JP2024073073A - ポリウレタンエラストマーの製造方法、ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品 - Google Patents

ポリウレタンエラストマーの製造方法、ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP2024073073A
JP2024073073A JP2022184072A JP2022184072A JP2024073073A JP 2024073073 A JP2024073073 A JP 2024073073A JP 2022184072 A JP2022184072 A JP 2022184072A JP 2022184072 A JP2022184072 A JP 2022184072A JP 2024073073 A JP2024073073 A JP 2024073073A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyurethane elastomer
mass
prepolymer composition
prepolymer
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022184072A
Other languages
English (en)
Inventor
和大 前川
Kazuhiro Maekawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2022184072A priority Critical patent/JP2024073073A/ja
Publication of JP2024073073A publication Critical patent/JP2024073073A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Abstract

【課題】優れた機械物性と、優れた低発熱性と、優れた外観とを兼ね備えるポリウレタンエラストマーを製造するためのポリウレタンエラストマーの製造方法、その方法で得られるポリウレタンエラストマー、および、弾性成形品を提供すること。【解決手段】ポリウレタンエラストマーの製造方法がポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させプレポリマー組成物を得るプレポリマー調製工程と、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを有機錫触媒の存在下で反応させる鎖伸長工程とを備える。ポリイソシアネート成分は1,4-H6XDIを含有し、ポリオール成分はMn450~1250のマクロポリオールからなる。プレポリマー組成物のNCO濃度が4.5~13.0%である。プレポリマー組成物のNCO濃度xと有機錫触媒の量yとが式(1)および(2)を満たす。25x-175≦y≦25x-25(1)y≧10(2)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタンエラストマーの製造方法、ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品に関する。
ポリウレタンエラストマーは、優れた機械物性を有するため、各種産業分野において、広範に使用される。ポリウレタンエラストマーを製造するには、例えば、まず、ポリイソシアネートおよびマクロポリオールを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。その後、イソシアネート基末端プレポリマーと、鎖伸長剤とを反応させて、ポリウレタンエラストマーを得る。
より具体的には、ポリウレタンエラストマーの製造方法としては、以下に示す方法が、知られている。この方法では、まず、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールとを反応させて、イソシアネート基濃度6.06質量%のイソシアネート基末端プレポリマーを得る。次いで、150質量部のイソシアネート基末端プレポリマーと、7.62~8.71質量部の1,4-ブチレングリコールとを、それぞれ80℃に予備加熱し、混合する。さらに、イソシアネート基末端プレポリマーと1,4-ブチレングリコールとの混合物に、0.0008質量部のジブチル錫ジラウレート(有機錫触媒)を添加する。その後、混合物を金型内に注入し、110℃で24時間反応(硬化)させることにより、ポリウレタンエラストマーを得る(例えば、特許文献1(合成例1および実施例1~5)参照。)。
特開2014-231585号公報
上記の方法で得られるポリウレタンエラストマーは、優れた機械物性と、優れた低発熱性とを有する。
しかし、上記の方法では、ポリウレタンエラストマーの表面が、脱型時に剥離して外観不良を生じる場合がある。
本発明は、優れた機械物性と、優れた低発熱性と、優れた外観とを兼ね備えるポリウレタンエラストマーを製造するためのポリウレタンエラストマーの製造方法、その方法で得られるポリウレタンエラストマー、および、弾性成形品である。
本発明[1]は、ポリウレタンエラストマーの製造方法であって、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー組成物を得るプレポリマー調製工程と、前記プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを、ウレタン化触媒の存在下で反応させて、ポリウレタンエラストマーを得る鎖伸長工程とを備え、前記プレポリマー調製工程において、前記ポリイソシアネート成分は、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含有し、前記ポリオール成分は、数平均分子量450以上1250以下のマクロポリオールからなり、前記プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度が、4.5質量%以上13.0質量%以下であり、前記鎖伸長工程において、前記ウレタン化触媒が、有機錫触媒からなり、前記プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度をx(質量%)とし、前記プレポリマー組成物1質量部に対する前記有機錫触媒の量を、y×10-6質量部としたときに、前記xおよび前記yが、下記式(1)および下記式(2)を満たす、ポリウレタンエラストマーの製造方法を、含んでいる。
25x-175 ≦ y ≦ 25x-25 (1)
y ≧ 10 (2)
本発明[2]は、前記鎖伸長工程において、前記xおよび前記yが、下記式(1’)を満たす、上記[1]に記載のポリウレタンエラストマーの製造方法を、含んでいる。
25x-150 ≦ y ≦ 25x-50 (1’)
本発明[3]は、上記[1]または上記[2]に記載のポリウレタンエラストマーの製造方法で得られる、ポリウレタンエラストマーを、含んでいる。
本発明[4]は、上記[3]に記載のポリウレタンエラストマーを含む、弾性成形品を、含んでいる。
本発明のポリウレタンエラストマーの製造方法では、ポリイソシアネート成分が、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含有する。また、マクロポリオールが、所定範囲の数平均分子量を有する。また、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度が、所定範囲である。さらに、鎖伸長工程では、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とが、有機錫触媒の存在下で反応する。加えて、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)と、有機錫触媒の量(y)とが、所定の関係式を満たしている。
