の含有量が56質量部以下であれば、低屈折率層3におけるバインダー4の含有量が少なくなり過ぎることがない。したがって、低屈折率層3の強度を十分に確保することができるとともに、スチールウール耐擦傷性を十分に確保することができる。
中空シリカ粒子5の含有量が45質量部以上であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができ、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。一方、中空シリカ粒子5の含有量が56質量部以下であれば、低屈折率層3におけるバインダー4の含有量が少なくなり過ぎることがない。したがって、低屈折率層3の強度を十分に確保することができるとともに、スチールウール耐擦傷性を十分に確保することができる。
ハードコート層2は、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂からなる。ハードコート層2は、前記の樹脂からなる部材であってもよい。あるいは、前記の樹脂からなる部材上に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、または、これらの混合物からなるハードコート層を形成してもよい。これにより、より表面硬度の高いハードコート層2を形成してもよい。
ハードコート層2の屈折率を高くするほど、低屈折率層3の表面3aの視感反射率を小さくすることができる。しかし、ハードコート層2の屈折率を高くすると、ハードコート層2の強度が低下することがある。また、ハードコート層2における高屈折材料の含有量が増加してコストアップが生じることがある。そのため、これらのことを考慮して、ハードコート層2の屈折率を調整する。
本実施形態の反射防止膜1のように、ハードコート層2上に低屈折率層3が積層されてなる2層構造の場合、ハードコート層2の屈折率は、1.500〜1.650であることが好ましい。また、ハードコート層2の屈折率は、1.550〜1.650であることがより好ましい。ハードコート層2の屈折率が1.500以上であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。また、低屈折率層3のスチールウール耐荷重値を300g/cm2以上にすることができる。一方、ハードコート層2の屈折率が1.650以下であれば、低屈折率層3の表面3aにおいて、低波長側および高波長側の反射率が高くなることがない。したがって、低屈折率層3の表面3aにて反射した光が有色になるのを防止することができる。
ハードコート層2の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜10μmであることが好ましい。
本実施形態の反射防止膜1は、相互に屈折率が異なるハードコート層2と低屈折率層3が積層されてなる。また、最上層をなす低屈折率層3は、バインダー4と、中空シリカ粒子5と、光反応性含フッ素ポリマー6と、光反応性変性シリコーンポリマー7と、を含有する。また、中空シリカ粒子5は、バインダー4中に分散されている。さらに、光反応性含フッ素ポリマー6および光反応性変性シリコーンポリマー7は、低屈折率層3の表面(最表面)3aに分布する。そのため、低屈折率層3の表面3aが滑りやすくなり、スチールウール耐擦傷性に優れ、反射防止性にも優れた反射防止膜が得られる。
(反射防止膜の製造方法)
次に、第1の実施形態における反射防止膜1の製造方法を説明する。
本実施形態の反射防止膜1の製造方法は、後述する工程Aと、工程Bと、工程Cと、工程Dとを少なくとも有する。
工程Aは、低屈折率層3を形成するためのコーティング液を調製する工程である。
工程Bは、工程Aで調製したコーティング液を用いて低屈折率層3の前駆体である塗膜を形成する工程である。
工程Cは、工程Bで形成した塗膜を乾燥する工程である。
工程Dは、工程Cで乾燥した塗膜に含まれる光反応性含フッ素化合物AとモノマーBを重合させる工程である。また、工程Dは、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、モノマーBからなる重合体とを架橋させる工程である。
次に、第1の実施形態における反射防止膜1の製造方法を説明する。
本実施形態の反射防止膜1の製造方法は、後述する工程Aと、工程Bと、工程Cと、工程Dとを少なくとも有する。
工程Aは、低屈折率層3を形成するためのコーティング液を調製する工程である。
工程Bは、工程Aで調製したコーティング液を用いて低屈折率層3の前駆体である塗膜を形成する工程である。
工程Cは、工程Bで形成した塗膜を乾燥する工程である。
工程Dは、工程Cで乾燥した塗膜に含まれる光反応性含フッ素化合物AとモノマーBを重合させる工程である。また、工程Dは、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、モノマーBからなる重合体とを架橋させる工程である。
工程Aでは、各成分を、所定の配合量(配合比)となるように、均一に撹拌、混合して、コーティング液を調製する。
コーティング液は、光反応性含フッ素化合物Aと、モノマーBと、中空シリカ粒子5と、光反応性含フッ素ポリマーと、光反応性変性シリコーンポリマーと、溶媒と、光重合開始剤とを含む。
コーティング液は、光反応性含フッ素化合物Aと、モノマーBと、中空シリカ粒子5と、光反応性含フッ素ポリマーと、光反応性変性シリコーンポリマーと、溶媒と、光重合開始剤とを含む。
光反応性含フッ素化合物Aとしては、フッ素含有量が30質量%〜60質量%であり、光反応基を含むフッ素モノマー、フッ素オリゴマーまたはフッ素ポリマーが用いられる。
コーティング液における光反応性含フッ素化合物Aの配合量は、コーティング液における固形分配合量の総量を100質量部とした場合、20質量部〜40質量部であることが好ましい。
光反応性含フッ素化合物Aの配合量が20質量部以上であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。一方、光反応性含フッ素化合物Aの配合量が40質量部以下であれば、低屈折率層3に含まれるフッ素成分が多くなり過ぎることに起因する表面硬度の低下が生じることがない。したがって、スチールウール耐擦傷性が低下することもない。また、低屈折率層3を形成するための他の成分との相溶性が悪くなることもない。
光反応性含フッ素化合物Aの配合量が20質量部以上であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。一方、光反応性含フッ素化合物Aの配合量が40質量部以下であれば、低屈折率層3に含まれるフッ素成分が多くなり過ぎることに起因する表面硬度の低下が生じることがない。したがって、スチールウール耐擦傷性が低下することもない。また、低屈折率層3を形成するための他の成分との相溶性が悪くなることもない。
少なくとも1つ以上の水酸基と2つ以上の光反応性官能基とを持つモノマーBとしては、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2−ヒドロキシ−3−メタクリルプロピルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、イソシアヌルジアクリレート等が用いられる。
