JP6925121B2 - 印刷物 - Google Patents

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本発明は、基材と、その基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層と、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層とを備える印刷物に関する。
活性エネルギー線硬化インキの中でも紫外線硬化型インキは、その瞬間乾燥の特性による利便性、高い生産性から飲料パック、菓子類、レトルトパックを初めとした食品包装用途に広く用いられているが、近年、欧米各国を中心に食への安全性や衛生的な観点から、インキ成分、特に光重合開始剤の内包食品への移行(マイグレーション)が問題視される風潮が広まりつつあり、印刷物の安全性向上が強く要望されている。
前記、内包食品への移行(マイグレーション)を抑制する方策として、紫外線硬化型インキの成分として、分子量の比較的大きな光重合開始剤や官能基度の高いモノマーを使用する事が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかしながら分子量の大きな光重合開始剤はとかく高価であり、これを使ったインキの価格を押し上げることとなる。
また、オフセット印刷では少なくとも黄紅藍墨4色のインキを使用するが、4色全てで低マイグレーションのインキを使用するとなれば、更に印刷物の原材料費の高騰を招く事となり、低マイグレーション印刷物の普及を阻む一因となっている。
更に低マイグレーションを実現するために、UVオフセットインキ(プロセス4色や特色)やオーバープリントニス(以降 OPニスに略)、クリヤーニスなど全てを低マイグレーションタイプのインキにする必要あり、インキ、ニス類の切り替えの伴う印刷作業は煩雑となり生産効率が上がらない問題点も挙げられる。
特開2015−155499 特開2015−172171
本発明の課題は、特に低マイグレーション用として設計されていない一般的な紫外線硬化型オフセットインキを用いても、低マイグレーション性と黄変抑制を保持できる印刷物を提供することにある。
本発明者らは、一般的に使われてきた紫外線硬化型オフセットインキを用いて印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層を、OPニスいった透明被覆層で覆うことで、低マイグレーション性を保持した印刷物を得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、基材と、基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層と、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層とを備える印刷物であって、前記透明被覆層が4官能以上の重合性アクリレートモノマー、および数平均分子量320以上1400以下のα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含む透明紫外線硬化性組成物の硬化物から成り、前記硬化被膜の膜厚が0.5〜3μmの範囲内にあって、前記印刷物が下記溶出試験法に示す手順で検出される数平均分子量300以下の芳香族化合物の検出量が、60ppb未満であることを特徴とする印刷物を提供する。
前記溶出試験法の手順としては、
1.少なくとも2つの印刷物の、印刷面と印刷裏面とが接するように重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm、25℃雰囲気下で10日間加圧する。
2.印刷裏面が印刷面と接触していた印刷物を使用して印刷面の総インキ量が60mgとなるように加圧後の印刷物を成形した後、印刷裏面の全てが液面に接するように容積1000cmで、且つ、1000cmの内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cmの液体容器を作製し、エタノール水溶液(エタノール50質量%と純水50質量%の混合溶液)1000cmを注ぎ密閉する。
3.密閉した液体容器を40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にてエタノール水溶液に含まれる数平均分子量300以下の芳香族化合物を定量するものである。
また、本発明は前記α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤が、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン)、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェノキシ〕フェニル}−2−メチルプロパノンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である印刷物に関する。
また、本発明は前記透明紫外線硬化性組成物が数平均分子量300以上1400以下のチオキサントン系光重合開始剤を組成物全量の0.1〜5質量%の範囲で含む印刷物に関する。
また、本発明は前記透明紫外線硬化性組成物がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド及び/又は2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドを組成物全量の0.1〜10質量%の範囲で含む印刷物に関する。
また、本発明は前記透明紫外線硬化性組成物が、数平均分子量400以上1500以下であり、波長250〜450nmにおける極大吸収を280〜340nmの範囲に有する芳香族3級アミン化合物を組成物全量の0.1〜8質量%の範囲で含有する印刷物に関する。
また、本発明は前記活性エネルギー線硬化インキ層と透明被覆層をインラインで印刷する印刷物に関する。
更に、本発明は前記透明被覆層の印刷に用いられた透明紫外線硬化性組成物に関する。
本発明の印刷物により、特に低マイグレーション用として設計されていない一般的な紫外線硬化型オフセットインキを用いても、低マイグレーション性と黄変抑制を保持した印刷物を提供することが出来る。