そのため、本発明のポリウレタンエラストマーの製造方法によれば、優れた機械物性と、優れた低発熱性と、優れた外観とを兼ね備えるポリウレタンエラストマーを製造できる。
本発明のポリウレタンエラストマーは、上記の方法により得られるため、優れた機械物性と、優れた低発熱性と、優れた外観とを兼ね備える。
本発明の弾性成形品は、上記のポリウレタンエラストマーを含むため、優れた機械物性と、優れた低発熱性と、優れた外観とを兼ね備える。
1.ポリウレタンエラストマーの製造方法
本発明のポリウレタンエラストマーの製造方法では、まず、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー組成物を調製する。次いで、プレポリマー組成物と鎖伸長剤(後述)とを反応させ、ポリウレタンエラストマーを製造する。以下、各工程について、詳述する。
(1)プレポリマー調製工程
この方法では、まず、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とをさせ、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー組成物を、調製する(プレポリマー調製工程)。
プレポリマー組成物は、イソシアネート基末端プレポリマーを含んでいる。イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分との反応生成物である。
ポリイソシアネート成分は、必須成分として、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4-HXDI)を含んでいる。1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、立体異性体として、シス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとを有する。以下において、シス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを、シス1,4体と称する場合がある。また、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを、トランス1,4体と称する場合がある。なお、トランス1,4体およびシス1,4体の総量は、100モル%である。
1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおいて、トランス1,4体の含有割合は、例えば、60モル%以上、好ましくは、70モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、85モル%以上である。また、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおいて、トランス1,4体の含有割合は、例えば、100モル%以下、好ましくは、99.8モル%以下、より好ましくは、99モル%以下、さらに好ましくは、96モル%以下、さらに好ましくは、90モル%以下の割合である。
また、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおいて、シス1,4体の含有割合は、例えば、0モル%以上、好ましくは、0.2モル%以上、より好ましくは、1モル%以上、さらに好ましくは、4モル%以上、さらに好ましくは、10モル%以上である。また、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおいて、シス1,4体の含有割合は、例えば、40モル%以下、好ましくは、30モル%以下、より好ましくは、20モル%以下、さらに好ましくは、15モル%以下である。
トランス1,4体の含有割合、および、シス1,4体の含有割合が上記範囲であれば、機械強度に優れたポリウレタン樹脂が得られる。
ポリイソシアネート成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲で、任意成分として、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除くイソシアネート(以下、その他のポリイソシアネート)を含むことができる。その他のポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネートが挙げられる。
その他のポリイソシアネートとして、より具体的には、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート(1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)、芳香族ポリイソシアネート、および、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,2-プロパンジイソシアネート、1,2-ブタンジイソシアネート、2,3-ブタンジイソシアネート、1,3-ブタンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、および、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエートが挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3-HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、および、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、および、ナフタレンジイソシアネート(NDI)が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、および、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
その他のポリイソシアネートの含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、とりわけ好ましくは、0質量%である。また、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上、より好ましくは、90質量%以上、とりわけ好ましくは、100質量%である。すなわち、ポリイソシアネート成分は、とりわけ好ましくは、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンからなる。
ポリオール成分は、マクロポリオールからなる。マクロポリオールは、分子中に水酸基を2つ以上有し、比較的高分子量の有機化合物である。比較的高分子量とは、数平均分子量(Mn)が400を超過、好ましくは、500以上であることを示す。
ポリオール成分は、より具体的には、所定の数平均分子量(後述)を有するマクロポリオールからなる。
マクロポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。マクロポリオールとしては、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。ポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオール、および、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、縮合ポリエステルポリオールおよび開環ポリエステルポリオールが挙げられる。縮合ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジペート系ポリエステルポリオールおよびフタル酸系ポリエステルポリオールが挙げられる。開環ポリエステルポリオールとしては、例えば、ラクトンベースポリエステルポリオールが挙げられ、より具体的には、ポリカプロクトンポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオール(後述)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物が挙げられる。
これらマクロポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。破断強度の観点から、マクロポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。また、破断伸びの観点から、マクロポリオールとして、好ましくは、ポリエステルポリオールが挙げられ、より好ましくは、ポリカプロクトンポリオールが挙げられる。
マクロポリオールの平均水酸基数(平均官能基数)は、例えば、2以上である。また、マクロポリオールの平均水酸基数(平均官能基数)は、例えば、6以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下、さらに好ましくは、2.5以下である。マクロポリオールの平均水酸基数(平均官能基数)は、最も好ましくは、2である。なお、平均水酸基数(平均官能基数)は、マクロポリオールの原料の仕込みから算出できる。
マクロポリオールは、所定の数平均分子量を有する。より具体的には、マクロポリオールの数平均分子量は、ポリウレタンエラストマーの生産性の観点から、450以上、好ましくは、500以上、より好ましくは、650以上、さらに好ましくは、800以上、とりわけ好ましくは、950以上である。また、マクロポリオールの数平均分子量は、低発熱性の観点から、1250以下、好ましくは、1200以下、より好ましくは、1100以下、さらに好ましくは、1050以下である。
数平均分子量は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、標準ポリスチレン換算分子量として、測定される。また、数平均分子量は、下記式により、平均水酸基数および水酸基価から算出できる。なお、水酸基価は、公知の水酸基価測定方法によって測定できる。水酸基価測定方法としては、例えば、アセチル化法およびフタル化法が挙げられる。
数平均分子量=56100×平均水酸基数/水酸基価
プレポリマー調製工程では、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、プレポリマー化反応(ウレタン化反応)させる。
プレポリマー調製工程において、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(合成R;NCO/OH)は、例えば、1.0を超過し、好ましくは、1.1以上、より好ましくは、1.3以上、さらに好ましくは、1.5以上である。また、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(合成R;NCO/OH)は、例えば、5.0以下、好ましくは、4.0以下、より好ましくは、3.0以下である。
プレポリマー調製工程において、反応方法としては、例えば、バルク重合および溶液重合が挙げられる。バルク重合では、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、窒素気流下で反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、15時間以下である。溶液重合では、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、公知の有機溶剤の存在下で反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、15時間以下である。
プレポリマー調製工程では、ウレタン化触媒(後述)が添加されていてもよく、添加されていなくともよい。好ましくは、プレポリマー調製工程では、ウレタン化触媒(後述)が添加されない。
プレポリマー調製工程では、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応生成液のイソシアネート基濃度(NCO濃度、質量%)が所定の値(後述)に達するまで、上記反応を継続する。
これにより、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応生成液として、プレポリマー組成物が得られる。
プレポリマー組成物(反応生成液)は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の反応生成物であるイソシアネート基末端プレポリマーを含んでいる。また、プレポリマー組成物(反応生成液)は、未反応原料であるポリイソシアネート成分を含む場合がある。
必要に応じて、プレポリマー組成物から未反応のポリイソシアネート成分(未反応原料)の一部または全部を公知の方法により除去することもできる。また、必要に応じて、プレポリマー組成物に対して、未反応のポリイソシアネート成分(未反応原料)をさらに添加することもできる。
なお、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度が所定範囲であれば、プレポリマー組成物における、イソシアネート基末端プレポリマー(反応生成物)の含有割合、および、未反応のポリイソシアネート成分(未反応原料)の含有割合は、特に制限されない。
プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度は、機械物性の観点から、4.5質量%以上、好ましくは、5.0質量%以上、より好ましくは、5.5質量%以上、さらに好ましくは、6.0質量%以上、とりわけ好ましくは、8.0質量%以上である。また、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度は、低発熱性の観点から、13.0質量%以下、好ましくは、12.0質量%以下、より好ましくは、11.0質量%以下、さらに好ましくは、10.0質量%以下である。なお、イソシアネート基濃度(イソシアネート基含有率)は、公知の測定方法によって求めることができる。測定方法としては、例えば、ジ-n-ブチルアミンによる滴定法、および、FT-IR分析が挙げられる(以下同様)。
(2)鎖伸長工程
次いで、この方法では、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを反応させ、ポリウレタンエラストマーを得る(鎖伸長工程)。
鎖伸長剤は、プレポリマー組成物に対する硬化剤である。鎖伸長剤としては、例えば、複数(好ましくは、2つ)の活性水素基(例えば、水酸基およびアミノ基)を含有する低分子量化合物が挙げられる。
