JP2018035220A - 熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】色ムラが無く、発色性が良好な発泡粒子成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子の型内成形体であって、該成形体の平均表面膜厚が20μm以上であることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体である。
【選択図】なし
【解決手段】着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子の型内成形体であって、該成形体の平均表面膜厚が20μm以上であることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体である。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane;以下、TPUと略称する場合もある)発泡粒子成形体及びその製造方法に関する。
熱可塑性エラストマーの一種であるTPUは、その優れた耐摩耗性、耐寒性、反発弾性や、高い機械特性を生かし、緩衝材や防振材、スポーツ用品、自動車部材などの様々な分野で使用されている。
このTPUを発泡することで、TPU自体の持つ耐摩耗性や反発弾性等の優れた特性を保ちつつ、軽量性や柔軟性、断熱性を付与することができるため、スポーツ用品や自動車部品等での更なる用途拡大が期待される。
TPUの発泡成形体は、押出発泡、プレス発泡、射出発泡などの方法で製造可能であるが、特に、TPU発泡粒子を型内成形して発泡成形体を得る型内成形法では、他の成形方法と比較して、形状の自由度が高く、また、高い独立気泡率を有する発泡成形体を得られることから、反発性の向上やさらなる軽量化が可能となり、近年、TPU発泡粒子成形体は、特にスポーツ用品の分野においてその用途を広げつつある。
また、近年ではデザインの多様性を目的に、発泡体由来の色の成形体のみならず、着色されたTPU発泡粒子成形体が求められている。
TPU発泡粒子成形体については、例えば、引用文献1〜4に記載されている。
このTPUを発泡することで、TPU自体の持つ耐摩耗性や反発弾性等の優れた特性を保ちつつ、軽量性や柔軟性、断熱性を付与することができるため、スポーツ用品や自動車部品等での更なる用途拡大が期待される。
TPUの発泡成形体は、押出発泡、プレス発泡、射出発泡などの方法で製造可能であるが、特に、TPU発泡粒子を型内成形して発泡成形体を得る型内成形法では、他の成形方法と比較して、形状の自由度が高く、また、高い独立気泡率を有する発泡成形体を得られることから、反発性の向上やさらなる軽量化が可能となり、近年、TPU発泡粒子成形体は、特にスポーツ用品の分野においてその用途を広げつつある。
また、近年ではデザインの多様性を目的に、発泡体由来の色の成形体のみならず、着色されたTPU発泡粒子成形体が求められている。
TPU発泡粒子成形体については、例えば、引用文献1〜4に記載されている。
しかしながら、従来の着色TPU発泡粒子成形体は発色性や色調の均一性に劣るという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、色ムラが無く、発色性が良好なTPU発泡粒子成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[7]を提供する。
[1]着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子の型内成形体であって、
該成形体の平均表面膜厚が20μm以上であることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体。
[2]前記成形体の表面膜厚の変動係数が0.8以下であることを特徴とする[1]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体。
[3]着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を製造する方法であって、
前記発泡粒子の平均表面膜厚が15μm未満であり、
型内成形時に、前記発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの(融解温度Tm−25)℃を超え融解温度Tm℃以下の温度のスチームで発泡粒子を加熱して、発泡粒子成形体の平均表面膜厚を20μm以上とすることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
[4]前記発泡粒子の平均気泡径が150μm未満である[3]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
[5]前記発泡粒子の190℃、荷重10kgにおけるメルトフローレイトが5〜40g/10分であることを特徴とする[3]又は[4]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
[6]着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を製造する方法であって、
前記発泡粒子の平均表面膜厚が15μm以上であることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
[7]前記発泡粒子の平均気泡径が150μm以上である[6]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
[1]着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子の型内成形体であって、
該成形体の平均表面膜厚が20μm以上であることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体。
[2]前記成形体の表面膜厚の変動係数が0.8以下であることを特徴とする[1]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体。
[3]着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を製造する方法であって、
前記発泡粒子の平均表面膜厚が15μm未満であり、
型内成形時に、前記発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの(融解温度Tm−25)℃を超え融解温度Tm℃以下の温度のスチームで発泡粒子を加熱して、発泡粒子成形体の平均表面膜厚を20μm以上とすることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
[4]前記発泡粒子の平均気泡径が150μm未満である[3]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
[5]前記発泡粒子の190℃、荷重10kgにおけるメルトフローレイトが5〜40g/10分であることを特徴とする[3]又は[4]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
[6]着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を製造する方法であって、
前記発泡粒子の平均表面膜厚が15μm以上であることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
[7]前記発泡粒子の平均気泡径が150μm以上である[6]に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
本発明のTPU発泡粒子成形体は、色の均一性が高く、かつ発色性が良好である。
