本発明は、高分子樹脂層;および前記高分子樹脂層の一面に形成され、バインダー樹脂と中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含む光学機能層;を含み、前記中空型無機ナノ粒子とソリッド型無機ナノ粒子とを含む粒子混在層が前記光学機能層内に存在し、前記光学機能層に含まれるバインダー樹脂は、炭素数1~3のアルキレンオキシドを含む(メタ)アクリレート系樹脂を含む光学積層体が提供される。
また、本発明は、前記光学積層体および偏光子を含む偏光板が提供される。
また、本発明は、前記光学積層体を含むディスプレイ装置が提供される。
また、本発明は、前記光学積層体を含む有機発光ダイオードディスプレイ装置が提供される。
以下、本発明の具体的な実施形態による光学積層体、偏光板、ディスプレイ装置および有機発光ダイオードディスプレイ装置についてより詳細に説明する。
本明細書において、光重合性化合物は光が照射されると、例えば可視光線または紫外線が照射されると、重合反応を起こす化合物を通称する。
また、含フッ素化合物は、化合物中の少なくとも1個以上のフッ素元素が含まれている化合物を意味する。
また、(メタ)アクリル[(Meth)acryl]は、アクリル(acryl)およびメタクリレート(Methacryl)を両方とも含む意味である。
また、(共)重合体は、共重合体(co-polymer)および単独重合体(homo-polymer)を両方とも含む意味である。
また、中空シリカ粒子(silica hollow particles)とは、ケイ素化合物または有機ケイ素化合物から導き出されるシリカ粒子として、前記シリカ粒子の表面および/または内部に空間が存在する形態の粒子を意味する。
本発明の一実施形態によれば、高分子樹脂層;および前記高分子樹脂層の一面に形成され、バインダー樹脂と中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含む光学機能層;を含み、前記中空型無機ナノ粒子とソリッド型無機ナノ粒子とを含む粒子混在層が前記光学機能層内に存在し、前記光学機能層に含まれるバインダー樹脂は、炭素数1~3のアルキレンオキシドを含む(メタ)アクリレート系樹脂を含む光学積層体が提供される。
光学機能層を含む光学フィルムが低い屈折率を有する場合、緑色領域での反射率に比べて青色領域での反射率が高くなる。これによってフィルムが青色を帯びて偏光板またはディスプレイ装置などに適用するには適さない程度の不透明性または有色性を有する場合がある。
そこで、本発明者らは光学積層体に関する研究を行い、高分子樹脂層、および前記高分子樹脂層の一面に形成される光学機能層を含む光学積層体が、光学機能層内に前記中空型無機ナノ粒子とソリッド型無機ナノ粒子とを含む粒子混在層が存在し、前記光学機能層に含まれるバインダー樹脂に炭素数1~3のアルキレンオキシドを含む(メタ)アクリレート系樹脂を含むことによって、低い反射率およびヘイズを実現しながらも、ブラック視感が向上し、青みを帯びている程度を顕著に減らして無色透明な特性を有し得ることを実験により確認して発明を完成した。
また、前記光学積層体は上述した特徴と共に高い透光率を有し、かつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現できる特徴を有することができる。
具体的には、前記光学機能層のバインダー樹脂に含まれる炭素数1~3のアルキレンオキシドを含む(メタ)アクリレート系樹脂は、前記光学機能層に含まれている他の成分との相溶性に優れ、光学機能層のヘイズが低く制御され、かつ光透過性および強度が向上する。
前記炭素数1~3のアルキレンオキシドを含む(メタ)アクリレート系樹脂は、例えば、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(Trimethylolpropane ethoxylate triacrylate)、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート(Trimethylolpropane propoxylate triacrylate)、エトキシレートペンタエリトリトールテトラアクリレート(Ethoxylated Pentaerythritol tetraacrylate)およびビスフェノールFエトキシレートジアクリレート(Bisphenol F ethoxylate diacrylate)からなる群より選択される一つ以上であり得る。
一方、前記光学機能層に前記炭素数1~3のアルキレンオキシドを含む(メタ)アクリレート系樹脂が含まれているかどうかは赤外線分光分析(IR Spectroscopy分析)により確認することができる。具体的には、前記炭素数1~3のアルキレンオキシドを含む(メタ)アクリレート系樹脂が含まれているバインダーは、前記バインダー樹脂に対するIRスペクトルにおいて、1710~1780cm-1の領域に存在するピーク面積(A1)に対する2860~2880cm-1の領域に存在するピーク面積(A2)の比率(A2/A1)は0.08~1.0、0.09~0.15、0.10~0.12であり得る。
前記1710~1780cm-1の領域に存在するピークは、例えば、炭素-酸素二重結合(C=O)のピークであり、前記2860~2880cm-1の領域に存在するピークは、例えば、炭素-水素単結合(C-H)のピークであり得る。
前記光学機能層は、前記炭素数1~3のアルキレンオキシドを含む(メタ)アクリレート系樹脂以外にも他の光重合性化合物をさらに含み得る。
前記光重合性化合物は、例えば、(メタ)アクリレートまたはビニル基を含む単量体またはオリゴマーを含み得る。より具体的には、前記光重合性化合物は、(メタ)アクリレートまたはビニル基を1以上、または2以上、または3以上含む単量体またはオリゴマーを含み得る。
前記(メタ)アクリレートを含む単量体またはオリゴマーの具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートまたはこれらの2種以上の混合物であるか、またはウレタン変性アクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、エーテルアクリレートオリゴマー、デンドリティックアクリレートオリゴマー、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。このとき、前記オリゴマーの分子量は1,000~10,000であることが好ましい。
前記ビニル基を含む単量体またはオリゴマーの具体的な例としては、ジビニルベンゼン、スチレンまたはパラメチルスチレンが挙げられる。
前記光硬化性コーティング組成物中の前記光重合性化合物の含有量が大きく限定されるものではないが、最終的に製造される光学機能層や光学積層体の機械的物性などを考慮して前記光硬化性コーティング組成物の固形分中の前記光重合性化合物の含有量は5重量%~80重量%であり得る。前記光硬化性コーティング組成物の固形分は、前記光硬化性コーティング組成物中の液相の成分、例えば、後述するように選択的に含まれ得る有機溶媒などの成分を除いた固体の成分のみを意味する。
前記光学機能層内には、中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含む粒子混在層が存在し得る。前記粒子混在層の存在によって、前記光学積層体が低い反射率を実現しながらも無色透明な特性を有し得るが、前記光学機能層が中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含むことで高い透光率を有し、かつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現することができる。
具体的には、前記高分子樹脂層の一面上に前記光学機能層が形成され、前記粒子混在層は、前記高分子樹脂層の一面から50nm以上の距離をおいて位置し得、または前記粒子混在層は、前記高分子樹脂層の一面から50nm~250nm、または60nm~220nm、または70nm~200nm、または80nm~180nm、または90nm~150nm、または100nm~120nmの距離をおいて位置し得る。
前記粒子混在層は、前記高分子樹脂層の一面から50nm以上の距離をおいて位置することにより、光学機能層内で層間の屈折率の急激な差を緩和させる役割を果たし、前記波長550nmでの反射率が0.5%以下の光学積層体が有する短波長領域の反射率パターンの傾きの絶対値が低くなる。
前記粒子混在層が前記高分子樹脂層の一面から50nm未満の領域に位置する場合、光学機能層内で層間の屈折率の差を緩和させる効果が制限的であるため、前記波長550nmでの反射率が0.5%以下の光学積層体が有する反射率パターンの傾きの絶対値を十分に求められない。