コーティング液におけるモノマーBの配合量は、コーティング液における固形分配合量の総量を100質量部とした場合、5質量部〜20質量部であることが好ましい。
モノマーBの配合量が5質量部以上であれば、低屈折率層3に十分な強度が得られる。また、低屈折率層3の表面3aにおいて、光反応性含フッ素ポリマー6および光反応性変性シリコーンポリマー7を十分に分布させることができる。そのため、低屈折率層3の表面3aにおいて十分な平滑性が得られる。一方、モノマーBの配合量が20質量部以下であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。
モノマーBの配合量が5質量部以上であれば、低屈折率層3に十分な強度が得られる。また、低屈折率層3の表面3aにおいて、光反応性含フッ素ポリマー6および光反応性変性シリコーンポリマー7を十分に分布させることができる。そのため、低屈折率層3の表面3aにおいて十分な平滑性が得られる。一方、モノマーBの配合量が20質量部以下であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。
コーティング液における中空シリカ粒子5の配合量は、コーティング液における固形分配合量の総量を100質量部とした場合、45質量部〜56質量部であることが好ましい。中空シリカ粒子5の配合量が45質量部以上であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。一方、中空シリカ粒子5の配合量が56質量部以下であれば、低屈折率層3におけるバインダー4の含有量が少なくなり過ぎることがなく、低屈折率層3の強度を十分に確保することができる。また、スチールウール耐擦傷性を十分に確保することができる。
光反応性含フッ素ポリマーとしては、重量平均分子量が2,000〜10,000のパーフルオロポリエーテルを主骨格とするポリマーが用いられる。このパーフルオロポリエーテルを主骨格とするポリマーは、末端もしくは両末端に官能基を有する。光反応性含フッ素ポリマーの官能基は、光反応性基である。
コーティング液における光反応性含フッ素ポリマーの配合量は、コーティング液における固形分配合量の総量を100質量部とした場合、1質量部〜10質量部であることが好ましい。光反応性含フッ素ポリマーの配合量が1質量部以上であれば、低屈折率層3の表面3aにおいて十分な平滑性が得られ、スチールウール耐擦傷性が向上する。一方、光反応性含フッ素ポリマーの配合量が10質量部以下であれば、低屈折率層3に含まれるフッ素成分が多くなり過ぎることに起因する表面硬度の低下が生じることがない。また、スチールウール耐擦傷性が低下することもない。
光反応性変性シリコーンポリマーとしては、重量平均分子量が10,000〜50,000のジメチルシロキサンを主骨格aとするポリマーであって、少なくとも1つ以上の官能基を有する。すなわち、光反応性変性シリコーンポリマーは、シロキサン結合による主骨格を持つポリマーである。光反応性変性シリコーンポリマーの官能基の付加部位は、末端だけではなく、主骨格aの側鎖であることが好ましい。光反応性変性シリコーンポリマーの官能基は、光反応性基である。
コーティング液における光反応性変性シリコーンポリマーの配合量は、コーティング液における固形分配合量の総量を100質量部とした場合、1質量部〜3質量部であることが好ましい。光反応性変性シリコーンポリマーの配合量が1質量部以上であれば、低屈折率層3に十分なスチールウール耐擦傷性が得られる。一方、光反応性変性シリコーンポリマーの配合量が3質量部以下であれば、低屈折率層3のヘイズ値が上昇することがない。
溶媒としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、イソプロピルアルコール(IPA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等が用いられる。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの溶媒は、低屈折率層3を形成するための他の材料の分散性や相溶性を考慮して適宜選択される。
コーティング液における溶媒の配合量は、コーティング装置やコーティング速度に適した固形分濃度となるよう適宜調整される。例えば、スロットダイコーティングでコーティングする場合には、コーティング液の総量を100質量%とした場合、溶媒の配合量を1質量%〜3質量%に調整してコーティングを行う。これにより、およそ100nmの膜厚で低屈折率層3を形成することができる。
光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等が用いられる。
コーティング液における光重合開始剤の配合量は、コーティング液における固形分配合量の総量を100質量部とした場合、1質量部〜5質量部であることが好ましい。光重合開始剤の配合量が1質量部以上であれば、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、モノマーBからなる重合体とが十分に架橋する。したがって、低屈折率層3に十分なスチールウール耐擦傷性が得られる。一方、光重合開始剤の配合量が5質量部以下であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。
工程Bでは、例えば、透明基材上に形成されたハードコート層2上に、上述のコーティング液を塗布して、低屈折率層3の前駆体である塗膜を形成する。ハードコート層2上に形成される塗膜が均一な厚みとなるように、ハードコート層2上にコーティング液を均一に塗布する。
コーティング液を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、マイクログラビア方式、スロットダイ方式、ナイフコーター方式、スプレー法等が用いられる。
コーティング液を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、マイクログラビア方式、スロットダイ方式、ナイフコーター方式、スプレー法等が用いられる。
工程Cでは、塗膜を乾燥して、塗膜に含まれる溶媒を蒸発させる。塗膜に含まれる溶媒を十分に蒸発させるための乾燥温度(加熱温度)と乾燥時間(加熱時間)は、溶媒の種類等に応じて適宜決定される。例えば、乾燥温度を30℃〜150℃、乾燥時間を20秒〜5分とする。なお、塗膜の乾燥は、自然乾燥でもよいし、加熱乾燥でもよい。
また、工程Cでは、塗膜を乾燥させる最中に、光反応性含フッ素ポリマーおよび光反応性変性シリコーンポリマーが塗膜の表面側に分布するようになる。なお、光反応性含フッ素ポリマーおよび光反応性変性シリコーンポリマーが塗膜の表面側に分布するようになる理由は、次のように推測される。これらのポリマーは、比較的疎水性を有し、かつ低比重である。そのため、これらのポリマーは、親水性を示す水酸基を含む、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、モノマーBからなる重合体とからなるバインダーから相分離する。その結果として、これらのポリマーは、バインダーから浮き出ようとする。
