本発明の発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法では、まず、熱可塑性ポリウレタン樹脂を準備する(準備工程)。
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分との反応により得られる反応生成物である。
本発明において、ポリイソシアネート成分は、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを、必須成分として含んでいる。
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとしては、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられ、好ましくは、対称構造であり、熱可塑性ポリウレタン樹脂の剛直性の向上を図る観点から、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス1,4体とする。)、および、トランス−
,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス1,4体とする。)の立体異性体がある。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおける、トランス1,4体の含有割合は、例えば、60モル%以上、好ましくは、70モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、85モル%以上、例えば、99モル%以下、好ましくは、96モル%以下、より好ましくは、90モル%以下である。
換言すると、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、トランス1,4体およびシス1,4体の総量が100モル%であるため、シス1,4体の含有割合は、例えば、1モル%以上、好ましくは、4モル%以上、より好ましくは、10モル%以上、例えば、40モル%以下、好ましくは、30モル%以下、より好ましくは、20モル%以下、さらに好ましくは、15モル%以下である。
トランス1,4体の含有割合が上記下限以上であれば、得られる発泡ポリウレタンエラストマー(後述)の機械物性を向上することができる。
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、例えば、市販のビス(アミノメチル)シクロヘキサンや、特開2011−6382号公報に記載の方法により得られたビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどから、例えば、特開平7−309827号公報や特開2014−55229号公報に記載される冷熱2段ホスゲン化法(直接法)や造塩法、あるいは、特開2004−244349号公報や特開2003−212835号公報に記載されるノンホスゲン法などにより、製造することができる。
また、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、誘導体として調製することもできる。
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの誘導体としては、例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの多量体(ダイマー(例えば、ウレトジオン誘導体など)、トリマー(例えば、イソシアヌレート誘導体、イミノオキサジアジンジオン誘導体など)など)、ビウレット誘導体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと水との反応により生成するビウレット誘導体など)、アロファネート誘導体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと公知の1価アルコールまたは2価アルコール(後述)との反応より生成するアロファネート誘導体など)、ポリオール誘導体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと3価以上のアルコール(後述)との反応より生成するポリオール誘導体(付加体)など)、オキサジアジントリオン誘導体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド誘導体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド誘導体など)などが挙げられる。
また、ポリイソシアネート成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲で、その他のポリイソシアネート、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどを、任意成分として含有することができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカメチレントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω、ω’−ジイソシアネート、リジンイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどが挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネートには、脂環族ポリイソシアネート(ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)が含まれる。
脂環族ポリイソシアネート(ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トランス,トランス−、トランス,シス−、およびシス,シス−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびこれらの混合物(水添MDI)、1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネートおよびこれらの混合物、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、その異性体である2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン(NBDI)、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチルビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチルビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル3−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタンなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネート、ならびに、これらトリレンジイソシアネートの異性体混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびに、これらジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)などが挙げられる。