前記粒子混在層と前記高分子樹脂層の間の距離は、前記高分子樹脂層の面方向を基準として前記高分子樹脂層の一面と前記粒子混在層の間の距離のうち最短距離とする。または、前記粒子混在層と前記高分子樹脂層の間の距離は、前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域の厚さで定義することができる。
前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域が存在することは楕円偏光法(ellipsometry)により確認することができる。前記粒子混在層や前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域それぞれに対して楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率をコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、特定のコーシーパラメータA、BおよびCを有することで、前記粒子混在層や前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域それぞれは互いに区分される。
具体的には、前記光学機能層についてJ.A.Woollam Co.M-2000の装置を用いて、70°の入射角を適用して380~1000nmの波長範囲で線偏光を測定することができる。前記測定された線偏光の測定データ(Ellipsometry data(Ψ、Δ))をComplete EASE softwareを用いて前記光学機能層内の細部層に対して、下記の一般式2のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)することができる。
前記一般式2中、n(λ)はλ波長での屈折率(refractive index)であり、λは300nm~1800nmの範囲であり、A、BおよびCはコーシーパラメータである。
また、前記楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率を前記一般式2のコーシーモデル(Cauchy model)および拡散層モデル(Diffuse Layer Model)で最適化(fitting)することで、前記粒子混在層や前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域それぞれの厚さも導き出され得るため、前記光学機能層内で前記粒子混在層や前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域それぞれの定義が可能になる。
また、波長550nmでの反射率が0.5%以下である光学積層体は、波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が5以上、5~20、5.5~15、または6~12である。
前記光学積層体は、波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が5以上、または5~20、または5.5~15、または6~12である特性を満たすことで、前記光学積層体は、緑色領域での反射率に比べて青色領域での反射率が低い光学特性を有し得、したがって、低い反射率を実現しながらも無色透明な特性を有し得る。
前記波長550nmでの反射率が0.5%以下である光学積層体は、波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が5未満の場合、前記光学積層体が青色を帯びて偏光板またはディスプレイ装置に適用するのに適さない程度の不透明性または有色性を有する。特に、波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が5未満の光学積層体の場合、有機発光ダイオードディスプレイ装置の色再現力を低下させる。
前記波長550nmでの反射率が0.5%以下である光学積層体の波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が5以上、または5~20、または5.5~15、または6~12であることを満たす範囲において、前記光学積層体の波長550nmでの反射率は0.05%~5.0%、または0.06~4.0%であるか、または0.07~3.0%であるか、または0.08%~0.3%であり得る。
また、前記光学積層体の400nmでの反射率は0.5%~3.50%、または0.80%~2.0%であり得る。
前記光学積層体の波長550nmでの反射率に対して波長700nmでの反射率の比率が5以上、または5~20、または6~15、または7~12である特性を有し得る。したがって、前記光学積層体は、緑色領域での反射率に比べて青色領域での反射率が低い光学特性を有し得、これにより、低い反射率を実現しながらも無色透明な特性を有し得る。波長700nmでの反射率が波長550nmでの反射率に比べて過度に高い場合、赤色光領域の反射率が相対的に高くなり、当該光学フィルムは黄色くまたは赤く見えることがある。
一方、前記波長550nmでの反射率が0.5%以下である光学積層体は、前記光学機能層内に前記所定の厚さを有する粒子混在層を含み、前記波長550nmでの反射率が0.5%以下である光学積層体の波長550nmでの反射率に対して波長400nmでの反射率の比率が5以上、または5~20、または5.5~15、または6~12であり得るが、これにより、前記光学積層体は、CIE Lab色空間でb*の絶対値が4以下、または3以下、または2以下、または1.5以下の特性を有し得る。
前記CIE Lab色空間での各数値は、前記色空間の各座標を測定する一般的な方式を適用して測定することができ、例えば、測定位置に積分球形態の検出器(detector)を有する装置(分光光度計(spectrophotometer)、例えばCM-2600d、KONICA MINOLTA社製)を位置させた後、製造会社のマニュアルに従って測定することができる。一例として、前記CIE Lab色空間の各座標は、前記偏光子または偏光板を液晶パネル、例えば前記高反射液晶パネルに付着した状態で測定することもでき、前記偏光子または偏光板自体に対して測定することもできる。
前記CIE Lab色空間は、人間の視覚の拮抗理論に基づいてCIE XYZ色空間を非線形変換した色空間である。このような色空間でL*値は明るさを示し、L*値が0であれば黒い色、L*値が100であれば白色を示す。また、a*値が負数であれば緑色に偏った色になり、正数であれば赤色に偏った色になる。また、b*値が負数であれば青色に偏った色になり、b*値が正数であれば黄色に偏った色になる。
すなわち、前記光学積層体は、CIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下、または3以下、または2以下、または1.5以下である特性を有することで、低い反射率を実現しながらも赤みや青みを帯びている程度を顕著に減らして無色透明な特性を有し得る。
より具体的には、前記光学積層体の波長550nmでの反射率が0.5%以下であり得、このような低い反射率を実現しながらもCIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下、または3以下、または2以下、または1.5以下である特性を有し得る。
このように、低い反射率を実現し、かつCIE Lab色空間でb*値の絶対値は低い水準を維持することで、前記光学積層体は高いコントラスト比および輝度を有するディスプレイに容易に適用され、色再現率が高い性能を実現することができる。
前記光学積層体の上述した特徴を有するために、前記光学機能層内に中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含み、25~100nm、または35nm~90nm、または40nm~85nm、または50nm~80nm、または60nm~75nmの厚さを有する粒子混在層が存在することがある。
前記粒子混在層の厚さが薄すぎると、前記光学機能層の耐スクラッチ特性が低くなる。これに対し、前記粒子混在層の厚さが厚すぎる場合、これによって前記光学積層体の透明度などの光学特性が低下することがある。
前記粒子混在層の屈折率や厚さは多様な光学測定方法により確認することができ、例えば、楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率を拡散層モデル(Diffuse layer model)で最適化(fitting)する方法などを用いても確認可能である。