低分子量化合物として、より具体的には、低分子量ポリオールおよび低分子量ポリアミンが挙げられる。鎖伸長剤として、好ましくは、低分子量ポリオールが挙げられる。低分子量ポリオールを用いることにより、優れた機械物性を有するポリウレタンエラストマーが得られる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、2価アルコール、3価アルコール、および、4価以上のアルコールが挙げられる。2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール(1,4-ブチレングリコール)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびジプロピレングリコールが挙げられる。3価アルコールとしては、例えば、グリセリンおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。4価以上のアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトールおよびジグリセリンが挙げられる。また、低分子量ポリオールとしては、数平均分子量が400以下になるように、2~4価アルコールに対してアルキレン(C2~3)オキサイドを付加重合した重合物も挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
低分子量ポリオールとして、好ましくは、2価アルコールおよび3価アルコールが挙げられ、より好ましくは、2価アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、1,4-ブタンジオール(1,4-ブチレングリコール)が挙げられる。すなわち、低分子量ポリオールは、好ましくは、1,4-ブタンジオール(1,4-ブチレングリコール)を含み、より好ましくは、1,4-ブタンジオール(1,4-ブチレングリコール)からなる。
鎖伸長工程では、例えば、まず、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とが加熱(予熱)される。
プレポリマー組成物の予熱温度は、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。また、プレポリマー組成物の予熱温度は、例えば、30℃以上、好ましくは、40℃以上、より好ましくは、50℃以上である。また、鎖伸長剤の予熱温度は、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。また、鎖伸長剤の予熱温度は、例えば、30℃以上、好ましくは、40℃以上、より好ましくは、50℃以上である。
次いで、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とが、所定の割合で混合される。プレポリマー組成物と鎖伸長剤との混合割合は、プレポリマー組成物中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤の活性水素基(例えば、水酸基およびアミノ基)の当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)として、調整される。
プレポリマー組成物中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤の活性水素基(例えば、水酸基およびアミノ基)の当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)は、ポリウレタンエラストマーに要求される物性に基づいて、適宜設定される。
例えば、イソシアネート基の量が活性水素基の量に対して過剰である場合、過剰のイソシアネート基が、アロファネート基を生成し、アロファネート基が、架橋構造を形成する。そのため、熱硬化性ポリウレタンエラストマーが得られる。
そこで、熱硬化性ポリウレタンエラストマーが要求される場合、イソシアネート基の量が活性水素基の量に対して過剰となるように、当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)が調整される。より具体的には、熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得る観点から、プレポリマー組成物中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤の活性水素基(例えば、水酸基およびアミノ基)の当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)は、1.00未満、好ましくは、0.99以下、より好ましくは、0.95以下である。また、熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得る観点から、プレポリマー組成物中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤の活性水素基(例えば、水酸基およびアミノ基)の当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)は、例えば、0.60以上、好ましくは、0.70以上、より好ましくは、0.90以上である。
一方、イソシアネート基の量が活性水素基の量に対して過剰ではない場合、アロファネート基が生成されず、架橋構造が形成されないため、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが得られる。
そこで、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが要求される場合、イソシアネート基の量が活性水素基の量に対して過剰とならないように、当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)が調整される。より具体的には、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得る観点から、プレポリマー組成物中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤の活性水素基(例えば、水酸基およびアミノ基)の当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)は、1.00以上、好ましくは、1.05以上、より好ましくは、1.10以上である。また、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを得る観点から、プレポリマー組成物中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤の活性水素基(例えば、水酸基およびアミノ基)の当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)は、例えば、4.00以下、好ましくは、2.00以下、より好ましくは、1.50以下である。
そして、上記の当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)で、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを鎖伸長反応(ウレタン化反応)させることによって、ポリウレタンエラストマーが得られる。
鎖伸長反応における反応方法および反応条件(硬化条件)は、適宜設定される。反応方法としては、例えば、上記バルク重合および上記溶液重合が挙げられる。バルク重合では、反応温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、100℃以上である。また、反応温度は、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下、より好ましくは、180℃以下、さらに好ましくは、150℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、24時間以下、好ましくは、20時間以下、より好ましくは、18時間以下である。溶液重合では、反応温度は、例えば、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、120℃以下、好ましくは、150℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、24時間以下である。