本発明の事例として、基材としてミルクカートンを採用した場合の、基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層と、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層とを備える印刷物を示す図である。 本発明の印刷物3枚を、印刷物の印刷面と、インキが展色されていないミルクカートン裏面が接する様に重ね合わせプレスする図である。
本発明の印刷物は、低マイグレーションを特に考慮して設計されていない通常の紫外線硬化型インキを用いても、従来の印刷設備を用いて、通常の作業で手軽に安価に作製できるものである。また、基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層として、オフセット印刷機の印刷胴で印刷可能なOPニスを用いた印刷物を含むものである。
更に、前記基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層としては、硬化反応に伴い黄変しない事も重要である。
本発明の印刷物は、基材と、基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層と、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層とを備える印刷物であって、前記透明被覆層が4官能以上の重合性アクリレートモノマー、および数平均分子量320以上1400以下のα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含む透明紫外線硬化性組成物の硬化物から成り、前記硬化被膜の膜厚が0.5〜3μmの範囲内にあって、前記印刷物が下記溶出試験法に示す手順で検出される、数平均分子量300以下の芳香族化合物の検出量が60ppb未満であることで、目的とする本発明の効果を奏するものである。
尚、前記溶出試験法の手順としては、下記に従うものである。
1.少なくとも2つの印刷物の、印刷面と印刷裏面とが接するように重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm、25℃雰囲気下で10日間加圧する。
2.印刷裏面が印刷面と接触していた印刷物を使用して印刷面の総インキ量が60mgとなるように加圧後の印刷物を成形した後、印刷裏面の全てが液面に接するように容積1000cmで、且つ、1000cmの内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cmの液体容器を作製し、エタノール水溶液(エタノール50質量%と純水50質量%の混合溶液)1000cmを注ぎ密閉する。
3.密閉した液体容器を40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にてエタノール水溶液に含まれる分子量300以下の芳香族化合物を定量するものである。
本発明の印刷物で使用する印刷基材としては、主にミルクカートン紙等の液体飲料、レトルト食品等の食品包装に使用される用紙に加えて、防水・防油目的に紙材に各種フィルム類をラミネートした合成紙、合成厚紙等幅広く使用する事ができる。
また、基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層を形成するに当たっては、オフセット印刷方式は基より、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、インクジェット印刷方式等の各種印刷方式を採用する事ができ、またこれらを組合せて印刷してもよい。
更に、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層を形成するに当たっては、
オフセット印刷機の印刷胴で印刷可能なオーバープリントニス(OPニス)を用いる事ができるものである。
そして、前記透明被覆層は4官能以上の重合性アクリレートモノマーを含有する透明紫外線硬化性組成物の硬化物である事が必須である。
前記4官能の重合性アクリレートモノマーの具体的な例としては、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(EO−PETA)、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PO−PETA)、等が挙げられる。5官能性の重合性アクリレートモノマーの具体的な例としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が、6官能性の重合性アクリレートモノマーの具体的な例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で用いても、複数組合せて用いてもよい。
また、本発明の印刷物の前記透明被覆層を形成するに当たり、前記4官能以上の重合性アクリレートモノマーが、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物であって、透明紫外線硬化性組成物全量の8質量%以上含有することが好ましい。
通常、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートは単体もしくは混合物の状態で製造販売されており、製品名として「DPHA(サートマー社製、製品中のヘキサアクリレートの割合:ほぼ100質量%)」「アロニックスM−400(東亞合成社製、製品中のペンタアクリレートの割合:40〜50質量%)」「アロニックスM−402(東亞合成社製、製品中のペンタアクリレートの割合:30〜40質量%)」「アロニックスM−403(東亞合成社製、製品中のペンタアクリレートの割合:50〜60質量%)」「アロニックスM−404(東亞合成社製、製品中のペンタアクリレートの割合:30〜40質量%)」「アロニックスM−405(東亞合成社製、製品中のペンタアクリレートの割合:10〜20質量%)」「アロニックスM−406(東亞合成社製、製品中のペンタアクリレートの割合:25〜35質量%)」「LUMICURE DPA−600T(張家港東亜油愛生化学有限公司社製)」「カヤラッドDPHA(日本化薬社製)」「SR399(サートマー社製、製品中のペンタアクリレートの割合:ほぼ100質量%)」「MIRAMER M600(MIWON社製、製品中のヘキサアクリレートの割合:ほぼ100重量%)」等が挙げられ、5官能および6官能アクリレートの混合比率は各々異なるが、いずれも透明紫外線硬化性組成物全量の8質量%以上含有することで好適に使用することができる。