工程Dでは、乾燥後の塗膜に光を照射して、塗膜に含まれる光反応性含フッ素化合物AとモノマーBを重合させる。また、工程Dでは、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、モノマーBからなる重合体とを架橋させて、低屈折率層3を形成する。なお、乾燥後の塗膜の表面側には、光反応性含フッ素ポリマーおよび光反応性変性シリコーンポリマーが分布している。そのため、得られた低屈折率層3の表面3a側にも光反応性含フッ素ポリマーおよび光反応性変性シリコーンポリマーが分布している。
乾燥後の塗膜に照射する光としては、例えば、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等が挙げられる。
例えば、塗膜に紫外線を照射する場合には、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の光源が用いられる。また、紫外線照射量は、例えば、紫外線波長365nmでの積算露光量として、100mJ/cm2〜1000mJ/cm2である。
例えば、塗膜に紫外線を照射する場合には、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の光源が用いられる。また、紫外線照射量は、例えば、紫外線波長365nmでの積算露光量として、100mJ/cm2〜1000mJ/cm2である。
また、塗膜の硬化時の酸素阻害を防ぐために、酸素濃度が1000ppm以下の窒素雰囲気化で、塗膜に光を照射することが好ましい。
以上のような工程を経ることにより、本実施形態の反射防止膜1が得られる。
[第2の実施形態]
(反射防止膜)
以下、第2の実施形態における反射防止膜10について、図面を用いて説明する。図2は、本発明の第2の実施形態における反射防止膜10の構成例を示す断面図である。なお、図2において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(反射防止膜)
以下、第2の実施形態における反射防止膜10について、図面を用いて説明する。図2は、本発明の第2の実施形態における反射防止膜10の構成例を示す断面図である。なお、図2において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図2に示すように、反射防止膜10は、ハードコート層2と、低屈折率層3とが、この順に積層されてなる。また、反射防止膜10では、低屈折率層3が最上層をなしている。
最上層をなす低屈折率層3は、バインダー4と、中空シリカ粒子5と、光反応性含フッ素ポリマー6と、を含有する。
中空シリカ粒子5は、バインダー4中に分散されている。光反応性含フッ素ポリマー6は、低屈折率層3の表面(最表面)3aに分布する。
最上層をなす低屈折率層3は、バインダー4と、中空シリカ粒子5と、光反応性含フッ素ポリマー6と、を含有する。
中空シリカ粒子5は、バインダー4中に分散されている。光反応性含フッ素ポリマー6は、低屈折率層3の表面(最表面)3aに分布する。
低屈折率層3を構成するバインダー4は、第1の実施形態における架橋体と、上記式(1)で表わされるシロキサン結合による主骨格bを持つ重合体Cと、を含む。すなわち、バインダー4は、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、モノマーBからなる重合体とが、相互に架橋されてなる架橋体と、重合体Cとの混合物から構成されている。さらに、重合体Cが光反応性含フッ素ポリマー6とともに、低屈折率層3の最上層をなしている。
重合体Cは、上記式(1)で表わされるシロキサン結合による主骨格bを持ち、直鎖構造もしくは三次元構造をなすか、または、直鎖構造および三次元構造が混在する構造をなしている。
なお、上記式(1)におけるシロキサン結合による主骨格bとは、括弧内に示す構造のことである。
なお、上記式(1)におけるシロキサン結合による主骨格bとは、括弧内に示す構造のことである。
上記式(1)中、nは2〜10の整数であることが好ましく、3〜5の整数であることがより好ましい。
上記式(1)において、主骨格を構成するユニットが、珪素原子に直接結合する1つのメトキシ基と、珪素原子に直接結合する1つのメチル基とを持つ。上記式(1)において、主骨格を構成するユニットとは、括弧内に示す構造のことである。
このような重合体Cとしては、具体的に、上記式(1)中、括弧内の構造の重合度を示すnが3〜4、5または9のシロキサン化合物が挙げられる。
重合体Cは、上記のモノマーBからなる重合体よりも屈折率が低い。そこで、バインダー4に重合体Cを含有させることにより、バインダー4におけるモノマーBの含有量を少なくして、低屈折率層3の屈折率をより低くすることができる。
本実施形態の反射防止膜10は、低屈折率層3を構成するバインダー4が、第1の実施形態における架橋体と、重合体Cと、を含む。また、重合体Cが光反応性含フッ素ポリマー6とともに、低屈折率層3の最上層をなしている。そのため、低屈折率層3の表面3aが滑りやすくなり、スチールウール耐擦傷性に優れ、より反射防止性にも優れた反射防止膜が得られる。本実施形態の反射防止膜10によれば、特に、反射防止膜1を3層構造としたり、無機蒸着膜や無機スパッタ膜を形成したりするよりも、簡便かつ低コストで、低屈折率化を図ることができる。
(反射防止膜の製造方法)
次に、第2の実施形態における反射防止膜10の製造方法を説明する。
本実施形態の反射防止膜10の製造方法は、コーティング液を調製する工程Aが第1の実施形態の反射防止膜1の製造方法と異なっている。
次に、第2の実施形態における反射防止膜10の製造方法を説明する。
本実施形態の反射防止膜10の製造方法は、コーティング液を調製する工程Aが第1の実施形態の反射防止膜1の製造方法と異なっている。
工程Aでは、各成分を、所定の配合量(配合比)となるように、均一に撹拌、混合して、コーティング液を調製する。
コーティング液は、光反応性含フッ素化合物Aと、モノマーBと、重合体Cと、中空シリカ粒子5と、光反応性含フッ素ポリマーと、光反応性変性シリコーンポリマーと、溶媒と、光重合開始剤とを含む。
本実施形態におけるコーティング液では、光反応性含フッ素化合物A、モノマーBおよび重合体Cの配合量が、第1の実施形態におけるコーティング液と異なっている。なお、本実施形態におけるコーティング液では、その他の成分の配合量は、第1の実施形態におけるコーティング液と同様である。
コーティング液は、光反応性含フッ素化合物Aと、モノマーBと、重合体Cと、中空シリカ粒子5と、光反応性含フッ素ポリマーと、光反応性変性シリコーンポリマーと、溶媒と、光重合開始剤とを含む。
本実施形態におけるコーティング液では、光反応性含フッ素化合物A、モノマーBおよび重合体Cの配合量が、第1の実施形態におけるコーティング液と異なっている。なお、本実施形態におけるコーティング液では、その他の成分の配合量は、第1の実施形態におけるコーティング液と同様である。
コーティング液における光反応性含フッ素化合物Aの配合量は、コーティング液における固形分配合量の総量を100質量部とした場合、10質量部〜30質量部であることが好ましい。
光反応性含フッ素化合物Aの配合量が10質量部以上であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。一方、光反応性含フッ素化合物Aの配合量が30質量部以下であれば、低屈折率層3に含まれるフッ素成分が多くなり過ぎることに起因する表面硬度の低下が生じることがない。したがって、スチールウール耐擦傷性が低下することもない。また、低屈折率層3を形成するための他の成分との相溶性が悪くなることもない。