(3)有機錫触媒の量、および、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度
上記の鎖伸長工程において、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とは、ウレタン化触媒の存在下で反応する。ウレタン化触媒は、有機錫触媒からなる。
有機錫触媒としては、例えば、酢酸スズ、オクチル酸スズ、オレイン酸スズ、ラウリル酸スズ、モノブチルスズトリオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメルカプチド、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジネオデカノエート、ジオクチルスズジメルカプチド、ジオクチルスズジラウリレート、および、ジブチルスズジクロリドが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。有機錫触媒として、好ましくは、ジブチルスズジラウレートが挙げられる。
なお、ウレタン化触媒は、有機錫触媒以外の触媒を、含有しない。有機錫触媒以外の触媒としては、例えば、有機錫触媒以外の有機金属触媒、アミンおよびカリウム塩が挙げられる。有機錫触媒以外の有機金属触媒としては、例えば、有機鉛触媒、有機ニッケル触媒、有機コバルト触媒、有機銅触媒および有機ビスマス触媒が挙げられる。アミンとしては、例えば、3級アミン触媒、4級アンモニウム触媒およびイミダゾール触媒が挙げられる。カリウム塩としては、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウムおよびオクチル酸カリウムが挙げられる。
これら有機錫触媒以外の触媒は、鎖伸長工程において、使用されない。また、プレポリマー調製工程において、有機錫触媒以外の触媒が使用される場合、有機錫触媒以外の触媒は、鎖伸長工程の前の工程において、公知の方法で除去される。これにより、有機錫触媒のみが、鎖伸長工程において、使用される。
なお、有機錫触媒は、鎖伸長工程において存在していれば、いずれのタイミングで添加されてもよい。例えば、有機錫触媒は、プレポリマー調製工程において、ポリイソシアネート成分および/またはポリオール成分に、添加されていてもよい。また、有機錫触媒は、プレポリマー調製工程において、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の混合時に、添加されてもよい。また、有機錫触媒は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の混合物(反応混合液)に、添加されてもよい。また、有機錫触媒は、鎖伸長工程において、プレポリマー組成物および/または鎖伸長剤に、添加されてもよい。また、有機錫触媒鎖伸長工程において、プレポリマー組成物および鎖伸長剤の混合時に、添加されてもよい。また、有機錫触媒は、複数のタイミングで添加されてもよい。また、有機錫触媒の添加方法は、特に制限されず、例えば、一括添加であってもよく、分割添加であってもよい。
好ましくは、有機錫触媒は、プレポリマー調製工程では添加されず、鎖伸長工程において、プレポリマー組成物および/または鎖伸長剤に添加される。
有機錫触媒の量は、プレポリマー組成物に対する質量割合として、調整される。また、有機錫触媒の量は、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度に応じて、調整される。なお、有機錫触媒の量は、プレポリマー調製工程で添加される有機錫触媒の量と、鎖伸長工程で添加される有機錫触媒の量との合計である。
より具体的には、鎖伸長工程では、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度をx(質量%)とし、プレポリマー組成物1質量部に対する有機錫触媒の量を、y×10-6質量部としたときに、x(質量%)およびy(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)が、下記式(1)および下記式(2)を満たす。
25x-175 ≦ y ≦ 25x-25 (1)
y ≧ 10 (2)
式(1)は、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度x(質量%)に応じた有機錫触媒の量y(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)を示す関係式である。つまり、鎖伸長工程では、プレポリマー組成物1質量部に対する有機錫触媒の量y(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)が、[25x-175]以上であり、かつ、[25x-25]以下である。
式(1)におけるxとyとの関係、つまり、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度x(質量%)と、鎖伸長工程における有機錫触媒の量y(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)との関係を、表1に示す。
上記表1に示されるように、例えば、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)が13.0質量%である場合、有機錫触媒の量(y)は、プレポリマー組成物1質量部に対して、150×10-6質量部(150ppm)以上であり、300×10-6質量部(300ppm)以下である。
また、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)が9.0質量%である場合、有機錫触媒の量(y)は、プレポリマー組成物1質量部に対して、50×10-6質量部(50ppm)以上であり、200×10-6質量部(200ppm)以下である。
また、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)が4.5質量%である場合、有機錫触媒の量(y)は、プレポリマー組成物1質量部に対して、87.5×10-6質量部(87.5ppm)以下である。
なお、式(1)では、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)によっては、有機錫触媒の量(y)の範囲の下限値が、10×10-6質量部未満(マイナス値を含む。)である場合がある。この場合、有機錫触媒の量(y)の範囲の下限値は、式(2)により制限される。
つまり、有機錫触媒の量(y)は、式(1)に加えて、式(2)を満たす。より具体的には、有機錫触媒の量(y)は、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)とは無関係に、プレポリマー組成物1質量部に対して、10×10-6質量部(10ppm)以上である。
従って、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)が4.5質量%である場合、有機錫触媒の量(y)は、プレポリマー組成物1質量部に対して、10×10-6質量部(10ppm)以上であり、87.5×10-6質量部(87.5ppm)以下である。
x(質量%)およびy(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)が、式(1)および式(2)を満たしていれば、優れた機械物性と、優れた低発熱性と、優れた外観とを兼ね備えるポリウレタンエラストマーを製造できる。