前記楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率および関連データ(Ellipsometry data(Ψ、Δ))は、通常知られている方法および装置を用いて測定することができる。例えば、前記光学機能層に含まれた粒子混在層または他の領域に対してJ.A.Woollam Co.M-2000の装置を用いて、70°の入射角を適用して380~1000nmの波長範囲で線偏光を測定することができる。
前記測定された線偏光測定データ(Ellipsometry data(Ψ、Δ))は、Complete EASE softwareを用いて粒子混在層に対しては拡散層モデル(Diffuse layer model)を、粒子混在層の下層および上層に対しては下記一般式2のコーシーモデル(Cauchy model)で前記2つの層に分けて適用して、MSEが5以下になるように最適化(fitting)することができる。
前記一般式2中、n(λ)はλ波長での屈折率(refractive index)であり、λは300nm~1800nmの範囲であり、A、BおよびCはコーシーパラメータである。
前記光学機能層に含まれた粒子混在層の厚さと屈折率の範囲が上述した上記の範囲を満たす場合、各層間の屈折率の急激な差を緩和させることができ、したがって、前記光学積層体は低い反射率を実現しながらも、CIE Lab色空間でb*値の絶対値が低い水準で維持される。
前記光学機能層は、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に分散した中空型無機ナノ粒子、ソリッド型シリカナノ粒子およびソリッド型ジルコニアナノ粒子を含み、前記ソリッド型シリカナノ粒子に対する前記ソリッド型ジルコニアナノ粒子の重量比は10以上、15~40、20~30、または23~28であり得る。
前記ソリッド型シリカナノ粒子に対する前記ソリッド型ジルコニアナノ粒子を10以上の重量比で含むことによって、高い透光率を有し、かつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現することができ、低い反射率およびヘイズを実現しながらも、ブラック視感が向上し、無色透明な特性を示すことができる。
一方、前記ソリッド型シリカナノ粒子に対する前記ソリッド型ジルコニアナノ粒子の重量比が10未満の場合、前記粒子混在層の厚さが増加し、これによって適正な屈折率差を付与できず、反射率およびヘイズが増加する。
一方、前記光学機能層に含まれるバインダー樹脂の組成または粒子の種類や含有量、光学機能層の形成時の具体的な工程(例えばコーティング速度やコーティング方法または乾燥条件など)、高分子樹脂層の特性などを調節して前記光学機能層内に粒子混在層を形成することができる。
このような例は、前記粒子混在層の形成のための方法や手段の例示に過ぎず、前記方法や手段を同時に用いる場合にのみ前記光学機能層内に粒子混在層が形成されるのではなく、光学機能層を形成する細部材料およびこれらの含有量、光学機能層の厚さ、高分子樹脂層の細部材料およびこれらの含有量、高分子樹脂層の表面特性および厚さなどに応じて調整することが可能である。すなわち、前記光学機能層内に粒子混在層の存在およびこれによる効果は明細書の説明や実施例に基づいて実現することができる。
例えば、前記光学積層体に含まれる高分子樹脂層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂および前記バインダー樹脂に分散した有機または無機微粒子;を含み得、このような高分子樹脂層上にバインダー樹脂ならびに中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含む光学機能層を所定の条件により形成する場合は前記粒子混在層が存在し得る。
また、前記光学積層体に含まれる高分子樹脂層は、34mN/m以上、または34mN/m~60mN/m、または35mN/m~55mN/mの表面エネルギーを有するが、このような範囲の表面エネルギーを有する高分子樹脂層上にバインダー樹脂ならびに中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含む光学機能層が形成される場合、界面の高い表面エネルギーによる光学機能層内での表面エネルギーの最適化過程で上述した粒子混在層が形成され得る。
前記高分子樹脂層が有する表面エネルギーは、前記高分子樹脂層の表面特性を調節することにより得られる。例えば、前記高分子樹脂層の表面硬化度、乾燥条件などを調節することによって、前記高分子樹脂層が有する表面エネルギーを調節することができる。
具体的には、前記高分子樹脂層の形成過程で硬化条件、例えば、光照射量または光照射強度や注入される窒素流量などを調節することによって、前記高分子樹脂層の硬化度を調節することができる。例えば、前記高分子樹脂層は、窒素大気条件を適用するために窒素パージした状態で、前記高分子樹脂層を形成する樹脂組成物を5~100mJ/cm2、または10~25mJ/cm2の露光量で紫外線を照射して得られる。
前記表面エネルギーは、通常知られている測定装置、例えばKruss社製のDSA-100接触角測定装置を用いて、di-water(Gebhardt)とdi-iodomethane(Owens)の接触角を10点(point)で測定して平均値を出した後、平均接触角を表面エネルギーに換算して測定することができる。具体的には、前記表面エネルギーの測定ではDropshape Analysisソフトウェアを用い、OWRK(Owen、Wendt、Rable、Kaelble) methodの下記一般式1をプログラム上に適用して接触角を表面エネルギーに換算することができる。
また、後述するように、光学機能層の形成時に乾燥温度、風量調節などを適用することにより前記粒子混在層が形成される。
具体的には、前記光学機能層の形成過程で乾燥条件、例えば、吸気または排気量を調節することによって乾燥過程で風量を調節することができる。例えば、前記光学機能層のコーティング後の乾燥過程で風量を0.5m/s以上、または0.5m/s~10m/s、または0.5m/s~8m/s、または0.5m/s~5m/sで行うこともできる。
より具体的には、前記高分子樹脂層の一面上に前記光学機能層が形成され、前記光学機能層は、バインダー樹脂に分散した中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含み、このとき、前記光学機能層において前記ソリッド型無機ナノ粒子の全体のうち50体積%以上、または60体積%以上、または70体積%以上、または前記数値以上または95体積%以下が前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間に存在する。
このように、前記ソリッド型無機ナノ粒子が前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域に主に分布することにより、前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域は、波長550nmで1.46~1.75の屈折率を有する。
「前記ソリッド型無機ナノ粒子の全体のうち50体積%以上が特定領域に存在する」とは、前記光学機能層の断面において前記ソリッド型無機ナノ粒子が前記特定領域にほとんど存在するという意味であり、具体的には、前記ソリッド型無機ナノ粒子の全体のうち70体積%以上は、前記ソリッド型無機ナノ粒子全体の体積を測定して確認することができる。
例えば、前記ソリッド型無機ナノ粒子および中空型無機ナノ粒子それぞれが主に分布する領域それぞれが光学機能層内に存在することを可視的に確認することができる。例えば、透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)または走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)などを用いて個別層または個別領域それぞれが光学機能層内に存在することを可視的に確認することができ、また、光学機能層内において当該層または当該領域それぞれに分布するソリッド型無機ナノ粒子および中空型無機ナノ粒子の比率も確認することができる。
また、前記光学機能層において、前記中空型無機ナノ粒子の全体のうち50体積%以上、または60体積%以上、または70体積%以上、または上記の数値以上または95体積%以下が、前記粒子混在層から前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面までの領域に存在する。前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面は、前記高分子樹脂層と接する面と反対側の面に位置する他面を意味する。
