JP3814608B2 - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インク等の液体を飛翔液滴として噴射することにより記録を行うインクジェット記録吐出ヘッドの製造方法に関する。
従来、インクを吐出する複数の吐出口と、それらの吐出口に対応して配置されインクに吐出エネルギーを与えるエネルギー発生素子とを備えたインクジェット記録ヘッドが実用化されている。
インクジェット記録ヘッドの、インクを吐出する構造部は、その小型化および高密度化を実現するため半導体製造技術を用いて製造されている。
以下、図面を参照して従来のインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法について説明する。
図7は、従来のインクジェット記録ヘッドの一例を模式的に示している。図8、9は、図7のインクジェット記録ヘッドの製造工程の一例を説明するための図であり、図9(i)は、図7に示すA―A線におけるインクジェット記録ヘッドの断面図を示している。
インクジェット記録ヘッド150は、シリコン基板1と、シリコン基板1上に配置され複数の吐出口11を備えた感光性樹脂膜9とを有している。吐出口11は、所定の配列ピッチで配列されており、吐出口列は所定の間隔をおいて2列となっている。各吐出口11に対応する位置には、インクに吐出エネルギーを付与するためのエネルギー発生素子2が配置されている。シリコン基板1には、全吐出口11に連通する1つのインク供給口13が、吐出口11の配列方向に形成されており、これにより、インクがインク供給口13から各吐出口11へ供給されるように構成されている。
インクジェット記録ヘッド150は、より詳細には図9(i)に示すように、シリコン基板1と感光性樹脂膜9との間に、酸化シリコン膜3および窒化シリコン膜4とを有している。酸化シリコン膜3は、シリコン基板1の表面に絶縁膜として形成されており、窒化シリコン膜4は、酸化シリコン膜3上に形成されている。エネルギー発生素子2は、シリコン基板1上に形成されており、不図示の配線と電気的に接続されることにより外部からの電気的信号に応じて駆動されるようになっている。上述の窒化シリコン膜4は、エネルギー発生素子2を覆うように配置されており、エネルギー発生素子2等の保護膜として機能する。各吐出口11へインクを供給するための流路8aは、吐出口11とインク供給口13とに連通するように形成されている。
このような構成のインクジェット記録ヘッド150は、例えば特許文献1に提案されているように、以下のような製造工程で製造される。
まず、図8(a)に示すように、上面側に酸化シリコン膜3、窒化シリコン膜4が順に成膜され、裏面側に熱酸化膜5、ポリシリコン膜6が順に成膜されたシリコン基板1からなる前駆体120を用意する。窒化シリコン膜4の下層には、エネルギー発生手段2およびそれに接続される配線(不図示)が形成されている。
次いで、図8(b)に示すように、ポリシリコン膜6を除去し、図8(c)に示すように、熱酸化膜5の一部、すなわちインク供給口13の下端開口部に対応する領域を除去する。その結果、シリコン基板1の下面の一部が露呈する。
次いで、図8(d)に示すように、熱酸化膜5をマスクとして、例えば強アルカリ溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン基板1を下面側からエッチングする。これにより、シリコン基板1にインク供給口13となる貫通口が形成される。ウェットエッチングが終了した前駆体120は、強アルカリ溶液の洗浄などを目的として純水洗浄される。
次いで、図8(e)に示すように、溶解可能な樹脂材料からなる流路パターン8を窒化シリコン膜4上に形成する。流路パターン8の形状は、図9(i)に示す流路8aと同形状となっている。
次いで、図9(f)に示すように、前駆体120の上面の全体を覆うように感光性樹脂膜9および撥水層10を形成し、吐出口11を形成する。
次いで、図9(g)、(h)に順に示すように、シリコン基板1の下面側から例えばCF4などを用いたドライエッチングにより、インク供給口13となる貫通口上に位置する酸化シリコン膜3と窒化シリコン膜4とを除去する。
次いで、図9(i)に示すように、流路パターン8を溶出させることにより、流路8aが形成され、インクジェット記録ヘッド150が製造される。
