JP2018089931A - 印刷物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら分子量の大きな光重合開始剤はとかく高価であり、これを使ったインキの価格を押し上げることとなる。
更に低マイグレーションを実現するために、UVオフセットインキ(プロセス4色や特色)やオーバープリントニス(以降 OPニスに略)、クリヤーニスなど全てを低マイグレーションタイプのインキにする必要あり、インキ、ニス類の切り替えの伴う印刷作業は煩雑となり生産効率が上がらない問題点も挙げられる。
前記溶出試験法の手順としては、
1.少なくとも2つの印刷物の、印刷面と印刷裏面とが接するように重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm2、25℃雰囲気下で10日間加圧する。
2.印刷裏面が印刷面と接触していた印刷物を使用して印刷面の総インキ量が60mgとなるように加圧後の印刷物を成形した後、印刷裏面の全てが液面に接するように容積1000cm3で、且つ、1000cm3の内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cm2の液体容器を作製し、エタノール水溶液(エタノール50質量%と純水50質量%の混合溶液)1000cm3を注ぎ密閉する。
3.密閉した液体容器を40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にてエタノール水溶液に含まれる数平均分子量300以下の芳香族化合物を定量するものである。
更に、前記基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層としては、硬化反応に伴い黄変しない事も重要である。
尚、前記溶出試験法の手順としては、下記に従うものである。
1.少なくとも2つの印刷物の、印刷面と印刷裏面とが接するように重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm2、25℃雰囲気下で10日間加圧する。
2.印刷裏面が印刷面と接触していた印刷物を使用して印刷面の総インキ量が60mgとなるように加圧後の印刷物を成形した後、印刷裏面の全てが液面に接するように容積1000cm3で、且つ、1000cm3の内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cm2の液体容器を作製し、エタノール水溶液(エタノール50質量%と純水50質量%の混合溶液)1000cm3を注ぎ密閉する。
3.密閉した液体容器を40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にてエタノール水溶液に含まれる分子量300以下の芳香族化合物を定量するものである。
また、基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層を形成するに当たっては、オフセット印刷方式は基より、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェット印刷方式等の各種印刷方式を採用する事ができ、またこれらを組合せて印刷してもよい。
更に、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層を形成するに当たっては、
ロールコーターやチャンバーコーターといったコーターユニットで全面塗布可能なクリヤーニスを用いる事ができるものである。
前記2官能以上の重合性アクリレートモノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチルー2−エチルー1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
低マイグレーション性能を発現させる点においては、より反応性の高い2官能以上のアクリレートモノマーを用いることが好ましいが、用途に応じて印刷基材への接着性、硬化塗膜の柔軟性等の必要物性を得る為に、適宜単官能アクリレートモノマーを併用することが可能である。
またα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤を高分子量化し重合性基を導入した組成物(数平均分子量約1100)が「イルガキュアLEX201」の名称でBASF社より販売されており、低マイグレーション性能に優れており同様に本発明において好適に利用することができる。
前記透明被膜層の膜厚が2μmを下回ると下地の活性エネルギー線硬化インキ層とのはじき等が生じた際に被覆が十分でなくマイグレーションし易くなる。前記透明被膜層の膜厚が10μmを上回ると硬化後の収縮が大きくなって被膜が剥離し易い傾向にある。
透明被膜層を形成するための透明紫外線硬化性組成物は、コーターユニットを用いて塗布する都合上、ザーンカップ粘度計No.4を用いた液温25℃における秒数が7秒〜90秒の範囲にあることが好ましい。粘度が7秒を下回ると塗工中にニス飛沫が飛び散るトラブルが発生し易くなる一方、粘度が90秒を上回ると良好な塗工適性が得られず均一な塗膜を得ることが困難となる。
中でも高分子量化されたアミノベンゾエート類である、Rahn.AG社製の「Genopol AB−1(数平均分子量:860)」や、IGM社製の「Ominipol ASA(数平均分子量:488〜532)」又はLamberti社製の「Esacure A198(数平均分子量:413)」は、比較的分子量が高くマイグレーションし難い点において好ましい。紫外線硬化型インキ用に使用される芳香族3級アミンとしてはアルキルアミノベンゾエート類があり、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(数平均分子量193.2)、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート(数平均分子量193.2)、2−エチルヘキシル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(数平均分子量277.4)、等が挙げられるが、比較的低分子量でありマイグレーションし易いことから好ましくない。