更に前記透明被覆層は、数平均分子量320以上1400以下のα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含む透明紫外線硬化性組成物の硬化物からなることが必須である。
前記α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤について、数平均分子量320を下回ると、内包物への光重合開始剤成分移行に伴うマイグレーション量が増加する傾向にあり、数平均分子量1300を超えるとニス自体の流動性の低下、光重合開始剤の結晶化に伴う再析出による保存安定性低下、印刷後の皮膜乾燥性の低下に繋がる。また上記開始剤成分をエステル化等の手法により多価アルコール類や脂肪酸類等の共役二重結合を有さない成分を化学的に結合させることによって、数平均分子量1300を超えても溶解性に優れる化合物を提供することも技術的には可能であるが、これら数平均分子量1300を超える誘導体は化合物中における開始剤の実効成分濃度(紫外線吸収能を有する共役二重結合の割合)が低下することから十分な乾燥性を得ることが困難である。
前記した数平均分子量320以上1300以下であるα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(数平均分子量:340.4)、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン)(数平均分子量:424.57)、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェノキシ〕フェニル}−2−メチルプロパノン(数平均分子量:342.39)等があげられ、これらは単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。同じα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤である1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(数平均分子量:204.3)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(数平均分子量:164.2)等はこれらに含まれない。また無色透明系インキにおいて2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(数平均分子量256.3)が広範囲で使用されるが、低マイグレーション性が劣るため使用は好ましくない。
前記したα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤の他、特許第2514804号に記載される、開始剤分子に重合性基を導入したフェニルケトン系組成物群もインキ乾燥性と低マイグレーション性を付与する目的で利用できる。例えば具体的には、この組成物群のうち4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンが「ダロキュアZLI3331」の名称で過去にメルク社(現BASF社)より販売されており、本発明において利用することができる。
またα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤を高分子量化し重合性基を導入した組成物(数平均分子量約1100)が「イルガキュアLEX201」の名称でBASF社より販売されており、低マイグレーション性能に優れており同様に本発明において好適に利用することができる。
更に、本発明の印刷物の前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う前記透明被膜層の硬化被膜の膜厚が0.5〜3μmの範囲内である事が必須である。
前記硬化被膜の膜厚が0.5μmを下回ると下地の活性エネルギー線硬化インキ層とのはじき等が生じた際に被覆が十分でなくマイグレーションし易くなる。また、前記硬化被膜の膜厚が3μmを上回ると硬化後の収縮が大きくなって被膜が剥離し易い傾向にある。 透明被膜層を形成するための透明紫外線硬化性組成物は、オフセット印刷機を用いて印刷する都合上、25℃のL型粘度値が5〜50(Pa・s)の範囲であることが好ましい。L型粘度値が5(Pa・s)を下回ると印刷中にOPニスの飛沫が飛び散るトラブルが発生し易くなる一方、L型粘度値が50(Pa・s)を上回ると良好な印刷適性が得られず均一な塗膜を得ることが困難となる。L型粘度の測定は、JIS K5701−1に記載のL型粘度計による測定方法に従うものである。
更に、本発明の基材と、基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層と、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層とを備える印刷物は、前記溶出試験法において数平均分子量300以下の芳香族化合物の検出量が60ppb未満であることを必須とする。
前記溶出試験法の手順としては、先ず得られた少なくとも2点の印刷物の印刷面と、インキが展色されていない印刷裏面の白紙が接するよう重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm、室温25℃雰囲気下で10日間加圧することで、硬化インキ層中の未反応成分を基材白紙の裏面に移行(マイグレーション)させる(図1及び2参照)。
次に、印刷裏面が印刷面と接触していた印刷物を使用して印刷面の総インキ量が60mgとなるように加圧後の印刷物を成形した後、印刷裏面の全てが液面に接するように容積1000cmで、且つ、1000cmの内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cmの液体容器を作製し、エタノール50質量%と純水50質量%の混合溶液であるエタノール水溶液1000cmを注ぎ密閉し、白紙裏面に移行したインキ成分をエタノール水溶液中に抽出した。