光反応性含フッ素化合物Aの配合量が10質量部以上であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。一方、光反応性含フッ素化合物Aの配合量が30質量部以下であれば、低屈折率層3に含まれるフッ素成分が多くなり過ぎることに起因する表面硬度の低下が生じることがない。したがって、スチールウール耐擦傷性が低下することもない。また、低屈折率層3を形成するための他の成分との相溶性が悪くなることもない。
コーティング液におけるモノマーBの配合量は、コーティング液における固形分配合量の総量を100質量部とした場合、3質量部〜10質量部であることが好ましい。
モノマーBの配合量が3質量部以上であれば、低屈折率層3に十分な強度が得られる。また、低屈折率層3の表面3aにおいて、光反応性含フッ素ポリマー6を十分に分布させるとともに、低屈折率層3の表面3aに重合体Cを十分に露出させることができる。そのため、低屈折率層3の表面3aにおいて十分な平滑性が得られる。一方、モノマーBの配合量が10質量部以下であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。
モノマーBの配合量が3質量部以上であれば、低屈折率層3に十分な強度が得られる。また、低屈折率層3の表面3aにおいて、光反応性含フッ素ポリマー6を十分に分布させるとともに、低屈折率層3の表面3aに重合体Cを十分に露出させることができる。そのため、低屈折率層3の表面3aにおいて十分な平滑性が得られる。一方、モノマーBの配合量が10質量部以下であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。
コーティング液における重合体Cの配合量は、コーティング液における固形分配合量の総量を100質量部とした場合、5質量部〜15質量部であることが好ましい。
重合体Cの配合量が5質量部以上であれば、低屈折率層3に十分な強度が得られる。また、低屈折率層3の表面3aにおいて、光反応性含フッ素ポリマー6を十分に分布させるとともに、低屈折率層3の表面3aに重合体Cを十分に露出させることができる。そのため、低屈折率層3の表面3aにおいて十分な平滑性が得られる。一方、重合体Cの配合量が15質量部以下であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。
重合体Cの配合量が5質量部以上であれば、低屈折率層3に十分な強度が得られる。また、低屈折率層3の表面3aにおいて、光反応性含フッ素ポリマー6を十分に分布させるとともに、低屈折率層3の表面3aに重合体Cを十分に露出させることができる。そのため、低屈折率層3の表面3aにおいて十分な平滑性が得られる。一方、重合体Cの配合量が15質量部以下であれば、低屈折率層3の屈折率を1.310未満にすることができる。その結果として、低屈折率層3の視感反射率を0.20%未満とすることができる。
上記のようなコーティング液を用い、以下、本実施形態と同様の工程を経ることにより、本実施形態の反射防止膜10が得られる。
[第3の実施形態]
(反射防止膜)
以下、第3の実施形態における反射防止膜20について、図面を用いて説明する。図3は、本発明の第3の実施形態における反射防止膜20の構成例を示す断面図である。なお、図3において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(反射防止膜)
以下、第3の実施形態における反射防止膜20について、図面を用いて説明する。図3は、本発明の第3の実施形態における反射防止膜20の構成例を示す断面図である。なお、図3において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図3に示すように、反射防止膜20は、相互に屈折率が異なるハードコート層2と、高屈折率層21と、低屈折率層3とが、この順に積層されてなる。
本実施形態の反射防止膜20のように、3層構造の場合、高屈折率層21の屈折率は、1.650〜1.800であることが好ましく、1.700〜1.750であることがより好ましい。
高屈折率層21の屈折率が1.650〜1.800の範囲内であれば、3つの層の厚みや屈折率で決定される反射防止膜20の反射率が最も低くなる最適な条件を得ることができる。一方、この屈折率の範囲外においては反射防止膜20の視感反射率を0.2%未満にすることが困難である。
高屈折率層21の屈折率が1.650〜1.800の範囲内であれば、3つの層の厚みや屈折率で決定される反射防止膜20の反射率が最も低くなる最適な条件を得ることができる。一方、この屈折率の範囲外においては反射防止膜20の視感反射率を0.2%未満にすることが困難である。
高屈折率層21は、フルオレン骨格を持つ有機高屈折率材料や、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の高屈折率ナノ粒子と、アクリル樹脂等との配合物からなる。
高屈折率ナノ粒子としては、平均一次粒子径3nm〜30nmのものが用いられる。
高屈折率ナノ粒子としては、平均一次粒子径3nm〜30nmのものが用いられる。
高屈折率層21の厚みは、例えば、130nm〜160nmであることが好ましい。高屈折率層21の厚みが130nm〜160nmの範囲内であれば、反射率をより低くすることができるとともに、無彩色に近い反射光を得ることができる。
本実施形態の反射防止膜20によれば、高屈折率層21を含む3層構造をなすため、2層構造よりも、高屈折率層21の屈折率を高くすることができる。したがって、より低屈折率層3の表面3aの視感反射率を小さくすることができる。
なお、低屈折率層3としては、第1の実施形態における反射防止膜1を構成するものであってもよく、また、第2の実施形態における反射防止膜10を構成するものであってもよい。
[第4の実施形態]
(反射防止部材)
以下、第4の実施形態における反射防止部材30について、図面を用いて説明する。図4は、本発明の第4の実施形態における反射防止部材30の構成例を示す断面図である。なお、図4において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(反射防止部材)
以下、第4の実施形態における反射防止部材30について、図面を用いて説明する。図4は、本発明の第4の実施形態における反射防止部材30の構成例を示す断面図である。なお、図4において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図4に示すように、反射防止部材30は、透明基材31と、透明基材31上に設けられた反射防止膜1と、を備えるシート状または板状の部材である。反射防止部材30は、透明基材31側から順に、ハードコート層2と、低屈折率層3とが、この順に積層されてなる。
透明基材31は、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂からなる。
透明基材31の厚みは、特に限定されないが、例えば、20μm〜200μmであることが好ましい。
