JP2018090749A - ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体 - Google Patents

ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】成形体の物性を損なうことなく、外観が良好なウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体及びそれを用いたソールを提供する。【解決手段】本発明は、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子の型内成形体であり、該成形体の表面の少なくとも一部には、発泡粒子が溶融し、硬化した溶融硬化層が形成されており、該溶融硬化層の平均厚みが0.05mm以上0.4mm以下である。また、本発明のソールは本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体を用いたものである。【選択図】なし

Description

本発明は、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体に関する。
一般にウレタン系熱可塑性エラストマーは、耐摩耗性や耐寒性、反発弾性に優れている。また、ウレタン系熱可塑性エラストマーは、機械的強度も高いため、エンジニアリングエラストマーとして位置付けられ、生活用品、電化製品部品、スポーツ用品、自動車用部品、建築土木分野の防振材等の様々な用途で使用され始めている。
このウレタン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体は、耐摩耗性や反発弾性等の優れた特性を有し、軽量化や柔軟化を図ることができ、発泡成形体として必要な基本的な物性を満たしているため、今後、スポーツ用品、自動車用部材等でのさらなる用途展開が期待される。発泡粒子の型内成形によって、金型形状に合わせた様々な形状の発泡粒子成形体が得られることから、近年、ウレタン系熱可塑性エラストマーの発泡粒子についても型内成形によって、ウレタン系熱可塑性エラストマーの発泡粒子成形体を作製することが求められている。
ウレタン系熱可塑性エラストマーの発泡粒子成形体については、例えば、特許文献1に開示されている。
米国特許出願公開第2012/0329892号明細書
ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子は反発力が強いものであるが、型内成形時の二次発泡性の制御が難しく、加熱による物性低下が起こり易い。このため、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子の型内成形は難しかった。
また、近年、発泡粒子成形体の靴底(ソール)等への用途展開に伴い、表面の平滑性や意匠性に優れる、外観が良好な成形体が求められている。しかしながら、従来のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体は前記のように型内成形が難しいものであるため、成形体の表面に、発泡粒子の形状に起因する立体的な凹凸形状(亀甲模様)や、発泡粒子間に生じる微細なボイドが現れる場合があり、その外観については改善の余地を残すものであった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、成形体の物性を損なうことなく、外観が良好なウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[10]を提供する。
[1]ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子の型内成形体であって、該成形体の表面の少なくとも一部には、発泡粒子が溶融し、硬化した溶融硬化層が形成されており、該溶融硬化層の平均厚みが0.05mm以上0.4mm以下であることを特徴とする、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
[2]上記成形体の見掛け密度が100g/L以上350g/L以下であることを特徴とする、[1]に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
[3]上記成形体を構成する発泡粒子が、タイプAデュロメータ硬さが95以下のウレタン系熱可塑性エラストマーを基材とする発泡粒子であることを特徴とする、[1]または[2]に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
[4]上記溶融硬化層の厚みの変動係数が30%以下であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
[5]上記成形体の少なくとも一面に上記溶融硬化層が形成されていることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
[6]上記成形体が着色剤を含むことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
[7]上記溶融硬化層の表面に凹凸模様による加飾面が形成されていることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
[8]上記溶融硬化層の表面に平滑面が形成されていることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
[9][1]〜[8]のいずれか1つに記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体を用いたソール。
[10]上記ソールの少なくとも側面に上記溶融硬化層が形成されていることを特徴とする、[9]に記載のソール。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体によれば、成形体の表面に特定厚みの溶融硬化層を形成することで、成形体の物性を損なうことなく、外観が良好なウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体を得ることができる。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体(以下単に「発泡粒子成形体」又は「成形体」ともいう。)は、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子を型内成形することにより得られるものであり、成形体の表面の少なくとも一部に、発泡粒子が溶融し、硬化した溶融硬化層が特定の平均厚みで形成されているものである。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体に形成された溶融硬化層の平均厚みは0.05mm以上0.4mm以下である。溶融硬化層の平均厚みを上記範囲とすることで、成形体内部の融着状態を維持したまま、成形体表面に発泡粒子の形状に起因する立体的な凹凸形状や微細なボイドが発生することを抑制でき、外観が良好な成形体を得ることができる。また、溶融硬化層の平均厚みを上記範囲とすることで、溶融硬化層が形成されていない成形体と比べて圧縮物性等の機械的物性が大きく変化することがないため、所望とする物性を有する成形体を得ることができる。
立体的な凹凸形状や微細なボイドの発生を抑制する観点から、溶融硬化層の平均厚みは0.07mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.10mm以上、さらに好ましくは0.12mm以上、特に好ましくは0.15mm以上である。また、成形体の機械的物性を制御する観点から、溶融硬化層の平均厚みは0.35mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.32mm以下、特に好ましくは0.30mm未満である。