このように、前記中空型無機ナノ粒子が、前記粒子混在層から前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面までの領域に主に分布することにより、前記粒子混在層から前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面までの領域は、波長550nmで1.0~1.40の屈折率を有する。
前記光学積層体の光学機能層においては上述した粒子混在層が存在し、かつ前記高分子樹脂層と前記光学機能層の間の界面近傍にソリッド型無機ナノ粒子が主に分布し、前記界面と反対側の面には中空型無機ナノ粒子が主に分布するが、前記ソリッド型無機ナノ粒子および中空型無機ナノ粒子それぞれが主に分布する領域が光学機能層内で可視的に確認される独立した層を形成することができる。
具体的には、前記光学積層体の光学機能層中の前記高分子樹脂層と前記光学機能層の間の界面近傍にソリッド型無機ナノ粒子を主に分布させ、前記界面と反対側の面には中空型無機ナノ粒子を主に分布させる場合、以前に無機粒子を使用して得られた実際の反射率に比べてより低い反射率を達成することができ、大きく向上した耐スクラッチ性および防汚性を共に実現することができる。
そして、前記実施形態の光学積層体においては光学機能層内でソリッド型無機ナノ粒子および中空型無機ナノ粒子が偏在する領域が前記粒子混在層を基準にして分かれ、これによって前記光学積層体は、波長550nmでの反射率が0.5%以下であり、かつCIE Lab色空間でb*値の絶対値が4以下、または3以下、または2以下、または1.5以下になり、したがって、低い反射率を実現しながらも青みを帯びている程度を顕著に減らして無色透明な特性を有する。
また、前記粒子混在層を含む光学機能層において、前記高分子樹脂層と光学機能層の間の界面から前記光学機能層の厚さ5nm~10nmの領域でのケイ素元素に対するジルコニウム元素の体積比が2.6未満、0.5~2.0、1.0~1.8または1.2~1.6であり得る。
また、前記高分子樹脂層と光学機能層の間の界面から前記光学機能層の厚さ50nm~150nmの領域で、ケイ素元素に対するジルコニウム元素の体積比が1.62以上、1.70~2.5、1.75~2.3または1.80~2.0であり得る。
上述した領域でケイ素元素に対するジルコニウム元素の体積比は、上述した領域で体積比の算術平均値に相当する。
また、上述した領域でケイ素元素に対するジルコニウム元素の体積比が上述した範囲を満たすことによって、低い反射率を実現しながらも無色透明な特性を有し、さらに高い透光率を有し、かつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現することができる。
前記高分子樹脂層と光学機能層の間の界面から前記光学機能層の厚さ5nm~10nmの領域で、ケイ素元素に対するジルコニウム元素の体積比が2.6以上であれば、低い反射率を実現しにくいか、または無色透明な特性を示しにくい。
前記高分子樹脂層と光学機能層の間の界面から前記光学機能層の厚さ50nm~150nmの領域で、ケイ素元素に対するジルコニウム元素の体積比が1.62未満であれば、低い反射率を実現しにくいか、または無色透明な特性を示しにくい。
また、前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域および前記粒子混在層から前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面までの領域それぞれは個別の層に区分され、上述したように、これらの個別の層に分布するケイ素元素およびジルコニウム元素の体積比も区分される。
より具体的には、前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域に対して楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率を下記一般式2中のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、Aは1.00~1.65であり、Bは0.0010~0.0350であり、Cは0~1×10-3の条件を満たすことができる。また、前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域に対して、Aは1.25~1.55、1.30~1.52、または1.45~1.51であり、かつBは0.0010~0.0150、0.0010~0.0080、または0.0010~0.0050であり、かつCは0~8.0×10-4、0~5.0×10-4、または0~4.1352×10-4の条件を満たすことができる。
前記一般式2中、n(λ)はλ波長での屈折率(refractive index)であり、λは300nm~1800nmの範囲であり、A、BおよびCはコーシーパラメータである。
また、前記粒子混在層から前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面までの領域に対して楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率を前記一般式2のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、Aは1.00~1.50であり、Bは0~0.007であり、Cは0~1×10-3の条件を満たすことができる。また、前記粒子混在層から前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面までの領域に対して、Aは1.00~1.30、1.00~1.20、1.00~1.09、または1.00~1.05であり、かつBは0~0.0060、0~0.0055、または0~0.00513であり、かつCは0~8×10-4、0~5.0×10-4、または0~4.8685×10-4の条件を満たすことができる。
また、前記粒子混在層に対して楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率を前記一般式2のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、Aは1.100~1.200、1.130~1.199、1.150~1.198、または1.180~1.195であり、Bは0~0.007、0~0.006、0~0.005、または0~0.004であり、Cは0~1×10-3、0~8×10-4、0~5.0×10-4、または0~4.8685×10-4の条件を満たすことができる。
一方、前記粒子混在層、前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域および前記粒子混在層から前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面までの領域それぞれは一つの層内で共通した光学特性を共有することができ、したがって、一つの層として定義される。
より具体的には、前記粒子混在層、前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域および前記粒子混在層から前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面までの領域それぞれは、楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率を前記一般式2のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、特定のコーシーパラメータA、BおよびCを有し、したがって、各領域は互いに区分される。また、前記楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率を前記一般式2のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)することでそれぞれの領域の厚さも導き出されるため、前記光学機能層内でそれぞれの領域の定義が可能になる。
一方、前記楕円偏光法(ellipsometry)により測定した偏極の楕円率を前記一般式2のコーシーモデル(Cauchy model)で最適化(fitting)したとき、導き出されるコーシーパラメータA、BおよびCは一つの領域内での平均値であり得る。したがって、前記それぞれの領域の間に界面が存在する場合、前記それぞれの領域が有するコーシーパラメータA、BおよびCが重なる。ただし、この場合でも、前記それぞれの領域それぞれが有するコーシーパラメータA、BおよびCの平均値を満たす領域に応じて、前記それぞれの領域の厚さおよび位置が特定される。