また、鎖伸長工程では、好ましくは、x(質量%)およびy(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)が、下記式(1’)を満たす。
25x-150 ≦ y ≦ 25x-50 (1’)
つまり、鎖伸長工程では、好ましくは、プレポリマー組成物1質量部に対する有機錫触媒の量y(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)が、[25x-150]以上であり、かつ、[25x-50]以下である。
式(1’)におけるxとyとの関係、つまり、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度x(質量%)と、鎖伸長工程における有機錫触媒の量y(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)との関係を、表2に示す。
上記表2に示されるように、例えば、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)が13.0質量%である場合、有機錫触媒の量(y)は、好ましくは、プレポリマー組成物1質量部に対して、175×10-6質量部(175ppm)以上であり、275×10-6質量部(275ppm)以下である。
また、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)が9.0質量%である場合、有機錫触媒の量(y)は、好ましくは、プレポリマー組成物1質量部に対して、75×10-6質量部(75ppm)以上であり、175×10-6質量部(175ppm)以下である。
また、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)が4.5質量%である場合、有機錫触媒の量(y)は、好ましくは、プレポリマー組成物1質量部に対して、10×10-6質量部(10ppm)以上であり、62.5×10-6質量部(62.5ppm)以下である。
x(質量%)およびy(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)が、式(1’)を満たしていれば、より一層優れた機械物性と、より一層優れた低発熱性と、より一層優れた外観とを兼ね備えるポリウレタンエラストマーを製造できる。
鎖伸長工程では、x(質量%)およびy(×10-6質量部)が、さらに好ましくは、下記式(1’’)を満たし、さらに好ましくは、下記式(1’’)を満たし、とりわけ好ましくは、下記式(1’’’’)を満たす。
25x-120 ≦ y ≦ 25x-80 (1’’)
25x-110 ≦ y ≦ 25x-90 (1’’’)
y = 25x-100 (1’’’’)
x(質量%)およびy(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)が、上記式を満たしていれば、とりわけ優れた機械物性と、とりわけ優れた低発熱性と、とりわけ優れた外観とを兼ね備えるポリウレタンエラストマーを製造できる。
そして、上記の有機錫触媒の存在下で、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とが、上記した反応条件で、鎖伸長反応(ウレタン化反応)する。これにより、ポリウレタンエラストマーが得られる。より具体的には、プレポリマー組成物と鎖伸長剤との混合物が、必要に応じて脱泡され、予備加熱した成形型内で硬化する。これにより、所望形状に成形されたポリウレタンエラストマーが得られる。
(4)作用効果
上記のポリウレタンエラストマーの製造方法では、ポリイソシアネート成分が、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含有する。また、マクロポリオールが、所定範囲の数平均分子量を有する。また、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度が、所定範囲である。さらに、鎖伸長工程では、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とが、有機錫触媒の存在下で反応する。加えて、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(x)と、有機錫触媒の量(y)とが、所定の関係式を満たしている。
そのため、上記のポリウレタンエラストマーの製造方法によれば、優れた機械物性と、優れた低発熱性と、優れた外観とを兼ね備えるポリウレタンエラストマーを製造できる。
2.ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品
(1)ポリウレタンエラストマー
本発明は、ポリウレタンエラストマーを、含んでいる。ポリウレタンエラストマーは、上記のポリウレタンエラストマーの製造方法によって、製造される。
ポリウレタンエラストマーとしては、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)および熱硬化性ポリウレタンエラストマー(TSU)が挙げられる。より具体的には、ポリウレタンエラストマーは、上記した鎖伸長工程における当量比(鎖伸長r;活性水素基/NCO)に応じて、熱可塑性または熱硬化性を有する。ポリウレタンエラストマーとして、好ましくは、熱硬化性ポリウレタンエラストマー(TSU)が挙げられる。
ポリウレタンエラストマーは、エージングされていてもよい。エージング温度は、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上である。また、エージング温度は、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下である。また、エージング時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、10時間以上である。また、エージング時間が、例えば、50日間以下、好ましくは、30日間以下である。
ポリウレタンエラストマーは、必要に応じて、公知の添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、触媒活性調整剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤、防錆剤およびブルーイング剤が挙げられる。添加剤の添加量および添加タイミングは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
上記のポリウレタンエラストマーは、上記の方法により得られるため、優れた機械物性と、優れた低発熱性と、優れた外観とを兼ね備える。
そのため、上記のポリウレタンエラストマーおよびその製造方法は、機械物性および低発熱性と、外観とを要求される各種産業分野において、好適に使用される。そのような産業分野としては、例えば、弾性成形品が挙げられる。
(2)弾性成形品
弾性成形品は、上記のポリウレタンエラストマーを、公知の方法で成形することによって、得られる。成形方法としては、例えば、注型成形、熱圧縮成形、射出成形、押出成形および紡糸成形が挙げられる。また、成形後の形状としては、例えば、板状、繊維状、ストランド状、フィルム状、シート状、パイプ状、ボトル状、中空状、箱状およびボタン状が挙げられる。
弾性成形品は、好ましくは、注型成形により得られる。従って、弾性成形品は、好ましくは、注型ポリウレタンエラストマーである。注型ポリウレタンエラストマーは、注型成形により得られる成形品(注型成形品)であり、目的および用途に応じた所定形状を単独で有する物品であって、被塗物に対して塗布されるコーティング剤とは区別される。