これより、本発明のTPU発泡粒子成形体は、靴底、スポーツ用のパッド材、自動車や家具、日用品のクッション材などに使用される。
これより、本発明のTPU発泡粒子成形体は、靴底、スポーツ用のパッド材、自動車や家具、日用品のクッション材などに使用される。
[熱可塑性ポリウレタン(TPU)]
本発明に用いるTPU発泡粒子を構成するTPUは、ジイソシアネートと鎖延長剤(短鎖グリコールなどのジオール化合物)とがウレタン結合で重合したハードセグメントと、エーテル基、エステル基、カーボネート基などを含む高分子鎖からなるソフトセグメントが、相互に結合した構造を有している。そして、常温領域では、ソフトセグメントが弾性を発現し、かつ、ハードセグメントが強固な水素結合を生成して物理架橋点として作用することによりゴムに近い弾性を示す。
本発明に用いるTPU発泡粒子を構成するTPUは、ジイソシアネートと鎖延長剤(短鎖グリコールなどのジオール化合物)とがウレタン結合で重合したハードセグメントと、エーテル基、エステル基、カーボネート基などを含む高分子鎖からなるソフトセグメントが、相互に結合した構造を有している。そして、常温領域では、ソフトセグメントが弾性を発現し、かつ、ハードセグメントが強固な水素結合を生成して物理架橋点として作用することによりゴムに近い弾性を示す。
TPUにおいては、ソフトセグメントのタイプが、TPUの特性に大きな影響を与える。エステル系TPUは、特に、機械的強度や耐熱性等に優れ、一方、エーテル系TPUは、特に、耐寒性や耐加水分解、耐菌性等に優れている。したがって、TPU発泡粒子成形体に求められる特性に応じて、使用するTPUの種類を適宜選択することができる。
前記TPUの構成要素は、特に限定されるものではなく、得られるTPU発泡粒子成形体に求められる物性に応じて適宜選択することができる。上述したエーテル系TPU、エステル系TPU、及び両者の複合系のいずれであってもよい。
エステル系TPUは、機械強度、耐熱性、耐紫外線に優れ、エーテル系TPUは、耐加水分解性が高く、耐寒性、抗菌性、低温領域での機械的物性の温度依存性が小さいことから好ましい。
エステル系TPUは、機械強度、耐熱性、耐紫外線に優れ、エーテル系TPUは、耐加水分解性が高く、耐寒性、抗菌性、低温領域での機械的物性の温度依存性が小さいことから好ましい。
[着色剤]
着色剤としては、無機系又は有機系の顔料や染料を用いることができる。
有機顔料としては、例えば、モノアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系、複素環系、ペリノン系、キナクリドン系、ペリレン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、フタロシアニン系、ニトロソ系、フタロシアニン顔料、有機蛍光顔料等を挙げることができる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、亜鉛華、沈降性シリカ、カドミウム赤等を挙げることができる。
また、染料としては、例えば、アンスラキノン系、複素環系、ペリノン系、塩基性染料、酸性染料、媒染染料等を挙げることができる。
これらの着色剤の中でも、耐候性の観点から、有機顔料または無機顔料を使用することが好ましい。
また、着色剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
着色剤を原料TPUと共に押出機に共給し、両者を加熱下で混練することによりTPU粒子に着色剤を配合することができる。この着色剤を含むTPU粒子を発泡させることにより、着色剤を含むTPU発泡粒子を得ることができる。
前記発泡粒子に含まれる着色剤の量としては、特に限定されないが、TPU100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
着色剤としては、無機系又は有機系の顔料や染料を用いることができる。
有機顔料としては、例えば、モノアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系、複素環系、ペリノン系、キナクリドン系、ペリレン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、フタロシアニン系、ニトロソ系、フタロシアニン顔料、有機蛍光顔料等を挙げることができる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、亜鉛華、沈降性シリカ、カドミウム赤等を挙げることができる。
また、染料としては、例えば、アンスラキノン系、複素環系、ペリノン系、塩基性染料、酸性染料、媒染染料等を挙げることができる。
これらの着色剤の中でも、耐候性の観点から、有機顔料または無機顔料を使用することが好ましい。
また、着色剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
着色剤を原料TPUと共に押出機に共給し、両者を加熱下で混練することによりTPU粒子に着色剤を配合することができる。この着色剤を含むTPU粒子を発泡させることにより、着色剤を含むTPU発泡粒子を得ることができる。
前記発泡粒子に含まれる着色剤の量としては、特に限定されないが、TPU100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
[TPU発泡粒子成形体]
本発明のTPU発泡粒子成形体(以下、単に発泡粒子成形体ともいう。)は、着色剤を含むTPU発泡粒子(以下、単に発泡粒子ともいう。)の型内成形体であって、該成形体の平均表面膜厚が20μm以上である発泡粒子成形体である。発泡粒子成形体の平均表面膜厚を20μm以上とすることにより、色ムラが無く、発色性が良好な発泡粒子成形体となる。かかる観点から、発泡粒子成形体の平均表面膜厚は、25μm以上であることが好ましい。
本発明のTPU発泡粒子成形体(以下、単に発泡粒子成形体ともいう。)は、着色剤を含むTPU発泡粒子(以下、単に発泡粒子ともいう。)の型内成形体であって、該成形体の平均表面膜厚が20μm以上である発泡粒子成形体である。発泡粒子成形体の平均表面膜厚を20μm以上とすることにより、色ムラが無く、発色性が良好な発泡粒子成形体となる。かかる観点から、発泡粒子成形体の平均表面膜厚は、25μm以上であることが好ましい。
また、本発明の発泡粒子成形体は、その表面膜厚の変動係数が0.8以下であると好ましく、0.7以下であるとさらに好ましい。
これは、表面膜厚の変動係数が0.8以下であれば、色の濃淡の無い発泡粒子成形体となるからであり、部位による色の濃淡がなくなり、均一な外観となる。
これは、表面膜厚の変動係数が0.8以下であれば、色の濃淡の無い発泡粒子成形体となるからであり、部位による色の濃淡がなくなり、均一な外観となる。
また、本発明の発泡粒子成形体は、その平均気泡径が50μmを超えると好ましい。この平均気泡径が50μm超であれば、特に発色性が十分なためである。かかる観点から、発泡粒子成形体の平均気泡径は、100μm以上であることがより好ましい。なお、内層の平均気泡径が50μm以下であっても、平均表面膜厚が20μm以上であれば良好な発色性を得ることができる。
発泡粒子成形体の平均気泡径は、ASTM D3576−77に準拠し、次のようにして測定される値である。まず、発泡粒子成形体を切断して切断面を形成する。一方の切断面において、任意の方向に30mmの線分を引く。該線分と交差する気泡数を計測し、線分の長さを線分と交差する気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、発泡粒子成形体の平均気泡径を求める。また、切断面において、発泡粒子成形体の最表面から成形体の最外に位置する気泡までの長さ(表面膜厚み)を10箇所以上測定し、それらの値を算術平均することにより、発泡粒子成形体の平均表面膜厚みを求める。また、表面膜厚みの標準偏差を求め、該標準偏差を発泡粒子成形体の平均表面膜厚で割算することにより、表面膜厚の変動係数を求める。