一方、前記中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子が特定された領域に存在するか否かは、それぞれの中空型無機ナノ粒子またはソリッド型無機ナノ粒子が前記特定された領域内に粒子が存在するかどうかにより決定し、前記特定領域の境界面にかけて存在する粒子は除いて決定する。
上述した粒子混在層を含む光学機能層は、前記高分子樹脂層に比べて平均屈折率が低く、例えば、前記光学機能層は、波長550nmで平均屈折率が1.46以下、1.43以下、1.40以下、または1.39~1.30であり得る。また、前記高分子樹脂層は、波長550nmで平均屈折率が1.46超過、1.47以上または1.49~1.52であり得る。
一方、前述したように、光学機能層においても「前記高分子樹脂層の一面から前記粒子混在層の間の領域の屈折率は、波長550nmで1.46~1.75」であり、「前記粒子混在層から前記高分子樹脂層に対向する光学機能層の一面までの領域の屈折率は、波長550nmで1.0~1.40」であるが、前記光学機能層の平均屈折率は、このような領域と粒子混在層をすべて包括する前記光学機能層全般の屈折率の平均値を意味する。同様に、高分子樹脂層の平均屈折率も層全般にわたって測定された屈折率の平均値を意味する。
前記光学機能層において前記ソリッド型無機ナノ粒子および中空型無機ナノ粒子の特異的分布は、後述する特定の製造方法において、上述したナノ粒子を含む光学機能層形成用の光硬化性樹脂組成物を乾燥温度、乾燥風量、乾燥時間などを調節するなどの方法および上述した粒子混在層の形成方法などにより得られる。
前記光学積層体が波長550nmで0.5%以下の反射率を有するために、前記中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を選択する場合、これらの間の屈折率差の大きい種類が選択される。
より具体的には、前記ソリッド型無機ナノ粒子と前記中空型無機ナノ粒子との密度の差が0.7~8.5g/cm3、0.8~7.5g/cm3、0.9~6.5g/cm3、1.1~5.5g/cm3、1.20~4.5g/cm3または1.24~4.27g/cm3であり得る。
ソリッド型無機ナノ粒子と中空型無機ナノ粒子との密度の差が大きすぎる場合、前記ソリッド型無機ナノ粒子が高分子樹脂層に密集して前記中空型無機ナノ粒子が主に分布する領域から分離されるか、またはソリッド型無機ナノ粒子および中空型無機ナノ粒子が主に分布する領域の間に粒子が実質的に存在しない中間層が形成される。このように前記ソリッド型無機粒子が光学機能層と高分子樹脂層との界面に集中して集まるか、または前記光学機能層の形成過程で粒子の移動および偏在が円滑でない場合もあり、光学機能層の表面に染みが発生するか、または光学機能層のヘイズ(Haze)が大きく上昇して透明度が低下することがある。
また、ソリッド型無機ナノ粒子と中空型無機ナノ粒子との密度の差が小さすぎる場合、上述したソリッド型無機ナノ粒子および中空型無機ナノ粒子の偏在が現れないので、反射率が大きく上昇するか、または無色透明な特性が現れない。
したがって、前記一実施形態の光学積層体に含まれる光学機能層は、上述した密度差を有する無機粒子を含み、高い透光率を有し、かつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現することができ、低い反射率およびヘイズを実現しながらも、ブラック視感が向上し、無色透明な特性を有し得る。
より具体的には、前記ソリッド型無機ナノ粒子が、前記中空型無機ナノ粒子に比べてさらに高い密度を有し、例えば、前記ソリッド型無機ナノ粒子が1.2~10.5g/cm3、2.0~7.5g/cm3または3.0~5.5g/cm3の密度を有し、前記中空型無機ナノ粒子は0.50g/cm3~2.00g/cm3、0.70g/cm3~1.80g/cm3または1.00g/cm3~1.60g/cm3の密度を有する。
前記ソリッド型無機ナノ粒子として、ソリッド型ジルコニアナノ粒子およびソリッド型シリカナノ粒子を含み得る。この時、前記ソリッド型ジルコニアナノ粒子の密度は3~7g/cm3または5~6g/cm3であり、前記ソリッド型シリカナノ粒子の密度は2~4g/cm3または2.5~3.0g/cm3である。
また、前記中空型無機ナノ粒子の具体的な種類としては、中空シリカなどが挙げられる。
一方、前記光学機能層は、前記バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に分散した中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含む。
前記ソリッド型無機ナノ粒子は100nm以下の最大直径を有し、その内部に空き空間が存在しない形態の粒子を意味する。
また、前記中空型無機ナノ粒子は200nm以下の最大直径を有し、その表面および/または内部に空き空間が存在する形態の粒子を意味する。
前記ソリッド型無機ナノ粒子は0.5~100nm、または1~50nm、または5~30nm、または10~20nmの直径を有する。
前記中空型無機ナノ粒子は1~200nm、または10~100nm、または50~120nm、または30~90nm、または40~80nmの直径を有する。
前記中空型無機ナノ粒子と前記ソリッド型無機ナノ粒子とは、互いに異なる直径を有する。
また、前記中空型無機ナノ粒子の直径は、前記ソリッド型無機ナノ粒子の直径より大きくてもよい。
前記ソリッド型無機ナノ粒子および前記中空型無機ナノ粒子それぞれの直径は、断面で確認される前記ナノ粒子の最長径を意味する。
一方、前記ソリッド型無機ナノ粒子および前記中空型無機ナノ粒子それぞれは、表面に(メタ)アクリレート基、エポキシド基、ビニル基(Vinyl)およびチオール基(Thiol)からなる群より選択される1種以上の反応性官能基を含有することができる。前記ソリッド型無機ナノ粒子および前記中空型無機ナノ粒子それぞれの表面に上述した反応性官能基を含有することで、前記光学機能層はさらに高い架橋度を有することができ、したがって、より向上した耐スクラッチ性および防汚性を確保することができる。
前記光学機能層は、前記光硬化性コーティング組成物を所定の基材上に塗布し、塗布された結果物を光硬化することにより得られる。前記基材の具体的な種類や厚さは大きく限定されるものではなく、光学機能層または光学積層体の製造に使用される公知の基材を大きな制限なく使用することができる。
前記光硬化性コーティング組成物の塗布に通常用いられる方法および装置を格別な制限なく使用することができ、例えば、Meyer barなどのバーコーティング法、グラビアコーティング法、2 roll reverseコーティング法、vacuum slot dieコーティング法、2rollコーティング法などを使用することができる。
前記光学機能層は、20nm~240nm、または50nm~200nm、または80nm~180nmの厚さを有する。
前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階で200~400nm波長の紫外線または可視光線を照射することができ、照射時の露光量は100~4,000mJ/cm2であることが好ましい。露光時間も特に限定されるものではなく、用いられる露光装置、照射光線の波長または露光量に応じて適宜変更することができる。
また、前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階で窒素大気条件を適用するために窒素パージなどを行うことができる。
一方、前記光学機能層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体および光反応性官能基を含む含フッ素化合物の間の架橋(共)重合体を含み得る。
上述した光学機能層は、光重合性化合物、光反応性官能基を含む含フッ素化合物、中空型無機ナノ粒子、ソリッド型無機ナノ粒子および光開始剤を含む光硬化性コーティング組成物から製造される。これにより、前記光学機能層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体および光反応性官能基を含む含フッ素化合物の間の架橋(共)重合体を含み得る。
前記含フッ素化合物を含むバインダー樹脂の疎水性と高分子樹脂層の高い表面エネルギーによる親水性によって、光学積層体の乾燥過程中に前記含フッ素化合物がコーティング層の表面に動く速度に影響を及ぼす。これによって溶媒中に対流が形成され、溶媒に均一に分布していた微細粒子は、その粒子の特性に応じて異なる挙動を示す。特に、この過程で各粒子は互いに異なる複数の層を形成することができ、それぞれの層を形成させる途中で溶媒の蒸発が終了すると上述した粒子混在層が形成される。