特開平9―11479号公報
しかしながら、従来の製造方法においては以下のような問題点があった。
まず、上述のように、インク流路の形成は強アルカリ溶液を用いたウェットエッチングによって実施されるため、その溶液によってエネルギー発生素子やそれに接続される配線が損傷することがあった。すなわち、エネルギー発生素子や配線は窒化シリコン膜の下層に形成されることによりその窒化シリコン膜によって保護されているが、無機材料である窒化シリコン膜には微小な傷やピンホールが存在する場合あり、溶液がそこから浸入してエネルギー素子等を損傷させることがあった。
また一般に、エネルギー発生素子の上下の層となる酸化シリコン膜および窒化シリコン膜はインクの吐出に利用されるエネルギーの効率低下を抑えるために非常に薄い膜厚で形成されるため、シリコン基板にインク供給口となる貫通口を形成した直後の状態では(例えば図8(d)参照)、この貫通口上に位置する酸化シリコン膜および窒化シリコン膜は、他の部材によって全く支持されていないため破損しやすい。したがって、例えば、ウェットエッチング後の洗浄工程や流路パターンを配置する工程などで膜が破損することがあった。
そこで本発明は、第1の目的として、シリコン基板上に設けられたエネルギー発生素子等の破損を防止し、第2の目的として、窒化シリコン膜等が、特にインク供給口形成後の工程で破損するのを防止する、インクジェット記録ヘッドの製造方法を提供する。また、本発明の製造方法により製造されたインクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置を提供する。
本発明は、インクを吐出する吐出口と、該吐出口に連通するインク流路と、前記インク流路内のインクを吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、少なくとも前記エネルギー発生素子を覆う保護膜と、前記インク流路に連通するインク供給口と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記エネルギー発生素子が設けられ、前記エネルギー発生素子を覆うように保護膜が形成されたシリコン基板を準備する工程と、
前記保護膜の前記インク供給口に対応する部分を除去する工程と、
前記シリコン基板の前記保護膜が除去された領域を覆うように樹脂膜を形成する工程と、
前記シリコン基板の前記エネルギー発生素子が設けられた側の面とは反対の面側から、前記樹脂膜をエッチングストップ層としてウェットエッチングを行い前記インク供給口となる貫通口を前記シリコン基板に形成する工程と、
を有することを特徴とするものである。
また本発明は、インクを吐出する吐出口と、該吐出口に連通するインク流路と、前記インク流路内のインクを吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、少なくとも前記エネルギー発生素子を覆う保護膜と、前記インク流路に連通するインク供給口と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記エネルギー発生素子が設けられ、少なくとも前記エネルギー発生素子を覆うように保護膜が形成されたシリコン基板を準備する工程と、
前記保護膜が形成された前記シリコン基板の少なくとも前記インク供給口に対応する部分を覆うように樹脂膜を形成する工程と、
前記シリコン基板の前記エネルギー発生素子が設けられた側の面とは反対の面側からウェットエッチングを行い前記インク供給口となる貫通口を前記シリコン基板に形成する工程と、
前記樹脂膜を形成する工程より後に、前記シリコン基板上に前記インク流路を構成する流路構成部材を形成する工程と、を有し、
前記樹脂膜が、前記保護膜と前記流路構成部材との密着性を高めているとともに、
前記貫通口を形成する工程では、前記貫通口を少なくとも前記樹脂膜が覆っていることを特徴とするものである。
本発明によれば、樹脂膜がシリコン基板のインク供給口に対応する部分を覆った状態で、インク供給口となる貫通口をシリコン基板に形成するため、保護膜に傷やピンホールがあったとしても、洗浄工程等で溶液がその傷やピンホールに浸入し、エネルギー発生素子やそれに接続される配線を損傷することが防止される。