次に、密閉した液体容器を40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にてエタノール水溶液に含まれる分子量300以下の芳香族化合物を定量し、検出量が60ppb未満である事を基準に溶出濃度(マイグレーション濃度)を評価するものである。
更に、本発明の印刷物に用いる前記透明紫外線硬化性組成物は、数平均分子量300以上1400以下のチオキサントン系光重合開始剤を、組成物全量の0.1〜5質量%の範囲で添加してもよい。前記チオキサントン系光重合開始剤は、数平均分子量300を下回るとマイグレーション量が増加する傾向にあり、数平均分子量1400を超えるとニス自体の流動性の低下、光重合開始剤の結晶化に伴う再析出による保存性低下、印刷後の皮膜乾燥性の低下に繋がる。
前記した数平均分子量300以上1400以下であるチオキサントン系光重合開始剤としては、高分子量化されたチオキサントン系光重合開始剤としてIGM社製の「Omnipol TX(数平均分子量:660)」や、RaHN社製の「Genopol TX−1(数平均分子量:820)」等があげられ、これらは単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。同じチオキサントン系光重合開始剤 2,4−ジエチルチオキサントン(数平均分子量:268.3)、2−イソプロピルチオキサントン(数平均分子量:254.3)等はこれらに含まれない。
前記したチオキサントン系光重合開始剤の前記透明紫外線硬化性組成物中の含有率は、組成物全量に対し、0.1%〜5質量%の範囲にあることが好ましい。0.1質量%未満の添加量では良好な乾燥性を得ることが困難であり、また5質量%を超える添加量では、開始剤量が過剰となり、同様にニス流動性や低マイグレーション性能を損なう上、黄変し易いことから好ましくない。
更に、本発明の印刷物に用いる前記透明紫外線硬化性組成物は、ビスアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を添加しても良い。特にビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドが好ましく、各々単独、若しくは両者を用いた場合の総量が、透明紫外線硬化性組成物全量の0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
0.1質量%未満の添加量では乾燥性向上効果が殆ど無く、また10質量%を超える添加量では、開始剤量が過剰となり、乾燥性の更なる向上が期待出来ない上、透明紫外線硬化性組成物中に溶解させることが困難であり、ニス流動性の低下及び析出に起因する保存安定性の悪化を招くことから好ましくない。
更に、本発明の印刷物に用いる前記透明紫外線硬化性組成物は、増感剤として芳香族3級アミン化合物を添加してもよい。前記芳香族3級アミン化合物としては、中でも数平均分子量400以上1500以下であり、波長250〜450nmにおける極大吸収を280〜340nmの範囲に有する芳香族3級アミン化合物を透明紫外線硬化性組成物全量の0.1〜8質量%の範囲で含有することが好ましい。
中でも高分子量化されたアミノベンゾエート類である、Rahn.AG社製の「Genopol AB−1(数平均分子量:860)」や、IGM社製の「Ominipol ASA(数平均分子量:488〜532)」又はLamberti社製の「Esacure A198(数平均分子量:413)」は、比較的分子量が高くマイグレーションし難い点において好ましい。紫外線硬化型インキ用に使用される芳香族3級アミンとしてはアルキルアミノベンゾエート類があり、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(数平均分子量193.2)、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート(数平均分子量193.2)、2−エチルヘキシル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(数平均分子量277.4)、等が挙げられるが、比較的低分子量でありマイグレーションし易いことから好ましくない。
前記した芳香族3級アミン化合物の前記透明紫外線硬化性組成物中の含有率は、組成物全量に対し0.1〜8質量%の範囲にあることが好ましい。0.1質量%未満の添加量では乾燥速度の更なる向上が得られない点で望ましくなく、また8質量%を超えて添加しても、使用しただけの効果が認められず好ましくない。
本発明の印刷物を作製するに当たっては、その構成される活性エネルギー線硬化インキ層を形成する工程と、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層を形成する工程を、連続したインライン方式で印刷する事ができる。例えば紫外線硬化型オフセット印刷を例に挙げれば、オフセット印刷機の印刷胴で一般的な紫外線硬化型インキを用いインキ層を形成した直後に、後胴に装着したオフセットPS版又はCTP版にてオーバープリントニス(OPニス)による透明被覆層を形成させた後、紫外線照射による硬化乾燥を行う。この場合、オフセットPS版又はCTP版の画線部に従って部分的に透明被覆層を設ける事も、全面ベタで透明被覆層を設ける事も出来る。
尚、オフセット印刷方式にて本発明の印刷物の透明被覆層をオーバープリントニス(OPニス)で作製する場合、活性エネルギー線硬化インキ層を形成後、経時をもってオフラインで透明被覆層を形成するよりも、活性エネルギー線硬化インキ層を形成直後にオンラインで直ちに透明被覆層を形成すれば、よりマイグレーションを抑制できる。即ち、活性エネルギー線硬化インキ層を形成するための活性エネルギー線硬化性インキを印刷後、紫外線照射した後、オフラインで透明被覆層を形成するニスを印刷するよりも、エネルギー線硬化性インキを印刷後、インラインで連続してニスを印刷後、紫外線照射した方がよりマイグレーションを抑制した印刷物を得る事が出来る。
更に、本発明の印刷物の前記透明被覆層を形成するに当たり、前記α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤が透明紫外線硬化性組成物全量の1〜15質量%、前記4官能以上の重合性アクリレートモノマーが透明紫外線硬化性組成物全量の15〜85質量%の範囲で含有することが好ましい。
