JP2018087108A - プレミックスセメント組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、粒体シリカフュームや凝集シリカヒュームを含むモルタルやコンクリート(以下「モルタル等」という。)の混練では、粒体シリカフュームや凝集シリカフュームを解砕するのに時間がかかるため、粉体シリカフュームを含むモルタル等と比べ混練時間が長くなり、その分モルタル等の製造効率が低下する。
該文献の図2(3)に示すように、後記の本発明の実施例の混合機の操作条件と同じ、チョッパーの回転速度が3600rpm、ショベル羽根の周速が3.5m/sの条件で、該処理方法を用いて凝集シリカフュームを含むセメント組成物を10分間撹拌・混合した場合、該セメント組成物を用いたモルタルの流動化時間は570秒である。したがって、セメント組成物、および該セメント組成物を用いたモルタル等の製造効率を更に向上させるため、セメント組成物の混合時間およびモルタル等の流動化時間(混練時間)の更なる短縮が望まれている。
すなわち、本発明は下記の構成を有するプレミックスセメント組成物の製造方法である。
該セメント混合物100質量部に対し、添加材を10質量部以上添加するプレミックスセメント組成物の製造方法。
[2]前記添加材が、必須成分としてポルトランドセメントを含み、任意成分としてシリカフューム、石灰石粉末、石英粉末、石膏粉末、フライアッシュ、石炭灰、高炉スラグ粉末、および膨張材等から選ばれる1種以上を含む、前記[1]に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
[3]前記[2]に記載のシリカフュームが、レーザー回折・散乱型粒度測定装置で測定した粒径1μm以上の粒子の含有率が20質量%未満である、前記[2]に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
[4]前記ブレード状の撹拌羽根を有する混合機が、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
1.プレミックスセメント組成物の製造方法
本発明は、前記のとおり、凝集シリカフュームまたは粒体シリカフュームと、ポルトランドセメントを含むセメント混合物を、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機に投入して撹拌しながら、添加材を連続的または断続的に投入して混合するプレミックスセメント組成物の製造方法である。また、添加材の混合割合は、該セメント混合物100質量部に対し10質量部以上である。添加材の混合割合が10質量部未満では、チョッパーの回転速度が、例えば3600rpmと小さい場合、15分以上混合しないと、モルタル等の混練時間を短縮できるプレミックスセメント組成物を得ることは難しい。なお、添加材の混合割合は、セメント混合物をより大量に原料として用いる(言い換えると、セメント混合物が大量にある場合に、当該セメント混合物の処理を進める)観点から、セメント混合物100質量部に対し、好ましくは15〜500質量部、より好ましくは20〜400質量部である。
添加材を2回または3回に分けて投入する場合、1回目から2回目、または2回目から3回目の投入の間隔は、30〜60秒が好ましい。なお、モルタル等の混練時間をより短縮でき、かつより均一なプレミックスセメント組成物を製造するためには、前記と同様に、最後の添加材の投入終了後、さらに240〜420秒混合を続けることが好ましい。
該混合機は、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機であり、例えば、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサ等が挙げられる。これらの混合機はいずれも、強力な分散力(せん断作用)を有するブレード状の高速攪拌羽根(チョッパーまたはローター)を備えており、その回転速度は概ね1000rpmから6000rpmの範囲で調整可能である。