また、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体における溶融硬化層の厚みの変動係数は、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、溶融硬化層が均質なものとなり、成形体の表面性や意匠性をより向上させることができる。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の溶融硬化層の平均厚みは次のようにして測定される値である。まず、発泡粒子成形体を、溶融硬化層を通るように、溶融硬化層が形成された面に対して略垂直に切断し、その切断面の拡大写真を撮影する。次に、切断面写真において、発泡粒子成形体の最表面から成形体の最外に位置する気泡(ただし、溶融硬化層が形成された面に対して垂直方向の気泡径が、成形体の平均気泡径の1/10以下となる気泡については無視するものとする。)までの、溶融硬化層が形成された面に対して垂直方向の長さ(溶融硬化層の厚み)を等間隔に10点以上測定する。この溶融硬化層の厚みの測定を、5箇所以上の異なる切断面における拡大写真に対して行い、計50点以上の溶融硬化層の厚みの値を算術平均することにより、溶融硬化層の平均厚みが求められる。
また、溶融硬化層の厚みの変動係数は次のようにして測定される値である。まず、測定した溶融硬化層の厚みの標準偏差を求め、該標準偏差を溶融硬化層の平均厚みで割算し、さらに100をかけ算することにより、溶融硬化層の厚みの変動係数(%)が求められる。
また、厚みの標準偏差Vは下記式によって求められる。
V={Σ(T−Tav/(n−1)}1/2 (1)
(1)式においてTは前記50点以上の個々の厚さの測定値を、Tavは前記溶融硬化層の平均厚みを、nは測定数をそれぞれ表し、Σは個々の測定値について計算した(T−Tavを全て足し算することを示す。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の全表面積に対する溶融硬化層の表面積の割合は、成形体の表面性や意匠性をより向上させる観点から、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。さらに、同様な観点から、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の少なくとも一面に上記溶融硬化層が形成されていることが好ましい。なお、一面とは、成形体の任意の立面図や平面図における、ある平面の略全面を意味する。
また、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の溶融硬化層の表面にはシボ模様などによる微細な凹凸模様による加飾面を設けることができる。該加飾面を設けることで、成形体表面の意匠性をさらに向上させることができる。また、該加飾面を設けることで、発泡粒子の形状に起因する立体的な凹凸形状をより表面に現れにくくすることができる。
また、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の溶融硬化層の表面を平滑な面にすることで、成形体表面の意匠性を高めることもできる。溶融硬化層の表面を平滑な面にする場合においては、溶融硬化層における表面ボイドの面積割合が概ね15%以下であることが好ましく、より好ましくは12%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
表面ボイドの面積割合は次のように測定することができる。まず、発泡粒子成形体の溶融硬化層が形成された面の一定の範囲(例えば、24mm×18mm)の表面形状を、3D形状測定機(例えば、株式会社キーエンス製、型番:VR−3200)を用いて測定する。上記範囲の表面形状を、溶融硬化層が形成された面において無作為に5カ所以上測定する。測定したそれぞれの範囲について、発泡粒子成形体の溶融硬化層表面の平均高さを基準として、その高さより0.1mm以上低くなっている部分をボイドと判定し、測定範囲に存在するボイドの合計面積をそれぞれ算出する。5カ所以上の測定箇所のボイドの合計面積の算術平均値[mm]を測定面積で割算することにより、表面ボイドの面積割合(%)を求める。なお、表面ボイドの面積割合が小さければ小さいほど、発泡粒子成形体の溶融硬化層にボイド(発泡粒子間の間隙)が少なく平滑であることになり、発泡粒子成形体の表面外観が優れていることになる。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体は顔料や染料等の着色剤を含むことができる。この場合、より意匠性に優れる成形体を得ることができる。特に、溶融硬化層の厚みの変動係数が小さく、溶融硬化層が均質に形成されている場合には、表面の色ムラが少なくなり、より外観に優れた成形体とすることができる。さらに、溶融硬化層に凹凸模様による加飾面を形成することで、成形体により高度な意匠性を付与することができる。
着色剤を使用する場合、成形体中の着色剤の含有量は、使用する着色剤等にもよるが、成形体を構成するウレタン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して概ね0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
なお、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマーと共に着色剤を押出機内に添加、混練することによって着色剤を含有するウレタン系熱可塑性エラストマーを作製し、これを用いて作製した発泡粒子を型内成形することにより、着色剤を含有した成形体を得ることができる。
また、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の見掛け密度は、好ましくは100g/L以上350g/L以下であり、より好ましくは125g/L以上320g/L以下であり、さらに好ましくは150g/L以上300g/L以下であり、特に好ましくは150g/L以上250g/L以下である。成形体の見掛け密度を上記範囲にすることにより、発泡粒子を型内成形して作製した発泡粒子成形体の軽量性、柔軟性及び反発性をさらに良好にすることができる。
発泡粒子成形体の見掛け密度(g/L)は、成形体の質量W(g)を体積V(L)で除すること(W/V)で求められる。また、発泡粒子成形体の体積Vは、水没法により測定することができる。
また、圧縮特性等の機械的物性の観点から、発泡粒子成形体の独立気泡率は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。
発泡粒子成形体の独立気泡率は、ASTM−D2856−70に記載されている手順Cに準じ、東芝・ベックマン株式会社製空気比較式比重計930により測定することができる。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の平均気泡径は、50μm以上300μm以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、反発弾性率等の物性に優れる、良好な成形体を得ることができる。また、外観が良好な成形体を得ることができる。
上記観点から、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の平均気泡径は、60μm以上280μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以上250μm以下である。
前記成形体の平均気泡径は、ASTM D3576−77に準拠し、次のようにして測定される値である。まず、発泡粒子成形体を切断して切断面を形成する。一方の切断面において、任意の方向に30mmの線分を引く。該線分と交差する気泡数を計測し、線分の長さを線分と交差する気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、発泡粒子成形体の平均気泡径を求める。
発泡粒子同士の融着性の観点から、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の最大引張応力は、0.70MPa以上であることが好ましく、0.75MPa以上であることがより好ましく、0.80MPa以上であることがさらに好ましい。最大引張応力の上限は特に限定されないが、概ね1MPa程度である。また、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の引張破壊伸びは、80%以上が好ましく、100%以上がより好ましく、150%以上がさらに好ましい。引張破壊伸びが上記範囲であると、引張特性に優れるため上記用途に好適なものとなる。