前記α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤について、透明紫外線硬化性組成物全量の1質量%未満の添加量では良好な乾燥性を得ることが困難であり、また15質量%を超える添加量では、開始剤量が過剰となり、ニス流動性や低マイグレーション性能を損なうことから好ましくない。また、前記した4官能以上の重合性アクリレートモノマーの透明紫外線硬化性組成物中の含有率は、組成物全量に対し15質量%以上であることが好ましく、15質量%未満であると、硬化性が低下し乾燥性及び低マイグレーション性が悪くなる。
また85質量%を超える添加量では、特に5官能、6官能の重合性アクリレートモノマーでは高粘度となり好適な粘度を得ることが困難となる。
尚、本発明の印刷物の前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層は必要に応じて、重合基を有する樹脂オリゴマーを添加してもよい。分子中に重合性基を有さない非反応性樹脂類(イナート樹脂)と比較して反応性が高く、より優れた低マイグレーション性を付与することが可能である。重合基を有する樹脂オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート、脂肪族アクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。中でもエポキシアクリレート及びその誘導体である事がより好ましく、例としてビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート及びその誘導体が挙げられ、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレートが特に好ましい。
尚、本発明の印刷物がミルクカートン紙を基材とする乳容器用である場合、前記溶出試験法に示す手順で検出される、数平均分子量300以下の芳香族化合物の検出量が60ppb未満であれば、印刷物の前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層に使用される透明紫外線硬化性組成物に添加できる前記以外の光重合開始剤として、下記の光重合開始剤を適宜少量添加してもよい。
具体的には、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキサン−1−イル=4−(ジメチルアミノ)ベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ベンジル−2−(N,Nジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(ジメチルアモノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、メチルベンゾイルホルマート、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−4’−メチルチオ−2−モルホリノプロピオフェノン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンジル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド−2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ)エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)エチルエステル、ポリブチレングリコール−ビス(4−ベンゾイルフェノキシ)アセテート、ポリエチレングリコール−ビス(4−ベンゾイルフェノキシ)アセテート、1−[4−(4−ベンゾイルフェニル)フェニル]−2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)サルフォニル]プロパン−1−オン 等が挙げられる。
本発明の印刷物の前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層に使用される
透明紫外線硬化性組成物において、ニスとしての粘度・流動性調整や印刷時のミスチング防止、紙基材への浸透防止等の物性改良・機能性付与を目的として体質顔料を加える事ができる。
前記体質顔料としては公知公用の着色用有機顔料を挙げることができ、例えば「顔料便覧(編集:日本顔料技術協会編)」に掲載される印刷インキ用体質顔料等が挙げられ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、マイカ、硫酸バリウム、シリカ及び水酸化アルミニウム等が使用可能である。
本発明の印刷物の前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層に使用される
透明紫外線硬化性組成物の製造は、従来の紫外線硬化型インキ、ニスと同様に、前記体質顔料、重合性アクリレートモノマー、光重合開始剤、増感剤、その他添加剤等を配合してミキサー等で撹拌混合することで製造され、更に必要に応じ三本ロールミル、ビーズミル等の分散機を用いて練肉することで製造される。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
〔紫外線硬化型オフセット墨インキの作製〕
本発明の印刷物において活性エネルギー線硬化インキ層を作製すべく、表1に従って配合し、三本ロールミルにて練肉することで低マイグレーションを特に考慮して設計されてない一般的な紫外線硬化型オフセット墨インキを作製した。
着色顔料としてカーボンブラックであるラーベン1060Ultraを墨インキ全量の16質量%、補色成分としてフタロシアニンブルー3質量%及びジオキサジンバイオレット2質量%、粘度及び流動性調整剤としてタルク2質量%及び炭酸マグネシウム2質量%、その他助剤としてワックス2重質%及び安定剤溶液(p−メトキシフェノール10質量%とエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート90質量%の混合物)1質量%を添加した。 尚、補色成分であるフタロシアニンブルー及びジオキサジンバイオレットはカーボンブラック自体が呈する黄味を打ち消し、インキの漆黒性を更に高める目的で少量配合した。更に、光重合開始剤としてIrgacure907を4質量%、Irgacure369を1質量%、増感剤としてEAB−SSを2.5質量%、アクリレートモノマー:アロニックスM−400を10質量%、SR494NSを20質量%、アクリレートオリゴマーであるエポキシアクリレートUE−8200Tを34.5質量%添加した。
