JP2018089902A - 液体吐出ヘッド用基板の製造方法 - Google Patents

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好一 小俣
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卓 谷口
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Abstract

【課題】電極配線の局所的な凹みの発生が抑制され且つ信頼性に優れた液体吐出ヘッド用基板の提供。
【解決手段】基体上に順次積層された発熱抵抗体と銅を含むアルミニウム合金からなる電極配線とを備える液体吐出ヘッド用基板の製造方法であって、前記電極配線の上に設けられたレジストにならって前記電極配線をエッチングすることより前記発熱抵抗体を露出させる工程と、前記発熱抵抗体の露出表面の領域を樹脂で被覆する工程と、前記レジストおよび前記樹脂を、酸素ガスを含んだガスによるドライ処理により除去する工程と、を含む、液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
【選択図】図8

Description

本発明は、液体吐出装置に搭載される液体吐出ヘッド用基板の製造方法に関する。
インクジェット記録方式を実現するための液体吐出ヘッドには、種々の吐出方式が採用されている。中でも、熱エネルギを利用してインクを吐出する方式による液体吐出ヘッドは、インクを加熱発泡させるための複数の発熱部(ヒータ)およびこれに電気的接続を行う配線等を同一の基体上に作製して、これを液体吐出ヘッド用基板としている。そして、液体吐出ヘッド用基板の上に、発熱部に対応してインクを吐出させるためのノズル(吐出口)を形成した構成が一般的である。
図13は、従来技術の製造方法に係る液体吐出ヘッド用基板19の発熱抵抗体13周辺の詳細図である。図13において、基体11上に、絶縁膜12としてのSiO(酸化ケイ素)が積層されている。その上に、発熱抵抗体13としてのTaSiN(タンタルシリコン窒化物)と電極配線14としてのAl−Cu(アルミニウム銅)が順次積層されている。その上に、発熱抵抗体13および電極配線14をインクから保護するための保護膜15としてのSiN(窒化ケイ素)が積層されている。さらにその上に、使用時の大幅な温度変化や発泡および消泡による機械的衝撃から下層を保護するための耐キャビテーション膜16としてのTa(タンタル)が積層されている。
電極配線14は、厚さ方向において隣接する発熱抵抗体13に向かって先細りするテーパー形状の開口部を有するように配設されている。従来技術の製造方法に係る液体吐出ヘッド用基板では、この開口部を形成する電極配線14の面(以下、テーパー部ともいう)において、カバレッジ性の低い箇所17が発生しやすい傾向にある。これは、電極配線14の局所的な凹みに基づく保護膜15のカバレッジ不足によるものであると考えられる。
図14を用いて、電極配線14の局所的な凹みの推定発生原因を説明する。図14(A)は、発熱抵抗体パターン型のレジスト6にならって電極配線14をウェットエッチングして発熱抵抗体13を形成する製造工程が終了した段階を示す。この段階で、電極配線14のテーパー部においてCuの偏析粒3が表面に表れている。また、この段階で、電極配線14の上には、発熱抵抗体13を形成するための電極配線14のエッチングに使用されたレジスト6が存在している。図14(B)は、図14(A)に示される段階の後、有機アミン系の剥離液を用いたウェット処理によりレジスト6を剥離する製造工程が終了した段階を示す。この工程において、有機アミン系の剥離液を介したAlとCuの偏析粒3とを電極とした局所電池反応が起こり、電極配線14のテーパー部に局所的な凹み4が発生するものと推定している。
特許文献1には、S(硫黄)を含むガスにてアッシング(灰化)を行い、Cu−Al偏析物を硫化することにより、局所電池反応を抑制する方法が提案されている。
特開平11−204410号公報
特許文献1に示される方法は、上述の電極配線のテーパー部の局所的な凹みの発生防止に対して有効であり得る。しかしながら、この方法のためには、アッシング装置にSを含むガスを導入する必要があり、装置の改造などが必要となる。