なお、発泡粒子成形体の最大引張応力及び引張破壊伸びは、JIS K6767:1999に基づいて、以下のように求めることができる。まず、発泡粒子成形体からバーチカルスライサーを用いて、全ての面が切り出し面となるよう120mm×25mm×10mmに切り出し、切り出し片を作製する。次に、切り出し片を、糸鋸を用いてダンベル状1号形(測定部の長さ40mm×幅10mm×厚み10mm)に切り抜き、試験片とする。試験片を500mm/分の試験速度で引張試験を実施し、引張時の最大引張応力及び引張破壊伸びを測定する。引張破壊伸びは、試験片の引張破壊時における長さL〔mm〕の値を下記(2)式により求める。
引張破壊伸び〔%〕=L/40×100 (2)
該発泡粒子成形体の50%歪み時における圧縮応力は、700kPa以下であることが好ましく、より好ましくは600kPa以下、さらに好ましくは550kPa以下である。該圧縮応力を上記範囲とすることで、シートクッション材、スポーツパッド材、靴底材等の用途に好適な発泡粒子成形体となる。なお、発泡粒子成形体の50%歪み時における圧縮応力の測定は、JISK6767:1999に基づき、発泡粒子成形体から縦50mm×横50mm×厚み25mm(但し、発泡粒子成形体の厚みが25mm未満の場合は複数枚を積層して厚みを25mmとする。)の溶融硬化層を有する直方体形状の試験片を切り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で圧縮速度を10mm/分とし、50%歪み時の荷重を求め、これを試験片の受圧面積で除して算出する。
該発泡粒子成形体の反発弾性率は、50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。一方、上限は概ね90%程度である。反発弾性率が上記範囲であると反発性に優れることから、シートクッション材、スポーツパッド材、靴底材等の用途に好適に使用することができる。なお、発泡粒子成形体の反発弾性率は、発泡粒子成形体から、縦50mm×横50mm×厚み40mm(但し、発泡粒子成形体の厚みが40mm未満の場合は複数枚を積層して厚みを40mmとする。)の試験片を、平面(50mm×50mm)の少なくとも一方の面にスキン面を有すると共に、少なくとも一部に溶融硬化層を有するように切り出し、平面上に試験片のスキン面が上になるように置き、254.6gの鉄球を600mmの高さから落下させ落球試験を行い、試験片から跳ね返った鉄球の跳ね返り高さH〔mm〕を測定し、下記(3)式にて反発弾性率を求める。なお、鉄球を受けるスキン面は溶融硬化層が形成された面であってもよい。
反発弾性率〔%〕=H/600×100 (3)
また、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー成形体は、反発弾性率等の優れた物性を有するため、ソール用途に好ましく用いることができる。特に、成形体を用いたソールの側面に上記溶融硬化層が形成されることで、ソールとしての優れた物性を有すると共に、外観にも優れたものとなる。
次に、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の製造に用いられるウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子について説明する。
本発明の発泡粒子成形体に使用されるウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子は、ウレタン系熱可塑性エラストマーを押出機に供給し、発泡剤、気泡調整剤と共に押出機内で混練して発泡性溶融物とし、該溶融物をストランドダイから押出し得られた発泡ストランドを切断することにより発泡粒子を得る方法、或いは、ウレタン系熱可塑性エラストマーを押出機に供給し、気泡調整剤と共に押出機内で混練して溶融物とし、該溶融物をストランドダイから押出して、ストランドカット方式、或いはアンダーウォーターカット方式にてウレタン系熱可塑性エラストマー粒子を製造し、耐圧容器を使用して該エラストマー粒子を発泡させる方法等により得ることができる。
本発明の発泡粒子成形体において発泡粒子の基材として使用されるウレタン系熱可塑性エラストマーには、エーテル基、エステル基、カーボネイト基等を含む屈曲性の高分子からなるソフトセグメントと、短鎖グリコール等の鎖延長剤とジイソシアネートとがウレタン結合してなるハードセグメントとが、ブロック共重合した構造を有しており、主にエステル系及びエーテル系のタイプがある。なお、ウレタン系熱可塑性エラストマーは、得られる発泡粒子成形体に求められる物性に応じてエーテル系のものやエステル系のものを適宜選択することができる。なお、エステル系のものは、機械的強度がより高く、型内成形時に他の樹脂材料との接着性にも優れているという利点を有していることから好ましい。また、エステル系のものは、発泡剤として好適に使用される二酸化炭素との親和性がよく、発泡粒子の発泡倍率を高くしやすいという観点からも好ましい。
本発明の発泡粒子成形体にて使用される発泡粒子の基材であるウレタン系熱可塑性エラストマーのメルトフローレイトは、好ましくは40g/10分以下であり、より好ましくは0.1g/10分以上30g/10分以下であり、さらに好ましくは0.3g/10分以上20g/10分以下である。メルトフローレイトが低すぎると、発泡粒子の型内成形時の融着性が低くなるおそれがある。一方、メルトフローレイトが高すぎると、発泡粒子を型内成形して得られた発泡粒子成形体の回復性が低下するおそれがある。なお、このメルトフローレイトは、JIS K7210−1:2014に準拠して、温度190℃、荷重10kgの条件で測定される値である。
また、ウレタン系熱可塑性エラストマーのタイプAデュロメータ硬さは、95以下であることが好ましく、65以上90以下であることがより好ましく、75以上90以下であることがさらに好ましく、85以上90以下であることが特に好ましい。該タイプAデュロメータ硬さが低すぎると、発泡粒子が収縮したり、発泡粒子を型内成形して得られた発泡粒子成形体の回復性が悪くなったりして所望の物性が得られなくなるおそれがある。一方、該タイプAデュロメータ硬さが高すぎると、発泡粒子成形体の柔軟性が悪くなり所望の物性が得られなくなるおそれがある。なお、タイプAデュロメータ硬さは、ASTM D2240に基づいて測定された値である。具体的には、デジタル硬度計(株式会社東洋精機製作所製)等の市販のショア硬度計を用いて、温度23℃、相対湿度50%の条件下で試験片の平坦面ついて測定される値である。
また、ウレタン系熱可塑性エラストマーの密度は、好ましくは1000g/L以上1300g/L以下であり、より好ましくは1050g/L以上1250g/L以下である。なお、該密度は、ASTM D792に基づく値である。
また、該エラストマーの融点は130℃以上190℃以下であることが好ましく、140℃以上180℃以下であることがより好ましく、150℃以上170℃以下であることがさらに好ましい。なお、該融点は、JIS K7121(1987年)に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、10℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで昇温した後に、10℃/分の冷却速度で30℃まで降温し、再度10℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで昇温した際に得られるDSC曲線により定まる吸熱ピークの頂点温度から求めることができる。なお、上記2回目のDSC曲線に複数の吸熱ピークが表れる場合は、最も面積の大きな吸熱ピークの頂点温度を融点とする。