また、本発明の発泡粒子成形体の見かけ密度は、50〜500kg/m3であると好ましく、100〜300kg/m3であるとさらに好ましい。見掛け密度が前記範囲であると、軽量性と反発性とを両立した成形体となる。
発泡粒子成形体の見掛け密度は、発泡粒子成形体の重量を成形体の見掛けの体積で割算することにより求められる値である。発泡粒子成形体の見掛けの体積は、水没法により求めることができる。
発泡粒子成形体の見掛け密度は、発泡粒子成形体の重量を成形体の見掛けの体積で割算することにより求められる値である。発泡粒子成形体の見掛けの体積は、水没法により求めることができる。
[TPU発泡粒子成形体の製造方法]
着色剤をTPUに配合して発泡させる場合、気泡が微細化しやすく、また、TPUの溶融時の粘度特性により、発泡粒子の表面の膜厚みが薄くなりやすい。気泡が微細化していると、発泡粒子が白化し、発色性が低下して淡色化する。発泡粒子を型内成形する際、発泡粒子が加熱状態で型面に押し付けられる。TPUは軟質であるため、発泡粒子の中央部分が型面に過度に押し付けられやすく、この押し付けられた部分の表面が溶融して、表層の気泡が消失し、表面膜厚みが厚くなるため、濃色化する。一方、隣接する発泡粒子同士の界面付近は金型に押し付けられにくく、元の気泡状態を保持するため淡色状態が保たれる。その結果、得られる発泡粒子成形体は、濃色部分と淡色部分とが存在する色ムラのあるものとなることがわかった。
着色剤をTPUに配合して発泡させる場合、気泡が微細化しやすく、また、TPUの溶融時の粘度特性により、発泡粒子の表面の膜厚みが薄くなりやすい。気泡が微細化していると、発泡粒子が白化し、発色性が低下して淡色化する。発泡粒子を型内成形する際、発泡粒子が加熱状態で型面に押し付けられる。TPUは軟質であるため、発泡粒子の中央部分が型面に過度に押し付けられやすく、この押し付けられた部分の表面が溶融して、表層の気泡が消失し、表面膜厚みが厚くなるため、濃色化する。一方、隣接する発泡粒子同士の界面付近は金型に押し付けられにくく、元の気泡状態を保持するため淡色状態が保たれる。その結果、得られる発泡粒子成形体は、濃色部分と淡色部分とが存在する色ムラのあるものとなることがわかった。
表面膜厚みが薄い発泡粒子を用いて型内成形する場合であっても、型内成形時の最高加熱温度を一定温度以上に高めることで、発泡粒子の金型と接触する部分だけではなく、接触しない部分の表層の気泡も消失させて、発泡粒子成形体の平均表面膜厚を一定以上となるように、発泡粒子を加熱することにより、得られる発泡粒子成形体の発色性、色の均一性を高めることができることがわかった。
一方で、気泡核剤の種類や、その添加量の調整や、発泡温度の調整、発泡雰囲気の調整によって、表面膜厚の厚い発泡粒子を得ることもできる。一定以上の表面膜厚を有する発泡粒子を型内成形しても、発色性、色の均一性に優れた発泡粒子成形体を得ることができることがわかった。
一方で、気泡核剤の種類や、その添加量の調整や、発泡温度の調整、発泡雰囲気の調整によって、表面膜厚の厚い発泡粒子を得ることもできる。一定以上の表面膜厚を有する発泡粒子を型内成形しても、発色性、色の均一性に優れた発泡粒子成形体を得ることができることがわかった。
このような知見に基づき、本発明者らは、下記(I)、(II)のTPU発泡粒子成形体の製造方法を完成した。
(I)本発明の第1のTPU発泡粒子成形体の製造方法は、着色剤を含むTPU発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を製造する方法であって、前記発泡粒子の平均表面膜厚が15μm未満であり、型内成形時に、前記発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの(融解温度Tm−25)℃を超え融解温度Tm℃以下の温度のスチームで発泡粒子を加熱して、発泡粒子成形体の平均表面膜厚を20μm以上とする。
この方法によれば、平均表面膜厚が15μm未満と薄い発泡粒子であっても、発泡粒子成形体の平均表面膜厚を20μm以上となるように型内成形することにより、発色性、色の均一性に優れる発泡粒子成形体を得ることができる。
型内成形時の加熱温度が低すぎる場合、発泡粒子同士を十分に融着させることは可能であるが、発泡粒子同士の界面付近の表面膜厚みを十分に厚くすることができず、発色性、色の均一性に優れた発泡粒子成形体が得られない。かかる観点から、型内成形時の加熱温度は(融解温度Tm−23)℃以上であると好ましい。一方、加熱温度が高すぎると、発泡粒子成形体が著しく収縮してしまうため、良好な発泡粒子成形体が得られない。かかる観点から、加熱温度は(融解温度Tm−10)℃以下であることが好ましい。
型内成形方法では、発泡粒子を成形型内に導入し、発泡粒子をスチームで加熱して融着させた後、冷却して取り出すことにより、発泡粒子成形体が得られる。型内成形時の加熱は、通常、スチームの圧力で加熱温度を管理する。
(I)本発明の第1のTPU発泡粒子成形体の製造方法は、着色剤を含むTPU発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を製造する方法であって、前記発泡粒子の平均表面膜厚が15μm未満であり、型内成形時に、前記発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの(融解温度Tm−25)℃を超え融解温度Tm℃以下の温度のスチームで発泡粒子を加熱して、発泡粒子成形体の平均表面膜厚を20μm以上とする。
この方法によれば、平均表面膜厚が15μm未満と薄い発泡粒子であっても、発泡粒子成形体の平均表面膜厚を20μm以上となるように型内成形することにより、発色性、色の均一性に優れる発泡粒子成形体を得ることができる。
型内成形時の加熱温度が低すぎる場合、発泡粒子同士を十分に融着させることは可能であるが、発泡粒子同士の界面付近の表面膜厚みを十分に厚くすることができず、発色性、色の均一性に優れた発泡粒子成形体が得られない。かかる観点から、型内成形時の加熱温度は(融解温度Tm−23)℃以上であると好ましい。一方、加熱温度が高すぎると、発泡粒子成形体が著しく収縮してしまうため、良好な発泡粒子成形体が得られない。かかる観点から、加熱温度は(融解温度Tm−10)℃以下であることが好ましい。
型内成形方法では、発泡粒子を成形型内に導入し、発泡粒子をスチームで加熱して融着させた後、冷却して取り出すことにより、発泡粒子成形体が得られる。型内成形時の加熱は、通常、スチームの圧力で加熱温度を管理する。
平均気泡径150μm未満の発泡粒子は特に淡色化する傾向にあるが、このような発泡粒子でも、(I)の製造方法により、発色性、色の均一性に優れた成形体を得ることができる。
(II)本発明の第2のTPU発泡粒子成形体の製造方法は、着色剤を含むTPU発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を製造する方法であって、前記発泡粒子の平均表面膜厚が15μm以上である。
平均表面膜厚が15μm以上である発泡粒子を型内成形することにより、発色性、色の均一性に優れた発泡粒子成形体を得ることができる。
また、前記発泡粒子の平均気泡径が150μm以上であると好ましい。前記発泡粒子の平均気泡径が150μm以上であると、発色性、色の均一性に特に優れた成形体を得ることができる。かかる観点から、前記発泡粒子の平均気泡径が165μm以上であるとより好ましい。
平均表面膜厚が15μm以上である発泡粒子を型内成形することにより、発色性、色の均一性に優れた発泡粒子成形体を得ることができる。
また、前記発泡粒子の平均気泡径が150μm以上であると好ましい。前記発泡粒子の平均気泡径が150μm以上であると、発色性、色の均一性に特に優れた成形体を得ることができる。かかる観点から、前記発泡粒子の平均気泡径が165μm以上であるとより好ましい。
