JP6826789B2 - プレミックスセメント組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、粒体シリカフュームや凝集シリカヒュームを含むモルタルやコンクリート(以下「モルタル等」という。)の混練では、粒体シリカフュームや凝集シリカフュームを解砕するのに時間がかかるため、粉体シリカフュームを含むモルタル等と比べ混練時間が長くなり、その分モルタル等の製造効率が低下する。
また、特許文献2では、セメントとBET比表面積が5〜25m2/gの微粉末を含むプレミックスセメント組成物の製造方法であって、該微粉末以外の材料を混合装置に充填して撹拌または流動状態にしながら、該微粉末を連続的または分割して添加し混合するプレミックスセメント組成物の製造方法が提案されている。
また、これとは反対に、特許文献2に記載の製造方法は、シリカフュームとセメントの混合時間が3〜10分(段落0024の表1)と短いものの、該製造方法を用いて製造したプレミックスセメント組成物は、モルタル等の混練時間を短縮できない。
すなわち、本発明は下記の構成を有するプレミックスセメント組成物の製造方法である。
さらにセメントを該混合機に、
(A)連続的に投入して混合する場合では、投入時間が120秒以内で、投入終了後の混合時間は60〜120秒であり、
(B)断続的に投入して混合する場合であって、
(B−1)セメントを1回で投入するときは、投入時間が5秒以内、および、投入終了後の混合時間が60〜120秒であり、または、
(B−2)セメントを2回または3回に分けて投入するときは、2回目または3回目の投入の間隔が30〜60秒、1回の投入時間が5秒以内、および、投入終了後の混合時間が60〜120秒である、
第2の混合工程を、少なくとも含む、プレミックスセメント組成物の製造方法。
[2]前記第2の混合工程において、セメント以外の粉末を前記セメントと共に前記混合機に投入して混合する、前記[1]に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
[3]前記シリカフュームが、粒体シリカフュームおよび凝集シリカフュームから選ばれる1種以上である、前記[1]または[2]に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
[4]前記セメント以外の粉末が、石英粉末、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石炭灰粉末、および石灰石粉末から選ばれる1種以上である、前記[2]または[3]に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
[5]前記ブレード状の撹拌羽根を有する混合機が、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサである、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
以下、本発明について、プレミックスセメント組成物の製造方法と該セメント組成物の原料に分けて詳細に説明する。
該製造方法を、第1の混合工程、第2の混合工程、および該製造方法において用いる混合機の順に説明する。
(1)第1の混合工程
第1の混合工程は、シリカフュームおよびセメントを、シリカフューム100質量部に対しセメントを10〜200質量部の割合で、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機に投入して混合する工程である。
セメントの混合割合が前記範囲外では、チョッパーの回転速度が、例えば3600rpmと小さい場合、15分以上混合しないと、モルタル等の混練時間を短縮できるプレミックスセメント組成物を得るのは困難である。また、セメントの混合割合が10質量部未満では、シリカフュームが混合機の内壁に付着し易くなるおそれがある。なお、セメントの混合割合は、シリカフューム100質量部に対し、好ましくは15〜150質量部、より好ましくは20〜100質量部である。
なお、第1の混合工程の時間は、モルタル等の混練時間を短縮できるプレミックスセメント組成物の製造や、プレミックスセメント組成物の混合(製造)時間の短縮等の観点から、好ましくは180〜330秒、より好ましくは240〜300秒である。
第2の混合工程は、前記第1の混合工程の後に、さらにセメントを前記混合機に、連続的または断続的に投入して混合する工程である。なお、第2の混合工程におけるセメントの投入量は、製造するプレミックスセメント組成物中のシリカフュームの割合に応じて適宜定めればよい。
セメントを連続的に混合機に投入する場合、投入にかける時間(投入時間)は、好ましくは120秒以内、より好ましくは5〜60秒である。前記投入時間が120秒を超えると混合時間が長くなり、プレミックスセメント組成物の製造効率が低下する場合がある。なお、より均一なプレミックスセメント組成物を製造するためには、セメントの投入終了後、さらに60〜120秒混合を続けることが好ましい。
一方、セメントを2回または3回に分けて投入する場合、2回目または3回目の投入の間隔は、30〜60秒が好ましい。なお、より均一なプレミックスセメント組成物を製造するためには、前記と同様に、最後のセメントの投入終了後、さらに60〜120秒混合を続けることが好ましい。