発泡粒子の基材であるウレタン系熱可塑性エラストマーには、本発明の目的効果を阻害しない範囲において着色剤以外の添加剤を添加することもできる。該添加剤としては、気泡調整剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、金属不活性剤、導電性フィラー等が挙げられる。気泡調整剤の具体例としては、ホウ酸亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、水酸化アルミニウム、シリカ、ゼオライト、カーボン等の無機系粉体やリン酸系核剤、フェノール系核剤、アミン系核剤、ポリフッ化エチレン系樹脂粉末等の有機系粉体が挙げられる。好ましい気泡調整剤はタルクである。これらの添加剤は、合計でオレフィン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。なお、これらの添加剤は、通常、必要最小限の量で使用される。また、これらの添加剤は、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマーと共に押出機内に添加、混練することによって含有させることができる。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の製造に用いられるウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子の好適な製造例について記載する。え上記発泡粒子は、例えば、以下に説明する工程(A)、工程(B)、工程(C)及び工程(D)を含む方法により製造することができる。なお、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の作製に用いられるウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子は以下の製法により得られるものに限定されない。
(工程(A))
工程(A)では、耐圧容器内で、分散媒にウレタン系熱可塑性エラストマー粒子(以下、重合体粒子ともいう。)を分散させる。
重合体粒子は、熱可塑性エラストマーを押出機に供給し、混練して溶融混練物とし、該溶融混練物を押出機からストランド状に押出し、該ストランドを発泡粒子とするのに適した大きさに切断する方法等、公知の造粒方法より製造できる。例えば、前述の方法において、溶融混練物をストランド状に押出した成形物を水冷した後、所定の長さに切断することにより重合体粒子を得ることができる。所定の長さに切断する際には、例えば、ストランドカット法を採用することができる。その他に、該溶融混練物を押出した直後に切断するホットカット法や水中で切断するアンダーウォーターカット法等により重合体粒子を得ることができる。
重合体粒子の1個当たりの平均質量は、通常0.01mg以上15mg以下であることが好ましく、0.1mg以上10mg以下であることがより好ましい。なお、重合体粒子の平均質量は、無作為に選んだ100個の重合体粒子の質量(mg)を100で除した値である。
工程(A)で使用する分散媒は、重合体粒子を溶解しない分散媒であれば、特に限定されない。分散媒には、例えば、水、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられる。好ましい分散媒は水である。
上記分散媒に重合体粒子を分散させる。例えば、攪拌機を使用して上記分散媒に重合体粒子を分散させる。
工程(A)において、分散剤を上記分散媒にさらに添加してもよい。分散剤には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の有機系分散剤、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ、リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム等の難溶性無機塩等が挙げられる。好ましい分散剤はカオリンである。また、界面活性剤を上記分散媒にさらに添加することもできる。界面活性剤には、例えば、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、その他懸濁重合で一般的に使用されるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。好ましい界面活性剤はアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
工程(A)で使用する耐圧容器は、密閉することができる耐圧容器であれば、特に限定されない。後述の工程(B)において重合体粒子は加熱され、耐圧容器内の圧力が上昇するので、耐圧容器は、工程(B)における圧力の上昇に耐えられることが必要である。耐圧容器は、例えば、オートクレーブである。
(工程(B))
工程(B)では、密閉容器内で、工程(A)で分散媒中に分散した重合体粒子の熱可塑性エラストマーが軟化し、凝結しない温度に加熱する。加熱温度は、例えば100℃以上170℃以下の範囲である。
(工程(C))
工程(C)では、工程(B)の後、或いは工程(B)と同時に、耐圧容器内の分散媒に重合体粒子を発泡させる発泡剤を添加し、軟化状態の重合体粒子に発泡剤を含浸させる。発泡剤を含浸させる温度は、重合体粒子が凝結しないで軟化状態となる温度であれば、特に限定されないが、例えば100℃以上170℃以下の範囲である。
工程(C)で使用する発泡剤は、上記架橋粒子を発泡させるものであれば特に限定されない。発泡剤には、例えば、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、酸素、ネオン等の無機物理発泡剤、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等の有機物理発泡剤等が挙げられる。これらの中でも安全性等の観点から無機物理発泡剤が好ましく、窒素、空気、二酸化炭素がより好ましく、特に二酸化炭素が好ましい。これらは、単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。発泡剤の配合量は、目的とする発泡粒子の見掛け密度、熱可塑性エラストマーの種類、発泡剤の種類等を考慮して決定されるが、通常、該エラストマー100質量部に対して、有機物理発泡剤で5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、無機物理発泡剤で0.5質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
(工程(D))
工程(D)では、工程(C)により発泡剤が含浸し、軟化状態の発泡性重合体粒子を、耐圧容器内の圧力よりも低い圧力の雰囲気下に放出して発泡粒子を作製する。具体的には、耐圧容器内の圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら、耐圧容器内の水面下の一端を開放し、発泡剤を含有する発泡性重合体粒子を分散媒とともに耐圧容器内から耐圧容器内の圧力よりも低圧の雰囲気下、通常は大気圧下に放出して発泡性重合体粒子を発泡させることによって、発泡粒子を作製する。なお、上記の含浸工程(工程(C))と発泡工程(工程(D))は単一の耐圧容器における一連の工程として行うことが好ましい。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の製造に用いられるウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子の製造方法として、上記のとおり耐圧容器にて製造する方法を説明したが、発泡粒子の製造方法は上記製造方法に限定されない。例えば、熱可塑性エラストマー、発泡剤等を押出機に供給して溶融し、熱可塑性エラストマーに発泡剤を含有させた後、押出機の先端に取り付けたダイから軟化状態の発泡性熱可塑性エラストマーをストランド状に押出発泡して切断することによって発泡粒子を製造する方法や、工程(A)〜(C)の後、耐圧容器内を除圧、除熱した後、発泡剤含有重合体粒子を該容器内から取出し、脱水乾燥した後、発泡剤含有重合体粒子をスチーム等の加熱媒体により加熱して発泡させることにより発泡粒子を製造する方法等であってもよい。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の製造に用いられる発泡粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5mm以上10mm以下であり、より好ましくは1mm以上8mm以下であり、さらに好ましくは2mm以上5mm以下である。発泡粒子の平均粒子径が上記範囲であると、発泡粒子の製造が容易であるとともに、発泡粒子を型内成形するとき、発泡粒子を金型内に充填させることが容易になる。なお、発泡粒子の平均粒子径は、例えば、発泡剤量、発泡条件、重合体粒子の粒径等を調整することにより制御することができる。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の製造に用いられる発泡粒子の平均気泡径は、50μm以上300μm以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、反発弾性率等の物性に優れる、良好な成形体を得ることができる。上記観点から、発泡粒子の平均気泡径は、60μm以上280μm以下であることが好ましく、より好ましくは70μm以上250μm以下である。
