JP6782152B2 - 熱可塑性ポリウレタン発泡粒子及び熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体 - Google Patents

熱可塑性ポリウレタン発泡粒子及び熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体 Download PDF

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本発明は、熱可塑性ポリウレタン発泡粒子及び熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体に関する。
以下、熱可塑性ポリウレタンをTPU(Thermoplastic Polyurethane)と略称する場合がある。また、発泡粒子成形体を単に、成形体と称する場合がある。
TPUは、熱可塑性エラストマーの一種であるが、加硫ゴムに近い特性を示し、耐摩耗性や耐寒性、反発弾性に優れている。また、機械的強度も高いため、エンジニアリングエラストマーとして位置付けられ、緩衝材や防振材、スポーツ用品、自動車用部材等の様々な用途で使用されている。
このTPUを発泡させた発泡成形体は、耐摩耗性や反発弾性等の優れた特性を保ちつつ、軽量化や柔軟化を図ることができるため、今後、スポーツ用品、自動車用部材等でのさらなる用途展開が期待される。TPUの発泡成形体は、押出発泡法や、発泡粒子を用いた型内成形法等により製造することができる。近年、特に、金型形状に合わせた様々な形状の発泡成形体が得られることから、型内成形法に適用可能な発泡粒子が求められている。
このような発泡粒子としては、特許文献1や特許文献2に記載されているようなものがある。
特開平8−113664号公報 米国特許出願公開第2012/0329892号明細書
しかしながら、従来のTPU発泡粒子では、該発泡粒子を型内成形し、発泡粒子成形体とした場合には、成形体の表面外観及び融着性の点で、必ずしも十分といえるものではなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、表面外観及び融着性に優れた熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体及び該成形体を得ることができる熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[4]を提供する。
[1]熱可塑性ポリウレタン発泡粒子であって、該発泡粒子の見掛け密度が0.08〜0.35g/cmであり、メルトフローレイトが18〜35g/10分であり、平均表層膜厚みが15〜50μmである、熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
[2]発泡粒子を構成している熱可塑性ポリウレタンがエーテル系熱可塑性ポリウレタンである、上記[1]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
[3]発泡粒子の平均気泡径が100〜500μmである、上記[1]または[2]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
[4]上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体。
本発明によれば、表面外観及び融着性に優れた熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体及び該成形体を得ることができる熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を提供することができる。
図1は、実施例3の発泡粒子成形体の表面の顕微鏡写真である。 図2は、比較例1の発泡粒子成形体の表面の顕微鏡写真である。 図3は、3D形状測定機を用いて撮影した実施例3の発泡粒子成形体の表面の写真である。 図4は、3D形状測定機を用いて撮影した比較例1の発泡粒子成形体の表面の写真である。
<熱可塑性ポリウレタン発泡粒子>
本発明の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子(TPU発泡粒子)は、その見掛け密度が0.08〜0.35g/cmであり、メルトフローレイトが18〜35g/10分であり、平均表層膜厚みが15〜50μmである。
TPU発泡粒子が上記の特性を有することで、該TPU発泡粒子を型内成形してなるTPU成形体の表面は、発泡粒子間の間隙が小さく平滑であり、表面外観に優れる。当該TPU成形体は発泡粒子相互の融着性に優れ、十分な機械的物性を有する。
〔熱可塑性ポリウレタン(TPU)〕
熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、熱可塑性エラストマーの一種であり、長鎖ポリオールを含むソフトセグメントと、短鎖グリコール等の鎖延長剤とジイソシアネートとがウレタン結合で重合したハードセグメントとが、ブロック共重合した構造を有している。そして、主に、ソフトセグメントが伸縮性を発現し、かつ、ハードセグメントが強固な水素結合を生成して物理架橋点として作用することにより、ゴムに近い弾性を示す。
TPUは、一般に、長鎖ポリオールの種類によって、エステル系TPU、エーテル系TPUなどがあり、得られるTPUの特性に影響を与える。