Figure 0006925121
表1に示す諸原料及び略を以下に示す。
・ラーベン1060Ultra:カーボンブラック、平均一次粒子径30nm、比表面積(NSA)66m/g、ビルラカーボン社製
・フタロシアニンブルー:銅フタロシアニン、FASTOGEN BLUE TGR−1、DIC社製
・ジオキサジンバイオレット:ジオキサジンバイオレット、ホスターパームバイオレット RL 02、クラリアント社製
・タルク:含水ケイ酸マグネシウム、ハイフィラー #5000PJ、松村産業社製
・炭酸マグネシウム:塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウムTT、ナイカイ塩業社製
・ワックス:ポリオレフィンワックス、S−381−N1、シャムロック社製
・安定剤溶液:p−メトキシフェノール(メトキノン、精工化学社製)10質量%とエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494NS、サートマー社製)90質量%の混合溶液
・Irgacure907:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASF社製
・Irgacure369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、数平均分子量366.5、 BASF社製
・EAB−SS:4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、大同化成工業社製
・アロニックスM−400:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品中のペンタアクリレートの割合:40〜50質量%)、東亞合成社製
・SR494NS:エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、サートマー社製
・DICLITE UE−8200T:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、DIC社製
〔オフセットOPニスの作製〕
本発明の印刷物の前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層を作製すべく、表2、3に従って配合し、三本ロールミルにて練肉することで、製造実施例A〜E、製造比較例F〜JにてオフセットOPニス(A〜J)を作製した。
〔製造実施例1〕
ニス全量に対して体質顔料である炭酸マグネシウム8質量%、タルク2質量%、助剤の
ワックス2質量%及び安定剤溶液(p−メトキシフェノール10質量%とエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート90質量%の混合物)1質量%、光重合開始剤Irgacure127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(数平均分子量:340.4)を5質量%、アクリレートモノマー:アロニックスM−400を10質量%、SR494NSを17質量%、アクリレートオリゴマーであるエポキシアクリレートUE−8200Tを55質量%添加した。 完成したニスをOPニスAとした。
同様に表2に従って、製造実施例B〜Eの配合にてニスを作製し、これをOPニスB〜Eとした。
Figure 0006925121
次に表3の配合に従って製造実施例と同様の手順にて、製造比較例F〜Jのニスを作製した。製造比較例F〜Jの配合で作製したニスをOPニスF〜Jとした。
Figure 0006925121
表2、3中の数値は質量%である。
表2、3に示す諸原料及び略を以下に示す。
・炭酸カルシウム:沈降性炭酸カルシウム、ネオライトSA−300、竹原化学工業製
・タルク:含水ケイ酸マグネシウム、ハイフィラー #5000PJ、松村産業社製
・ワックス:ポリオレフィンワックス、S−381−N1、シャムロック社製
・安定剤溶液:p−メトキシフェノール(メトキノン、精工化学社製)10質量%とエチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494NS、サートマー社製)90質量%の混合溶液
・Irgacure127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、BASF社製
・ESACURE KIP150:オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン)、Lamberti社製
・Omnipol TX:ポリブチレングリコール−ビス(9−オキソ−9H−チオキサンテニロキシ)アセテート、数平均分子量660、IGM社製
・Irgacure819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、数平均分子量418.5、BASF社製
・Irgacure184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、
数平均分子量204.3、 BASF社製
・Irgacure651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、数平均分子量256.3、 BASF社製
・SPEEDCURE DETX:2,4−ジエチルチオキサントン、数平均分子量:268.3、Lambson社製
・アロニックスM−400:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(製品中のペンタアクリレートの割合:40〜50質量%)、東亞合成社製
・SR494NS:エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、サートマー社製
・MIRAMER M−3130:エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、MIWON社製