発泡粒子の平均気泡径は、ASTM D3576−77に準拠し、次のようにして測定される値である。まず、発泡粒子群から無作為に50個以上の発泡粒子を選択する。発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割する。切断された各発泡粒子の一方の断面において、発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引く。各線分と交差する気泡数をそれぞれ計測し、4本の線分の合計長さを線分と交差する全気泡数で割算して気泡の平均弦長を求め、さらに0.616で割算することにより、発泡粒子の平均気泡径を求める。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の製造に用いられる発泡粒子の平均表層膜厚みは、概ね10〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜45μmである。発泡粒子の平均表層膜厚みを上記範囲とすることで、型内成形時における発泡粒子同士の融着性を向上させることができると共に、発泡粒子表面付近の気泡の破泡を抑制することができ、良好な成形体を安定して得ることができる。
発泡粒子の平均表層膜厚みは次のように測定される。発泡粒子群から無作為に50個以上の発泡粒子を選択する。発泡粒子をその中心部を通るように切断して2分割し、その一方の断面の拡大写真をそれぞれ撮影する。各断面写真において、発泡粒子の最表面から中心部を通って反対側の最表面まで、等角度で4本の線分を引く。線分上において、発泡粒子の最表面から発泡粒子の最外に位置する気泡までの長さ(表層膜厚み)を測定し、それらの値を算術平均することにより、各発泡粒子の平均表層膜厚みを求める。そして、これらの値を算術平均することにより発泡粒子の平均表層膜厚みを求める。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の製造に用いられる発泡粒子の嵩密度は、好ましくは30〜200g/Lであり、より好ましくは30〜180g/Lであり、さらに好ましくは35〜160g/Lであり、特に好ましくは50〜150g/Lである。発泡粒子の嵩密度を上記範囲にすることにより、発泡粒子を型内成形して作製した発泡粒子成形体の軽量性、柔軟性及び反発性をさらに良好にすることができる。また、後述する型内成形工程における間接加熱により、良好な溶融硬化層を形成することができる。
なお、発泡粒子の平均粒子径及び嵩密度は、次のようにして測定することができる。まず、発泡粒子群を、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて48時間放置する。次いで、温度23℃の水が入ったメスシリンダーを用意し、48時間放置した任意の量の発泡粒子群(発泡粒子群の質量W1)を上記メスシリンダー内の水中に金網等の道具を使用して沈める。そして、金網等の道具の体積を考慮し、水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の容積V1[L]を測定する。この容積V1をメスシリンダーに入れた発泡粒子の個数(N)にて割り算(V1/N)することにより、発泡粒子1個あたりの平均体積を算出する。そして、得られた平均体積と同じ体積を有する仮想真球の直径をもって発泡粒子の平均粒子径[mm]とする。また、発泡粒子の嵩密度は、発泡粒子群を、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて48時間放置する。次いで、空のメスシリンダーを用意し、48時間放置した任意の量の発泡粒子群(発泡粒子群の質量W2)を上記メスシリンダー内に入れ、メスシリンダー底面で床面を数度、軽く叩くことによりシリンダー内の発泡粒子群の充填高さを安定させる。そして、メスシリンダーの目盛りが示す発泡粒子群の容積V2[L]を測定する。メスシリンダーに入れた発泡粒子群の質量W2(g)を容積V2で割り算(W2/V2)することにより、発泡粒子の嵩密度を求めることができる。
次に、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体の製造方法の一例について説明する。
後述する製造方法を採用することにより、特定厚みの溶融硬化層を成形体に形成することができるため、これにより発泡粒子の形状に起因する立体的な凹凸形状や微細なボイドが成形体表面に現れなくなり、成形体の外観を向上させることができる。さらに、成形体の内部融着状態を低下させることなく溶融硬化層を形成することができるため、引張応力等の優れた機械的物性を有する成形体を得ることができる。加えて、溶融硬化層が形成されていない成形体と比べて圧縮物性等の機械的物性が大きく変化することがないため、所望とする物性を有する成形体を得ることができる。
本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体は、例えば、以下のような方法により製造することができる。まず、加熱及び冷却が可能であり、かつ開閉し、密閉できる公知の熱可塑性樹脂発泡粒子型内成形体用の金型キャビティ内に発泡粒子を充填する。この際、少なくとも一つの金型には金型内に水蒸気等を循環させる等により、金型のキャビティ側の表面を加熱できるような機構が備えられている(以下、間接加熱金型ともいう)。なお、成形体表面の外観を向上させる観点から、間接加熱金型はスチーム供給孔を有しないことが好ましい。また、成形体表面に凹凸模様の加飾面を付与する場合、該凹凸模様の加飾面を成形体表面に転写可能な転写用加飾面を備えた間接加熱金型を用いることができる。
次に、飽和水蒸気を供給し、金型キャビティ内で発泡粒子を加熱膨張させ、発泡粒子を相互に融着させて発泡粒子成形体を成形すると共に、加熱された間接加熱金型により、成形体表面の発泡粒子を溶融させる。その後、金型を冷却し、成形体を冷却すると共に、溶融した成形体表面の発泡粒子を硬化させた後、金型から取り出すことで、表面に溶融硬化層を有する成形体を得ることができる。
本発明の成形体は、上記したように、スチーム供給孔を有しない転写用加飾面を金型の少なくとも一部に備えた金型内で、高圧縮状態で充填されたウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子を型内成形して得ることが好ましい。なお、発泡粒子を金型キャビティ等の成形型内に高圧縮状態で充填し、発泡粒子の二次発泡性を向上させる方法としては、例えば、発泡粒子を加圧気体で圧縮した状態で加圧された型内に充填し、その後型内の圧力を開放する方法(圧縮充填法)や発泡粒子を型内に充填する前に予め型を開いて成形空間を広げておき、充填後に型を閉じることで発泡粒子を機械的に圧縮する方法(クラッキング充填法)等を採用することができる。