本実施形態の反射防止部材30は、上述の反射防止膜1を備える。そのため、反射防止膜1と同様に、低屈折率層3の表面3aが滑りやすくなり、スチールウール耐擦傷性に優れ、反射防止性にも優れた反射防止部材が得られる。
なお、反射防止膜1の代わりに、上述の第2の実施形態における反射防止膜10を用いてもよい。
[第5の実施形態]
(偏光板)
以下、第5の実施形態における偏光板40について、図面を用いて説明する。図5は、本発明の第5の実施形態における偏光板40の構成例を示す断面図である。なお、図5において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(偏光板)
以下、第5の実施形態における偏光板40について、図面を用いて説明する。図5は、本発明の第5の実施形態における偏光板40の構成例を示す断面図である。なお、図5において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図5に示すように、偏光板40は、偏光板本体41と、その表面41aに設けられた反射防止膜1と、を備える。
偏光板本体41としては、特に限定されず、一般的な視野角改善偏光板や円偏光板等が挙げられる。
また、反射防止膜1の代わりに、上述の第2の実施形態における反射防止膜10や上述の第4の実施形態における反射防止部材30を用いてもよい。
本実施形態の偏光板40によれば、上述の反射防止膜1を備えるため、高コントラストが求められる表示装置に適用するために十分な反射防止性を有する偏光板が得られる。
[第6の実施形態]
(表示装置:液晶ディスプレイ)
以下、第6の実施形態における表示装置50について、図面を用いて説明する。図6は、本発明の第6の実施形態における表示装置50の構成例を示す断面図である。なお、図6において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1および図5に示した第5の実施形態における偏光板40と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本実施形態では、表示装置50として、液晶ディスプレイを例示する。
(表示装置:液晶ディスプレイ)
以下、第6の実施形態における表示装置50について、図面を用いて説明する。図6は、本発明の第6の実施形態における表示装置50の構成例を示す断面図である。なお、図6において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1および図5に示した第5の実施形態における偏光板40と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本実施形態では、表示装置50として、液晶ディスプレイを例示する。
図6に示すように、表示装置50は、液晶表示素子51と、これを両面側から挟むように設けられた偏光板(第1偏光板)40および偏光板(第2偏光板)52と、を備える。
偏光板40は、液晶表示素子51の表示面51a側に、偏光板本体41が対向するように設けられる。
偏光板40は、液晶表示素子51の表示面51a側に、偏光板本体41が対向するように設けられる。
液晶表示素子51としては、特に限定されず、一般的な液晶表示素子が挙げられる。
偏光板52としては、特に限定されず、一般的な円偏光板等が挙げられる。
本実施形態の表示装置50によれば、上述の偏光板40を備えるため、反射防止性に優れる液晶ディスプレイが得られる。
[第7の実施形態]
(表示装置:有機ELディスプレイ)
以下、第7の実施形態における表示装置60について、図面を用いて説明する。図7は、本発明の第7の実施形態における表示装置60の構成例を示す断面図である。なお、図7において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1および図5に示した第5の実施形態における偏光板40と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本実施形態では、表示装置50として、有機ELディスプレイを例示する。
(表示装置:有機ELディスプレイ)
以下、第7の実施形態における表示装置60について、図面を用いて説明する。図7は、本発明の第7の実施形態における表示装置60の構成例を示す断面図である。なお、図7において、図1に示した第1の実施形態における反射防止膜1および図5に示した第5の実施形態における偏光板40と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本実施形態では、表示装置50として、有機ELディスプレイを例示する。
図7に示すように、表示装置60は、有機EL素子61と、この上に設けられた偏光板40と、を備える。
偏光板40は、1/4波長位相差等を備えた円偏光板であり、有機EL素子61の表示面61a側に、偏光板本体41が対向するように設けられる。
偏光板40は、1/4波長位相差等を備えた円偏光板であり、有機EL素子61の表示面61a側に、偏光板本体41が対向するように設けられる。
有機EL素子61としては、特に限定されず、一般的な有機EL素子が挙げられる。
本実施形態の表示装置60によれば、上述の偏光板40を備えるため、反射防止性に優れる有機ELディスプレイが得られる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
光反応性含フッ素化合物Aと、モノマーBと、中空シリカ粒子と、光反応性含フッ素ポリマーと、光反応性変性シリコーンポリマーと、光重合開始剤とを、混合した。それぞれの成分の混合比が、表1に示す固形分配合量(固形分配合比(質量比))となるように混合した。
さらに、その混合物に溶媒を加えて、これらを均一に撹拌、混合して、実施例1のコーティング液を調製した。
コーティング液における溶媒の配合量は、コーティング液の総量を100質量%とした場合、97質量%とした。
光反応性含フッ素化合物A(表1において、「フッ素化合物A」と記す。)としては、フッ素含有量が50質量%のものを用いた。
モノマーBとしては、イソシアヌルジアクリレートを用いた。
中空シリカ粒子としては、平均一次粒子径が75nmのものを用いた。
光反応性含フッ素ポリマー(表1において、「フッ素ポリマー」と記す。)としては、重量平均分子量が5,000のものを用いた。
光反応性変性シリコーンポリマー(表1において、「シリコーンポリマー」と記す。)としては、重量平均分子量が30,000のものを用いた。
光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 127、BASF社製)を用いた。
溶媒としては、メチルイソブチルケトンを用いた。
光反応性含フッ素化合物Aと、モノマーBと、中空シリカ粒子と、光反応性含フッ素ポリマーと、光反応性変性シリコーンポリマーと、光重合開始剤とを、混合した。それぞれの成分の混合比が、表1に示す固形分配合量(固形分配合比(質量比))となるように混合した。
さらに、その混合物に溶媒を加えて、これらを均一に撹拌、混合して、実施例1のコーティング液を調製した。
コーティング液における溶媒の配合量は、コーティング液の総量を100質量%とした場合、97質量%とした。
光反応性含フッ素化合物A(表1において、「フッ素化合物A」と記す。)としては、フッ素含有量が50質量%のものを用いた。