この電極配線のテーパー部の局所的な凹みは、有機アミン系の剥離液を介したAlとCuの偏析粒3とを電極とした局所電池反応により発生している。そこで、別法として、発生原因となる3種の組み合わせを避ける方法が考えられる。例えば、酸素ガスを含んだガスを用いたアッシングによるドライ処理により、有機アミン系の剥離液を使用せずにレジストを剥離する方法をとることができる。
図15を用いて、この方法を説明する。図15(A)は、図14(A)と同様に、発熱抵抗体パターン型のレジスト6にならって電極配線14をウェットエッチングして発熱抵抗体13を形成する(露出させる)製造工程が終了した段階を示す。図15(B)は、図15(A)に示される段階の後、酸素ガスを含んだガスを用いたアッシングによるドライ処理によりレジスト6を剥離する製造工程が終了した段階を示す。この方法によれば、Cuの偏析粒3が電極配線の表面に存在するものの、その周辺の電極配線の局所的な凹みは発生しない。
しかし、この方法によると、発熱抵抗体13の表面に変質層18が形成され得る。これは、酸素ガスを含んだガスを用いたアッシングに発熱抵抗体13が長時間曝されるためであると考えられる。発熱抵抗体13にこのような変質層18が存在することにより、発熱抵抗体の耐久性が低く、これを備える液体吐出ヘッド用基板は品質信頼性が低い、といった問題が新たに発生する恐れがある。
本発明は従来技術が持つかかる問題点を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、電極配線の局所的な凹みの発生が抑制され且つ信頼性に優れた液体吐出ヘッド用基板を得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の液体吐出ヘッド用基板の製造方法は、基体上に順次積層された発熱抵抗体と銅を含むアルミニウム合金からなる電極配線とを備える液体吐出ヘッド用基板の製造方法であって、前記電極配線の上に設けられたレジストにならって前記電極配線をエッチングすることより前記発熱抵抗体を露出させる工程と、前記発熱抵抗体の露出表面の領域を樹脂で被覆する工程と、前記レジストおよび前記樹脂を、酸素ガスを含んだガスによるドライ処理により除去する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、電極配線の局所的な凹みの発生が抑制され且つ信頼性に優れた液体吐出ヘッド用基板、ならびに、それを用いた液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置を得ることができる
液体吐出チップの概略的上面図である。 発熱抵抗素子の構成例を示す図である。 発熱抵抗素子を作製するためのフロー図である。 電極配線パターンを形成するためのフロー図である。 発熱抵抗体パターンを形成するためのフロー図である。 電極配線パターンの形成プロセスを示す概略図である。 発熱抵抗体パターンの形成プロセスを示す概略図である。 本発明の製造方法に係る発熱抵抗体付近の詳細図である。 発熱抵抗素子を作製するためのフローの別の例を示す図である。 液体吐出ヘッド用基板を備える液体吐出ユニットを示す図である。 液体吐出ヘッドを示す図である。 液体吐出装置を示す図である。 従来技術に係る発熱抵抗体付近の詳細図である。 従来技術の製造方法に係る発熱抵抗体付近の詳細図である。 別の従来技術の製造方法に係る発熱抵抗体付近の詳細図である。
図を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の製造方法を適用可能な液体吐出チップの概略的上面図である。液体吐出チップ61は、液体吐出ヘッド用基板19上にノズル部材62が積層された構成を有する。ノズル部材62にはインクを吐出するための吐出口63が配置されており、液体吐出ヘッド用基板19には吐出口63に対応した位置に発熱抵抗素子(不図示)が配置されている。また、液体吐出チップ61には、外部から電気信号を入力するための電極パッド64が設けられている。このような液体吐出チップは、ウェハの状態で同時に複数個作製され、切り出されて使用される。