エステル系TPUにおける長鎖ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブテンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルジオール、ペンタンジオール等の多価アルコールと、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、芳香族カルボン酸等の二塩基酸との縮合反応により得られる化合物や、ラクトン系エステルポリオールが挙げられる。
一方、エーテル系TPUにおける長鎖ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
また、短鎖グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブテンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
また、ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等が挙げられる。
TPUの構成要素は、特に限定されるものではない。得られるTPU発泡粒子成形体に求められる物性に応じて、TPUの構成要素が適宜選択される。TPUは単独種であってもよいし、長鎖ポリオール、短鎖グリコール等が異なる複数種のTPUを用いてもよい。
上述したエーテル系TPU及びエステル系TPUのいずれであってもよいが、得られる熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の表面外観及び融着性が優れているという観点から、本発明のTPU発泡粒子に含まれるTPUは、エーテル系TPUを主成分とすることが好ましく、エーテル系TPUのみからなることがより好ましい。
本発明のTPU発泡粒子は、本発明の効果を損なわない限度において、目的に応じて、熱可塑性樹脂やTPU以外の熱可塑性エラストマーなどを含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。また、他の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)や、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂や他の熱可塑性エラストマーのTPU発泡粒子のポリマー成分中の含有量は、30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。本発明のTPU発泡粒子は、ポリマー成分がTPUのみからなる(ポリマー成分中のTPUの含有量が100重量%)ことが、よりさらに好ましい。
本発明の発泡粒子を構成している、TPUを含むポリマー成分のタイプAデュロメータ硬さが90以下であることが好ましい。該硬さが90以下であれば、型内成形時に過度にスチーム圧(成形圧)を高めなくても、融着性に優れる発泡粒子成形体を得ることができる。かかる観点から、該硬さは、88以下であることがより好ましい。一方、その下限は融着性の観点からは特に限定されるものではないが、該硬さが低すぎると、成形条件や成形体の形状によっては、成形体を成形型から離型した後に成形体が著しく収縮、変形する、所謂ヒケが生じやすくなることから、該硬さは70以上であることがより好ましく、80以上であることがさらに好ましく、85以上であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、タイプAデュロメータ硬さとは、JIS K7215−1986に基づき、タイプAデュロメータを用いて測定されるデュロメータ硬さ(HDA)を意味する。
また、TPU発泡粒子は、TPUを含むポリマー成分の他に、通常使用される気泡調整剤、帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性剤、着色剤(顔料、染料等)、結晶核剤、充填材等の各種の添加剤を含むことが出来る。これらの各種添加剤の合計配合量は、発泡粒子の用途目的により異なるが、ポリマー成分100重量部に対して好ましくは25重量部以下、より好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下である。
〔熱可塑性ポリウレタン発泡粒子(TPU発泡粒子)の特性〕
本発明のTPU発泡粒子は、次の特性を有している。
(見掛け密度)
TPU発泡粒子の見掛け密度は、0.08〜0.35g/cmである。
TPU発泡粒子の見掛け密度が0.08g/cm未満であると、型内成形直後に成形体が過度に収縮しやすくなり、目的の形状の成形体を得ることが難しい場合がある。かかる観点から、見掛け密度は0.10g/cm以上であることが好ましく、0.15g/cm以上であることがより好ましく、0.19g/cm以上であることがさらに好ましい。また、見掛け密度が0.35g/cmよりも大きいと、所望の柔軟性を有する成形体が得られない場合がある。かかる観点から、見掛け密度は、0.30g/cm以下であることが好ましく、0.25g/cm以下であることがより好ましく、0.24g/cm以下であることがさらに好ましい。
TPU発泡粒子の見掛け密度は以下の方法により求めることができる。温度23℃の水の入ったメスシリンダーに質量W1の発泡粒子を、金網等を使用して沈める。そして、水位上昇分から金網等の水没体積を差し引いて読みとられる発泡粒子の容積V1[L]を測定し、発泡粒子の質量W1[g]を容積V1で割り算し(W1/V1)、単位を[g/cm]に換算することにより、TPU発泡粒子の見掛け密度を求めることができる。