前記含フッ素化合物の表面上昇が中空型無機ナノ粒子の表面上昇を誘導することができ、相対的に小さいサイズを有するソリッド型無機ナノ粒子はその影響を少なく受けて各粒子の相分離が起こることができ、その過程で溶媒の蒸発が終了して粒子の流動性がなくなり、前記光学機能層内に上述した混在層の所定の厚さをもって形成される。
前記光重合性化合物は、上述した単量体またはオリゴマー以外にフッ素系(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーをさらに含む。前記フッ素系(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーをさらに含む場合、前記(メタ)アクリレートまたはビニル基を含む単量体またはオリゴマーに対する前記フッ素系(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーの重量比は0.1%~10%であり得る。
前記フッ素系(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーの具体的な例としては、下記化学式11~化学式15からなる群より選択される1種以上の化合物が挙げられる。
前記化学式11中、R1は水素基または炭素数1~6のアルキル基であり、aは0~7の整数であり、bは1~3の整数である。
前記化学式12中、cは1~10の整数である。
前記化学式13中、dは1~11の整数である。
前記化学式14中、eは1~5の整数である。
前記化学式15中、fは4~10の整数である。
一方、前記光学機能層には前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物に由来する部分が含まれる。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物には、1以上の光反応性官能基が含まれるかまたは置換され、前記光反応性官能基は、光の照射により、例えば、可視光線または紫外線の照射によって重合反応に参加できる官能基を意味する。前記光反応性官能基は、光の照射によって重合反応に参加し得る公知の多様な官能基を含み、その具体的な例としては、(メタ)アクリレート基、エポキシド基、ビニル基(Vinyl)またはチオール基(Thiol)が挙げられる。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物それぞれは、2,000~200,000、好ましくは5,000~100,000の重量平均分子量(GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)を有する。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の重量平均分子量が小さすぎると、前記光硬化性コーティング組成物において含フッ素化合物が表面に均一に効果的に配列されず、最終的に製造される光学機能層の内部に位置するようになり、これにより、前記光学機能層表面の防汚性が低下し、前記光学機能層の架橋密度が低くなり、全体的な強度や耐スクラッチ性などの機械的物性が低下する。
また、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の重量平均分子量が高すぎると、前記光硬化性コーティング組成物において他の成分との相溶性が低くなり、これにより、最終的に製造される光学機能層のヘイズが高くなるか、または光透過度が低くなり、前記光学機能層の強度も低下する。
具体的には、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は、i)一つ以上の光反応性官能基が置換され、少なくとも一つの炭素に1以上のフッ素が置換された脂肪族化合物または脂環式化合物;ii)1以上の光反応性官能基で置換され、少なくとも一つの水素がフッ素で置換され、一つ以上の炭素がケイ素で置換されたヘテロ(hetero)脂肪族化合物またはヘテロ(hetero)脂環式化合物;iii)一つ以上の光反応性官能基が置換され、少なくとも一つのケイ素に1以上のフッ素が置換されたポリジアルキルシロキサン系高分子(例えば、ポリジメチルシロキサン系高分子);iv)1以上の光反応性官能基で置換され、少なくとも一つの水素がフッ素で置換されたポリエーテル化合物、または前記i)~iv)のうちの2以上の混合物またはこれらの共重合体が挙げられる。
前記光硬化性コーティング組成物は、前記光重合性化合物100重量部に対して前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物20~300重量部を含み得る。
前記光重合性化合物に対して前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物が過剰に添加される場合、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物のコーティング性が低下するか、または前記光硬化性コーティング組成物から得られた光学機能層が十分な耐久性や耐スクラッチ性を有し得ない。また、前記光重合性化合物に対して前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の量が小さすぎると、前記光硬化性コーティング組成物から得られた光学機能層が十分な防汚性や耐スクラッチ性などの機械的物性を有し得ない。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は、ケイ素またはケイ素化合物をさらに含み得る。すなわち、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は選択的に内部にケイ素またはケイ素化合物を含有し、具体的には、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物中のケイ素の含有量は0.1重量%~20重量%であり得る。
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物に含まれるケイ素は、前記実施形態の光硬化性コーティング組成物に含まれる他の成分との相容性を高めることができ、したがって、最終的に製造される屈折層にヘイズ(haze)が発生することを防止して透明度を高める役割を果たすことができる。一方、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物中のケイ素の含有量が多すぎると、前記光硬化性コーティング組成物に含まれた他の成分と前記含フッ素化合物の間の相溶性がむしろ低下することがあり、したがって、最終的に製造される光学機能層や光学積層体が十分な透光度や反射防止性能を有さず、表面の防汚性も低下する。
前記光学機能層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記中空型無機ナノ粒子10~400重量部、20~350重量部、または50~300重量部で含まれる。また、前記光学機能層は、前記光重合性化合物の(共)重合体100重量部に対して前記ソリッド型無機ナノ粒子10~400重量部、20~350重量部、または50~300重量部で含まれる。
前記光学機能層中の前記中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子の含有量が多すぎる場合、前記光学機能層の製造過程で前記中空型無機ナノ粒子とソリッド型無機ナノ粒子の間の相分離が十分に起こらず、混在して反射率が高くなり、表面凹凸の過多発生により防汚性が低下することがある。また、前記光学機能層中の前記中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子の含有量が少なすぎる場合、前記高分子樹脂層と前記光学機能層の間の界面から近い領域に前記ソリッド型無機ナノ粒子中の多数が位置することが難しくなり、前記光学機能層の反射率は非常に高くなる。
前記中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子それぞれは、所定の分散媒に分散したコロイド状に組成物に含まれる。前記中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含むそれぞれのコロイド状は分散媒として有機溶媒を含み得る。