前記セメント以外の粉末は、石英粉末、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石炭灰粉末、および石灰石粉末から選ばれる1種以上が挙げられる。そして、前記セメント以外の粉末の混合割合は、セメント100質量部に対し、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
次に、本発明の製造方法で用いる混合機について説明する
該混合機は、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機であり、例えば、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサ等が挙げられる。これらの混合機はいずれも、強力な分散力(せん断作用)を有するブレード状の高速攪拌羽根(チョッパーまたはローター)を備えており、その回転速度は概ね1000rpmから6000rpmの範囲で調整可能である。
そして、プロシェアミキサは、図1にその一例を示すように、主にショベル羽根1とチョッパー2とからなり、材料投入口3から投入された粉体材料はショベル羽根1の混合作用による浮遊拡散混合と、チョッパー2の分散作用による高速せん断分散により分散混合を行った後、材料排出口4から粉体を排出するミキサである。プロシェアミキサを混合機として用いる場合、チョッパーの回転速度が、好ましくは2000rpm以上、より好ましくは3000rpm以上の攪拌能力を有するプロシェアミキサが望ましい。該プロシェアミキサとして、例えば、太平洋機工社製のプロシェアミキサがあり、その型式はWB−20(傾斜型)やWB−2400が挙げられる。
また、アイリッヒミキサは、例えば、日本アイリッヒ社製のアイリッヒミキサがあり、その型式はR02が挙げられる。また、ヘンシェルミキサは、例えば、日本コークス工業社製のヘンシェルミキサがあり、その型式はFM20Cが挙げられる。
プレミックスセメント組成物の必須の原料はシリカフュームおよびセメントであり、任意の原料は前述したセメント以外の粉末である。以下、シリカフュームとセメントについて説明する。
(1)シリカフューム
本発明で用いるシリカフュームのBET比表面積は、好ましくは12〜25m2/gである。BET比表面積がこの範囲を外れると、シリカフュームの入手が困難になる。なお、前記BET比表面積は、より好ましくは13〜20m2/gである。
前記シリカフュームの中でも、特に好ましくは粒体シリカフュームおよび凝集シリカフュームから選ばれる1種以上のシリカフュームである。前記粒体シリカフュームや凝集シリカフュームを用いて本発明のプレミックスセメント組成物の製造方法により製造されたプレミックスセメント組成物は、モルタル等の混練時間を大幅に短縮できる。
なお、粒体シリカフュームとは、JIS A 6207に記載されているシリカフュームをいう。また、凝集シリカフュームとは、例えば、レーザー回折・散乱型粒度分布測定装置で測定した1μm以上の粒径の粒子の割合が20質量%以上のシリカフュームをいう。
また、本発明で用いる粒体シリカフュームは、好ましくは嵩密度が0.4〜0.8g/cm3である。嵩密度がこの範囲を外れると入手が困難になる。
該セメントは、特に限定されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、および低熱ポルトランドセメント等から選ばれる1種以上が挙げられる。
なお、本発明で用いるセメントは、モルタル等の流動性や作業性等が高いことから、好ましくは中庸熱ポルトランドセメントまたは低熱ポルトランドセメントである。
1.使用材料
(1)中庸熱ポルトランドセメント(略号:MHC)
密度は3.05g/cm3である。太平洋セメント社製
(2)粒体シリカフューム(略号:G-SF)
金属シリコン系シリカフュームであり、BET比表面積は17.8m2/g、密度は2.25g/cm3である。洛陽済禾社製
(3)凝集シリカフューム(略号:C-SF)
下記粉体シリカフュームを倉庫内で6月保管して凝集させたシリカフュームで、1μm以上の粒径の粒子の含有率は24質量%である。
(4)粉体シリカフューム(略号:P-SF)
金属シリコン系シリカフュームであり、BET比表面積は18.5m2/g、1μm以上の粒径の粒子の含有率は12質量%、密度は2.25g/cm3である。エムケム ジャパン社製
(5)石英粉末(略号:P-QU)
ブレーン比表面積は7000m2/gである。
(6)細骨材
静岡県掛川市産の山砂である。
(7)高性能減水剤
商品名はマスターグレニウムSP8HU X2[登録商標]である。BASFジャパン社製
(8)空気量調整剤
商品名はマスターエア404[登録商標]である。BASFジャパン社製
(9)水道水
(1)実施例1〜4、比較例3および4
表1に記載の1回目の混合量に従い、粒体シリカフュームまたは凝集シリカフュームと、中庸熱ポルトランドセメントを、容積が20リットルのプロシェアミキサ(型式:WB−20(傾斜型)、太平洋機工社製)に一括して投入し、表1に記載の1回目の混合時間をかけて混合した。
次に、表1に記載の2回目の混合量に従い、中庸熱ポルトランドセメント(ただし、実施例3のみ、さらに石英粉末)を前記ミキサに一括して投入し(投入時間は1〜3秒)、表1に記載の2回目の混合時間をかけて混合し、実施例1〜4と比較例3および4のプレミックスセメント組成物を製造した。なお、前記混合条件は、プロシェアミキサのショベル羽根の周速を3.5m/s、プロシェアミキサのチョッパーの回転速度を3600rpm(周速は18.8m/s)に設定した。