(メルトフローレイト(MFR))
TPU発泡粒子の190℃、荷重10kgにおけるメルトフローレイト(MFR)は、18〜35g/10分である。TPU発泡粒子のMFRが18g/10分よりも低いと、型内成形時にTPU発泡粒子が2次発泡しにくくなり、表面外観性の優れた発泡粒子成形体を得られない場合がある。かかる観点から、TPU発泡粒子のMFRは20g/10分以上であることが好ましい。一方、TPU発泡粒子のMFRが35g/10分よりも高いと、型内成形時にTPU発泡粒子の気泡が破泡するおそれがあり、表面外観性の優れた発泡粒子成形体を得られない場合がある。かかる観点から、TPU発泡粒子のMFRは、30g/10分以下であることが好ましく、27g/10分以下であることがより好ましい。
TPU発泡粒子のメルトフローレイトは以下の方法により求めることができる。
JIS K7210−2:2014に基づき、190℃、荷重10kgの試験条件でTPU発泡粒子のメルトフローレイトの測定を行う。なお、測定試料として、含有水分量を500質量ppm以下に調整したTPU発泡粒子を用いる。
(平均表層膜厚み)
TPU発泡粒子の平均表層膜厚みは15〜50μmである。TPU発泡粒子の最表面層の平均膜厚みが15μmよりも小さいと、型内成形時に発泡粒子の表面付近の気泡が破泡するおそれがあり、表面外観性の優れた発泡粒子成形体を得られない場合がある。かかる観点から、平均表層膜厚みは16μm以上であることが好ましく、18μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。一方、TPU発泡粒子の平均表層膜厚みが50μmよりも大きいと、型内成形時におけるTPU発泡粒子間の融着が悪くなる場合がある。なお、型内成形時における成形圧(スチームの圧力)を高くすることによってTPU発泡粒子間の融着を改善することができるが、発泡粒子成形体の表面が硬くなってしまう場合がある。かかる観点から、TPU発泡粒子の平均表層膜厚みは、45μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることがさらに好ましい。
また、TPU発泡粒子の平均表層膜厚みは次のように測定される。
TPU発泡粒子群から無作為に50個以上の発泡粒子を選択する。TPU発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割し、その一方の断面の拡大写真をそれぞれ撮影する。各断面写真において、TPU発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引く。線分上において、TPU発泡粒子の最表面からTPU発泡粒子の最外に位置する気泡までの長さ(表層膜厚み)を測定し、それらの値を算術平均することにより、各TPU発泡粒子の平均表層膜厚みを求める。そして、これらの値を算術平均することによりTPU発泡粒子の平均表層膜厚みを求める。
本発明のTPU発泡粒子は、さらに次の特性を有していることが好ましい。
(平均気泡膜厚み)
本発明のTPU発泡粒子の平均気泡膜厚みは、5〜40μmであることが好ましい。平均気泡膜厚みが5〜40μmであると、特に型内成形性に優れた発泡粒子となる。かかる観点から、平均気泡膜厚みの下限は9μmであることがより好ましく、10μmであることがさらに好ましく、15μmであることが特に好ましい。また、同様に、平均気泡膜厚みの上限は35μmであることがより好ましく、30μmであることがさらに好ましく、29μmであることが特に好ましい。
上記平均気泡膜厚みは、下記(I)式から求めることができる。
t=L×{(1−ρf/ρs)−1/3−1}・・・(I)
t:平均気泡膜厚み[μm]
L:平均気泡径[μm]
ρf:発泡粒子の見掛け密度[g/cm
ρs:発泡粒子を構成しているTPU組成物の密度[g/cm
(平均表層膜厚み/平均気泡膜厚み)
本発明の発泡粒子の、平均気泡膜厚みに対する平均表層膜厚みの比(平均表層膜厚み/平均気泡膜厚み)は、1.1〜2.2であることが好ましい。平均表層膜厚み/平均気泡膜厚みが1.1〜2.2であると、特に融着性と表面性とのバランスに優れた発泡粒子成形体を得ることができる。かかる観点から、平均表層膜厚み/平均気泡膜厚みの下限は1.2であることがより好ましく、1.3であることがさらに好ましい。一方、平均表層膜厚み/平均気泡膜厚みの上限は、2.0であることがより好ましく、1.8であることがさらに好ましく、1.6であることがさらに好ましい。
(平均気泡径)
本発明のTPU発泡粒子の平均気泡径は、100〜500μmであることが好ましい。TPU発泡粒子の平均気泡径が100〜500μmであると、型内成形性に特に優れると共に、型内成形により機械的物性に優れる発泡粒子成形体を得ることができる。かかる観点から、平均気泡径の下限は、120μmであることがより好ましく、140μmであることがさらに好ましく、165μmであることがさらに好ましく、200μmであることが特に好ましい。一方、平均気泡径の上限は、450μmであることがより好ましく、400μmであることがさらに好ましく、350μmであることが特に好ましい。
TPU発泡粒子の平均気泡径は、ASTM D3576−77に準拠し、次のように測定される。
