JP2018135250A - セメント添加材の製造方法、およびプレミックスセメント組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、粒体シリカフュームや凝集シリカヒュームを含むモルタルやコンクリート(以下「モルタル等」という。)の混練では、粒体シリカフュームや凝集シリカフュームを解砕するのに時間がかかるため、粉体シリカフュームを含むモルタル等と比べ混練時間が長くなり、その分モルタル等の製造効率が低下する。
すなわち、本発明は下記の構成を有するセメント添加材の製造方法と、プレミックスセメント組成物の製造方法である。
前記無機粉末が、石英粉末、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石炭灰粉末、石膏粉末、および石灰石粉末から選ばれる1種以上と、セメントを含む、セメント添加材の製造方法。
[2]前記無機粉末が、セメントを1〜99質量%含む、前記[1]に記載のセメント添加材の製造方法。
[3]前記ブレード状の撹拌羽根を有する混合機が、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサである、前記[1]または[2]に記載のセメント添加材の製造方法。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント添加材の製造方法で製造したセメント添加材と、セメントを混合してプレミックスセメント組成物を製造する、プレミックスセメント組成物の製造方法。
1.セメント添加材の製造方法
本発明のセメント添加材の製造方法は、前記のとおり、粒体シリカフュームおよび凝集シリカフュームから選ばれる1種以上のシリカフュームと、ブレーン比表面積が2500〜10000cm2/gの無機粉末を、該シリカフューム100質量部に対し無機粉末を10〜200質量部の割合で、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機に投入して混合し、セメント添加材を製造する方法である。そして、前記無機粉末は、石英粉末、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石炭灰粉末、石膏粉末、および石灰石粉末から選ばれる1種以上と、セメントを含むものである。
無機粉末の混合割合が前記範囲外では、チョッパーの回転速度が、例えば3600rpmと小さい場合、15分以上混合しないと、モルタル等の混練時間を短縮できるセメント添加材を得ることは難しい。また、無機粉末の混合割合が10質量部未満では、シリカフュームが混合機の内壁に付着し易い。なお、無機粉末の混合割合は、シリカフューム100質量部に対し、好ましくは15〜150質量部、より好ましくは20〜100質量部である。
シリカフュームと無機粉末の混合時間は、均質なセメント添加材の製造と混合時間の短縮の観点から、好ましくは140〜480秒、より好ましくは210〜450秒である。
なお、前記無機粉末の混合機への投入は、(i)前記石英粉末等から選ばれる1種以上とセメントを、予め混合してなる混合物を、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機に投入する、または、(ii)石英粉末等から選ばれる1種以上と、セメントを、別々にブレード状の撹拌羽根を有する混合機に投入する、のいずれの投入の態様でもよい。
前記(i)において、石英粉末等から選ばれる1種以上と、セメントを混合する際の混合機は、特に限定されず、後述するセメント添加材の製造に用いるブレード状の撹拌羽根を有する混合機(例えば、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサ等)や、二軸ミキサ、傾胴ミキサ、パン型ミキサ等が挙げられる。
本発明のセメント添加材の製造方法で用いる混合機は、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機であり、例えば、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサ等が挙げられる。これらの混合機はいずれも、強力な分散力(せん断作用)を有するブレード状の高速攪拌羽根(チョッパーまたはローター)を備えており、その回転速度は概ね1000rpmから6000rpmの範囲で調整可能である。
また、アイリッヒミキサは、例えば、日本アイリッヒ社製のアイリッヒミキサがあり、その型式はR02が挙げられる。また、ヘンシェルミキサは、例えば、日本コークス工業社製のヘンシェルミキサがあり、その型式はFM20Cが挙げられる。
(1)シリカフューム