このような弾性成形品は、上記のポリウレタンエラストマーを含むため、優れた機械物性、優れた低発熱性、および、優れた外観を備える。そのため、弾性成形品は、優れた機械物性、優れた低発熱性、および、優れた外観が要求される、各種用途において、好適に使用される。より具体的には、弾性成形品の用途としては、例えば、透明性硬質プラスチック、防水材、フィルム、シート、バンド、ベルト、シュープレスベルト、チューブ、ブレード、スピーカー、センサー、アウトソール、糸、繊維、不織布、化粧品、靴用品、断熱材、シール材、テープ材、封止材、太陽光発電部材、ロボット部材、アンドロイド部材、ウェアラブル部材、衣料用品、衛生用品、化粧用品、家具用品、食品包装部材、スポーツ用品、レジャー用品、医療用品、介護用品、住宅用部材、音響部材、照明部材、防振部材、防音部材、日用品、雑貨、クッション、寝具、応力吸収材、応力緩和材、自動車内装材、自動車外装材、鉄道部材、航空機部材、光学部材、OA機器用部材、雑貨表面保護部材、半導体封止材、自己修復材料、健康器具、メガネレンズ、玩具、パッキン、ケーブルシース、ワイヤーハーネス、電気通信ケーブル、自動車配線、コンピューター配線、工業用品、衝撃吸収材、半導体用品および橋梁支承が挙げられる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.原料
(1)ポリイソシアネート成分
製造例1 1、4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
国際公開WO2019/069802号公報の製造例3の記載に準拠して、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4-HXDI)を得た。1,4-HXDIの純度を、ガスクロマトグラフにより測定した結果、99.9%であった。また、APHA測定による色相は、5であった。また、13C-NMR測定により測定したトランス体およびシス体比は、トランス体86モル%であり、シス体14モル%であった。
(2)ポリオール成分
PTMEG250:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量(Mn)250
PTMEG650:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量(Mn)650
PTMEG1000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量(Mn)1000
PTMEG2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量(Mn)2000
PCL500:ポリカプロクトンジオール、数平均分子量(Mn)500
PCL1000:ポリカプロクトンジオール、数平均分子量(Mn)1000
(3)鎖伸長剤
1,4-BG:1,4-ブチレングリコール(1,4-ブタンジオール)
(4)ウレタン化触媒
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート、有機錫触媒
2.ポリウレタンエラストマー
実施例1~10および比較例1~6
(1)プレポリマー調製工程
表3~表4に記載の当量比(合成R)で、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を準備した。なお、表3~表4において、プレポリマー合成工程の当量比(合成R)は、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)を示す。
次いで、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、窒素雰囲気下、80℃で反応させた。そして、反応生成液のイソシアネート基濃度が所定値に至るまで、上記反応を、継続させた。より具体的には、反応生成液のイソシアネート基濃度x(質量%)が、表3~表4に記載される所定値に至るまで、上記反応を継続させた。
上記反応により、反応生成液として、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー組成物を得た。プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度x(質量%)は、表3~表4に記載される所定値であった。
なお、イソシアネート基濃度は、JIS K 1556(2006年)のn-ジブチルアミン法に準拠して測定した。
上記反応では、ウレタン化触媒を添加しなかった。そのため、プレポリマー組成物は、ウレタン化触媒を含有していなかった。
(2)鎖伸長工程
表3~表4に記載の組み合わせ、および、当量比(鎖伸長r)となるように、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを準備した。なお、表3~表4において、鎖伸長工程の当量比(鎖伸長r)は、プレポリマー組成物中のイソシアネート基に対する、鎖伸長剤中の活性水素基の当量比(活性水素基/NCO)を示す。
次いで、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを80℃に加温し、流動化させた。比較例1のプレポリマー組成物は、80℃で固化状態を維持しており、流動化しなかった。そのため、比較例1のプレポリマー組成物の使用を中断した。
一方、表3~表4に記載される所定量の有機錫触媒(ジブチル錫ジラウレート)を準備した。より具体的には、プレポリマー組成物1質量部に対する有機錫触媒の含有量を、y(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)と表記した。そして、y(×10-6質量部/プレポリマー組成物1質量部)の値が表3~表4に記載される所定量となるように、有機錫触媒を準備した。
次いで、上記の所定量の有機錫触媒(ジブチル錫ジラウレート)の存在下において、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを、80℃で60秒混合し、室温にて60秒減圧脱泡した。これにより、混合物を得た。
その後、上記の混合物を、予熱した成形型内に注入し、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを、表3~表4に記載の硬化温度および硬化時間で、反応および硬化させた。これにより、熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得た。熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、弾性成形品であった。
なお、比較例6では、上記の混合物のポットライフが短かった。つまり、比較例6では、プレポリマー組成物と鎖伸長剤との混合物が、短時間で硬化した。そのため、評価するための熱硬化性ポリウレタンエラストマーが、得られなかった。
3.評価
(1)硬度
熱硬化性ポリウレタンエラストマーのショアA硬度を、JIS K 7312(1996年)に準拠して測定した。
(2)引張特性
熱硬化性ポリウレタンエラストマーの引張特性を、万能引張試験機(インテスコ社製 205N)により、JIS K 7312(1996年)に準拠して測定した。すなわち、熱硬化性ポリウレタンエラストマーを切断し、3号ダンベル試験片を得た。そして、引張速度500mm/分の条件で、100%~300%モジュラス(MPa)、引張強度(MPa)および伸び(破断伸び、%)を測定した。
(3)低発熱性