表1に記載の1回目の混合量に従い、粒体シリカフュームと中庸熱ポルトランドセメントを、比較例5を除き、前記ミキサに一括して投入し、表1に記載の1回目の混合時間をかけて1回のみ混合して、比較例1、2、5、および6のプレミックスセメント組成物を製造した。
また、比較例5のプレミックスセメント組成物は、表1に記載の1回目の混合量に従い、中庸熱ポルトランドセメントを前記ミキサに一括して投入した後、中庸熱ポルトランドセメントを撹拌しながら粒体シリカフュームを120秒かけて混合し、さらに、120秒間撹拌して混合した(表1中で「120→120」と記載した。)。なお、混合条件は前記(1)の場合と同じである。
表1に記載の1回目の混合量に従い、粉体シリカフュームと中庸熱ポルトランドセメントを、容積が2m2の強制練り二軸ミキサ(型式:PV−II D2000、ブレード状の撹拌羽根のない一般に用いられている混合機、秩父エンジニアリング社製)を用い、表1に記載の1回目の混合時間をかけて回転速度が17rpmで1回のみ混合して、参考例のプレミックスセメント組成物を製造した。
(1)モルタルの調製
試験に用いたモルタルの配合は、水/プレミックスセメント組成物の質量比が0.14、細骨材/プレミックスセメント組成物の質量比が0.33、高性能減水剤の添加量がプレミックスセメント組成物の質量×1.5%である。また、モルタルの空気量は空気量調整剤を用いて3%以下に調整した。
(2)流動化時間の測定
前記モルタルの配合に従い、プレミックスセメント組成物、細骨材、および水等のモルタルの原料を一括してホバートミキサーに投入し低速で混練して、流動化時間(秒)を測定した。前記プレミックスセメント組成物を用いたモルタルの混練時の性状は、初めは粉状から徐々に大きな塊状に変化し、さらに混ぜると、流動化した状態に変化するという特異な性状の変化を示す。そして、前記流動化時間とは、混練開始時からモルタルが流動化する状態に至るまでに要した時間をいう。なお、モルタルの混練時間は、前記流動化時間+180秒とした。
(3)フロー値と圧縮強度の測定
次に、混練後の流動化したモルタルを用いてJIS R 5201「セメントの物理試験方法 11.フロー試験」に準拠してモルタルのフローを測定した。ただし、15回の落下運動は実施しなかった。
さらに、前記モルタルを内径50mm、高さ100mmの型枠に流し込み、20℃で24時間、前置きした後、85℃で12時間蒸気養生して試験体を3本製造し、JIS R 5201「セメントの物理試験方法 10.強さ試験」に準拠してモルタルの圧縮強度を測定した。
流動化時間は、比較例1〜6(を含むモルタル)では555〜1670秒であるのに対し、実施例1〜4では180〜225秒と、流動化時間が半分以下に短縮でき、これは参考例(175秒)とほぼ同じレベルである。ちなみに、流動化時間は、モルタル等の製造効率の点から、好ましくは420秒以下、より好ましくは300秒以下であるから、実施例1〜4は、より好ましいレベルである。
一方、フロー値と圧縮強度は、実施例および比較例ともにほぼ同じで、これらは参考例ともほぼ同じレベルである。
以上のことから、本発明の製造方法を用いて製造したプレミックスセメント組成物を用いれば、モルタル等の製造時間を短縮でき、製造効率が向上する。
2 チョッパー
3 材料投入口
4 材料排出口
Claims (5)
- シリカフュームおよびセメントを、シリカフューム100質量部に対しセメントを10〜200質量部の割合で、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機に投入して、180〜330秒、混合する第1の混合工程と、
さらにセメントを該混合機に、
(A)連続的に投入して混合する場合では、投入時間が120秒以内で、投入終了後の混合時間は60〜120秒であり、
(B)断続的に投入して混合する場合であって、
(B−1)セメントを1回で投入するときは、投入時間が5秒以内、および、投入終了後の混合時間が60〜120秒であり、または、
(B−2)セメントを2回または3回に分けて投入するときは、2回目または3回目の投入の間隔が30〜60秒、1回の投入時間が5秒以内、および、投入終了後の混合時間が60〜120秒である、
第2の混合工程を、少なくとも含む、プレミックスセメント組成物の製造方法。 - 前記第2の混合工程において、セメント以外の粉末を前記セメントと共に前記混合機に投入して混合する、請求項1に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
- 前記シリカフュームが、粒体シリカフュームおよび凝集シリカフュームから選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
- 前記セメント以外の粉末が、石英粉末、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石炭灰粉末、および石灰石粉末から選ばれる1種以上である、請求項2または3に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
- 前記ブレード状の撹拌羽根を有する混合機が、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレミックスセメント組成物の製造方法。
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