発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの融解温度Tmは、150〜190℃であることが好ましい。融解温度が上記範囲内であれば、二次発泡性や融着性が良好な発泡粒子となる。上記観点から、前記融解温度は、155〜185℃であることが好ましく、より好ましくは160〜180℃である。
なお、融解温度とは、JIS K7121−1987に基づく、試験片の状態調節として「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。ただし、TPUのハードセグメントを完全に融解させるために、試験片を融解ピーク終了時より約90℃高い温度まで加熱溶融させる。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定法により、加熱速度10℃/分で得られるDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として求められる値である。DSC曲線が複数の融解ピークを有する場合、最も温度の高い融解ピークのピーク頂点温度を融解温度として採用する。
なお、融解温度とは、JIS K7121−1987に基づく、試験片の状態調節として「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。ただし、TPUのハードセグメントを完全に融解させるために、試験片を融解ピーク終了時より約90℃高い温度まで加熱溶融させる。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定法により、加熱速度10℃/分で得られるDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として求められる値である。DSC曲線が複数の融解ピークを有する場合、最も温度の高い融解ピークのピーク頂点温度を融解温度として採用する。
発泡粒子の温度190℃、荷重10kgでのMFRが40g/10分以下であると好ましい。(I)の製造方法のように、高温で発泡粒子を加熱して型内成形を行なうと、発泡粒子成形体の形状などによっては、離型後に発泡粒子成形体に著しい収縮、変形、所謂ヒケが発生しやすくなるが、MFRが40g/10分以下の発泡粒子を用いることにより、ヒケを効果的に抑制することができる。かかる観点から、前記MFRは、30g/10分以下であるとさらに好ましい。一方、MFRは5g/10分以上であることが好ましい。MFRが5g/10分以上の発泡粒子を用いることにより、型内成形時に発泡粒子が十分に二次発泡し、表面にボイドの少ない、表面状態が良好な発泡粒子成形体を得ることができる。かかる観点から、前記MFRは、10g/10分以上であるとさらに好ましい。
なお、上記MFRは、JIS K7210−2:2014に基づき、温度190℃、荷重10kgの条件にて測定される値である。測定試料の水分量は500ppm以下とする。
なお、上記MFRは、JIS K7210−2:2014に基づき、温度190℃、荷重10kgの条件にて測定される値である。測定試料の水分量は500ppm以下とする。
発泡粒子の平均気泡径は、ASTM D3576−77に準拠し、次のようにして測定される値である。発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割する。切断された各発泡粒子の一方の断面において、発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引く。各線分と交差する気泡数をそれぞれ計測し、4本の線分の合計長さを線分と交差する全気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、発泡粒子の平均気泡径を求める。また、線分上において、発泡粒子の最表面から発泡粒子の最外に位置する気泡までの長さ(表面膜厚み)を測定し、それらの値を算術平均することにより、発泡粒子の平均表面膜厚みを求める。
本発明で用いる発泡粒子の平均粒子径は、1〜10mmであることが好ましい。1mm以上であれば、十分な発泡倍率が得られ、成形体の内部融着性が低下する恐れが無い。また、10mm以下であれば、単一粒子内の発泡密度が均一で、所望の柔軟性、反発性などが得られ、成形時に金型への充填も容易である。なお、ここで言う発泡粒子の平均粒子径は、発泡粒子1個あたりの平均体積と同じ体積を有する仮想真球の直径を意味するものとする。発泡粒子1個あたりの平均体積は、水没法などにより求めることができる。
前記発泡粒子の質量としては、0.5〜30mgであることが好ましい。0.5mg以上であれば、十分な発泡倍率が得られ、成形体の内部融着性が低下する恐れが無い。また、30mg以下であれば、単一粒子内の発泡密度が均一となりやすいので、所望の柔軟性、反発性などが得られやすい。
[TPU発泡粒子の製造方法]
本発明におけるTPU発泡粒子の製造方法は特に限定されるものではないが、製造方法として、例えば、ダイレクト発泡法、含浸発泡法、押出発泡法が挙げられる。
前記ダイレクト発泡法とは、密閉容器内で着色剤を含むTPU粒子を分散媒中に分散させるとともに、加圧下、好ましくはさらに加熱下で前記TPU粒子に発泡剤を含浸させ、発泡に適した温度条件にて、前記発泡剤を含むTPU粒子を前記密閉容器から低圧下に放出して発泡させ、TPU発泡粒子を得る方法である。
前記含浸発泡法とは、密閉容器内でTPU粒子に発泡剤を含浸させて、発泡させずに密閉容器から取り出して発泡性粒子とし、もしくは、押出機内でTPUと発泡剤とを混練し、該混練物を押出機に付設されたダイから水中などに発泡させずに押し出し、粒状にカットして発泡性粒子とし、得られた発泡性粒子を加熱して発泡させて、TPU発泡粒子を得る方法である。
前記押出発泡法とは、押出機内でTPUと発泡剤とを混練し、該混練物をダイから押し出して発泡させ、粒状に切断してTPU発泡粒子を得る方法である。
本発明におけるTPU発泡粒子の製造方法は特に限定されるものではないが、製造方法として、例えば、ダイレクト発泡法、含浸発泡法、押出発泡法が挙げられる。
前記ダイレクト発泡法とは、密閉容器内で着色剤を含むTPU粒子を分散媒中に分散させるとともに、加圧下、好ましくはさらに加熱下で前記TPU粒子に発泡剤を含浸させ、発泡に適した温度条件にて、前記発泡剤を含むTPU粒子を前記密閉容器から低圧下に放出して発泡させ、TPU発泡粒子を得る方法である。
前記含浸発泡法とは、密閉容器内でTPU粒子に発泡剤を含浸させて、発泡させずに密閉容器から取り出して発泡性粒子とし、もしくは、押出機内でTPUと発泡剤とを混練し、該混練物を押出機に付設されたダイから水中などに発泡させずに押し出し、粒状にカットして発泡性粒子とし、得られた発泡性粒子を加熱して発泡させて、TPU発泡粒子を得る方法である。
前記押出発泡法とは、押出機内でTPUと発泡剤とを混練し、該混練物をダイから押し出して発泡させ、粒状に切断してTPU発泡粒子を得る方法である。
本発明において、発泡粒子を製造する際の発泡剤としては、ブタン、ペンタンなどの有機物理発泡剤、窒素、二酸化炭素のなどの無機物理発泡剤、重曹−クエン酸などの化学発泡剤を用いることができる。また、有機物理発泡剤を内包したカプセル状の樹脂またはガラス微粒子(マイクロカプセル)も用いることができる。これらの中でも、TPUの発泡性に優れることから、二酸化炭素が好ましい。
本発明においては、これらの中でも、ダイレクト発泡法でTPU発泡粒子を製造することが好ましい。
以下、ダイレクト発泡法の工程について説明する。
(1)TPU粒子作製工程
TPUを押出機にて溶融、混練してダイから押し出し、粒状に切断してTPU粒子を得る。この際、切断方法として、ストランドカット、アンダーウォーターカット、ホットカットのいずれも採用可能である。気泡調整剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤などの添加剤はこの工程で添加することが好ましい。