これらその他のポリイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、その他のポリイソシアネートは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、誘導体として調製することもできる。
その他のポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、その他のポリイソシアネートの多量体(ダイマー、トリマーなど)、ビウレット誘導体、アロファネート誘導体、ポリオール誘導体、オキサジアジントリオン誘導体、カルボジイミド誘導体などが挙げられる。
その他のポリイソシアネートを含有する場合の含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、20質量%以下である。
また、ポリイソシアネート成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲でモノイソシアネートを、任意成分として含有することができる。
モノイソシアネートとしては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネートなどが挙げられる。
モノイソシアネートを含有する場合の含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。
ポリイソシアネート成分として、好ましくは、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの単独使用が挙げられ、より好ましくは、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの単独使用、または、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの単独使用が挙げられ、さらに好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの単独使用が挙げられる。
活性水素基含有成分は、活性水素基を含有する化合物(活性水素化合物)を含む成分である。
活性水素基としては、例えば、水酸基、アミノ基、メルカプト基などが挙げられ、好ましくは、水酸基、アミノ基が挙げられ、より好ましくは、水酸基が挙げられる。
活性水素化合物としては、例えば、水酸基を含有する化合物(水酸基含有化合物)、アミノ基を含有する化合物(アミノ基含有化合物)が挙げられ、好ましくは、水酸基含有化合物が挙げられる。
水酸基含有化合物は、分子中に1つ以上の水酸基を含有する化合物であり、例えば、分子中に1つの水酸基を含有する化合物(モノオール)、例えば、分子中に2つ以上の水酸基を含有する化合物(ポリオール)などが挙げられ、好ましくは、ポリオールが挙げられる。
換言すれば、活性水素基含有成分は、好ましくは、ポリオールを含有し、より好ましくは、ポリオールからなる。
ポリオールは、分子中に水酸基を2つ以上含有する化合物である。
ポリオールとしては例えば、分子量250未満の低分子量ポリオール、分子量(数平均分子量)250以上の高分子量ポリオールなどが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する分子量60以上250未満、好ましくは、200以下の化合物である。低分子量ポリオールとしては、例えば、2価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの炭素数2〜6のアルカンジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、イソソルビド、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールAなど)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなど)、4価アルコール(例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなど)、5価アルコール(例えば、キシリトールなど)、6価アルコール(例えば、ソルビトールなど)、7価アルコール(例えば、ペルセイトールなど)などが挙げられる。低分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用することができる。
低分子量ポリオールとして、好ましくは、2価アルコールが挙げられ、より好ましくは、炭素数2〜6のアルカンジオールが挙げられ、さらに好ましくは、炭素数2〜4のアルカンジオールが挙げられる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量(GPCによる標準ポリオキシエチレン換算分子量、または、平均水酸基価および平均官能基数に基づいて算出した分子量(以下同様))250以上、好ましくは、400以上、より好ましくは、500以上、さらに好ましくは、600以上、とりわけ好ましくは、800以上、例えば、10000以下、好ましくは、5000以下、より好ましくは、3000以下の化合物である。
高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、フッ素ポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして、例えば、ポリオキシ(C2〜3)アルキレンポリオール(例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリトリメチレンエーテルポリオールなど)、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとして、例えば、アジペート系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物、上記した2価アルコールと開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
ポリウレタンポリオールとして、例えば、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどが挙げられる。
エポキシポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールと、多官能ハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなど)との反応生成物などが挙げられる。
植物油ポリオールとして、例えば、ヒドロキシル基含有植物油(例えば、ひまし油、やし油など)、エステル変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとして、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
アクリルポリオールとして、例えば、ヒドロキシル基含有アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど)と、それと共重合可能な共重合性ビニルモノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニルモノマーなど)との共重合体などが挙げられる。