図2に、図1を用いて説明した液体吐出チップの液体吐出ヘッド用基板19に設けられた発熱抵抗素子の構成例を示す。図2(A)は、概略的な平面図であり、図2(B)は、図2(A)のIIB−IIB線に沿って取った概略的な断面図である。
液体吐出ヘッド用基板19には、基体11上に積層された複数の層により発熱抵抗素子が設けられている。詳細には、まず、基体11上に絶縁膜12としてのSiO(酸化ケイ素)が積層されている。その上に、発熱抵抗体13としてのTaSiN(タンタルシリコン窒化物)と電極配線14としてのAl−Cu(アルミニウム銅)とが順次積層されている。その上に、発熱抵抗体13および電極配線14をインクから保護するための保護膜15としてのSiN(窒化ケイ素)が積層されている。さらにその上に、使用時の大幅な温度変化や発泡および消泡による機械的衝撃から下層を保護するための耐キャビテーション膜16としてのTa(タンタル)が積層されている。
図3から図8を用いて、図2に示される発熱抵抗素子の作製方法について説明する。
図3から図5は、発熱抵抗素子を作製するためのフロー図である。
図3を参照して、まず、発熱抵抗体13の作製方法(ステップS400)を説明する。基板19上に、発熱抵抗体13となるTaSiNと、電極配線14となるAl−Cuと、を成膜して連続的に積層させる(ステップS500)。次いで、これらの膜の積層体から、電極配線パターンを形成し(ステップS600)、および発熱抵抗体パターンを形成(ステップS700)する。以上のステップにより、発熱抵抗素子は完成する。
図4を参照して、上記ステップS600に係る電極配線パターンの形成のフローを詳細に説明する。電極配線パターンの形成には、一般的なフォトリソグラフィ技術やエッチング技術が用いられる。まず、電極配線14となるAl−Cu上に感光性レジスト5を塗布する(ステップS601)。次いで、感光性レジストの露光および現像を行って、電極配線パターン型のレジストを形成する(ステップS602)。次いで、電極配線パターン型のレジストにならって、電極配線と発熱抵抗体とを同時にドライエッチングする(ステップS603)。次いで、電極配線パターン型のレジストをアッシングによるドライ処理により剥離し(ステップS604)、電極配線パターンが完成する。
図5を参照して、上記ステップS700に係る発熱抵抗体パターンの形成のフローを詳細に説明する。発熱抵抗体パターンの形成には、一般的なフォトリスグラフィ技術やエッチング技術が用いられる。まず、電極配線パターンの上に感光性レジストを塗布する(ステップS701)。次いで、感光性レジストの露光および現像を行い、発熱抵抗体パターン型のレジストを形成する(ステップS702)。次いで、発熱抵抗体パターン型のレジストにならって、電極配線パターンをウェットエッチングする(ステップS703)。次いで、電極配線パターンのウェットエッチングにより露出された領域へ樹脂を塗布する(ステップS704)。このステップS704における樹脂の塗布が、本発明の特徴である。次いで、発熱抵抗体パターン型のレジストとステップS704において塗布された樹脂とをアッシングによるドライ処理により剥離し(ステップS705)、発熱抵抗体パターンが完成する。
図6から図8を用いて、本実施形態における各プロセスを説明する。なお、以下に示される本実施形態の各構成の層(膜)の厚さは、1つの例であり、本発明を限定するものではない。
図6(A)〜(D)は、電極配線パターンの形成プロセス(図3および図4のステップS600)を説明する概略的な断面図を示す。
図6(A)を参照して、まず、CVD(化学気相成長)装置を用いて基体11上に絶縁膜12としてSiOを1000nmの厚さに成膜する。次いで、発熱抵抗体13となるTaSiNを10nmの厚さに、および電極配線14となるAl−Cuを600nmの厚さに、スパッタリング法を用いて成膜して連続的に積層する(図3のステップS500)。
次に、図6(B)を参照して、電極配線14となるAl−Cu上に感光性レジストを2μmの厚さに塗布する(図4のステップS601)。次いで、感光性レジストの露光および現像を行って、電極配線パターン型のレジスト5を形成する(図4のステップS602)。
次に、図6(C)を参照して、塩素系ガスを含んだガスを用いたドライエッチングにより、電極配線パターン型のレジスト5にならって、電極配線となるAl−Cuと発熱抵抗体となるTaSiNとを同時にエッチングする(図4のステップS603)。