前述したように、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子は、発泡粒子の反発力が強いものであるが、型内成形時の二次発泡性の制御が難しく、加熱による物性低下が起こり易いものであり、このことに起因して型内成形が難しいものである。そのため、本発明のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体を製造するとき、発泡粒子を金型キャビティ内に充填する方法として、圧縮充填法やクラッキング充填法を採用することが好ましく、特に、圧縮充填法を採用することが好ましい。圧縮充填法を採用した場合、発泡粒子を金型内で三次元方向に一様に圧縮することができるため、充填された発泡粒子の金型の移動方向に対して垂直な方向への復元力や二次発泡力を高めることができる。そのため、クラッキング充填法では発泡粒子を押しつけることが難しい、金型の移動方向と平行な位置関係にある金型内面に対しても十分に発泡粒子を押しつけることができるため、圧縮充填法により、成形体の側面(金型の移動方向と平行な位置関係にある金型内面により形成される面)にも良好な溶融硬化層を形成することができる。
これらの方法を採用する場合、キャビティ内への該発泡粒子の充填量:M(g)が、下記(4)、(5)式を満足する高い圧縮状態にて発泡粒子の型内充填を行う型内成形により目的の発泡粒子成形体を得ることができる。
0.9・V・Bd≦M (4)
1.6≦IP+M/(V・Bd)≦3.0 (5)
(但し、Vは型締め後のキャビティの容積(L)、Bdは23℃、相対湿度50%、常圧の条件下で48時間養生した後の発泡粒子の嵩密度(g/L)、IPはキャビティ内へ充填される発泡粒子の内圧〔10−1MPa(G)〕)
発泡粒子として、発泡粒子内圧IPが好ましくは0〜1.2〔10−1MPa(G)〕(0を含む。)、好ましくは0〜0.5〔10−1MPa(G)〕(0を含む。)、更に好ましくは0〜0.2〔10−1MPa(G)〕(0を含む。)のものを使用する。
本発明において発泡粒子内圧IPが0〜1.2〔10−1MPa(G)〕(0を含む。)である発泡粒子とは、発泡粒子が型内成形前において、発泡粒子内部の気体圧力を高めて、発泡粒子を加熱した時に発泡粒子が膨張する力を高める操作、所謂、発泡粒子への内圧付与操作を、発泡粒子に対して行われていないものと、当該操作が行われて発泡粒子内圧が高められているものとを含み、発泡粒子への内圧付与時の上限が、好ましくは1.2〔10−1MPa(G)〕であることを意味している。上記発泡粒子への内圧付与操作は、発泡粒子の加熱時の膨張力向上効果が期待でき一般的に型内成形性能が向上する反面、本発明において使用されるウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子は優れた弾性体であるため、該膨張力が高くなりすぎる場合には、型内成形時においてスチーム等の加熱媒体が型内の発泡粒子群の隅々までゆきわたることを阻害してしまうおそれや、型内成形にて得られる発泡粒子成形体の寸法安定性、外観の低下するおそれがある。上記観点から、内圧付与操作が行われていない発泡粒子、或いは殆ど行われていない発泡粒子を用いることが好ましい。また、この場合の発泡粒子の内圧の範疇であるIPが0〜0.2〔10−1MPa(G)〕(0を含む。)の発泡粒子を使用して圧縮充填成形法等を行うことにより、型内成形時の成形サイクルを短縮することができる。
なお、本明細書において、「常圧」とは、ゲージ圧で0〔MPa(G)〕と同義であるが、絶対圧で約1atmを意味している。
上記(4)式は、金型のキャビティ内に充填される発泡粒子の充填率〔X=M/(V・Bd)〕〔−〕を示すもので、該充填率が0.9〔−〕以上とは、発泡粒子に内圧IPを付与した場合であっても最低限必要な充填率が0.9〔−〕であることを意味している。なお、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子は発泡粒子同士の摩擦抵抗が大きく滑り性が悪いため、ポリスチレン樹脂等の汎用樹脂製の発泡粒子と比較して、金型のキャビティ内に充填することが難しいものであるが、圧縮充填法等の充填方法を採用することで、上記(4)式を満足させることが可能となり、目的とする成形体を安定して得ることができる。
また、上記(4)式は、例えば、該充填率が2.0(−)の場合、圧縮されずにキャビティ内を満たす量の発泡粒子を理想量充填した場合の発泡粒子の充填重量の概ね2倍の重量の発泡粒子がキャビティ内に圧縮充填されていることを意味し、キャビティ内の発泡粒子は、圧縮されずにキャビティ内を満たす量の発泡粒子の凡そ2倍の復元力が圧縮充填により付与されることになる。実際には、該充填率とキャビティ内に充填できる発泡粒子の理想量との関係は、発泡粒子への内圧付与時の発泡粒子の体積膨張、発泡粒子同士の摩擦抵抗による充填性の悪化等を加味する必要があるが、圧縮充填法等の充填方法を採用することで、キャビティ内に発泡粒子を理想量安定して充填することができる。
また、上記(5)式は、発泡粒子内圧IP〔10−1MPa〕と充填率X〔−〕との和、即ち、発泡粒子の内圧向上による発泡力と圧縮充填法等による上記復元力との合力により生じる発泡粒子の膨張力を示すもので、〔IP+M/(V・Bd)〕が1.6〜3.0であるということは、内容積V〔L〕のキャビティ内に充填された発泡粒子は、内圧付与と高圧縮状態の充填により、適切な型内成形時の加熱にて、およそ1.6〜3.0倍の体積増大能力が付加される状態に調整されることを意味する。
なお、上記(4)、(5)式において、充填率が高すぎる場合には、発泡粒子成形体の内部において発泡粒子相互の融着が悪化するおそれや、均質な溶融硬化層が形成されないおそれがある。一方、充填率が低すぎる場合には、発泡粒子相互の融着が悪化するおそれや、得られる成形体が変形するおそれがある。また、成形体の表面に発泡粒子間の凹み(ボイド)が発生しやすくなるおそれがあると共に、良好な溶融硬化層が形成されないおそれがある。
また、本発明において、発泡粒子を構成しているウレタン系熱可塑性エラストマーは、その柔軟性に起因して、ポリプロピレン樹脂発泡粒子やポリスチレン樹脂発泡粒子等の発泡粒子のように内圧付与等により発泡粒子の内圧を高めることが困難である。加えて、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子は前記のとおり二次発泡性の制御が難しいものであることから、該発泡粒子の型内成形が一層困難なものとなるものであるが、上記(4)、(5)式を満足する条件で型内充填を行うことで、型内成形により目的の発泡粒子成形体を安定して得ることができる。
型内成形に用いる発泡粒子は、独立気泡率が好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。また、型内成形に用いる発泡粒子の嵩密度(Bd)が200g/L以下であることが好ましい。
発泡粒子の独立気泡率の測定は、嵩体積約20cmの測定用サンプルの質量W(g)を測定し、また、水没法により測定用サンプルの見掛け体積Va(cm)を測定する。前記測定用サンプルを十分に乾燥させた後、ASTM D2856の手順Cに準じ、空気比較式比重計930(東芝・ベックマン株式会社製)を用いて、真の体積(発泡粒子を構成する樹脂の体積と、発泡粒子内の独立気泡の全体積との和)Vx(cm)を測定する。そして、下記(6)式により、熱可塑性エラストマーの密度をρとして、独立気泡率(%)が算出される。なお、発泡粒子の独立気泡率測定用のサンプルは、発泡粒子を密閉容器内に入れ、30℃で、0.3MPa(G)の圧縮空気により12時間加圧処理した後、放圧して40℃の大気圧下で24時間放置した後、大気圧下、相対湿度50%、23℃の恒温室内にて10日間放置し養生したものを使用する。
独立気泡率(%)={(Vx−W/ρ)/(Va−W/ρ)}×100 (6)
発泡粒子の独立気泡率を上記範囲とすることで、上記(4)、(5)式の条件による高圧縮の圧縮成形法による型内成形を行った場合であっても、発泡粒子の復元性が良く、発泡粒子相互の融着性に優れ、良好な溶融硬化層が形成された成形体を得ることができる。また、発泡粒子の嵩密度を上記範囲とすることで、高圧縮する圧縮成形法を用いても安定して成形体を製造することができる。
本発明で用いる熱可塑性エラストマー発泡粒子は、柔軟性や反発性の高いものであるため、高い圧縮状態にて発泡粒子を型内充填することができる。ここで、上記範囲内の充填率にて上記範囲内の独立気泡率、嵩密度及び発泡粒子内圧を有する発泡粒子を型内充填することにより、熱媒体による発泡粒子加熱時において、金型内の発泡粒子間の間隙を維持し、加熱媒体の流路を隅々まで確保しつつ、発泡粒子の二次発泡力を十分に発現させることができる。これに加え、後述する条件で間接加熱を行うことで、発泡粒子相互の融着性に優れると共に、良好な溶融硬化層が形成された成形体を得ることができる。