前記光硬化性コーティング組成物中の前記中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子それぞれの含有量の範囲や前記光硬化性コーティング組成物の粘度などを考慮して、前記中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子それぞれのコロイド状中の含有量が決定され、例えば、前記コロイド状中の前記中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子それぞれの固形分含有量は5重量%~60重量%であり得る。
ここで、前記分散媒中の有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトンなどのエステル類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどのエーテル類;またはこれらの混合物が含まれる。
前記光重合開始剤としては、光硬化性樹脂組成物に使用可能な公知の化合物であれば特に制限なく使用することができ、具体的には、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
前記光重合性化合物100重量部に対して、前記光重合開始剤は1~100重量部の含有量で使用される。前記光重合開始剤の量が小さすぎると、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化段階で未硬化の残留物が発生することがある。前記光重合開始剤の量が多すぎると、未反応開始剤が不純物として残留するか、または架橋密度が低くなり、製造されるフィルムの機械的物性が低下するか、または反射率が非常に高くなる。
一方、前記光硬化性コーティング組成物は、有機溶媒をさらに含み得る。
前記有機溶媒の非制限的な例としては、ケトン類、アルコール類、アセテート類およびエーテル類、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
このような有機溶媒の具体的な例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンまたはイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、ジアセトンアルコール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、またはt-ブタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、i-プロピルアセテート、またはポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアセテート類;テトラヒドロフランまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記有機溶媒は、前記光硬化性コーティング組成物に含まれる各成分を混合する時期に添加されるか、または各成分が有機溶媒に分散または混合された状態で添加されることで前記光硬化性コーティング組成物に含まれる。前記光硬化性コーティング組成物中の有機溶媒の含有量が小さすぎると、前記光硬化性コーティング組成物の流れ性が低下して、最終的に製造されるフィルムに縞模様が生じるなどの不良が発生することがある。また、前記有機溶媒を過剰に添加時、固形分含有量が低くなり、コーティングおよび成膜が十分に行われず、フィルムの物性や表面特性が低下することがあり、乾燥および硬化過程で不良が発生する。したがって、前記光硬化性コーティング組成物は、含まれる成分全体の固形分の濃度が1重量%~50重量%、または2~20重量%となるように有機溶媒を含む。
一方、前記実施形態の光学積層体は、光硬化型化合物またはその(共)重合体、光反応性官能基を含む含フッ素化合物、光開始剤、中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含む光学機能層形成用樹脂組成物を高分子樹脂層上に塗布し、35℃~100℃の温度で乾燥する段階と、前記樹脂組成物の乾燥物を光硬化する段階と、を含む光学積層体の製造方法により提供される。
前記光学機能層は、光硬化型化合物またはその(共)重合体、光反応性官能基を含む含フッ素化合物、光開始剤、中空型無機ナノ粒子およびソリッド型無機ナノ粒子を含む光学機能層形成用樹脂組成物を高分子樹脂層上に塗布し、35℃~100℃、または40℃~80℃の温度で乾燥することにより形成される。
前記高分子樹脂層上に塗布された光学機能層形成用樹脂組成物を乾燥する温度が35℃未満の場合、前記形成される光学機能層が有する防汚性が大きく低下する。また、前記高分子樹脂層上に塗布された光学機能層形成用樹脂組成物を乾燥する温度が100℃を超える場合、前記光学機能層の製造過程で前記中空型無機ナノ粒子とソリッド型無機ナノ粒子の間の相分離が十分に起こらず、混在して前記光学機能層の耐スクラッチ性および防汚性が低下するだけでなく、反射率も非常に高くなる。
前記高分子樹脂層上に塗布された光学機能層形成用樹脂組成物を乾燥する過程で前記乾燥温度とともに前記ソリッド型無機ナノ粒子と中空型無機ナノ粒子との密度差を調節することで上述した特性を有する光学機能層を形成することができる。
一方、前記高分子樹脂層上に塗布された光学機能層形成用樹脂組成物を35℃~100℃の温度で乾燥する段階は10秒~5分間、または30秒~4分間行われる。
前記乾燥時間が短すぎる場合、上述した前記ソリッド型無機ナノ粒子と中空型無機ナノ粒子の間の相分離現象が十分に起こらない。これに対して、前記乾燥時間が長すぎる場合、前記形成される光学機能層が高分子樹脂層を侵食する。
前記高分子樹脂層は0.1μm~100μmの厚さを有する。
前記高分子樹脂層の一例として、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂および前記バインダー樹脂に分散した有機または無機微粒子を含む高分子樹脂層が挙げられる。
前記高分子樹脂層に含まれる光硬化型樹脂は、紫外線などの光が照射されると重合反応を起こし得る光硬化型化合物の重合体であって、当業界における通常のものであり得る。具体的には、前記光硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート、およびポリエーテルアクリレートからなる反応性アクリレートオリゴマー群;およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチレンプロピルトリアクリレート、プロポキシ化グリセロールトリアクリレート、トリメチルプロパンエトキシトリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、プロポキシ化グリセロールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、およびエチレングリコールジアクリレートからなる多官能性アクリレート単量体群より選択される1種以上を含み得る。
前記有機または無機微粒子の粒径は具体的に限定されるものではないが、例えば、有機微粒子は1~10μmの粒径を有し、前記無機粒子は1nm~500nm、または1nm~300nmの粒径を有する。前記有機または無機微粒子の粒径は体積平均粒径で定義される。
また、前記高分子樹脂層に含まれる有機または無機微粒子の具体的な例に限定されるものではないが、例えば、前記有機または無機微粒子はアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシド樹脂およびナイロン樹脂からなる有機微粒子であるか、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウムおよび酸化亜鉛からなる無機微粒子であり得る。
前記高分子樹脂層のバインダー樹脂は、重量平均分子量10,000以上の高分子量(共)重合体をさらに含み得る。
前記高分子量(共)重合体は、セルロース系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、エポキシド系ポリマー、ナイロン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびポリオレフィン系ポリマーからなる群より選択される1種以上であり得る。
一方、前記高分子樹脂層のまた他の一例として、光硬化性樹脂のバインダー樹脂;および前記バインダー樹脂に分散した帯電防止剤を含む高分子樹脂層が挙げられる。
前記高分子樹脂層に含まれる光硬化型樹脂は、紫外線などの光が照射されると重合反応を起こす光硬化型化合物の重合体であって、当業界における通常のものであり得る。ただし、好ましくは、前記光硬化型化合物は、多官能性(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーであり、このとき、(メタ)アクリレート系官能基の数は2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~7であることが高分子樹脂層の物性確保の側面から有利である。より好ましくは、前記光硬化型化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であり得る。