次に、図6(D)を参照して、電極配線パターン型のレジスト5を、酸素ガスを含んだガスを用いたアッシングによるドライ処理により剥離し(図4のステップS604)、電極配線パターンが完成する(ステップS600が完了)。
次いで、図7(A)〜(E)は、発熱抵抗体パターンの形成プロセス(図3および図5のステップS700)を説明する概略的な断面図である。
図7(A)は、図6(D)で説明した電極配線パターンが完成した段階の基板を示す。図7(B)を参照して、まず、電極配線パターン上に、感光性レジストを厚さ2μmに塗布する。次いで、感光性レジストの露光および現像を行って、発熱抵抗体パターン型のレジスト6を形成する(図5のステップS701)。
次に、図7(C)を参照して、混酸を用いたウェットエッチングにより、発熱抵抗体パターン型のレジスト6にならって、電極配線パターンをエッチングする。ここで、本明細書において混酸とは、2種類以上の酸の混合物をいう。混酸を用いたウェットエッチングを採用するのは、電極配線パターンと発熱抵抗体パターンとのエッチング選択比が十分に大きく取れるからであり、さらに電極配線パターンのエッチング面をテーパー状に形成できるためである。つまり、混酸を用いたウェットエッチングにより、電極配線パターンには、厚さ方向において下層の発熱抵抗体パターンに向かって先細りするような形状(テーパー状)の開口部が形成される。このように電極配線パターンのエッチング面をテーパー状に形成するのは、発熱抵抗体と電極配線との段差部をなだらかにして、発熱抵抗体および電極配線をインクから保護するための保護膜を成膜する際の段差部におけるカバレッジ性を良好にするためである。なお、図7(C)のように電極配線パターンを一部除去することで作製された、電極配線パターンの間に位置する発熱抵抗体13の部分が発熱部として機能する。
図7(D)は、本発明の特徴である、樹脂の塗布が行われた段階を示す。発熱抵抗体パターン型のレジスト6にならった電極配線パターンのウェットエッチングが終了すると、基体上に、発熱抵抗体13が露出した部分が生じる。本発明では、露出された発熱抵抗体13の表面(以下、単に露出表面ともいう)の領域に例えば塗布などの手法により樹脂1を覆い被せる。被覆の手法はこれに限定されず、材料が取り除かれた箇所に樹脂を再度配置して、発熱抵抗体が露出した部分を樹脂により被覆して埋め得るものであればよく、本明細書ではこれを総称して「樹脂の塗布」または「樹脂の再塗布」ともいうものとする。樹脂の再塗布は、発熱抵抗体の露出表面の領域だけでなく、その周辺の電極配線パターンの表面および/または発熱抵抗体を露出させるために用いられたレジスト6の表面を含む領域にも合わせて行われてもよい。樹脂の再塗布により、発熱抵抗体パターンの全体が樹脂に埋められてもよい。
次に、図7(E)を参照して、発熱抵抗体パターン型のレジスト6、および発熱抵抗体が露出した部分を覆うために再塗布した樹脂1を、酸素ガスを含んだガスを用いたアッシングによるドライ処理により剥離して除去し、発熱抵抗体パターンが完成する。ここで、樹脂1はアッシングによるドライ処理によって剥離されて除去されるが、樹脂1が除去されるまでのアッシング時間について、図8を用いて詳しく述べる。
図8(A)および(B)は、本発明の製造方法に係る発熱抵抗体付近の詳細図である。
図8(A)は、発熱抵抗体パターン型のレジスト6にならった電極配線パターンのウェットエッチングが終了した後に、発熱抵抗体13が露出した部分に樹脂1が再塗布された段階を示す。発熱抵抗体13の露出表面、その周辺の電極配線14の表面、および発熱抵抗体を露出させるために用いられたレジスト6の表面を含む領域が樹脂1により被覆されている。
発熱抵抗体13の露出表面の領域の上に位置する樹脂1の厚さT1が、次いで行うアッシング処理により除去されるまでの時間を時間P1とする。また、同じアッシング処理により、発熱抵抗体13の露出表面の領域とは別の領域(以下、他の領域ともいう)である、電極配線14上に位置する樹脂1および発熱抵抗体パターン型のレジスト6の両方の総厚T2が除去されるまでの時間を時間P2とする。本発明では、この時間P1と時間P2との関係で、時間P1の方が長くなっていることが重要である。すなわち、レジスト6および樹脂1を除去する工程において、電極配線14の上に位置する樹脂1およびレジスト6の除去が先に終了し、その後、発熱抵抗体13の露出表面の領域の上に位置する樹脂1の除去が終了するように設定する。こうすることにより、樹脂を除去する際のオーバーアッシングによる発熱抵抗体の変質を少なく抑えることができる。