本発明で用いるシリカフュームのBET比表面積は、好ましくは12〜25m2/gである。BET比表面積が該範囲を外れると、シリカフュームの入手が困難になる。なお、前記BET比表面積は、より好ましくは13〜20m2/gである。
前記シリカフュームの中でも、特に好ましくは粒体シリカフュームおよび凝集シリカフュームから選ばれる1種以上のシリカフュームである。粒体シリカフュームや凝集シリカフュームを用いても、本発明の製造方法により製造されたセメント添加材は、モルタル等の混練時間を大幅に短縮できる。
ここで粒体シリカフュームとは、JIS A 6207に記載されているシリカフュームをいう。本発明で用いる粒体シリカフュームの嵩密度は、好ましくは0.4〜0.8g/cm3である。嵩密度がこの範囲を外れると入手が困難になる。
また、凝集シリカフュームとは、例えば、レーザー回折・散乱型粒度分布測定装置で測定した1μm以上の粒径の粒子の含有率が20質量%以上のシリカフュームをいう。
本発明で用いる無機粉末は、石英粉末、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石炭灰粉末、石膏粉末、および石灰石粉末から選ばれる1種以上と、セメントを含む混合物であり、該混合物のブレーン比表面積は2500〜10000cm2/gである。
前記無機粉末のブレーン比表面積が2500cm2/g未満ではモルタル等の強度発現性が低下し、10000cm2/gを超えるとモルタル等の混練時間を大幅に短縮できるセメント添加材が得られ難くなる。前記ブレーン比表面積は、好ましくは3000〜9000cm2/g、より好ましくは3500〜8000cm2/gである。
前記セメントは、特に制限されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、および低熱ポルトランドセメントから選ばれる1種以上が挙げられる。なお、本発明において、セメント添加材の製造に使用するセメントは、モルタル等の流動性や作業性等から、後述するプレミックスセメント組成物の製造に使用するセメントと同じセメントを使用することが好ましい。
なお、石英粉末、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石炭灰粉末、石膏粉末、および石灰石粉末のブレーン比表面積は、モルタル等の混練時間や強度発現性等から、好ましくは2500〜10000cm2/g、より好ましくは2700〜9000cm2/g、特に好ましくは3000〜8000cm2/gである。
また、前記無機粉末中のセメントの含有率は、モルタル等の流動性や作業性、混練時間や強度発現性等から、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは5〜95質量%、特に好ましくは10〜90質量%である。
次に、プレミックスセメント組成物の製造方法について説明する。
本発明のプレミックスセメント組成物の製造方法は、前記セメント添加材の製造方法を用いて製造したセメント添加材と、セメントを混合して、プレミックスセメント組成物を製造する方法である。
前記セメントは、特に制限されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、および低熱ポルトランドセメントから選ばれる1種以上が挙げられる。これらのセメントの中でも、モルタル等の流動性や作業性等が高いことから、好ましくは中庸熱ポルトランドセメント、または低熱ポルトランドセメントである。
セメント添加材の含有割合は、セメント100質量部に対し、好ましくは10〜80質量部である。該含有割合が該範囲にあれば、モルタル等の流動性と強度発現性は高くなる。なお、該含有割合は、セメント100質量部に対し、より好ましくは15〜70質量部、さらに好ましくは20〜60質量部である。
セメント添加材とセメントの混合時間は、均質なプレミックスセメント組成物を製造する観点や混合時間の短縮の観点から、好ましくは60〜120秒、より好ましくは70〜110秒である。
本発明において、セメント添加材を製造した直後に、プレミックスセメント組成物を製造する場合、粒体シリカフュームや凝集シリカフュームを原料に用いた場合でも、モルタル等の混練時間を短縮できるプレミックスセメント組成物を10分以内、好ましくは9分以内、より好ましくは8分以内に製造できる。
1.使用材料
(1)中庸熱ポルトランドセメント(略号:MHC)
ブレーン比表面積は3300cm2/g、密度は3.05g/cm3であり、太平洋セメント社製である。
(2)粒体シリカフューム(略号:G-SF)
金属シリコン系シリカフュームであり、BET比表面積は17.8m2/g、嵩密度は0.64g/cm3、密度は2.25g/cm3である。また、洛陽済禾社製である。
(3)凝集シリカフューム(略号:C-SF)
下記粉体シリカフュームを倉庫内で6月保管して凝集させたシリカフュームで、1μm以上の粒径の粒子の含有率は24質量%である。