そして、プロシェアミキサは、図1にその一例を示すように、主にショベル羽根1とチョッパー2とからなり、材料投入口3から投入された粉体材料はショベル羽根1の混合作用による浮遊拡散混合と、チョッパー2の分散作用による高速せん断分散により分散混合を行った後、材料排出口4から粉体を排出するミキサである。プロシェアミキサを混合機として用いる場合、チョッパーの回転速度が、好ましくは2000rpm以上、より好ましくは3000rpm以上の攪拌能力を有するプロシェアミキサが望ましい。該プロシェアミキサとして、例えば、太平洋機工社製のプロシェアミキサがあり、その型式はWB−20(傾斜型)やWB−2400が挙げられる。
また、アイリッヒミキサは、例えば、日本アイリッヒ社製のアイリッヒミキサがあり、その型式はR02が挙げられる。また、ヘンシェルミキサは、例えば、日本コークス工業社製のヘンシェルミキサがあり、その型式はFM20Cが挙げられる。
プレミックスセメント組成物の原料は、セメント混合物と添加材に大別できる。以下、セメント混合物と添加材に分けて説明する。
該セメント混合物は、凝集シリカフュームまたは粒体シリカフュームと、ポルトランドセメントを含む混合物である。以下、これらの成分について説明する。
(i)凝集シリカフュームまたは粒体シリカフューム
前記セメント混合物に含まれる凝集シリカフュームまたは粒体シリカフュームのBET比表面積は、通常、12〜25m2/gである。該値がこの範囲を外れる前記シリカフュームは入手が困難である。なお、該BET比表面積は、好ましくは13〜20m2/gである。
ここで凝集シリカフュームとは、例えば、レーザー回折・散乱型粒度分布測定装置で測定した1μm以上の粒径の粒子の含有率が20質量%以上のシリカフュームをいう。なお、プレミックスセメント組成物の製造に凝集していない粉体シリカフュームを用いたとしても、製造後、半年以上経過すると、該組成物中に含まれるシリカフュームは凝集し易い。
また、粒体シリカフュームとは、JIS A 6207に記載されているシリカフュームをいう。
本発明のプレミックスセメント組成物の製造方法を用いれば、凝集シリカフュームや粒体シリカフュームを含むセメント混合物をプレミックスセメント組成物の原料に用いても、モルタル等の混練時間を大幅に短縮できるプレミックスセメント組成物を製造できる。
前記セメント混合物に含まれるポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、および低熱ポルトランドセメントから選ばれる1種以上が挙げられる。
これらのセメントの中でも、モルタル等の流動性や作業性等の観点から、好ましくは中庸熱ポルトランドセメント、または低熱ポルトランドセメントである。
該セメント混合物の組成は、ポルトランドセメント100質量部に対し、好ましくは凝集シリカフュームまたは粒体シリカフュームが5〜40質量部である。該値が該範囲にあれば、モルタル等の流動性と強度発現性は高くなる。なお、該セメント混合物の組成は、セメント100質量部に対し、前記シリカフュームが、より好ましくは8〜35質量部、さらに好ましくは10〜30質量部である。
前記セメント混合物は、他に石灰石粉末、石英粉末、石膏粉末、フライアッシュ、石炭灰、高炉スラグ粉末、および膨張材等の混和材を含むことができる。該混和材の配合量は、強度発現性を確保する観点から、ポルトランドセメント100質量部に対し、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
該添加材は、必須成分としてポルトランドセメント、任意成分として下記のシリカフューム等を含む材料である。以下、これらの成分について説明する。
(i)ポルトランドセメント(必須成分)
前記添加材に含まれるポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、および低熱ポルトランドセメント等から選ばれる1種以上が挙げられ、前記セメント混合物中のポルトランドセメントと同種のポルトランドセメントが好ましい。
また、これらのセメントの中でも、モルタル等の流動性や作業性等の観点から、好ましくは中庸熱ポルトランドセメント、または低熱ポルトランドセメントである。
なお、プレミックスセメント組成物中のシリカフュームの含有率を、セメント混合物よりも減らしたい場合は、添加材としてポルトランドセメントのみを用いればよい。
該シリカフュームは、レーザー回折・散乱型粒度分布測定装置で測定した1μm以上の粒径の粒子の含有率が20質量%未満の粉体シリカフュームである。1μm以上の粒径の粒子の含有率が20質量%以上の凝集シリカフュームを添加した場合、チョッパーの回転速度が、例えば3600rpmと小さい場合、添加材の投入終了後、さらに15分以上混合しないとモルタル等の混練時間を短縮できるプレミックスセメント組成物を得ることは難しい。