再塗布される樹脂1は、他の工程で用いられる感光性レジストと同一のものであってもよい。また、この樹脂は、露光を行うわけではないため、感光性を持たないレジストであってもよい。ただし、発熱抵抗体の露出表面の領域を覆ったり発熱抵抗体パターンを埋めたりすることのできる材料である必要があり、塗布性の良いものがよりよい。同一の樹脂を用いると、発熱抵抗体パターン型のレジスト6の剥離性と再塗布された樹脂1の剥離性とをほぼ同じにすることができる。この場合は、発熱抵抗体13の露出表面の領域上に再塗布された樹脂1の厚さT1を、電極配線14上の発熱抵抗体パターン型のレジスト6および樹脂1の両方の総厚T2より厚くすればよい。なお、樹脂1を塗布すると、樹脂1は発熱抵抗体13の露出表面とレジスト6および電極配線14との段差にならうため、図8(A)に示すように、発熱抵抗体13の露出表面の領域の上に位置する樹脂1の表面に周囲に対して凹んだ凹部が形成され得る。そのため、樹脂1とレジスト6とで同じ材料を用いる場合は、この凹部が形成されないように、例えば樹脂1の表面が平坦になるように樹脂1を塗布することが好ましい。
なお、樹脂1とレジスト6とで異なる材料を用いる場合には、樹脂1の材料として、アッシングによる除去速度がレジスト6の材料よりも遅い材料を用いることが好ましい。
図8(B)を参照して、その後、酸素ガスを含んだガスを用いたアッシングによるドライ処理により樹脂1を剥離する。このようにすることにより、Cuの偏析粒3が電極配線の表面に存在するものの、その周辺の電極配線の局所的な凹みは発生しない。さらに、発熱抵抗体13の表面がアッシングに曝される時間を短く制御できるため、発熱抵抗体13の変質を抑えられる。
図9を用いて、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド用基板の発熱抵抗素子を作製するための工程フローの別の例(ステップS410)を説明する。図9を参照して、まず、基体11上に発熱抵抗体13と電極配線14を成膜して連続的に積層させる(ステップS500)。そして先に発熱抵抗体パターンを形成し(ステップS700)、その後電極配線パターンを形成(ステップS600)することにより発熱抵抗素子は完成する。
つまり、本発明では、発熱抵抗体が形成された後の製造工程において、発熱抵抗体の露出表面がアッシングに用いられる酸素ガスを含んだガスに曝されないように被覆されていればよく、工程フローの各工程は、適時選択して行うことができる。
図10から図12を用いて、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド用基板を用いた液体吐出ヘッド、および液体吐出装置について説明する。
図10に示されるように、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド用基板を用いた液体吐出チップ61の複数の電極パッド64と、フレキシブルフィルムの形態の配線基板71に設けられた複数の電極リード72とが、例えばTAB技術によって電気的に接続される。これにより液体吐出ユニット73が構成される。液体吐出ユニット73は、液体吐出装置との接続に用いられるコンタクトパッド74を有する。
図11に示されるように、液体吐出ユニット73は、インク等の液体を収容するインクタンク81上に貼り付けられる。そして、液体吐出ユニット73内のコンタクトパッド74と電極リード72との電気的接続部をインク等の液体による腐食や外部からの力による断線から保護するために、接続部全体を封止樹脂82によって被覆保護し、液体吐出ヘッド83が完成する。コンタクトパッド74は、液体吐出ヘッド83と液体吐出装置との接続に用いられる。