上記製造方法は、前記インク供給口となる前記貫通口を形成する工程より後に、前記シリコン基板の前記吐出エネルギー発生素子が設けられた側の面とは反対の面側から、前記貫通口上の領域の前記樹脂膜を除去する工程をさらに含むものであってもよい。
このようにインク供給口となる貫通口上に対応する部分に樹脂膜を設けた場合、その樹脂膜がこの部分の保護膜等を補強するため、その後の工程における保護膜の破損が防止される。
また、上記製造方法は、前記樹脂膜を形成する工程より後に、前記シリコン基板上に前記インク流路を構成する流路構成部材を形成する工程を含み、前記樹脂膜が前記保護膜と前記流路構成部材との密着性を高めているものであってもよい。
また、前記貫通口が形成された前記シリコン基板上の、前記インク供給口となる貫通口上を含む位置に溶解可能な樹脂材料からなる流路パターンを形成する工程と、前記流路パターンを覆うように感光性樹脂膜を形成する工程と、該感光性樹脂膜に前記吐出口を形成する工程と、前記流路パターンを溶出させて前記インク流路を形成する工程を含むものであってもよい。前記流路パターンを溶出させる工程は、前記樹脂膜を除去した後に行われるものであってもよい。
なお、本明細書において、「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することも意味する。また、「被記録媒体」は、紙に限らず、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等も含む。「記録装置」は、プリンタに限らず、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ、さらに各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置も含む。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法によれば、製造工程中のエネルギー発生素子等の損傷が防止されるため、歩留まりよくインクジェット記録ヘッドを製造することができる。また、シリコン基板のインク供給口となる貫通口上に窒化シリコン膜等が配置されたシリコン基板を用いる場合であっても、その窒化シリコン膜等の破損が防止されるため歩留まりを向上させることができる。
(第1の実施形態)
図1、2は、第1の実施形態による、インクジェット記録ヘッドの製造工程を説明するための図である。図3は、インクジェット記録ヘッドの製造工程を示すフロー図である。以下、第1の実施形態について図1〜3を参照して説明する。
図2(j)に示す本実施形態のインクジェット記録ヘッド50は、図7〜9に示した従来のインクジェット記録ヘッド150と比較して、感光性樹脂膜9と窒化シリコン膜4との間に樹脂膜7aが形成されている点で相違している。その他の構成については、図7〜9のインクジェット記録ヘッド150と同様であり、同一機能の構成部には図7〜9と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
インクジェット記録ヘッド50は、以下のような製造工程により製造される。
まず、図1(a)に示すように、インクジェット記録ヘッド50の前駆体20となるシリコン基板1を用意する(S1)。前駆体20は、従来のインクジェット記録ヘッド150の前駆体120と同一のものであり、結晶方位が<100>または<110>のシリコン基板1をベースとしている。シリコン基板1の上面側には酸化シリコン膜3が成膜され、さらにその酸化シリコン膜3を覆うように窒化シリコン膜4が成膜されている。シリコン基板1上には、インクに吐出エネルギーを与えるためのエネルギー発生素子2およびそれに接続される配線(不図示)が形成されており、エネルギー発生素子2および配線(不図示)は、窒化シリコン膜4によって保護されている。なお、エネルギー発生素子2は、電気熱変換素子であってもよいし、圧電素子であってもよい。なお、本実施形態では、窒化シリコン膜4は、前駆体20の全面を覆うように形成されているが、少なくともエネルギー発生素子2またはそれに接続される配線(不図示)が形成された領域を覆うものであれば本発明を適用することができる。
シリコン基板1の下面側(裏面側)には、耐エッチング性のマスクとなる熱酸化膜5が、熱酸化処理によって成膜され、さらにその熱酸化膜5を覆うようにポリシリコン膜6が成膜されている。