尚、本発明の印刷物の透明被覆層をコーターユニットで作製する場合、活性エネルギー線硬化インキ層を形成後、経時をもってオフラインで透明被覆層を形成するよりも、活性エネルギー線硬化インキ層を形成直後にインラインで直ちに透明被覆層を形成すれば、よりマイグレーションを抑制できる。即ち、活性エネルギー線硬化インキ層を形成するための活性エネルギー線硬化性インキを印刷後、紫外線照射した後、オフラインで透明被覆層を形成するニスを印刷するよりも、エネルギー線硬化性インキを印刷後、インラインで連続してニスを印刷後、紫外線照射した方がよりマイグレーションを抑制した印刷物を得る事が出来る。
4質量%未満の添加量では良好な乾燥性を得ることが困難であり、また25質量%を超える添加量では、開始剤量が過剰となり、ニス流動性や低マイグレーション性能を損なうことから好ましくない。
また、2官能以上の重合性アクリレートモノマーの含有量が透明紫外線硬化性組成物全量の10質量%未満であると、硬化性が低下し乾燥性及び低マイグレーション性が悪くなる。また85質量%を超える添加量では、官能数が増えるに従って高粘度となり好適な粘度を得ることが困難となる。
具体的には、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキサン−1−イル=4−(ジメチルアミノ)ベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ベンジル−2−(N,Nジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(ジメチルアモノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、メチルベンゾイルホルマート、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−4’−メチルチオ−2−モルホリノプロピオフェノン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンジル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド−2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ)エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)エチルエステル、ポリブチレングリコール−ビス(4−ベンゾイルフェノキシ)アセテート、ポリエチレングリコール−ビス(4−ベンゾイルフェノキシ)アセテート、1−[4−(4−ベンゾイルフェニル)フェニル]−2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)サルフォニル]プロパン−1−オン 等が挙げられる。
透明紫外線硬化性組成物の製造は、重合性アクリレートモノマー、光重合開始剤、増感剤、その他添加剤等を配合してミキサー等で撹拌混合することで製造される。
本発明の印刷物において活性エネルギー線硬化インキ層を作製すべく、表1に従って配合し、三本ロールミルにて練肉することで低マイグレーションを特に考慮して設計されてない一般的な紫外線硬化型オフセット墨インキを作製した。
・ラーベン1060Ultra:カーボンブラック、平均一次粒子径30nm、比表面積(NSA)66m2/g、ビルラカーボン社製
・フタロシアニンブルー:銅フタロシアニン、FASTOGEN BLUE TGR−1、DIC社製
・ジオキサジンバイオレット:ジオキサジンバイオレット、ホスターパームバイオレット RL 02、クラリアント社製
・タルク:含水ケイ酸マグネシウム、ハイフィラー #5000PJ、松村産業社製
・炭酸マグネシウム:塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウムTT、ナイカイ塩業社製
・ワックス:ポリオレフィンワックス、S−381−N1、シャムロック社製
・安定剤溶液:p−メトキシフェノール(メトキノン、精工化学社製)10質量%とエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494NS、サートマー社製)90質量%の混合溶液
・Irgacure907:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASF社製
・Irgacure369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、数平均分子量366.5、 BASF社製
・EAB−SS:4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、大同化成工業社製
・アロニックスM−400:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品中のペンタアクリレートの割合:40〜50質量%)、東亞合成社製
・SR494NS:エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、サートマー社製
・DICLITE UE−8200T:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、DIC社製
本発明の印刷物の前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層を作製すべく、表2、3に従って配合し、ミキサーで攪拌することで、製造実施例A〜E、製造比較例F〜Iにてクリヤーニス(A〜I)を作製した。
ニス全量に対して助剤であるワックス0.2質量%とレベリング剤0.5質量%及び蛍光増白剤0.1質量%、光重合開始剤Irgacure127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(数平均分子量:340.4)を8質量%、アクリレートモノマー:MIRAMER M−220を20質量%、MIRAMER M−284を36.2質量%、アクリレートオリゴマーであるエポキシアクリレートUE−8200Tを35質量%添加した。 完成したニスをクリヤーニスAとした。
表2、3に示す諸原料及び略を以下に示す。
・ワックス:ポリオレフィンワックス、S−381−N1、シャムロック社製
・レベリング剤:ポリエーテル変性シロキサンコポリマー、TEGO GLIDE 450、エボニック社製
・蛍光増白剤:2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾキサゾール)、TINOPAL OB、BASF社製
・Irgacure127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、BASF社製