シリコーンポリオールとして、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、ビニル基を含むシリコーン化合物(例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど)が配合されるアクリルポリオールなどが挙げられる。
フッ素ポリオールとして、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、ビニル基を含むフッ素化合物(例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなど)が配合されるアクリルポリオールなどが挙げられる。
ビニルモノマー変性ポリオールとして、例えば、上記した高分子量ポリオールと、ビニルモノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリレートなど)との反応生成物などが挙げられる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
また、高分子量ポリオールとして、好ましくは、数平均分子量500以上2000以下の高分子量ポリオールと、数平均分子量2000を超過し4000以下の高分子量ポリオールとの併用が挙げられる。
このような場合において、併用割合は、数平均分子量500以上2000以下の高分子量ポリオールと、数平均分子量2000を超過し4000以下の高分子量ポリオールとの総量100質量部に対して、数平均分子量500以上2000以下の高分子量ポリオールが、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、40質量部以下、好ましくは、30質量部以下である。また、数平均分子量2000を超過し4000以下の高分子量ポリオールが、例えば、60質量部以上、好ましくは、70質量部以上であり、例えば、95質量部以下、好ましくは、90質量部以下である。
高分子量ポリオールの平均水酸基数(平均官能基数)は、例えば、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下、さらに好ましくは、2.5以下であり、とりわけ好ましくは、2である。
これらポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリオールとして、好ましくは、低分子量ポリオールと高分子量ポリオールとの併用が挙げられる。換言すれば、ポリオールは、好ましくは、低分子量ポリオールと高分子量ポリオールとからなる。
ポリオールの平均水酸基数(平均官能基数)は、例えば、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下、さらに好ましくは、2.5以下であり、とりわけ好ましくは、2である。
そして、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させる方法は、特に制限されず、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の方法が採用される。好ましくは、プレポリマー法が採用される。
プレポリマー法により上記各成分を反応させれば、優れた機械物性を有する発泡ポリウレタンエラストマー(後述)を得ることができる。
具体的には、プレポリマー法では、まず、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分の一部とを、例えば、バルク重合や溶液重合などの重合方法により反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成する。
なお、活性水素基含有成分の一部とは、上記した活性水素基含有成分のうち、後述の鎖伸長反応に用いられる活性水素基含有成分(鎖伸長剤)を除く活性水素基含有成分であり、好ましくは、高分子量ポリオールである。
バルク重合では、例えば、窒素気流下において、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分の一部(好ましくは、高分子量ポリオール)とを、反応温度が、例えば、50℃以上、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下で、例えば、0.5時間以上、例えば、15時間以下反応させる。
溶液重合では、公知の有機溶剤に、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分の一部(好ましくは、高分子量ポリオール)とを加えて、反応温度が、例えば、50℃以上、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下で、例えば、0.5時間以上、例えば、15時間以下反応させる。
さらに、上記重合反応においては、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加することができる。
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫(オクチル酸スズ)、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクタン酸ビスマス(オクチル酸ビスマス)、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられ、好ましくは、オクチル酸スズが挙げられる。
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ウレタン化触媒の添加割合は、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有化合物の一部(好ましくは、高分子量ポリオール)との総量100質量部に対して、例えば、0.00001質量部以上、好ましくは、0.0001質量部以上であり、例えば、0.01質量部以下、好ましくは、0.005質量部以下である。
また、上記重合反応においては、未反応のポリイソシアネート成分や、触媒や有機溶剤を用いた場合には触媒や有機溶剤を、例えば、蒸留や抽出などの公知の除去手段により除去することができる。
ポリイソシアネート成分と活性水素基含有化合物の一部(好ましくは、高分子量ポリオール)との配合割合は、活性水素基含有化合物の一部(好ましくは、高分子量ポリオール)中の活性水素基(好ましくは、水酸基)に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、2.0以上、好ましくは、2.5以上であり、例えば、20以下、好ましくは、15以下、より好ましくは、10以下、さらに好ましくは、6.0以下である。
より具体的には、活性水素基含有化合物の一部(好ましくは、高分子量ポリオール)100質量部に対して、ポリイソシアネート成分が、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上、より好ましくは、15質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは、70質量部以下、より好ましくは、50質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下である。