以下、ダイレクト発泡法の工程について説明する。
(1)TPU粒子作製工程
TPUを押出機にて溶融、混練してダイから押し出し、粒状に切断してTPU粒子を得る。この際、切断方法として、ストランドカット、アンダーウォーターカット、ホットカットのいずれも採用可能である。気泡調整剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤などの添加剤はこの工程で添加することが好ましい。
押出機に供給する原料TPUの190℃、荷重10kgにおけるMFRは、0.1〜30g/10分であることが好ましく、さらに好ましくは1〜20g/10分である。TPUは、押出機内で熱分解または加水分解しやすく、押出後にMFRが上昇することがある。原料TPUのMFRが0.1〜30g/10分であると、発泡粒子のMFRを5〜40g/10分に制御することが容易になる。
なお、上記MFRは、JIS K7210−2:2014に基づき、温度190℃、荷重10kgの条件にて測定される値である。測定試料の水分量は500ppm以下とする。
なお、上記MFRは、JIS K7210−2:2014に基づき、温度190℃、荷重10kgの条件にて測定される値である。測定試料の水分量は500ppm以下とする。
TPU粒子には、着色剤のほかに、通常使用される帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性剤、結晶核剤、充填材等の各種の添加剤を、必要に応じて適宜配合することができる。これらの各種添加剤の添加量は、発泡粒子成形体の用途目的により異なるが、原料TPU100質量部に対して25質量部以下であることが好ましく、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。
(2)発泡工程
密閉容器内で水などの分散媒に、TPU粒子を分散させる。このとき、TPU粒子が分散媒中に均一に分散するように、分散剤や分散助剤を用いても良い。
密閉容器内で水などの分散媒に、TPU粒子を分散させる。このとき、TPU粒子が分散媒中に均一に分散するように、分散剤や分散助剤を用いても良い。
次に、密閉容器内で前記TPU粒子に発泡剤を含浸させる。
発泡剤としては物理発泡剤を用いることが好ましい。物理発泡剤としては、有機物理発泡剤として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。また、無機物理発泡剤として、二酸化炭素、窒素、アルゴン、空気、水等が挙げられる。
発泡剤としては物理発泡剤を用いることが好ましい。物理発泡剤としては、有機物理発泡剤として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。また、無機物理発泡剤として、二酸化炭素、窒素、アルゴン、空気、水等が挙げられる。
発泡剤の使用量は、目的とする発泡粒子の見掛け密度、TPUの種類、発泡剤の種類等を考慮して適宜設定されるが、通常、TPU粒子100質量部に対して0.5〜30質量部であることが好ましい。
短時間で発泡剤をTPU粒子に十分に含浸させる観点から、TPU粒子への物理発泡剤の含浸は、加熱、加圧下で行われることが好ましい。
TPU粒子へ発泡剤を含浸させる際の密閉容器内の内容物の温度(含浸温度)は、TPU粒子の融解温度Tmに対して、(Tm−80℃)以上とすることが好ましい。
また、前記密閉容器内の圧力が、0.5MPa(G:ゲージ圧)以上となるように物理発泡剤を密閉容器内に圧入すること、すなわち含浸圧力を0.5MPa(G)以上とすることが好ましく、より好ましくは1.0MPa(G)以上である。また、密閉容器の耐圧性の観点から、含浸圧力は10MPa(G)以下することが好ましく、より好ましくは8.0MPa(G)である。
また、発泡剤の含浸時間は、含浸温度、含浸圧力、TPUの種類や質量等に応じて適宜設定されるが、物理発泡剤をTPU粒子に十分に含浸させるためには、好ましくは0.05時間以上、さらに好ましくは0.1時間以上である。一方、その上限は生産性の観点から、3時間以下とすることが好ましく、より好ましくは1時間である。
上記のようにして、TPU粒子に発泡剤が含浸され、発泡剤を含むTPU粒子(発泡性粒子)が形成される。
TPU粒子へ発泡剤を含浸させる際の密閉容器内の内容物の温度(含浸温度)は、TPU粒子の融解温度Tmに対して、(Tm−80℃)以上とすることが好ましい。
また、前記密閉容器内の圧力が、0.5MPa(G:ゲージ圧)以上となるように物理発泡剤を密閉容器内に圧入すること、すなわち含浸圧力を0.5MPa(G)以上とすることが好ましく、より好ましくは1.0MPa(G)以上である。また、密閉容器の耐圧性の観点から、含浸圧力は10MPa(G)以下することが好ましく、より好ましくは8.0MPa(G)である。
また、発泡剤の含浸時間は、含浸温度、含浸圧力、TPUの種類や質量等に応じて適宜設定されるが、物理発泡剤をTPU粒子に十分に含浸させるためには、好ましくは0.05時間以上、さらに好ましくは0.1時間以上である。一方、その上限は生産性の観点から、3時間以下とすることが好ましく、より好ましくは1時間である。
上記のようにして、TPU粒子に発泡剤が含浸され、発泡剤を含むTPU粒子(発泡性粒子)が形成される。
そして、前記発泡性粒子を分散媒とともに密閉容器内の圧力よりも低圧下に放出して発泡させることにより、TPU発泡粒子を得ることができる。
発泡性粒子を低圧下に放出する際には、密閉容器内の内容物の温度(発泡温度)は、TPU粒子の融解温度Tmに対して、(Tm−60℃)以上とすることが好ましく、より好ましくは(Tm−50℃)〜(Tm−10℃)であり、さらに好ましくは(Tm−40℃)〜(Tm−20℃)である。
このような温度範囲で発泡性粒子を発泡させることにより、気泡構造が良好な発泡粒子を容易に得ることができる。
発泡性粒子を低圧下に放出する際には、密閉容器内の内容物の温度(発泡温度)は、TPU粒子の融解温度Tmに対して、(Tm−60℃)以上とすることが好ましく、より好ましくは(Tm−50℃)〜(Tm−10℃)であり、さらに好ましくは(Tm−40℃)〜(Tm−20℃)である。
このような温度範囲で発泡性粒子を発泡させることにより、気泡構造が良好な発泡粒子を容易に得ることができる。
密閉容器から発泡性粒子を放出する際は、得られる発泡粒子の見掛け密度のばらつきや気泡径のばらつきを小さくするために、二酸化炭素や空気等の気体で背圧をかけることにより、開放した前記容器内の圧力を一定に保持する、あるいは、徐々に高めるようにすることが好ましい。
通常、着色顔料を含むTPUを上記見掛け密度の範囲に発泡させると、得られる発泡粒子の気泡が細かくなりやすく、また、表面膜厚みが薄くなる傾向にある。後述する製造条件を採用することにより、具体的には、気泡調整剤の種類及び配合量、発泡剤の種類及び配合量(含浸圧力)、発泡温度を調整することにより、気泡が過度に微細化すること、表面膜厚みが過度に薄くなることを抑制することができる。以下、これらの発泡条件について説明する。
TPU粒子への気泡調整剤の配合量をTPU100質量部に対して0.2質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以下である。一方、気泡調整剤の配合量が少なすぎると気泡径が不均一になりやすいことから、その配合量は0.005質量部以上とすることが好ましく、より好ましくは0.01質量部以上である。また、分散媒として水を用いる場合には、発泡粒子の気泡のバラツキを抑制するという観点から、気泡調整剤としてはタルクや炭酸カルシウムなどの比較的吸水性の低い無機粉体を用いることが好ましく、特にタルクが好ましい。気泡調整剤としてタルクを用いる場合、50%体積平均粒子径(d50)0.5〜30μmのタルクを用いることが好ましく、より好ましくは1〜15μmである。