図12を用いて、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッド83を用いた液体吐出装置の構成を説明する。液体吐出装置91には、紙などの記録媒体の搬送を行う搬送機構94が、液体吐出装置本体のメインフレーム92に設けられている。メインフレーム92には、液体吐出ヘッド83を搭載し紙の搬送方向と交差する(好ましくは直交する)方向に往復移動するキャリッジ93が備えられている。ここでは、キャリッジ93上に搭載される液体吐出ヘッド83が、液体を吐出するヘッドとインク等の液体を収容しヘッドに液体を供給するインクカートリッジとを一体化した形態の液体吐出ヘッドである例を非限定的に示している。液体吐出ヘッド83は、ヘッドとインクカートリッジとが分離された分離型の液体吐出ヘッドであってもよい。その場合には、インクカートリッジは交換可能な構成とされ、また、液体吐出ヘッド83には、キャリッジ93上に固定される構成あるいはキャリッジ93に対して着脱可能な構成のいずれかが適宜採用される。
<評価>
実施例および比較例により、本発明の評価を行った。
(実施例1)
図6から図8を用いて説明した本発明の実施形態に係る製造方法に従って液体吐出ヘッド用基板を製造し、実施例1とした。
つまり、基体上に発熱抵抗体および電極配線の材料をこの順番で成膜して連続的に積層させ、エッチングにより、先に電極配線パターンを形成し、次いで発熱抵抗体パターンを形成した。そして、発熱抵抗体パターンが形成された後に、発熱抵抗体の露出表面を樹脂の再塗布により覆ってから、酸素ガスを含むガスを用いたアッシングによるドライ処理により、エッチングに用いた発熱抵抗体パターン型のレジストを剥離した。
(実施例2)
実施例1と同様の製造方法により製造した液体吐出ヘッド用基板を用いて、図10から図12を用いて説明した本実施形態に係る構成の液体吐出ヘッド、およびこれを用いた液体吐出装置を作製し、実施例2とした。
(比較例1)
発熱抵抗体の露出表面に対して樹脂の再塗布を行わなかった以外は実施例1と同様にして液体吐出ヘッド用基板を製造し、比較例1とした。
(比較例2)
液体吐出ヘッド用基板として、比較例1と同様の製造方法により製造した液体吐出ヘッド用基板を用いた以外は実施例2と同様にして、液体吐出ヘッド、およびこれを用いた液体吐出装置を作製し、比較例2とした。
[評価方法]
1. 実施例1および比較例1の評価
発熱抵抗体と保護膜との総合的な状態を確認した。詳細には、インクのない状態で、実際の製品で駆動する条件で(つまり一定の駆動周波数、駆動電圧、駆動パルス幅の連続パルスを印加して)発熱抵抗素子を駆動させ、発熱抵抗体の抵抗値の変化率をモニタリングした。また、発熱抵抗体の断線の発生の有無および断線に至るまでの印加パルスを確認した。以下、この評価試験をCST試験と呼ぶものとする。
2. 実施例2および比較例2の評価
製品としての液体吐出耐久性を確認した。詳細には、インクのある状態で、実際の製品で駆動する条件で(一定の駆動周波数、駆動電圧、駆動パルス幅の連続パルスを印加して)液体吐出装置を駆動させ、発熱抵抗体の断線の発生の有無および断線に至るまでの印加パルスを確認した。さらに、出力された印字物の品質(つまり液体吐出装置から吐出されたインクにより記録媒体に記録された文字や画像の画質)を目視にて確認した。以下、この評価試験を、印字耐久性試験と呼ぶものとする。
[評価結果]
(実施例1)
本発明の実施形態に係る実施例1は、CST試験において、8E+08パルスまで発熱抵抗体の断線はなく、十分な耐久性を有することを確認できた。また、発熱抵抗体の抵抗値の変化率は±3%以下であった。
(実施例2)
本発明の実施形態に係る実施例2は、印字耐久性試験において、5E+08パルスまで発熱抵抗体の断線はなく、十分な耐久性を有することを確認できた。また、出力された印字物の品質にも問題はなかった。
(比較例1)
比較例1は、CST試験において、3E+08パルスで発熱抵抗体の断線が発生した。また断線前までの発熱抵抗体の抵抗値の変化率は、±8%であり、大きく変化していた。
(比較例2)
比較例2は、印字耐久性試験において、4E+08パルスまで発熱抵抗体の断線はなかった。しかしながら、出力された印字物においては、液体吐出時の発泡が不安定であることを起因とすると思われる印字不良が発生した。