なお、プレミックスセメント組成物中のシリカフュームの含有率をセメント混合物と同じにしたい場合は、添加材にセメント混合物中と同じ含有率になるようにシリカフュームを混合する。
前記添加材は、その他に、石灰石粉末、石英粉末、石膏粉末、フライアッシュ、石炭灰、高炉スラグ粉末、および膨張材等から選ばれる1種以上を含む。これらの任意成分の種類および添加量は、プレミックスセメント組成物に求められる特性に応じて、決めればよい。
また、任意成分を用いた添加材を前記セメント混合物に添加する態様は、
(a)前記必須成分(ポルトランドセメント)とシリカフューム等の任意成分を予め一括して混合して得た混合物(添加材)を、前記セメント混合物に添加する。
(b)前記必須成分(ポルトランドセメント)とシリカフューム等の任意成分を、それぞれ別々に前記セメント混合物に添加する。
のいずれかを選択することができる。
1.使用材料
(1)中庸熱ポルトランドセメント(略号:MHC)
太平洋セメント社製である。
(2)シリカフュームa(凝集シリカフューム)
BET比表面積が18.5m2/g、1μm以上の粒子の割合が30質量%、密度が2.25g/cm3の金属シリコン系シリカフューム(エムケム ジャパン社製)の凝集物である。
(3)シリカフュームb(粉体シリカフューム)
BET比表面積が18.5m2/g、1μm以上の粒子の割合が12質量%、密度が2.25g/cm3の金属シリコン系シリカフューム(エムケム ジャパン社製)の非凝集物である。
(4)シリカフュームc(粉体シリカフューム、略号:SF)
BET比表面積が18.5m2/g、1μm以上の粒子の割合が10質量%、密度が2.25g/cm3の金属シリコン系シリカフューム(エムケム ジャパン社製)の非凝集物である。
(5)石英粉末(略号:QU)
ブレーン比表面積は7000m2/gである。
(6)細骨材
静岡県掛川市産の山砂である。
(7)高性能減水剤
商品名はマスターグレニウムSP8HU X2[登録商標](BASFジャパン社製)である。
(8)空気量調整剤
商品名はマスターエア404[登録商標](BASFジャパン社製)である。
(9)水道水
(1)セメント混合物a(略号:CM-a)
中庸熱ポルトランドセメント100質量部に対し、シリカフュームaを13質量部含むセメント混合物である。
(2)セメント混合物b(略号:CM-b)
中庸熱ポルトランドセメント100質量部に対し、シリカフュームbを13質量部含むセメント混合物である。
なお、上記セメント混合物aおよびbは、容積が2m2の強制練り二軸ミキサ(型式:PV−II D2000、ブレード状の撹拌羽根のない一般に用いられている混合機、秩父エンジニアリング社製)を用いて、中庸熱ポルトランドセメントとシリカフュームを120秒間混合して製造した。
(1)製造に用いた混合機と操作条件
プレミックスセメント組成物の製造(混合)に用いた混合機は、容積が20リットルのプロシェアミキサ(型式:WB−20(傾斜型)、太平洋機工社製)である。また、設定した混合機の操作条件は、プロシェアミキサのショベル羽根の周速が3.5m/s、プロシェアミキサのチョッパーの回転速度が3600rpm(周速は18.8m/s)である。
表1に記載の配合に従い、セメント混合物aを混合機に投入して、撹拌・混合を開始すると同時に、中庸熱ポルトランドセメントを混合機に一括して投入し(投入に要した時間は3秒)、400秒間撹拌・混合してプレミックスセメント組成物を製造した。
表1に記載の配合に従い、セメント混合物aを混合機に投入して、撹拌・混合を開始すると同時に、中庸熱ポルトランドセメントとシリカフュームcを別々に同時に混合機に投入し(投入に要した時間は3秒)、360秒間撹拌・混合してプレミックスセメント組成物を製造した。
表1に記載の配合に従い、セメント混合物aを混合機に投入して、撹拌・混合を開始すると同時に、中庸熱ポルトランドセメントを混合機に投入して(投入に要した時間は3秒)60秒間撹拌・混合した後、シリカフュームcを混合機に投入して(投入に要した時間は2秒)、300秒間撹拌・混合してプレミックスセメント組成物を製造した。