モノマーBとしては、イソシアヌルジアクリレートを用いた。
中空シリカ粒子としては、平均一次粒子径が75nmのものを用いた。
光反応性含フッ素ポリマー(表1において、「フッ素ポリマー」と記す。)としては、重量平均分子量が5,000のものを用いた。
光反応性変性シリコーンポリマー(表1において、「シリコーンポリマー」と記す。)としては、重量平均分子量が30,000のものを用いた。
光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 127、BASF社製)を用いた。
溶媒としては、メチルイソブチルケトンを用いた。
次いで、TACからなる透明基材と、この透明基材上に形成されたハードコート層と、を有するハードコート基材を用意した。ハードコート層は、透明なアクリル樹脂を主成分とし、その屈折率が1.580、厚みが5μmであった。このハードコート基材の全光線透過率は91.9%、ヘイズ値は0.30%であった。
このハードコート基材のハードコート層上に、上記のコーティング液を塗布して、厚みが3.3μmの塗膜を形成した。
このハードコート基材のハードコート層上に、上記のコーティング液を塗布して、厚みが3.3μmの塗膜を形成した。
次いで、上記の塗膜を、80℃のオーブン内で2分間乾燥し、塗膜に含まれる溶媒を蒸発させた。
次いで、乾燥後の塗膜に紫外線を照射して、塗膜に含まれる光反応性含フッ素化合物AとモノマーBを重合させた。それとともに、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、モノマーBからなる重合体とを架橋させて、低屈折率層を形成した。これにより、実施例1の反射防止部材を得た。
紫外線照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、200mJ/cm2とした。
紫外線照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、200mJ/cm2とした。
[実施例2]
モノマーBとしては、ジペンタ エリスリトールヘキサアクリレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の反射防止部材を得た。
モノマーBとしては、ジペンタ エリスリトールヘキサアクリレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の反射防止部材を得た。
[実施例3]
モノマーBとしては、ペンタ エリスリトールトリアクリレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の反射防止部材を得た。
モノマーBとしては、ペンタ エリスリトールトリアクリレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の反射防止部材を得た。
[比較例1]
イソシアヌルジアクリレートの代わりに、トリメチロールプロパンアクリレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の反射防止部材を得た。
イソシアヌルジアクリレートの代わりに、トリメチロールプロパンアクリレートを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の反射防止部材を得た。
[比較例2]
表1に示すように、光反応性含フッ素化合物Aの固形分配合量を35質量部、イソシアヌルジアクリレートの固形分配合量を15質量部、中空シリカ粒子の固形分配合量を40質量部とした。これ以外は実施例1と同様にして、比較例2の反射防止部材を得た。
表1に示すように、光反応性含フッ素化合物Aの固形分配合量を35質量部、イソシアヌルジアクリレートの固形分配合量を15質量部、中空シリカ粒子の固形分配合量を40質量部とした。これ以外は実施例1と同様にして、比較例2の反射防止部材を得た。
[比較例3]
表1に示すように、光反応性含フッ素化合物Aの固形分配合量を20質量部、イソシアヌルジアクリレートの固形分配合量を15質量部、中空シリカ粒子の固形分配合量を60質量部とした。これ以外は実施例1と同様にして、比較例3の反射防止部材を得た。
表1に示すように、光反応性含フッ素化合物Aの固形分配合量を20質量部、イソシアヌルジアクリレートの固形分配合量を15質量部、中空シリカ粒子の固形分配合量を60質量部とした。これ以外は実施例1と同様にして、比較例3の反射防止部材を得た。
[比較例4]
光反応性変性シリコーンポリマーとしては、重量平均分子量が9,000のものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の反射防止部材を得た。
光反応性変性シリコーンポリマーとしては、重量平均分子量が9,000のものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の反射防止部材を得た。
[比較例5]
光反応性含フッ素ポリマーとしては、重量平均分子量が800のものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の反射防止部材を得た。
光反応性含フッ素ポリマーとしては、重量平均分子量が800のものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の反射防止部材を得た。
[評価]
(1)低屈折率層の屈折率
実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材の低屈折率層の屈折率を測定した。低屈折率層の屈折率の測定方法は、次のように行った。
1)反射防止膜が形成された透明基材(反射防止部材)の裏面(反射防止膜が形成されていない面)に黒色インクを塗り、その反射防止部材の裏面からの反射光を除去した。
2)市販の分光測色計を用いて8度入射拡散照明を反射防止部材の表面に当てて、8度受光光を測定し、380nm〜740nmの正反射率および拡散反射率を得た。
3)市販の分光測色計としては、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−2600dを用いた。これにより、D光源、2度視野相当の全反射率Y値(SCI)および拡散反射率Y値(SCE)がそれぞれ測定値として得られ、Y=SCI−SCEで求められる値を視感反射率と定義した。
4)視感反射率のスペクトルと薄膜光学で計算される反射スペクトルの曲率が一致するように調整された薄膜層の膜厚と屈折率を求め、これを低屈折率層の屈折率とした。結果を表2に示す。
(1)低屈折率層の屈折率
実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材の低屈折率層の屈折率を測定した。低屈折率層の屈折率の測定方法は、次のように行った。
1)反射防止膜が形成された透明基材(反射防止部材)の裏面(反射防止膜が形成されていない面)に黒色インクを塗り、その反射防止部材の裏面からの反射光を除去した。
2)市販の分光測色計を用いて8度入射拡散照明を反射防止部材の表面に当てて、8度受光光を測定し、380nm〜740nmの正反射率および拡散反射率を得た。