そして、この方法では、イソシアネート基含有率が、例えば、1.0質量%以上、好ましくは、3.0質量%以上、より好ましくは、4.0質量%以上、例えば、30.0質量%以下、好ましくは、19.0質量%以下、より好ましくは、16.0質量%以下、さらに好ましくは、12.0質量%以下、さらに好ましくは、10.0質量%以下、特に好ましくは、5.0質量%以下に達するまで上記成分を反応させる。これにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得ることができる。
なお、イソシアネート基含有量(イソシアネート基含有率)は、ジ−n−ブチルアミンによる滴定法や、FT−IR分析などの公知の方法によって求めることができる。
次いで、この方法では、上記により得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、活性水素基含有化合物の残部とを、例えば、上記したバルク重合や上記した溶液重合などの重合方法により反応させる。
なお、活性水素基含有化合物の残部は、上記の活性水素基含有化合物の一部(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの製造に用いられた活性水素基含有化合物)に対する残部である。また、この反応は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの鎖伸長反応である。すなわち、活性水素基含有化合物の残部は、鎖伸長剤であり、好ましくは、上記した低分子量ポリオールである。
反応温度は、例えば、室温以上、好ましくは、50℃以上、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下であり、反応時間が、例えば、5分以上、好ましくは、1時間以上、例えば、72時間以下、好ましくは、48時間以下である。
また、各成分の配合割合は、活性水素基含有化合物の残部(好ましくは、低分子量ポリオール)中の活性水素基(好ましくは、水酸基)に対する、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、0.75以上、好ましくは、0.9以上、例えば、1.3以下、好ましくは、1.1以下である。
より具体的には、鎖伸長反応における各成分の配合割合は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー100質量部に対して、活性水素基含有化合物の残部(好ましくは、低分子量ポリオール)が、例えば、1.0質量部以上、好ましくは、2.0質量部以上、より好ましくは、3.0質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、15質量部以下、さらに好ましくは、10質量部以下、特に好ましくは、6.0質量部以下である。
さらに、この反応においては、必要に応じて、上記したウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーおよび/または活性水素基含有化合物の残部(好ましくは、低分子量ポリオール)に配合することができ、また、それらの混合時に別途配合することもできる。
また、上記の一次生成物を得る方法として、ワンショット法を採用する場合には、ポリイソシアネート成分と、活性水素基含有成分(好ましくは、高分子量ポリオールおよび低分子量ポリオール)とを、活性水素基含有成分中の活性水素基(好ましくは、水酸基)に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、0.9以上、好ましくは、0.95以上、より好ましくは、0.98以上、例えば、1.2以下、好ましくは、1.1以下、より好ましくは、1.08以下となる割合で、同時に配合して撹拌混合する。
また、この撹拌混合は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下、反応温度が、例えば、40℃以上、好ましくは、100℃以上、例えば、280℃以下、好ましくは、260℃以下で、反応時間が、例えば、30秒以上1時間以下で実施する。
撹拌混合の方法としては、特に制限されないが、例えば、ディスパー、ディゾルバー、タービン翼を備えた混合槽、循環式の低圧または高圧衝突混合装置、高速撹拌ミキサー、スタティックミキサー、ニーダー、単軸または二軸回転式の押出機、ベルトコンベアー式など、公知の混合装置を用いて撹拌混合する方法が挙げられる。
また、撹拌混合時には、必要により、上記したウレタン化触媒や有機溶剤を、適宜の割合で添加することができる。
これにより、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との反応生成物として、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)を得ることができる。
なお、熱可塑性ポリウレタン樹脂には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤、防錆剤、充填剤、ブルーイング剤などを添加することができる。これら添加剤は、各成分の混合時、合成時または合成後に添加することができる。
これら添加剤は、それぞれ熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上、例えば、3.0質量%以下、好ましくは、2.0質量%以下となる割合で、添加される。
また、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造では、必要に応じて、所望形状の金型内で、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを反応させる。これにより、所望形状の熱可塑性ポリウレタン樹脂を得ることができる。
また、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造では、必要に応じて、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を、所望形状に成形(カット)することもできる。
また、上記の熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造では、必要に応じて、熱可塑性ポリウレタン樹脂を、養生することができる。養生では、所定の養生温度で、所定の養生期間静置する。
養生温度としては、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下である。
養生期間としては、例えば、1時間以上、好ましくは、1日以上、より好ましくは、3日以上であり、例えば、50日以下、好ましくは、40日以下、より好ましくは、30日以下である。
このようにして、熱可塑性ポリウレタン樹脂が準備される(準備工程)。
なお、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、融点(Tm)を1つ有する。
熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点(Tm)は、例えば、150℃以上、好ましくは、160℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。
なお、熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点(Tm)は、示差走査熱量測定(DSC測定)にて得られるピークトップ温度として、求めることができる。なお、測定条件は、後述する実施例に準拠する。具体的には、DSC装置として、島津製作所製DSC−60Aを使用し、対照セルとして、アルミナを使用し、窒素流量を50ml/分、測定温度を30℃から300℃まで、昇温条件を10℃/分として測定する。
次いで、この方法では、上記で得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を、反応容器内に配置する(配置工程)。
反応容器は、特に制限されないが、後述する含浸工程において原料ガスを超臨界流体にできる密閉性の耐熱耐圧容器である。反応容器として、より具体的には、例えば、オートクレーブなどが挙げられる。
次いで、この方法では、反応容器内に配置された熱可塑性ポリウレタン樹脂に、超臨界流体を含浸させる(含浸工程)。
より具体的には、この工程では、まず、反応容器内を所定の温度T1に設定する。
含浸工程における反応容器内の温度T1は、熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点(Tm)以上であり、かつ、熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点+40℃(Tm+40℃)以下である。すなわち、含浸工程では、後述する原料ガスの供給および圧力変化に伴って、反応容器内の温度も変化するため、一定温度での保持が困難であるが、その反応容器内の温度を適宜調整し、上記範囲(Tm ≦ T1 ≦ Tm+40℃)に保持する。
含浸工程における反応容器内の温度(T1)として、好ましくは、Tm〜Tm+35℃の範囲(Tm ≦ T1 ≦ Tm+35℃)であり、より好ましくは、Tm〜Tm+30℃の範囲(Tm ≦ T1 ≦ Tm+30℃)であり、さらに好ましくは、Tm〜Tm+25℃の範囲(Tm ≦ T1 ≦ Tm+25℃)であり、とりわけ好ましくは、Tm〜Tm+20℃(Tm ≦ T1 ≦ Tm+20℃)の範囲である。
反応容器内の温度(T1)が上記範囲未満である場合には、熱可塑性ポリウレタン樹脂が溶融せず、超臨界流体を含浸させることができないため、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)が得られない。
一方、反応容器内の温度(T1)が上記範囲を超過すると、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)において、均一なセルを得ることができず、物性の低下を惹起する。また、収縮などの外観不良を生じる。
これらに対して、反応容器内の温度(T1)が上記範囲であれば、外観および物性に優れる発泡ポリウレタンエラストマー(後述)が得られる。
そして、この工程では、反応容器内の温度(T1)を上記範囲に調整した後、その温度条件(T1)下で、反応容器内に原料ガスを供給する。
原料ガスは、上記の温度条件および所定の圧力条件下で超臨界流体となるガスであり、例えば、二酸化炭素ガス、窒素ガスなどの不活性ガスが挙げられる。原料ガスは、単独使用または2種類以上併用することができる。
原料ガスとして、好ましくは、二酸化炭素ガス、窒素ガスが挙げられ、より好ましくは、二酸化炭素ガスが挙げられる。
原料ガスの供給速度は、反応容器内の圧力が後述の範囲となるように、適宜設定される。原料ガスの供給速度は、より具体的には、例えば、5g/min以上、好ましくは、10g/min以上であり、例えば、50g/min以下、好ましくは、30g/min以下である。
そして、この工程では、上記の原料ガスの供給により、反応容器内が加圧される。換言すれば、原料ガスを供給することにより、反応容器内を所定の圧力条件に調整する。
反応容器内の加圧条件としては、原料ガスが超臨界流体となる圧力であり、例えば、7.4MPa以上、好ましくは、10MPa以上、より好ましくは、15MPa以上であり、例えば、50MPa以下、好ましくは、40MPa以下である。
そして、この工程において、反応容器内が上記の圧力条件に至ると、原料ガスが超臨界流体になり、超臨界流体が熱可塑性ポリウレタン樹脂に接触する。これにより、超臨界流体が、熱可塑性ポリウレタン樹脂に含浸される。
熱可塑性ポリウレタン樹脂に対する超臨界流体の含浸量は、特に制限されず、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)が所望の物性となるように、適宜調整される。
なお、熱可塑性ポリウレタン樹脂に対する超臨界流体の含浸量は、超臨界流体と熱可塑性ポリウレタン樹脂との接触時間を適宜設定することによって、調整することができる。
例えば、超臨界流体と熱可塑性ポリウレタン樹脂とを接触させ、所定時間保持した後、圧力低下および/または温度低下させると、熱可塑性ポリウレタン樹脂に対する超臨界流体の含浸量を、比較的多くできる。
一方、超臨界流体と熱可塑性ポリウレタン樹脂とを接触させ、保持することなく、圧力低下および/または温度低下させると、熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して、熱可塑性ポリウレタン樹脂に対する超臨界流体の含浸量を、比較的少なくできる。
含浸工程において、好ましくは、原料ガスを超臨界流体で保持し、超臨界流体と熱可塑性ポリウレタン樹脂とを接触させた状態で、所定時間保持する(保持工程)。
保持工程では、例えば、反応容器内において、上記温度および上記圧力を、所定時間保持する。
例えば、温度を上記範囲に保持しながら、原料ガスを供給し、反応容器内の圧力を上記条件に到達させた後、原料ガスの供給を継続するとともに、原料ガスを排出して、反応容器内の圧力を上記範囲に保持する。
このように反応容器内を上記の圧力条件に調整することによって、反応容器内で、原料ガスを超臨界流体で保持することができ、超臨界流体と熱可塑性ポリウレタン樹脂とを接触させた状態で、保持することができる。
保持時間は、熱可塑性ポリウレタン樹脂に対する超臨界流体の含浸量が所望の範囲となり、発泡ポリウレタンエラストマー(後述)が所望の物性となるように、適宜調整される。
保持時間として、より具体的には、例えば、1分以上、好ましくは、5分以上、より好ましくは、10分以上、さらに好ましくは、15分以上であり、例えば、200分以下、好ましくは、100分以下、より好ましくは、60分以下、さらに好ましくは、30分以下である。
保持時間が上記範囲であれば、優れた外観、反発弾性および硬度を備える発泡ポリウレタンエラストマーを得ることができる。
次いで、この方法では、熱可塑性ポリウレタン樹脂に超臨界流体を含浸させた後、反応容器内の温度を、上記含浸工程における温度T1以下の温度T2に調整して、反応容器内の圧力を解放する(解圧工程)。
すなわち、この工程では、まず、上記の圧力条件を保持したまま、反応容器内の温度条件を、上記含浸工程における温度T1以下の温度T2に調整する。