発泡粒子の気泡の微細化を抑制するためには、発泡剤として、二酸化炭素を用いることが好ましい。また、発泡剤として二酸化炭素を使用することにより、製造設備において、従来のようにブタン等の可燃性の炭化水素を使用する場合のような防爆対策は不要であるため、安全性を確保することが容易であり、設備投資コストを低減することができる。
なお、発泡剤としては、二酸化炭素を用いることが好ましいが、その他の物理発泡剤や化学発泡剤を併用することもできる。この場合、発泡剤中の二酸化炭素の配合比率は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
発泡剤として二酸化炭素を使用する場合、得られる発泡粒子の気泡径を過度に微細化させないという観点から、含浸圧力を7.0MPa(G)以下とすることが好ましく、より好ましくは5.0MPa(G)以下であり、さらに好ましくは4.0MPa(G)である。
発泡時の密閉容器内の圧力、すなわち発泡圧力は3.5MPa(G)よりも低くすることが好ましく、より好ましくは3.2MPa(G)以下である。発泡圧力を前記範囲とすることにより、得られる発泡粒子の平均気泡径及び最表面層の平均厚みを前記範囲内に調整することが容易となる。一方、発泡粒子の気泡の均一性の観点から、発泡圧力を2.5MPa(G)よりも高くすることが好ましく、より好ましくは2.8MPa(G)以上である。
発泡後に発泡粒子に収縮が生じてその体積が減少した場合には、発泡粒子を空気で加圧処理し、その後、大気圧下にて体積を回復させることができる。具体的には、得られた発泡粒子を密閉容器内に入れ、0〜60℃の温度にて、0.05〜0.6MPa(G)の圧縮空気により、1〜24時間加圧処理した後、放圧し、30〜80℃の大気圧下で12〜72時間放置することが好ましい。この操作により収縮した発泡粒子の体積を回復させることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
実施例で用いた原材料を以下に示す。
[原材料]
・TPU:エーテル系熱可塑性ポリウレタン(コベストロ社製、グレード名:Desmopan9385AU、MFR[190℃・荷重10kg]:7g/10分、タイプAデュロメータ硬さ:86、融解温度:164℃)
・気泡調整剤:タルク(林化成株式会社製、製品名KHP−125B、d50:7μm)
・着色剤:青色顔料
ここで、原料TPUの融解温度、MFR、タイプAデュロメータ硬さは、以下の様にして測定した。
実施例1
実施例で用いた原材料を以下に示す。
[原材料]
・TPU:エーテル系熱可塑性ポリウレタン(コベストロ社製、グレード名:Desmopan9385AU、MFR[190℃・荷重10kg]:7g/10分、タイプAデュロメータ硬さ:86、融解温度:164℃)
・気泡調整剤:タルク(林化成株式会社製、製品名KHP−125B、d50:7μm)
・着色剤:青色顔料
ここで、原料TPUの融解温度、MFR、タイプAデュロメータ硬さは、以下の様にして測定した。
(1)融解温度
JIS K7121−1987に基づき、試験片の状態調節として「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定法により、加熱速度10℃/分で昇温して得られるDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として、融解温度を求めた。ただし、試験片の状態調節時に、試験片を融解ピーク終了時より約90℃高い温度まで加熱溶融させた。
(2)メトロフローレート(MFR)
JIS K7210−2:2014に基づき、温度190℃、荷重10kgの条件にてMFRを測定した。原料TPUを80℃で4時間真空乾燥し、水分量を500ppm以下としたものを測定試料として用いた。
(3)タイプAデュロメータ硬さ
ASTM D2240に準拠してタイプAデュロメータ硬度計(高分子計器株式会社製)等を用いて、温度23℃で、相対湿度50%で、サンプルの平坦面で測定した。
JIS K7121−1987に基づき、試験片の状態調節として「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定法により、加熱速度10℃/分で昇温して得られるDSC曲線の融解ピークのピーク頂点温度として、融解温度を求めた。ただし、試験片の状態調節時に、試験片を融解ピーク終了時より約90℃高い温度まで加熱溶融させた。
(2)メトロフローレート(MFR)
JIS K7210−2:2014に基づき、温度190℃、荷重10kgの条件にてMFRを測定した。原料TPUを80℃で4時間真空乾燥し、水分量を500ppm以下としたものを測定試料として用いた。
(3)タイプAデュロメータ硬さ
ASTM D2240に準拠してタイプAデュロメータ硬度計(高分子計器株式会社製)等を用いて、温度23℃で、相対湿度50%で、サンプルの平坦面で測定した。
[TPU粒子の製造]
TPUと、該TPU100質量部に対して、気泡調整剤としてのタルク0.1質量部と、青色顔料1質量部とを内径26mmの二軸押出機に供給し、これらを加熱混練して、溶融TPU組成物とした。該溶融TPU組成物を押出機先端部に付設された口金の小孔から水中に押出すと共に切断して、平均重量10mg、L/D=1.0のTPU粒子を得た。
TPUと、該TPU100質量部に対して、気泡調整剤としてのタルク0.1質量部と、青色顔料1質量部とを内径26mmの二軸押出機に供給し、これらを加熱混練して、溶融TPU組成物とした。該溶融TPU組成物を押出機先端部に付設された口金の小孔から水中に押出すと共に切断して、平均重量10mg、L/D=1.0のTPU粒子を得た。
[発泡粒子の作製]
上記で得られたTPU粒子1kgと、分散媒として水3リットルとを、撹拌機を備えた5リットルのオートクレーブ内に仕込み、さらに、TPU粒子100質量部に対して、分散剤としてカオリン0.3質量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.004質量部とを分散媒に添加した。
オートクレーブ内の内容物を撹拌しながら昇温し、130℃到達後該オートクレーブ内に発泡剤として二酸化炭素を3.5MPa(G)となるまで圧入し、3.5MPa(G)にて、130℃で15分間保持した。その後、窒素にて背圧を加えて容器内圧力(発泡圧力)が3.5MPa(G)一定になるように調整しつつ、発泡温度130℃にて、発泡剤が含浸しているTPU粒子を分散媒とともに大気圧下に放出して、TPU発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子を60℃で12時間乾燥した後、密閉容器内に入れ、30℃で、0.3MPa(G)の圧縮空気により12時間加圧処理した後、放圧して40℃の大気圧下で24時間放置して、見掛け密度149kg/m3、平均気泡径108μm、平均表面膜厚14μm、表面膜厚の変動係数0.54、発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの融解温度Tm164℃、MFR29g/10分の青色発泡粒子を得た。
青色発泡粒子の平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数の測定方法を以下に示す。なお、これらの測定は、得られた発泡粒子を相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置して状態調節した後に行なった。なお、発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの融解温度TmとMFRは、TPU発泡粒子を測定試料として用いた以外は、前記原料TPUと同様にして測定した。
上記で得られたTPU粒子1kgと、分散媒として水3リットルとを、撹拌機を備えた5リットルのオートクレーブ内に仕込み、さらに、TPU粒子100質量部に対して、分散剤としてカオリン0.3質量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.004質量部とを分散媒に添加した。