(4)粉体シリカフューム(略号:P-SF)
金属シリコン系シリカフュームであり、BET比表面積は18.5m2/g、1μm以上の粒径の粒子の含有率は12質量%、密度は2.25g/cm3である。また、エムケム ジャパン社製である。
(5)石英粉末(略号:P-QU)
ブレーン比表面積は7000cm2/gである。
(6)高炉スラグ粉末(略号:P-BS)
ブレーン比表面積は4000cm2/gである。
(7)細骨材
静岡県掛川市産の山砂である。
(8)高性能減水剤
商品名はマスターグレニウムSP8HU X2[登録商標]であり、BASFジャパン社製である。
(9)空気量調整剤
商品名はマスターエア404[登録商標]であり、BASFジャパン社製である。
(10)水道水
表1に示すセメント添加材の原料の混合割合に従い、粒体シリカフュームまたは凝集シリカフュームと、石英粉末または高炉スラグ粉末と、中庸熱ポルトランドセメントを、容積が20リットルのプロシェアミキサ(型式:WB−20(傾斜型)、太平洋機工社製、表1において「WB−20」と略記した。)に投入して、プロシェアミキサのショベル羽根の周速が3.5m/s、プロシェアミキサのチョッパーの回転速度が3600rpm(周速は18.8m/s)の操作条件で、表1に示す時間、各原料を混合して、セメント添加材(実施例1〜6、比較例1、2)を製造した。
また、表1に示す混合割合に従い、石英粉末と中庸熱ポルトランドセメントを予め混合しておき(パン型ミキサを使用)、当該混合物と、凝集シリカフュームを、容積が20リットルのプロシェアミキサ(型式:WB−20(傾斜型)、太平洋機工社製、表1において「WB−20」と略記した。)に投入して、プロシェアミキサのショベル羽根の周速が3.5m/s、プロシェアミキサのチョッパーの回転速度が3600rpm(周速は18.8m/s)の操作条件で、表1に示す時間、各原料を混合して、セメント添加材(実施例6)を製造した。
(1)実施例1〜7、および比較例1、2
表1に示すプレミックスセメント組成物の原料の混合割合に従い、製造直後の前記セメント添加材と中庸熱ポルトランドセメントを、容積が2m2の強制練り二軸ミキサ(型式:PV−II D2000、ブレード状の撹拌羽根のない一般に用いられている混合機、秩父エンジニアリング社製、表1において「PV−II」と略記した。)に投入して、回転速度が17rpmで、表1に示す時間、混合してプレミックスセメント組成物(実施例1〜6、比較例1、2)を製造した。
(2)参考例1、2
表1に示すセメント添加材およびプレミックスセメント組成物の原料の混合割合に従い、凝集シリカフュームまたは粉体シリカフュームと、石英粉末および中庸熱ポルトランドセメントを、前記強制練り二軸ミキサ(PV−II)に投入して、回転速度が17rpmで、表1に示す時間、一括して混合しプレミックスセメント組成物(参考例1、2)を製造した。
なお、参考例1のプレミックスセメント組成物の製造方法は、セメント添加材を経ることなく1工程でプレミックスセメント組成物を製造する点で、実施例1〜7、比較例1、2のプレミックスセメント組成物の製造方法と異なる。
また、参考例2のプレミックスセメント組成物の製造方法は、粉体シリカフュームを用いた従来のプレミックスセメント組成物の製造方法であり、該方法で製造したプレミックスセメント組成物と、本発明の製造方法を用いて製造したプレミックスセメント組成物を比較して、モルタルの流動化時間等の物性が同等か否か判定(評価)するために実施した。
(1)プレミックスセメント組成物を用いたモルタルの配合
試験に用いたモルタルの配合は、水/プレミックスセメント組成物の質量比が0.14、細骨材/プレミックスセメント組成物の質量比が0.33、高性能減水剤の添加量がプレミックスセメント組成物の質量×1.5%である。また、モルタルの空気量は空気量調整剤を用いて3%以下に調整した。
前記モルタルの配合に従い、プレミックスセメント組成物、細骨材、および水等のモルタルの前記原料を、一括してホバートミキサーに投入し低速で混練して、流動化時間(秒)を測定した。前記プレミックスセメント組成物を用いたモルタルの混練時の性状は、初めは粉状から徐々に大きな塊状に変化し、さらに混練し続けると、流動化した状態に変化するという特異な性状の変化を示す。そして、前記流動化時間とは、混練開始時からモルタルが流動化する状態に至るまでに要した時間をいう。なお、モルタルの混練時間は、前記流動化時間+180秒とした。
次に、混練後の流動化したモルタルを用いてJIS R 5201「セメントの物理試験方法 12.フロー試験」に準拠してモルタルのフローを測定した。ただし、15回の落下運動は実施しなかった。