次いで、図1(b)に示すように、不要な被膜であるポリシリコン膜6を例えばドライエッチングによって全て除去する(S2)。
次いで、図1(c)に示すように、前駆体20の上面側と裏面側それぞれに熱可塑性樹脂からなる樹脂膜7a、7bを形成する(S3a、S3b)。樹脂膜7a、7bはいずれも例えばスピンコートにより各表面に塗布することができ、上面側の樹脂膜(保護膜)7aは窒化シリコン膜4全体を覆うように形成され、裏面側の樹脂膜7bは熱酸化膜5を覆うように形成された後、ポジ型レジストを用いて所定のパターンに形成されている。ここで、この所定のパターンとは、インク供給口13の開口部に対応する形状である。後述するように、樹脂膜7aは酸化シリコン膜3、窒化シリコン膜4の保護部材として機能し、また、樹脂膜7bは異方性エッチングのマスク部材として機能するものであるため、これら材料は、耐薬品性に優れていることが好ましく、例えば、熱可塑性のポリエーテルアミド樹脂であってもよい。
次いで、図1(d)に示すように、樹脂膜7bをマスクとして、熱酸化膜5の露呈した部分を、例えばウェットエッチングによって除去する。続いて、それにより露呈したシリコン基板1を、酸化シリコン膜3をエッチングストップ層として、ウェットエッチングしてインク供給口13となる貫通口を形成する(S4)。なお、このエッチング工程により、インク供給口13となる貫通口の下側の開口面積が樹脂膜7bの開口面積よりも大きくなり、その結果、樹脂膜7bの一部すなわち熱酸化膜5の一部がバリ12として形成される。
この貫通口を形成するためのエッチングとしては、例えば、TMAHやKOHといった強アルカリ溶液による異方性エッチングを用いることができる。このような強アルカリ溶液を用いたエッチングであっても、図1(d)に示す状態の前駆体20は、耐薬品性に優れた樹脂膜7aが形成されているためインクジェット記録ヘッド50の各構造部が強アルカリ溶液によって損傷することが防止される。具体的には、エネルギー発生素子2等の保護層として形成された窒化シリコン膜4に、仮に傷やピンホールがあったとしても、窒化シリコン膜4上に保護層として樹脂膜7aが設けられているため、強アルカリ溶液がその傷やピンホールに浸入し窒化シリコン膜4の下層に配置されたエネルギー発生素子2等を損傷することが防止される。
なお、本実施形態では、樹脂膜7aが窒化シリコン膜4の全面を覆うように形成されているが、それに限られるものではない。例えば、エネルギー発生素子2上のみに位置するように樹脂膜7aを形成すればエネルギー発生素子2の損傷が防止される。また、エネルギー発生素子2上に限らず、エネルギー発生素子2に接続される配線(不図示)が形成された領域上に位置するように樹脂膜7aを形成すれば配線(不図示)の損傷が防止される。
通常、上述のようなエッチング処理において、エッチング後に純水等を用いて前駆体20を洗浄することが行われる。本実施形態のインクジェット記録ヘッド50では、窒化シリコン膜4上に樹脂膜7aが形成されていることにより、窒化シリコン膜4および酸化シリコン膜3がその樹脂膜7aによって補強されているため、洗浄時の水圧等によってそれらが損傷することが防止される。また、当然ながら、このように樹脂膜7aが窒化シリコン膜4等を補強していることにより、洗浄工程以外の後工程でも窒化シリコン膜等の破損が防止される。
次いで、図1(e)に示すように、マスク部材として用いた樹脂膜7bを完全に除去する(S5)。また、上面側の樹脂膜7aの、エネルギー発生素子2上の領域およびその周囲の領域のみを例えばドライエッチングにより除去する。この除去工程は、樹脂膜7aの、インク供給口13となる貫通口上を覆う領域が残るように行うことが好ましい。これにより、その後の工程においても、樹脂膜7aが窒化シリコン膜4等を補強するものとして機能する。
次いで、図2(f)に示すように、溶解可能な樹脂材料からなる流路パターン8を樹脂膜7a上に形成する(S6)。流路パターン8の形状は、図2(j)に示す流路8aと同形状となっている。すなわち、流路パターン8はエネルギー発生素子2とインク供給口13となる貫通口上を覆うように形成されている。流路パターン8の形成は、例えばスピンコートによって樹脂材料を前駆体20の上面全体に平坦に形成し、その樹脂材料に紫外線や深紫外線等を照射して露光、現像を行うことによって実施することができる。この工程においても、窒化シリコン膜4および酸化シリコン膜3は、樹脂膜7aによって補強されているため、流路パターン8の樹脂重量や、スピンコートの際の遠心力に起因して破損することが防止される。