オートクレーブ内の内容物を撹拌しながら昇温し、130℃到達後該オートクレーブ内に発泡剤として二酸化炭素を3.5MPa(G)となるまで圧入し、3.5MPa(G)にて、130℃で15分間保持した。その後、窒素にて背圧を加えて容器内圧力(発泡圧力)が3.5MPa(G)一定になるように調整しつつ、発泡温度130℃にて、発泡剤が含浸しているTPU粒子を分散媒とともに大気圧下に放出して、TPU発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子を60℃で12時間乾燥した後、密閉容器内に入れ、30℃で、0.3MPa(G)の圧縮空気により12時間加圧処理した後、放圧して40℃の大気圧下で24時間放置して、見掛け密度149kg/m3、平均気泡径108μm、平均表面膜厚14μm、表面膜厚の変動係数0.54、発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの融解温度Tm164℃、MFR29g/10分の青色発泡粒子を得た。
青色発泡粒子の平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数の測定方法を以下に示す。なお、これらの測定は、得られた発泡粒子を相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置して状態調節した後に行なった。なお、発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの融解温度TmとMFRは、TPU発泡粒子を測定試料として用いた以外は、前記原料TPUと同様にして測定した。
(発泡粒子の平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数)
得られた発泡粒子群から無作為に50個の発泡粒子を選択した。発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割した。切断された各発泡粒子の一方の断面において、発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引いた。
各線分と交差する気泡数をそれぞれ計測し、4本の線分の合計長さを線分と交差する全気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、各発泡粒子の平均気泡径を求めた。そしてこれらの値を算術平均することにより発泡粒子の平均気泡径を求めた。
線分上において、発泡粒子の最表面から発泡粒子の最外に位置する気泡までの長さ(最表面層の厚み)を測定し、それらの値を算術平均することにより、各発泡粒子の最表面層の平均厚みを求めた。そして、これらの値を算術平均することにより発泡粒子の平均表面膜厚を求めた。
さらに、表面膜厚の標準偏差を求め、標準偏差を平均表面膜厚で割算することにより、表面膜厚の変動係数を求めた。
得られた発泡粒子群から無作為に50個の発泡粒子を選択した。発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割した。切断された各発泡粒子の一方の断面において、発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引いた。
各線分と交差する気泡数をそれぞれ計測し、4本の線分の合計長さを線分と交差する全気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、各発泡粒子の平均気泡径を求めた。そしてこれらの値を算術平均することにより発泡粒子の平均気泡径を求めた。
線分上において、発泡粒子の最表面から発泡粒子の最外に位置する気泡までの長さ(最表面層の厚み)を測定し、それらの値を算術平均することにより、各発泡粒子の最表面層の平均厚みを求めた。そして、これらの値を算術平均することにより発泡粒子の平均表面膜厚を求めた。
さらに、表面膜厚の標準偏差を求め、標準偏差を平均表面膜厚で割算することにより、表面膜厚の変動係数を求めた。
[発泡粒子成形体の作製]
上記で作製した発泡粒子を、縦200mm、横250mm、厚さ20mmの成形型のキャビティに充填し、0.28MPa(G)に到達するまでスチームで加熱した。金型内における最高スチーム温度Taは142℃であった。そして、冷却後、成形型から成形体を取り出し、板状の発泡粒子成形体を得た。
得られた成形体について、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示し、得られた成形体の断面写真を図2に示す。また、測定方法及び評価方法を以下に示す。
上記で作製した発泡粒子を、縦200mm、横250mm、厚さ20mmの成形型のキャビティに充填し、0.28MPa(G)に到達するまでスチームで加熱した。金型内における最高スチーム温度Taは142℃であった。そして、冷却後、成形型から成形体を取り出し、板状の発泡粒子成形体を得た。
得られた成形体について、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示し、得られた成形体の断面写真を図2に示す。また、測定方法及び評価方法を以下に示す。
(発泡粒子成形体の見かけ密度)
発泡粒子成形体をエタノール中に水没させ、その水位上昇分から発泡粒子成形体の見掛けの体積V2を求め、発泡粒子成形体の質量W2を割り算(W2/V2)し、単位を[g/cm3]に換算することにより、発泡粒子成形体の見掛け密度を求めた。
(発泡粒子成形体の平均気泡径)
発泡粒子成形体の長手方向中央付近を幅方向に沿って切断して切断面を形成した。一方の切断面の中央部付近に、幅方向に沿って30mmの線分を引いた。該線分と交差する気泡数を計測し、線分の長さを線分と交差する気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、発泡粒子成形体の平均気泡径を求めた。
(発泡粒子成形体の平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数)
発泡粒子成形体の長手方向を6分割する位置で幅方向に沿って切断して5つの切断面を形成した。各切断面の無作為に選択した10箇所において、図1に示すように、発泡粒子成形体の最表面から成形体の最外に位置する気泡までの長さ(表面膜厚み)を測定し、それらの値を算術平均することにより発泡粒子成形体の平均表面膜厚みを求めた。また、表面膜厚みの標準偏差を求め、該標準偏差を成形体の平均表面膜厚で割算することにより、表面膜厚の変動係数を求めた。
発泡粒子成形体をエタノール中に水没させ、その水位上昇分から発泡粒子成形体の見掛けの体積V2を求め、発泡粒子成形体の質量W2を割り算(W2/V2)し、単位を[g/cm3]に換算することにより、発泡粒子成形体の見掛け密度を求めた。
(発泡粒子成形体の平均気泡径)
発泡粒子成形体の長手方向中央付近を幅方向に沿って切断して切断面を形成した。一方の切断面の中央部付近に、幅方向に沿って30mmの線分を引いた。該線分と交差する気泡数を計測し、線分の長さを線分と交差する気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、発泡粒子成形体の平均気泡径を求めた。
(発泡粒子成形体の平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数)
発泡粒子成形体の長手方向を6分割する位置で幅方向に沿って切断して5つの切断面を形成した。各切断面の無作為に選択した10箇所において、図1に示すように、発泡粒子成形体の最表面から成形体の最外に位置する気泡までの長さ(表面膜厚み)を測定し、それらの値を算術平均することにより発泡粒子成形体の平均表面膜厚みを求めた。また、表面膜厚みの標準偏差を求め、該標準偏差を成形体の平均表面膜厚で割算することにより、表面膜厚の変動係数を求めた。
(成形体の発色性)
成形体を目視観察し、以下の通り評価した。