圧縮充填法においては、加圧状態の金型キャビティ内の圧力は、概ね1.2MPa(G)以上0.50MPa(G)以下であることが好ましい。さらに、加圧ホッパー内の圧縮用気体圧力を前記の加圧状態の金型キャビティ内の圧力よりも0.01MPa(G)以上0.10MPa(G)以下高く調整することが差圧を利用した発泡粒子の金型内への充填性の観点から好ましい。
上記金型キャビティ内を加圧するために使用される気体は、無機ガス、有機ガス、或いはそれらの混合ガスが利用できるが、安全性、経済性の観点から空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガスが好ましい。
なお、圧縮充填法においては、金型キャビティ内に発泡粒子が圧縮充填されている状態で、加圧状態の金型キャビティ内の圧力を解放して金型キャビティ内の圧力を大気圧または略大気圧とすることにより圧縮されていた発泡粒子を復元させる。この復元後において、発泡粒子間には、後工程の加熱媒体による発泡粒子加熱時に加熱媒体が十分に発泡粒子間を通過できる空隙が残っている状態となっている。
上記のとおり、金型内に充填された発泡粒子は、次いで金型内に導入されるスチーム等の加熱媒体にて加熱されることにより膨張し、隣接する発泡粒子の表面において相互に融着することにより発泡粒子成形体となると共に、加熱された間接加熱金型により、成形体表面の発泡粒子が溶融状態となる。次いで、この発泡粒子成形体を冷却し、溶融した成形体表面の発泡粒子を硬化させた後、金型キャビティから取り出し、養生工程を経て目的の発泡粒子成形体を得ることができる。金型内に加熱媒体を導入して発泡粒子を加熱して成形する工程に先駆けて、金型内に充填された発泡粒子間の空隙に存在している気体をスチームに置換する操作、所謂、排気工程を実施することが好ましい。
上記型内成形工程において、金型内に導入される加熱媒体がスチームの場合、その飽和蒸気圧は好ましくは0.05MPa(G)以上0.8MPa(G)以下(金型内に供給される水蒸気の飽和蒸気圧の最大値)であり、より好ましくは0.15MPa(G)以上0.5MPa(G)以下とすることがより好ましい。
また、間接加熱金型は、該金型と接触する発泡粒子を溶融状態にできるように発泡粒子と接触する面の温度を設定することが好ましい。具体的には、発泡粒子と接触する面の温度は、概ね120℃以上180℃以下であることが好ましく、130℃以上160℃以下であることがより好ましい。間接加熱金型の加熱温度が低すぎると、発泡粒子の表面が十分に溶融せず、良好な溶融硬化層を形成することができないおそれがある。また、発泡粒子の表面が溶融した場合であっても、その時間が長くなり、成形サイクルが長くなるおそれがある。一方、間接加熱金型の加熱温度が高すぎると、発泡粒子表面の溶融状態を制御することが難しく、良好な溶融硬化層を形成することができないおそれがある。
間接加熱金型を加熱する媒体が水蒸気である場合、その飽和蒸気圧は、好ましくは概ね0.1MPa(G)以上0.9MPa(G)以下(間接加熱金型内に供給される水蒸気の飽和蒸気圧の最大値)であり、より好ましくは0.2MPa(G)以上0.8MPa(G)以下である。
さらに、間接加熱金型による加熱時間は、概ね10秒以上45秒以下であることが好ましく、15秒以上40秒以下であることがより好ましい。間接加熱金型による加熱時間が短すぎると溶融硬化層が不均質に形成されるおそれや、溶融硬化層を形成すること自体困難となるおそれがある。また、加熱時間が長すぎると、成形サイクルが長くなるおそれやスチームの消費量が増加するおそれがあると共に、成形体内部に空洞が生じる等して、良好な成形体が得られなくなるおそれがある。
熱可塑性エラストマー発泡粒子は前記のとおり二次発泡性に劣るものであるため、該発泡粒子の型内成形が困難なものである。そのような状況にもかかわらず、本発明においては、特に、上記(4)、(5)式を満足すると共に、上記の間接加熱条件とすることにより、安定して、内部融着に優れ、溶融硬化層を有する成形体を得ることが可能となる。
上記型内成形法における加熱媒体による加熱手順は、特に限定されるものではないが、次の手順が発泡粒子相互の融着性、外観、物性などに優れた発泡粒子成形体を得る上で好ましい。
金型がスチームチャンバーを有する雄型と雌型との1対の金型から形成されており、加熱媒体を金型内に供給して発泡粒子を加熱する工程にて、雄型または雌型のチャンバーにスチームを供給し、雄型と雌型とが組合されて形成されるキャビティを通過させ、他方の型のチャンバーへ導く一方加熱工程、該他方の型のチャンバーにスチームを供給し、該キャビティを通過させ、前記一方加熱工程にてスチームを供給した型のチャンバーへ導く逆一方加熱工程、雄型及び雌型のチャンバーにスチームを同時に供給する本加熱工程を順次行い該発泡粒子を加熱融着させる加熱手順が好ましく例示される。なお、上記加熱手順において雄型または雌型のチャンバーのドレン排出バルブの開閉状態については、少なくとも、一方加熱時、逆一方加熱時におけるスチーム供給側のチャンバーにおいては閉じられた状態であればよい。
また、成形体内部に空洞が発生することを防止する観点から、間接加熱金型による加熱は、発泡粒子を加熱融着させる工程と同時期に終了するように設定することが好ましい。
ここでは、型内成形工程において、金型内に加熱媒体を導入する方法について説明したが、その他の型内成形方法として、例えば、マイクロ波等の電磁波により本発明の発泡粒子成形体を製造することもできる。
具体的には、型内成形工程において、発泡粒子を水等の加熱用媒体と共に金型内に高圧縮状態で充填した後、金型内にマイクロ波等の電磁波を照射することにより、発泡粒子表面に存在する加熱媒体等により発泡粒子を加熱し、二次発泡させ、発泡粒子同士を加熱融着させると共に、加熱された金型により成形体表面の発泡粒子を溶融させる。その後、金型を冷却し、成形体を冷却すると共に、溶融した成形体表面の発泡粒子を硬化させた後、金型から取り出すことで、表面に溶融硬化層を有する成形体を得ることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
<ウレタン系熱可塑性エラストマー粒子の作製>
密度1120g/L、融点164℃、メルトフローレイト7g/10分(190℃、荷重10kg)、タイプAデュロメータ硬さ86のエーテル系熱可塑性ポリウレタン(ウレタン系熱可塑性エラストマー)(コベストロ社製、商品名「Desmopan」、型番9385AU)100質量部に対して、気泡調整剤としてタルクを0.10質量部、着色剤として顔料マスターバッチ(青色着色マスターバッチ):パンデックスB−UN91−9127−20(フタロシアニンブルー)を1質量部添加し、内径20mmの二軸押出機で溶融混練した。該混練物を押出機先端部に付設された口金の小孔からストランド状に押し出し、冷却後、切断し、5.1mgの樹脂粒子を得た。
<ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)発泡粒子の作製>
上記で得られたウレタン系熱可塑性エラストマー粒子1kgと、分散媒として水3リットルとを、撹拌機を備えた5リットルの耐圧密閉容器内に仕込み、樹脂粒子100質量部に対して、分散剤としてカオリン0.3質量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.004質量部とを添加した。
耐圧密閉容器内の分散媒を撹拌しながら、温度127.5℃まで昇温し、発泡剤として二酸化炭素を密閉容器内の圧力が4.0MPa(G)となるまで圧入し、15分間保持した。その後、窒素にて背圧を加え、容器内圧力が4.5MPa(G)となるように調整しつつ、分散媒とともに発泡剤を含浸させた発泡性樹脂粒子を大気圧下に放出して、発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子の独立気泡率、平均表層膜厚み、及び嵩密度を、既述の方法に従って測定し、表1に示した。
<発泡粒子成形体の作製>