次いで、図2(g)に示すように、前駆体20の上面の全体を覆うように感光性樹脂膜9を形成し、さらにその上面に撥水層10を形成したのち、吐出口11を形成する(S7)。感光性樹脂膜9は、感光性樹脂材料からなり、スピンコート等によって形成される。撥水層10は、例えばドライフィルムのラミネートとして形成してもよい。撥水層10および感光性樹脂膜9を貫通する吐出口11は、紫外線や深紫外線等を用いて形成してもよい。
なお、本実施形態のように、樹脂膜7aを、感光性樹脂膜9と窒化シリコン膜4に接触するように形成することにより、樹脂膜7aが実質的にシリコン基板1と感光性樹脂膜9との間の密着性を向上させ、その結果、製造されるインクジェット記録ヘッド50の吐出口11の周辺の構造部の強度がより向上する。
次いで、図2(h)に示すように、インク供給口13となる貫通口上に位置する酸化シリコン膜3をウェットエッチングにより除去する。また、同様にバリ12をウェットエッチングにより除去する(S8)。
次いで、図2(i)に示すように、インク供給口13となる貫通口上に位置する窒化シリコン膜4をドライエッチングにより除去する。続いて、樹脂膜7aを同じくドライエッチングにより除去する(S9)。これにより、インク供給口13の上端開口部が開口する。なお、窒化シリコン膜4と樹脂膜7aとは異なる材料で構成されているため、ドライエッチングに用いるガスの組成は適宜変更することが好ましい。
次いで、図2(j)に示すように、流路パターン8を、吐出口11およびインク供給口13から溶出させながら除去する(S10)。これにより、インク供給口13と吐出口11とを連通する流路8aが形成され、インクジェット記録ヘッド50が製造される。なお、この除去工程は、深紫外線を用いて全面露光したのち、現像、乾燥すればよく、必要に応じて現像時に超音波浸漬してもよい。
以上の工程によって製造されたインクジェット記録ヘッド50をプリンタなどの記録装置に搭載して使用する場合、インクジェット記録ヘッド50を、インク供給口13にインクを供給する流路を備えた部材に位置決め固定し、エネルギー発生素子2に接続された配線(不図示)を記録装置の回路基板などに電気的に接続することにより、記録装置からの電気的に信号に応じて吐出口11からインクがされ記録が行われる。
上述したインクジェット記録ヘッド50の各構成部は、具体的には、以下のような材質・寸法で構成可能である。酸化シリコン膜3および窒化シリコン膜4の膜厚は、例えばそれぞれ1.1μm、0.3μmであってもよい。樹脂膜7a、7bは、熱可塑性のポリエーテルアミド(例えば、日立化成工業(株)製、商品名:
HL-1200)を材料として、膜厚を2μmとしてもよい。流路パターン8の材料は、例えばODUR(東京応化工業(株)製)であってもよい。
本実施形態による、インクジェット記録ヘッドの製造方法によれば、上述したとおり、エネルギー発生素子2等の保護層である窒化シリコン膜4に、仮に傷やピンホールがあったとしても、窒化シリコン膜4を覆うように樹脂膜(保護膜)7aが形成されているため、エッチング用の溶液がその傷やピンホールに浸入することがなく、エネルギー発生素子2等の損傷が防止される。さらに、樹脂膜7aは、インク供給口13となる貫通口上を覆うように形成され、窒化シリコン膜4および酸化シリコン膜3の補強しているため、洗浄工程といったその後の工程における窒化シリコン膜4等の損傷が防止される。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、図1(a)に示すように、シリコン基板1上に酸化シリコン膜3と窒化シリコン膜4が順に成膜された前駆体20を用いた製造方法について説明したが、前駆体は以下のように種々変更可能である。なお図面を参照して以下に説明する前駆体21〜23において、第1の実施形態の前駆体20と同一の構造部には図1、2と同一の符号を付し、その説明は省略する。
図4(a)に示す前駆体21は、酸化シリコン膜23がパターニングされ開口しており、その開口部を充填するように、窒化シリコン14が酸化シリコン23上に形成されている。なお、酸化シリコン23の上記開口部は、インク供給口13となる貫通口の上端とほぼ同形状となっている。このような前駆体21であっても、図4、5に示すように、図3の製造工程S1〜S10とほぼ同様の工程でインクジェット記録ヘッドを製造可能である。