TPU発泡粒子群から無作為に50個以上の発泡粒子を選択する。TPU発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割し、その一方の断面の拡大写真をそれぞれ撮影する。各断面写真において、TPU発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引く。各線分と交差する気泡数をそれぞれ計測し、4本の線分の合計長さを線分と交差する全気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、各TPU発泡粒子の平均気泡径を求める。そしてこれらの値を算術平均することによりTPU発泡粒子の平均気泡径を求める。
〔熱可塑性ポリウレタン発泡粒子(TPU発泡粒子)の製造方法〕
本発明のTPU発泡粒子の製造方法は特に限定されるものではないが、上記特性を満たすTPU発泡粒子を容易に製造する観点から、以下の工程(1)と工程(2)を含む製造方法で得ることが好ましい。
工程(1):密閉容器内でTPUを含む原料粒子を分散媒中に分散させるとともに、原料粒子に発泡剤を含浸させる含浸工程;
工程(2):密閉容器から発泡剤を含む原料粒子を、分散媒と共に、密閉容器内圧よりも低い圧力雰囲気下に放出して発泡させ、TPU発泡粒子を得る発泡工程
[工程(1)]
工程(1)は、密閉容器内でTPUを含む原料粒子を分散媒中に分散させるとともに、原料粒子に発泡剤を含浸させる含浸工程である。
原料粒子の190℃、荷重10kgにおけるメルトフローレイト(MFR)は、0.1〜40g/10分であることが好ましい。原料粒子のMFRが0.1〜40g/10分であることで、見掛け密度が0.08〜0.35g/cmであり、メルトフローレイトが18〜35g/10分であり、平均表層膜厚みが15〜50μmであるTPU発泡粒子を製造しやすくなる。原料粒子のMFRは、より好ましくは5〜35g/10分、さらに好ましくは、10〜30g/10分である。
また、原料粒子には、ポリマー成分の他に、通常使用される気泡調整剤、帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性剤、着色剤(顔料、染料等)、結晶核剤、充填材等の各種の添加剤を、必要に応じて適宜配合することができる。
気泡調整剤としては、タルク、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、石膏、ゼオライト、ホウ砂、水酸化アルミニウム、カーボン等の無機系気泡調整剤、リン酸系化合物、フェノール系化合物、アミン系化合物、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の有機系気泡調整剤が挙げられる。発泡粒子の表面層の平均厚みを上記特定の範囲に調整しやすいことから、好ましい気泡調整剤はタルクである。
気泡調整剤の添加量は、ポリマー成分100重量部に対して好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.2重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下、特に好ましくは0.08重量部以下である。
原料粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。例えば、TPUを含むポリマー成分と、必要に応じて気泡調整剤等の添加剤を押出機に供給し、混練して溶融混練物とし、押出機先端に付設されたダイの小孔から溶融混練物を水中に押し出し、押出直後に所定の重量となるように切断する方法(アンダーウォーターカット法)で、原料粒子を得ることができる。
発泡粒子のメルトフローレイトは、上記のように、原料TPUのメルトフローレイトを選択する方法のほかに、原料粒子製造時の押出温度によっても調整することができる。具体的には、同メルトフローレイトの原料TPUを用いた場合、押出温度を高くすると、得られる発泡粒子のメルトフローレイトも高くなる傾向にある。
工程(1)において、原料粒子は、オートクレーブ等の加圧可能な密閉容器内で、分散媒中に分散させる。
分散媒は、炭素数3以下のアルコール、水、これらの混合物等の水性媒体が挙げられ、通常、水が用いられる。
分散媒中には、必要に応じて、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ、タルク等の難水溶性無機物質等の分散剤を添加することが好ましい。また、分散媒中にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤等の分散助剤を添加することもできる。
分散剤は、原料粒子と分散剤との重量比(原料粒子/分散剤)が20〜2000となるように添加することが好ましい。原料粒子と分散剤との重量比の下限は、より好ましくは30であり、上限は、より好ましくは1000である。また、分散剤と分散助剤との重量比(分散剤/分散助剤)は、1〜500とすることが好ましい。分散剤と分散助剤との重量比の上限は、より好ましくは100である。
なお、発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤を用いることができ、これらを併用することもできる。
物理発泡剤としては、有機物理発泡剤及び無機物理発泡剤が挙げられる。
有機物理発泡剤としては、プロパン、ブタン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。また、無機物理発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、アルゴン、空気、水等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