・ESACURE KIP150:オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン)、Lamberti社製
・Omnipol TX:ポリブチレングリコール−ビス(9−オキソ−9H−チオキサンテニロキシ)アセテート、数平均分子量660、IGM社製
・Irgacure819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、数平均分子量418.5、BASF社製
・Irgacure184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、
数平均分子量204.3、 BASF社製
・Irgacure651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、数平均分子量256.3、 BASF社製
・SPEEDCURE DETX:2,4−ジエチルチオキサントン、数平均分子量:268.3、Lambson社製
・MIRAMER M−220:トリプロピレングリコールジアクリレート、MIWON社製
・MIRAMER M−284:ポリエチレングリコールジアクリレート、MIWON社製
・DICLITE UE−8200T:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、DIC社製
・Genopol AB−1:ポリ(エチレングリコール)ビスジメチルアミノベンゾエート、数平均分子量860、RAHN AG社製
・Photocure EDB:エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、数平均分子量193.24、EUTEC CHEMICAL社製
尚、本発明におけるGPCによる数平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
前記手順で得た紫外線硬化型オフセット墨インキを、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、ミルクカートン紙(ポリエチレンラミネート紙、テトラ・レックス、テトラパック社製)の表面に均一に塗布されるように展色し、印刷物を作製した。墨濃度はX−rite社製濃度計SpectroEyeにて1.7である事を確認した。なおRIテスターとは、紙やフィルムにインキを展色する試験機であり、インキの転移量や印圧を調整することが可能である。
実施例1として、前記紫外線硬化型オフセット墨インキの展色に引き続き、直ちにクリヤーニスAをバーコーター(第一理化社製、番手4)を用い、墨インキの上から塗布した。
クリヤーニスA塗布後の印刷物に紫外線照射を行い、墨インキ、及びニス皮膜を硬化乾燥させた。水冷メタルハライドランプ(出力80W/cm1灯)およびベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス社製、コールドミラー付属)を使用し、印刷物をコンベア上に載せ、ランプ直下(照射距離11cm)を通過させた。各条件における紫外線照射量は紫外線積算光量計(ウシオ電機社製UNIMETER UIT−150−A/受光機UVD−C365)を用い測定し硬化性の目安とした。
クリヤーニスの硬化被膜の膜厚L(μm)は下記の式によって算出した。
L=W/T/A・10000
ここで、Lは硬化被膜の膜厚(μm)、Wは印刷物に載っているクリヤーニスの質量(g)、Tはクリヤーニスの密度(g/cm3)、Aはクリヤーニスが塗布された面積(cm2)である。印刷物に載っているクリヤーニスの質量Wは、クリヤーニス塗布前の印刷物の質量とクリヤーニスを塗布乾燥した後の印刷物の質量の差から求めた。クリヤーニスの密度Tは、容積100cm3の比重カップにクリヤーニスを充填したときの質量から計算して求めた。クリヤーニスが塗布された面積Aは、面積を実測して求めた。実施例1では、W=0.277g、T=1.1g/cm3、A=600cm2であり、クリヤーニスの膜厚Lは4.2μmであった。
実施例1で得られた印刷物を3枚作製し、印刷物の印刷面と、展色されていない印刷裏面の白紙が接するよう3枚を重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm2、室温25℃雰囲気下で10日間加圧し、硬化インキ層中の未反応成分を基材白紙の裏面に移行(マイグレーション)させた。
実施例2〜7について表4に示す通りクリヤーニスA〜Eを用いて、実施例1と同様に墨インキの展色に引き続き、直ちにクリヤーニスを墨インキの上からバーコーターを用いて塗布した後、同条件で紫外線ランプにて乾燥させ、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて同様にプレスした。また、得られた印刷物のクリヤーニス硬化被膜の膜厚を実施例1と同様な手順で算出した。実施例6と7については、塗布に用いるバーコーターの番手を変更し、クリヤーニスの硬化被膜の膜厚がそれぞれ2.0μmと10.0μmである印刷物を作製した。
比較例1〜4として、実施例1と同様の手順に従い、墨インキの展色に引き続き、直ちにクリヤーニスF〜Iを墨インキの上からバーコーターを用い塗布した後、紫外線ランプにて乾燥させ、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて同様にプレスした。また、得られた印刷物のクリヤーニス硬化被膜の膜厚を実施例1と同様な手順で算出した。
更に比較例5として 段落〔0055〕で作製した紫外線硬化型オフセット墨インキの展色物を実施例1と同様の手順にて紫外線ランプにて乾燥させたものを5枚作製し、印刷物の印刷面と、展色されていない印刷裏面の白紙が接するよう5枚を重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm2、室温25℃雰囲気下で24時間加圧した。次に、5枚のうち真ん中の3枚の展色物を取り出し、それぞれの展色物に対し前記クリヤーニスAを実施例1と同様の手順にて墨インキの上からバーコーターを用い塗布した後、同条件で紫外線ランプにて乾燥させ、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて同様にプレスした。また、得られた印刷物のクリヤーニス硬化被膜の膜厚を実施例1と同様な手順で算出した。