すなわち、図3を参照しながら説明すると、本実施形態ではまず図4(a)に示すように前駆体21を用意(S1)した後、図4(b)に示すように不要な被膜6を除去する(S2)。次いで、図4(c)に示すように前駆体21の上面側に樹脂膜(保護膜)7aを形成し、裏面側にマスク部材となる樹脂膜7bを形成する(S3a、S3b)。次いで、図4(d)に示すように、前駆体21の裏面側からウェットエッチングによりインク供給口13となる貫通口をシリコン基板に形成する(S4)。ここで、エッチングストップ層は窒化シリコン膜14となっている。インク供給口13となる貫通口を形成した後、図4(e)に示すように、樹脂膜7bを除去する(S5)。次いで、図5(f)に示すように流路パターン8を前駆体21の上面側に形成し(S6)、図5(g)に示すように流路パターン8を覆うように感光性樹脂膜9および撥水層10を形成し、吐出口11を形成する(S7)。次いで、図5(h)に示すようにバリ12を除去し(S8)、インク供給口13となる貫通口上の窒化シリコン膜を除去する(S9)。次いで、図5(i)に示すようにインク供給口13となる貫通口上の樹脂膜7aを除去し(S9)、図5(j)に示すように流路パターン8を溶出させ(S10)、インクジェット記録へッド50を製造する。
このように、前駆体21を使用した場合、シリコン基板1は、窒化シリコン膜14をエッチングストップ層としてエッチングされ(S4)、また、S8の工程では酸化シリコン3を除去するためのウェットエッチングの工程が不要となる。
前駆体は他にも図6に示すようなものであってもよい。図6(a)の前駆体22は、シリコン基板1の全体を覆うように形成された酸化シリコン膜3と酸化シリコン膜3上に形成された窒化シリコン膜24を備えている。窒化シリコン膜24は、その中央部がパターニングされ、インク供給部13の上端開口部とほぼ同形状の開口部が形成されている。このような前駆体22を用いる場合、図3のS9の工程において、窒化シリコン膜を除去する工程が不要となる。
図6(b)の前駆体25は、いずれも開口部が形成された酸化シリコン膜23および窒化シリコン膜24を備えている。このような前駆体25を用いる場合、その開口部に充填されるように樹脂膜7aが、酸化シリコン膜23および窒化シリコン膜24上に形成される。したがって、図3のS4の工程では、シリコン基板1は、樹脂膜7aをエッチングストップ層としてエッチングされ、また、S8、S9の工程では、それぞれ酸化シリコン膜を除去する工程、窒化シリコン膜を除去する工程が不要となる。
前駆体25を用いてインクジェット記録ヘッドを製造する場合、図3のS4の工程と同様にインク供給口13となる貫通口をシリコン基板に形成すると、この貫通口上には樹脂膜7aが存在し、保護膜である酸化シリコン膜23および窒化シリコン膜24のいずれもが存在しないため、貫通口上の膜が破損する問題点(例えば図8(d)参照)が生じない。
第1の実施形態による、インクジェット記録ヘッドの製造工程を説明するための図である。 第1の実施形態による、インクジェット記録ヘッドの製造工程を説明するための図である。 インクジェット記録ヘッドの製造工程を示すフロー図である。 第2の実施形態による、インクジェット記録ヘッドの製造工程を説明するための図である。 第2の実施形態による、インクジェット記録ヘッドの製造工程を説明するための図である。 本発明を適用することができる、インクジェット記録ヘッドの前駆体の他の例を示す図である。 一般的なインクジェット記録ヘッドの構造を示す斜視図である。 従来のインクジェット記録ヘッドの一例を模式的に示す斜視図である。 図7のインクジェット記録ヘッドの製造工程の一例を説明するための図である。
符号の説明
1 シリコン基板
2 エネルギー発生素子
3、23 窒化シリコン膜
4、14、24 酸化シリコン膜
5 熱酸化膜
6 ポリシリコン膜
7a、7b 樹脂膜
8 流路パターン
8a 流路
9 感光性樹脂膜
10 撥水層
11 吐出口
12 バリ
20、21、22、25 前駆体
50 インクジェット記録ヘッド

Claims (8)

