JP2018087267A - 熱可塑性ポリウレタン発泡粒子及び熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、熱可塑性ポリウレタンをTPU(Thermoplastic Polyurethane)と略称する場合がある。
[1]熱可塑性ポリウレタン発泡粒子であって、該発泡粒子を構成している熱可塑性ポリウレタンがエーテル系熱可塑性ポリウレタンであり、JIS K7121−1987に準拠し、熱流束示差走査熱量測定により該発泡粒子を10℃/分の加熱速度で20℃から260℃まで加熱して得られるDSC曲線における1回目加熱時の融解ピーク温度(T1)と、該1回目の加熱に次いで10℃/分の冷却速度で260℃から20℃まで冷却した後、更に10℃/分の加熱速度で20℃から260℃まで加熱して得られるDSC曲線における2回目加熱時の融解ピーク温度(T2)との差(T1−T2)が0〜8℃である、熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
[2]前記1回目加熱時の融解ピーク温度(T1)と2回目加熱時の融解ピーク温度(T2)との差(T1−T2)が1〜6℃である、上記[1]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
[3]前記2回目加熱時の融解ピーク温度(T2)が155〜170℃である、上記[1]又は[2]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
[4]前記発泡粒子の190℃、荷重10kgにおけるメルトフローレイトが18〜35g/10分である、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
[5]前記発泡粒子の見掛け密度が80〜300kg/m3である、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
[6]上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を型内成形してなる熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体。
本発明の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子は、該発泡粒子を構成している熱可塑性ポリウレタンがエーテル系熱可塑性ポリウレタンであり、JIS K7121−1987に準拠し、熱流束示差走査熱量測定により該発泡粒子を10℃/分の加熱速度で20℃から260℃まで加熱して得られるDSC(Differential scanning calorimetry)曲線における1回目加熱時の融解ピーク温度(T1)と、該1回目の加熱に次いで10℃/分の冷却速度で260℃から20℃まで冷却した後、更に10℃/分の加熱速度で20℃から260℃まで加熱して得られるDSC曲線における2回目加熱時の融解ピーク温度(T2)との差(T1−T2)が0〜8℃である。以下、本発明の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を単にTPU発泡粒子ともいう。
なお、上記DSC測定の試験片として発泡粒子1〜3mgを用いる。発泡粒子1個当たりの重量が1mg未満の場合は、総重量が1〜3mgとなる複数個の発泡粒子をそのまま測定に使用すればよく、また、発泡粒子1個当たりの重量が1〜3mgの場合には、発泡粒子1個をそのまま測定に使用すればよく、また、発泡粒子1個当たりの重量が3mgを超える場合には、1個の発泡粒子を切断して得た重量が1〜3mgとなる切断試料1個を測定に使用すればよい。
以下、T1−T2をΔTと称することがある。
本発明のTPU発泡粒子が、エーテル系TPUを基材とし、かつ上記の融解特性を示す特定の結晶状態を有することで、該発泡粒子を型内成形してなるTPU発泡粒子成形体(以下、単に成形体ともいう。)の表面は、発泡粒子間の間隙が小さく平滑であり、表面外観に優れる。当該成形体は発泡粒子相互の融着性に優れ、十分な機械的物性を有する。更に、成形時の加熱から開放され、成形体の温度が下がっても、成形体は収縮しにくく、寸法安定性にも優れる。
本発明において、TPU発泡粒子を10℃/分の加熱速度で20℃から260℃まで加熱して得られるDSC曲線における1回目加熱時の融解ピーク温度(T1)とは、TPU発泡粒子を所定の条件で加熱して得られるDSC曲線から求められる融解温度に相当する。
ここで、DSC曲線に複数の吸熱ピークがある場合には、ベースラインからの高さが最も高い吸熱ピークを融解ピークと定義し、当該融解ピークの頂点温度を測定する。なお、前記ベースラインは、高温側のベースラインを低温側に延長した直線とする。後述する2回目加熱時の融解ピークにおいても同様とする。
加熱処理により変化したTPU発泡粒子における結晶状態は、260℃まで加熱することによりキャンセルされるため、2回目加熱時の融解ピーク温度(T2)は、いわば、原料粒子の融解温度に相当する。