○:発色性に優れる
△:発色性に劣る
×:発色性に著しく劣る
(成形体の色ムラ)
成形体を目視観察し、以下の通り評価した。
◎:色ムラが殆ど無い
○:色ムラが若干あるが問題ないレベル
×:色ムラが著しい
(発泡粒子間隙)
成形体を目視観察し、以下の通り評価した。
◎:発泡粒子間隙が殆ど無い
○:小さな発泡粒子間隙があるが問題ないレベル
×:大きな発泡粒子間隙がある
成形体を目視観察し、以下の通り評価した。
○:発色性に優れる
△:発色性に劣る
×:発色性に著しく劣る
(成形体の色ムラ)
成形体を目視観察し、以下の通り評価した。
◎:色ムラが殆ど無い
○:色ムラが若干あるが問題ないレベル
×:色ムラが著しい
(発泡粒子間隙)
成形体を目視観察し、以下の通り評価した。
◎:発泡粒子間隙が殆ど無い
○:小さな発泡粒子間隙があるが問題ないレベル
×:大きな発泡粒子間隙がある
比較例1
実施例1で製造した青色発泡粒子の成形時の成形スチーム圧力を0.23MPa(G)とした以外は実施例1と同様に製造し、発泡粒子成形体を得たところ、金型内の最高スチーム温度Taは137℃であった。
得られた発泡粒子成形体について、実施例1と同様にして、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示し、得られた成形体の断面写真を図3に示す。
実施例1で製造した青色発泡粒子の成形時の成形スチーム圧力を0.23MPa(G)とした以外は実施例1と同様に製造し、発泡粒子成形体を得たところ、金型内の最高スチーム温度Taは137℃であった。
得られた発泡粒子成形体について、実施例1と同様にして、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示し、得られた成形体の断面写真を図3に示す。
実施例2
着色剤を赤色顔料1質量部とし、発泡温度を128℃とした以外は実施例1と同様にして赤色発泡粒子を製造し[融解温度Tm164℃、MFR28g/10分]、成形スチーム圧力を0.35MPa(G)として発泡粒子成形体を得た。成形時の金型内の最高スチーム温度Taは148℃であった。
得られた発泡粒子成形体について、実施例1と同様にして、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示し、得られた成形体の断面写真を図4に示す。
着色剤を赤色顔料1質量部とし、発泡温度を128℃とした以外は実施例1と同様にして赤色発泡粒子を製造し[融解温度Tm164℃、MFR28g/10分]、成形スチーム圧力を0.35MPa(G)として発泡粒子成形体を得た。成形時の金型内の最高スチーム温度Taは148℃であった。
得られた発泡粒子成形体について、実施例1と同様にして、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示し、得られた成形体の断面写真を図4に示す。
比較例2
実施例2で製造した赤色発泡粒子の成形時の成形スチーム圧力を0.25MPa(G)とした以外は実施例2と同様に製造し、発泡粒子成形体を得たところ、金型内の最高スチーム温度Taは139℃であった。
得られた発泡粒子成形体について、実施例1と同様にして、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示し、得られた成形体の断面写真を図5に示す。
実施例2で製造した赤色発泡粒子の成形時の成形スチーム圧力を0.25MPa(G)とした以外は実施例2と同様に製造し、発泡粒子成形体を得たところ、金型内の最高スチーム温度Taは139℃であった。
得られた発泡粒子成形体について、実施例1と同様にして、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示し、得られた成形体の断面写真を図5に示す。
実施例3
実施例1において、発泡剤含浸温度135℃、含浸圧力2.5MPa(G)、発泡温度を135℃、発泡圧力を2.5MPa(G)とした以外は同様にして青色発泡粒子を作成し、成形スチーム圧力を0.20MPa(G)として発泡粒子成形体を得た。金型内の最高スチーム温度Taは134℃であった。
得られた発泡粒子成形体について、実施例1と同様にして、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示す。
実施例1において、発泡剤含浸温度135℃、含浸圧力2.5MPa(G)、発泡温度を135℃、発泡圧力を2.5MPa(G)とした以外は同様にして青色発泡粒子を作成し、成形スチーム圧力を0.20MPa(G)として発泡粒子成形体を得た。金型内の最高スチーム温度Taは134℃であった。
得られた発泡粒子成形体について、実施例1と同様にして、見かけ密度、平均気泡径、平均表面膜厚及び表面膜厚の変動係数を測定し、発色性、色ムラ、発泡粒子間隙を評価した。それらの結果を表1に示す。
表1に示した評価結果から分かるように、平均表面膜厚が20μm以上の実施例1、2及び3の発泡粒子成形体が、発色性が良好で、色ムラが無く、発泡粒子間隙が無いため意匠性に優れるのに対して、平均表面膜厚が20μm未満である比較例1、2の発泡粒子成形体は、発色性に劣り、色ムラ、発泡粒子間隙が残るなど、意匠性に劣るものであった。
実施例1、2は、第1のTPU発泡粒子成形体の製造方法に対応し、実施例3は、第2のTPU発泡粒子成形体の製造方法に対応する。
実施例1、2は、第1のTPU発泡粒子成形体の製造方法に対応し、実施例3は、第2のTPU発泡粒子成形体の製造方法に対応する。
1は、発泡粒子成形体の表面
2は、気泡
3は、発泡粒子成形体表面と気泡外面の距離
2は、気泡
3は、発泡粒子成形体表面と気泡外面の距離
Claims (7)
- 着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子の型内成形体であって、
該成形体の平均表面膜厚が20μm以上であることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体。 - 前記成形体の表面膜厚の変動係数が0.8以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体。
- 着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を製造する方法であって、
前記発泡粒子の平均表面膜厚が15μm未満であり、
型内成形時に、前記発泡粒子を構成する熱可塑性ポリウレタンの(融解温度Tm−25)℃を超え融解温度Tm℃以下の温度のスチームで発泡粒子を加熱して、発泡粒子成形体の平均表面膜厚を20μm以上とすることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。 - 前記発泡粒子の平均気泡径が150μm未満である請求項3に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
- 前記発泡粒子の190℃、荷重10kgにおけるメルトフローレイトが5〜40g/10分であることを特徴とする請求項3又は4に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
- 着色剤を含む熱可塑性ポリウレタン発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を製造する方法であって、
前記発泡粒子の平均表面膜厚が15μm以上であることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。 - 前記発泡粒子の平均気泡径が150μm以上である請求項6に記載の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子成形体の製造方法。
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