・DICLITE UE−8200T:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、DIC社製
・Genopol AB−1:ポリ(エチレングリコール)ビスジメチルアミノベンゾエート、数平均分子量860、RAHN AG社製
・Photocure EDB:エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、数平均分子量193.24、EUTEC CHEMICAL社製
〔数平均分子量の測定〕
尚、本発明におけるGPCによる数平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR−Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0質量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
〔紫外線硬化型オフセット墨インキの印刷〕
前記手順で得た紫外線硬化型オフセット墨インキを、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、ミルクカートン紙(ポリエチレンラミネート紙、テトラ・レックス、テトラパック社製)の表面に均一に塗布されるように展色し、印刷物を作製した。墨濃度はX−rite社製濃度計SpectroEyeにて1.7である事を確認した。なおRIテスターとは、紙やフィルムにインキを展色する試験機であり、インキの転移量や印圧を調整することが可能である。
〔実施例1:OPニスの展色〕
実施例1として、前記紫外線硬化型オフセット墨インキの展色に引き続き、直ちにOPニスAを前記墨インキと同様に簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、墨インキの上から展色した。
〔紫外線ランプ光源による乾燥方法〕
OPニスA塗布後の印刷物に紫外線照射を行い、墨インキ、及びニス皮膜を硬化乾燥させた。水冷メタルハライドランプ(出力80W/cm1灯)およびベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス社製、コールドミラー付属)を使用し、印刷物をコンベア上に載せ、ランプ直下(照射距離11cm)を通過させた。各条件における紫外線照射量は紫外線積算光量系(ウシオ電機社製UNIMETER UIT−150−A/受光機UVD−C365)を用い測定し硬化性の目安とした。
〔OPニスの硬化被膜の膜厚の算出〕
OPニスの硬化被膜の膜厚L(μm)は下記の式によって算出した。
L=W/T/A・10000
ここで、Lは硬化被膜の膜厚(μm)、Wは印刷物に載っているOPニスの質量(g)、TはOPニスの密度(g/cm)、AはOPニスが展色された面積(cm)である。印刷物に載っているOPニスの質量Wは、OPニス展色前の印刷物の質量とOPニスを展色乾燥した後の印刷物の質量の差から求めた。OPニスの密度Tは、容積2cmのスポイトにOPニスを充填したときの質量から計算して求めた。OPニスが展色された面積Aは、面積を実測して求めた。実施例1では、W=0.087g、T=1.2g/cm、A=600cmであり、OPニスの膜厚Lは1.2μmであった。
〔移行(マイグレーション)強制試験〕
実施例1で得られた印刷物を3枚作製し、印刷物の印刷面と、展色されていない印刷裏面の白紙が接するよう3枚を重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm、室温25℃雰囲気下で10日間加圧し、硬化インキ層中の未反応成分を基材白紙の裏面に移行(マイグレーション)させた。
〔実施例2〜7:OPニスの展色・乾燥・プレス・膜厚の算出〕
実施例2〜7について表4に示す通りOPニスA〜Eを用いて、実施例1と同様に墨インキの展色に引き続き、直ちにOPニスを墨インキの上から展色させた後、同条件で紫外線ランプにて乾燥させ、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて同様にプレスした。また、得られた印刷物のOPニス硬化被膜の膜厚を実施例1と同様な手順で算出した。実施例6と7については、展色に用いるOPニスの量を調整し、OPニスの硬化被膜の膜厚がそれぞれ0.5μmと3.0μmである印刷物を作製した。
〔比較例1〜5:OPニスの展色・乾燥・プレス・膜厚の算出〕
比較例1〜5として、実施例1と同様の手順に従い、墨インキの展色に引き続き、直ちにOPニスF〜Jを墨インキの上から展色させた後、紫外線ランプにて乾燥させ、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて同様にプレスした。また、得られた印刷物のOPニス硬化被膜の膜厚を実施例1と同様な手順で算出した。
〔比較例6:オフラインを想定したOPニスの展色・乾燥・プレス・膜厚の算出〕
更に比較例6として 段落〔0059〕で作製した紫外線硬化型オフセット墨インキの展色物を実施例1と同様の手順にて紫外線ランプにて乾燥させたものを5枚作製し、印刷物の印刷面と、展色されていない印刷裏面の白紙が接するよう5枚を重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm、室温25℃雰囲気下で24時間加圧した。次に、5枚のうち真ん中の3枚の展色物を取り出し、それぞれの展色物に対し前記OPニスAを実施例1と同様の手順にてIRテスターで展色させた後、同条件で紫外線ランプにて乾燥させ、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて同様にプレスした。また、得られた印刷物のOPニス硬化被膜の膜厚を実施例1と同様な手順で算出した。
〔比較例7:ニスよる透明被覆層を設けない印刷物〕
段落〔0059〕で作製した紫外線硬化型オフセット墨インキの展色物を、OPニスを被覆することなく実施例1と同様の条件で紫外線ランプにて乾燥させ、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて同様にプレスした。
〔比較例8及び9:OPニスの展色・乾燥・プレス・膜厚の算出〕