解圧工程における温度T2は、含浸工程における温度T1以下であれば、特に制限されない。つまり、解圧工程における温度T2と含浸工程における温度T1とが、同一(T2=T1)であってもよい。また、例えば、解圧工程における温度T2が含浸工程における温度T1未満(T2<T1)であってもよい。
解圧工程における温度T2と含浸工程における温度T1とが同一(T2=T1)である場合、熱可塑性ポリウレタン樹脂が、十分に加熱溶融された状態で発泡するため、気泡が熱可塑性ポリウレタン樹脂を膨張させ易くなる。すなわち、得られる発泡ポリウレタンエラストマーのセル径が大きくなり、低密度化する。その結果、発泡ポリウレタンエラストマーの硬度を低下させ、反発弾性を向上できる。
このような場合、解圧工程における温度T2の範囲は、上記含浸工程における温度T1の範囲と同じであり、例えば、Tm〜Tm+40℃の範囲(Tm ≦ T2 ≦ Tm+40℃)であり、好ましくは、Tm〜Tm+35℃の範囲(Tm ≦ T2 ≦ Tm+35℃)であり、より好ましくは、Tm〜Tm+30℃の範囲(Tm ≦ T2 ≦ Tm+30℃)であり、さらに好ましくは、Tm〜Tm+25℃の範囲(Tm ≦ T2 ≦ Tm+25℃)であり、とりわけ好ましくは、Tm〜Tm+20℃(Tm ≦ T2 ≦ Tm+20℃)の範囲である。
また、解圧工程における温度T2が含浸工程における温度T1未満(T2<T1)である場合、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、冷却により固化されながら発泡するため、気泡が熱可塑性ポリウレタン樹脂を膨張させ難くなる。すなわち、得られる発泡ポリウレタンエラストマーのセル径は小さくなり、高密度化する。その結果、発泡ポリウレタンエラストマーの硬度を向上し、反発弾性を低下できる。
このような場合、解圧工程における温度T2の温度範囲としては、例えば、解圧工程における温度T2の範囲は、上記含浸工程における温度T1の未満であり、例えば、Tm−200℃〜Tm−1℃の範囲(Tm−200℃ ≦ T2 ≦ Tm−1℃)であり、好ましくは、Tm−150℃〜Tm−5℃の範囲(Tm−150℃ ≦ T2 ≦ Tm−5℃)であり、より好ましくは、Tm−100℃〜Tm−10℃の範囲(Tm−100℃ ≦ T2 ≦ Tm−10℃)であり、さらに好ましくは、Tm−100℃〜Tm−30℃の範囲(Tm−100℃ ≦ T2 ≦ Tm−30℃)であり、とりわけ好ましくは、Tm−50℃〜Tm−30℃の範囲(Tm−50℃ ≦ T2 ≦ Tm−30℃)の範囲である。
硬度および反発弾性のバランスを図る観点から、好ましくは、解圧工程における温度T2を、含浸工程における温度T1未満(T2<T1)とする。
そして、この工程では、上記の温度条件に至った後、反応容器内の圧力を解放する。
圧力の解放速度(減圧速度)は、特に制限されないが、例えば、0.1MPa/sec以上、好ましくは、0.2MPa/sec以上であり、例えば、5MPa/sec以下、好ましくは、1MPa/sec以下である。
このように解圧することにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂に含浸された超臨界流体を原料ガスに戻して、熱可塑性ポリウレタン樹脂の形状を維持したまま、熱可塑性ポリウレタン樹脂を等方的に発泡および膨張させることができる。その結果、発泡ポリウレタンエラストマーを得ることができる。
そして、上記の発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法では、所定の温度条件下で加圧状態の熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して超臨界流体を含浸させた後、所定の温度条件下で解圧することにより、発泡ポリウレタンエラストマーを製造する。
このような発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法では、熱可塑性ポリウレタン樹脂を、所望形状とした後、超臨界流体を含浸させ、解圧することにより、発泡前の形状を維持したまま発泡および膨張させることができる。
そのため、上記の発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法によれば、所望形状の発泡ポリウレタンエラストマーを得ることができる。
さらに、上記の発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法によれば、反発弾性および硬度をバランスよく備える発泡ポリウレタンエラストマーを得ることができる。加えて、上記の発泡ポリウレタンエラストマーの製造方法で得られる発泡ポリウレタンエラストマーは、外観にも優れる。
より具体的には、上記の方法で得られる発泡ポリウレタンエラストマーのコア密度(後述する実施例に準拠)は、例えば、0.01g/cm3以上、好ましくは、0.05g/cm3以上、より好ましくは、0.10g/cm3以上、さらに好ましくは、0.20g/cm3以上、とりわけ好ましくは、0.30g/cm3以上であり、例えば、0.80g/cm3以下、好ましくは、0.70g/cm3以下、より好ましくは、0.60g/cm3以下である。
なお、発泡ポリウレタンエラストマーは、上記コア密度を有する発泡体であり、軟質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォームなどとは区別される。
また、得られる発泡ポリウレタンエラストマーのセル径は、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、例えば、300μm以下、好ましくは、250μm以下、より好ましくは、200μm以下、さらに好ましくは、100μm以下である。
また、発泡ポリウレタンエラストマーの反発弾性(後述する実施例に準拠)は、例えば、10%以上、好ましくは、30%以上、より好ましくは、40%以上、さらに好ましくは、50%以上、とりわけ好ましくは、60%以上、とりわけ好ましくは、65%以上であり、例えば、85%以下、好ましくは、80%以下、より好ましくは、75%以下である。
また、発泡ポリウレタンエラストマーの硬度(後述する実施例に準拠、JIS K7312(1996年)に準拠)は、例えば、1C以上、好ましくは、10C以上、より好ましくは、30C以上、さらに好ましくは、50C以上であり、例えば、80C以下、好ましくは、83C以下、より好ましくは、80C以下である。
そして、上記の発泡ポリウレタンエラストマーは、任意の形状に設計でき、また、優れた外観、反発弾性および硬度を備えるため、各種産業分野において、広く用いることができる。
より具体的には、上記の発泡ポリウレタンエラストマーは、例えば、マットレスやソファーなどの家具用品、ブラジャーや肩パッドなどの衣料用品、紙おむつ、ナプキン、メディカルテープの緩衝材などの医療用品、化粧品、洗顔パフや枕などのサニタリー用品、靴底(アウトソール、インナーソール)、ミッドソールなどの靴用品、医療用途などの各種用途におけるフットウェア製品(サンダルなど)、さらには、車両用のパッドやクッションなどの体圧分散用品、ドアトリム、インスツルメントパネル、ギアノブなどの手で触れる部材、電気冷蔵庫や建築物の断熱材、ショックアブソーバーなどの衝撃吸収材、充填材、車両のハンドル、自動車内装部材、自動車外装部材などの車両用品、化学機械研磨(CMP)パッドなどの半導体製造用品、バット、グリップの芯材などのスポーツ用品、ポールなどの幅広い分野において用いることができる。