発泡剤としては、二酸化炭素を用いることが好ましい。二酸化炭素を用いることにより、見掛け密度が0.08〜0.35g/cmであり、メルトフローレイトが18〜35g/10分であり、平均表層膜厚みが15〜50μmであるTPU発泡粒子を製造しやすくなる。
発泡剤中の二酸化炭素の配合比率は、50〜100重量%であることが好ましい。二酸化炭素の配合比率の下限は、より好ましくは70重量%、さらに好ましくは90重量%である。二酸化炭素の配合比率は、最も好ましくは100重量%である。
発泡剤の使用量は、目的とする発泡粒子の見掛け密度、TPUの種類等を考慮して適宜設定される。通常、発泡剤の使用量は、原料粒子100重量部に対して0.5〜30重量部であることが好ましい。
短時間で発泡剤を十分に原料粒子に含浸させるため、工程(1)は加圧下で行われることが好ましい。
工程(1)における密閉容器内の圧力(含浸圧力)は、発泡剤を原料粒子に十分に含浸させると共に、得られる発泡粒子の気泡の微細化を抑制するという観点から、ゲージ圧で0.5〜7.0MPaであることが好ましい。なお、以下、ゲージ圧としての圧力の単位は「MPa(G)」と表す。
得られる発泡粒子の気泡径のバラツキを抑制するという観点から、含浸圧力は、1.0MPa(G)以上であることがより好ましく、2.0MPa(G)以上であることがさらに好ましく、2.6MPa(G)以上であることがよりさらに好ましい。一方、後述する発泡圧力を制御しやすくなるという観点から、含浸圧力は、5.0MPa(G)以下とすることがより好ましく、4.0MPa(G)以下とすることがさらに好ましく、3.4MPa(G)以下とすることが特に好ましい。
短時間で発泡剤を原料粒子に十分に含浸させる観点から、原料粒子への物理発泡剤の含浸は、加熱下で行われることが好ましい。
原料粒子へ発泡剤を含浸させる際の密閉容器内の内容物の温度(含浸温度)は、20℃以上とすることが好ましく、原料粒子の融解温度Tmに対して(Tm−45℃)以上(Tm−20℃)以下とすることがより好ましい。
本明細書において融解温度とは、JIS K7121−1987に基づく、試験片の状態調節として「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定法により、加熱速度10℃/分で得られるDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として求められる値である。なお、熱履歴によりTPUに生じた結晶状態の変化をリセットするために、上記状態調節のための熱処理時に230℃まで昇温することとする。また、DSC曲線が複数の融解ピークを有する場合、最も高温側の融解ピークのピーク頂点温度を融解温度として採用する。
また、工程(1)において、含浸温度での加熱時間(含浸時間)は、密閉容器内の圧力、TPUの種類、原料粒子の重量等に応じて適宜設定される。特に、TPU発泡粒子の生産性の観点から、含浸時間0.05〜3時間であることが好ましく、0.1〜1時間であることがより好ましい。
上記のようにして、原料粒子に発泡剤が含浸され、発泡剤を含む原料粒子が得られる。
[工程(2)]
工程(2)は、密閉容器から発泡剤を含む原料粒子を、分散媒と共に、密閉容器内圧よりも低い圧力雰囲気下に放出して発泡させ、TPU発泡粒子を得る発泡工程である。
原料粒子を放出するときの密閉容器内の内容物の温度を、発泡温度と称し、原料粒子を放出するときの密閉容器内の圧力を、発泡圧力と称することがある。
発泡温度は、原料粒子の融解温度Tm(℃)に対してTm−50℃〜Tm−10℃であることが好ましく、発泡圧力は、2.0MPa(G)以上4.0MPa(G)未満であることが好ましい。
上記発泡方法を採用し、発泡温度をTm−50℃〜Tm−10とし、発泡圧力を2.0MPa(G)以上4.0MPa(G)未満とすることで、見掛け密度が0.08〜0.35g/cmであり、メルトフローレイトが18〜35g/10分であり、平均表層膜厚みが15〜50μmであるTPU発泡粒子を製造しやすくなる。
発泡温度は、Tm−45℃〜Tm−15℃であることがより好ましく、Tm−40℃〜Tm−20℃であることがさらに好ましい。
発泡圧力は、2.2〜3.8MPa(G)であることがより好ましく、2.4〜3.6MPa(G)であることがさらに好ましく、2.6〜3.4MPa(G)であることが特に好ましい。
密閉容器から発泡剤を含む原料粒子を放出する際は、二酸化炭素、空気等で、開放した密閉容器内の圧力を一定に保持するか、徐々に高めるように圧力を調整することが好ましい。かかる圧力調整により、得られる発泡粒子の見掛け密度及び気泡径のばらつきを小さくすることができる。
なお、TPU発泡粒子は、特に、高発泡倍率(低見掛け密度)とした場合には、製造後(発泡後)に過度な収縮が起こりやすくなる。この収縮は、発泡粒子の気泡内に存在する温度の高い気体が、冷えることや、発泡粒子外部へ逸散することにより、気泡内部が減圧状態となることによって生じる。特に、二酸化炭素は発泡粒子外部へ逸散速度が速いため、発泡粒子の収縮が生じやすくなる。このような場合には、例えば、発泡後の発泡粒子を空気で加圧し、その後、大気圧下、安定状態で養生し、収縮した発泡粒子を回復させることが好ましい。具体的には、得られた発泡粒子を密閉容器内に入れ、0〜60℃で、0.05〜0.6MPa(G)の圧縮空気により1〜24時間加圧する。その後、密閉容器を放圧し、30〜80℃の大気圧下で12〜72時間、加圧された発泡粒子を放置する。