さらに、前記モルタルを内径50mm、高さ100mmの型枠に流し込み、20℃で24時間、前置きした後、85℃で12時間蒸気養生して試験体を3本製造し、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠してモルタルの圧縮強度を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
流動化時間は、比較例1を含むモルタルでは960秒、比較例2を含むモルタルでは880秒であったのに対し、実施例1〜7を含むモルタルでは120〜245秒と、流動化時間を約1/4以下に短縮でき、粉体シリカフュームを用いて製造した参考例2の流動化時間160秒と同等である。ちなみに、流動化時間は、モルタル等の製造効率の点から、好ましくは420秒以下、より好ましくは300秒以下であるから、実施例1〜6はより好ましいレベルにある。
また、モルタルのフロー値および圧縮強度は、実施例および比較例ともにほぼ同じで、これらは参考例2とほぼ同じレベルである。
以上のことから、本発明の製造方法により製造したプレミックスセメント組成物を用いれば、モルタル等の製造時間を短縮でき、製造効率が向上する。
測定(その2)が測定対象とするモルタルは、前記測定(その1)におけるプレミックスセメント組成物と細骨材等を用いて混練したモルタルとは異なり、セメント添加材とセメントと細骨材等を用いて混練したモルタルである。すなわち、両者は、シリカフュームを、セメント添加材の形態でモルタル(測定(その2)の対象物である。)に用いるか、プレミックスセメント組成物の形態でモルタル(測定(その1)の対象物である。)に用いるかの点で相違する。このように異なる形態でシリカフュームを用いた場合、モルタルの物性が変わるか否か判定(評価)するために、測定(その2)を実施した。
試験に用いたモルタルの配合は、水/(セメント添加材および中庸熱ポルトランドセメントの合計)の質量比が0.14、細骨材/(セメント添加材および中庸熱ポルトランドセメントの合計)の質量比が0.33、高性能減水剤の添加量が(セメント添加材および中庸熱ポルトランドセメントの合計)の質量×1.5%である。また、モルタルの空気量は空気量調整剤を用いて3%以下に調整した。
なお、使用した前記セメント添加材は実施例1〜3のセメント添加材であり、セメント添加材と中庸熱ポルトランドセメントの混合割合は、表2に示すように、表1の実施例1〜3のプレミックスセメント組成物の原料の混合割合と同じである。
前記モルタルの配合に従い、セメント添加材、中庸熱ポルトランドセメント、細骨材、および水等のモルタルの前記原料を、一括してホバートミキサーに投入し低速で混練して、流動化時間(秒)を測定した。流動化時間の測定方法とモルタルの混練時間は、前記測定(その1)と同じである。また、モルタルのフロー値と圧縮強度の測定方法も、前記測定(その1)と同じである。これらの測定結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜3のセメント添加材を用いたモルタルの流動化時間は123〜190秒、フロー値は283〜300mm、圧縮強度は217〜240N/mm2であり、表1に示す実施例1〜3のプレミックスセメント組成物を用いたモルタルの流動化時間、フロー値、および圧縮強度と同等である。したがって、本発明の製造方法により製造したセメント添加材およびプレミックスセメント組成物は、モルタル等に用いた場合、同じ物性を示すことが分かる。
2 チョッパー
3 材料投入口
4 材料排出口
Claims (4)
- 粒体シリカフュームおよび凝集シリカフュームから選ばれる1種以上のシリカフュームと、ブレーン比表面積が2500〜10000cm2/gの無機粉末を、該シリカフューム100質量部に対し無機粉末を10〜200質量部の割合で、ブレード状の撹拌羽根を有する混合機に投入して混合し、セメント添加材を製造する、セメント添加材の製造方法であって、
前記無機粉末が、石英粉末、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、石炭灰粉末、石膏粉末、および石灰石粉末から選ばれる1種以上と、セメントを含む、セメント添加材の製造方法。 - 前記無機粉末が、セメントを1〜99質量%含む、請求項1に記載のセメント添加材の製造方法。
- 前記ブレード状の撹拌羽根を有する混合機が、プロシェアミキサ、アイリッヒミキサ、またはヘンシェルミキサである、請求項1または2に記載のセメント添加材の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント添加材の製造方法で製造したセメント添加材と、セメントを混合してプレミックスセメント組成物を製造する、プレミックスセメント組成物の製造方法。
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