本発明において、ΔTは0℃以上であり、TPU発泡粒子の融解温度は、原料粒子の融解温度と同じか、高い。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子などでは、通常、融解温度が高くなるほど、型内成形に要するスチームの圧力(成形圧)が上がる傾向にあるが、本発明のTPU発泡粒子においては、融解温度が高くなると、反対に成形圧が下がることがわかった。
TPU発泡粒子を構成しているTPUがエーテル系TPUであり、かつ前記ΔTが0℃以上8℃以下であることで、理由は定かではないが、本発明のTPU発泡粒子を型内成形してなる成形体は、表面外観と融着性に優れ、型内成形後の収縮率が小さい。
ΔTは、1℃以上であることが好ましく、3℃以上であることがより好ましく、3℃を超えることが更に好ましく、4℃以上がより更に好ましい。また、ΔTは、7℃以下が好ましく、6℃以下がより好ましい。
熱可塑性ポリウレタンは、熱可塑性エラストマーの一種であり、長鎖ポリオールからなるソフトセグメントと、ジイソシアネートと短鎖グリコール等の鎖延長剤とがウレタン結合で重合してなるハードセグメントとが、ブロック共重合した構造を有している。そして、主に、ソフトセグメントが伸縮性を発現し、かつ、ハードセグメントが強固な水素結合を生成して物理架橋点として作用することにより、ゴムに近い弾性を示す。
本発明のTPU発泡粒子を構成しているエーテル系TPUの長鎖ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
短鎖グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブテンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
また、ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等が挙げられる。
エーテル系TPUの構成要素は、特に限定されるものではない。得られる発泡粒子成形体に求められる物性に応じて、エーテル系TPUの構成要素が適宜選択される。エーテル系TPUは単独種であってもよいし、長鎖ポリオール、短鎖グリコール等が異なる複数種のエーテル系TPUを用いてもよい。
上記タイプAデュロメータ硬さとは、JIS K7215−1986に基づき、タイプAデュロメータを用いて測定される硬さ(HDA)を意味する。発泡粒子を構成しているTPUのデュロメータを測定する際には、多数の発泡粒子をヒートプレスすることにより、完全に気泡を除いた状態で、厚み4mmのシートを作製し、該シートを試験片として用いる。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。他の熱可塑性エラストマーとしては、エステル系TPU、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等が挙げられる。
これらの他の熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーのTPU発泡粒子中の含有量は、20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。本発明のTPU発泡粒子は、他の熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーを含まない(発泡粒子を構成しているポリマー成分中エーテル系TPUの含有量が100重量%)ことが、より更に好ましい。
本発明のTPU発泡粒子は、次の特性を有していることが好ましい。
なお、本発明において、メルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210−2:2014に基づき、190℃、荷重10kgにて測定される値である。なお、測定試料としては、含有水分量を500重量ppm以下としたものを用いる。
TPU発泡粒子の見掛け密度が80kg/m3以上であることで、TPU発泡粒子及び成形体が特に収縮しにくく、目的の形状の成形体が得られ易い。また、見掛け密度が300kg/m3以下であることで、軽量な成形体が得られる。
TPU発泡粒子の見掛け密度は、100〜250kg/m3であることがより好ましく、130〜230kg/m3であることが更に好ましい。
TPU発泡粒子の見掛け密度とは、発泡粒子の重量を発泡粒子の見掛けの体積で除した値を意味する。発泡粒子の見掛けの体積は、水没法などにより測定することができる。
本発明の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子の製造方法は特に限定されるものではないが、既述のΔTの範囲を有する熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を容易に製造する観点から、以下の工程(1)と工程(2)を含む製造方法で得ることが好ましい。
工程(1):原料粒子に発泡剤を含浸させる含浸工程;
工程(2):原料粒子を発泡させ、熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を得る発泡工程
工程(1)は、原料粒子に発泡剤を含浸させる含浸工程である。原料粒子への発泡剤の含浸方法は特に限定されるものではないが、オートクレーブ等の加圧可能な密閉容器内で原料粒子を分散媒中に分散させ、該原料粒子に発泡剤を含浸させることが好ましい。