また、上記のようにして得られた発泡粒子の発泡倍率をさらに高くしたい場合には、必要に応じて、二段発泡を行ってもよい。例えば、高圧雰囲気中の発泡粒子をスチーム、加熱空気等を用いて加熱すること等により、より見掛け密度の低い発泡粒子を得ることができる。
<熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体(TPU発泡粒子成形体)>
本発明のTPU発泡粒子成形体は、既述のTPU発泡粒子を型内成形してなる成形体である。
軽量性と、反発弾性や引張強さなどの機械的強度とを両立させるという観点から、TPU発泡粒子成形体の見掛け密度は、0.15〜0.40g/cmであることが好ましく、0.18〜0.35g/cmであることがより好ましく、0.20〜0.30g/cmであることがさらに好ましい。
TPU発泡粒子成形体の見掛け密度は、成形体の重量を、成形体の見掛けの体積で割算することにより求めることができる。発泡粒子成形体の見掛けの体積は、水中に発泡粒子成形体を水没させ、その水位上昇から求めることができる。
本発明のTPU発泡粒子成形体は、表面外観、融着性に優れることから、自動車用シート、靴底等の各種クッションに用いることができ、特に、靴底のミッドソールに好適である。
TPU発泡粒子成形体を得るための型内成形法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により、所望の形態の成形体を得ることができる。例えば、以下のような方法が挙げられる。
まず、加熱及び冷却が可能であり、かつ開閉し密閉できる成形型内にTPU発泡粒子を充填する。そして、成形圧として、飽和蒸気圧が0.05〜0.48MPa(G)(型内に供給される水蒸気の飽和蒸気圧の最大値)となる飽和水蒸気を型内に供給し、型内で発泡粒子を加熱することにより、発泡粒子を膨張させると共に、発泡粒子相互を融着させて発泡粒子成形体を形成することが好ましい。
成形圧は0.08〜0.42MPa(G)であることがより好ましい。
次いで、この発泡粒子成形体を冷却して、成形型から取り出す。このようなバッチ式型内成形法(例えば、特公平4−46217号公報、特公平6−49795号公報等参照)を採用して、TPU発泡粒子成形体を製造することができる。
また、連続式成形方法(例えば、特開平9−104026号公報、特開平9−104027号公報、特開平10−180888号公報等参照)により製造することもができる。
発泡粒子を成形型内に充填する方法としては、公知の方法を採用することができる。また、発泡粒子の二次発泡力を向上させる方法として、例えば、発泡粒子を加圧気体で加圧処理して、発泡粒子に所定の内圧を付与してから型内に充填する方法(加圧充填法)、発泡粒子を加圧気体で圧縮した状態で加圧された型内に充填し、その後型内の圧力を開放する方法(圧縮充填法)、発泡粒子を型内に充填する前に予め型を開いて成形空間を広げておき、充填後に型を閉じることで発泡粒子を機械的に圧縮する方法(クラッキング充填法)等も採用することもできる。
型内成形法における飽和水蒸気による加熱方法は、公知の方法により、一方加熱、逆一方加熱、本加熱等の加熱方法を適宜組み合せることができる。
なお、一方加熱とは、雄型又は雌型のいずれか一方の型から型内にスチームなどの加熱媒体を供給して発泡粒子を加熱し、次いで、他方の雌型又は雄型から加熱媒体を排出させることを言う。また、前記一方加熱の場合とは加熱媒体が供給される側の型と加熱媒体が排出される側の型とが逆になる場合を、逆一方加熱と言う。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<実施例1〜5及び比較例1〜4>
1.原料成分
原料粒子に用いる原料TPU及び添加剤として、次の成分を用いた。
〔原料TPU〕
・TPU1:エーテル系熱可塑性ポリウレタン(コベストロ社製、グレード名:9385A(Lot1)、MFR[190℃、荷重10kg]:4g/10min、タイプAデュロメータ硬さ:86、融解温度:165℃、密度:1.12g/cm
・TPU2:エーテル系熱可塑性ポリウレタン(コベストロ社製、グレード名:9385A(Lot2)、MFR[190℃、荷重10kg]:10g/10min、タイプAデュロメータ硬さ:86、融解温度:165℃、密度:1.12g/cm
・TPU3:エーテル系熱可塑性ポリウレタン(コベストロ社製、グレード名:9385A(Lot3)、MFR[190℃、荷重10kg]:3g/10min、タイプAデュロメータ硬さ:86、融解温度:165℃、密度:1.12g/cm
・気泡調整剤:タルク(林化成株式会社製、グレード名:KHP−125B、d50:7μm)
2.原料粒子の製造
TPUと、TPU100重量部に対して、表1に示す量の気泡調整剤(タルク)とを内径26mmの二軸押出機に供給し、これらを表1に示す温度にて加熱混練して、溶融混練物とした。当該溶融混練物を押出機先端部に付設されたダイの小孔から水中に押出すとともに切断して、平均重量10mg、L/D=1.0の原料粒子を得た。
3.発泡粒子の製造
〔工程(1)〕
得られた原料粒子1kgと、分散媒として水3リットルとを、撹拌機を備えた5リットルのオートクレーブ内に仕込み、さらに、原料粒子100重量部に対して、分散剤としてカオリン0.5重量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.004重量部とを分散媒に添加した。