3)市販の分光測色計としては、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−2600dを用いた。これにより、D光源、2度視野相当の全反射率Y値(SCI)および拡散反射率Y値(SCE)がそれぞれ測定値として得られ、Y=SCI−SCEで求められる値を視感反射率と定義した。
4)視感反射率のスペクトルと薄膜光学で計算される反射スペクトルの曲率が一致するように調整された薄膜層の膜厚と屈折率を求め、これを低屈折率層の屈折率とした。結果を表2に示す。
(2)低屈折率層の表面の視感反射率
実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材の低屈折率層の表面の視感反射率を測定した。低屈折率層の表面の視感反射率の測定方法は、次のように行った。
1)反射防止膜が形成された透明基材(反射防止部材)の裏面(反射防止膜が形成されていない面)に黒色インクを塗り、その反射防止部材の裏面からの反射光を除去した。
2)市販の分光測色計を用いて8度入射拡散照明を反射防止部材の表面に当てて、8度受光光を測定し、380nm〜740nmの正反射率および拡散反射率を得た。
3)市販の分光測色計としては、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−2600dを用いた。これにより、D光源、2度視野相当の全反射率Y値(SCI)および拡散反射率Y値(SCE)がそれぞれ測定値として得られ、Y=SCI−SCEで求められる値を視感反射率と定義した。結果を表2に示す。
実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材の低屈折率層の表面の視感反射率を測定した。低屈折率層の表面の視感反射率の測定方法は、次のように行った。
1)反射防止膜が形成された透明基材(反射防止部材)の裏面(反射防止膜が形成されていない面)に黒色インクを塗り、その反射防止部材の裏面からの反射光を除去した。
2)市販の分光測色計を用いて8度入射拡散照明を反射防止部材の表面に当てて、8度受光光を測定し、380nm〜740nmの正反射率および拡散反射率を得た。
3)市販の分光測色計としては、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−2600dを用いた。これにより、D光源、2度視野相当の全反射率Y値(SCI)および拡散反射率Y値(SCE)がそれぞれ測定値として得られ、Y=SCI−SCEで求められる値を視感反射率と定義した。結果を表2に示す。
(3)低屈折率層のスチールウール耐荷重値
実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材の低屈折率層のスチールウール耐荷重値を測定した。低屈折率層のスチールウール耐荷重値の測定方法は、次の通りとした。低屈折率層上で、#0000のスチールウールを、接触面積1cm2、移動速度100mm/sec、移動距離100mmで10往復摺動させた。そして、往復後の低屈折率層の表面を目視により観察した場合に、確認できる傷の数が10本未満のときの最大加重をスチールウール耐荷重値とした。結果を表2に示す。
実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材の低屈折率層のスチールウール耐荷重値を測定した。低屈折率層のスチールウール耐荷重値の測定方法は、次の通りとした。低屈折率層上で、#0000のスチールウールを、接触面積1cm2、移動速度100mm/sec、移動距離100mmで10往復摺動させた。そして、往復後の低屈折率層の表面を目視により観察した場合に、確認できる傷の数が10本未満のときの最大加重をスチールウール耐荷重値とした。結果を表2に示す。
表2の結果から、実施例1〜3の反射防止部材は、スチールウール耐擦傷性に優れ、反射防止性にも優れていることが分かった。
一方、比較例1の反射防止部材は、イソシアヌルジアクリレートの代わりに、トリメチロールプロパンアクリレートを用いたため、スチールウール耐擦傷性が劣ることが分かった。
比較例2の反射防止部材は、光反応性含フッ素化合物Aの固形分配合量を35質量部、イソシアヌルジアクリレートの固形分配合量を15質量部、中空シリカ粒子の固形分配合量を40質量部とした。そのため、低屈折率層の屈折率および低屈折率層の表面の視感反射率が劣ることが分かった。
比較例3の反射防止部材は、光反応性含フッ素化合物Aの固形分配合量を20質量部としたため、スチールウール耐擦傷性が劣ることが分かった。
比較例4の反射防止部材は、光反応性変性シリコーンポリマーとして、重量平均分子量が9,000のものを用いたため、スチールウール耐擦傷性が劣ることが分かった。
比較例5の反射防止部材は、光反応性含フッ素ポリマーとして、重量平均分子量が800のものを用いたため、スチールウール耐擦傷性が劣ることが分かった。
一方、比較例1の反射防止部材は、イソシアヌルジアクリレートの代わりに、トリメチロールプロパンアクリレートを用いたため、スチールウール耐擦傷性が劣ることが分かった。
比較例2の反射防止部材は、光反応性含フッ素化合物Aの固形分配合量を35質量部、イソシアヌルジアクリレートの固形分配合量を15質量部、中空シリカ粒子の固形分配合量を40質量部とした。そのため、低屈折率層の屈折率および低屈折率層の表面の視感反射率が劣ることが分かった。
比較例3の反射防止部材は、光反応性含フッ素化合物Aの固形分配合量を20質量部としたため、スチールウール耐擦傷性が劣ることが分かった。
比較例4の反射防止部材は、光反応性変性シリコーンポリマーとして、重量平均分子量が9,000のものを用いたため、スチールウール耐擦傷性が劣ることが分かった。
比較例5の反射防止部材は、光反応性含フッ素ポリマーとして、重量平均分子量が800のものを用いたため、スチールウール耐擦傷性が劣ることが分かった。
[実施例4]
光反応性含フッ素化合物Aと、モノマーBと、重合体Cと、中空シリカ粒子と、光反応性含フッ素ポリマーと、光重合開始剤とを、混合した。それぞれの成分の混合比が、表3に示す固形分配合量(固形分配合比(質量比))となるように混合した。
さらに、その混合物に溶媒を加えて、これらを均一に撹拌、混合して、実施例4のコーティング液を調製した。
コーティング液における溶媒の配合量は、コーティング液の総量を100質量%とした場合、97質量%とした。
光反応性含フッ素化合物A(表1において、「フッ素化合物A」と記す。)としては、フッ素含有量が50質量%のものを用いた。
モノマーBとしては、イソシアヌルジアクリレートを用いた。
重合体Cとしては、上記式(1)中、括弧内の構造の重合度を示すnが3〜4のシロキサン化合物を用いた。
中空シリカ粒子としては、平均一次粒子径が75nmのものを用いた。
光反応性含フッ素ポリマー(表1において、「フッ素ポリマー」と記す。)としては、重量平均分子量が5,000のものを用いた。
光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 127、BASF社製)を用いた。
溶媒としては、メチルイソブチルケトンを用いた。
以下、実施例1と同様にして、実施例4の反射防止部材を得た。
光反応性含フッ素化合物Aと、モノマーBと、重合体Cと、中空シリカ粒子と、光反応性含フッ素ポリマーと、光重合開始剤とを、混合した。それぞれの成分の混合比が、表3に示す固形分配合量(固形分配合比(質量比))となるように混合した。