前記帯電防止剤は、四級アンモニウム塩化合物;ピリジニウム塩;1~3個のアミノ基を有するカチオン性化合物;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性化合物;アミノ酸系またはアミノ硫酸エステル系化合物などの両性化合物;イミノアルコール系化合物、グリセリン系化合物、ポリエチレングリコール系化合物などの非イオン性化合物;スズまたはチタンなどを含む金属アルコキシド化合物などの有機金属化合物;前記有機金属化合物のアセチルアセトナート塩などの金属キレート化合物;このような化合物の2種以上の反応物または高分子化物;このような化合物の2種以上の混合物であり得る。ここで、前記四級アンモニウム塩化合物は、分子内に1個以上の四級アンモニウム塩基を有する化合物であり得、低分子形または高分子形を制限なく使用することができる。
また、前記帯電防止剤としては、導電性高分子と金属酸化物微粒子を使用することもできる。前記導電性高分子としては、芳香族共役系ポリ(パラフェニレン)、ヘテロ環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、脂肪族共役系のポリアセチレン、ヘテロ原子を含有した共役系のポリアニリン、混合形態共役系のポリ(フェニレンビニレン)、分子中に複数の共役鎖を有する共役系である複鎖型共役系化合物、共役高分子鎖を飽和高分子にグラフトまたはブロック共重合させた導電性複合体などがある。また、前記金属酸化物微粒子としては、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、インジウムスズ酸化物、酸化インジウム、酸化アルミニウム、アンチモンドーピングされた酸化スズ、アルミニウムドーピングされた酸化亜鉛などが挙げられる。
前記光硬化性樹脂のバインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した帯電防止剤を含む高分子樹脂層は、アルコキシシラン系オリゴマーおよび金属アルコキシド系オリゴマーからなる群より選択される1種以上の化合物をさらに含み得る。
前記アルコキシシラン系化合物は、当業界における通常のものであり得るが、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択される1種以上の化合物であり得る。
また、前記金属アルコキシド系オリゴマーは、金属アルコキシド系化合物および水を含む組成物のゾル-ゲル反応により製造することができる。前記ゾル-ゲル反応は、上述したアルコキシシラン系オリゴマーの製造方法に準ずる方法により行うことができる。
ただし、前記金属アルコキシド系化合物は水と急激に反応することがあるので、前記金属アルコキシド系化合物を有機溶媒に希釈した後、水を徐々にドロップする方法により前記ゾル-ゲル反応を行うことができる。このとき、反応効率などを勘案して、水に対する金属アルコキシド化合物のモル比(金属イオン基準)は3~170の範囲内で調節することが好ましい。
ここで、前記金属アルコキシド系化合物としては、チタンテトラ-イソプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、およびアルミニウムイソプロポキシドからなる群より選択される1種以上の化合物であり得る。
前記光学積層体は、前記光学機能層に対向するように高分子樹脂層の他面に形成される光透過性基材層をさらに含む。
前記光透過性基材層は、300nm以上の波長で透過率が50%以上、75%以上、85%以上、または95%以上であり得る。
前記光透過性基材層は、透明性プラスチック樹脂を含む。前記プラスチック樹脂の具体的な例としては、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂またはスルホン系樹脂などが挙げられ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用される。
より具体的には、前記光透過性基材層は、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephtalate、PET)、環状オレフィン共重合体(cyclic olefin copolymer、COC)、ポリアクリレート(polyacrylate、PAC)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketon、PEEK)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate、PEN)、ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリアミドイミド(polyamideimide、PAI)およびトリアセチルセルロース(triacetylcellulose、TAC)の少なくとも一つを含み得る。
一方、前記光透過性基材層は単層であってもよく、または互いに同一または異なる物質からなる2層以上の多層構造であってもよい。一例として、前記支持基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)の多層構造体、ポリメチルメタクリレート(PMMA)/ポリカーボネート(PC)の共押出で形成した多層構造体、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)とポリカーボネート(PC)の共重合体(copolymer)を含む単一層構造体であり得る。
また、前記光透過性基材層は、必要に応じてプラズマ表面処理されたものであり、その方法は特に限定されず、通常の方法により行うことができる。
また、前記光透過性基材層は、その厚さが厚すぎるか、または薄すぎると、表面硬度、耐衝撃性の低下またはフォールディング特性の問題があるので、その範囲を適切に設定することが好ましい。一例としては、前記光透過性基材は20~200μm、30~150μm、または50~120μmの厚さを有する。
本発明の他の実施形態によれば、前記光学積層体を含む偏光板が提供される。
前記偏光板は、偏光子と前記偏光子の少なくとも一面に形成された光学積層体を含み得る。
前記偏光子の材料および製造方法は特に限定されず、当技術分野に知られている通常の材料および製造方法を使用することができる。例えば、前記偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光子であり得る。
前記偏光子と前記光学積層体は、水系接着剤または非水系接着剤などの接着剤により貼り合わせることができる。
本発明のさらに他の実施形態によれば、上述した光学積層体を含むディスプレイ装置が提供される。
前記ディスプレイ装置の具体的な例は限定されず、例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ装置、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diodes)ディスプレイ装置、フレキシブルディスプレイ装置などの装置であり得る。
前記ディスプレイ装置において、前記光学積層体は、ディスプレイパネルの観測者側またはバックライト側の最外郭表面に備えられる。
前記光学積層体を含むディスプレイ装置は、1対の偏光板のうち相対的にバックライトユニットと距離が遠い偏光板の一面に光学積層体が位置し得る。
また、前記ディスプレイ装置はディスプレイパネル、前記パネルの少なくとも一面に備えられた偏光子および前記偏光子のパネルと接する反対側面に備えられた光学機能層を含み得る。
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記光学積層体を含む有機発光ダイオードディスプレイ装置が提供される。
通常、有機発光ダイオードディスプレイ装置は、高解像度および高い色再現力を有するが、高い色値、例えば、CIE Lab色空間でb*の絶対値が4超過の特性を有する光学積層体の場合、有機発光ダイオードディスプレイ装置の色再現力を低下させる。
これに対して、前記一実施形態の光学積層体は、高い透光率および低い反射率を実現しながらも、CIE Lab色空間でb*の絶対値が4以下と低い色値を有するので無色透明な特性を有し、したがって、有機発光ダイオードディスプレイ装置の色再現力をそのまま維持または高める効果を実現することができる。