オートクレーブ内の内容物を撹拌しながら昇温し、表1に示す温度に到達後、該オートクレーブ内に発泡剤として二酸化炭素を、表1に示す圧力となるまで圧入し、所定の圧力に到達後、二酸化炭素による加圧を続けてその圧力を維持しながら、その温度で15分間保持した。
〔工程(2)〕
その後、窒素にて背圧を加えて容器内圧力が一定になるように調整しつつ、発泡剤を含む原料粒子を分散媒とともに大気圧(0.1MPa)下に放出して、発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子を40℃の大気圧下で24時間乾燥した後、密閉容器内に入れ、30℃で、0.3MPa(G)の圧縮空気により12時間加圧処理した。その後、放圧して40℃の大気圧下で24時間放置した。
得られた発泡粒子の見掛け密度、平均気泡径、平均気泡膜厚み、平均表層膜厚み、平均表層膜厚み/平均気泡膜厚み及びメルトフローレイト(MFR)を表1に示す。なお、発泡粒子を大気圧下、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で240時間状態調節した後に、これらの測定を行った。
(見掛け密度)
まず、100mlのメスシリンダーに温度23℃の水を50ml入れた。次に、嵩体積約30cmの発泡粒子群の質量(W1)を測定した後、該発泡粒子群を上記メスシリンダー内の水中に金網を使用して沈めた。そして、金網の体積を考慮し、水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の見掛けの容積V1を測定した。発泡粒子群の質量W1[g]を見掛けの容積V1[cm]で割り算(W1/V1)することにより、発泡粒子の見掛け密度[g/cm)]を求めた。
(平均気泡径及び平均表層膜厚み)
TPU発泡粒子群から無作為に50個の発泡粒子を選択した。TPU発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割し、その一方の断面の拡大写真(拡大倍率30倍)を走査型電子顕微鏡にてそれぞれ撮影した。各断面写真において、TPU発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引いた。各線分と交差する気泡数をそれぞれ計測し、4本の線分の合計長さを線分と交差する全気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、各TPU発泡粒子の平均気泡径を求めた。そしてこれらの値を算術平均することによりTPU発泡粒子の平均気泡径を求めた。
さらに、断面写真において、線分が引かれた発泡粒子の表面部分を300倍相当までさらに拡大し、線分上において、TPU発泡粒子の最表面からTPU発泡粒子の最外に位置する気泡までの長さ(表層膜厚み)を測定し、それらの値を算術平均することにより、各TPU発泡粒子の平均表層膜厚みを求めた。そして、これらの値を算術平均することによりTPU発泡粒子の平均表層膜厚みを求めた。
(平均気泡膜厚み)
TPU発泡粒子の見掛け密度及び平均気泡径をもとに、前記(I)式により、TPU発泡粒子の平均気泡膜厚みを求めた。なお、ρsとして1.12g/cmを採用した。
(メルトフローレイト)
TPU発泡粒子のメルトフローレイトは、JIS K 7210−2:2014に基づいて、190℃、荷重10kgの試験条件で測定した。なお、TPU発泡粒子を80℃の真空オーブンにて4時間真空乾燥することによって、その含有水分量を500質量ppm以下に調整した後にMFRの測定を行った。なお、原料TPU、原料粒子についても、同様にしてメルトフローレイトの測定を行なった。
4.発泡粒子成形体の製造
上記で作製した発泡粒子を、縦200mm、横250mm、厚さ20mmの直方体状の平板成形用の金型に充填し、表1に示す成形圧に到達するまでスチームで加熱した。そして、冷却後、金型から成形体を取り出し、平板状の発泡粒子成形体を得た。
得られた発泡粒子成形体の密度を表1に示す。さらに、得られた発泡粒子成形体の収縮率、表面ボイド割合、成形回復性、成形融着性、引張強さ及び引張伸びを表1に示す。なお、発泡粒子成形体を大気圧下、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で48時間状態調節した後に、これらの測定を行った。
(1)発泡粒子成形体の見掛け密度
発泡粒子成形体の見掛け密度は、成形体の重量を、成形体の見掛けの体積で割算することにより求めた。成形体の見掛けの体積は、水中に発泡粒子成形体を水没させ、その水位上昇から求めた。
(2)発泡粒子成形体の収縮率
発泡粒子成形体の収縮率は、下記式にて算出した。
(収縮率(%))=〔250[mm]−(成形体の横の長さ[mm])〕/250[mmm]×100
(3)表面性評価(発泡粒子成形体の表面ボイド割合)
発泡粒子成形体の表面の24mm×18mmの範囲の表面形状を、3D形状測定機((株)キーエンス製、型番:VR−3200)を用いて測定した。上記範囲の表面形状を、
発泡粒子成形体の中心を通る長手方向の直線に沿って位置をずらしながら5カ所測定した。測定したそれぞれの範囲について、発泡粒子成形体の表面の平均高さを基準として、その高さより0.1mm以上低くなっている部分をボイドと判定し、測定範囲に存在するボイドの合計面積をそれぞれ算出した。そして、5カ所の測定箇所のボイドの合計面積の算術平均値[mm]を測定面積(この場合、432mm)で割算することにより、表面ボイドの面積割合(%)を求めた。なお、表面ボイドの面積割合が小さければ小さいほど、発泡粒子成形体の表面にボイド(発泡粒子間の間隙)が少なく平滑であることになり、発泡粒子成形体の表面外観が優れていることになる。