以上のように、本発明の製造方法によれば、レジスト剥離の際に酸素ガスを含んだガスを用いたアッシングを行うため、有機アミン系の剥離液を介したAlとCuの偏析粒3とを電極とした局所電池反応を回避でき、電極配線の局所的な凹みの発生を抑制できる。また、アッシングの際に、発熱抵抗体の露出表面を樹脂で被覆するために、発熱抵抗体の表面がアッシングに曝される時間を短く制御することができ、発熱抵抗体13の変質を抑えられる。したがって、本発明によれば、電極配線の局所的な凹みの発生が抑制されるとともに信頼性に優れた液体吐出ヘッド用基板、ならびに、それを用いた液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置を得ることができる。
以上に説明した実施形態において、液体吐出ヘッド用基板の電極配線の材料として、Al−Cu(アルミニウム銅)を用いた。本明細書において、Al−Cuとは、Al−Cu系合金を指すものとする。Al−Cu系合金は、少なくとも銅を含むアルミニウム合金であればよく、Al(アルミニウム)とCu(銅)に加えて、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)などのマイナー成分を含んでいてもよい。
以上に説明した実施形態において、レジスト剥離の際に、酸素ガスを含んだガスを用いたドライ処理によりアッシングを行った。本発明においては、ガスを用いたドライ処理により有機アミン系の剥離液を介したAlとCuの偏析粒3とを電極とした局所電池反応を回避することができればよく、用いることのできるガスの種類は、レジストおよび樹脂の剥離ができる限り、限定されない。
1 再塗布される樹脂
3 Cuの偏析粒
4 局所的な凹み
5 電極配線パターン型のレジスト
6 発熱抵抗体パターン型のレジスト
11 基体
12 絶縁膜
13 発熱抵抗体
14 電極配線
15 保護膜
16 耐キャビテーション膜
17 カバレッジ性の低い箇所
18 変質層
19 液体吐出ヘッド用基板
61 液体吐出チップ
62 ノズル部材
63 吐出口
64 電極パッド
71 フレキシブルフィルムの形態の配線基板
72 電極リード
73 液体吐出ユニット
74 コンタクトパッド
81 インクタンク
82 封止樹脂
83 液体吐出ヘッド
91 液体吐出装置
92 メインフレーム
93 キャリッジ
94 搬送機構

Claims (5)

  1. 基体上に順次積層された発熱抵抗体と銅を含むアルミニウム合金からなる電極配線とを備える液体吐出ヘッド用基板の製造方法であって、
    前記電極配線の上に設けられたレジストにならって前記電極配線をエッチングすることより前記発熱抵抗体を露出させる工程と、
    前記発熱抵抗体の露出表面の領域を樹脂で被覆する工程と、
    前記レジストおよび前記樹脂を、酸素ガスを含んだガスによるドライ処理により除去する工程と、
    を含むことを特徴とする液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  2. 前記除去する工程において、前記発熱抵抗体の露出表面の領域上に位置する前記樹脂の除去にかかる時間が、他の領域上に位置する前記樹脂と前記レジストとの総厚の除去にかかる時間よりも長いことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  3. 前記被覆する工程において、前記発熱抵抗体の露出表面の領域上に位置する前記樹脂の厚さが、他の領域上に位置する前記樹脂と前記レジストとの総厚よりも厚くなるように、前記樹脂の塗布が行われることを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  4. 前記樹脂と前記レジストとで同じ材料を用いることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
  5. 前記樹脂の材料として前記ドライ処理による除去速度が前記レジストの材料よりも遅い材料を用いることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド用基板の製造方法。
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