分散媒中には、必要に応じて、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ、タルク等の難水溶性無機物質等の分散剤を添加することが好ましい。また、分散媒中にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤等の分散助剤を添加することもできる。
原料粒子と分散剤との重量比(原料粒子/分散剤)が20〜2000であることが好ましい。原料粒子と分散剤との重量比の下限は、より好ましくは30であり、上限は、より好ましくは1000である。また、分散剤と分散助剤との重量比(分散剤/分散助剤)は、1〜500とすることが好ましい。分散剤と分散助剤との重量比の上限は、より好ましくは100である。
物理発泡剤としては、有機物理発泡剤及び無機物理発泡剤が挙げられる。
有機物理発泡剤としては、プロパン、ブタン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。また、無機物理発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、アルゴン、空気、水等が挙げられる。
工程(1)における密閉容器内の圧力(含浸圧力)は、発泡剤を原料粒子に十分に含浸させる観点から、ゲージ圧で0.5〜10.0MPaであることが好ましい。なお、以下、ゲージ圧としての圧力の単位は「MPa(G)」と表す。
原料粒子に発泡剤をより含浸し易くする観点から、含浸圧力は、1.0MPa(G)以上であることがより好ましく、2.0MPa(G)以上であることが更に好ましく、さらに、後述する発泡圧力を制御しやすくなることから、2.5MPa(G)を超えることがより更に好ましく、2.6MPa(G)以上であることが特に好ましい。一方、得られる発泡粒子の気泡の微細化を抑制するという観点から、含浸圧力は、7.0MPa(G)以下であることがより好ましく、5.0MPa(G)以下であることがさらに好ましく、さらに、後述する発泡圧力を制御しやすくなることから、含浸圧力は4.0MPa(G)以下であることがより更に好ましく、3.4MPa(G)以下であることが特に好ましい。
また、原料粒子に発泡剤を含浸させるときの密閉容器内の内容物の温度(含浸温度)を、20℃以上とすることが好ましく、80℃以上(原料粒子の融解温度−20)℃以下とすることがより好ましい。
上記のようにして、原料粒子に発泡剤を含浸させることができる。
工程(2)は、原料粒子を発泡させてTPU発泡粒子を得る発泡工程である。原料粒子の発泡方法は特に限定されるものではないが、前記工程(1)に続いて、密閉容器から、発泡剤を含む原料粒子を分散媒と共に、密閉容器内圧よりも低い圧力雰囲気下に放出して発泡させ、TPU発泡粒子を得ることが好ましい。
原料粒子を発泡させるときの温度(発泡温度)を、「原料粒子の融点(T4)より100〜20℃低い温度」以上、すなわち、「T4−100℃〜T4−20℃」とすることが好ましく、T4−80℃〜T4−20℃とすることがより好ましい。
かかる放出時の圧力(発泡圧力)は、0.5〜10.0MPa(G)であることが好ましい。気泡径のばらつきをさらに小さくするというる観点から、発泡圧力は2.5MPa(G)を超えることがより好ましく、2.6MPa(G)以上であることが更に好ましい。また、型内成形性に特に優れる発泡粒子が得られやすいことから、発泡圧力は4.0MPa(G)以下であることがより好ましく、3.4MPa(G)以下であることが更に好ましい。
加熱処理の温度を高くすると、それに伴ってT1の温度は高くなり、加熱処理の温度を低くするとT1の温度は低くなる。
また、原料粒子内の温度ムラを小さく又は温度ムラをなくし、ΔTの値を安定させるという制御性の観点から、加熱処理の時間は、5分以上とすることが好ましく、10分以上とすることがより好ましい。制御性の観点からその上限は特に限定されるものではないが、加水分解によるTPUの分解及び/又は黄変を防ぐために30分以下とすることが好ましい。
本発明の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体は、既述の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を型内成形してなる成形体である。
成形体の見掛け密度は、180〜400kg/m3であることが好ましく、190〜350kg/m3であることがより好ましく、200〜300kg/m3であることが更に好ましい。
本発明の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体は、表面外観、融着性に優れることから、自動車用シート、靴底等の各種クッションに用いることができ、特に、靴底のミッドソール用のクッションに好適である。
まず、加熱及び冷却が可能であり、かつ開閉し密閉できる公知の成形型内に発泡粒子を充填する。そして、加熱媒体として、例えば、飽和蒸気圧が0.05〜0.50MPa(G)(型内に供給される水蒸気の飽和蒸気圧の最大値)となる飽和水蒸気を型内に供給し、型内で発泡粒子を加熱膨張させると共に、発泡粒子相互を融着させて成形体を形成することが好ましい。
飽和水蒸気の圧力は0.08〜0.42MPa(G)であることがより好ましい。