  1. インクを吐出する吐出口と、該吐出口に連通するインク流路と、前記インク流路内のインクを吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、少なくとも前記エネルギー発生素子を覆う保護膜と、前記インク流路に連通するインク供給口と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記エネルギー発生素子が設けられ、前記エネルギー発生素子を覆うように保護膜が形成されたシリコン基板を準備する工程と、
    前記保護膜の前記インク供給口に対応する部分を除去する工程と、
    前記シリコン基板の前記保護膜が除去された領域を覆うように樹脂膜を形成する工程と、
    前記シリコン基板の前記エネルギー発生素子が設けられた側の面とは反対の面側から、前記樹脂膜をエッチングストップ層としてウェットエッチングを行い前記インク供給口となる貫通口を前記シリコン基板に形成する工程と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  2. インクを吐出する吐出口と、該吐出口に連通するインク流路と、前記インク流路内のインクを吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、少なくとも前記エネルギー発生素子を覆う保護膜と、前記インク流路に連通するインク供給口と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記エネルギー発生素子が設けられ、少なくとも前記エネルギー発生素子を覆うように保護膜が形成されたシリコン基板を準備する工程と、
    前記保護膜が形成された前記シリコン基板の少なくとも前記インク供給口に対応する部分を覆うように樹脂膜を形成する工程と、
    前記シリコン基板の前記エネルギー発生素子が設けられた側の面とは反対の面側からウェットエッチングを行い前記インク供給口となる貫通口を前記シリコン基板に形成する工程と、
    前記樹脂膜を形成する工程より後に、前記シリコン基板上に前記インク流路を構成する流路構成部材を形成する工程と、を有し、
    前記樹脂膜が、前記保護膜と前記流路構成部材との密着性を高めているとともに、
    前記貫通口を形成する工程では、前記貫通口を少なくとも前記樹脂膜が覆っていることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 前記貫通口を形成する工程より後に、前記シリコン基板の前記エネルギー発生素子が設けられた側の面とは反対の面側から、前記貫通口上の領域の前記樹脂膜を除去する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  4. 前記樹脂膜を形成する工程より後に、前記シリコン基板上に前記インク流路を構成する流路構成部材を形成する工程を含み、
    前記樹脂膜が、前記保護膜と前記流路構成部材との密着性を高めていることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  5. 前記貫通口が形成された前記シリコン基板上の、前記貫通口上を含む位置に溶解可能な樹脂材料からなる流路パターンを形成する工程と、
    前記流路パターンを覆うように感光性樹脂膜を形成する工程と、
    該感光性樹脂膜に前記吐出口を形成する工程と、
    前記流路パターンを溶出させて前記インク流路を形成する工程と、有することを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  6. 前記流路パターンを溶出させる工程は、前記樹脂膜を除去する工程より後に行われることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  7. 前記保護膜が無機材料からなる膜であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  8. 前記樹脂膜を形成する樹脂がポリエーテルアミド樹脂であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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