段落〔0055〕で作製した紫外線硬化型オフセット墨インキの展色物を、クリヤーニスを被覆することなく実施例1と同様の条件で紫外線ランプにて乾燥させ、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて同様にプレスした。
比較例7として、実施例1と同様の手順に従い、墨インキの展色に引き続き、直ちにOPニスAを前記墨インキと同様に簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、墨インキの上から展色した後、紫外線ランプにて乾燥させ、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて同様にプレスした。また、得られた印刷物のクリヤーニス硬化被膜の膜厚を実施例1と同様な手順で算出したところ、1.1μmであった。
比較例8として、実施例1と同様の手順に従い、墨インキの展色に引き続き、直ちにクリヤーニスAを墨インキの上からバーコーターを用い塗布した後、紫外線ランプにて乾燥させた。塗布に用いるバーコーターの番手を変更し、クリヤーニスの硬化被膜の膜厚が14.9μmである印刷物を作製した。比較例8では硬化被膜に割れが発生したため、これ以上の評価を中止した。
次に、実施例1〜7、及び比較例1〜7において油圧プレス機にて重ねた3枚のうち真ん中の1枚について、印刷裏面の全てが液面に接するように容積1000cm3で、且つ、1000cm3の内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cm2の液体容器を作製し、エタノール50質量%と純水50質量%の混合溶液であるエタノール水溶液1000c3を注ぎ密閉し、白紙裏面に移行したインキ成分をエタノール水溶液中に抽出した。
各印刷物を使用して作製した前記密閉した液体容器を、40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にてエタノール水溶液に含まれる数平均分子量300以下の芳香族化合物を定量し、数平均分子量300以下の芳香族化合物の総量によって、以下の3段階の基準で評価した。
○:30ppb未満である。
△:30ppb以上60ppb未満である。
×:60ppb以上である。
硬化性は、照射直後に紙擦り法にて印刷物表面の傷付きの有無を確認した。前記UV照射装置のコンベア速度(m/分)を変化させながら印刷物に紫外線を照射し、照射直後にニス硬化塗膜の表面にコート紙(王子製紙社製「OKトップコートプラス57.5kg、A判」)を重ね、硬化塗膜表面にコート紙を力強く擦りつけた際に傷付きが無い最速のコンベア速度を記載した。従ってコンベア速度が速いほどコーティングニスの硬化性が良好である。
紫外線照射後におけるニス硬化皮膜の変色(黄変)に起因する色変化を目視にて、次の3段階で評価した。
○:色変化が全く無い、もしくは殆ど無い
△:若干の黄変が確認できる
×:明確に黄変による色変化が確認できる
2 活性エネルギー線硬化インキ層
3 透明被覆層
Claims (7)
- 基材と、基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層と、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層とを備える印刷物であって、前記透明被覆層が2官能以上の重合性アクリレートモノマー、および数平均分子量320以上1400以下のα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含む透明紫外線硬化性組成物の硬化物から成り、前記硬化被膜の膜厚が2〜10μmの範囲内にあって、前記印刷物が下記溶出試験法に示す手順で検出される、数平均分子量300以下の芳香族化合物の検出量が60ppb未満であることを特徴とする印刷物。
1.少なくとも2つの印刷物の、印刷面と印刷裏面とが接するように重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm2、25℃雰囲気下で10日間加圧する。
2.印刷裏面が印刷面と接触していた印刷物を使用して印刷面の総インキ量が60mgとなるように加圧後の印刷物を成形した後、印刷裏面の全てが液面に接するように容積1000cm3で、且つ、1000cm3の内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cm2の液体容器を作製し、エタノール水溶液(エタノール50重量%と純水50重量%の混合溶液)1000cm3を注ぎ密閉する。
3.密閉した液体容器を40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にてエタノール水溶液に含まれる数平均分子量300以下の芳香族化合物を定量する。
- 前記α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤が、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン)、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェノキシ〕フェニル}−2−メチルプロパノンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1に記載の印刷物。
- 前記透明紫外線硬化性組成物が数平均分子量300以上1400以下のチオキサントン系光重合開始剤を組成物全量の0.1〜5質量%の範囲で含む請求項1又は2に記載の印刷物。
- 前記透明紫外線硬化性組成物がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド及び/又は2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドを組成物全量の0.1〜10質量%の範囲で含む請求項1〜3の何れか1つに記載の印刷物。
- 前記透明紫外線硬化性組成物が、数平均分子量400以上1500以下であり、波長250〜450nmにおける極大吸収を280〜340nmの範囲に有する芳香族3級アミン化合物を組成物全量の0.1〜8質量%の範囲で含有する請求項1〜4の何れか1つに記載の印刷物。
- 前記活性エネルギー線硬化インキ層と透明被覆層をインラインで印刷する請求項1〜5の何れか1つに記載の印刷物。
- 請求項1〜6の何れか1つに記載の透明被覆層の印刷に用いられた透明紫外線硬化性組成物。
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