とりわけ、本発明の成形品は、高い機械物性が要求される、ミッドソール、ショックアブソーバー、化学機械研磨(CMP)パッド、スポーツ用品、自動車内装部材などとして、好適に用いられる。
次に、本発明を、製造例、合成例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造>
製造例1(1,4−H6XDI系TPUの製造)
撹拌機、温度計、還流管および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(トランス体:シス体(モル比率)=98:2)22.72質量部と、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PTG1000、保土谷化学工業製)13.16質量部と、数平均分子量3000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PTG3000SN、保土谷化学工業製)64.11質量部とを仕込み、窒素雰囲気下、80℃にて1時間撹拌した(当量比R(イソシアネート基/活性水素基)=3.45)。
その後、予めオクチル酸スズ(商品名:スタノクト、エーピーアイコーポレーション社製)0.0005質量部をジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製)0.012質量部で希釈した触媒希釈液と、トリス(トリデシル)ホスファイト 0.002質量部とを添加し、80℃の温調下、窒素気流下で撹拌混合しながら反応させた。
これにより、イソシアネート基濃度6.35〜7.15質量%のイソシアネート基末端プレポリマーを得た。なお、イソシアネート基濃度は、JIS K7301に記載のイソシアネート基含有率試験に準拠して、ジ−n−ブチルアミンによる滴定法により求めた。
その後、得られたイソシアネート基末端プレポリマー94.4質量部と、1,4−ブタンジオール(鎖伸長剤)5.6質量部とを反応させた。また、これらの総量100質量部に対して、オクチル酸スズ(商品名:スタノクト、エーピーアイコーポレーション社製)が0.25phrとなり、イルガノックス245(BASF社製、耐熱安定剤)が0.5phrとなり、アデカスタブLA−72(ADEKA社製、耐光安定剤(HALS))が0.5phrとなるように、各添加剤を配合した。
より具体的には、まず、上記の量のイソシアネート基末端プレポリマーおよび鎖伸長剤を、それぞれ、80℃に加熱した。一方、予めオクチル酸スズ(商品名:スタノクト、エーピーアイコーポレーション社製)をジイソノニルアジペート(ジェイ・プラス社製)で2%に希釈した触媒希釈液を、23℃に温度調整した。そして、イソシアネート基末端プレポリマーと触媒希釈液とを60秒予備混合した後、鎖伸長剤を加えて、さらに120秒混合し、室温で30秒程度、1mmHg以下で減圧脱泡させた(当量比R(イソシアネート基/活性水素基)=1.01)。
次いで、得られた混合物を、130℃に予熱した金型に注ぎ、130℃で4時間硬化させ、その後、23℃で3週間、養生させた。これにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂(1,4−H6XDI系TPU)を得た。
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂を示差走査熱量測定(DSC測定)し、得られるピークトップ温度を、熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点Tmとした。融点Tmは、170℃であった。
なお、DSC装置として、島津製作所製DSC−60Aを使用し、対照セルとして、アルミナを使用した。また、測定条件は、窒素流量を50ml/分、測定温度を30℃から300℃まで、昇温条件を10℃/分とした。
製造例2(1,3−H6XDI系TPUの製造)
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンに代えて、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(商品名:タケネート600、三井化学社製)を用いた以外は、製造例1と同じ方法で、熱可塑性ポリウレタン樹脂(1,3−H6XDI系TPU)を得た。
なお、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点Tmを、製造例1と同じ方法で測定したところ、152℃であった。
製造例3(MDI系TPUの製造)
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンに代えて、ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:コスモネートPH、三井化学SKCポリウレタン社製)27.50質量部を用いた。
また、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PTG1000、保土谷化学工業製)12.35質量部と、数平均分子量3000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PTG3000SN、保土谷化学工業製)60.15質量部とを用いた。
その他は、製造例1と同じ方法で、熱可塑性ポリウレタン樹脂(MDI系TPU)を得た。
なお、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点Tmを、製造例1と同じ方法で測定したところ、140℃であった。
製造例4(IPDI系TPUの製造)
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンに代えて、イソホロンジイソシアネート(東京化成工業製)23.99質量部を用いた。
また、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PTG1000、保土谷化学工業製)12.94質量部と、数平均分子量3000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PTG3000SN、保土谷化学工業製)63.06質量部とを用いた。
その他は、製造例1と同じ方法で、熱可塑性ポリウレタン樹脂(IPDI系TPU)を得た。
なお、得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂の融点Tmを、製造例1と同じ方法で測定したところ、120℃であった。
<発泡ポリウレタンエラストマーの製造>
実施例1〜7および比較例1〜6
表1〜表2に示す熱可塑性ポリウレタン樹脂を準備した(準備工程)。また、熱可塑性ポリウレタン樹脂を、縦10cm×横10cm×厚み10mmの直方体にカットした。
次いで、熱可塑性ポリウレタン樹脂を、1Lのオートクレーブ内に配置した(配置工程)。
次いで、オートクレーブを密閉し、表1〜表2に示す設定温度T1(含浸温度)までオートクレーブ内を加熱した。設定温度T1に到達した後、オートクレーブ内に、二酸化炭素ガスを20g/minの速度で供給し、オートクレーブ内を表1〜表2に示す設定圧力(含浸圧力)まで加圧した(含浸工程)。