発泡粒子成形体の表面性を以下の条件により評価した。
○:表面ボイドの面積割合が15%未満
×:表面ボイドの面積割合が15%以上
なお、参考のために、実施例3の発泡粒子成形体の表面の顕微鏡写真を図1に示し、比較例1の発泡粒子成形体の表面の顕微鏡写真を図2に示す。また、3D形状測定機を用いて撮影した実施例3の発泡粒子成形体の表面を図3に示し、3D形状測定機を用いて撮影した比較例1の発泡粒子成形体の表面を図4に示す。図3及び図4において、色の薄い部分がボイドである。
(4)発泡粒子成形体の成形回復性
得られた発泡粒子成形体の中央部分と四隅部分の厚みをそれぞれ測定し、四隅部分のうち最も厚みが厚い部分に対する中央部分の厚みの比が90%以上である場合を「○」、90%未満である場合を「×」と評価した。
(5)発泡粒子成形体の融着性
得られた発泡粒子成形体の融着率を測定し、融着率が80%以上である場合は融着性が優れているとして「○」と評価し、融着率が80%未満である場合、融着性が劣っているとして「×」と評価した。
発泡粒子成形体の融着率は、以下の方法により測定した。
発泡粒子成形体から、縦170mm、横30mm、厚さをそのままとして試験片を切り出した。この試験片の表面の一方に、カッターナイフで該試験片の縦の長さを2等分するように厚み方向に約10mmの深さの切り込みを入れ、切り込み部から成形体を折り曲げて破断させた。破断面に存在する材料破壊した発泡粒子の個数mと、破断面に存在する全部の発泡粒子の個数nの比(m/n×100[%])を算出した。
なお、成形体を折り曲げても破断できない場合は、融着率100%とした。異なる試験片を用いて前記測定を5回行い、それぞれの材料破壊率を求め、それらを算術平均して融着率とした。
(6)発泡粒子成形体の引張強さ及び引張伸び
発泡粒子成形体からバーチカルスライサーを用いて、全ての面が切り出し面となるように成形スキンを取り除いて120mm×25mm×10mmに切り出し、さらに糸鋸を用いてダンベル状1号形(測定部の長さ40mm、幅10mm、厚み10mm)に切り抜き、試験片とした。該試験片について、JIS K6767:1999に基づき500mm/分の試験速度で引張試験を実施し、発泡粒子成形体の引張強さ及び引張伸びを測定した。
実施例1〜5の発泡粒子を成形してなる発泡粒子成形体は、表面ボイドの面積割合が15%以下であるので、表面外観が優れており、さらに、成形回復性及び成形融着性に優れ、引張強さも高く、引張伸びも大きかった。これらの結果から、見掛け密度が0.08〜0.35g/cmであり、メルトフローレイトが18〜35g/10分であり、平均表層膜厚みが15〜50μmであるTPU発泡粒子を用いることによって、表面外観及び融着性に優れた発泡粒子成形体を得られることがわかった。
比較例1の発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体は、表面ボイドの面積割合が15%よりも大きいので、表面外観が劣っており、さらに、引張強さは低く、引張伸びも小さかった。これらの結果から、平均表層膜厚みが15μmよりも小さなTPU発泡粒子を用いると、表面外観及び融着性に優れた発泡粒子成形体を得られないことがわかった。
比較例2の発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体は、表面ボイドの面積割合が10%以下であり、表面外観が優れていたが、成形融着性が悪く、引張強さ及び引張伸びも著しく悪かった。これらの結果から、平均表層膜厚みが50μmよりも大きなTPU発泡粒子を用いると、融着性に優れた発泡粒子成形体を得られないことがわかった。
比較例3の発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体は、成形融着性は優れていたが、表面外観が劣っていた。これらの結果から、メルトフローレイトが35g/10分よりも大きなTPU発泡粒子を用いると、融着性に優れた発泡粒子成形体を得られないことがわかった。
比較例4の発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体は、成形融着性は優れていたが、表面外観が劣っていた。これらの結果から、メルトフローレイトが18g/10分よりも小さなTPU発泡粒子を用いると、表面外観に優れた発泡粒子成形体を得られないことがわかった。

Claims (4)

  1. 熱可塑性ポリウレタン発泡粒子であって、
    該発泡粒子の見掛け密度が0.08〜0.35g/cmであり、
    メルトフローレイトが18〜35g/10分であり、
    平均表層膜厚みが15〜50μmである、熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
  2. 前記発泡粒子を構成している熱可塑性ポリウレタンがエーテル系熱可塑性ポリウレタンである、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
  3. 前記発泡粒子の平均気泡径が100〜500μmである、請求項1または2に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体。
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