低発熱性の指標として、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの損失係数(tanδ)を算出した。より具体的には、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの動的粘弾性スペクトルを、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製、型式:DVA-220)を用いて、測定開始温度-100℃、昇温速度5℃/min、引張モード、標線間長20mm、静/動応力比1.8、測定周波数10Hzの条件で、測定した。そして、40℃での損失係数(tanδ)を算出した。
(4)外観
熱硬化性ポリウレタンエラストマーの外観を、以下の基準で評価した。
○;熱硬化性ポリウレタンエラストマーの表面において、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの剥離が確認されなかった。
×;熱硬化性ポリウレタンエラストマーの表面において、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの剥離が確認された。



Claims (4)

  1. ポリウレタンエラストマーの製造方法であって、
    ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー組成物を得るプレポリマー調製工程と、
    前記プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを、ウレタン化触媒の存在下で反応させて、ポリウレタンエラストマーを得る鎖伸長工程と
    を備え、
    前記プレポリマー調製工程において、
    前記ポリイソシアネート成分は、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含有し、
    前記ポリオール成分は、数平均分子量450以上1250以下のマクロポリオールからなり、
    前記プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度が、4.5質量%以上13.0質量%以下であり、
    前記鎖伸長工程において、
    前記ウレタン化触媒が、有機錫触媒からなり、
    前記プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度をx(質量%)とし、
    前記プレポリマー組成物1質量部に対する前記有機錫触媒の量を、y×10-6質量部としたときに、
    前記xおよび前記yが、下記式(1)および下記式(2)を満たす、ポリウレタンエラストマーの製造方法。
    25x-175 ≦ y ≦ 25x-25 (1)
    y ≧ 10 (2)
  2. 前記鎖伸長工程において、
    前記xおよび前記yが、下記式(1’)を満たす、請求項1に記載のポリウレタンエラストマーの製造方法。
    25x-150 ≦ y ≦ 25x-50 (1’)
  3. 請求項1に記載のポリウレタンエラストマーの製造方法で得られる、ポリウレタンエラストマー。
  4. 請求項3に記載のポリウレタンエラストマーを含む、弾性成形品。
JP2022184072A 2022-11-17 2022-11-17 ポリウレタンエラストマーの製造方法、ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品 Pending JP2024073073A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022184072A JP2024073073A (ja) 2022-11-17 2022-11-17 ポリウレタンエラストマーの製造方法、ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022184072A JP2024073073A (ja) 2022-11-17 2022-11-17 ポリウレタンエラストマーの製造方法、ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024073073A true JP2024073073A (ja) 2024-05-29

Family

ID=91226569

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022184072A Pending JP2024073073A (ja) 2022-11-17 2022-11-17 ポリウレタンエラストマーの製造方法、ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024073073A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102351760B1 (ko) 폴리유레테인 수지, 성형품, 및 폴리유레테인 수지의 제조 방법
CN109906241B (zh) 聚氨酯树脂的制造方法、聚氨酯树脂及成型品
US11312815B2 (en) Polyurethane resin, producing method of polyurethane resin, and molded article
CN114375312B (zh) 热塑性聚氨酯树脂及膜
TW202405045A (zh) 聚胺基甲酸酯樹脂、彈性成形品及聚胺基甲酸酯樹脂之製造方法
JP2023046114A (ja) ポリウレタン樹脂、弾性成形品、ポリウレタン樹脂の製造方法、および、プレポリマー組成物
JP2024073073A (ja) ポリウレタンエラストマーの製造方法、ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品
JP2024073074A (ja) ポリウレタンエラストマーの製造方法、ポリウレタンエラストマーおよび弾性成形品
JP7296249B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン樹脂
JP7367294B1 (ja) プレポリマー組成物、ポリウレタン樹脂、弾性成形品およびプレポリマー組成物の製造方法
WO2023153397A1 (ja) プレポリマー組成物、ポリウレタン樹脂、弾性成形品およびプレポリマー組成物の製造方法
WO2023153398A1 (ja) プレポリマー組成物、ポリウレタン樹脂、弾性成形品およびプレポリマー組成物の製造方法
JP6989724B1 (ja) 注型ポリウレタンエラストマー
JP2023115948A (ja) ポリウレタン樹脂原料キット、ポリウレタン樹脂、弾性成形体およびポリウレタン樹脂の製造方法
JP2023046115A (ja) ポリウレタン樹脂の製造方法
JP7057858B1 (ja) ポリウレタン樹脂の製造方法、および、ポリウレタン樹脂
WO2023140229A1 (ja) プレポリマー組成物、ポリウレタン樹脂、弾性成形品、および、プレポリマー組成物の製造方法
TWI848159B (zh) 聚胺基甲酸酯樹脂組成物及成形品
JP2023070576A (ja) ポリウレタンエラストマー
JP7246910B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン樹脂、成形品、および、熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法
JP2022133751A (ja) ポリウレタンエラストマー
WO2023182430A1 (ja) 緩衝材、外装材およびロボット部品
JP2023071245A (ja) ポリウレタンエラストマー
JPS5883019A (ja) ポリウレタン樹脂組成物