また、連続式成形方法(例えば、特開平9−104026号公報、特開平9−104027号公報、及び特開平10−180888号公報等参照)により製造することもができる。
なお、一方加熱とは、雄型又は雌型のいずれか一方の型側から加熱媒体を供給して発泡粒子を加熱し、次いで、他方の型側から加熱媒体を排出させることを言う。また、前記一方加熱の場合とは加熱媒体が供給される側の型と加熱媒体が排出される側の型とが逆になる場合を、逆一方加熱と言う。
1.原料成分
原料粒子に用いるTPU成分及び添加剤として、次の成分を用いた。
〔TPU成分〕
・TPU1:エーテル系熱可塑性ポリウレタン(コベストロ社製、グレード名:9385A(Lot1)、MFR[190℃、荷重10kg]:4g/10min、タイプAデュロメータ硬さ:86、融解温度:165℃)
・TPU2:エーテル系熱可塑性ポリウレタン(コベストロ社製、グレード名:9385A(Lot2)、MFR[190℃、荷重10kg]:10g/10min、タイプAデュロメータ硬さ:86、融解温度:165℃)
〔添加剤〕
・着色剤(青色顔料マスターバッチ):パンデックスB−UN91−9127−20(顔料主成分:フタロシアニンブルー)
・気泡調整剤:タルク(林化成株式会社製KHP−125B、d50:7μm)
表1及び2に示す種類のTPUと、TPU100重量部に対して、表1及び2に示す量の気泡調整剤(タルク)と、を内径26mmの二軸押出機に供給し、これらを加熱混練して、溶融混練物とした。当該溶融混練物を押出機先端部に付設されたダイの小孔から水中に押出すと共に切断して、平均重量10mg、L/D=1.0の原料粒子を得た。
なお、表1及び2の「原料粒子」欄の「色」欄が無着色である場合、青色顔料マスターバッチは無添加とし、青である場合、青色顔料マスターバッチをTPU100重量部に対して1重量部の割合で添加した。
〔工程(1)〕
得られた原料粒子50kgと、分散媒として水270リットルとを、撹拌機を備えた400リットルのオートクレーブ内に仕込み、さらに、原料粒子100重量部に対して、分散剤としてカオリン0.2重量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.008重量部とを分散媒に添加した。
オートクレーブ内の内容物を撹拌しながら昇温し、表1及び2に示す含浸温度に到達後、該オートクレーブ内に発泡剤として二酸化炭素を、密閉容器内の圧力が表1及び2に示す含浸圧力となるまで圧入し、含浸圧力を維持しつつ、その温度で15分間保持した。
その後、二酸化炭素にて背圧を加えて容器内圧力が表1及び2に示す発泡圧力で一定になるように調整しつつ、表1及び2に示す分散媒の温度(発泡温度)にて、発泡剤が含浸された原料粒子を分散媒とともに大気圧(0.1MPa)下に放出して、発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子を密閉容器内に入れ、30℃で、0.3MPa(G)の圧縮空気により12時間加圧した後、放圧して40℃の大気圧下で48時間放置した。
得られた発泡粒子の見掛け密度及びメルトフローレイトを表1及び2に示す。
得られた発泡粒子を、縦200mm、横250mm、厚さ20mmの直方体状の平板成形用の金型内に充填し、表1及び2に示す圧力(成形圧)に到達するまでスチームを供給して発泡粒子を加熱した。冷却完了後、金型から成形体を取り出し、板状のTPU発泡粒子成形体を得た。
得られた成形体の見掛け密度を表1及び2に示す。
〔T1測定及びT2測定〕
発泡粒子から約2mgの測定サンプルを切り出し、JIS K7121−1987に準拠し、熱流束示差走査熱量測定法によって、該測定サンプルを用いて20℃から260℃まで10℃/分の加熱速度で加熱して1回目加熱時のDSC曲線を得た後、260℃から10℃/分の冷却速度で20℃まで降温し、再び10℃/分の加熱速度で260℃まで昇温して2回目加熱時のDSC曲線を得た。これらのDSC曲線を用いて、1回目加熱時のDSC曲線の融解ピーク温度と、2回目加熱時のDSC曲線の融解ピーク温度を測定した。この測定を異なる10個の発泡粒子に対して行い、測定値の算術平均値を発泡粒子の1回目加熱時の融点ピーク温度(T1)及び2回目加熱時のDSC曲線の融解ピーク温度(T2)とした。
更に、測定されたT1とT2とから、その差分となるΔT(T1−T2)を算出し、T1、T2、及びΔTを表1及び2に示した。
なお、DSC測定装置として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、型番:DSC7020を用いた。
実施例及び比較例における原料粒子、発泡粒子及び成形体の各種物性は、以下の方法により求めたものである。
なお、発泡粒子のメルトフローレイト(MFR)、見掛け密度、及び成形体の見掛け密度は、当該発泡粒子あるいは成形体を相対湿度50%、23℃、大気圧下で2日間放置して状態調節を行なった後で測定した。
JIS K7121−1987に準拠し、熱流束示差走査熱量測定法によって、原料TPU約2mgを、20℃から260℃まで10℃/分の加熱速度で加熱した後、260℃から冷却速度10℃/分で20℃まで降温し、再び加熱速度10℃/分で260℃まで昇温したときに得られるDSC曲線に現れる融解ピークの頂点温度として、原料TPUの融解温度を測定した。また、測定試料として原料TPUの代わりに原料粒子を用いた以外は同様にして原料粒子の融解温度を測定した。