また、必要に応じて、オートクレーブ内が設定圧力(含浸圧力)に到達した後、表1〜2に示す保持時間の間、温度および圧力を保持した(保持工程)。
次いで、二酸化炭素ガスの供給を維持し、圧力を保持したまま、必要に応じて、オートクレーブ内の温度を設定温度(解圧温度)T2まで低下させた。
そして、オートクレーブ内の温度を設定温度(解圧温度)T2とした状態で、オートクレーブ内の圧力を、0.4MPa/secの速度で解放した(解圧工程)。
このとき、発泡前の形状(直方体)を保持したまま、熱可塑性ポリウレタン樹脂が発泡し、中心部から縦方向、横方向および厚み方向に向かって、等方的に膨張した。
これにより、所望形状(直方体)の発泡ポリウレタンエラストマーを得た。
なお、比較例5では、圧力条件が低いため、原料ガスが超臨界流体にならなかった。
比較例7(押出発泡法)
国際公開WO2018/092744号パンフレットの実施例16に準拠して、押出発泡法により、発泡ポリウレタンエラストマーを製造した。
より具体的には、一段目の直径30mmの単軸押出機(有限会社サン・エンジニアリング製、L/D=32、L/D=17.5の位置に逆流防止タイプの超臨界二酸化炭素ガス注入部を設置)と、二段目の直径40mmの押出機(有限会社サン・エンジニアリング製、L/D=42)とを直径10mmの短管(以下、コネクションとする。)により連結し、直径40mmの押出機(二段目)の先端部にサーキュラーダイ(リップ径(直径):40mm、リップと中子との間隙:0.46mm)を装着したタンデム押出機を使用した。
一段目の直径30mmの単軸押出機のバレル温度、および、二段目の直径40mmの押出機の設定温度は、国際公開WO2018/092744号パンフレットの実施例16に準拠して、適宜設定した。
窒素気流下、80℃のオーブン中で一昼夜乾燥させた熱可塑性ポリウレタン樹脂を、一段目の直径30mmの単軸押出機(スクリュー回転数:30rpm)を用いて十分に溶融させた後、溶融した熱可塑性ポリウレタン樹脂に、液化二酸化炭素ボンベから昇圧装置(日本分光社製SCF−Get)を通して30MPaまで昇圧して得られた超臨界二酸化炭素を、25g/時間の流速で供給し、それらを十分に混錬溶解させ、混練物を作製した。
続いて、その混練物を、コネクションを通して、二段目の直径40mmの押出機(スクリュー回転数:4pm)へと送入し、サーキュラーダイから吐出される混練物(発泡体)の状態が安定したところで、円筒状の発泡体の内側へ空気を送り込んで冷却し、厚み2mmの円筒状の発泡体を得た。この発泡体の円周を吐出方向にカットして広げ、厚み2mmのシート状の発泡ポリウレタンエラストマーを得た。
比較例8(射出発泡法)
国際公開WO2018/092744号パンフレットの実施例31に準拠して、射出発泡法により、発泡ポリウレタンエラストマーを製造した。
具体的には、国際公開WO2018/092744号パンフレットの実施例31に準拠して、バレル温度を所定温度に設定した射出成型機(型式:JSW MuCell 110H/J85AD、日本製鋼所社製)に、窒素気流下、80℃のオーブン中で一昼夜乾燥させた熱可塑性ポリウレタン樹脂を充填し、計量時に昇圧装置(日本分光社製SCF−Get)を通して30MPaまで昇圧して得られた超臨界二酸化炭素を0.8質量%の比率で、熱可塑性ポリウレタン樹脂に、送入し混錬させた。
60℃に設定した1.5mm厚みの金型に、射出速度60mm/min、保圧50MPa、保圧時間5秒で射出した後、金型コアを4.5mm後退させ、60秒冷却した後に脱型し、厚み6mmの発泡ポリウレタンエラストマーを得た。
比較例9(ビーズ発泡法)
国際公開WO2018/092744号パンフレットの実施例32に準拠して、ビーズ発泡法により、発泡ポリウレタンエラストマーを製造した。
具体的には、一段目の直径30mmの単軸押出機(有限会社サン・エンジニアリング製、L/D=32、L/D=17.5の位置に逆流防止タイプの超臨界二酸化炭素ガス注入部を設置)と、二段目の直径40mmの押出機(有限会社サン・エンジニアリング製、L/D=42)とを直径10mmのコネクションにより連結し、直径40mmの押出機(二段目)の先端部に単孔(孔の直径:1.5mm)のダイスを装着したタンデム押出機を使用した。
一段目の直径30mmの単軸押出機のバレル温度、および、二段目の直径40mmの押出機の設定温度は、国際公開WO2018/092744号パンフレットの実施例32に準拠して、適宜設定した。
窒素気流下、80℃のオーブン中で一昼夜乾燥させた熱可塑性ポリウレタン樹脂を一段目の直径30mmの単軸押出機(スクリュー回転数:30rpm)を用いて十分に溶融させた後、溶融した熱可塑性ポリウレタン樹脂に、液化二酸化炭素ボンベから昇圧装置(日本分光社製SCF−Get)を通して30MPaまで昇圧して得られた超臨界二酸化炭素を、25g/時間の流速で供給して、十分に混錬溶解させ、混練物を作製した。
続いて、その混練物を、コネクションを通して、二段目の直径40mmの押出機(スクリュー回転数:4pm)へと送入し、ダイスから吐出される混練物(発泡体ストランド)が冷却され、発泡体ストランドの状態が安定したところで、その発泡体を適当な大きさ(約2mmサイズ)にカットすることにより発泡ビーズを得た。
その後、金型に発泡ビーズを充填し、圧力1MPa、180℃の蒸気で温調した後、冷却して、厚み6mmの発泡ポリウレタンエラストマーを得た。
<評価>
発泡ポリウレタンエラストマーを、以下の方法で評価した。その結果を表1〜表2に示す。
(1)外観
発泡ポリウレタンエラストマーの外観を目視で評価した。
(2)セル径
発泡ポリウレタンエラストマーのセル径を、「プラスチックフォームハンドブック」P35−37記載方法に準拠して測定した。
すなわち、発泡ポリウレタンエラストマーをカットし、カットした断面を光学顕微鏡にて観察した。そして、観察された2次元平面の円孔の平均直径をrとしたときの、発泡ポリウレタンエラストマー全体の平均セル径Rを、下記式により算出した。
R=r/0.785
(3)セル均一性
発泡ポリウレタンエラストマーのセルの均一性を目視で観察し、以下のように、評価5〜1を設定し、5段階で評価した。
評価5:ほとんどのセルが微細で、セルの大きさはほぼ均一である。
評価4:粗大なセルは少なく、セルの大きさはほぼ均一である。
評価3:粗大なセルは少ないが、セルの大きさはそろっていない。
評価2:粗大なセルが多く、セルの大きさはそろっていない。
評価1:粗大なセルがほとんどであり、その大きさはそろっていない。
(4)密度
発泡ポリウレタンエラストマーから縦10cm×横10cmのサイズの直方体を切り出して、測定試料を作製した。
その後、測定試料の見かけ密度をJIS K7222(2005)に従って測定した。これを発泡ポリウレタンエラストマーのコア密度(見かけのコア密度)として評価した。
(5)C硬度
発泡ポリウレタンエラストマーを重ねて、厚みを12mmとし、JIS K7312(1996年)の硬さ試験(タイプC)に準拠して、C硬度を測定した。
(6)反発弾性
発泡ポリウレタンエラストマーから縦10cm×横10cmのサイズの直方体に切り出した後、厚みが12mmになるようにその直方体を重ねて測定試料とした。
その測定試料の反発弾性をJIS K6400−3(2011)に従って測定した。