上記のとおり得られた発泡粒子をホッパー内に投入し、該ホッパーから、雄型と雌型との一対の金型から形成されている縦310mm、横310mm、厚み20mmの平板形状の金型キャビティ内に、表1に示す充填率となるように圧縮充填した。なお、金型の雄型として、皮シボ模様による加飾面を成形体表面に転写可能な転写用加飾面を金型の移動方向に対して垂直な面に備えた間接加熱金型を使用した。その後、金型キャビティ内を放圧して圧縮状態の発泡粒子を解放した。続いて、キャビティ内にスチームを導入し、発泡粒子を直接加熱する事で発泡粒子を相互に融着させる直接加熱と、スチームにて加熱した金型を介して発泡粒子成形体の表面を溶融させる間接加熱とを冷却開始のタイミングが同時になるよう行った。スチーム加熱の条件としては、直接加熱においては、排気、一方加熱、逆一方加熱、本加熱の工程を、間接加熱においては、排気、調圧加熱の工程を表1の成形条件の欄に示した時間、圧力にて順次行った。次いで、金型を水冷することにより発泡粒子成形体を冷却し、その後、発泡粒子成形体を金型から取り出した。離型した発泡粒子成形体を60℃に調整されたオーブン内で12時間加熱乾燥して発泡粒子成形体を得た。このようにして、成形体の厚み方向に対して垂直な面の一方に溶融硬化層(縦310mm×横310mm)を有すると共に、溶融硬化層の表面に転写用加飾面による皮シボ模様が転写された発泡粒子成形体を得た。
(実施例2)
使用する発泡粒子、充填条件、成形条件を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を得た。
(比較例1、2)
使用する発泡粒子、充填条件、成形条件を表1に示すとおりに変更し、間接加熱金型を用いず、溶融硬化層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして発泡粒子成形体を得た。
(実施例3)
実施例3においては、上記のとおり得られた発泡粒子をホッパー内に投入し、該ホッパーから、雄型と雌型との一対の金型から形成されている縦310mm、横310mm、厚み20mmの平板形状の金型キャビティ内に充填した後、型締めを更に行い、表1に示す充填率となるようにクラッキング充填を行ったこと以外は、実施例1と同様に発泡粒子成形体を得た。なお、「クラッキング量」は発泡粒子を金型キャビティ内に充填した後、更に行った型締めの際の雌型内の雄型の移動距離である。
(実施例4)
使用する発泡粒子、充填条件、成形条件を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様にして発泡粒子成形体を得た。
(比較例3、4)
使用する発泡粒子、充填条件、成形条件を表1に示すとおりに変更し、間接加熱金型を用いず、溶融硬化層を形成しなかったこと以外は、実施例3と同様にして発泡粒子成形体を得た。
[評価結果]
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた発泡粒子成形体の評価結果を表1に併せて示した。
表1における発泡粒子成形体の評価は、以下のとおり行った。
1)見掛け密度
前述した方法により、発泡粒子成形体の見掛け密度(g/L)を求めた。
2)外観
型内成形にて得られた発泡粒子成形体を60℃に調整されたオーブン内で12時間加熱乾燥養生した後、溶融硬化層表面を目視により観察し、シボ模様の転写性とビーズ模様の有無について評価した。
評価基準は、以下のとおりとした。
A:シボ模様が美麗に転写され、ビーズ模様が無い
B:シボ模様が転写されているが、ビーズ模様が薄ら確認できる
C:シボ模様が転写されているが、ビーズ模様がはっきり確認できる
3)融着性(最大引張応力)
JIS K6767:1999に基づいて発泡粒子成形体の最大引張応力を測定した。まず、発泡粒子成形体からバーチカルスライサーを用いて、全ての面が切り出し面となるよう120mm×25mm×10mmに切り出し、切り出し片を作製した。切り出し片を、糸鋸を用いてダンベル状1号形(測定部の長さ40mm×幅10mm×厚み10mm)に切り抜き、試験片とした。試験片を500mm/分の試験速度で引張試験を実施し、引張時の最大引張応力を求め、以下の基準にて評価した。
A:最大引張応力が700kPa以上
B:最大引張応力が700kPa未満
4)溶融硬化層の平均厚み及び溶融硬化層の厚みの変動係数
溶融硬化層の平均厚み及び溶融硬化層の厚みの変動係数を前述した方法で測定した。具体的には、まず、発泡粒子成形体を、溶融硬化層を通るように、溶融硬化層が形成された面に対して略垂直に切断し、その切断面の拡大写真(拡大倍率100倍)を撮影した。次に、切断面写真において、発泡粒子成形体の最表面から成形体の最外に位置する気泡までの、溶融硬化層が形成された面に対して垂直方向の長さ(溶融硬化層の厚み)を等間隔に10点測定した。この溶融硬化層の厚みの測定を、5箇所の異なる切断面における拡大写真に対して行い、計50点の溶融硬化層の厚みの値を算術平均することにより、溶融硬化層の平均厚みを求めた。
また、溶融硬化層の厚みの変動係数は、測定した溶融硬化層の厚みの標準偏差を求め、該標準偏差を溶融硬化層の平均厚みで割算し、さらに100をかけ算することにより求めた。
5)圧縮特性
前述したJIS K6767:1999に基づく発泡粒子成形体の50%圧縮応力を測定した。また、見掛け密度に対する圧縮応力の比(圧縮応力/見掛け密度)を求めた。
番号が対応する実施例及び比較例(例えば、実施例1と比較例1)の見掛け密度に対する圧縮応力の比を比較し、以下の基準にて評価した。
○:比較例の値に対する実施例の値が±10%以内
×:比較例の値に対する実施例の値が±10%超
なお、発泡粒子成形体についての、上記各種評価結果は、発泡粒子成形体を、40℃の常圧下で24時間養生した後、相対湿度50%、23℃の恒温室内にて2日間(48時間)放置し養生したサンプルについて測定した値である。
Figure 2018090749
実施例1〜4と比較例1〜4との比較からわかるように、溶融硬化層が形成された成形体は、融着性に優れるものであると共に、外観にも優れたものであった。また、溶融硬化層が特定厚みで形成されているため、溶融硬化層が形成されていない成形体と比べて圧縮物性が大きく変化せず、所望とする物性を有する成形体が得られた。

Claims (10)

  1. ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子の型内成形体であって、
    該成形体の表面の少なくとも一部には、発泡粒子が溶融し、硬化した溶融硬化層が形成されており、該溶融硬化層の平均厚みが0.05mm以上0.4mm以下であることを特徴とする、ウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
  2. 前記成形体の見掛け密度が100g/L以上350g/L以下であることを特徴とする、請求項1に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
  3. 前記成形体を構成する発泡粒子が、タイプAデュロメータ硬さが95以下のウレタン系熱可塑性エラストマーを基材とする発泡粒子であることを特徴とする、請求項1または2に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
  4. 前記溶融硬化層の厚みの変動係数が30%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
  5. 前記成形体の少なくとも一面に前記溶融硬化層が形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
  6. 前記成形体が着色剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
  7. 前記溶融硬化層の表面に凹凸模様による加飾面が形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
  8. 前記溶融硬化層の表面に平滑面が形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のウレタン系熱可塑性エラストマー発泡粒子成形体を用いたソール。
  10. 前記ソールの少なくとも側面に前記溶融硬化層が形成されていることを特徴とする、請求項9に記載のソール。
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