原料TPU、原料粒子及び発泡粒子のメルトフローレイトは、JIS K 7210−2:2014に基づいて、190℃、荷重10kgの試験条件で測定した。なお、原料TPU、原料粒子又は発泡粒子を80℃の真空オーブンにて4時間真空乾燥することによって、その含有水分量を500質量ppm以下に調整した後にMFRの測定を行った。
温度23℃の水の入ったメスシリンダーに重量W1の発泡粒子を、金網を使用して沈めた。金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる発泡粒子の容積V1[cm3]を測定し、発泡粒子の重量W1[g]を容積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度を求めた。
ASTM D3576−77に準拠し、発泡粒子の平均気泡径を求めた。まず、無作為に10個の発泡粒子を選択した。各発泡粒子を、その中心部を通るように切断して2分割した。走査型電子顕微鏡により、切断された各発泡粒子の一方の断面の拡大写真をそれぞれ撮影した。各拡大写真において、発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引いた。各線分と交差する気泡数をそれぞれ計測し、4本の線分の合計長さを線分と交差する全気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、各発泡粒子の気泡径を求めた。これらの値を算術平均することにより発泡粒子の平均気泡径を求めた。
成形体の重量を、温度23℃の水を用いた水没法により求めた成形体の見掛けの体積により除し、単位を[kg/m3]に換算することにより、成形体の見掛け密度を求めた。
(1)融着性
得られた成形体の融着率を測定し、融着率が80%以上100%未満である場合を「○」、融着率が80%未満である場合を「×」と評価し、評価結果を表1及び2に示した。
成形体の融着率は、以下の方法により測定した。
成形体から、縦170mm、横30mm、厚みをそのままとして試験片を切り出した。この試験片の表面の一方に、カッターナイフで該試験片の縦の長さを2等分するように厚み方向へ深さ約10mmの切り込みを入れ、切り込み部から成形体を折り曲げて破断させた。破断面に存在する材料破壊した発泡粒子の個数mと、破断面に存在する全部の発泡粒子の個数nの比(m/n×100[%])を算出した。
なお、成形体を折り曲げても破断できない場合は、融着率100%とした。異なる試験片を用いて前記測定を5回行い、それぞれの材料破壊率を求め、それらを算術平均して融着率とした。
成形体の収縮率は、下記式にて算出し、結果を表1及び2に示した。
(収縮率)=〔250[mm]−(成形体の横の長さ[mm])〕/250[mm]
成形体の外観を目視にて観察し、下記の基準で判定した。
◎:成形体表面にボイド(発泡粒子間の間隙)が少なく平滑である場合。
○:成形体表面に多少のボイドが見られるが製品として問題ないレベルである場合。
×:成形することができない場合、又は成形体表面から内部まで発泡粒子間に大きな間隙が存在する成形体しか得られない場合。
それに対して、TPU発泡粒子のΔTが0〜8℃の範囲に入る実施例1〜6の発泡粒子を型内成形した成形体は、いずれも、表面外観、融着性に優れ、かつ収縮率が低かった。
Claims (6)
- 熱可塑性ポリウレタン発泡粒子であって、発泡粒子を構成している熱可塑性ポリウレタンがエーテル系熱可塑性ポリウレタンであり、JIS K7121−1987に準拠し、熱流束示差走査熱量測定により該発泡粒子を10℃/分の加熱速度で20℃から260℃まで加熱して得られるDSC曲線における1回目加熱時の融解ピーク温度(T1)と、該1回目の加熱に次いで10℃/分の冷却速度で260℃から20℃まで冷却した後、更に10℃/分の加熱速度で20℃から260℃まで加熱して得られるDSC曲線における2回目加熱時の融解ピーク温度(T2)との差(T1−T2)が0〜8℃である、熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
- 前記1回目加熱時の融解ピーク温度(T1)と2回目加熱時の融解ピーク温度(T2)との差(T1−T2)が1〜6℃である、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
- 前記2回目加熱時の融解ピーク温度(T2)が155〜170℃である、請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
- 前記発泡粒子の190℃、荷重10kgにおけるメルトフローレイトが18〜35g/10分である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
- 前記発泡粒子の見掛け密度が80〜300kg/m3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を型内成形してなる、熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体。
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