さらに、その混合物に溶媒を加えて、これらを均一に撹拌、混合して、実施例4のコーティング液を調製した。
コーティング液における溶媒の配合量は、コーティング液の総量を100質量%とした場合、97質量%とした。
光反応性含フッ素化合物A(表1において、「フッ素化合物A」と記す。)としては、フッ素含有量が50質量%のものを用いた。
モノマーBとしては、イソシアヌルジアクリレートを用いた。
重合体Cとしては、上記式(1)中、括弧内の構造の重合度を示すnが3〜4のシロキサン化合物を用いた。
中空シリカ粒子としては、平均一次粒子径が75nmのものを用いた。
光反応性含フッ素ポリマー(表1において、「フッ素ポリマー」と記す。)としては、重量平均分子量が5,000のものを用いた。
光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 127、BASF社製)を用いた。
溶媒としては、メチルイソブチルケトンを用いた。
以下、実施例1と同様にして、実施例4の反射防止部材を得た。
[実施例5]
実施例4と同様のコーティング液を調製した。
次いで、TACからなる透明基材と、この透明基材上に形成されたハードコート層と、このハードコート層上に形成され高屈折率層と、を有するハードコート基材を用意した。ハードコート層は、透明なアクリル樹脂を主成分とし、その屈折率が1.580、厚みが5μmであった。高屈折率層は、酸化ジルコニウム粒子およびアクリル樹脂バインダーを架橋してなり、その屈折率が1.73、厚みが150nmであった。このハードコート基材の全光線透過率は91.9%、ヘイズ値は0.50%であった。
以下、実施例1と同様にして、実施例5の反射防止部材を得た。
実施例4と同様のコーティング液を調製した。
次いで、TACからなる透明基材と、この透明基材上に形成されたハードコート層と、このハードコート層上に形成され高屈折率層と、を有するハードコート基材を用意した。ハードコート層は、透明なアクリル樹脂を主成分とし、その屈折率が1.580、厚みが5μmであった。高屈折率層は、酸化ジルコニウム粒子およびアクリル樹脂バインダーを架橋してなり、その屈折率が1.73、厚みが150nmであった。このハードコート基材の全光線透過率は91.9%、ヘイズ値は0.50%であった。
以下、実施例1と同様にして、実施例5の反射防止部材を得た。
[評価]
(1)低屈折率層の屈折率
実施例4および5の反射防止部材の低屈折率層の屈折率を測定した。低屈折率層の屈折率の測定方法は、実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材における方法と同様とした。結果を表4に示す。
(1)低屈折率層の屈折率
実施例4および5の反射防止部材の低屈折率層の屈折率を測定した。低屈折率層の屈折率の測定方法は、実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材における方法と同様とした。結果を表4に示す。
(2)低屈折率層の表面の視感反射率
実施例4および5の反射防止部材の低屈折率層の表面の視感反射率を測定した。低屈折率層の表面の視感反射率の測定方法は、実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材における方法と同様とした。結果を表4に示す。
実施例4および5の反射防止部材の低屈折率層の表面の視感反射率を測定した。低屈折率層の表面の視感反射率の測定方法は、実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材における方法と同様とした。結果を表4に示す。
(3)低屈折率層のスチールウール耐荷重値
実施例4および5の反射防止部材の低屈折率層のスチールウール耐荷重値を測定した。低屈折率層のスチールウール耐荷重値の測定方法は、実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材における方法と同様とした。結果を表4に示す。
実施例4および5の反射防止部材の低屈折率層のスチールウール耐荷重値を測定した。低屈折率層のスチールウール耐荷重値の測定方法は、実施例1〜3および比較例1〜5の反射防止部材における方法と同様とした。結果を表4に示す。
表4の結果から、実施例4および5の反射防止部材は、実施例1〜3の反射防止部材よりもさらに反射防止性にも優れていることが分かった。
また、実施例5の反射防止部材は、実施例1〜3の反射防止部材よりもさらにスチールウール耐擦傷性に優れていることが分かった。
また、実施例5の反射防止部材は、実施例1〜3の反射防止部材よりもさらにスチールウール耐擦傷性に優れていることが分かった。
1・・・反射防止膜、2・・・ハードコート層、3・・・低屈折率層、4・・・バインダー、5・・・中空シリカ粒子、6・・・光反応性含フッ素ポリマー、7・・・光反応性変性シリコーンポリマー、10・・・反射防止膜、20・・・反射防止膜、21・・・高屈折率層、30・・・反射防止部材、31・・・透明基材、40・・・偏光板、41・・・偏光板本体、50・・・表示装置、51・・・液晶表示素子、52・・・偏光板、60・・・表示装置、61・・・有機EL素子。
Claims (10)
- 少なくとも2層以上の相互に屈折率が異なる層が積層されてなる反射防止膜であって、
最上層が、光反応性含フッ素化合物Aからなる重合体と、少なくとも1つ以上の水酸基と2つ以上の光反応性官能基とを持つモノマーBからなる重合体とが、相互に架橋されてなる架橋体を含むバインダーと、前記バインダー中に分散された中空シリカ粒子と、前記最上層の表面側に分布する、光反応性含フッ素ポリマーおよびシロキサン結合による主骨格aを持つポリマーと、を含有する反射防止膜。 - 前記シロキサン結合による主骨格aを持つポリマーが光反応性変性シリコーンポリマーである請求項1に記載の反射防止膜。
- 前記最上層の屈折率が1.310未満である請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記最上層の表面の視感反射率が0.20%未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記最上層のスチールウール耐荷重値が300g/cm2以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止膜。
- 前記最上層がハードコート層上に積層されてなり、
前記ハードコート層の屈折率が1.500〜1.650である請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止膜。 - 透明基材と、前記透明基材上に設けられた、請求項7に記載の反射防止膜と、を備え、
前記反射防止膜は、前記透明基材側から順に、前記ハードコート層と、前記最上層とからなる反射防止部材。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射防止膜または請求項8に記載の反射防止部材が最表面に設けられた偏光板。
- 請求項9に記載の偏光板を備えた表示装置。
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