表1に記載の配合に従い、セメント混合物aを混合機に投入して、撹拌・混合を開始すると同時に、中庸熱ポルトランドセメント、シリカフュームc、および石英粉末を別々に同時に混合機に投入して(投入に要した時間は4秒)、360秒間撹拌・混合してプレミックスセメント組成物を製造した。
表1に記載の配合に従い、セメント混合物aを混合機に投入して600秒間撹拌・混合してプレミックスセメント組成物を製造した。
表1に記載の配合に従い、セメント混合物aを混合機に投入して、撹拌・混合を開始すると同時に、中庸熱ポルトランドセメントとシリカフュームcを別々に同時に混合機に投入し(投入に要した時間は1秒)、360秒間撹拌・混合してプレミックスセメント組成物を製造した。
セメント混合物aおよびセメント混合物bを、それぞれ参考例1および参考例2として、そのまま用いた。
(1)モルタルの調製
試験に用いたモルタルの配合は、水/プレミックスセメント組成物の質量比が0.14、細骨材/プレミックスセメント組成物の質量比が0.33、高性能減水剤の添加量がプレミックスセメント組成物の質量×1.5%である。また、モルタルの空気量は空気量調整剤を用いて3%以下に調整した。
前記モルタルの配合に従い、プレミックスセメント組成物、細骨材、および水等のモルタルの原料を一括してホバートミキサーに投入し低速で混練して、流動化時間(秒)を測定した。前記プレミックスセメント組成物を用いたモルタルの混練時の性状は、初めは粉状から徐々に大きな塊状に変化し、さらに混練し続けると、流動化した状態に変化するという特異な性状の変化を示す。そして、前記流動化時間とは、混練開始時からモルタルが流動化する状態に至るまでに要した時間をいう。なお、モルタルの混練時間は、前記流動化時間+180秒とした。
次に、混練後の流動化したモルタルを用いてJIS R 5201「セメントの物理試験方法 11.フロー試験」に準拠してモルタルのフローを測定した。ただし、15回の落下運動は実施しなかった。
さらに、前記モルタル内径50mm、高さ100mmの型枠に流し込み、20℃で24時間、前置きした後、85℃で12時間蒸気養生して試験体を3本製造し、JIS R 5201「セメントの物理試験方法 10.強さ試験」に準拠してモルタルの圧縮強度を測定した。
流動化時間は、比較例1〜2を含むモルタルでは、680〜715秒であるのに対し、実施例1〜4を含むモルタルでは235〜340秒と、流動化時間を半分以下に短縮でき、粉体シリカフュームを用いて製造した参考例2の流動化時間に近い。ちなみに、流動化時間は、モルタル等の製造効率の点から、好ましくは420秒以下、より好ましくは300秒以下であるから、実施例1は好ましいレベルであり、実施例2〜4はより好ましいレベルである。
一方、フロー値は、実施例および比較例ともにほぼ同じで、これらは参考例とほぼ同じレベルである。また、圧縮強度は実施例および参考例ともにほぼ同じである。
以上のことから、本発明の製造方法を用いて製造したプレミックスセメント組成物を用いれば、モルタル等の製造時間を短縮でき、製造効率が向上する。
2 チョッパー
3 材料投入口
4 材料排出口
Claims (4)
- 凝集シリカフュームまたは粒体シリカフュームと、ポルトランドセメントを含むセメント混合物を、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機に投入して撹拌しながら、添加材を連続的または断続的に投入して混合するプレミックスセメント組成物の製造方法であって、
該セメント混合物100質量部に対し、添加材を10質量部以上添加するプレミックスセメント組成物の製造方法。 - 前記添加材が、必須成分としてポルトランドセメントを含み、任意成分としてシリカフューム、石灰石粉末、石英粉末、石膏粉末、フライアッシュ、石炭灰、高炉スラグ粉末、および膨張材等から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
- 請求項2に記載のシリカフュームが、レーザー回折・散乱型粒度測定装置で測定した粒径1μm以上の粒子の含有率が20質量%未満である、請求項2に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
- 前記ブレード状の撹拌羽根を有する混合機が、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
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