比較例8及び9として、実施例1と同様の手順に従い、墨インキの展色に引き続き、直ちにOPニスAを墨インキの上から展色させた後、紫外線ランプにて乾燥させた。展色に用いるOPニスの量を調整し、OPニスの硬化被膜の膜厚がそれぞれ0.2μmと4.0μmである印刷物を作製した。比較例9では硬化被膜に割れが発生したため、これ以上の評価を中止した。比較例8は、仕上がった印刷物を油圧プレス機にて実施例1と同様にプレスした。
〔数平均分子量300以下の芳香族化合物の定量〕
次に、実施例1〜7、及び比較例1〜8において油圧プレス機にて重ねた3枚のうち真ん中の1枚について、印刷裏面の全てが液面に接するように容積1000cmで、且つ、1000cmの内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cmの液体容器を作製し、エタノール50質量%と純水50質量%の混合溶液であるエタノール水溶液1000cmを注ぎ密閉し、白紙裏面に移行したインキ成分をエタノール水溶液中に抽出した。
〔印刷物の評価方法1:マイグレーション〕
各印刷物を使用して作製した前記密閉した液体容器を、40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にてエタノール水溶液に含まれる数平均分子量300以下の芳香族化合物を定量し、数平均分子量300以下の芳香族化合物の総量によって、以下の3段階の基準で評価した。

○:30ppb未満である。
△:30ppb以上60ppb未満である。
×:60ppb以上である。
〔印刷物の評価方法2:硬化性〕
硬化性は、照射直後に紙擦り法にて印刷物表面の傷付きの有無を確認した。前記UV照射装置のコンベア速度(m/分)を変化させながら印刷物に紫外線を照射し、照射直後にニス硬化塗膜の表面にコート紙(王子製紙社製「OKトップコートプラス57.5kg、A判」)を重ね、硬化塗膜表面にコート紙を力強く擦りつけた際に傷付きが無い最速のコンベア速度を記載した。従ってコンベア速度が速いほどコーティングニスの硬化性が良好である。
〔印刷物の評価方法3:黄変性〕
紫外線照射後におけるニス硬化皮膜の変色(黄変)に起因する色変化を目視にて、次の3段階で評価した。

○:色変化が全く無い、もしくは殆ど無い
△:若干の黄変が確認できる
×:明確に黄変による色変化が確認できる
表4、5に評価結果を示す。
Figure 0006925121
Figure 0006925121
本発明の印刷物は、充分な硬化性、抑制された黄変性、及び低マイグレーション性を兼備した良好な結果となった。また、本発明の印刷物の作製手順として、活性エネルギー線硬化インキ層と、透明被覆層をインラインで印刷した印刷物は、オフラインで印刷した印刷物に比較しよりマイグレーションが抑制できる。
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキ組成物およびそれを用いた印刷物は、安全性、衛生性を重んじる玩具、各種食品包材に加え、サニタリー・コスメ・医薬品等の包装、充填用途に幅広く展開され得る。
1 ミルクカートン基材
2 活性エネルギー線硬化インキ層
3 透明被覆層

Claims (7)

  1. 基材と、基材上に印刷後硬化された活性エネルギー線硬化インキ層と、前記活性エネルギー線硬化インキ層を覆う透明被覆層とを備える印刷物であって、前記透明被覆層が4官能以上の重合性アクリレートモノマー、および数平均分子量320以上1400以下のα−ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含む透明紫外線硬化性組成物の硬化物から成り、前記硬化被膜の膜厚が0.5〜3μmの範囲内にあって、前記印刷物が下記溶出試験法に示す手順で検出される、数平均分子量300以下の芳香族化合物の検出量が60ppb未満であることを特徴とする印刷物。

    1.少なくとも2つの印刷物の、印刷面と印刷裏面とが接するように重ね合わせ、油圧プレス機を用いてプレス圧力40kg/cm、25℃雰囲気下で10日間加圧する。
    2.印刷裏面が印刷面と接触していた印刷物を使用して印刷面の総インキ量が60mgとなるように加圧後の印刷物を成形した後、印刷裏面の全てが液面に接するように容積1000cmで、且つ、1000cmの内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cmの液体容器を作製し、エタノール水溶液(エタノール50重量%と純水50重量%の混合溶液)1000cmを注ぎ密閉する。
    3.密閉した液体容器を40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にてエタノール水溶液に含まれる数平均分子量300以下の芳香族化合物を定量する。
  2. 前記α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤が、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン)、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェノキシ〕フェニル}−2−メチルプロパノンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記透明紫外線硬化性組成物が数平均分子量300以上1400以下のチオキサントン系光重合開始剤を組成物全量の0.1〜5質量%の範囲で含む請求項1又は2に記載の印刷物。
  4. 前記透明紫外線硬化性組成物がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド及び/又は2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドを組成物全量の0.1〜10質量%の範囲で含む請求項1〜3の何れか1つに記載の印刷物。
  5. 前記透明紫外線硬化性組成物が、数平均分子量400以上1500以下であり、波長250〜450nmにおける極大吸収を280〜340nmの範囲に有する芳香族3級アミン化合物を組成物全量の0.1〜8質量%の範囲で含有する請求項1〜4の何れか1つに記載の印刷物。
  6. 前記活性エネルギー線硬化インキ層と透明被覆層をインラインで印刷する請求項1〜5の何れか1つに記載の印刷物。
  7. 請求項1〜6の何れか1つに記載の透明被覆層の印刷に用いられた透明紫外線硬化性組成物。
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